第4章 分子の構造(その2) - home|福井大学工学...

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化学I

第4章

分子の構造(その2)

http://acbio2.acbio.u-fukui.ac.jp/indphy/hisada/ChemistryI/

授業計画

1回 物質観の進歩と自然科学の発展

2回 原子の電子構造-電子,陽子,原子量-

3回 水素原子の電子スペクトル

4回 Bohrの水素原子模型

5回 物質の波動性

6回 量子数

7回 原子の電子配置と周期律表

8回 化学結合 ―イオン結合―

9回化学結合 ―共有結合―

10回化学結合 ―分子軌道法―

11回 分子の構造―共有結合の方向性―

12回 配位結合

13回 金属結合,多重結合

14回 水素結合

15回 期末試験

授業計画

1回 物質観の進歩と自然科学の発展

2回 原子の電子構造-電子,陽子,原子量-

3回 水素原子の電子スペクトル

4回 Bohrの水素原子模型

5回 物質の波動性

6回 量子数

7回 原子の電子配置と周期律表

8回 化学結合 ―イオン結合―

9回化学結合 ―共有結合―

10回化学結合 ―分子軌道法―

11回 分子の構造―共有結合の方向性―

12回 配位結合

13回 金属結合,多重結合

14回 水素結合

15回 期末試験

混成軌道 Hybrid orbitals

混成軌道:エネルギーに極端な差がないn個の軌道が混成して再編成し、形成されたエネルギーの等しいn個の新たな軌道

Q1. メタン、エチレン、アセチレンの(立体)分子構造を図示せよ。

H

CH H

HC C

H

H H

H

C C HH

(a)メタン (b)エチレン

(c)アセチレン

(a) sp3の混成状態基底状態 励起状態 混成状態

(b) sp2の混成状態基底状態 励起状態 混成状態

(c) spの混成状態基底状態 励起状態 混成状態

Q2. メタン、エチレン、アセチレン中の炭素原子は、それぞれsp3,

sp2, sp混成軌道を形成する。それぞれの基底状態、励起状態、混成状態を(エネルギー)図で示せ。

混成軌道の配置

分子中の原子において、その最外殻(原子価殻)に存在する共有電子対や非共有電子対は、互いに反発してできるだけ離れて存在しようとする。

=「原子価殻電子対反発理論」

静電反発非共有電子対の間

> 非共有電子対と共有電子対の間> 共有電子対の間

(二つの原子に跨る共有電子対は、電子の空間的広がりが広いので、電子密度が低く、静電反発力が小さい)

sp混成軌道

sp2混成軌道

sp3混成軌道

授業計画

1回 物質観の進歩と自然科学の発展

2回 原子の電子構造-電子,陽子,原子量-

3回 水素原子の電子スペクトル

4回 Bohrの水素原子模型

5回 物質の波動性

6回 量子数

7回 原子の電子配置と周期律表

8回 化学結合 ―イオン結合―

9回化学結合 ―共有結合―

10回化学結合 ―分子軌道法―

11回 分子の構造―共有結合の方向性―

12回 配位結合

13回 金属結合,多重結合

14回 水素結合

15回 期末試験

4.4 多重結合

多重結合

・一重結合s結合

・二重結合s結合(1本)+p結合(1本) 例:エチレン

・三重結合s結合(1本)+p結合(2本) 例:アセチレン

多重結合の結合距離と結合エネルギー

結合結合距離

(nm)結合エネルギー

(kJ mol-1)

C-C

C=C

CC

N-N

N=N

NN

O-O

O=O

C-O

C=O

0.154

0.134

0.120

0.145

0.125

0.110

0.148

0.121

0.142

0.124

346

602

835

247

418

942

207

494

358

748

ベンゼンの構造 Structure of Benzene (1)

ベンゼン(C6H6)の分子はどのような結合をしているのか?

19世紀の中頃には炭素化合物については以下の

ような事実は明らかだったが,ベンゼンの構造については謎だった.

①炭素は炭素同士で結合して長い鎖状の分子を形成する

②炭素原子の価数は常に4であって,2重結合や3重結合も形成する

http://www.literate-lemur.com/ouroboros3/

ベンゼンの構造 Structure of Benzene (2)

③エチレンは容易にハロゲン付加を行うが,ベンゼンは同じ条件下ではまったく反応しない.

CH2=CH2 + Br2 → CH2Br-CH2Br

④ o-キシレンには異性体が存在しない.

Kekuléは夢の中で環状の構造を考えついた.

Kekule式とDewar式

(1) (2) (3) (4) (5)

Kekule式 Dewar式

共役系conjugated system

非局在化した電子構造を持つ分子は他にも沢山ある.

二重結合と単結合が交互に存在する場合,電子は非局在化する.これを共役系conjugated systemという.

C

CC

C

CC

CC

C

CC

C

H

H

H

H

H HH

H

H

H

HH

または

H2C CH CH CH2H2C CH CH CH2 H2C CH CH CH2

共鳴エネルギー(非局在化エネルギー)

+ H2 H = -119.5 kJ mol-1

+ 3H2 H = -119.5×3 kJ mol-1

= -358.5 kJ mol -1

+ 3H2 H = -208.2 kJ mol-1

シクロヘキセン

1,3,5-シクロヘキサトリエン

シクロヘキサン

ベンゼン

ベンゼンの構造 Structure of Benzene (3)

http://wps.prenhall.com/wps/media/objects/602/616516/Media_Assets/Chapter23/Text_Images/FG23_03.JPG

炭素: s + px + py → sp2混成軌道 (平面3角形)両側の炭素とsp2軌道および1個の水素原子とs結合6個の炭素のpz軌道同士がp結合

⇒共役二重結合

授業計画

1回 物質観の進歩と自然科学の発展

2回 原子の電子構造-電子,陽子,原子量-

3回 水素原子の電子スペクトル

4回 Bohrの水素原子模型

5回 物質の波動性

6回 量子数

7回 原子の電子配置と周期律表

8回 化学結合 ―イオン結合―

9回化学結合 ―共有結合―

10回化学結合 ―分子軌道法―

11回 分子の構造―共有結合の方向性―

12回 配位結合

13回 金属結合,多重結合

14回 水素結合

15回 期末試験

化学結合(chemical bond)

・イオン結合(ionic bond)

・共有結合(covalent bond)

・配位結合(coordination bond)

・金属結合(metallic bond)

一般的な結合の強さ

共有結合、配位結合>イオン結合>金属結合

配位化合物(錯体)

中心となる原子やイオンと、配位子と呼ばれるいろいろな原子、分子、イオンなどが配位結合してできた化合物。

・中心となる原子:主に金属や金属イオン(=金属錯体)

・配位子:非共有電子対を持ち配位結合する原子数によって分類

単座配位子(配位基を一つ持つ配位子)例)CN-, NH3,H2O,フェノール,ピリジン

二座配位子(配位基を二つ持つ配位子)例)アセチルアセトン,エチレンジアミン

多座配位子(多く(三つ以上)の配位基を持つ配位子)例)エチレンジアミン-N,N,N’,N’-4酢酸

配位化合物の例

(例) アンモニウムイオン

NH3の非共有電子対(sp3混成軌道)の両方の電子がH+イオン(電子なし)の1s軌道に入り、化学結合が形成される。

NH3

HNH=107.3°三角錐形

両原子が共有する2個の電子がすべてN原子から供与される

金属錯体とキレート化合物

・ 中心金属イオンと配位子との組み合わせによって種々の配位数や立体構造をとる。

・配位結合の強弱によって分子軌道がより複雑になる。(エネルギー準位が分裂=取りえるエネルギーがより多様になる)

キレート化合物:配位子の構造の中にドナーとなりうる原子団が2個以上含まれる場合,金属と配位子が環構造を形成することがある.このような配位化合物を特にキレート化合物という.

4.3 金属錯体における金属-配位子結合ー原子価結合法による理解ー

例)[NiII(NH3)6]2+, [NiII(H2O)6]

2+:sp3d2混成軌道,2個の不対電子の存在を説明

外軌道錯体

例)[NiII(CN-)4]2-:

dsp2混成軌道,不対電子が存在しないことを説明

例) [CoIII(NH3)6]3+, [FeII(CN)6]

4-:d2sp3混成軌道,不対電子が存在しないことを説明

内軌道錯体

例) [TiIVCl4], [MnIICl4]2-

sp3混成軌道

結晶場理論

配位子を負の点電荷とみなし,中心金属イオンの電子状態におよぼす静電的な効果を考察金属錯体に特有な色(光の吸収)を説明

例)Ti(III)錯体六配位正八面体構造,Ti(III)は(3d)1の電子配置点電荷の接近により縮重していた5つの3d軌道のエネルギー準位が分裂する

eg軌道:二重に縮重(dx2-y2, dz2), +(3/5)D0

t2g軌道:三重に縮重(dxy, dxz, dyz), -(2/5)D0

d軌道と配位子の相互作用

錯体を形成している金属イオンの電子配置

d軌道の電子数<3のときHundの規則に従ってt2g軌道に満たされていく

d軌道の電子数≧4のとき

0が大きくなると,電子はスピンを逆平行してt2g軌道に入っていく(低スピン型)

0が小さければ,電子はスピンをできるだけ平行に保ちつつeg軌道に入る(高スピン型)

金属錯体の発色

・電荷移動金属と配位子間の電荷移動に基づく

・d-d遷移d電子がt2g軌道からeg軌道に移る際に光エネルギーを吸収

配位子が金属イオンに強力な場を与える → 0が大きい

分光化学系列:配位子場の強さの順列CO CN- > NO2

- > en > NH3 > H2O

> ox2- > OH- > F- > NO3- > Cl-

ox2-: シュウ酸イオン(-OOC-COO-); en: エチレンジアミン

化学結合(chemical bond)

・イオン結合(ionic bond)陽イオンと陰イオン間のクーロン力による結合

<(外殻)電子を一方が所有>

・共有結合(covalent bond)原子どうしがそれぞれの価電子(最外殻電子)で出し合って電子対を形成し、それを共有することによって結合(共有することによって両者がエネルギー的に得をする。)

<それぞれが出し合い共有>

・配位結合(coordination bond)一方の原子またはイオンのみが電子対を供給し、これを共有することによって生じる結合

<一方だけが出し共有>

・金属結合(metallic bond)金属結晶を作るような、それぞれの価電子を全ての金属原子が共有する結合

<皆で出し合い皆で共有>

化学Iのテストについて

試験範囲改訂化学 第1章から第4章4.4(p. 55)まで小テスト講義用スライド

持ち込み:関数電卓

学生証を必ず持参すること

期末試験における注意不正行為をしたときは学則により懲戒処分されるばかりでなく、当該学期の履修科目の単位を全て無効にすることがある。

1. 試験場には必ず学生証を持参し、試験時は学生証を机上に置くこと。

2. 必ずボールペン又は万年筆を持参し、試験開始直後にボールペン又は万年筆で氏名を記入すること。

3. 携帯電話は電源を切り、かつ、カバン等から出さないこと。

4. 教員から指示がある場合には、学籍番号順に着席すること。

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