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Post on 11-Oct-2020

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重力理論の問題点に挑む重力理論の問題点に挑む

2009年にホジャバによって提唱された「超弦理論」によらない「量子重力」が世界中の研究者の間で話題を呼んでいます。Kavli IPMU研究者によって証明されたように、この理論が通常スケールではダークマターを含んだ一般相対性理論のように振る舞うからです。もし正しければ、現在さかんに探索がおこなわれているダークマターがたとえ見つからなかったとしてもなんら問題がありません。宇宙論的効果についてもKavli IPMU研究者の詳細な研究が進んでいます。

「ダークエネルギーを受け入れる代わりに、一般相対性理論を変更してはどうか ?」という疑問を持っても不思議ではありません。19世紀に天文学者を悩ませていた「水星の近日点移動」問題でも、水星と太陽の間に新たな惑星の存在が提案されました。しかし、この問題を解決したのは「”ダーク” プラネット」ではなく、ニュートンからアインシュタインへの理論の変更でした。いろいろな試みがなされていますが、まだ答が出ていません。

「量子重力」の候補として有力なのが「超弦理論」です。この理論の最も驚くべき予言は「私達は4次元を超える世界に住んでいる」ということです。素粒子を構成する超弦 (「ひも」)は 10次元時空にしか住めないのです。しかし私達の知る宇宙は4次元時空です。5番目、6番目、その他の次元 (追加次元と呼ばれています )はどこにあるのでしょう ?答えは「どこにでも存在する」です。それではどうして見えないのでしょう ?「あまりにも小さく丸まっているため」がひとつの可能性です。

一般相対性理論によるとエネルギーがあると周りの時空をゆがめ (ワープさせ )、その大きさはエネルギーが大きいほど大きくなります。追加次元も丸まっているだけでなく、この原理に従って極端にワープしているのかも知れません。

アインシュタインの一般相対性理論は3次元空間と時間をひとつの4次元時空に融合させて、重力を時空の「ゆがみ」として記述します。地上や太陽系の重力現象を非常によく記述します。しかし、素粒子スケールや宇宙スケールの距離でも成り立っていることを示す実験事実はありません。我々の想像とは全く違った振る舞いをしているかもしれません。そのように疑う理由はいくつかあります。

一般相対性理論一般相対性理論 ダークエネルギーダークエネルギー量子重力量子重力

人間原子原子核素粒子・ひも 太陽系 銀河 大宇宙

メートル10010-1010-2010-30 1010 1020 1030

時間を反転させて宇宙の初期に向かって進んでいくとします。宇宙の密度やエネルギーはどんどん大きくなり、量子的ゆらぎがあまりにも大きくなって、量子論も相対性理論も通用しなくなります。つまり、宇宙の始まりを記述するには「量子重力」の確立が不可欠です。

宇宙の加速膨張をアインシュタイン理論で説明しようとすると、宇宙の70%以上がダークエネルギーで満たされていることになりますが、その正体は全く不明です。アインシュタイン理論が宇宙スケールで変更を余議なくされる可能性もあるのです。

ダークエネルギーか、一般相対性理論の変更か ? ワープする隠された次元

量子重力 : 超弦理論とは違った試み

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