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EDIの現状と動向 ~EDI現状の課題と近未来の姿~

(株)データ・アプリケーション EDI/SCM企画推進

エグゼクティブコンサルタント

藤野 裕司

2013年2月

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Copyright (C) 2013 Data Applications Co., Ltd. All rights reserved. Copyright (C) 2012 Data Applications Co., Ltd. All rights reserved.

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目次

1.EDIの現状

2.先行企業の取り組み

3.主要業界の動向

4.見えてきた課題

5.EDIの近未来

6.求められるシステム

特]グローバルEDIの実態

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1.EDIの現状

(1)従来型のEDIの限界

全銀/JCA手順:モデムの調達が不可能

NTTは2025年にPSTN(公衆交換電話網)を廃止

多様なデータ形式に対応できない

インターネット非対応、グローバル化不能

データの精度を求められたときに、バッチ型データ交換ではタイムラグがあり精度が不安定

従来型EDIでは多様化したデータ交換方法を統合管理できない

従来型EDIの概念では、現状のインフォメーションチェーンをカバーできない[既成概念の呪縛] レガシーEDI⇒SCM

SCM⇒SCM+ECM(エンジニアリングチェーン)、

SCM⇒DCM(デマンドチェーン)+SCM

これからは、

DCM・SCM・ECM+金融連携+グローバル連携

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1.EDIの現状

(2)先行と後発の格差

流通小売りで、EOSしかやっていないスーパー(発注のみ)とEDIを

やっているスーパー(発注+納品、他)の違い

→商品が棚に並んでも、在庫に反映されるまでに3日かかる・・・・

さてどうなるか。。。

先行企業では、精度の高い在庫・日計売上予測、詳細な生産計画・

緻密な部品展開&発注・需要予測、等。

後発企業では、担当者のカンと経験と度胸と運

先行企業では、すでにリアルタイムで情報コントロール

後発は、自社がデータをコントロールすることの意義に目が向かな

い。

→コントロールしている企業にどんどん差を広げられる。

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1.EDIの現状

(3)WebEDIの功罪

自社オンラインと取引先向けオンラインの融合

リアルタイムのインタラクティブ取引

WebEDIを「する方」と「させられる方」、

「発注者」と「受注者」の相克

させられる方のコストは1相手先年間150万円

する側には、相手側のコストや苦労は見えない。

自分ところことしか考えていない。

させられる側は面と向かっては文句を言えない。

しかし、裏では、、、、

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2.先行企業の取り組み

(1)範囲の拡大

① 対象の拡大

B2B⇒C2B2B

2次請けや3次請けまでの情報連携

⇒CVS、SPA、PB型サプライチェーン連携

② 領域の拡大

画像、図面、音楽、電子書籍、、、

生産進捗、荷物の追跡、材料・成分情報、原産地証明、、、

医療、行政、金融、、、

③ データ受け渡し方法の拡大

簡便な方法

FTP、HTTP/S、メール添付、共有サーバ利用

EXCEL、PDF

④ 業界横断(素形材産業、サポートインダストリーまで) 業界内から、取引の前後にわたる業界横断に向けたEDIの検討。

⑤ グローバルEDI

現在ほとんど手付かずのグローバルなEDIについて検討開始。

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2.先行企業の取り組み

(2)線から面へ

範囲の拡大とともに面への広がりの重要性が増す

相対の交換ではなく情報を集めて回答を提示

それに対してアクション

社内オンラインの延長で情報開示

複数企業への同時アクセス

キーワードはリアルタイム

接続タイミングや頻度が異なると、情報の精度にむらができ誤差が大

きくなる。

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3.主要業界の動向

(1)産業界全体としての動き

業界として積極的にEDIに取り組むのは、流通以外に見受けられな

い。

行政方針として、東日本大震災以降経産省が製造業の予算を電力

にシフトしたため、国のITへの予算配分が減った。ことEDIに関しては

ほぼなくなった。

各業界も、EDIに絞った動きは見られない。力のある業界は独自に関

連機能として検討を進めるも、小さな業界に新たな動きはない。

業界としての動きは減った一方、個々の先進企業ではWebを使った

情報開示により、取引先企業との連携を強めている。

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3.主要業界の動向

(2)個別業界の動き

①自動車

部品系に若干の統一的動きは見られるものの、全体として大きな流れは

ない。

セットメーカは、従来以上に縦の統合を進めている。もっとも力を入れて

いるのは、Tier2、Tier3以下の企業との連携。

②電子機器

従来より業界としての連携は強かったが、現時点で大きな動きはない。

既存標準のメンテ中心。

一時、REACHで電子情報登録のEDI化がうたわれた時代があったが、

最近はあまり聞かなくなった。

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3.主要業界の動向

③ 石油化学

化学原料業界は大手企業が多いため、業界としての足並みはそろっている。

これまで普及を進めていたChem eStandardは、業界内での利用が一段落し、周辺業界への展開へシフトしている。 当面は商社への普及を目指す。

中期的に海外売り上げの比率が高まることが予想されており、現在アジア向けのEDIについて積極的な取り組みが行われている。

④ 流通

流通BMSの普及は大手が一巡し、中小に目が向いている。

普及数は、2013年1月7日時点の ・社名公開企業数 小売 :135 卸・メーカー :199 ・社名公開はしていないが導入済みの企業数 卸・メーカー数 : 5200 以上。

現在は標準外利用の対策について検討を進めている。

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3.主要業界の動向

⑤ 物流

これまでの物流アウトソーシングの動きが、最近大手ではインソーシン

グの動きに変わりつつある。

中小では相変わらずIT投資ができず、大手の下に入る流れが止まら

ない。

年率12%の成長を続けるEC市場を見据えた動きが加速している。

しか、この分野ではEC事業者が物流事業に参入する例が多く、物流

事業者は対応を迫られている。

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4.見えてきた課題

(1)EDIの壁

① 経営と現場の壁

経営はより迅速かつ精度の高い情報を求めるが、現場は現行の運用では不要を判断する。

現場は、欠品を起こさないよう在庫を潤沢に保持しようとするが、経営側は在庫コストを減らすため最小限にとどめようとする。

② 現場組織間の壁

売り側は欠品を起こさないよう在庫を潤沢に求めるが、調達側は経営の指示により在庫を最小限にとどめようとする。

自分の業務は見えるが、チェーンの前後やその向こうの業務は全く見えないので、電子化に向けた全体最適のメリットに目が向かない。

効率化を進めると自分のポジションが不要となるため、組織を守ろうとする。

電子化が進むと、昔からある職種や企業の存在価値がなくなる。企業や業界存亡の危機とみなされる。

③ 物流の壁 物流でサプライチェーンの連携が切れることが多い。

荷主は、コスト削減のため物流費を1円でも安くしようと物流事業者に値引きを迫る。

荷主は、自社の効率化のため配送指示を電子化しようとするが物流事業者は普段から値切られているのに、そこでIT投資は難しい。

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4.見えてきた課題

④ 業界の壁

個別EDIの弊害をなくすため業界標準が作られる。

業界標準は当該業界内にのみ通じる標準である。

受注側が複数業界と接点を持つ時、発注側標準を複数業界から押し付けられても自社としてはまったく標準を利用するメリットはない。

例)物流業界、素形材産業、等

発注業界が小さく受注業界が大きい場合、発注業界が受注業界に標準利用を求められても、それを受け入れる体力がない。

例)石油化学業界が受注者の場合

⑤ 金融の壁

企業と銀行間のEDIはファームバンキングのみ。

銀行から送られる入金データには金額しか入っておらず、企業名は摘要欄にカタカナで表記されているだけ。それでは、どこの企業からの入金かがコンピュータ処理できない。結果、マッチングは人手に頼らざるを得ない。

違算が発生した場合、現場が明細と入金額を目視チェックするしか方法がない。

経理担当者や銀行担当者は、現場業務と接点がないため、このあたりの現場の問題には関心を示さない。(「そんなん無理・・・」で終わり。。。)

企業にとっては、売り買い掛けのマッチングができると大幅な業務効率化ができるが、銀行にとってはなんのメリットもないので、積極的動きは見られない。

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4.見えてきた課題

⑥ 貿易の壁

貿易業務では、完結するまでに関係者が多数交わり、その間に数多く

のドキュメントが交わされる。その多くが転記作業となるも、未だほとん

ど電子化がされていない。

関係者は多くとも、すべてが接点を持っているわけではないので、個々

の当事者としてはあまり電子化の必要性を感じていない。

関係する企業としても、すべての業務にうち貿易にかかわる部分は一

部であるため、そこにシステム化投資の目を向けるのは難しい。

関係者のすべてが電子化をしないとサプライチェーンはつながらない。

全員の同意を得るのは難しい。

煩雑な手続きを一手に引き受けているのが乙仲である。もしい、貿易

の電子化が進むと乙仲の業務は不要となる。よって、乙仲の反対も大

きい。

通関等行政をまたがる業務となるため、法的問題や省庁間の壁が厚く

、行政の壁による連携が難しい。

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5.EDIの近未来

(1)企業の振る舞い

業界標準作成は、総論賛成各論反対

標準を作るよりビジネスモデルの変化の方が速い

標準以外に企業が固有で必要となる情報の方が多い

標準作りに人を出す余裕がなくなってきている

先行逃げ切り型が増える

業界で合意が取れる前に先行企業は独自システムに手を付け、

デファクトを目指して動く

ビジネスのボーダレス化が進む

CVS、SPA、PB型サプライチェーンが増える

社内、企業間、業界横断、グローバルの境界がなくなる

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5.EDIの近未来

(2)業務の性質

リアルの在庫確認(在庫横串)・売上確定

照会/回答、選択/確定/発注

管理粒度の精緻化

安心・安全、見える化

柔軟な業務の組み換え

(組織変更、M&A、新規ビジネス)

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6.求められるシステム

レガシーEDI、次世代EDI、WebEDIの共存と統合

EDIシステムと自社アプリケーションの融合

自社業務、拠点別業務、グループ企業業務の有機的連携

バッチ連携ではなく準リアルタイム連携

自社システムをクラウド・ASPとのシームレスな連携

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[特]グローバルEDIの実態

(1) グローバルEDIの現状

海外企業との直接的なデータ交換は、ほとんど実施されていない

海外とEDIをするには、GXS経由がもっともポピュラー

一部の国内VAN/ASPで少しずつ経験を積んではいるが、まだそれ

ほどオープンにはしていない

(2) EDIに対するニーズ

現場としてはほとんど必要性を感じていない

海外に進出している場合でも、業務的に海外と国内を分けているこ

とが多く、海外企業と直接接続する必要性があまりない

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[特]グローバルEDIの実態

(3) なぜグローバルEDIが実施されていないのか

日本の企業が海外に進出する場合、現地法人を作るか現地に支社を作る。そことは社内オンラインで接続するため、現地の企業と直接接続する必要はない。現地法人は、現地で現地の方式によりEDIを行っている。もしくはなにもしていない。

海外に進出することがなくとも、海外との取引をするには商社を経由することが多い。その場合も商社とは国内取引となる

直接つなごうとすると、現地のVANやASPと直接対話し、現地のEDI方式で接続する必要がある。それを実現する英語力やIT力が日本にはまだない。

また、海外とつなぐためには、貿易や通関手続きが必要となる。まだその面では十分な環境が整っていない。

貿易や通関の電子化となると、関係者が多くなりすぎ、直接担当者としてはあまり当事者意識も発生せず、すべての担当者が同時に関与する必要性も個々人には感じられない。

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[特]グローバルEDIの実態

(4) 実際のEDI運用

海外取引の多い先進企業は、前述のとおり国内と現地法人で精緻

な社内オンラインを引いて情報のやり取りを完結している。

それほど取引量の多くない拠点とは、通常の紙ベースでのやり取り

か、締めのタイミングでデータをEXCEL添付のメール送信レベルで

済ませている場合が多い。

量が多くなっても、せいぜいFTPもしくはHTTPによるファイル転送程

度。国内のような精度や安全性を求めることはなく、現場任せが多く

見受けられる。

ただ、最近増えつつある例では、海外のセットメーカー(自動車・電

子)が日本の部品メーカーに直接EDIを求めるケースがある。

GXSを経由する場合には、GXSの日本法人と日本の方式でデータ

の授受を行い、海外とはGXSが現地方式に置き換え接続している。

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[特]グローバルEDIの実態

(5) それでもグローバルEDIは必要

現時点では、ニーズがないとか方法がないということで話が立ち消えになることがあっても、現実には国内と同等の情報連携が必要であることに間違いはない。これは、30年前日本の国内でEDIはまだ不要といわれていた時代に等しい。

まだ誰も手をつけていないだけで、障壁は高くとも宝の山であることに違いはない。

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【余談】

ある企業が靴の輸出を計画し、市場調査のために社員2人を派遣した。1人は「まったく見込みがありません。住民はだれも靴を履きません」と報告してきた。もう1人はこう言ってきた。「無限の見込みがあります。住民はまだ誰も靴を持っていません」。

2013年1月4日 朝日新聞 天声人語より

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2013年2月

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