コヒーレントフォトンテクノロジーによる イノベー …...2017/02/09  ·...

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コヒーレントフォトンテクノロジーによるイノベーション創出

東京大学光量子科学連携研究機構理学系研究科フォトンサイエンス研究機構

文部科学省 量子科学技術委員会

• 2017年01月26日

湯 本 潤 司

1

資料2-1科学技術・学術審議会先端研究基盤部会

量子科学技術委員会(第8回)平成29年1月26日

発表の内容

2

COI STREAM 「コヒーレントフォトン技術によるイノベーション拠点」(ICCPT)

の活動の紹介とその活動を通じての提言

1. ICCPTの概要2. レーザー科学、レーザー技術として、今、何をしようとしているか。

a. 非熱的なレーザー切断技術の開拓b. EUV露光システム実現に向けた高次高調波発生技術c. 高精細&高速3次元光造形システムの開発とその事業化d. 臓器透明化技術による病理診断システムの開発

3. 産学連携の課題a. “本気”の産学連携の構築

・ ラウンドテーブルディスカッション・ ステージごとのプロジェクトマネージメント

b. オールジャパンとしての産官学連携

4. 事業化活動を通した若手研究者のキャリアパス開発

文科省/JST COI STREAM プログラムhttp://www.jst.go.jp/coi/index.html

項目1

3

ICCPT

「コヒーレントフォトン技術」による活気ある持続可能な社会の実現に向けて

「個」を生かす持続可能な社会

4

項目1

CO

2 レーザー

固体レーザー

市場

エキシマ

レーザー

ファイバー

レーザー

なぜ、今か

イノベーションの創出

非熱加工EUVL+HHG

・・・

5

項目1

CEP: Carrier Envelope Phase (キャリアエンベロープ位相)HHG: High Harmonic Generation (高次高調波発生)EUVL: Extreme Ultraviolet Lithograph (極端紫外線リソグラフィー)

研究開発課題

①難加工性材料の光加工技術開拓東京大学、理研、三菱電機、東レ

②高度光造形・光改質東京大学、理研、ギガフォトン、東レ

③短波長(EUV)光源・利用技術東京大学、理研、三菱電機、ギガフォトン

④ 個のニーズ探索東京大学

⑤ 非平衡新規光プロセス開拓東京大学

項目1

6

各種材料の比強度、比弾性率

CFRPの特徴1. 従来材と比較して、比強度(強度/密度)、比弾性率(弾性率/密度)に優れる →燃費向上、環境負荷低減に寄与

2. 疲労特性に優れる3. 熱膨張係数が小さく、寸法安定性に優れる4. 導電性を有する

CFRP化によるCO2削減効果[1]

CFRP(複合材料)=炭素繊維(強化材)+エポキシ等の樹脂(マトリックス)

車体構造30%軽量化 機体構造20%軽量化

炭素繊維強化プラスチック(CFRP)について

CFRP断面のSEM写真

CF

樹脂

項目2a

7

CFRPレーザー切断の課題

波長200~300nm近傍の紫外光を用いたレーザー加工が有効である可能性

1.2

1.6

2

2.4

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0

0.1

0.2

0.3

0.4

200 400300 500 600

波長 (nm)消衰係数

(cm

-1)

CFRP

グラフェン

樹脂

UV光 可視光

項目2a

Temperature (1000K)

熱的なレーザー加工による樹脂部の損傷

レーザー切断されたCFRPの表面(サンプル)

0.5mm

グラファイトは、3600℃まで安定

8

波長258nmレーザー光によるCFRP切断非公開

9

項目2a

都合により、掲載できません

第一原理計算による加工シミュレータの開発

巨視的

① 媒質中でのレーザーパルス伝播

② 電子系の励起

Balling and Schou, Rep. Prog. Phys. 76, 036502 (2013)のFig. 2を参考に作成

e-

e-

e-

e-

e-

e-

e-

e-

e-

e-

③ 物質としての応答(原子の飛び出し)

巨視的、微視的

電子衝突励起・イオン化

微視的

高強度場励起・イオン化

逆制動放射

光電子分光によるバンド構造の計測評価

10

項目2a

h+

電子温度、格子温度のダイナミクス

電子温度

原子振動の温度

電子-電子散乱 電子から原子への緩和 電子の脱励起(電子正孔対消滅)

e-e- e-e-

10-15s 10-12s 10-9s 時間

初期状態 電子の励起 電子間の緩和 電子から格子へのの緩和

初期状態へ回復

電子

格子

コヒーレントな格子振動

電子から格子への緩和

格子温度の上昇

項目2a

11

Extremetech、June 5, 2015

Extremetech, March 17, 2014

EUV露光技術実現に向けた課題・ EUV光源の高出力化・ レジスト開発・ マスク開発・ マスククリーン度維持技術

248nm 193nm EUV(13.5nm) 12

項目2b

EUVL(13.5nm)でMooreの法則を再起動

EUV露光装置、EUV光源の構成

13

項目2b

http://www.komatsu.co.jp/CompanyInfo/profile/report/pdf/166-J04.pdf

20μm以下の微小錫ドロップレットに大出力CO2レーザーを照射し、プラズマを発生⇒ 波長13.5nmのEUV光を発生⇒ 出力 250W (開発目標)⇒ 錫によるEUV集光ミラーの汚染

EUV露光装置の構成

EUV光源の構成

Snドロップレットの供給

CO2レーザー光

EUV集光ミラー

大出力CO2

レーザー

プラズマ

参考: ギガフォトン(株) ニュースリリース 2016年10月21日14

項目2b

EUVL実用化に必要とされるパワー(250W)の実現

• 高次高調波光源を用いたon-site型EUVミラー検査装置の開発• EUV光学系評価には放射光(SPring-8)が利用されているが、規模が大きく運用が制限されるため製造現場(on-site)で利用可能なコヒーレントEUV光源の開発が重要となる。

課題「錫汚染されたEUV集光ミラーのリサイクルシステムの構築」

15

項目2b

13.5nm コヒーレント光源の開発

https://www.asml.com/misc-investor-day/en/s51001?rid=5100216

項目2b Long term multi-decade device roadmap

1um

1mm

1mm 1cm 10cm

0.1mm

10um

0.1um

10mm

1m

3Dプリンターの技術状況

2光子吸収型

光積層法、 投影法インクジェット法,

応用先 軽量強靭な構造材 3次元マイクロ流路

チャンネルリアクター バイオチップ

マイクロ波/THz導波管

RECILS

光造形

粉末 造形

熱溶融積層造形粉末焼結積層法インクジェット粉末積層法

造形物の最大サイズ

造形解像度

17

項目2c

高精細&高速3Dプリンティング技術の事業化

UV レーザー光

円筒状のガラス

基板

光感光性樹脂

(3)

(2)ノズル

造形物(光硬化された樹脂)

x

y

z

18

項目2b

RECILSの造形例

数10umの解像度での造形が、これまで困難⇒ 新規事業開拓、顧客開拓が必要

これまでに、10数件の試作を受け、顧客開拓を進めている。

19

項目2c

マイクロ流路のX線CT画像Cross-section at A B

ABCDE

C D E

項目2c

20

臓器透明化技術による病理診断技術

10mm

組織 細胞

• 細胞は、細胞核、ゴルジ体、細胞膜等と水で構成• 細胞と水の屈折率が異なる為、光は散乱されるが、吸

収されない。

臓器

http://mr.powner.org/b/lessons/humans/levels-of-organization.png

透明化されたGFPマウス

蛍光灯下での撮影のため黄色に発光

21

項目2d

非公開

22

項目2d

マウスの肺癌の2光子顕微鏡観察

都合により、掲載できません

癌の構造(抽出された写真)非公開

23

項目2d

都合により、掲載できません

http://www.jmedj.co.jp/fileview.php?field=reading_pdf&id=405&type=book

内視鏡で摘出された病理標本

パラフィン化

3D イメージ

3次元顕微鏡観察

現在の方法

本提案

厚さ : 3mm

液浸

薄片化

• 従来からの病理診断技術との比較と本技術の有効性の実証と装置化

• 有効性の実証 東大病院消化器内科

• 病理診断装置化 エーザイ

• AMED「先端計測分析技術・機器開発プログラム」で新規採択「人工知能による超高速3次元画像解析システム」

• コストの大幅な低下• 病理医の負担軽減、地方で

の病理医不足に貢献

24

項目2d

新しい病理診断システムの提案

レーザー光源・加工機メーカー

東京大学

レーザー物理学物性科学材料化学理論物理表面科学:

理化学研究所材料メーカー

Academia Industry

レーザー物理レーザー加工:

オープンラウンドテーブルディスカッション

他業種:

産業インパクトのある高度な課題

産業技術への適用

本拠点の特徴: R&D戦略の立案

学術課題への翻訳

先端科学動向

先端技術 産業ニーズ

市場動向

翻訳された課題をアカデミック・コミュニティーへ展開

産業課題へ対応する新しい科学

翻訳作業へ参加者をアカデミック・メンバーの呼びかけ

項目3a

25

26

東京大学

理化学研究所

その他の機関

オープン・ステージ⇒オープン ディスカッション ラウンドテーブル• 議論を共有、ブレインストーミング

• 先端科学で議論されている学術および技術的情報を共有

• 課題について概要を一般公開し、シーズ・ニーズの

掘り起こしを促す

フォーカス・ステージ• 特定の技術課題や開発課題について、

限定されたメンバーによる、調査研究および開発

• 研究項目等については拠点内で公開

クローズド・ステージ• 特定の技術課題や開発課題について、

非公開を原則としての研究開発

• 本課題に関して、個別の共同研究契約を締結

• 研究題目を適宜定め、題目のみを拠点内で公開

三菱電機

ギガフォトン

東 レ

その他の企業

3つのステージによるプロジェクトマネージメント項目3a

「高輝度・高効率次世代レーザー技術開発」H28.6開始5年間参画メンバー東大、三菱電機(株) 、阪大、スペクトロニクス(株)浜松ホトニクス(株)、ギガフォトン(株) 、産総研他

レーザー加工技術コンソーシアム

H29.3開始

加工用レーザー技術の確立• レーザー加工プラットフォームの

構築• レーザー加工用計測評価技術

NEDOプロ参画メンバー材料メーカー自動車メーカー、自動車部品メーカ重工関連企業 等

次世代レーザー加工技術

市場、顧客要求の探索

レーザー加工プラットフォームの構築

(柏キャンパス)

NEDOプロ「高輝度・高効率次世代 レー

ザー技術開発」

研究、開発、市場の連携人材の育成と流動化支援

H28.6開始

Photon Frontier NetworkAPSA/C-PhoST

ICCPT「コヒーレントフォトン技術によるイノベーション拠点」

H25.11開始

レーザー加工の学理• 光と物質の相互作用の解明• 第一原理計算による

加工シミュレータ

27

項目3b 光科学を横串とする戦略を機関を越えて共有

事業化閾値の低減

VB1

商品1

VB2

商品2

・・・

・・・

VB

商品2

商品1

商品3 ・・・

現状

技術の泉

企画、戦略、営業・・・

商品、技術を束ねることにより、• 資金、人材の有効活用• 経費削減• 連携強化を向上、新規開発投資• 起業の閾値が低• ポスドクの兼業によるキャリア支援・提供• RECILSをケーススタディーとして展開を考えている。

• 商品、技術ごとに事業化• 分割損が大

• 光関係は、多種多様であるが、個々の市場規模が小さい• 投資の対象になりにくい• 起業の閾値が高い

28

項目4

これからの研究開発を加速するために

29

・ テーマの設定バックキャスト(課題の解決)とフォアキャスト(未来の創出)の融合課題解決であっても、学術としての新しいテーマが潜んでいる。また、単に、課題が解決できれば良いと言うのではなく、掘り下げることによって新しい研究テーマが創出される。

・ 連携の構築本気の産学連携

信頼関係の構築本気で、継続性のある議論の場基礎研究としても新しいテーマの泉

組織間を超えた連携

・ 若手研究者に多様な機会を提供研究とビジネスが融合した“場”多様性の提供により、閉塞感の打破

共有プラットフォーム

Cross Functional Teams

博士研究員大学院学生

大学教員企業の技術者・研究者

政策担当官

拠点リーダー

高度博士人材知財

新産業

光技術の展開例(出口)・エンドユーザーへの付加価値付与車、家屋、医療健康、照明、・・・

・社会インフラエネルギー、環境、通信、高度GPS、・・・

・産業技術レーザー加工、オペランド評価技術、・・・

マーケットニーズ

企業群社会

知 技術人

理 工

科学と社会をつなぐイノベーション拠点

リーディング大学院

• 博士学生実践トレーニング

• フォトン、医療、物質

• 大規模研究施設• 基盤整備事業の設備

サテライト研究拠点

・産業界における技術シーズの活用

・産業界の高度人材のリトレーニングによる異分野展開促進

・産学協同による、俯瞰力のある博士人材の育成

全世代の取り込み

国際連携

シーズを循環させるプラットフォーム

COI拠点等の発展

機動的に編成可能な“Cross Functional Team”によるイノベーション課題の実践

• 国際拠点化• ネットワーク事業• ナノテク、光量子、低酸素

30

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