h.18年度 教育学部専門科目 臨床心理学(1) (臨...

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H.18年度

教育学部専門科目

臨床心理学(1) (臨床精神医学)

教育臨床心理学ゼミ

教育学研究科付属子ども発達臨床研究センター

田中

康雄

本日の流れ

導入

臨床心理学・臨床精神医学とは何か?

臨床心理学・臨床精神医学のイ メージ(1)

言葉からのイメージ狂気,変態,気違い,異質・・

おかしな,変わった,危険な,恐ろしい,不安になる・・・

障害,しょうがい,障碍・・

関心の行方人の心を探る仕事?

カウンセリング,臨床心理士,治療・援助者

近寄りたくない世界?

臨床心理学・臨床精神医学のイ メージ(2)

統合失調症

気分障害,うつ

情緒障害・神経症

強迫性障害

ヒステリー

ストレス

PTSD(心的外傷後遺症)

トラウマ

虐待

発達障害

てんかん

不登校・ひきこもり

摂食障害

リストカット症候群

自殺

精神(心理)療法精神分析療法

夢分析

カウンセリング

箱庭療法

行動療法

入院治療(隔離)

薬物療法 ・・・・

正常と異常の判定は?

平均基準平均からの逸脱

常識的視点,感覚

境界の曖昧さ,絶対的なものではない例:身長,知能

価値基準理想からの逸脱

常識的視点,感覚

境界の曖昧さ,絶対的なものではない例:美的基準

正常と異常の判定は?

発達基準

進度からの逸脱

一般的事実,経験的視点

例外の曖昧さ,成長による恢復

例:身長,知能

事例性

社会評価からの逸脱

あくまでも相対的(社会,時代,地域,文化など)例:不登校,ひきこもり,ADHD(注意欠陥多動性障害)

臨床心理学・臨床精神医学とは

人間の心理(精神)現象を扱う学問

精神は,身体的・心理的・社会的存在様式から成立している

心理(精神)現象はどこから生じるのか?

心理学とは,人間を理解するための(実験と検証

を繰り返しながら)仮説生成していく学問

精神医学とは, (基礎的研究も含みながら)心を

病む方への具体的援助のための学問

臨床心理学・臨床精神医学とは

はじまりは「心理(精神)現象はどこから生じるのか」への探求

「どういうことで,こうなっているのか」への追求

方法論的アプローチ身体:脳科学(理科系ルート)

分子遺伝学,精神薬理学,脳科学,認知心理学など

心理:心(文科系ルート)

精神分析学,精神病理学,哲学など

社会:環境(社会学系ルート)

社会精神医学,家族精神医学,司法精神医学など

新しい枠組み:学際的接近

脳へ接近生物学的アプローチ論理的かつ因果律での説明と再現性が求められる接近しにくい分野が残る

心へ接近哲学,心理学的アプローチ因果律へのこだわりは少なく,個々の関係性が重視される説明困難で再現性に弱い

環境へ接近地域,文化的アプローチ論理的かつシステム論が求められる価値基準の差違が課題となる

それぞれが個々に説明可能な仮説を探求することから,学際的な連携へ

臨床精神医学の歴史

精神障害は太古から存在していた(シャーマン)

ヒポクラテス(紀元前460-377)生きている生体とその部分の諸機能の研究 (脳と身体)

魔女狩りの時代(5-15世紀)迫害と保護の混同

ピネルの精神医療改革(1745-1826)鎖からの解放

19世紀末から20世紀の曙へ現代精神医学の父:クレペリン(1856-1926)とブロイラー(1857-1939)

精神分析の父:フロイト(1856-1939)

魔女火刑

精神医学入門

南山堂1996年

P376

‡制限資料

やさしい精神医学

南山堂

1986年

P18

‡制限資料

やさしい精神医学

南山堂

1986年

P11

‡制限資料

‡制限資料

臨床精神医学の歴史

日本でも精神障害は太古から存在していた

日本書紀(紀元前25年)狂へるめのこ (女の子)

治療所京都岩倉大雲寺(11世紀)

石丸癲狂院(19世紀)

明治時代にドイツ精神医学が導入

日本精神医学の父:呉 秀三(1865-1932)「我が国の精神病者は実にこの病を受けたるの不幸のほかに,この国に生まれる不幸を重ぬるもの」

魔女火刑

精神医学入門

南山堂1996年

P389 ‡制限資料

やさしい精神医学

南山堂

1986年

P12

‡制限資料

臨床精神医学の歴史

戦後の2つのステップ

精神衛生法(昭和25年)

私宅監置の禁止

精神保健法(昭和63年)

精神障害のある方々への人権養護・保護

精神保健福祉法(平成7年)に改名され,これまで微少な改正が続く

臨床精神医学の歴史

20世紀から21世紀への期待治療法の変遷

持続睡眠療法,インシュリンショック療法,電気けいれん療法,ロボトミー手術,薬物療法,精神療法,環境の整備,福祉との連携

疾患・障害の病態解明

治療システムの開発

原因究明と発見,発現メカニズム解明に批判的立場から,治癒因子と回復メカニズムの解明へ

心理・社会的介入+物理化学的介入+心理的回復メカニズム+生理的回復メカニズムの統合

他・多・異職種の連携

心理学の歴史

古代ギリシャの哲学者からはじまるソクラテス,プラトン,アリストテレスなど:意識とは,人とは

ヒポクラテス(紀元前460-377)生きている生体とその部分の諸機能の研究 (脳と身体)

17世紀:遺伝環境論争へデカルト:生得説(機械論から心の情報処理的枠組みの先駆)

ジョン・ロック:経験説:成長に伴い経験が理解と知識を書き込む

心理学の歴史

19世紀から科学的心理学へ向かうダーゥインの進化論の影響

ヴント:内観(自分自身への知覚,思考,感情の特徴について観察し記録すること)の活用

意識経験の科学として,構成主義,機能主義なども台頭

無意識の出現:フロイトの発見

20世紀へ向かう行動主義,ゲシュタルト心理学(認知心理学の基礎)

心理学の歴史

現代の心理学的枠組み

生物学的枠組み:神経生物学的枠組み

行動的枠組み:刺激,反応,条件など

認知的枠組み:知覚,記憶,推論,決定,問題解決などの心的過程

精神分析的枠組み

主観主義的枠組み:人間の行動はあくまでも知覚された世界によって動く

心理学の歴史

21世紀の心理学

様々な融合

認知神経科学

進化心理学(進化と適応)

文化心理学(環境文化からの影響)

ポジティブ心理学

肯定的感情,潜在能力の研究

「臨床」にこだわる

知識を通して,実存のなかの偉大な関連性,自然と人間生活とのあいだの相互関係,現在と過去とのあいだの因果関係,各国民間および各思想間の相互関係に対する見方が,いかに重要か(エレン・ケイ)

だれもが多少の困難性を自覚して通った門であるとすると,先をくぐった者が出来るアドバイスはたかがしれているが,それが真実である。自分がくぐったときの思いと,相手がくぐろうとするときの思いの差異に,どれほど近づけれるか,その上で,なにが出来るかを自問自答することが,『臨床』である

知っておいてほしい事柄

障害と障害のある人の理解

ともに病む人間としての理解

行為・症状の意味理解

治療,援助という行為のついて

事例からの学び

個々が孤立しないための連携について

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