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Quantum key distribution with an efficient countermeasure against correlated

intensity fluctuations in optical pulses

Ken-ichiro Yoshino, Mikio Fujiwara, Kensuke Nakata,

Tatsuya Sumiya, Toshihiro Sasaki, Masahiro Takeoka,

Masahide Sasaki, Akio Tajima, Masato Koashi and Akihisa Tomita

平野研究室 15041063 平下晋也

npj Quantum Information 4, Article number: 8 (2018)

光パルスの相関を持つ強度揺らぎに対する効果的対策を備えた量子鍵配送

発表の流れ

1. 量子鍵配送について• 量子鍵配送とは

• QKDシステムの安全性

2. 論文の内容について• 本論文の概要

• 装置の説明やその問題点

• PSとAKD

• IS

• それらを用いた解析結果

3. まとめ2

量子鍵配送(QKD)とは

量子力学の原理を利用して、

送信者(Alice)と受信者(Bob)が

秘匿通信を行うための秘密鍵を

安全に共有する方法

4

Quantum key distribution

盗聴者(Eve)の計算能力がどんなに向上しても安全である

QKDシステムの安全性

例) Decoy BB84プロトコルの安全性証明

5

QKDプロトコルの安全性

盗聴者Eveの得るビット列は限りなくランダム

• 送信者Aliceは、| ۧ0 x、 | ۧ1 x、 | ۧ0 z、 | ۧ1 zを受信者Bobに送信する

• 受信者Bobは量子効率𝜂、暗計数𝑑の単一光子検出器を持っている

証明

実際のQKDシステムの安全性例) NECでは2015年夏からユーザ環境での試験運用を開始

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu17/010/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2016/08/19/1375692_4_1.pdf

・・・

送受信機は、安全性証明の仮定を満たしているか?

6

これまでは、受信者Bobの装置のサイドチャネルやその対策について精力的に研究されてきた

実際のQKDシステムも安全

送信者Aliceの装置の安全性に関する研究はまだあまり進んでいない

本論文で扱う内容

QKDシステムには、実際の装置と理論モデルの違い(サイドチャネル)による潜在的な脆弱性が存在する

QKDシステムの安全性

発表の流れ

1. 量子鍵配送について• 量子鍵配送とは

• QKDシステムの安全性

2. 論文の内容について• 本論文の概要

• 装置の説明やその問題点

• PSとAKD

• IS

• それらを用いた解析結果

3. まとめ7

本論文の概要① Alice側の強度変調器の電気信号ゆがみの影響で隣り合った

前の光パルスの種類が変わると後ろの光パルスの強度が変動してしまうことが分かった

② それに対して「PS (pattern sifting)」と「AKD (alternate key distillation)」という対策を打ち出した

③ さらに、半導体レーザーの熱雑音やタイミングジッタによる強度のばらつきを「IS (intensity sifting)」によって処理できることを示した

④ これらを考慮した安全性証明により100kmの鍵配送が可能であることを示した

8

今回QKDのプロトコルは、Decoy-BB84方式を用いる

平野研 威徳、田邉が発表

後のスライドで復習デコイ法

発表の流れ

1. 量子鍵配送について• 量子鍵配送とは

• QKDシステムの安全性

2. 論文の内容について• 本論文の概要

• 装置の説明やその問題点

• PSとAKD

• IS

• それらを用いた解析結果

3. まとめ9

実験装置図

10

光強度を弱める

BB84の4種類の量子状態を生成する

パルスの強度を変える

デコイパルスを混ぜる

強度変調器

送信者 Alice

非対称マッハツェンダー干渉計

可変光減衰器

強度変調器位相変調器

800ps

半導体レーザー

デコイ法とは

Aliceが送る信号に強度の異なるおとりパルスをランダムに紛れ込ませることで盗聴者の存在を発見する方法

11

パルスの強度調節はAlice側の強度変調器で行っている

信号パルス

おとりパルス

使用する強度変調器(IM)

12

使用するIMは10GHzのバンド幅 LN (ニオブ酸リチウム)変調器

出力光 𝐼out

LN基板

入力光 𝐼in

電極

電極

電極

導波路1

導波路2

それぞれの導波路を通るパルスにタイミングを合わせて電圧を印加する

13

出力する光の電場 𝐸out

LN基板

入力する光の電場 𝐸in

電極

電極

電極

Signal1

Signal2

1

2𝐸in𝑒

𝑖𝜑1

𝐸out =1

2𝐸in 𝑒𝑖𝜑1 + 𝑒𝑖𝜑2

= 𝐸inexp 𝑖𝜑1+𝜑2

2cos

𝜑1−𝜑2

2

1

2𝐸in

よって

𝐼out = 𝐼incos2

𝜑1 − 𝜑2

2

1

2𝐸in 1

2𝐸in𝑒

𝑖𝜑2

印加する電圧𝜑1, 𝜑2は

位相変化量

強度変調器(IM)

真空パルス

信号パルス

デコイパルス

×

強度変調器

14

今回、おとりとして使用するパルス

Aliceが送るパルスの種類

パルスと電圧

15

① 導波路1を通るパルスと印加電圧

0

Signal1

電圧

時間

Signal1は0か𝑉𝜋を印加

𝑉𝜋

② 導波路2を通るパルスと印加電圧

0

Signal2𝑉𝜙

電圧

時間

Signal2は0か𝑉𝜙を印加

導波路1

導波路2

Signal1

Signal2×

位相変化量𝜑1が0, 𝜋になるような電圧

位相変化量𝜑2が0, 𝜙になるような電圧

3種類のパルスと電圧

16

信号パルス デコイパルス 真空パルス

0Signal1

0

Signal2

𝑉𝜋

0

0

𝑉𝜙

0

𝑉𝜋

0

S (Signal) D (Decoy) V (Vacuum)

×

強度変調器を通った後のパルス

以後、信号パルス、デコイパルス、真空パルスをそれぞれ S, D, V と表す

0.5個/パルス 0.2個/パルス 0個/パルス

パルス周期の後半に印加する電圧

17

強度変調器を長時間稼働させたときに生じるDCドリフト現象(印加電圧が時間経過により変化する現象)を抑える目的

パルス周期の前半と後半で印加する電圧

を反転させる

パルス周期 800ps0ps

理想的な電圧波形

18

SD DD

電圧

時間 時間

この赤と緑の電圧の波形に注目する

実際のゆがんだ電圧波形

19

前のパルスの種類によって、同じデコイパルスでも電圧波形が変わってしまう

時間 時間

電圧

電気回路の応答速度が有限なので電圧波形がゆがむ

パルス強度と隣り合った前のパルスパターンの関係

S S S S S S SD DV

×パターン 後のパルス(S)の平均強度 S→Sとの比較

S→S 1.000±0.032 (arb. unit) -

D→S 1.021±0.033 (arb. unit) +2.1%

V→S 1.006±0.034 (arb. unit) +0.6%

パターン 後のパルス(D)の平均強度 S→Dとの比較

S→D 0.421±0.030 (arb. unit) -

D→D 0.344±0.031 (arb. unit) -18.2%

V→D 0.331±0.030 (arb. unit) -21.4%

※ arbitrary unit(arb. unit)

20

デコイパルスは、前のパルスの種類に影響をうけやすい(電圧の変動に敏感なので)

これをパターン効果と呼ぶ

発表の流れ

1. 量子鍵配送について• 量子鍵配送とは

• QKDシステムの安全性

2. 論文の内容について• 本論文の概要

• 装置の説明やその問題点

• PSとAKD

• IS

• それらを用いた解析結果

3. まとめ21

そのための対策

本論文では、

PS(pattern sifting)とAKD(alternate key distillation)という対策を提案している

22

受信者Bobがシフト鍵を得た後の鍵蒸留の過程で

PS、AKDの順に行われる 平野研 威徳が発表

PS(pattern sifting)の方法

23

A) 前のパルスがDかVなら注目パルスを捨てるB) 後ろのパルスがDなら捨てる

A)

B)

S(14/16) D(1/16) V(1/16)

捨てる

捨てる

捨てる 捨てる

捨てる

使用

前の

パルス

S

(14/16)

D

(1/16)

V

(1/16)

使用

捨てる

捨てる

PS後ろのパルス

かっこ内はパルスの割合

S, D, V何であっても良い

注目パルス

後のパルス前のパルス

24

S(14/16) D(1/16) V(1/16)

捨てる

捨てる

捨てる 捨てる

捨てる

使用

前の

パルス

S

(14/16)

D

(1/16)

V

(1/16)

使用

捨てる

捨てる

PS後ろのパルス

(196/256) (14/256)

注目パルス

前のパルス 後のパルスS S

注目パルス

前のパルス後のパルスS

V

×

前後のパルスがこの条件を満たすとき注目パルスを使用する

強度ばらつきが起きやすいパターンを省くことができる

PS(pattern sifting)の方法

or

※ S,D,Vの比率は変わらない

AKD(alternate key distillation)の方法

それぞれについて従来の方法で鍵蒸留を行い、組み合わせる

25

①②③⑤ ④⑥⑦⑧

②④⑥⑧

③⑤⑦ ①

・ 奇数パルス

・ 偶数パルス偶数番目のパルスと奇数番目のパルスを分ける

隣り合ったパルスのパターン効果を小さくすることができる

発表の流れ

1. 量子鍵配送について• 量子鍵配送とは

• QKDシステムの安全性

2. 論文の内容について• 本論文の概要

• 装置の説明やその問題点

• PSとAKD

• IS

• それらを用いた解析結果

3. まとめ26

レーザーの出力強度の変動

そのため本論文では、

IS(intensity sifting)という方法を提案している

27

半導体レーザーから発生する光パルスの強度は、熱雑音やタイミングジッターによっても変動が生じている

※ 熱雑音 … 抵抗体からの雑音タイミングジッター … パルスが出力されるタイミングのばらつき

IS(intensity sifting)の方法

28

光パルスの強度を強度モニターで測定し、ある決まった強度範囲を超えるものを取り除く

× ××

×

×

×

××

×

×

×

×

捨てる

パル

ス強

時間

発表の流れ

1. 量子鍵配送について• 量子鍵配送とは

• QKDシステムの安全性

2. 論文の内容について• 本論文の概要

• 装置の説明やその問題点

• PSとAKD

• IS

• それらを用いた解析結果

3. まとめ29

30

偶数番目と奇数番目に分ける

PS, AKD, ISを用いるプロトコルの安全性証明

偶数番目かつPS後のサブプロトコル

奇数番目かつPS後のサブプロトコル

aは𝑖番目のパルスの種類(S,D,V)

nは𝑖番目のパルスの光子数

ΛはAliceとBobの選んだ基底𝑥𝐴,𝑖 , 𝑥𝐵,𝑖やそのビット値𝑏𝐴,𝑖 , 𝑏𝐵,𝑖

IS(intensity sifting)における強度の範囲

31

パル

ス数

パルスの強度

𝜇𝑎𝜇𝑎 − 𝑡𝜎𝑎 𝜇𝑎 + 𝑡𝜎𝑎

パルス強度のばらつきがガウス分布に従うと仮定して考える

強度範囲を決めるのは、パラメータ 𝑡

𝑎 = S, D, V𝜇𝑎は平均光子数𝜎𝑎は標準偏差

32

パル

ス数

パルスの強度

𝑡 = 0.2

𝜇𝑎 − 0.2𝜎𝑎𝜇𝑎 + 0.2𝜎𝑎

IS(intensity sifting)における強度の範囲

パルス強度のばらつきがガウス分布に従うと仮定して考える

𝑎 = S, D, V𝜇𝑎は平均光子数𝜎𝑎は標準偏差

33

パル

ス数

パルスの強度

𝜇𝑎 − 0.4𝜎𝑎 𝜇𝑎 + 0.4𝜎𝑎

IS(intensity sifting)における強度の範囲

𝑎 = S, D, V𝜇𝑎は平均光子数𝜎𝑎は標準偏差

𝑡 = 0.4

パルス強度のばらつきがガウス分布に従うと仮定して考える

34

パル

ス数

パルスの強度

𝜇𝑎 + 0.6𝜎𝑎𝜇𝑎 − 0.6𝜎𝑎

IS(intensity sifting)における強度の範囲

𝑎 = S, D, V𝜇𝑎は平均光子数𝜎𝑎は標準偏差

𝑡 = 0.6

パルス強度のばらつきがガウス分布に従うと仮定して考える

35

パル

ス数

パルスの強度

𝜇𝑎 + 0.8𝜎𝑎𝜇𝑎 − 0.8𝜎𝑎

IS(intensity sifting)における強度の範囲

𝑎 = S, D, V𝜇𝑎は平均光子数𝜎𝑎は標準偏差

𝑡 = 0.8

パルス強度のばらつきがガウス分布に従うと仮定して考える

36

パル

ス数

パルスの強度

𝜇𝑎𝜇𝑎 − 𝜎𝑎 𝜇𝑎 + 𝜎𝑎

𝜇𝑎 + 𝜎𝑎𝜇𝑎 − 𝜎𝑎

IS(intensity sifting)における強度の範囲

𝑡 = 1.0

パルス強度のばらつきがガウス分布に従うと仮定して考える

𝑎 = S, D, V𝜇𝑎は平均光子数𝜎𝑎は標準偏差

IS(intensity sifting)によって強度範囲を変えた時の鍵生成レートと伝送距離の関係

37

1パルス当たりの鍵生成レート𝑅は、

𝑅 =最終的な鍵の長さ

Aliceが送ったパルスの数

どれだけの割合で鍵を生成できるかという指標

伝送距離

鍵生

成レ

ート

理想的 )

パラメータ 𝑡

この結果から分かること

38

• 強度のばらつきを狭い範囲にとると、伝送距離が長くなることが分かった

• 伝送距離が70kmよりも短いときには、𝑡 = 0.6のときに最も鍵生成レートが高いことが分かった

• 安全な鍵生成を行うためには、伝送距離に応じて最適なパラメータを選ぶ必要があることが分かった

伝送距離

鍵生

成レ

ート

理想的

70

まとめ

• Alice側の強度変調器の影響で前の光パルスの種類が変わる

と後ろの光パルスの強度が変動してしまうパターン効果と呼ば

れる現象が起こることが明らかになった

• そのための対策としてPS(pattern sifting)やAKD(alternate key distillation)という方法を提案した

• また、半導体レーザーを原因とする強度のばらつきをIS

(intensity sifting)によって処理できることを示した

• PSやAKD、ISによって100kmを超える距離でも安全な鍵配送が

可能であることが分かった39

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