implementation of continuous variable quantum cryptography...
TRANSCRIPT
Implementation of continuous variable
quantum cryptography in optical fibres
using a go-&-return configuration
往復方式を用いた光ファイバーによる
連続変数量子暗号の実装
Matthieu Legre, Hugo Zbinden, Nicolas Gisin
Quantum Information & Computation B, vol. 6, p. 326
(2006)
08-041-036 宮崎 淳 (平野研究室)
この論文の目的
信号光の検出を行う
⇒ ・信号光の他に強度が十分に大きいLO光が必要!
・信号光とLO光の相対位相を一定に保つ。
一方向方式の問題点
(a)位相の時間変化
(b)偏光の時間変化
本論文での解決策
従来の一方向方式⇒往復方式を用いる!
目的:光ファイバーを用いた数キロメートルにわたる
連続変数量子暗号の実現可能性を示す
従来の一方向方式の問題点
Bob(受信者)
Alice(送信者)
レーザー
信号光→
LO光
検出器 信号光
LO光→
(a)位相の時間変化
信号光とLO光は違う道を通る。
⇒相対位相を一定に保つのが難しい
(b)偏光の時間変化
光ファイバーを通ると偏光状態が変わってしまう。
⇒偏光の調整が必要
問題点
通信路
偏光の調整
PBS
水平偏光→透過
垂直偏光→反射
往復方式量子暗号 Alice(送信者)
(a)位相の問題
信号光とLO光は同じ道を通る
⇒相対的な変化はない。
(b)偏光の問題
往復させることで偏光の調整の
必要がなくなる。
問題点解決!
通信路
信号光
LO光 検出器
Bob(受信者)
レーザー
ファラデー
ミラー ↑
入射偏光に直交する偏光状態を返す
z方向に伝搬する任意の偏光状態
)}(exp{
)}(exp{),(
0
0
yy
x
y
x
kztiE
kztiE
E
EtzE
δ
δx
このベクトルから、共通位相項を省略して、規格化したもの
)exp(
)exp(1
0
0
2
0
2
0yy
xx
yx
iE
iE
EE
Jδ
δジョーンズベクトル
ジョーンズ行列
入射偏光 Ji 出射偏光 Jt
光学素子 it JAJ
2221
1211
aa
aaA
JiからJtへの変換を記述する2×2行列
(b)偏光の問題が解決されることを確かめる!
偏光状態・・・ジョーンズベクトルで表す
・振幅の比
・位相差
往復方式量子暗号におけるジョーンズ行列
ファラデーミラー・・・45°のファラデー回転子(FR)+ミラー(MR) ⇒ジョーンズ行列・・・FM=FR(帰り)・MR・FR(行き)
Bob
Alice
行列T
行列TR
MR
ファラデーミラー
FR
M=TR・FM・T システム全体でのジョーンズ行列
通信路
求める!
ことを確かめる!
がLO光(水平偏光 )ならば は垂直偏光になる
が信号光(垂直偏光 )ならば は水平偏光になる
0
1H
1
0V
行き(行列T)と帰り(行列TR)のジョーンズ行列
Bob Alice
FM 行列T
行列TR
行き x
y
z
f s
Θ
Θ
x
y
z 帰り
f
s
-Θ
-Θ 時間反転対称性
)(0
0)(
R
e
eRT
iS
iF
R)(
0
0)( R
e
eRT
iS
iF
xy軸からsf軸に変える
sf軸からxy軸に戻す
任意の波長板を通ると考える
ファラデー回転子(FR)
x
y
z
H
x
y
z
H
ファラデー回転とは 磁場のかかった物質に偏光を透過させたときに偏光面が回転する現象。
時間反転対称性が破れている
45°回転
―45°回転⇒あわせて90°回転
11
11
2
1
)45cos()45sin(
)45sin()45cos()45(
FR
原因:右回り円偏光と左回り円偏光で物質中での屈折率が異なるため。
ファラデー回転子のジョーンズ行列
ファラデーミラーのジョーンズ行列
01
10
11
11
2
1
10
01
11
11
2
1FM
FR(帰り)×ミラー×FR(行き)
システム全体のジョーンズ行列を求める
)(0
0)(
01
10)(
0
0)( R
e
eRR
e
eRTFMTM
iS
iF
iS
iF
R
FMeeM SFiSFi
)()(
01
10
システム全体のジョーンズ行列M
MR
ファラデーミラー
FR
1
0
0
1
01
10)()()( SFiSFiSFi
R eeHFMeA出力偏光
Bobを出た偏光は、直交する偏光になって戻ってくることが示せた
まとめ
0
1H
垂直偏光
LO光(水平偏光)を入力した場合
信号光(垂直偏光)を入力した場合 出力偏光
0
1
1
0
01
10)()()( SFiSFiSFi
R eeVFMeA
入力偏光 Alice
FM Bob 出力偏光
1
0V
水平偏光
本論文での実験について
(1)実験装置について
実験装置
14km
ファイバー
PM&AM FM
レーザー 2/98 50/50
PM
PBS
・波長 1550nm
・繰り返し周波数 50kHz ・パルス幅 50ns
20μs= s5102
sns 810550
98%
98%捨てる
2%
Bob
Alice
ロス大 delay
50/50で
タイミングが一致
なにもしない
なにもしない
Bobに送りたい位相、振幅に変調
LO光の位相を変調
ロス小
検出器
(2)実験方法&実験結果
q
p
①相対位相を17段階で2πの位相変化
②Bobは、常にq基底で測定する
③いろいろな振幅のコヒーレント状態で同じ操作を繰り返す。
pA
qA
α
Aip Aqα
実験1
通信路20mと14kmで実験
α
実験1・20mファイバーでの結果
それぞれの結果はコサインカーブになった。
位相変調したコヒーレント状態を正しく送受信することができた。
Aliceの位相変調器に
印加した電圧
p
q qの測定値
実験1・14kmでの結果 14kmでの実験では検出の雑音がかなり大きくなってしまった。
~原因~ 光ファイバー中を光パルスが通ると後方散乱光が発生!
光
散乱光
Aliceからもどってきた光パルスと後方散乱光が干渉しあって雑音の原因になる。
⇒とりあえずの解決策
通信路に光パルスの組が1つになるまで、繰り返し周波数を
小さくすること。
Bob Alice
散乱光
50kHz⇒6.7kHz
通信路に光パルスが7組
実験2・安定性(通信路1km)同じ実験を1時間ごとに5回行う(1回5分弱)。
合計約4時間、自動運転。
実験方法 ・Alice⇒実験1と同じ。
・Bob ⇒直交位相振幅q・p両方を4000回ずつ測定。
・グラフ・・・4000回の測定結果の平均値→5回の結果を比較
5回のデータはよく重なっている。
実験2・安定性
測定の再現性を計算
5回の測定値の標準偏差⇒0.25 測定の雑音の標準偏差→約1.1
ショット雑音(完璧な測定)の標準偏差→0.707
02.04000
1.1
測定の雑音に比べてかなり小さい
→安定性を示せた。
もし完全に安定していたら・・・
この差の原因は・・・
・実験中のレーザーの出力の変化(7%以上)
(3)結論・考察(今後の改善点)
結論
光ファイバーによる往復方式連続変数量子暗号の実験を行った。
往復方式を用いることで、偏光と位相の時間変化の問題を避けることができた。
実験① 位相変調したコヒーレント状態を正しく送受信することができた。
実験② 4時間の自動運転⇒十分な安定性を得た。
結論・・・光ファイバーによる連続変数量子暗号の実現可能性を示せた。
今後の改善点 ①繰り返し周波数を上げる。
→これにより秘密鍵レートを高めることができる。
雑音の増加を抑えたまま、繰り返し周波数を上げる。
②この設定では、『トロイの木馬』攻撃に弱い。
Bob Alice
→対策
・・・LO光
・・・信号光 盗聴者
610LO光は信号光の約 倍 Aliceはチェックできない
Bob Alice 盗聴者
Aliceはチェックできる LO光と信号光の強度同じ
私の卒業研究
平野研での往復方式量子暗号
AOM PM FM
レーザー サーキュレータ
検出器
50/50 PBS PM v
10km
ファイバー
平野研での往復方式量子暗号
本論文での往復方式量子暗号
レーザー 2/98
検出器
50/50 PBS
PM
v
14km
ファイバー
PM&AM FM
平野研での解決策
①後方散乱光の影響が大きく、雑音がとても大きくなった。
⇒解決策・・・繰り返し周波数を50kHz→6.7kHzにした。
②『トロイの木馬』攻撃に弱い。
音響光学素子(AOM)を用いて、
Alice側で信号光の強度を減衰させる。
AOM
LO光
AOMはLO光を最大透過し、信号光を最小透過する
信号光
信号光
LO光
本論文の課題
平野研での解決策
Alice
AOMのメリット
AOMは、光パルスの波長をシフトする。
↓
Aliceから戻ってくる光と後方散乱光の波長が異なるた
め、干渉しない。よって後方散乱光の影響が小さい。
Alice側で信号光の強度を小さくするため、
『トロイの木馬』攻撃に強い!!!
Bob Alice
散乱光
↓
繰り返し周波数を小さくする必要がなく、
雑音の増加を抑えられる。
おわり
システム全体のジョーンズ行列
RiS
iF
iS
iF
R
RiS
iF
RiS
iF
RR
Ue
eFM
e
eU
Ue
eVFMV
e
eUTFMTM
0
0
0
0
0
0
0
0
FMeUFMUeUUe SFi
RR
SFi
RR
SFi
)()()(
01
10
RSFi
SFi
R Ue
eU
0
0)(
)(
RiS
iF
iS
iF
R Ue
e
e
eU
0
0
01
10
0
0
ユニタリー行列について、次の式が示せる。
FMUFMUR
FMVFMVR
ホモダイン検出
信号光をLO光と一旦干渉させ、強度の強い2つのビームに変換する。それぞれをフォトダイオドで電流に変換する。次にこれらの電流の差をとったものを出力電流として、適当なフィルタを通して検出し、信号光の判定を行う。
2つの電流の差分をとることで、古典的な雑音成分が相殺され、光自身の揺らぎのみで決まる限界、すなわちショット雑音限界での高精度の信号検出が可能になる。
2/98カプラ
青・・・98% 赤・・・2%
往復方式で一般的に使われるサーキュレータの代わりに、2/98カプラーを使用する。
∵ホモダイン検出器はロスに敏感 サーキュレータのロス・・・1dB(79%)
98/2カプラーのロス・・・0.1dB(98%)
2/98カプラ
サーキュレータ