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WHITE PAPER AQUIOSTetraNAVIOSTetraシステムの性能比較 Violetta Headley 1, Michael Keeney 2 , Dominika Benjamins 2 , Justin Rohrbach 3 , Robert Ortega 3 , Karen Lo 3 , Liliana Tejidor 3 and Elena Afonina 1 1 Clinical Application Development, Life Sciences, Beckman Coulter, Inc 2 London Health Sciences Centre, London, Ontario, Canada 3 Clinical Affairs, Diagnostics, Beckman Coulter, Inc. 背景 フローサイトメトリーは、その正確性、精度、および再現性のため、依然としてCD4+T細胞計数の標準技術である1AQUIOS CLは、サンプルのローディング、調製、および分析が統合された全自動フローサイトメーターである。本研究において我々は、 AQUIOS Tetraアルゴリズムにより、静脈穿刺後24時間までに検査したサンプルのリンパ球サブセットの正確な計数結果が得 られることを実証する。AQUIOS Tetra法を用いた場合のT細胞、B細胞、およびNK細胞の各リンパ球サブセットの回収率を、 Navios Tetraシステムと比較した。 方法 システム AQUIOS CL装置は、サンプルのロード後、即実行可能なIVDフローサイトメトリーシステムであり、米国FDAによって臨床検査 室での検査に最近認可された。本システムは、オンボードでのサンプル調製と自動分析を統合し、LIS接続機能を備える。本 装置は、体積に基づく方法を用いて特定の細胞集団を計数する。本研究では、リンパ球細胞集団の免疫表現型決定につい て、AQUIOS CLシステムの性能を、T細胞、B細胞、およびNK細胞計数に現在用いられているフローサイトメトリー法である Navios Tetraシステム(tetraCHROMEアプリケーションをNavios装置上でFlow-Count Fluorospheresを用いて実行)と比較 した。 以下の1.は、本研究で使用した各システムのコンポーネントの詳細を示す。

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Page 1: AQUIOSTetraとNAVIOSTetraシステムの性能比較...WHITE PAPER AQUIOSTetraとNAVIOSTetraシステムの性能比較 Violetta Headley1, Michael Keeney2, Dominika Benjamins2, Justin

WHITE PAPER

AQUIOSTetraとNAVIOSTetraシステムの性能比較

Violetta Headley1, Michael Keeney2, Dominika Benjamins2, Justin Rohrbach3, Robert Ortega3, Karen Lo3, Liliana Tejidor3 and Elena Afonina1

1 Clinical Application Development, Life Sciences, Beckman Coulter, Inc 2 London Health Sciences Centre, London, Ontario, Canada 3 Clinical Affairs, Diagnostics, Beckman Coulter, Inc.

背景

フローサイトメトリーは、その正確性、精度、および再現性のため、依然としてCD4+T細胞計数の標準技術である1。AQUIOS

CLは、サンプルのローディング、調製、および分析が統合された全自動フローサイトメーターである。本研究において我々は、

AQUIOS Tetraアルゴリズムにより、静脈穿刺後24時間までに検査したサンプルのリンパ球サブセットの正確な計数結果が得

られることを実証する。AQUIOS Tetra法を用いた場合のT細胞、B細胞、およびNK細胞の各リンパ球サブセットの回収率を、

Navios Tetraシステムと比較した。

方法

システム

AQUIOS CL装置は、サンプルのロード後、即実行可能なIVDフローサイトメトリーシステムであり、米国FDAによって臨床検査

室での検査に最近認可された。本システムは、オンボードでのサンプル調製と自動分析を統合し、LIS接続機能を備える。本

装置は、体積に基づく方法を用いて特定の細胞集団を計数する。本研究では、リンパ球細胞集団の免疫表現型決定につい

て、AQUIOS CLシステムの性能を、T細胞、B細胞、およびNK細胞計数に現在用いられているフローサイトメトリー法である

Navios Tetraシステム(tetraCHROMEアプリケーションをNavios装置上でFlow-Count Fluorospheresを用いて実行)と比較

した。

以下の表1.は、本研究で使用した各システムのコンポーネントの詳細を示す。

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検体

HIV+の臨床患者(61)を含む67検体を、本研究で分析した。すべての検査は、臨床検査実施後の血液を用いて実施した。

検体は、CD4+T細胞の正常範囲および臨床範囲を標的とした。分布は、32細胞/μL~1,500細胞/μLのCD4発現レベルを

含み、大部分(63%)のサンプルは500細胞/μL未満の臨床判断点を示した。2,3,4,5

表2. CD4数の範囲ごとに分析した検体数

全血サンプルは、採取後24±2時間以内に調製した。同じ検体を両システムで二重に調製・分析した。Navios装置による分

析では、サンプルは手作業で調製し、赤血球はIMMUNOPREP試薬とBeckman Coulter社のTQ-Prep装置を用いて溶血し

た。統計解析には、二重測定のうち最初のサンプルのみを含めた。

データ解析

CD3+、CD3+/CD4+、CD3+/CD8+、CD3-/CD19+、およびCD3-/CD56+16+(Navios tetraシステムの場合はCD3-

/CD56+)のリンパ球サブセットの絶対数と陽性率のパラメータの回収率を得、方法間で比較した。統計解析の前にデータに外

れ値がないか調べ、外れ値は認めらなかった。基本的な要約統計量とBland-Altmanプロットを、各マーカーについて計算した。

各マーカーの陽性率測定結果の回帰パラメータはDeming法を用いて推定し、細胞数には、データのばらつき(散乱)が測定

範囲に左右されるため、重み付きDeming法を使用した。回帰分析を実施した。方法間のバイアスは、各マーカーのコンパレー

タ範囲における25、50、および75パーセンタイルでの回帰直線と、CD4+T細胞数の種々の臨床判断点から算出した。バイア

ス推定値の信頼限界は、バイアスの標準誤差と95%信頼に基づいて計算した。%バイアスとその信頼限界も、臨床判断レベ

ルと、回帰モデルに基づく中央値での50パーセンタイルで計算した。

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結果

図 1 は、フローサイトメトリー分析結果の方法間における対照比較を示す。SS 対 CD45-FITC の散布図は、各システムのアル

ゴリズムによって行われたリンパ球ゲーティングを示す。CD3+/CD4+と CD3+/CD8+T 細胞、CD3-/CD19+B 細胞、および

CD3-/CD56+CD16+NK 細胞をさらにゲーティングするために、CD3-PC5 のヒストグラムが CD3+細胞と CD3-細胞の分離に

使用されている。各リンパ球サブセットの陽性率と絶対数についての細胞回収率は、それぞれの対応するプロット内に示す。

図 1

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表 3. AQUIOS Tetra-1 パネル CD45-FITC/CD4-RD1/CD8-ECD/CD3-PC5 と AQUIOS Tetra-2+パネル CD45-

FITC/(CD56+CD16)-RD1/CD19-ECD/CD3-PC5 対 Navios tetra ソフトウェアと tetraCHROME 試薬を用いた

Navios フローサイトメーター(リファレンス法)についての、試験数(N)、平均値、参照法と被験方法との間の回収率の総

バイアス差、および差の上下の 95%信頼限界を含む一般的な統計情報をまとめる。

表 4. AQUIOS Tetra-1 パネル CD45-FITC/CD4-RD1/CD8-ECD/CD3-PC5 と AQUIOS Tetra-2+パネル CD45-

FITC/(CD56+CD16)-RD1/CD19-ECD/CD3-PC5 対 Navios tetra ソフトウェアを用いた Navios フローサイトメーター

(リファレンス法)についての、傾きや切片等の回帰統計量、それらの 95%信頼区間、および相関をまとめる。

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表 5. AQUIOS Tetra-1 パネル CD45-FITC/CD4-RD1/CD8-ECD/CD3-PC5 と AQUIOS Tetra-2+パネル CD45-

FITC/(CD56+CD16)-RD1/CD19-ECD/CD3-PC5 対 Navios tetra ソフトウェアを用いた Navios フローサイトメーター

(リファレンス法)についての、3 つのパーセンタイル値における回帰モデルから得られたバイアス点推定値とそれらの上

下の 95%信頼限界をまとめる。

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表 6. 医療判断レベル(50、100、200、および 500 細胞/μL)における CD4 の回帰モデルからのバイアス点推定値と

それらの上下の 95%信頼限界をまとめる。

図 2. AQUIOS Tetra-1 と AQUIOS Tetra-2+両パネルの試薬について、各マーカーの回帰グラフと Bland-Altman プ

ロットを示す。回帰グラフでは、緑色の線は均等線を表し、青色の線は回帰直線を表す。Bland-Altman プロットでは、緑

色の線は平均バイアスを表し、青色の線は 95%一致限界(LOA:Limits of agreement)とも呼ばれる平均値±2SD を

表す。LOA は、収集されたサンプルデータのばらつきに基づいてデータから計算された限界値である。これらは、ある一

定割合のデータがそれらの限界値の外側にある可能性があることを意味する信頼水準(95%信頼度)に基づく。

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図 2

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2016.08

統計解析の結果、すべてのパラメータと CD3-/CD56+CD16+以外のすべてのマーカーについて、2 つのシステムの間

に負のバイアスのあることが実証された(100、200、および 500 細胞/μL における CD3+/CD4+カウント数のバイアスの

95%下限は、それぞれ-17、-20、および-37 細胞であった)。CD3-/CD56+CD16+マーカーについては、方法間で正の

バイアスが観察された(25、50、および 75 パーセンタイルの細胞/μL における CD3-/CD56+16+カウント数のバイアス

の 95%上限は、それぞれ 29、38、および 57 細胞であった)。NK 細胞集団の回収率のバイアスが大きかったことは、

AQUIOS Tetra-2+カクテルに CD56 抗体と同じ蛍光色素と結合した CD16 モノクローナルが含まれていたことによって

説明が可能である。

結論

新規の AQUIOS Tetra 法は蛍光ビーズを必要とすることなく実施されており、T 細胞、B 細胞、および NK 細胞の各リン

パ球サブセットの回収率の測定で、Navios Tetra アプリケーションと同等の結果を示した。上記の通り、NK 細胞を除き、

すべてのマーカーのバイアスは 50 パーセンタイルにおいて<8%であった。全体として AQUIOS は、作業時間とオペレ

ータ間のばらつきを低減しつつ、統合された品質管理と試薬アカウンタビリティを備えた全自動システムの利点を有し、リ

ンパ球サブセット分析に標準的手法を提供する。

注:AQUIOS が提供する追加パラメータ(CD45+細胞/μL および CD45+低 SS 細胞/μL と陽性率)を Navios と比較

した統計解析は提示していない。

参考文献

1. CD4+ T- CELL ENUMERATION TECHNOLOGIES TECHNICAL INFORMATION by World Health Organization at

http://www.who.int/diagnostics_laboratory/faq/cd4/en/

2. Braithwaite RS, Roberts MS, Chang CC, et al. (2008) Influence of alternative thresholds for initiating HIV treatment

on quality adjusted life expectancy: a decision model. Ann Intern Med 148: 178–185.

3. Kitahata MM, Gange SJ, Abraham AG, Merriman B, Saag MS, et al. (2009). Effect of early versus deferred

antiretroviral therapy for HIV on survival. N Engl J Med 360: 1815–1826.

4. Hammer SM, Clinical practice (2005) Management of newly diagnosed HIV infection. N Engl J Med 353: 1702–1710.

5. Thompson MA, Aberg JA, Cahn P, Montaner JSG, Rizzardini G, et al. (2010) Antiretroviral treatment of adult HIV

infection: 2010 recommendations of the International AIDS Society-USA Panel. JAMA 304: 321–333.,6

AQUIOS CL はクラス I レーザー製品である。