Chateau Le Manoirシャトー・ル・マノワール

Artisan Bordeaux

～　ラランド・ド・ポムロールで信念を貫くアルティザン　～

Jean-Claude Giraudジャン・クロード・ジロー

ポムロールの北、バルバンヌ川を越えた一帯に位

置するアペラシオンがラランド・ド・ポムロールです。

シャトー・ペトリュスやル・パンなどの超高級シャ

トーが名を連ねるポムロールと比べれば知名度こ

そ譲りますが、環境は劣らずメルロー種に適した

土壌が広がる銘醸地です。

シャトー･ル･マノワールは、ラランド・ド・ポムロー

ルの生産エリアの南西部、ポムロールの西北端に

あるシャトー・ド・サルの北、バルバンヌ川と鉄道が

交差する近くの区画に５ヘクタールほどの畑を所

有しています。

オーナーでもありほぼ一人で栽培と醸造を行う

ジャン・クロード・ジロー氏。３世代続くアルティザン

（職人）の生産者です。

彼はポムロールの高名な銘醸シャトー・レグリー

ズ・クリネのメートル・ド・シェとして２０年以上に

渡って活躍してきました。レグリーズ・クリネのオー

ナー、ドニ・ドゥラントゥ氏の相棒としてレグリーズ・

クリネを今の地位に築きあげた人物です。

シャトー・ル・マノワールの畑は、ほとんど平坦に見

えるほどの緩やかさでバルバンヌ川に向けて下る

傾斜地に広がっています。

地中はポムロール主要部に近い性質の粘土質土

壌で、その表面にはラランドの特徴でもある砂質土

壌が薄く広がっています。

全5Haの畑は、キュヴェ・レ・グラーヴ向けの低地

部1.5Haとキュヴェ・プレステージ向けの高地部

3.5Haとに大きく二つの区画に分けられています。

低地部の区画はより水分と粘性に富んだ特徴を

持っており、平均樹齢30年の優れたメルロー種を

中心に栽培されています。水はけの良い高地部に

はカベルネソーヴィニョンやカベルネフランも栽培

しており、ワインの仕上がりのボディ感とアクセント

に重要な要素となっています。

醸造はリブルヌにある住宅を改装した小さな建物

で行われます（右）。

ポムロールやラランド・ド・ポムロールはメドックの

シャトーのような豪華な城館を持つ造り手は少ない

ものの、その中でもシャトー・ル・マノワールはより

いっそう簡素な建物で醸造を行っています。

しかし、その醸造所の中には外観からは想像がつ

かないほど、近代的で充実した最新設備が整って

います。コンパクトで合理的、徹底した機能性は

ジャン・クロード・ジロー氏のワイン哲学を良く現わ

しています。

手摘み収穫の後、温度を徹底管理して醗酵に備え

ます。

パーセルごとに分けられたブドウをそれぞれ様々

なサイズのステンレスタンクにて２～３週間かけて

醗酵。その後、１５分で２２５リットルのスロープレス

を縦型のプレス機（写真右）で行います。昔から使

われていた木製のプレス機の応用型で自然の重

力を利用しブドウに余分なストレスをかけずに行え

る原点回帰の方法です。ペトリュスなどでもこのプ

レス機が使われています。

右下）ルモンタージュに使われるポンプ器。心臓の

鼓動のようにリズムを刻んで噴出します。その力は

４０メートルも水を飛ばすことができるそうです。継

続してではなく瞬間的に圧力がかかるためワイン

へのストレスを軽減する効果があるようです。

左）畑仕事はほぼ一人で行います（１７歳の息子が手伝うこともあるそうです）。剪定用のはさみは電動

のものを使用。これだけで剪定作業効率が３倍近くになるとのことです。

右）剪定した枝を燃やすドラム缶。枝に亀裂が入ってしまうレスクリウーズ病という冬の病害を防ぐため

焼却します。

ジャン・クロード・ジロー氏はポムロールのクロ・ルネの

近くにも僅か0.4ヘクタールの畑を持ち、シャトー・グラ

ン・カサットというポムロール・アペラシオンのより入手

困難な希少ワインも生産しています。

ワインに関しては一切の妥協を許さない厳格な哲学の

持ち主で、「ミスター・パーフェクト」と呼ぶにふさわしい

まさに職人（アルティザン）です。

ただ惜しむべくは生産量の少なさではありますが、彼

のワインは希少価値を上乗せしても価格を遥かに超越

する卓越したクオリティをもっていることに間違いはあ

りません。

今はお隣の偉大なアペラシオンの弟分的なイメージを

ぬぐえないラランド・ド・ポムロールですが、今後、ジャ

ン・クロード・ジロー氏がアペラシオン全体のイメージを

牽引していくのを我々は楽しみにしているのです。

熟成は新樽・２年樽・３年樽各３３％の比率で１４ヵ

月行います。４年目は使用せず売却します。

樽は一種類のみ、セガンモロー社のアメリカ材を

使ったものにU-STAVEという内側に溝を刻んである

加工がされたものを使っています。この溝によって

樽の内側の表面積が広くなり、２５％ほど樽熟成

の効果が上がるということです。

この樽の選別もレグリーズ・クリネの経験から結論

付けられたものです。

果実の凝縮感と雑味のないクリアーな旨味、堅牢

な構造を持った硬派で毅然とした造りは、ラランド・

ド・ポムロールの新しいイメージを思い知らせてく

れるでしょう。

「ポムロールと比べ、ラランドには今までテロワー

ルと真剣に向き合う生産者が少なかった」とこれま

での世代のラランドの欠点を指摘。しかし、今は組

合も含め良いブドウを造り地域を盛り上げようとい

う機運が上がっている過渡期だという。

「ペトリュスの土壌と比べればもちろん劣っている。

ただ私は自分の畑で全ての段階で最善を尽くすだ

けだ」クレバーなジャン・クロー・ド・ジロー氏が力強

く語る様は自身にも感じられるのです。

　ラランド・ド・ポムロールAC 　４５ＨＬ/Ｈａ

　１．５ヘクタール 　約３０年

　砂質土壌の表土、地中は粘土質土壌

　バリック（新樽比率1/3）で14ヵ月熟成

　メルロー８０％　カベルネソーヴィニョン１０％

　カベルネフラン１０％

　３，０００円（税抜き）

Chateau Le Manoir Cuvee Les Graves 2009シャトー・ル・マノワール・キュヴェ・レ・グラーヴ

Artisan Bordeaux

http://www.sa-astre.com

収量

平均樹齢

希望小売価格

アペラシオン

植樹面積

熟成

品種

株式会社 アストル （S.A L'Astre)

〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-6　KS363ビル1F

TEL:03-5283-7155　FAX:03-5283-7166

土壌

シャトー・ル・マノワールはポムロールの中心部から北西に3.5kmほど、ラランド・ド・ポムロールの

生産エリアの西端に位置しています。オーナーのジャン・クロード・ジロー氏はポムロールの高名

な銘醸【シャトー・レグリーズ・クリネ】のセラー・マスターとして長年に渡って活躍した人物。住居を

改装した簡素な 醸造所は外見からは想像できないほどの近代的な醸造設備を備え、著名シャ

トーにも引けを 取らない上質なワインを生産しています。

僅か1.5haの畑から生み出されるキュヴェ・レ・グラーヴは 厳しい選果によって得られた完熟感の

ある果実の濃密な風味と背筋が正されるような凛とした 骨格を持ち、妥協の無い造りが見て取れ

る傑出したワインに仕上がっています。

テイスティングコメント

黒みがかったルビー色。スミレの香りとスウェード皮のニュアンス。ベリー系果実の凝縮した味わい

にスパイシーな風味が混じり合って広がります。粒子の細かいタンニンが滑らかな口当たりでやわ

らかく余韻が残ります。

マリアージュ

フォアグラのテリーヌ。レアに焼いてシンプルな味付けをした牛ステーキなどと良く合います。