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December 2018 Issue 58 プレミア統合の 体験 TotalFORCEテクノロジ によるスマートモータ 制御の進化 デジタルツインに よる製造効率の 向上 DCS移行により廃水 処理プラントの 運用 が向上 主な内容 ASIA PACIFIC JAPAN A JA A AP S AN N C TOD AY June 2019 Issue 60 プレミア統合 および最新式DCS

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December 2018 Issue 58

プレミア統合の体験

TotalFORCEテクノロジによるスマートモータ制御の進化

デジタルツインによる製造効率の向上

DCS移行により廃水処理プラントの 運用が向上主な内容

ASIA PACIFICJAPANAJAAAPSANN

C TODAY

June 2019 Issue 60

プレミア統合および最新式DCS

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目次

Copyright© 2019 Rockwell Automation Inc. All rights reserved. ロックウェル・オートメーションの許可なく本書の一部または全部を複製することを禁じます。

ジョセフ・スーサロックウェル・オートメーション アジア太平洋地域社長

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EXECUTIVE MESSAGE

購読/購読解除のお申し込みはwww.rockwellautomation.com//ja_JP/go/ATAP

プレミア統合によるシステムの簡略化

ますますシステムが接続され、複雑化するにしたがって、機械および装置を設計し、設定し、維持するために必要な時間と労力が詳細に検討されるようになっています。幸いなことに、オートメーショ

ンコントローラとシステムデバイスとの統合が進むことにより、時間の短縮およびコスト削減の新たなチャンスが実現しつつあります。

機械装置メーカであるか、システムインテグレータであるか、またはエンドユーザであるかを問わず、この統合によりシステム設計を簡略化し、開発期間とコストを削減し、より迅速な開発をサポートすることができます。また、プレミア統合はエンドユーザの製造インテリジェンスへのアクセスも強化します。

実際に、TechValidateによる最近の調査によると、産業用製造メーカの64%

がこの統合されたプログラミング体験は彼らのエンジニアリング時間の削減に役立つと回答しており、また63%が診断作業の改善にも役立つと答えています。

今回の「Automation Today」では、プレミア統合および最新式のDCSを特集し、システムの簡略化がいかに生産性と収益性を向上させることができるかについて説明します。本号では、最新の業界の知見やテクノロジを詳しく紹介し、以下のテーマについて検証します。プレミア統合の体験、デジタルツイン技術による製造業の効率向上の実現方法、およびTotalFORCEテクノロジによるスマートモータ制御の進歩状況についての記事も掲載しています。

競合他社に先んじて、そのポジションを維持するためには、市場導入時間の短縮がカギとなります。プレミア統合の実施により、ユーザはコネクテッドエンタープライズのオートメーション資産をシームレスに設計、立上げ、維持、保護することができ、その結果や状況を報告できるようになります。

生産性と収益性の向上とともに、市場投入時間の短縮を実現するためのレースはすでに始まっています。今回の「Automation Today」をご一読いただき、システムの簡略化によるエンジニアリング時間の短縮と生産性を向上していく上でのお助けとなれば幸いです。オートメーションシステムから何を期待するかについて再考すべき時期が来ています。

Automation Today Asia Pacifi c

June 2019, Issue 60

このマガジンは、ロックウェル・オートメーション アジア太平洋によって年に4回発行されています。

Executive Publisher: John Watts – [email protected]

Managing Publisher: Sandra Lay Yan Sim – [email protected]

本誌の発行者

ロックウェル オートメーション ジャパン株式会社〒104-0033 東京都中央区新川1-3-17 新川三幸ビルお問い合わせ先: [email protected]

ニュース & イベントロックウェル・オートメーション アジア太平洋地域の最新ニュースおよびイベント

特集記事 – プレミア統合の体験

ケーススタディ

技術に関する記事TotalFORCEテクノロジによるスマートモータ制御の進化

アプリケーション記事デジタルツインによる製造効率の向上

注目の製品 & ソリューションよりスマートな運用のための最新と更新された技術とソリューションを紹介

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2 ASIA PACIFIC

Allen-Bradley, ArmorBlock, Automation Today Asia Pacifi c, CompactLogix, ControlLogix, FactoryTalk, FLEX 5000, GuardLogix, Integrated Architecture, Kinetix, LISTEN. THINK. SOLVE., Micro800, PanelView, PartnerNetwork, Pavillion8, PlantPAx, PowerFlex, QuickStick, RightSight, Rockwell Automation, Stratix, Studio 5000, ThinManager, TotalFORCE, VantagePoint, VersaViewは、Rockwell Automation, Inc.の商標です。

EtherNet/IPは、ODVA, Inc.の商標です。

Microsoft Azureは、Microsoftの商標です。

Rockwell Automationに属していない商標は、すべてそれぞれの企業に所有されています。

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運用をコネクテッドエンタープライズにデジタル変換して、企業のパフォーマンスのほぼすべての側面を向上させる方法を学ぶことができます。

Rockwell Automation TechEd (RA TechEd)は、製造業の専門家がよりスマートでコネクテッドエンタープライズを構築するためのより深い洞察を得るための最高のテクノロジ教育イベントです。

産業界のリーダから学び、強化する方法について全国の仲間と革新的なアイデアを交換することができるまたとない機会です。

リスク管理生産性運用のインテリジェンス

究極的な技術体験 - 学習と成長

ディスカッションとデモを通じて

ハンズオンガイドによる体験セッション

リーダシップセッションを通じて

2019年8月6日 - 7日ルネッサンス・ムンバイ・コンベンション・センター

ホテルムンバイ、インド

ロックウェル・オートメーションのTechEdがビジネスにどのように役立つかをご覧ください。

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ニュース & イベント

ロックウェル・オートメーションは、ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団の企業のLGBTQに対する差別撤廃を評価する第17回年次スコアカードで100%を獲

得しました。

世界をより生産的でサステナブル(持続可能)なものにするために取り組む世界的なテクノロジリーダであるロックウェル・オートメーションは、ヒューマン・ライツ・キャンペーン財団が主催するレズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、およびクィア(LGBTQ)の職場での平等に関する企業のポリシーおよび実践に関する米国内のベンチマーク調査およびレポートである2019年企業平等指数(CEI)において100%のパーフェクトスコアを獲得したことを発表します。ロックウェル・オートメーションは、今年もトップマークを獲得した米国大手企業560社になりました。

ロックウェル・オートメーション会長兼CEOであるブレイク・モレットは、次のように述べています。「ロックウェル・オートメーションは、世界中の従業員を分け隔てなく受け入れる当社の開かれた文化を誇らしく思っています。重要

なことは、従業員が職場でありのままの自分であることに気まずさを感じず、各従業員が仕事にベストを尽くすことを望み、それができる環境を強化することに取り組むことです。」

HRC会長であるチャッド・グリフィン氏は、次のように述べています。「今年のCEIでトップスコアを獲得した各企業は、米国内の従業員を分け隔てなく尊重し排除しないポリシーを確立しているだけでなく、これらのポリシーを各社のグローバルなオペレーションにも適用し、海外の何百万もの人々に影響を与えています。

また、重要な最高裁判所の訴訟において法廷助言書に署名した多くの企業と、平等法に関するHRCの事業連合に加わっている170社以上を含むこれらの企業の多くは公共の場で平等を熱心に唱える支持者になっています。

繰り返しますが、アメリカを代表する企業は従業員とお客様を差別から守ることが正しい行動であるだけではなく、ビジネスにもよい結果をもたらすことを明らかにしています。」

グローバルイベント

ロックウェル・オートメーションのTechEdに参加しましょう!2019年8月6日-7日にインド ムンバイ、2019年9月3日-5日にオーストラリア ゴールドコーストで開催され、何千人もの技術知識が豊富な専門家が集まるア

ジア太平洋地域のロックウェル・オートメーションTechEd

にぜひご参加ください。これらのイベントでは、競争上の優位性を実現する方法や、次のレベルへのスキルアップ、生産性や収益性の向上を実現するための計画作成などについて業界リーダから学ぶ機会を提供します。

ロックウェル・オートメーションのTechEdは、製造業界で最も有名かつ代表的なイベントの1つであり、最新のテクノロジと最先端のソリューションに焦点を置いたイベントです。

これらのイベントでは、最新技術の選定および導入、設計およびスタートアップサイクルの短縮、当社の強力な製品ラインおよびソリューションの情報を取得、およびデジタルトランスフォーメーションの推進方法を学習するまたとない機会を提供します。

TechEDの中核は、当社のお客様がデジタルトランスフォーメーションを通じてスマートマニュファクチャリングに向かって出発し、生産性、競争力、サステナビリティの向上を実現することです。

対話的な未来志向のセッションおよびラボが数多く予定されているTechEDでは、以下の分野での最新のテクノロジおよびソリューションに焦点を当てています。制御、デジタ

ルエンジニアリング、情報および分析、ネットワーク、プロセス、安全とセキュリティ、システム、テクノロジとサービス、視覚化および共同作業がそれです。これらのイベントは、お客様の事業運営を次のレベルへと高めるための洞察とトレーニングを提供するように計画されています。

登録については、ロックウェル・オートメーションのFacebookやLinkedInのページをご覧ください。

ロックウェル・オートメーションは、7年連続で2019年も企業平等指数で最高点を獲得

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Rockwell Automation on the Move (RAOTM)、お客様および見込み客を対象にした当社の年次イベントが先月、中国天津で開催されました。これは、アジア太

平洋地域で今年開催された4つのRAOTMイベントの最後の会合でした。前の3つは、インド バンガロール(1月22日)、タイ バンコク(3月5日)、インドネシア ジャカルタ(4月30

日)で開催されました。この4つのRAOTMイベントを合計すると、私たちはほぼ10,000名の招待客とお会いしたことになります!

RAOTMは毎年開催されるイニシアチブで、製品の展示、セミナー、ハンズオンラボ、およびテクニカルセッションが含まれています。2003年に初めてアジア太平洋地域に導入されて以来、ROATMは

包括的なオートメーション専門知識や業界の専門家によるスマートで安全かつサステナブルな実践を共有するための当社のグローバルな取り組みの根幹部分となっています。

RAOTMはアジア太平洋地域で15年以上も開催されていますが、何がその成功の秘訣でしょうか?

アジア太平洋地域のマーケティングディレクタであるジョン・ワッツは次のように説明しています。「RATOM

はいわゆる一般的な展示会ではありません。このイベントには、技術教育セッションやお客様ミーティング、フォーラム、および参加者同士のネットワーキングの機会が含まれています。このイベントでは、出席者は当社の技量を視覚的に理解し、コネクテッドエンタープライズを体験することができます。

基調講演セッションでは、政府代表者や業界の専門家、お客様を講演者として招待しています。これが常に高い出席率と熱心な参加につながっています。RAOTMでのお客様と実際にお会いになっての会合は関係構築の重要な部分であり、アジア太平洋地域でビジネスを行なうために非常に重要な要素となっています。また、このイベン

トはパイプラインの商取引をまとめる絶好のチャンスも提供します。」

アジア太平洋地域での企業イベントの基盤として、RAOTMは当社のメッセージを市場に伝える優れたメディアプラットフォームになっています。近年では、ライブ・ビデオ・フィード技術も使用して、イベントに参加できない人々に対して仮想的な体験を提供しています。

お客様同士の交流や、最新の技術体験などのRAOTMイベントの鍵であり続ける要素がある一方で、RAOTMはお客様にさらに魅力的な体験を提供するために年々進化を続けています。

RAOTMでは現在、当社のソリューションやコネクテッドエンタープライズを実現する方法の紹介にさらに多くの重点を置いています。また、より一層、業界に焦点を絞って、業界ベースのフォーラムで当社の能力を実証することに多くの重点を置くようにもしています。その上、当社では特定の分野に特化したプレゼンテーションやデモンストレーションの予定を含めるようにフォーマットの変更も行なっています。これらのすべての変化は、会社の戦略的目標をこれまで以上に達成するための市場進出戦略を示すものです。

2019年のRAOTMイベントを終了するにあたり、当社はすでに来年のイベントに目標を定め、イベントの成功を確実にするための取り組みを続けています。

ニュース & イベントアジア太平洋地域のイベント

イベント 開催都市 日程

Oil & Gas Asia 2019 マレーシア クアランプール 6月18-20日

AMTS 2019 中国 上海 7月3-6日

Industry of World Things Asia シンガポール 7月10-12日

TechED India インド ムンバイ 8月6-7日

TechED Australia オーストラリア ゴールドコースト 9月3-5日

RubberTech China 中国 上海 9月18-20日

* イベントは変更になる場合があります。詳細は、以下のウェブサイトをご覧ください。www.rockwellautomation.com/global/events/events.page

アジア太平洋地域のお客様向けイベントカレンダー

アジア太平洋地域のRAOTMシーズンが終了

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競合他社に先んじて、そのポジションを維持するためには、市場導入期間の短縮がカギとなります。

時は金なりと言いますが、新しい機器の導入や旧式の機器の入換えは複雑で時間のかかるプロセスです。これに加え、労働力の世代交代に伴う課題があります。経験豊富なスタッフが退職すれば、彼らの知識を次の世代に継承することは困難です。また進歩と進化を続けるテクノロジに遅れをとらないようにしなければなりません。

製造メーカからエンドユーザまでのサプライチェーン全体で、全員が効率と効果を高める努力を実施しています。パフォーマンスを最適化するために、アーキテクチャとそのコンポーネントの両方を適切に設計する必要があり、また、資源の割当てを効率的に行なう必要があります。より単純で包括的な統合によって、機械メーカは開発期間とコストを監視しながらより高いレベルで複雑性と接続性を統合することができます。

機械設計および構成の簡略化産業オートメーション生産システムおよび情報システムが複雑化の一途をたどる中、機械設計および構成段階を含む生産工程のすべての側面で、生産性がさらに重要性を増しています。

装置およびシステムを手動で統合し構成する従来の労働力集中型のアプローチは、間違いなく時間がかかり、コストがかさむ上、今日の製造メーカのニーズに対して直感的に相容れません。

競合他社に先んじて、そのポジションを維持するためには、市場導入期間の短縮がカギとなります。1からシステムを構築

する、または既成のコンポーネントに付きものの互換性のリスクに対処する時間的な余裕はありません。

企業が複数のベンダーの装置を使用する場合、しばしば装置との通信を確立し、相互に協調して動作させることに苦労します。そのような面倒な問題が、エンジニアリング時間の拡大とコスト増という結果につながる場合があります。それ以外にも、将来的に制御システム内のたくさんの装置のメンテナンスの課題が持ち上がる可能性があります。

オペレーションの同期を進めるだけでなく、効果的なエンジニアリングを実行するために、製品を設計し、構成する上で、コントローラと装置をさらに統合することが特に不可欠です。

プレミア統合の体験ロックウェル・オートメーションは、次のレベルのコントローラと装置の統合を示すため、プレミア統合体験を導入しました。単にプロセス、パワー、情報および安全を1つの制御アーキテクチャに接続するのではなく、プレミア統合はシームレスな統合を実現し、ネットワークに接続されたあらゆるオートメーションシステムのシステム設計、メンテナンス、および動作を単純化し合理化することで、頻繁に発生する反面、重大な運用上の課題を解決します。

Logixベースの制御アーキテクチャとインテリジェントなAllen-

Bradleyの装置で基本が構成されるプレミア統合は、コントローラ、装置、モータ・コントロール・センタ(MCC)およびソフトスタートなど豊富なロックウェル・オートメーションの専用制御システムのエレメントの中でも独自なものです。

特集記事

プレミア統合の体験

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コントローラのプログラミング、装置の構成およびメンテナンス管理プロセスのすべてを1つのソフトウェア環境で実行することが、プレミア統合のもうひとつの決定的な特長であるということができます。

このような能力により、製造メーカやエンジニアは統合を簡単に行ない、開発期間を短縮し、情報の可視化と製造運用の生産性を高めることができます。これは、現在、必要とされているのが、 多数の異なる装置を利用する一元管理のインテリジェントなプラットフォームであるためです。

スマートマニュファクチャリングの世界の課題を克服し、コネクテッドエンタープライズを確立するには、効果的かどうか同じくらい柔軟性と応答性が重要です。

多数のスマートツールおよびソフトウェアを取得したロックウェル・オートメーションは、メンテナンスおよびトレーニングを含む総所有コストを削減するお手伝いをしながら、機械装置メーカ(OEM)にプレミア統合体験と、変化する市場および事業のニーズにより迅速に対応する能力を獲得するチャンスをもたらします。

調査: プレミア統合体験の利点TechValidate社による最近の調査では、産業用製造メーカは、PowerFlexドライブ、Studio 5000ソフトウェア、およびLogix

ベースコントローラの統合ソリューションを使用する利点について質問されています。

回答者の64%がロックウェル・オートメーションの統合プログラミング体験によってエンジニアリング時間が短縮し、63%

が診断の向上を達成しています。この結果は次のグラフに示されています。

統合テクノロジの進歩技術の統合は進化を続け、速いペースで進歩しています。産業用オートメーション装置が、ますますデジタル通信に依存するようになるにつれ、プロジェクトの成功は、デジタルネットワークでデータを交換するために装置およびコンポーネントがどれだけ簡単に構成できるかに大きく左右されるようになってきました。

今日のスマートマニュファクチャリングの世界では、プレミア統合は、機械装置メーカ(OEM)に事業を強化するための従来の統合アプローチにかわる手段を提供することができます。テクノロジの統合が時間とともに進化するにつれて、機械メーカにとって最新の高度な統合テクノロジを取り入れることがますます重要になっています。

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共通のプラットフォームでの構成およびプログラミングは、時間とコストの節約に役立ちます。直感的でユーザフレンドリなStudio 5000ソフトウェアを使用すると、工場全体のアプリケーション、オペレーションおよび環境で1つの制御エンジンと1つのネットワークテクノロジを使用して、可変周波数ドライブ(VFD)、モーション、安全およびプロセスを1つのインフラに統合することができます。

これは、複数の設計アプリケーションのデータ、タグおよびアラームを共有する標準化された方法を提供するため、エンジニアは情報を一度構成して、それをオートメーションシステム全体で使用することができます。同様に、制御および視覚化のための複数のツールを使用するのではなく、オートメーションシステムのすべての要素を1ヶ所で構成することができます。

システムが運用可能状態になったら、オペレータとメンテナンス技術者は、すべてのシステムコンポーネントを一箇所から一元的に確認できるため、簡単に装置を再構成し、トラブルシューティングし、情報にアクセスすることができます。産

業用共通プロトコル(CIP)は、制御、装置の構成およびデータ収集のための工場全体の通信を実現するアプリケーション・レイヤ・プロトコルです。CIPに基づき、EtherNet/IPがドライブおよびサーボドライブの両方のリアルタイムの定時的制御を可能にします。

Logixベースコントローラの同期機能を組合せて、複数のモータを正確に協調させることが可能です。これらの専用アプリケーションの資源は、ネットワークを介した同期をサポートする専用のデバイスに依存しないプロファイルを有するACおよびサーボドライブで利用できます。プログラミングが不要で、毎回変更やり直す必要がなくなるため、エンジニアの作業がより簡単になります。

統合の複雑性を減少させるだけでなく、プレミア統合は次に示す多くの点でエンジニアリング時間を短縮し関連するコストを削減することができます。

装置のマッピングと構成Logixベースのコントローラは、専用のAllen-Bradleyのコンポーネントを認識し、自動的にそれらのデバイスプロファイルをインポートします。Allen-BradleyのPowerFlex ACドライブを統合する場合、エンジニアは専用モジュールを選択するだけで、Studio 5000ソフトウェアが自動的にすべてのドライブパラメータを読込みます。

エンジニアが手動でパラメータ番号と説明を関連付けたり、電源や電圧などのドライブの詳細情報を入力する必要がないため、装置のマッピングがより簡単になります。単一のソフトウェア環境を使用し、単一の場所からコントローラおよびドライブのネットワークコネクションを構成するため、高価な開発エラーを削減したり、入出力(I/O)の不適合エラーをなくすことが可能です。

装置の複製Studio 5000ソフトウェアのコピー&ペースト機能によって、構成済みの装置に類似した装置を追加統合する時間が節約できます。複製された装置が同じプロジェクトで必要な場合、エンジニアはオリジナルをコピーするだけで、追加の装置ノードを作成できます。Studio 5000ソフトウェアは、コピー&ペーストの作業でオリジナルのドライブから新規のドライブに説明タグ名および構成設定を自動的に転送します。

タグのエイリアスLogixベースのアーキテクチャ内で、エンジニアは物理的なハードウェアの準備ができる前に意味のあるタグ名を使ってプログラム全体を書くことができ、その後、物理的モジュールとターミナル情報を割付けることができます。このようなタグのエイリアス機能は、配線図が準備できる前にプログラムを開発する場合によく用いられています。これは、並行開発を可能にし、プログラマは設計エンジニアリンググループが電気的なレイアウトを完了するまで待つ必要がありません。このため、製品設計の市場到達時間をスピードアップできます。

ライブラリ管理プレミア統合の必須のエレメントとして、ライブラリ管理を使ってエンジニアがプログラムのコードを効率的に保管し、再利用できます。これにより、開発期間が節約でき、同時に成功したプロジェクトの成果を活用することができます。プロジェクトのコードは、将来のプロジェクトで再度使用する、または同様の用途での新たな企業標準を確立するために、コードライブラリにエクスポートできます。エンジニアがライブラリのコンテンツを再利用したい場合、いつでもコードをライブラリから新規プロジェクトにドラッグするだけでいつでも使用できます。

自己とシステムを認識するスマートデバイスオートメーション制御システムやネットワークに簡単に統合できるスマートデバイスの進歩により、機械の設計方法がさらに簡略化されました。この統合は、オペレーションに可視性を提供し、効率を向上させることができます。この情報をより良い意思決定に利用でき、それによりシステムまたはプロセスを改善し、デバイスおよび機械のパフォーマンスをモニタし、生産性を維持することができます。

自己認識とシステム認識に加え、スマートデバイスはシームレスに統合され、適切なデータを提供する必要があります。

回答者の6 4 %がロックウェル・オートメーションの統合プログラミング体験によってエンジニアリング時間が短縮し、63%が診断の向上を達成しています。

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特集記事

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スケーラブルなコンピューティング、分析、モビリティなどの今日のテクノロジによって拡張された自己認識とシステム認識が可能なスマートな資産は、当社の高性能アーキテクチャの基礎を形成します。

これらの各技術は産業プロセスに価値を追加することができますが、転換された価値はそれらが1つのアーキテクチャに統合された場合のみ価値を生み出します。それはすべてシームレスな接続性にかかっています。アーキテクチャの転換された価値は、直感的で自己適応型のセキュアなオートメーションシステムの導入によってもたらされます。当社はプレミア統合に共通のEtherNet/IPバックボーンを活用して分析プラットフォームと連携するとともに、すべてのロックウェル・オートメーションの機器(コントローラから可変周波数ドライブ、サーボドライブまで)で共通の一貫した体験を提供します。

ますます多くの自己認識およびシステム認識装置がオートメーションシステムに統合されるのと同時に、分析の重要性が増え続けています。これらの機器は、データを取得および処理し、自己診断やエネルギー使用量などの情報を報告します。プレミア統合によって、ユーザはFactoryTalk Analytics for

Devicesに容易に統合することができ、オペレータは困惑することなくデータを目で見て理解することができます。

モビリティと視覚化大手の産業用メーカは、視覚化を使用して意思決定と運用効率を向上させ、重要な生産、プロセス情報および企業データへの洞察を提供しています。産業用ソフトウェアは、ビジネスおよびプロセス情報の表示をオフィスや機械、自宅または任意のモバイルデバイスから作成したり、変更、パーソナライズ、およびアクセスすることができるようになりました。

デバイスに表示されるソフトウェアのダッシュボードは、ユーザが必要とする特定の情報を含むようにパーソナライズすることができます。ユーザはいつでもどこからでも履歴およびリアルタイムのデータレポートにアクセスすることができます。

まったく新しい統合された世界コントローラ装置の統合の改善によって、機械装置メーカ(OEM)はスマートマニュファクチャリングに一歩近づき、効果的な接続性を実現することでスマートマシンおよびオートメーションシステムを設計することができます。効果的なレベルの統合により、コントローラとデバイス間のネットワーク内での機能的接続性を確立する一方、冗長プログラミングを緩和します。

さらにプレミア統合は、エンジニアに他にない統合および構成体験を提供し、オペレータと技術者により生産的かつ利益を生むよう機械を稼働し続けるために必要なセキュアで正確な情報が入手できることを約束します。よって、あらゆる情報を使って機械レベルから企業レベルまで、より優れた意志決定を下すことができます。

市場投入時間の短縮を実現するレースはすでに始まっており、これは生産性と収益性の向上にもつながります。この目標を達成するため、産業用メーカは接続された情報対応の企業を実現するための新技術が提供する利点を活用しています。プレミア統合の体験により、ユーザはコネクテッドエンタープライズのオートメーション資産をシームレスに設計、立上げ、維持、保護することができ、その結果や状況を報告できるようになります。

今日、チョコレートやバー業界の製品を溶かす工程を持つ企業が直面している問題として、設置面積、切換え時間、洗浄時間、メルトレートがあげられます。

PTL Continuous Meltersのメリット• 製品は必要に応じて溶かされるため、従来のケトル/タンクシステムよりも少ない電力で済みます。

• 従来のケトル/タンクシステムよりも設置面積が小さい。• 複数のコーティングに追加の設備投資は必要ありません。• PTL Meltersの製品はすべての製品が溶けるのを待つ必要がないため、すぐに使用できます。• PTLのシングル・ヘッド・メルターは持ち運び可能です。• GMA機械設計ガイドラインに準拠した非常に衛生的な規格に合わせて設計されています。• 配管作業が少なく、使用機器のすぐ隣に配置できます。

PTL Continuous Melters従来のケトル / タンク

バッチ運転 - 大型の設置面積 - 複雑なパイプ配管工事連続運転 - 小型の設置面積 - シンプルな配管工事 - 省エネルギー & クリーニング時間の短縮

比較 Melters

プロセス

ミルク / ホワイト / ダークチョコレート

プロセス

ダークチョコレートホワイトチョコレートミルク

詳しくは以下のウェブサイトをご覧ください: l linkedin.com/company/ptl-production-techniques-ltd-

ASIA PACIFIC 9

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ケーススタディ

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DCS移行後のライマ市廃水処理プラントのオペレーションフロー

が円滑化

PlantPAx DCSは、同市が廃水処理能力を拡大し、制御とトレーニングを合理化し、残業時間を最小限に抑えることを支援します。

雨水管の溢流や家庭または業務用の排水に関わらず、水がいったん排水管から流出すると、複雑な地下配管網に入り込みます。また、いったん廃水施設で処理が終わると、通

常、その水は湖や川に流されてその旅を終えます。

効率的な上水/下水処理施設は、周辺の川や湖を安全に保ち、都市部の排水にしばしば含まれる有害薬物やその他の病原体を除去するために必要不可欠です。

オハイオ州ライマ市では、処理済み廃水をオタワ川に流しています。1930年に建設された同市の廃水処理プラントは、同市内と周辺地域に住む4万人以上の人々の生活を支えています。発足以来、同市はスクリーニングや沈砂除去、汚泥消化などのプロセスを必要に応じて発展させてきました。

オーバーフローと残業2014年に、米環境保護庁(EPA)は、自然水源へのオーバーフローに関する指針を変更しました。

その変更によってライマ市は、それ以前は降水量に応じて1カ月に複数回だった川へのオーバーフローを1年に5回まで制限するこ

とが必要になりました。この割当てを超えると、同市は高額の罰金を支払わねばなりません。1年に5回の排出に押さえるためには、処理プラントの貯水容量を約5300万ガロン/日(MGD)から7000

万ガロン/日に増やす必要がありました。この容量増加に対応するため、プラント全体のアップグレードも必要であるとの結論に至りました。

ライマ市の廃水処理プラントは、旧式の制御システムで稼動していました。ライマ市廃水処理プラントのプロセス制御専門家であるマット・フィードラー氏は次のように説明しています。「90年代初めからこの施設を使用してきたので、システムは建設されてから30年近く経っていました。貯水容量の増加、保守作業の容易化、およびEPA要件への適合を可能にするには、高度なデータ洞察および報告機能を備えた完全なシステムアップグレードが必要でした。」

もう1つの問題点: 老朽化したシステムはカスタマイズされており、このシステムの知識は従業員の退職とともに現場を去っていました。システムが標準化されていないことは、新しい従業員のトレーニングに障害となっており、社内における専門知識の欠如は頻繁な保守の必要性とコストのかかるダウンタイム発生の要因

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ケーススタディ

ASIA PACIFIC 11

となっていました。

リモートアクセス機能がないため、すべてのトラブルシューティングとメンテナンスを現場で実施する必要がありました。このため、フィードラー氏とスタッフはたびたび深夜残業を余儀なくされ、わずか5分で済む調整のために往復1時間の移動が必要でした。また、リモートメンテナンス機能の欠如のために、合流式下水道越流(CSO)の処理工程も複雑化していました。例えば、河川でオーバーフローが発生した場合、わざわざ別のプラントスタッフがそれを監視してサンプルを収集するために現場に行く必要がありました。さらに、地下ゲート構造やリフトステーションに対する制御アクセスができないため、オペレータはプラントへの流量を制限できず、降水時にオーバーフローを引き起こすなどの他の問題の原因にもなっていました。

堰の開放プラント全体で処理プロセスとデータ共有を合理化するため、ライマ市はロックウェル・オートメーションのPartnerNetworkソリューションパートナであるCommerce Controls社と提携し、ロックウェル・オートメーションのPlantPAx分散制御システム(DCS)に移行しました。

最新式のDCSは、単一のプラント全体のソリューションを提供し、同施設のすべてのプロセスおよびオペレーションの生産性を向上させます。また、EtherNet/IPを活用するPlantPAxシステムはオープンな通信規格に基づき、プラント全体の制御および情報フローを合理化することができます。ネットワークのアップグレードにも、新しいStratix 5400および5700産業用管理型スイッチを使用し、データ収集とネットワーク監視能力が向上しました。これらのスイッチは、さまざまな建物のパネル温度を監視し、ネットワークの健全性を素早く確認するために役立ちます。

新しいDCSには標準化された設計や事前定義されたコード、フェイスプレートが使用され、直感的なインターフェイスを備えているため、プラント全体や各種プロセスで同一の外観と操作性を提供します。これにより、旧システムのカスタムコードがなくなり、将来の拡張に対して迅速なプログラミングと容易な拡張性が可能になります。また、新しいオペレータの新人研修やトレーニングも容易になります。

統合されたHistorian (履歴管理)および製造インテリジェンスソフトウェアは、オペレータがシステム・パフォーマンス・データにアクセスすることを可能にします。Historianは、すべての装置および計装に関する数年分の貴重なプロセスデータを収集し保管します。このシステムは、現在、自動化された報告を行ない、オーバーフローのカウントや排水評価基準、溶存酸素量などの履歴およびリアルタイムのプロセス動向をダイレクトに視覚化します。「以前は、履歴データの抽出作業は悪夢のようでした。そしていったん抽出しても、管理に使用できるようするために再フォーマットが必要でした」と、フィードラー氏は述べています。

新しいDCSは、システムのトラブルシューティングとメンテナンスのためのリモートアクセス機能も備えています。「Commerce

Controlsは現在、システムにリモートアクセスし、オフサイトで問題を解決することができるため、毎月ごとの現場に移動する時間が少なくなり、ダウンタイムを短縮することができます」と、フィードラー氏は述べています。

さらに、同市はStratusサーバを導入して稼働時間と生産の維持に役立てています。このサーバはかつてないレベルの冗長性を追加して、どのような予想外の事が起きても施設が稼働状態であることを確認することができます。

円滑なフローPlantPAx DCSは、以下のように多くの点でライマ市にプラスの影響を及ぼしています。プラント全体で制御システムに一貫性を持たせ、トレーニングを容易にし、リモート機能を通じてメンテナンスを簡略化し、プラント全体のパフォーマンスを改善し、EPA承認を支援します。

標準化されたソリューションを採用することにより、施設システムのコーディングが簡略化されました。「PlantPAx DCSはプロセスの不整合を解決し、制御を合理化し、オペレータに分かりやすい、プラント施設全体で類似の外観と操作性を提供できるため、一貫性のある合理化されたトレーニングプロセスができるようになりました」と、フィードラー氏は説明しています。

またプラントでは、システムのアップグレード以降、大幅なダウンタイムの減少も達成しています。同市は約50時間の残業時間を削減し、最初の3カ月の平均コスト削減は2,000ドルにもなりました。「トラブルシューティングはリモートアクセス機能によって大幅に改善されました。PLCや無線障害のために、勤務時間後でも自宅とプラントの間を往復する必要がなくなりました」と、フィードラー氏は述べています。

製造インテリジェンスソフトウェアは、パフォーマンス管理とプロセス最適化を改善しました。このソフトウェアは同市に排水評価基準を提供し、プラントオペレータがオーバーフローを計算するためのテンプレートの作成を可能にします。また、以前は1日1

回だけだったプラントのトレンド分析が、Historianソフトウェアによってリアルタイムでのトレンド分析が可能になりました。

フィードラー氏はさらに次のように述べています。「PlantPAx DCS

は、当施設のすべての目標を達成するのに役立ちます。当施設は、53MGDから70 MGDに生産性を向上させ、河川排水を最小限にしたばかりでなく、重要なデータ可視性と将来的なプラント拡張に対する容易な柔軟性を実現しました。これは、同市での新しい制御規格であり、今後のあらゆる上水/下水処理プロジェクトへの導入が期待されています。」

上記の結果は、ロックウェル・オートメーションの製品およびサービスを他の製品と併用したライマ市に固有のものです。他のお客様の場合、具体的な結果が異なることがあります。

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CASE STUDYケーススタディ

カーギル社によるサステナブルなプロセス最適化の実現

カーギル社の高い目標: 同社は人々に食料を供給するグローバルリーダになることを目指しています。世界

70カ国に155,000名の従業員を擁し、農場から小売店およびレストランにいたるまでの完全に統合されたサプライチェーンを維持するこの農業複合企業は、その目標に向かって順調に前進を続けています。

同社の事業の主軸は、小規模な油糧種子圧搾工場やコーン油精製所、でんぷん精製所、製塩工場から、もっと複雑なエタノール蒸留やトウモロコシ発酵施設にいたるまでの食品加工分野になります。

工場全体のプロセス最適化を追求して、グローバルに構造化された継続的改善(CI)の取り組みがカーギル社で進行中です。

高、エネルギー消費、および生産品質に大きく影響するからです。「当社のCIプログラムの一環として、プロセス制御の調査が実施され、次に制御方法が標準化され、類似のプロセスを伴う多くのプラントに導入されて効率の改善に取り組んでいます」と、カーギル社の企業組織エンジニアリング&データ・サイエンス・チーム主任であるクリス・クリスティー氏は述べています。

ある程度までの成果はありました。クリスティー氏はさらに次のように説明します。「私たちはこの調査を続けてきて、制御ループを実装し、そこから得られる値を観察してきました。しかしながら、さまざまな構造的およびスキルセット上の理由からその結果がサステナブル(持続可能)ではないことにすぐに気がつきました。」

カーギル社のプロセス最適化の取り組みから得られた結果を良い状態で維持するには、制御ループのパフォーマンスモニタと高度な診断ソリューションが必要でした。クリスティー氏と彼のチームは、オプションの概念の評価と選択、および試験的な概念実証を実施し、現在、ロックウェル・オートメーションのEncompass™製品パートナであるControl Station社のPlantESPをカーギル社の世界中の70以上の製造施設に導入

しています。

進歩の限界カーギル社の標準的な製造工場では、規模に応じて何十、何百もの(何千単位ではないにしても) PIDコントローラを使用して生産を調整しています。すべてのコントローラが自動モードで動作するように方針は確立されていましたが、プロセス制御エンジニアがプラントを自動モードで運転してみると、一部のコントローラはマニュアルモードに戻っていたことが後になって判明しました。その結果、最適化の取り組みから得られた成果は失われました。

その当時はモードのステータスを追跡する方法は存在せず、またプラントレベルでのアカウンタビリティも欠如していたため、パフォーマンス分析やPIDチューニングなどの処置は、問題が発見された後にならないと実施されませんでした。「油糧種子圧搾および精製などの当社の比較的単純なプロセスの場合は、プロセス制御の担当者がいなかったため、私たちはそれらの事が協調して行なわれているかどうかを観察することはありませんでした」と、クリスティー氏は説明します。

調査は複雑で時間がかかる作業で、一般的にトレンドデータのパターンを観察し、手作業で複数のトレンドを比較対照し、どのコントローラが問題を引き起こしているかを特定する作業が含まれます。「このような手作業での分析アプローチでは信号ノイズも考慮にいれる必要があり、そのことが一層パターンの特定を困難にします」と、Control Station社の技術担当副社長であるボブ・ライス氏は述べています。

複数の生産施設にわたってパフォーマンスの一貫性をできる限り維持するために、カーギル社ではループパフォーマンスの可視性を向上させ、切迫した問題を検出し、トラブルシューティングに必要な診断を提供し、是正処置を推奨する制御ループ・モニタ・ツールが必要でした。

ソリューションの探求を開始2015年半ばに、クリスティー氏は9つの異なるソリューションを比較する実現可能性調査を開始しました。それらのソリューションの2つが、カーギル社の機能的要件とユーザインターフェイス要件に一致し、望ましい技術的評価基準を備えていたため、この2つがカーギル社の既存のOSIsoft PI

データ履歴管理(ロックウェル・オートメーションのEncompass™製品パートナであるOSIsoft社が提供)との互換性を評価されました。

最終的に、カーギル社はControl Station社のPlantESPを選択しました。選択理由は、導入、構成および使用の容易さとOSIsoft PI-

SDKを介してカーギル社のデータ履歴管理に直接接続できること、および、複数のプラントの接続をサポートする一元管理されたサーバが利用できることでした。

さらに、PlantESPの機能はロックウェル・オートメーションのソリューションを補完しています。カーギル社は、主としてAllen-BradleyのControlLogix制御システムを使用して油糧種子プラントを運用しており、一部のPLCはPLC-5まで遡ります。また、カーギル社はロックウェル・オートメーションのプロセッサ、ドライブ、およびヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)ソフトウェアも使用しています。

このソフトウェアは、制御ループのパフォーマンスの問題を特定、分離、および特長づけるために主要業績評価指標(KPI)を使用し、高度な診断および工場全体のプロセス最適化を提供します。このソフトウェアは、カーギル社が数多くのローカルプラントの履歴管理から得られた生のプロセスデータを一元管理し、ダッシュボードから

農業企業は制御ループのパフォーマンスモニタおよび高度な診断ソリューションをグローバル展開することで、効率、スループット、生産高を向上

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ケーススタディ

アクセス可能なすぐに使用できる情報に変換するために役立ちました。

このソフトウェアは、PIDコントローラのパフォーマンスを解析し、機械的、PID

チューニング、またはプロセスの相互作用の問題によって引き起こされる変化を識別します。このソフトウェアは高度なフォレンジックユーティリティを使用して根本原因の解析を簡略化し、プラントをその他のプラントと比較した相対的なパフォーマンスを査定するツールをカーギル社の経営陣に提供します。

「使いやすさは技術の重要な側面の1つです。それは、高度な解析ツールの導入時にしばしば連想される「懸念要素」を本質的になくすからです」と、Control Station社の社長兼CEOであるデニス・ナッシュ氏は述べています。

実証のための予備試験予備試験は2015年末にカーギル社の以下の3つのプラントで、重要度の高いループを使用して開始されました。• ミズーリ州カンザスシティでの油糧種子圧搾プラントでは104のループ

• ネブラスカ州ブレアのコーン油精製プラントでは250のループ

• オランダのでんぷん精製所でのユニットオペレーションでは23のループ

また、以下のような2つの作業が同時に発生します。1. 世界中の70以上のプラントに対応する青写真の役割を果たす中心的なアーキテクチャの開発

2. 各現場のローカルデータ履歴管理から中央サーバにデータを抽出し、中央サーバ内から分析のためにプラントを構成

2016年初めまでに、3つの施設のすべてで一元管理されたサーバ上の単一のインスタンスで正常に動作を開始しました。

その結果、カーギル社は2020年に完了が予定される全面展開に向けてPlantESPの導入を開始しました。これまでのところ、

PlantESPは油糧種子圧搾、精製および製塩などの製造工場を含む60以上のプラントに導入されています。各現場では、データがどこから来て、その結果何をすべきかについてプラントチーム全員がトレーニングを受けています。

一貫性のあるプロセス最適化の実現カーギル社は現在、PlantESPを使用している施設ではPIDコントローラのパフォーマンスを基準通りに維持することができます。継続的なループ終了の基準が維持できない場合は、自動的にレポートが生成され、現地スタッフはコントローラが手動モードに入る前に適切な対策を講じることができます。

ライス氏は次のように述べています。「これによって、カーギル社は95%以上の時間でコントローラを「通常」モードに維持することができ、そのことがオートメーションへの同社の投資価値を高めています。

また、クリスティー氏は次のように述べています。「当社の制御ループのパフォーマンスの可視性が向上したためプロセスの可視性も高まり、こうした制御方法から投資価値を以前より高く維持できるようになりました。このことから、生産高と効率もプロセススループットの増加とともに向上しています。」

ノーマル時間割合(Percent Time in Normal)や全体的なループ健全性(Overall Loop Health)

などの単純な評価基準がローカルプラントの運用チームのさまざまなメンバーからも使用可能になり、指揮系統の上層部へと報告されます。振動尤度(Oscillation Likelihood)

や静止摩擦尤度(Stiction Likelihood)などの高度な評価基準も、高度なトラブルシューティングに使用可能です。

毎日および毎週のプラント生産ミーティングでは、問題発見時に何をすべきかに関するカーギル社のガイドラインが議題に組込まれました。

ローカルおよび中央での制御リソースの使用率が向上しました。不一致が特定された場合はソフトウェアが予防的に警告を発し、新しいパラメータの推奨を含むチューニング評価を提供するため、特定のループのチューニングの必要性は減少しました。

ソフトウェアが毎日の出力変化を自動的に取得しモデル化を行なうため、エンジニア

リングチームが衝撃試験を実施する必要はなくなりました。3~4カ月かかる手作業での分析のかわりに、ツールのフォレンジック機能が同社の工場全体の最適化の取り組みを支援します。

さらに、プログラミングエラーも検出可能になりました。非常によく似たコントローラと制御ループが搭載された型抜きデッキのレベルバルブでは、フラグを立てて、PlantESPがプラントオペレータに1つのデッキのレベルが他のデッキより頻繁に変化していることを知らせます。1つのプログラミングが他と異なっていることが判定され、プログラムを修正することによって問題が解決されます。

また、これまで発見されずに見過ごされていた問題も検出されるようになりました。プラントオペレータが大規模なプロセス障害を徹夜で解決したような場合には、次の日の評価基準にエラーが表示されます。調査によってヒューマンエラーとトレーニング不足が根本原因であることが明らかになると、これらの要因に対して速やかに対策が講じられます。

クリスティー氏は同様の成果を求める製造メーカに対して、関係者にプロセス制御の価値を理解させること、現場チームが評価基準に対して説明責任を持つこと、他の制御ループを追加する前に重要度の高い制御ループから開始することなどを奨めています。

カーギル社の標準的な製造施設では、何十、何百もの(何千単位ではないにしても)のPIDコントローラを使用して生産を調整しています。

こ れ ま で の と こ ろ 、PlantESPは油糧種子圧搾、精製および製塩などの製造工場を含む60以上のプラントに導入されています。

制御ループ・モニタ・ツールは、高度な診断および工場全体のプロセス最適化を提供し、カーギル社がさまざまなローカルプラント履歴管理からのデータを一元管理し、これらのデータをプラント制御室のダッシュボードからアクセス可能なすぐに使用できる情報に変換することを支援します。

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スリーマン・ブルワリーズ社が生産能力を拡大

ロックウェル・オートメーションのプロセス・オートメーション・システムは内部プロセスおよびレシピ制御を提供

新たに参入する起業家から大手メーカまで、カナダのビール醸造所はクラフトビールへの需要で売上を伸ばしています。クラフトビールの人気

の爆発によって、スリーマン・ブルワリーズ社の生産ラインは限界に達しました。カナダで3番目に大きな醸造会社であるスリーマン社は、オンタリオ、ケベック、ブリティッシュコロンビアの3つの醸造生産施設を有しています。

クラフトビール醸造設備の最新化ブリティッシュコロンビア州バーノンにあるスリーマン社のオカナガン・スプリング・ブルワリー(OSB)では、OSBビールの需要の増加に対応するのに苦戦していました。管理チームは1日に8回醸造という醸造最大生産量を引き上げる方法を探していました。

既存のインフラは時代遅れの半自動制御システムに基づくものでした。醸造プロセスの変更(新たなレシピの追加を含む)は、手作業で行なう必要があり、そのためヒューマンエラーおよび不整合のリスクが高くなります。

より優れた制御はより優れた醸造を意味するスリーマン社のチームはロックウェル・オートメーション認定システムインテグレータであるマクレー・インテグレーション社と協力し、生産能力の増強、リスク削減およびリアルタイム生産データへのアクセス提供のために、組み込みプロセス・オートメーション・システムを設計、導入しました。

スリーマン社のチームは、1つのソリューションによって各施設をまたいだ標準化を目指しました。

OSBの醸造監督を務めるステファン・トブラー氏は次のように述べています。「単一のプラットフォームは、ライン全体および施設間の洞察を与えてくれます。ですから、優れたビールを生産しながら成果を積み重ね、当社の継続的改善という目標を達成することができます。私達は、すでに当社の他の施設でロックウェル・オートメーションの装置で標準化を完了していました。また、マクレー社がロックウェル・オートメーションのテクノロジをベースとした単一のプラットフォームによって当社が目標を達成するのをサポートできることを知っていました。」

マクレー社は、ロックウェル・オートメーションのPlantPAx分散制御システム(DCS)

とマクレー社のMeridian BrewSoftおよびBrewSightソフトウェア(現在のFactoryTalk

Brew)を基にした段階的アプローチを採用しました。

このシステムには、醸造サイクルトレンドをピンポイントで特定するために、主要プロセスデータを収集・追跡・記録する報告書およびヒストリアンソフトウェアが含まれています。これにより、オペレータは必要な場合に積極的に醸造プロセスに変更を加えることができます。ロックウェル・オートメーションのプロセス・オブジェクト・ライブラリは、定義済みコントローラコードおよびフェイスプレートを提供し、新システムによってスリーマン社のオペレータはさらに短時間で新規バッチを設定し、レシピを構築することができます。

Allen-BradleyのPowerFlex 525およびPowerFlex

755ドライブは、醸造プロセスにおける柔軟なモータ制御を実現し、制御システムとのデバイス診断の通信をサポートします。

導入を完成させるため、マクレー社はスリーマン社のITチームと協力して、VMware

仮想化サーバを設置しました。これらの

サーバは、生産データの自動冗長性と、強化されたデータリカバリおよび拡張されたデータストレージを提供しました。1つの仮想化サーバは、最大4つの物理的バックアップサーバを置き換えることができ、それによりハードウェア装置のコストが大幅に削減されます。

また、これにより、スリーマン社のチームは仮想化サーバのコピーを作成し、オフラインでシミュレーションを実行し、生産の変更を事前にテストすることができるようになりました。

より多くのビールを生産2週間以内に、スリーマン社はバーノン施設の生産量を1日当たり8回の醸造から12回の醸造へと50%増加させました。

管理者は、PlantPAxシステムのトレンディング能力とBrewSightソフトウェアの報告書を活用して、あらゆる生産の問題をチェックすることができます。例外報告書を使って、醸造が発酵にいたる進行状況をシステムが追跡して報告書を作成し、醸造の変数が範囲から外れると管理者に電子メールが送信されます。

ソフトウェアアップグレードで生産速度が上がり、さらに高い醸造品質が保たれています。現在、バーノン施設は業界トップクラスの2時間醸造サイクルを誇り、香りと品質の一貫性も向上しています。

スリーマン社のチームの仕事はまだ終わっていません。チームは貯蔵施設および梱包ラインを含む残りのバーノン施設全体にPlantPAxプラットフォームを導入することを計画しています。スリーマン社の施設のすべてのエリアが標準化されるにつれて、企業の可視性が改善し、同社が事業の成長を促す意思決定をより効果的に行なうことがさらにできるようになります。

上記の結果は、ロックウェル・オートメーションの製品とサービス、および他の製品を採用したスリーマン・ブルワリーズ社の事例です。他のお客様の場合、具体的な結果が異なることがあります。

ケーススタディ

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エッジコンピューティングでゲームに参加しましょう

今日の競争が激しく、デジタルでつながっているビジネス環境では、誤操作の余地はほとんどありません。鉱業や製造業などの産業界では、リアルタイムデータにアクセスできない場合には、何らかのダウンタイムのほかに、生産性や財務業績、ブランドの評判に悪影響を及ぼすこともあります。

デジタル接続されたグローバルなビジネス環境では、生産性と運用効率の向上のためにリアルタイム処理を必要とするデータは、現在、作業が行なわれているネットワークの「エッジ」の近くに配置する必要があります。一般的に、エッジデバイスはデータセンターの管理された環境の外側に配置され、リアルタイム処理を提供し、結果をより早く提供します。

最近のガートナー社のレポートによると、現在は20%未満ですが、2025年までには、データの75%がデータセンターまたはクラウドの外側のエッジで作成および処理されるようになります。

ARCアドバイザリグループによる他の調査では、調査対象者の90%以上が、エッジコンピューティングが成長するにつれて、リモート管理可能な簡素化されたエッジインフラが必要になると指摘しています。

産業用オートメーション業界の参入を支援するゼロタッチ、完全仮想化、および自己防衛型コンピューティング・テクノロジ・プラットフォームであるztC Edge™を含む、将来を見据えたエッジコンピューティングの将来ビジョンを作成したのはそのためです。エッジで演算処理する準備ができています。

ztC Edgeは、多才で安全な産業用コンピューティングプラットフォームで、スタッフ不足の製造メーカが効率を高め、ITの負担を軽減し、リスクを軽減することを支援します。ztC Edgeは、仮想化を内蔵し、自動回復、およびクラウドベースのシステムの健常性の管理サービスを備えた冗長ノードのペアで、仮想化された産業用IoTおよび制御アプリケーションを迅速、簡単、かつ確実に提供します。

ストラタスのアジア太平洋地域セールスおよびサービス担当副社長であるエドワード・チャウは、次のように述べています。「私たちは正式にエッジコンピューティングの時代に入りました。これは、より大きなデジタルトランスフォーメーションのムーブメントの一部です。ztC Edgeは、エッジコンピューティングを現状のまま再定義します。これにより、企業は業務をより正確に把握し、リアルタイムで非常にセキュアな方法でお客様に近づけることができます。そして、最も重要なことはダウンタイムなしで常に利用可能であるということです。」

Stratus ztC Edgeシステムは、信頼性が高く自動化されたコンピューティングプラットフォームであるため、エンドユーザからシステムインテグレータ、さらには機械装置メーカ(OEM)まで、幅広い専門家にとって有益です。

ビジネスクリティカルな産業用制御システムとIoTアプリケーションの稼働時間を簡素化する必要がある制御システムエンジニアにとって、ztC Edgeはリソースの利用率とオペレータの効率を高め、ITへの依存を減らし、ダウンタイムのリスクを最小限に抑えます。そして、お客様のビジネスに不可欠な産業用制御システムおよびIoTアプリケーションを効果的に設計、実装、および管理する必要があるシステムインテグレータにとっては、ztC Edgeは販売機会の拡大、価値実現までの時間の短縮、および利益率の向上を支援します。

そして、信頼性の高いコンピューティングインフラを自社の産業用システムおよび製造プロセススキッドに迅速かつ容易に組み込む必要があるOEMもあります。この場合、ztC Edgeは簡単に使用でき、箱から出してすぐに保護され、高度に自動化されているため、品質の向上と現場でのメンテナンスコストの削減につながります。

簡単に言うと、ztC Edgeは、合理化され、使いやすく、完全自動化されたプラットフォームであり、この分野のゲームを変えています。

取り残されるのではなく、zTC Edgeでゲームに参加して成功をおさめてください。

ストラタスのアジア太平洋地域とつながりましょうlinkedin.com/company/stratusapac @StratusAPAC

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TotalFORCEテクノロジによるスマートモータ制御の進化

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スマートモータ制御により、コネクテッドエンタープライズでスマートマシンの使用が実現

この10年ほどの間に、EtherNet/IPやモノのインターネット(IoT)などを実現する技術は、機械装置メーカ(OEM)が複雑さを軽減し、真の情報対応機械を実現することに貢献しています。今日、スマートマニュファクチャリングや産業用のスマートオペレーションでは新たな方法を積極的に採用しています。この新たな動向では、デバイスおよびプロセスは、継続的にモニタおよび最適化できるように高度に接続されています。

スマート生産は、情報の島々を1つにつなぐことによって生産とサプライチェーンを最適化することを目指して、エンドユーザに新たな機会をもたらそうとしています。IoTなどの技術の進歩は、デバイスをさらにスマートにすることを可能にし、ネットワーク、統合、診断およびインテリジェンスに対するエンドユーザの要求を満たすことを可能にしています。

電気モータは、産業アプリケーションでのエネルギー消費の主要要因の1つであり、世界の電気エネルギーの約4分の1を消費しています。この膨大な生産コストを削減しようと、ますます多くの産業用メーカが可変周波数ドライブ(VFD)を設置して装置やコンプレッサを含むあらゆるものを制御しようとしています。

可変周波数ドライブは、あらゆる産業分野に利点をもたらします。低圧可変周波数ドライブはモータ速度を要求に合わせて調整することができるため、油圧または空圧ドリルシステムを含む、高需要産業またはアプリケーションで有益です。省エネルギーの最大の利点の一部は、高需要またはエネルギー集約型アプリケーションや金属または鉱業分野で使用される機械類、廃水処理プラント、クレーンおよびホイスト、遠心分離機、タイヤ&ゴム、石油&ガスなどで発生します。これらのアプリケーションでは、低圧ACドライブはモータ速度とトルクを制御し、機械に対する機械的なストレス破壊を軽減します。

自己認識によるダウンタイムの低減ネットワークおよび通信技術の進歩の結果、モータやドライブは統合および接続性が向上しつつあります。今日、予測分析を搭載したドライブは、かなりの程度で予期しないダウンタイムを防止します。例えば、ドライブにはオーバーヒートを防止する冷却ファンが組み込まれています。冷却ファンの1つが停止すると、ドライブはオーバーヒートし、予期しないダウンタイムを引き起こします。

TotalFORCEテクノロジは、ファンの予測寿命をモデル化することによってこの問題を解決します。この分析モデルは単なるカウ

ンタではありません。測定された周囲温度(センサがドライブモジュールに組み込み)と測定されたファン速度を考慮にいれます。ファン速度の低下は、ファンのベアリングが故障しつつあることの指標です。

予知保全モデルは、ファンが予測寿命のある一定の割合(%)に達すると(デフォルトは80%)、EtherNet/IPを介してその情報を制御システムに通知します。

接続されたシステムはメンテナンスチームに、次に予定されているメンテンナンスのための停止期間にファンを交換するように通知します。これにより、予期しないダウンタイムが発生することを防止します。さらに、接続されたシステムを利用して、自動的に交換部品の在庫をチェックし、注文することもできます。

TotalFORCEテクノロジは、高性能なモータ制御、高度な自己モニタ機能および現在のデジタルプラットフォームを結合して、より高速で高精度な応答性の高いACドライブを実現します。

適応制御機能特許取得済みのTotalFORCEテクノロジを採用したAllen-BradleyのPowerFlex 755T ACドライブの強化には、さらに強力な適応制御機能が含まれ、それによってドライブが時間の経過とともに変化する機械特性をモニタし、発生した変化を自動的に補正することができるようになりました。適応性のあるチューニング機能は、最大4つの自動追跡ノッチフィルタを使用し、品質に影響する共鳴と振動やエネルギーの浪費、機械の早期摩耗を防止します。

さらに、予知保全機能はドライブの健全性に関するリアルタイム情報を提供します。温度、電圧および電流などの動作特性をモニタすることにより、ドライブは重要なコンポーネントの残り寿命を計算し、ユーザに知らせることができます。これによりユーザは予期しないダウンタイムを防止するために対策を講じることができます。

TotalFORCEテクノロジを採用したPowerFlex 755Tドライブは、速度、トルクおよび位置の精密な適応制御により卓越した電気モータ制御を実現します。これらのドライブは、現在のパフォーマンスとアプリケーションの設定を比較し、自動的に必要な調整を実行することで、生産要求に応えます。また、そのパフォーマンスデータも制御システムを通じてリアルタイムでオペレーションに伝達し、継続して自己の健全性をモニタします。

PowerFlex 755Tドライブは、ドライブまたはモータの健全性を損ねる可能性がある以下のような問題が発生した場合、すぐにオペレータに通知します。自己認識機能(ヒューズ溶断の兆候とフィー

技術に関する記事

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ドバック、ランタイム時間の測定とモニタ、サーマルマネージャ、およびコンポーネントの残り寿命の予測)によって、予期しないダウンタイムを大幅に短縮することができます。PowerFlexドライブは、オペレーションを最適化し、ダウンタイムを最小限に抑え、オペレーションの円滑な実行を維持できます。

ロックウェル・オートメーションの製品マネージャであるブラッド・アレンツは次のように述べています。「TotalFORCEテクノロジによって、PowerFlex 755Tドライブのユーザが機械稼働時間の向上のために予防的アプローチをとれるようになります。ドライブは制御システムに対するアプリケーションのステータスに関する情報を提供できます。これはダウンタイムを短縮し、生産性を向上するために極めて重要です。また、ドライブの自己認識機能によっても信頼性を高めサービスを簡略化できます。」

アクティブ・フロント・エンド・ドライブによる省エネルギーの強化重工業製造メーカが直面する最重要課題には、エネルギー消費の削減、ダウンタイムの最小化、および生産性の最適化が含まれます。これらの製造メーカは生産性を高め、投資を保護しながらこれらの課題を解決しなければなりません。

近年、パワーエレクトロニクス技術やトポロジ、制御ハードウェアやソフトウェアにおけるさまざまな技術的進歩によって、低圧可変周波数ドライブの性能と精度が大幅に向上しています。AFE

(アクティブ・フロント・エンド)テクノロジが搭載された可変周波数ドライブ(回生ドライブとも呼ばれる)は、産業用のエネルギー回生機能と入力電流高調波軽減を提供することにより多くの新技術を生み出しています。

今日、12パルス整流器のかわりにAFEが設置されることが増えています。ほとんどのAFEドライブシステムは、専用のACドライブとアクティブ・フロント・エンド・コントローラで構成されています。また、ドライブシステムにはEMCフィルタ機能も搭載され、従来の整流器より発生する入力電流の高調波の歪みが低くなります。

12パルス整流器は一般的に高調波の歪みの合計を10%まで低減するのに対して、AFEドライブでは約3%まで低減します。ただし、この値は電源電圧の歪みや不均衡、インピーダンスによって異なります。その理由として、従来の整流器は、高調波に対して受動的に応答し、高調波が実際に発生した後でそれを除去しますが、これに対して、AFEドライブはドライブ内部で検出される高調波の歪みに能動的に応答し、広域の電気ネットワークに高調波の歪みが進入し影響を及ぼすことを防止することがあげられます。ドライブ内で発生する非線形電流によって形成される高調波に対して継続的に反作用を及ぼすことにより、入力電圧が変動してもアクティブに高調波を必要な範囲内に封じ込めることができます。

よりスマートな生産を実現するスマートドライブ今日、世界中の産業用エネルギーの使用量は常時高レベルで、産業用メーカはエネルギーコストの増加に直面しながら収益を増加させる課題を負っています。効率的なモータドライブの性能は重要であり、モータ故障の影響は非常に重大なものになります。スマートなモータ制御装置を使用することで、生産性を向上し、統合されたデータ主導のアプローチをとることによってモータ故障を防止することができます。

スマートなモータ制御は価値の高いプロセスと診断データの連続的フローを設計環境や視覚化システム、情報ソフトウェアとコントローラに提供し、コネクテッドエンタープライズを促進し、生産性の向上とダウンタイムの最小化と同時に総所有コストの削減に役立ちます。スマートモータ制御はどのようにして収益を増加させることができるのでしょうか? 考えてみてください。

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設計、立上げ、および生産の最適化に必要なリソースに投資する前に、新製品またはプロセスの設計をシミュレートすることが可能な世界を想像してくだ

さい。デジタルツインは物理的な資産の仮想的な「生きた」複製であり、このビジョンを現実化します。

デジタルツインは、コンセプトとして1つの汎用的な定義を反映しません。例えば、当社では少なくとも11の異なる種類のデジタルツインを識別し、それらは一般的に、設計、運用、メンテナンスという明確に区別される3つの主要な段階に適用されます。これは製造分野だけに限っても、30以上の考えられる使用事例に相当します。設置/立上げおよび廃棄段階も考慮にいれた場合は、さらに多くの使用事例が考えられます。

例えば、あるユーザは、製品または製造工程の設計を最適化するためにデジタルツインを使用し、他のユーザは製品の生産または生産ラインの保守を最適化するためにデジタルツインを使用します。設計、最適化、または保守フェーズのどれに注目しているかに関わらず、デジタルツインの主要な特長は、それが生きた複製であり、擬似的な環境刺激に反応する学習と変化のことを指します。

無数のシナリオデジタルツインは、多くの生産アプリケーションにとって絶好のチャンスを提供します。デジタルツインが一般的に適用される3つの段階は、設計、運用、メンテナンスです。デジタルツインが無数のシナリオを実現できる現実が、これらのオプションの複雑性に追加されます。例えば、デバイス(ドライブまたはモータなど)、プロセス、製造用セルまたは機械、生産ライン全体、プラントまたは一連のプラント(企業)、従業員およびお客様の行動などのデジタルツインを持つことができます。それだけでなく、どれ1つとして完全に同一のものはありません。

デジタルツインのポテンシャルを引き出すためには、最初にお客様とユーザの目標が一致していることを確認してください。重要なことは、問題について話し合い、デジタルツインを使用して問題を解決する方法について同意することです。例えば、

お客様が製品を設計するために開発したデジタルツインは、メンテナンスがいつ必要になるかを予測することができるでしょうか?

デバイスのデジタルツインは、機械または生産ラインのオペレーションのデジタルツインで使用できるでしょうか?

もしお客様が現在、デジタルツインを使用しているならば、すでにその利益についてよくご存じでしょう。ただし、もしその使用を拡大し、フェーズ間でデジタルツイン

を活用する方法を探すならば、さらに多くの利益を得ることができます。

デジタルツインは、製造効率と予知保全のための機会を拡大し、生産性を最大化することができます。

現実世界の関連性デジタルツインは、仮想的に会社の機械や制御、プロセス、ワークフロー、システムなどを模倣します。デジタルツインの検証と改善を通じて、製造メーカは以下の方法で資産の潜在的な現実世界の行動に関する洞察を得ることができます。

• 機械のプロトタイプが製作され製造されるはるか以前に、新しい機器の構成で品質、信頼性および速度の向上を検証する。

• プラントまたはプラントポートフォリオから製品の混合および量を最適化するために、ラインのスタートアップおよび生産スケジューリング/シーケンスのトライアルを実施する。

• 生産従業員(マネージャ、フロントラインオペレータ、およびメンテナンス技術者)が新しい機器およびラインを仮想的に操作し保守することを許可し、現実世界でのコストのかかるスタートアップ問題(低品質、安全、機械停止)を最小限に抑える。

• 機器およびプロセスの問題が発生する前にこれらを診断および解決し、高速な切換え技法を用いて仮想的に検証し、稼働時間と生産性を向上させる。その後、機器が稼動してから、継続改善チームが組込みスマートデバイスからのデータストリームをモニタし、ワークフローや切換え時間、オペレーション全体をさらに改善する。

ロックウェル・オートメーションは、数多くの組織がデジタルツインを適用し活用することを支援してきました。

例えば、食品製造メーカは導入前に施設のアップグレードをテストおよび検証し、80%のダウンタイムの短縮と10%を超えるスループットの向上を実現します。

アプリケーション記事

デジタルツインによる製造効率の向上

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別の大手多国籍企業は、生産シナリオ(製品プロモーションのための出来高の増加、低コストの生産材料への変更など)

を仮想的にテストし、同一の機器で何百万ドルもコストを削減しました。

デジタルツインを開発する技術ロックウェル・オートメーションのEncompass™製品パートナであるメイプルソフト社は、フィラディルフィアで開催されたオートメーションフェアにMapleSimソフトウェアを展示しました。MapleSimソフトウェアは、生産機械のデジタルツイン開発や概念設計、仮想立上げ、および「適正サイズ」のコンポーネントのための高度なマルチドメインのモデリングおよびシミュレーションツールです。

MapleSimソフトウェアをStudio5000シミュレーションインターフェイスに統合することにより、リアルタイムでモデルを実行する機械のデジタルツイン表現を作成することができます。これにより、リアルタイムでシステムをテストする機能を利用することができ、企業は開発リスクを低減し、高品質な製品を市場に早く展開することができます。

激しい競争に直面する他の業界と同様に、機械設計の世界は、故障なしで動作する高度な機械を作り出す能力を向上させています。

新しい製品が現在のエンジニアリング慣行の限界を超えるにつれて、エンジニアの直感力と現在のスキルセットが困難に直面したときに、新しいツールはエンジニアを支援する必要があります。

デジタルツインは、このような新しいツールの1つであり、その採用が続くにつれて、オートメーション産業で可能なことの限界を超える新製品の登場が期待されます。

デジタルツインの未来国際的な競争が激化し、産業用メーカが生産性の向上に取り組むにつれて、一流企業は新しい破壊的なテクノロジが提供する利点の活用を続けています。デジタルツイン技術は、製造メーカがスマートな製品を予算に合わせてスケジュール通りに開発するのに役立ちます。

ガートナー社による最近の調査では、デジタルツインをすでに使用していると答えたのは回答者の13%に過ぎないのに対して、62%の回答者がこの技術を確立する過程にあるか、または来年に計画しているということが明らかになりました。デジタルツイン採用のこの急成長は、テクノロジベンダーによる大々的なマーケティングと教育によるものです。また、デジタルツインが事業価値を提供し、企業のIoTやデジタル戦略の一部となっていることもその原因と考えられます。

今こそ、デジタルツインとは何か、そしてそれはどのように異なるシナリオに適用されるかについて詳しく知るための絶好の機会であり、その価値をもっと簡単にそして等しく実感できるのです。

APPLICATION PROFILE

新製品の構想段階では、デジタルツインはエンジニアが設計に取り組む新しい方法を提供するという重要な役割を担うことができます。

ガートナー社は、2 0 2 1年までに大手産業会社の半数がデジタルツインを使用し、その結果として、これらの組織の効率が10%向上すると予測しています。

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PRODUCT & SOLUTION FOCUS注目の製品 & ソリューション

最新のKinetix 5700サーボドライブにより省エネルギーを実現Kinetix 5700サーボドライブのファミリーに追加された最新製品であるK i n e t i x 5 7 0 0回生バス電源はEtherNet/IPを活用し、エネルギー使用量のモニタを

可能にします。エネルギー価格が上昇を続けるにつれて、Kinetix 5700回生バス電源は、余剰エネルギーを回生して工場全体で使用されるAC電源に戻すことによって直接的なエネルギーコストの削減を実現します。また、CIP Securityや多層防御セキュリティの機能も備えており、さまざまなタイプの物理的脅威および電子的脅威に対処することができます。

さらに、このバスでは内蔵されたLCフィルタを使用して設置コストを削減することができます。全体的な設置面積が小さくなり、必要なキャビネットスペースを最大70%まで削減することができます。このバス電源は、AC入力電圧ディップのライドスルーによりDCバス電圧を安定化させることによって、ピーク時の機械出力の能力を保証することができます。これにより、国際的な機械メーカは世界中のどこにでも製品を出荷して、その地域で適用される機械の出力仕様に適合することができます。

多軸構成の高い電力要件を持つ機械向けに設計されたKinetix 5700サーボドライブには、ハード配線された安全ト

ルクオフと高度な安全機能が統合された1軸および2軸サーボが用意されています。単一制御エンジンとしてLogixが搭載され、1つの設計環境を提供するStudio 5000を使用すると、機械メーカはニーズに合わせてより柔軟に拡張、設計および制御が可能になります。

Kinetix 5700サーボドライブは、立上げ時間を短縮し、マシンパフォーマンスを向上させることができます。また、ニーズに合わせて簡略性、省電力および省スペース性を利用でき、機械を短期間で稼働状態にできるため、多軸構成の高い電力要件を持つ機械メーカにとって最適な選択肢となります。

機械メーカは、施設に簡単に統合でき、情報へのアクセスを提供し、変化を続ける市場の要求に迅速に対応できるスマートマシンおよびスマート機器を実現する課題に絶えず取り組んでいます。Micro800コ

ントローラファミリーは、お客様のスタンドアロンマシンに柔軟でカスタマイズ可能なマイクロ制御ソリューションを提供します。

さまざまなフォームファクタが利用可能なこれらのマイクロコントローラは、設計、開発、納入および組み込みなどの機械のライフサイクルのすべての段階を通じて、スマートで生産的な安全確実なソリューションをマイクロ・アプリケーション・レベルで提供できるように最適化されています。

Micro870コントローラは、Micro800コントローラファミリーに追加された最新製品であり、拡張性、柔軟性およびカスタマイズ性がさらに向上しています。Micro850コントローラの2倍のメモリを搭載し、最大8つの拡張I/OモジュールをサポートするMicro870コントローラは、Micro800コントローラプラットフォームの特長をより大規模かつ複雑なスタンドアロンアプリケーションで発揮させます。

Connected Components Workbenchソフトウェアは、安全およびコントローラシミュレーションを含むスタンドアロンマシンの主要制御コンポーネントの構成、プログラミング、および視覚化をサポートする1つのソフトウェアパッケージです。

Connected Components Workbenchソフトウェアでの最新のファームウェア更新により、ユーザは以下のことも実行できるようになります。Micro870の拡張I/Oの最適化は、最適なプログラム・サイクル・タイムのためのスキャンインターバルをサポートします。Micro830、Micro850およびMicro870

コントローラのスペクトラム社製のmicroSDプラグイン式モジュールは、データログとレシピ管理を可能にします。オペレータの介入を必要としない自動再起動機能によるコントローラフォルト処理を改善します。

スマートマシンおよびスマート機器によって、生産性と収益性が向上します。高速なプログラムの構築によりパフォーマンスが大幅に向上したため、Micro800コントローラは、梱包、マテリアルハンドリング、プロセス、重工業機器および製造および組立てなどの幅広いアプリケーションに適用できます。

Micro800コントローラにより柔軟で拡張性に富んだソリューションが可能

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PRODUCT & SOLUTION FOCUS注目の製品 & ソリューション

高精度なプロセス計測および制御用のナノ・シグナル・コンディショナ省スペース、時間およびコストを節約すると同時にトップパフォーマンスを発揮できるように設計

新しいAllen-Bradleyの931ナノ・シグナル・コンディショナは、最適な信号絶縁、変換および増幅機能を提供します。

連続またはバッチ生産プロセスにおける温度、圧力、流量、水位、重量、速度、周波数、電流、または電圧などの重要なプロセス計測は、ノイズや過酷な環境条件にさらされているため、誤った信号を発生する場合があります。これらの信号伝達装置は計測値を保護し、プロセスを効率的に実行するために信頼性の高い信号を提供します。

DINレール取付けのこれらのアナログ信号伝達装置は、すべてのタイプの統合されたPLCおよびDCS I/Oシステムと互換性があります。また、これらの信号伝達装置は、バッチ、ドライ

ブ、モーションコントロール、プロセスおよび安全用の単一の制御プラットフォームを活用するためにPlantPAx DCSにも統合することができます。

信号伝達装置は、一般的に食品および飲料の生産、水処理、化学処理、エネルギーおよび発電所、鉄生産、石油&ガス、および医薬品業界で使用されています。

未来に向けたライフサイエンス施設次の産業転換はすでに始まっており、可能性を広げ、患者の転帰を改善する革新が始まっています。個人向けに調合された医薬やインプラントの小型化、および

迅速な実用化には、私たちの世界をより良いものにできると信じる問題解決者、起業家、メーカ、革新者の創意工夫とコミュニティが必要となります。

チャンスは無限に存在しますが、課題もまた少なくありません。特許期限が切れ、製品のライフサイクルが短くなり、偽造品が市場にあふれていても、イノベーションが重要であることには変わりがありません。細胞生物学の進歩は、複雑なプロセスの変化を促進し、ライフサイエンス企業にとって以下のような大きな課題が生まれています。

• 従来より対象が限定された、生産量の少ないオーファンドラッグ(希少疾病用医薬品)および個人向けに調合された薬。このような需要によって、大規模なバルク生産から、複雑なバッチ処理や頻繁な切換え、および細部にいたる追跡が必要なマルチプロダクト施設へと医薬業界は変わろうとしています。

• 世界的な需要に対応する大規模な一元管理の施設から、より小規模な地域に根ざした施設へのシフト。このようなシフトは、医療品有効成分(API)の生産を低コストの地域へと移動し、患者に合わせた個別化医療薬への移行をもたらす可能性があります。

• 医薬品の市場展開までの時間を短縮する圧力がある一方で、コンプライアンスを遵守し、データの整合性を維持しなければならない。これらの圧力によって、さらに徹底したプロセス管理が必要となり、IT (情報技術)とOT (運用技術)

の収束や、規制機関からの認可を得るために効率的なR&Dオペレーションが必要となります。

一流のバイオテクノロジ、製薬、およびデバイス製造メーカ

は、現在、新技術を活用して未来に向けた施設を実現しつつあります。接続された、柔軟な医薬品製造は、ROIを最大化し、施設資産利用率を最適化し、市場到達速度を高め、品質を維持し、常にコンプライアンスの遵守を支援します。

デジタル技術を活用してシステムを水平および垂直の両方向に接続する施設を想像してください。そのような施設では、意思決定やパフォーマンス、コンプライアンスを改善するためにデータを提供します。

最新式のDCSは、このビジョンを現実化することを支援します。特に、オープンな規格準拠のイーサネットに基づいて構築された最新式のDCSは、スマートなドッキングステーションを実現し、モバイル機器のシームレスなプラグ&プレイの接続性を提供することができます。

このような未来に向けた施設は、シングル・ユース・テクノロジ、情報および接続性、およびモジュール式のモバイル設計コンセプトを活用して、生産について再考する機会を生み出しています。これらの施設は、資本コストの低減、迅速な施設のスタートアップ、合理化されたチェンジオーバー、および生産効率の向上を実現することを支援します。このeBookをダウンロードし、未来に向けた施設でデータから優れた洞察を得る方法を学習してください。

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注目の製品 & ソリューション

ロックウェル・オートメーションは産業用制御システムのセキュリティを強化ハノーバーメッセ2019で展示された強化された製品 –

組込まれたセキュリティによりシステム整合性を保護

現在、産業制御デバイス間の通信には最小限の保護機能しか搭載されていません。そのため、これらのデバイスは悪意のある不正使用や偶発的なシステム変更などの生産を停止し作業員が負傷する可能性がある脅威に対して脆弱性を残しています。ロックウェル・オートメーションの新しいソリューションは、制御レベルの通信とシステム全体の整合性を保護するために世界的に認められているセキュリティ規準に基づく内蔵されたセキュリティ機能を備えています。

ロックウェル・オートメーションの製品セキュリティのディレクタであるミーガン・サムフォードは次のように述べています。「世界の一流企業が産業用オートメーションとデジタル技術の統合に注目するにつれて、当社は接続オペレーションのセキュリティギャップを埋めることのできる他社にはかわることのできない位置に立っています。セキュリティが組込まれた当社の新製品は、入手できる業界最高の制御レベルのトラフィックの保護機能を提供します。これによって、システムおよびデバイス間通信が稼働の初日から保護されているという安心感をユーザに与えることができます。」

Allen-BradleyのControlLogix EtherNet/IP

通信モジュールは、ODVAのCIPセキュリティプロトコルを使用する初めての産業デバイスの1つです。このプロトコルでは、承認されたデバイスのみが生産工程での接続が許可されます。また、このプロトコルは不正使用やそれらのデバイス間の通信に介入することを防止できます。CIP Securityは、使用可能な最も実績のあるセキュリティ規格であるトランスポート層セキュリティ(TLS)

をサポートする業界初の産業用オートメーションプロトコルです。

また、新たに強化されたAllen-BradleyのC o n t r o l L o g i x 5 5 8 0コントローラは、現在最も堅牢な制御システムセキュリティ規格であるIEC 62443-4-2への準拠が認定された世界で初めてのコントローラです。この規格では、産業用オートメーションおよび制御システムコンポーネントに対する技術的セキュリティ要件が定義されています。この認定は、IEC 62443-4-1規格に対するロックウェル・オートメーションのセキュリティ開発ライフサイクル(SDL)の2018年度の認定に基づいています。

新しいArmorBlock IO-Linkハブによる接続性の強化

ArmorBlock I/Oファミリーは、On-Machine用途に適した強化されたI/O製品です。耐水性と耐腐食性があるため、機械に直接(制御キャビネットなしで)取付けるこ

とができ、機械装置メーカ(OEM)とエンドユーザの設置および稼働コストを削減することができます。また、この製品はセンサやアクチュエータの近くにも取付けることができるため、敷設するケーブル長を短くして配線コストを削減することができます。

Ar morB lock I /O製品ラインに追加された最新製品であるArmorBlock EtherNet/IPモジュールとIO-Linkハブは、接続性を向上させ、コネクテッドエンタープライズの実現を促進します。広範囲の動作温度とニッケルめっき亜鉛ダイキャストハウジングを必要とする過酷なアプリケーションを対象とするこれらのハブは、ユーザにアプリケーションごとに設計を最適化するためのより多くのオプションを提供します。

また、最新のArmorBlock I/Oハブは、IO-Linkハブの設計を最適化するために以下の3つのオプションも提供します。16のデジタル入力、10のデジタル入力と6のデジタル出力、および16の汎用デジタル入力および出力。さらに、このハブは、より多くのフィールドデバイスをIO-LinkハブおよびEtherNet/IPモジュール用のM12 Lコード電源コネクタに接続することもできます。

Stratus ztC Edgeコンピューティングシステム

Stratus ztC Edgeは、多用途で完全に統合され自己防衛機能を備えています。Edgeコンピューティングシステムは、リソースに制約のある事業者が効率を向上さ

せ、IT負荷を軽減し、ダウンタイムのリスクを低減することができます。2つの堅牢なノードや組込みの仮想化機能、統合された冗長性、自動化された復旧、およびクラウドベースのシステム健全性管理サービスを備え、ztC Edgeは仮想化された産業用モノのインターネット(IIoT)と制御アプリケーションを迅速かつ確実に導入します。

ztC Edgeは、稼働時間と生産性や、運用上の標準化、セキュアな接続性、プログラミングの容易性、変化に対する機敏な対応性が重要となるエンドユーザに最適なシステムです。機械メーカにとっては、ztCは、機械のTCOの最小化や、価値を生み出す機械稼動時間の最大化、品質の向上、現場での保守コストの削減、設備資産利用率の向上、および変更に対するオペレータの効率の向上などを支援します。

以下のようなデジタルトランスフォーメーションの課題に直面する製造業、石油&ガス、上水/下水処理施設、医薬品&ライフサイエンス、輸送、建設オートメーションおよびセキュリ

ティなどの産業分野に適しています。Stratus zTC Edge

は、プラントフロアや遠隔地、制御室に導入でき、また機械用の産業用施設にも導入することができます。

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注目の製品 & ソリューション

ロックウェル・オートメーションは産業用生産を改善するAIモジュールをリリース

新しいAIモジュールはデータサイエンティストを必要としない予測分析を提供、意思決定を支援

今日、産業労働者は機器から得られたデータを使用して生産上の問題を以前よりも簡単に予測し、既存のオートメーションおよび制御スキルセットを用いてプロセスを改善できるようになっています。新しいFactoryTalk Analytics LogixAIモジュール(旧称、Project Sherlock)

は、人工知能(AI)を使用して、生産に関する異常を検出し、作業員に警告を発して彼らが必要に応じて調査または介入できるようにします。

多くの既存の分析技術では、データサイエンスと産業用プロセスの両面で深い専門知識が必要になります。ところが、ControlLogixコントローラ用のこのアドオンモジュールは、データサイエンティストの仕事を代行することによって担当者の負担を軽減します。このアドオンモジュールは制御シャーシに直接取付けることができ、バックプレーンを介してコントローラデータをストリーミングして予測モデルを構築します。また、生産オペレーションを継続的に監視し、そこから導出された理解に照らして異常を検出できます。

ロックウェル・オートメーションの製品マネージャであるの製品マネージャであるジョナサン・ワイズは次のように述べています。「FactoryTalk Analytics LogixAIモジュールは、予測分析をさらにアクセスしやすくし、作業員がより適切な生産決定を行なう支援をします。このモジュールは、ControlLogixアプリケーションを学習し、予想外の変化がいつ発生するかを予測してオペレータや技術者にそれを伝えます。このため、彼らは製品の品質問題を克服したり、プロセスの整合性を保護することができます。」

例えば、このモジュールはオペレータが製品の品質に影響し、またはダウンタイムの原因となるミキサなどの機器のパフォーマンスの偏差を特定するのに役立ちます。また、このモジュールは仮想センサとしても使用することができます。梱包された食品製品の湿度など作業員が計測値を読取るかわりに、このモジュールが噴霧器、乾燥器、およびバーナーなどのライン資産から変数を解析して仮想的に計測値を予測することができます。

ヒューマン・マシン・インターフェイス(HMI)またはダッシュボードにアラームを設定することにより、作業員はその後に問題の通知を受けることができます。また、作業員が問題解決やプロセス最適化の自動化に集中することを支援するなど、このモジュールの未来的な機能はそれ以外にもたくさんあります。

FactoryTalk Analytics LogixAIモジュールは、ロックウェル・オートメーションのFactoryTalk Analytics製品ラインに追加された最新製品です。この製品ラインには、オートメーションシステムの構造について学習し作業員に個々のデバイスの問題を教えるFactoryTalk Analytics

for Devicesも含まれます。LogixAIモジュールは、オートメーションシステムのアプリケーションを学習することによってこれを拡張し、機能全体での異常を特定できるようになります。

両製品は個別に機能しますが、その後の反復過程で相互に連携します。FactoryTalk Analyticsプラットフォームは、複数のデータソースを統合するため、作業員は新しい洞察を発見することができます。FactoryTalk Analytics for DevicesとLogixAIモジュールの両方は、プラットフォームを前進させるためのデータソースになります。

Bulletin 800G危険な領域用の押しボタンロックウェル・オートメーションは、Bulletin 800G製品ラインを拡張し、危険な領域でのアプリケーション向けの製品の新しいサブセットを追加しました。

800G「-EX」の製品種類には、世界中の危険なガスおよび塵埃環境に対応するその他の地域認可と並んで、ATEXおよびIECEx認可を受けた製品が含まれます。

強化された「-EX」製品は、現行のEN/IEC 60079シリーズ規格に適合し、ヨーロッパ、アジア、およびその他の諸国向けのソリューションを設計する場合に確実に適合の認証を受けることができます。危険なガスおよび塵埃環境を対象とするゾーン1、ゾーン2、ゾーン21、およびゾーン22の範囲は、ほとんどの産業バーチカルでのほとんどのアプリケーションに対応します。

危険な領域でのソリューションは、現場で取付けるための

個別コンポーネントとして購入することができます。10種類のオペレータスタイルが、ベース取付けまたはパネル取付け式接点ブロックおよび電源モジュールと組み合わせられます。新しいパネルマウント式設計によりパネル取付け式カバーアクセサリの素早く簡単なフィールド取付けが可能になり、必要に応じてIP66/IP67環境定格を提供します。

追加の組立済みステーション構成も、当社の「-EX」製品には用意されています。制御ステーションを構成する場合は、デュアル押しボタンやキー式セレクタスイッチを選択できます。当社の非常停止用プッシュプルにはロック式ガードを追加することができ、押しボタンおよびセレクタ・スイッチ・オペレータにはロック式カバーを選択することができます。最大3つの800Gエンクロージャを「グループ化」することができ、異なる9種類までのオペレータ機能をコマンドおよび表示ステーションに提供します。

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3-5 SEPTEMBER 2019GOLD COAST, QLD

Rockwell Automation TechEd - Australia究極のトレーニングイベント2019年9月3日 - 5日ゴールド・コースト・コンベンション & エキシビションセンター2684-2690ゴールド・コースト・ハイウェイクイーンズランド州ゴールドコースト市ブロードビーチ

ロックウェル・オートメーションのTechEdは最新の技術を学ぶのに最適な場所です。機械性能の向上、工場の最適化、およびコネクテッドエンタープライズの強化に役立つように設計された、6つのストリーム(初心者レベルの概要から高度なハンズオンラボまで)から選択できます。

ハイライトは次の通りです。

詳細と登録については以下のウェブサイトをご覧くださいWeb: www.rockwellautomation.com/en_AU

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基調講演私たちの生活は毎日混乱しています。テクノロジは私たちの働き方、生き方、やり取りの仕方を変えています。変化は今ここで起こっていますが、将来はどうなるのでしょうか。基調講演でご紹介する思考から、今年のイベントを開始します。

最先端ソリューションの発見拡張現実(AR)と仮想現実(VR)にフォーカスする業界に向けて、当社のFactoryTalk InnovationSuite powered by PTCを使用して実演を行ないます。これらのデモでは、組織全体のデバイス、アプリケーション、および複数のデータソースへの接続性を強調し、それらを有意義な方法で提示します。ARとVRを使用すると、データがサイロにあるときに見逃される可能性がある傾向と相互依存関係を見つけることができます。

オートメーションにおける女性の地位 – これまでの道筋とその実践導入事例から学び、この業界で成功を達成するための道筋を探るために、オートメーションにおける女性を支持するコミュニティにご参加ください。

3-5 SEPTEMBER 2019GOLD COAST, QLD2019年9月3日-5日

クイーンズランド州ゴールドコースト