banzaimagazine red bull x-fighters osaka 2013 edition

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FMXフリーマガジン「BANZAImagazine」 Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

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Page 8: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

BANZAImagazine vol.XXX 目次CONTENTS

2012 SEASON REVIEW2012 Red Bull X-Fightersを振り返る025

ABOUT Red Bull X-FightersRed Bull X-Fightersとは

今回のバンザイマガジン”Red Bull X-Figh ters WorldTour2013 OSAKA”特別号のカバーを飾るのは昨年のシリーズチャンピオン、リーバイ・シャーウッド。彼の見事なデッドボディフリップは2010年マドリッドラウンドでのものだ。この前年、2009年のメキシコラウンドでの初出場/初優勝というセンセーショナルなデビューを飾った彼は、その独特のエクステンデッドスタイルも手伝い、ニューエイジFMXライダーの代表格というイメージが強かったが、この年はビッグクラッシュを経験、ケガに悩むなど、辛いシーズンとなった。しかし、その上での昨年のチャンピオン獲得は彼が精神的にもタフな、すでに時代を代表するFMXライダーへと成長している事を知るには充分な出来事であり、今回のRed Bull X-Fighters特別号のカバーに最もふさわしいライダーと言えるだろう。

014

WORLD FMX RIDERSRed Bull X-Fightersにエントリーするトップライダー紹介 037

073

BASIC TRICK 11基本的なFMXトリックを紹介051

Special Editer in cheaf Hitoshi Kajino 梶野仁司

Director Eigo Sato 佐藤英吾

Art Director Shohey Miyamoto 宮本将平

PensWada POLICE 和田陽輔

Cameraredbullcontentpool

Hitoshi Kajino(FUEL MEDIA)

Jason Halayko

Yusuke Kashiwazaki

EditorShun Ueno(inkar)Naoya Matsumoto(FUEL MEDIA)

TranslationJason Halayko

Special Thanks Jun Kajino(inkar)Takeshi Kodama(八紘美術 )

Publishフュールメディア株式会社

Print株式会社 八紘美術

BANZAI magazine vol.7 スタッフ

RIDER : Levi Sherwood PHOTO : redbullcontentpool

INSIDE MINDライダー、競技ディレクターへのインタビュー

066 GLOBAL PLAY GROUND2013 シリーズの開催地

ON THE COVERSTAFF CREDITAdvertising 広告(掲載順)

DIRT FREAK www.dirtfreak.co.jp

KICKER www.oginc.co.jp

DEFTfamily www.deftfamily.com

MINI www.mini.jp

J-SPORTS www.jsports.co.jp

BONSAI bonsaimoto.jp

JET PILOT www.jetpilot.co.jp

BLACKFLYS www.blackflys.jp

MX-VIRUS www.mx-virus.com

BANZAISTORE www.rakuten.co.jp/banzaistore

FUEL MEDIA www.fuelmedia.jp

RED BULL www.redbull.jp

STAB BLUE www.stab-blue.com

MOTOPARK MORI motoparkmori.nnejp.com

TAKOHKAN  www.takohkan.jp

FAT RAMP  fatjointmetals.nnejp.com

MADFISH  www.madfish.jp

RELIGION  religion-tokyo.com

SAVE A BROTHER www.saveabrother.com

UNIT  www.fhgds.com

〒040-0043北海道函館市宝来町15-1-104Tel.Fax:0138-84-6940 Mail:[email protected]

〒153-0051東京都目黒区上目黒2-19-26 2FTel:03-6303-0603

banzaimagazine.jp/fmxwww.fuelmedia,jp

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Page 9: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

BANZAImagazine vol.XXX 目次CONTENTS

2012 SEASON REVIEW2012 Red Bull X-Fightersを振り返る025

ABOUT Red Bull X-FightersRed Bull X-Fightersとは

今回のバンザイマガジン”Red Bull X-Figh ters WorldTour2013 OSAKA”特別号のカバーを飾るのは昨年のシリーズチャンピオン、リーバイ・シャーウッド。彼の見事なデッドボディフリップは2010年マドリッドラウンドでのものだ。この前年、2009年のメキシコラウンドでの初出場/初優勝というセンセーショナルなデビューを飾った彼は、その独特のエクステンデッドスタイルも手伝い、ニューエイジFMXライダーの代表格というイメージが強かったが、この年はビッグクラッシュを経験、ケガに悩むなど、辛いシーズンとなった。しかし、その上での昨年のチャンピオン獲得は彼が精神的にもタフな、すでに時代を代表するFMXライダーへと成長している事を知るには充分な出来事であり、今回のRed Bull X-Fighters特別号のカバーに最もふさわしいライダーと言えるだろう。

014

WORLD FMX RIDERSRed Bull X-Fightersにエントリーするトップライダー紹介 037

073

BASIC TRICK 11基本的なFMXトリックを紹介051

Special Editer in cheaf Hitoshi Kajino 梶野仁司

Director Eigo Sato 佐藤英吾

Art Director Shohey Miyamoto 宮本将平

PensWada POLICE 和田陽輔

Cameraredbullcontentpool

Hitoshi Kajino(FUEL MEDIA)

Jason Halayko

Yusuke Kashiwazaki

EditorShun Ueno(inkar)Naoya Matsumoto(FUEL MEDIA)

TranslationJason Halayko

Special Thanks Jun Kajino(inkar)Takeshi Kodama(八紘美術 )

Publishフュールメディア株式会社

Print株式会社 八紘美術

BANZAI magazine vol.7 スタッフ

RIDER : Levi Sherwood PHOTO : redbullcontentpool

INSIDE MINDライダー、競技ディレクターへのインタビュー

066 GLOBAL PLAY GROUND2013 シリーズの開催地

ON THE COVERSTAFF CREDITAdvertising 広告(掲載順)

DIRT FREAK www.dirtfreak.co.jp

KICKER www.oginc.co.jp

DEFTfamily www.deftfamily.com

MINI www.mini.jp

J-SPORTS www.jsports.co.jp

BONSAI bonsaimoto.jp

JET PILOT www.jetpilot.co.jp

BLACKFLYS www.blackflys.jp

MX-VIRUS www.mx-virus.com

BANZAISTORE www.rakuten.co.jp/banzaistore

FUEL MEDIA www.fuelmedia.jp

RED BULL www.redbull.jp

STAB BLUE www.stab-blue.com

MOTOPARK MORI motoparkmori.nnejp.com

TAKOHKAN  www.takohkan.jp

FAT RAMP  fatjointmetals.nnejp.com

MADFISH  www.madfish.jp

RELIGION  religion-tokyo.com

SAVE A BROTHER www.saveabrother.com

UNIT  www.fhgds.com

〒040-0043北海道函館市宝来町15-1-104Tel.Fax:0138-84-6940 Mail:[email protected]

〒153-0051東京都目黒区上目黒2-19-26 2FTel:03-6303-0603

banzaimagazine.jp/fmxwww.fuelmedia,jp

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Page 10: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

J SPORTSはBS放送(スカパー )、ケーブルテレビでご覧にいただける国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局です。!

http://www.facebook.com/jsports1234公式Facebookページ

BANZAImagazine 特別号について

 本来、このマガジンは佐藤英吾とともに制作をする予定

だった。彼がこの世を去った28日の午前もバンザイマガ

ジンについてメールのやり取りをしていた。

 そもそもバンザイマガジンの発起人として、英吾自身の

自己投資からはじまったフリーペーパー。一人でも多く、

日本の、そして世界のコアなFMX情報を紙で伝えるべく、

自ら編集業務もこなし、営業として、あるいは広告塔とし

て、日本のFMX=バンザイマガジンというほどまでに成長

させてきた。この別冊号である、”Red Bull X-Fighters

特集”はそんな故人のラストジョブになってしまったが、す

でにこの意志を受け継ぐ心の準備はできている。

 年三回発行しているバンザイマガジンは佐藤英吾と宮

本将平が舵を取って運営をしていた。意外に知られていな

いが、私はレギュラースタッフではなく、きちんと仕事とし

て編集のお手伝いをさせてもらっていた。それは私のポリ

シーでもあった。仕事として受ける以上は、仕事としての

価値があるものを作りたい。タダのフリーペーパーだから

こそ、届ける人に対して責任を持ってやらないと、出来上

がったものは読者に突き刺さらない。

 Red Bull X-Fighters Osakaが決定してしばらくして、

英吾くんから電話があった。

「今回バンザイマガジンの番外編としてRed Bull X-

Fightersの特集をやるからカジさん、特別編集長やってよ」

雑誌の編集業からは遠ざかってはいるものの、Red Bull

X-Fightersに対するアツい想いは佐藤英吾と同じものを

持っていると自負する以上、快諾した。

 最初に連れて行ってもらったのは2006年のメキシコ

大会。はじめての闘牛場スタイルを生で観て、映像以上

の迫力に毛穴が広がった。当時はスタンドにいる自分が

「エイゴ!」と呼びかけられたりして逃げ回った経験もあ

る(笑)。アフターパーティでは溺れるように酒を飲んで、

ホテルに戻るとTシャツがビリビリ。帰りの飛行機の時

間を間違えて、酔っぱらったまま空港に着いたら、酒臭す

ぎて乗せれないと怒られた。

その後も、年に1回はどこかに連れて行ってもらい、

2009年にはシーズンを通して同行し、一緒に歓喜を味わ

させてもらった。出場できて奇跡と言える、この大会にレ

ギュラー出場し、毎年体をボロボロにしながらもシード権

を獲得。本来ならばキャリアも終焉を迎えようとしてたと

ころに、大阪大会決定の報。現役を1年伸ばした結果に、

少なからず追い込んだ責任を感じている。

 しかし、幸運にも同じ空間で同じ空気を共有できたの

は、何にも代え難い財産であり、それは今後伝えていかな

ければならない我々の『責任』となった。自分の今の役割

としてRed Bull X-Fightersの魅力を皆さんに伝えなけ

ればならないと厚かましくも勝手に思い込んでいる。

 いつだったかは覚えてないけど、Red Bull X-Fighters

の大阪大会開催が決まった時に、電話ですごく話し込ん

だ。「ああいうのを取り入れるべきだ!」とか、「日本ならこ

うしたほうがいいね」とか。2007年、日本大会が幻に消

えたあの日から、その可能性について、ずっと密かに二人

でイメージしていた。正直、実現する話じゃないと思って

いたけど、大阪開催決定とともに、私たちのアイデアがど

んどんと形になっていった。毎日胸が高鳴っていた。

 2012年の最終戦の翌日。シドニーにてシーズンを終

えたボロボロの体の英吾とチルしながら、ホテル近くの

海でインタビューをした。2013年の話に差し掛かったと

き、質問をまだ確定こそしていないが、未来の大阪に振っ

てみた。

大阪大会が決まった時の話。彼の大阪に対する想いが

言葉となって溢れ出ていた。話してくうちに目は赤くなっ

ていた。多方面で暗躍する実行委員会の人たちの苦労も

知っているからこそ、本当にいろんな人がFMXを好きで、

動いてくれていることが嬉しかった。

FMXが日本に根付く前から、ここまでの時間、ずっとずっ

と先頭に立って背中で語ってきたライダーのメッセージは

ズシリと響いた。

2013年2月28日。大阪大会の絶対的な主役を亡くした。

このバンザイマガジンの大きな指針を失った。この先バ

ンザイマガジンがどうなるかなんて俺は知らない。でも男

と男の約束として、この号だけは必ず完遂する。

遺言だなんて思いたくないが、今回の号は彼の遺書でも

ある。

表紙と構成までは本人のチェックが入っている。あとはこ

れを進めていくだけ。FMXライダー佐藤英吾の発信して

きたメッセージを、言葉を、思い出しながら、彼が旅し続

けたRed Bull X-Fightersの世界とその魅力を紐解いて

いこう。

BANZAImagazine特別編集長 梶野仁司

 本来、このマガジンは佐藤英吾とともに制作をする予定

だった。彼がこの世を去った28日の午前もバンザイマガ

ジンについてメールのやり取りをしていた。

 そもそもバンザイマガジンの発起人として、英吾自身の

自己投資からはじまったフリーペーパー。一人でも多く、

日本の、そして世界のコアなFMX情報を紙で伝えるべく、

自ら編集業務もこなし、営業として、あるいは広告塔とし

て、日本のFMX=バンザイマガジンというほどまでに成長

させてきた。この別冊号である、”Red Bull X-Fighters

特集”はそんな故人のラストジョブになってしまったが、す

でにこの意志を受け継ぐ心の準備はできている。

 年三回発行しているバンザイマガジンは佐藤英吾と宮

本将平が舵を取って運営をしていた。意外に知られていな

いが、私はレギュラースタッフではなく、きちんと仕事とし

て編集のお手伝いをさせてもらっていた。それは私のポリ

シーでもあった。仕事として受ける以上は、仕事としての

価値があるものを作りたい。タダのフリーペーパーだから

こそ、届ける人に対して責任を持ってやらないと、出来上

がったものは読者に突き刺さらない。

 Red Bull X-Fighters Osakaが決定してしばらくして、

英吾くんから電話があった。

「今回バンザイマガジンの番外編としてRed Bull X-

Fightersの特集をやるからカジさん、特別編集長やってよ」

雑誌の編集業からは遠ざかってはいるものの、Red Bull

X-Fightersに対するアツい想いは佐藤英吾と同じものを

持っていると自負する以上、快諾した。

 最初に連れて行ってもらったのは2006年のメキシコ

大会。はじめての闘牛場スタイルを生で観て、映像以上

の迫力に毛穴が広がった。当時はスタンドにいる自分が

「エイゴ!」と呼びかけられたりして逃げ回った経験もあ

る(笑)。アフターパーティでは溺れるように酒を飲んで、

ホテルに戻るとTシャツがビリビリ。帰りの飛行機の時

間を間違えて、酔っぱらったまま空港に着いたら、酒臭す

ぎて乗せれないと怒られた。

その後も、年に1回はどこかに連れて行ってもらい、

2009年にはシーズンを通して同行し、一緒に歓喜を味わ

させてもらった。出場できて奇跡と言える、この大会にレ

ギュラー出場し、毎年体をボロボロにしながらもシード権

を獲得。本来ならばキャリアも終焉を迎えようとしてたと

ころに、大阪大会決定の報。現役を1年伸ばした結果に、

少なからず追い込んだ責任を感じている。

 しかし、幸運にも同じ空間で同じ空気を共有できたの

は、何にも代え難い財産であり、それは今後伝えていかな

ければならない我々の『責任』となった。自分の今の役割

としてRed Bull X-Fightersの魅力を皆さんに伝えなけ

ればならないと厚かましくも勝手に思い込んでいる。

 いつだったかは覚えてないけど、Red Bull X-Fighters

の大阪大会開催が決まった時に、電話ですごく話し込ん

だ。「ああいうのを取り入れるべきだ!」とか、「日本ならこ

うしたほうがいいね」とか。2007年、日本大会が幻に消

えたあの日から、その可能性について、ずっと密かに二人

でイメージしていた。正直、実現する話じゃないと思って

いたけど、大阪開催決定とともに、私たちのアイデアがど

んどんと形になっていった。毎日胸が高鳴っていた。

 2012年の最終戦の翌日。シドニーにてシーズンを終

えたボロボロの体の英吾とチルしながら、ホテル近くの

海でインタビューをした。2013年の話に差し掛かったと

き、質問をまだ確定こそしていないが、未来の大阪に振っ

てみた。

大阪大会が決まった時の話。彼の大阪に対する想いが

言葉となって溢れ出ていた。話してくうちに目は赤くなっ

ていた。多方面で暗躍する実行委員会の人たちの苦労も

知っているからこそ、本当にいろんな人がFMXを好きで、

動いてくれていることが嬉しかった。

FMXが日本に根付く前から、ここまでの時間、ずっとずっ

と先頭に立って背中で語ってきたライダーのメッセージは

ズシリと響いた。

2013年2月28日。大阪大会の絶対的な主役を亡くした。

このバンザイマガジンの大きな指針を失った。この先バ

ンザイマガジンがどうなるかなんて俺は知らない。でも男

と男の約束として、この号だけは必ず完遂する。

遺言だなんて思いたくないが、今回の号は彼の遺書でも

ある。

表紙と構成までは本人のチェックが入っている。あとはこ

れを進めていくだけ。FMXライダー佐藤英吾の発信して

きたメッセージを、言葉を、思い出しながら、彼が旅し続

けたRed Bull X-Fightersの世界とその魅力を紐解いて

いこう。

BANZAImagazine特別編集長 梶野仁司

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Page 11: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

J SPORTSはBS放送(スカパー )、ケーブルテレビでご覧にいただける国内最大4チャンネルのスポーツテレビ局です。!

http://www.facebook.com/jsports1234公式Facebookページ

BANZAImagazine 特別号について

 本来、このマガジンは佐藤英吾とともに制作をする予定

だった。彼がこの世を去った28日の午前もバンザイマガ

ジンについてメールのやり取りをしていた。

 そもそもバンザイマガジンの発起人として、英吾自身の

自己投資からはじまったフリーペーパー。一人でも多く、

日本の、そして世界のコアなFMX情報を紙で伝えるべく、

自ら編集業務もこなし、営業として、あるいは広告塔とし

て、日本のFMX=バンザイマガジンというほどまでに成長

させてきた。この別冊号である、”Red Bull X-Fighters

特集”はそんな故人のラストジョブになってしまったが、す

でにこの意志を受け継ぐ心の準備はできている。

 年三回発行しているバンザイマガジンは佐藤英吾と宮

本将平が舵を取って運営をしていた。意外に知られていな

いが、私はレギュラースタッフではなく、きちんと仕事とし

て編集のお手伝いをさせてもらっていた。それは私のポリ

シーでもあった。仕事として受ける以上は、仕事としての

価値があるものを作りたい。タダのフリーペーパーだから

こそ、届ける人に対して責任を持ってやらないと、出来上

がったものは読者に突き刺さらない。

 Red Bull X-Fighters Osakaが決定してしばらくして、

英吾くんから電話があった。

「今回バンザイマガジンの番外編としてRed Bull X-

Fightersの特集をやるからカジさん、特別編集長やってよ」

雑誌の編集業からは遠ざかってはいるものの、Red Bull

X-Fightersに対するアツい想いは佐藤英吾と同じものを

持っていると自負する以上、快諾した。

 最初に連れて行ってもらったのは2006年のメキシコ

大会。はじめての闘牛場スタイルを生で観て、映像以上

の迫力に毛穴が広がった。当時はスタンドにいる自分が

「エイゴ!」と呼びかけられたりして逃げ回った経験もあ

る(笑)。アフターパーティでは溺れるように酒を飲んで、

ホテルに戻るとTシャツがビリビリ。帰りの飛行機の時

間を間違えて、酔っぱらったまま空港に着いたら、酒臭す

ぎて乗せれないと怒られた。

その後も、年に1回はどこかに連れて行ってもらい、

2009年にはシーズンを通して同行し、一緒に歓喜を味わ

させてもらった。出場できて奇跡と言える、この大会にレ

ギュラー出場し、毎年体をボロボロにしながらもシード権

を獲得。本来ならばキャリアも終焉を迎えようとしてたと

ころに、大阪大会決定の報。現役を1年伸ばした結果に、

少なからず追い込んだ責任を感じている。

 しかし、幸運にも同じ空間で同じ空気を共有できたの

は、何にも代え難い財産であり、それは今後伝えていかな

ければならない我々の『責任』となった。自分の今の役割

としてRed Bull X-Fightersの魅力を皆さんに伝えなけ

ればならないと厚かましくも勝手に思い込んでいる。

 いつだったかは覚えてないけど、Red Bull X-Fighters

の大阪大会開催が決まった時に、電話ですごく話し込ん

だ。「ああいうのを取り入れるべきだ!」とか、「日本ならこ

うしたほうがいいね」とか。2007年、日本大会が幻に消

えたあの日から、その可能性について、ずっと密かに二人

でイメージしていた。正直、実現する話じゃないと思って

いたけど、大阪開催決定とともに、私たちのアイデアがど

んどんと形になっていった。毎日胸が高鳴っていた。

 2012年の最終戦の翌日。シドニーにてシーズンを終

えたボロボロの体の英吾とチルしながら、ホテル近くの

海でインタビューをした。2013年の話に差し掛かったと

き、質問をまだ確定こそしていないが、未来の大阪に振っ

てみた。

大阪大会が決まった時の話。彼の大阪に対する想いが

言葉となって溢れ出ていた。話してくうちに目は赤くなっ

ていた。多方面で暗躍する実行委員会の人たちの苦労も

知っているからこそ、本当にいろんな人がFMXを好きで、

動いてくれていることが嬉しかった。

FMXが日本に根付く前から、ここまでの時間、ずっとずっ

と先頭に立って背中で語ってきたライダーのメッセージは

ズシリと響いた。

2013年2月28日。大阪大会の絶対的な主役を亡くした。

このバンザイマガジンの大きな指針を失った。この先バ

ンザイマガジンがどうなるかなんて俺は知らない。でも男

と男の約束として、この号だけは必ず完遂する。

遺言だなんて思いたくないが、今回の号は彼の遺書でも

ある。

表紙と構成までは本人のチェックが入っている。あとはこ

れを進めていくだけ。FMXライダー佐藤英吾の発信して

きたメッセージを、言葉を、思い出しながら、彼が旅し続

けたRed Bull X-Fightersの世界とその魅力を紐解いて

いこう。

BANZAImagazine特別編集長 梶野仁司

 本来、このマガジンは佐藤英吾とともに制作をする予定

だった。彼がこの世を去った28日の午前もバンザイマガ

ジンについてメールのやり取りをしていた。

 そもそもバンザイマガジンの発起人として、英吾自身の

自己投資からはじまったフリーペーパー。一人でも多く、

日本の、そして世界のコアなFMX情報を紙で伝えるべく、

自ら編集業務もこなし、営業として、あるいは広告塔とし

て、日本のFMX=バンザイマガジンというほどまでに成長

させてきた。この別冊号である、”Red Bull X-Fighters

特集”はそんな故人のラストジョブになってしまったが、す

でにこの意志を受け継ぐ心の準備はできている。

 年三回発行しているバンザイマガジンは佐藤英吾と宮

本将平が舵を取って運営をしていた。意外に知られていな

いが、私はレギュラースタッフではなく、きちんと仕事とし

て編集のお手伝いをさせてもらっていた。それは私のポリ

シーでもあった。仕事として受ける以上は、仕事としての

価値があるものを作りたい。タダのフリーペーパーだから

こそ、届ける人に対して責任を持ってやらないと、出来上

がったものは読者に突き刺さらない。

 Red Bull X-Fighters Osakaが決定してしばらくして、

英吾くんから電話があった。

「今回バンザイマガジンの番外編としてRed Bull X-

Fightersの特集をやるからカジさん、特別編集長やってよ」

雑誌の編集業からは遠ざかってはいるものの、Red Bull

X-Fightersに対するアツい想いは佐藤英吾と同じものを

持っていると自負する以上、快諾した。

 最初に連れて行ってもらったのは2006年のメキシコ

大会。はじめての闘牛場スタイルを生で観て、映像以上

の迫力に毛穴が広がった。当時はスタンドにいる自分が

「エイゴ!」と呼びかけられたりして逃げ回った経験もあ

る(笑)。アフターパーティでは溺れるように酒を飲んで、

ホテルに戻るとTシャツがビリビリ。帰りの飛行機の時

間を間違えて、酔っぱらったまま空港に着いたら、酒臭す

ぎて乗せれないと怒られた。

その後も、年に1回はどこかに連れて行ってもらい、

2009年にはシーズンを通して同行し、一緒に歓喜を味わ

させてもらった。出場できて奇跡と言える、この大会にレ

ギュラー出場し、毎年体をボロボロにしながらもシード権

を獲得。本来ならばキャリアも終焉を迎えようとしてたと

ころに、大阪大会決定の報。現役を1年伸ばした結果に、

少なからず追い込んだ責任を感じている。

 しかし、幸運にも同じ空間で同じ空気を共有できたの

は、何にも代え難い財産であり、それは今後伝えていかな

ければならない我々の『責任』となった。自分の今の役割

としてRed Bull X-Fightersの魅力を皆さんに伝えなけ

ればならないと厚かましくも勝手に思い込んでいる。

 いつだったかは覚えてないけど、Red Bull X-Fighters

の大阪大会開催が決まった時に、電話ですごく話し込ん

だ。「ああいうのを取り入れるべきだ!」とか、「日本ならこ

うしたほうがいいね」とか。2007年、日本大会が幻に消

えたあの日から、その可能性について、ずっと密かに二人

でイメージしていた。正直、実現する話じゃないと思って

いたけど、大阪開催決定とともに、私たちのアイデアがど

んどんと形になっていった。毎日胸が高鳴っていた。

 2012年の最終戦の翌日。シドニーにてシーズンを終

えたボロボロの体の英吾とチルしながら、ホテル近くの

海でインタビューをした。2013年の話に差し掛かったと

き、質問をまだ確定こそしていないが、未来の大阪に振っ

てみた。

大阪大会が決まった時の話。彼の大阪に対する想いが

言葉となって溢れ出ていた。話してくうちに目は赤くなっ

ていた。多方面で暗躍する実行委員会の人たちの苦労も

知っているからこそ、本当にいろんな人がFMXを好きで、

動いてくれていることが嬉しかった。

FMXが日本に根付く前から、ここまでの時間、ずっとずっ

と先頭に立って背中で語ってきたライダーのメッセージは

ズシリと響いた。

2013年2月28日。大阪大会の絶対的な主役を亡くした。

このバンザイマガジンの大きな指針を失った。この先バ

ンザイマガジンがどうなるかなんて俺は知らない。でも男

と男の約束として、この号だけは必ず完遂する。

遺言だなんて思いたくないが、今回の号は彼の遺書でも

ある。

表紙と構成までは本人のチェックが入っている。あとはこ

れを進めていくだけ。FMXライダー佐藤英吾の発信して

きたメッセージを、言葉を、思い出しながら、彼が旅し続

けたRed Bull X-Fightersの世界とその魅力を紐解いて

いこう。

BANZAImagazine特別編集長 梶野仁司

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Page 12: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

赤のショートディッキーズを履き、小さい体を目一杯に使ってバイクに乗っていた。

一発タイミングを崩そうものならコースの餌食となるような難コースを目の前にして、

ビビってるのかと思えば「このコースは面白い!」と、ルーティンよりもライン取りに夢中だった。

相手をやっつけるのではなく、自分の全開を出してどう転がるか。

相手が世界チャンプでも、自分の友達でも、常に真っ向勝負で手抜き無し。予選から手抜き無し。いや、練習から手抜き無しのスタイル。

佐藤英吾の潔さ、と言えば格好よく書き過ぎかもしれないが、彼の表現は常に真っ向勝負だ。

笑顔の時も、不機嫌な時も、クラッシュして傷だらけで立ち上がってくる姿も、

世界中のライダーやスタッフから笑顔で話しかけられるのも全部、佐藤英吾というライダーの一部。

彼がRed Bull X-Fightersのパドックにいる姿があまりにも自然なシーンなだけに、これからの大会が寂しい。

本番前の集中力の高め方はトップアスリートのすごさを感じた。

何十回も自分のランをイメージする。フリップレバーのタイミング、細かいターンのひとつまで決して気を抜くことは無かった。

技のテクニカルな部分よりスタイルを追求した。かといって、オールドスクールな技だけじゃなく、大会で勝つ重要性も知っていた。

だから年を取っても、いつも進化しなくちゃいけないって、文句を言ってる割には嬉しそうな顔をする男だった。

自分が最先端でいることが、日本でフリースタイルモトクロスを広げるということ。

そういった積み重ねが大阪城の麓でRed Bull X-Fightersが開催されるという奇跡を呼び込んだ。

2013年シーズンが開幕する直前での悲報に世界中が悲しみに暮れた。

それと同時に佐藤英吾の築いてきたものの大きさや、存在感の大きさについて改めて気付かされている現実がある。

誰よりもフリースタイルモトクロスを愛し、フリースタイルモトクロスに生きた。

ファンと仲間と、そして家族を愛した男。

佐藤英吾。永遠のスーパースター。

Red Bull X-Fightersレジェンド、EIGO SATOという存在。

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Page 13: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

赤のショートディッキーズを履き、小さい体を目一杯に使ってバイクに乗っていた。

一発タイミングを崩そうものならコースの餌食となるような難コースを目の前にして、

ビビってるのかと思えば「このコースは面白い!」と、ルーティンよりもライン取りに夢中だった。

相手をやっつけるのではなく、自分の全開を出してどう転がるか。

相手が世界チャンプでも、自分の友達でも、常に真っ向勝負で手抜き無し。予選から手抜き無し。いや、練習から手抜き無しのスタイル。

佐藤英吾の潔さ、と言えば格好よく書き過ぎかもしれないが、彼の表現は常に真っ向勝負だ。

笑顔の時も、不機嫌な時も、クラッシュして傷だらけで立ち上がってくる姿も、

世界中のライダーやスタッフから笑顔で話しかけられるのも全部、佐藤英吾というライダーの一部。

彼がRed Bull X-Fightersのパドックにいる姿があまりにも自然なシーンなだけに、これからの大会が寂しい。

本番前の集中力の高め方はトップアスリートのすごさを感じた。

何十回も自分のランをイメージする。フリップレバーのタイミング、細かいターンのひとつまで決して気を抜くことは無かった。

技のテクニカルな部分よりスタイルを追求した。かといって、オールドスクールな技だけじゃなく、大会で勝つ重要性も知っていた。

だから年を取っても、いつも進化しなくちゃいけないって、文句を言ってる割には嬉しそうな顔をする男だった。

自分が最先端でいることが、日本でフリースタイルモトクロスを広げるということ。

そういった積み重ねが大阪城の麓でRed Bull X-Fightersが開催されるという奇跡を呼び込んだ。

2013年シーズンが開幕する直前での悲報に世界中が悲しみに暮れた。

それと同時に佐藤英吾の築いてきたものの大きさや、存在感の大きさについて改めて気付かされている現実がある。

誰よりもフリースタイルモトクロスを愛し、フリースタイルモトクロスに生きた。

ファンと仲間と、そして家族を愛した男。

佐藤英吾。永遠のスーパースター。

Red Bull X-Fightersレジェンド、EIGO SATOという存在。

Ph

oto

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ext:

Hit

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ajin

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012 013

Page 14: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

スペインのバレンシアにある闘牛場で、FMXのコンテストが開催されたのが2001年のことだった。闘牛場をうまくコースに仕立てた演出が的中、大会の枠を超えたショー型コンテストの起原となった。華やかな演出と、ライダーのパフォーマンスが、それまでの難易度重視型コンテストの価値観を覆すもので、フリースタイルモトクロス界にとっては大きな変革をもたらした。映画のセットのようなロケーションが、華やかなカクテル光線に照らし出される。数万人の大観衆が声を上げる。あれから12年の時を経て、ワールドツアーと変貌した昨今。なぜ、世界中の人々は、Red Bull X-Fightersに夢中になるのか。

フリースタイルモトクロスのショー的要素を支え、大会に大きな影響を

与えている様々な国のバックグラウンドも、この大会の魅力のひとつで

ある。

定番の闘牛場スタイルをはじめ、ギザのピラミッド、モスクワの赤の広

場、リオ・デ・ジャネイロのサンボドロモ等、その国を象徴する歴史的建

造物を前に、バイクが飛ぶ様は圧巻の一言に尽きる。そして、6月1日

はいよいよ、日本が誇る歴史的建造物、大阪城をバックに、世界のトッ

プライダー達が豪華な競演を魅せてくれる。これは世界的にも注目さ

れる、最高のロケーションだ。

2001年から2006年まではメキシコかスペインの2カ国での開催だっ

たが、2007年より待望のツアー化が実施された。初年は開幕戦をメ

キシコとし、ダブリン(アイルランド)、マドリッドの合計3戦。総合優勝

はFMXの世界的トップライダー、トラビス・パストラーナが栄冠を手に

している。

2008年はメキシコシティを皮切りに、リオ・デ・ジャネイロ、テキサス、

マドリッド、ドイツ、ポーランドと6カ国で開催し、優勝はスイスのマッ

ト・レボーが獲得。

2009年は新たにカルガリーやロンドン、2010年はエジプト、モスク

ワ、ローマなど、年々その規模を拡大し、フリースタイルモトクロスの発

展に深く貢献している。2011年は10万人が来場したとされるブラジ

リアの効果もあり、この年の総来場者数は231,000人を記録した。

壮大なバックグラウンド

2007年にワールドシリーズ化

014

Red Bull X-Fightersは、それまでアメリカ至上主義だった勢力図を地球規

模でフラットにした大会と言える。2000年前半は、世界的にはあまり知ら

れていなかったが、ヨーロッパ勢のFMXはかなりハイレベルなもので、アメ

リカ人に真っ向から対抗できるライダーが育っていた。日本にしても、昔こそ

欧米との差は確かに感じたものだが、佐藤英吾をはじめ、東野貴行、鈴木大

助らが積極的に海外に進出した成果もあって、年々、存在感を示してきた。

やがてRed Bull X-Fightersは、アメリカンだけではない、世界中から個

性豊かなライダー達が顔を揃えることとなった。国際色豊かなライダー陣

に注目だ。

Red Bull X-Fightersのコースは、会場によって様々だ。闘牛場のような狭

い会場でも、実際の闘牛が通るスロープを助走にして、バリエーションを出

している。かつては23mのレギュラーキッカーしか無かったコースも、今で

は35m級のビッグジャンプがあったり、フレア(※1)用のクォーターキッ

カー(※2)が設置されたりしている。通常のものより反り返りの強いスー

パーキッカーが置いてあっても、無視はできない。コースは巨大なほど、ライ

ン攻略も複雑なものになるので、昨年同様、今年のグレンヘレン(アメリカ)

も厄介なコースのひとつになるだろう。コースに伴う技の流れもジャッジの

重要なポイント。ライダーによって異なるラインをチェックするのも面白い。

豪華な出場ライダー

多様なコースレイアウト

015

Photo & Text: Hitoshi Kajino

※1:バイクを540°横回転させるトリック※2:円筒を1/4にカットしたような形状の急斜度なジャンプ台

Page 15: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

スペインのバレンシアにある闘牛場で、FMXのコンテストが開催されたのが2001年のことだった。闘牛場をうまくコースに仕立てた演出が的中、大会の枠を超えたショー型コンテストの起原となった。華やかな演出と、ライダーのパフォーマンスが、それまでの難易度重視型コンテストの価値観を覆すもので、フリースタイルモトクロス界にとっては大きな変革をもたらした。映画のセットのようなロケーションが、華やかなカクテル光線に照らし出される。数万人の大観衆が声を上げる。あれから12年の時を経て、ワールドツアーと変貌した昨今。なぜ、世界中の人々は、Red Bull X-Fightersに夢中になるのか。

フリースタイルモトクロスのショー的要素を支え、大会に大きな影響を

与えている様々な国のバックグラウンドも、この大会の魅力のひとつで

ある。

定番の闘牛場スタイルをはじめ、ギザのピラミッド、モスクワの赤の広

場、リオ・デ・ジャネイロのサンボドロモ等、その国を象徴する歴史的建

造物を前に、バイクが飛ぶ様は圧巻の一言に尽きる。そして、6月1日

はいよいよ、日本が誇る歴史的建造物、大阪城をバックに、世界のトッ

プライダー達が豪華な競演を魅せてくれる。これは世界的にも注目さ

れる、最高のロケーションだ。

2001年から2006年まではメキシコかスペインの2カ国での開催だっ

たが、2007年より待望のツアー化が実施された。初年は開幕戦をメ

キシコとし、ダブリン(アイルランド)、マドリッドの合計3戦。総合優勝

はFMXの世界的トップライダー、トラビス・パストラーナが栄冠を手に

している。

2008年はメキシコシティを皮切りに、リオ・デ・ジャネイロ、テキサス、

マドリッド、ドイツ、ポーランドと6カ国で開催し、優勝はスイスのマッ

ト・レボーが獲得。

2009年は新たにカルガリーやロンドン、2010年はエジプト、モスク

ワ、ローマなど、年々その規模を拡大し、フリースタイルモトクロスの発

展に深く貢献している。2011年は10万人が来場したとされるブラジ

リアの効果もあり、この年の総来場者数は231,000人を記録した。

壮大なバックグラウンド

2007年にワールドシリーズ化

014

Red Bull X-Fightersは、それまでアメリカ至上主義だった勢力図を地球規

模でフラットにした大会と言える。2000年前半は、世界的にはあまり知ら

れていなかったが、ヨーロッパ勢のFMXはかなりハイレベルなもので、アメ

リカ人に真っ向から対抗できるライダーが育っていた。日本にしても、昔こそ

欧米との差は確かに感じたものだが、佐藤英吾をはじめ、東野貴行、鈴木大

助らが積極的に海外に進出した成果もあって、年々、存在感を示してきた。

やがてRed Bull X-Fightersは、アメリカンだけではない、世界中から個

性豊かなライダー達が顔を揃えることとなった。国際色豊かなライダー陣

に注目だ。

Red Bull X-Fightersのコースは、会場によって様々だ。闘牛場のような狭

い会場でも、実際の闘牛が通るスロープを助走にして、バリエーションを出

している。かつては23mのレギュラーキッカーしか無かったコースも、今で

は35m級のビッグジャンプがあったり、フレア(※1)用のクォーターキッ

カー(※2)が設置されたりしている。通常のものより反り返りの強いスー

パーキッカーが置いてあっても、無視はできない。コースは巨大なほど、ライ

ン攻略も複雑なものになるので、昨年同様、今年のグレンヘレン(アメリカ)

も厄介なコースのひとつになるだろう。コースに伴う技の流れもジャッジの

重要なポイント。ライダーによって異なるラインをチェックするのも面白い。

豪華な出場ライダー

多様なコースレイアウト

015

Photo & Text: Hitoshi Kajino

※1:バイクを540°横回転させるトリック※2:円筒を1/4にカットしたような形状の急斜度なジャンプ台

Page 16: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

   マイク・メッツガー  マイク・ジョーンズ 

 トラビス・パストラーナ  ロニー・レナー   

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

バックフリップの登場により、一気に高度化したFMX。その中で、トラビス・パストラーナは幾度となく栄冠を手にしている。

2005年に惜しくも準優勝のTWITCHことジェレミー・ステンバーグ。この 頃はRed Bull X-Fightersのみならず、他の大会でも常に表彰台に上がっていた。

2005年から出場し、大会最年長と揶揄されながらも進化を続けた佐藤英吾が2戦を終えて首位に立つ。この年、若干17歳のリーバイ・シャーウッドがブレイク。

これまでベストトリックでしか見る事のできなかった技が、フリースタイルトラックでメイクされる時代に突入。この先FMXはどのような進化をみせてくれるのかが楽しみだ。

2008年にRed Bull X-Fightersデビューを果たし、この年、オーストラリアから4ストロークでスポット参戦していたジョシュ・シーハンが、最終戦シドニーでWフリップをメイクし優勝。新たなスターの誕生を予感させた。

孤高の天才、ネイト・アダムスは、技の技術が進歩した近代のFMXシーンにもしっかり適応し、2009年、2010年と、シーズン二連覇という快挙を達成。技のレベルの高さだけでなく、年間を戦い抜くタフさ、戦略も他のライダーより数枚上手だった。

2012シーズン第3戦として予定されていたトルコ・イスタンブール大会は強風のため初の中止となった。

PAST CHAMPIONS2001年:マイク・ジョーンズ(USA)2002年:エドガー・トロンテラス(ESP)2003年:ケニー・バートラム(USA)2004年:トラビス・パストラーナ(USA)2005年:ロニー・レナー(USA)2006年:トラビス・パストラーナ(USA)2007年:トラビス・パストラーナ(USA)2008年:マット・レボー(SUI)2009年:ネイト・アダムス(USA)2010年:ネイト・アダムス(USA)2011年:ダニー・トレス(ESP)2012年:リーバイ・シャーウッド(NZL)

佐藤英吾シリーズ3位に輝く

※2001-2006年については独自調査に基づく

    ロビー・マディソン   ネイト・アダムス  ジェレミー・ステンバーグ マット・レボーロニー・レナー

   マット・レボー  ロニー・レナー ジェレミー・ラスクトラビス・パストラーナ

   マット・レボー  ロニー・レナー ジェレミー・ラスクトラビス・パストラーナ

   ネイト・アダムス  リーバイ・シャーウッド 佐藤英吾ロビー・マディソン

    ネイト・アダムス   ダニー・トレス  ロビー・マディソン アダム・ジョーンズアンドレ・ビラ

  ネイト・アダムス ダニー・トレスジョシュ・シーハン

   リーバイ・シャーウッド  トーマス・パジェス ダニー・トレス佐藤英吾

当時活躍したライダー

016 017

地球規模のワールドツアーとして、注目を浴びるようになったのはここ数年のことだが、はじめて開催されてから13年目のシーズンに突入するRed Bull X-Fighters。長い歴史を振り返ってみると、年代ごとに、いくつものドラマが生まれ、多くのヒーローを育ててきた大会と言える。2013年の新たな歴史の扉を開く前に、これまでの軌跡を振り返ってみよう。

2006ワールドツアー化がはじまった2007年は変革の年と言える。初戦のメキシコラウンドには、ブライアン・ディーガンも出場し、大会を盛り上げた。

2007

強豪がひしめく中、最強のウィップで存在感を示したのは”常連”ロニー・レナー。

2007

2009

2012

20122011

2009,20102008年はアメリカ最強のジェレミー・ラスクとヨーロッパ最強のマット・レボーの2トップによるバトルが印象的だった。Red Bull X-Fightersではマットが勝利し、X-GAMESではラスクが優勝と、どちらも一歩も譲らない結果となった。

2008

2008年ポーランド・ワルシャワで行われた最終戦のみ、チーム戦が導入され、フリースタイル、ベストトリック、ステップアップ、スピード&スタイルとX-GAMESさながらのボリュームで開催されたが、ここでも久々に出場したT・パストラーナの独壇場となった。

2008

2005年 佐藤英吾初出場

Mexico City / Dublin / Madrid  Mexico City / Rio de JaneiroFort Worth / Madrid / Munich / Warsaw 

  Mexico City / Calgary Fort Worth / Madrid / London 

 Mexico City / Giza / MoscowMadrid / London / Rome

 Dubai / Brasilia / RomeMadrid / Poznan / Sydney

 Dubai / Glen HelenMadrid / Munich / Sydney

ワールドシリーズ化 開催国を最大の6カ国に    ネイト・アダムスがシリーズ二連覇 次世代FMXレベルに突入シーズン観客動員数23.1万人を記録

Page 17: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

   マイク・メッツガー  マイク・ジョーンズ 

 トラビス・パストラーナ  ロニー・レナー   

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013

バックフリップの登場により、一気に高度化したFMX。その中で、トラビス・パストラーナは幾度となく栄冠を手にしている。

2005年に惜しくも準優勝のTWITCHことジェレミー・ステンバーグ。この 頃はRed Bull X-Fightersのみならず、他の大会でも常に表彰台に上がっていた。

2005年から出場し、大会最年長と揶揄されながらも進化を続けた佐藤英吾が2戦を終えて首位に立つ。この年、若干17歳のリーバイ・シャーウッドがブレイク。

これまでベストトリックでしか見る事のできなかった技が、フリースタイルトラックでメイクされる時代に突入。この先FMXはどのような進化をみせてくれるのかが楽しみだ。

2008年にRed Bull X-Fightersデビューを果たし、この年、オーストラリアから4ストロークでスポット参戦していたジョシュ・シーハンが、最終戦シドニーでWフリップをメイクし優勝。新たなスターの誕生を予感させた。

孤高の天才、ネイト・アダムスは、技の技術が進歩した近代のFMXシーンにもしっかり適応し、2009年、2010年と、シーズン二連覇という快挙を達成。技のレベルの高さだけでなく、年間を戦い抜くタフさ、戦略も他のライダーより数枚上手だった。

2012シーズン第3戦として予定されていたトルコ・イスタンブール大会は強風のため初の中止となった。

PAST CHAMPIONS2001年:マイク・ジョーンズ(USA)2002年:エドガー・トロンテラス(ESP)2003年:ケニー・バートラム(USA)2004年:トラビス・パストラーナ(USA)2005年:ロニー・レナー(USA)2006年:トラビス・パストラーナ(USA)2007年:トラビス・パストラーナ(USA)2008年:マット・レボー(SUI)2009年:ネイト・アダムス(USA)2010年:ネイト・アダムス(USA)2011年:ダニー・トレス(ESP)2012年:リーバイ・シャーウッド(NZL)

佐藤英吾シリーズ3位に輝く

※2001-2006年については独自調査に基づく

    ロビー・マディソン   ネイト・アダムス  ジェレミー・ステンバーグ マット・レボーロニー・レナー

   マット・レボー  ロニー・レナー ジェレミー・ラスクトラビス・パストラーナ

   マット・レボー  ロニー・レナー ジェレミー・ラスクトラビス・パストラーナ

   ネイト・アダムス  リーバイ・シャーウッド 佐藤英吾ロビー・マディソン

    ネイト・アダムス   ダニー・トレス  ロビー・マディソン アダム・ジョーンズアンドレ・ビラ

  ネイト・アダムス ダニー・トレスジョシュ・シーハン

   リーバイ・シャーウッド  トーマス・パジェス ダニー・トレス佐藤英吾

当時活躍したライダー

016 017

地球規模のワールドツアーとして、注目を浴びるようになったのはここ数年のことだが、はじめて開催されてから13年目のシーズンに突入するRed Bull X-Fighters。長い歴史を振り返ってみると、年代ごとに、いくつものドラマが生まれ、多くのヒーローを育ててきた大会と言える。2013年の新たな歴史の扉を開く前に、これまでの軌跡を振り返ってみよう。

2006ワールドツアー化がはじまった2007年は変革の年と言える。初戦のメキシコラウンドには、ブライアン・ディーガンも出場し、大会を盛り上げた。

2007

強豪がひしめく中、最強のウィップで存在感を示したのは”常連”ロニー・レナー。

2007

2009

2012

20122011

2009,20102008年はアメリカ最強のジェレミー・ラスクとヨーロッパ最強のマット・レボーの2トップによるバトルが印象的だった。Red Bull X-Fightersではマットが勝利し、X-GAMESではラスクが優勝と、どちらも一歩も譲らない結果となった。

2008

2008年ポーランド・ワルシャワで行われた最終戦のみ、チーム戦が導入され、フリースタイル、ベストトリック、ステップアップ、スピード&スタイルとX-GAMESさながらのボリュームで開催されたが、ここでも久々に出場したT・パストラーナの独壇場となった。

2008

2005年 佐藤英吾初出場

Mexico City / Dublin / Madrid  Mexico City / Rio de JaneiroFort Worth / Madrid / Munich / Warsaw 

  Mexico City / Calgary Fort Worth / Madrid / London 

 Mexico City / Giza / MoscowMadrid / London / Rome

 Dubai / Brasilia / RomeMadrid / Poznan / Sydney

 Dubai / Glen HelenMadrid / Munich / Sydney

ワールドシリーズ化 開催国を最大の6カ国に    ネイト・アダムスがシリーズ二連覇 次世代FMXレベルに突入シーズン観客動員数23.1万人を記録

Page 18: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

HART ATTACK FLIP

世界各国を旅するRed Bull X-Fightersの中で

も、特に印象的だったのがエジプトラウンド。バッ

クグラウンドにそびえ立つ3体の巨大なピラミッ

ドは、決戦の地として相応しい。ピラミッドの前に

はスフィンクスがライダー達のジャンプを見守る。

砂漠の夕日が眩しい。

2010GIZA

Bala

zs G

ard

i for G

lob

al-N

ew

sroo

m

019018

Page 19: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

HART ATTACK FLIP

世界各国を旅するRed Bull X-Fightersの中で

も、特に印象的だったのがエジプトラウンド。バッ

クグラウンドにそびえ立つ3体の巨大なピラミッ

ドは、決戦の地として相応しい。ピラミッドの前に

はスフィンクスがライダー達のジャンプを見守る。

砂漠の夕日が眩しい。

2010GIZA

Bala

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Page 20: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

2008年のリオ・デ・ジャネイロ大会以来、2度目となる、ブラジルでの開催

地として選ばれたのは首都、ブラジリアの国会議事堂前。普段開放的なこ

の広場は、この日、Red Bull X-Fighters史上最大記録とされる10万人も

の群衆で溢れかえった。

ピンクフロイドのアルバム『アニマルズ』のジャケットにも使用さ

れた、ロンドンの繁栄を象徴した歴史的建物であるバターシーパ

ワーステーション。普段は観光地として中に入ることが許されな

いが、この日、パワーステーションに集まった3万人の大観衆は

エナジー溢れるバトルに酔いしれた。

2011BRASILIA

2010MOSCOW

2009LONDON

かつて共産国として栄えた、この国を象徴する建物

と言えば、モスクワ赤の広場。聖ワシリイ大聖堂の

麓に膨大な量の土を盛り、道路、地下鉄駅を封鎖し

ての開催。スタンド、アリーナともに空席はナシ。

スケール、クオリティともに申し分無かった。

Dan

iel K

olo

din

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New

sro

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Hit

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red

bu

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nte

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oo

l

020 021

Page 21: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

2008年のリオ・デ・ジャネイロ大会以来、2度目となる、ブラジルでの開催

地として選ばれたのは首都、ブラジリアの国会議事堂前。普段開放的なこ

の広場は、この日、Red Bull X-Fighters史上最大記録とされる10万人も

の群衆で溢れかえった。

ピンクフロイドのアルバム『アニマルズ』のジャケットにも使用さ

れた、ロンドンの繁栄を象徴した歴史的建物であるバターシーパ

ワーステーション。普段は観光地として中に入ることが許されな

いが、この日、パワーステーションに集まった3万人の大観衆は

エナジー溢れるバトルに酔いしれた。

2011BRASILIA

2010MOSCOW

2009LONDON

かつて共産国として栄えた、この国を象徴する建物

と言えば、モスクワ赤の広場。聖ワシリイ大聖堂の

麓に膨大な量の土を盛り、道路、地下鉄駅を封鎖し

ての開催。スタンド、アリーナともに空席はナシ。

スケール、クオリティともに申し分無かった。

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Page 22: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

 この大会の映像を少しでも観たことがある人ならば、会

場のすごさに感嘆の声を上げる人も少なくないだろう。

バックグラウンドのすごさも然ることながら、観客の盛り

上がり具合も各国様々である。特に闘牛場スタイルのメ

キシコとスペインは、観客の興奮がライダーに伝わりやす

いこともあって、ライダーからも普段以上のパフォーマン

スが発揮できると人気だ。しかし、この両国は同じ闘牛場

スタイルでも盛り上がり方が違う。

南米のメキシコ(メキシコシティ)のプラザ・デ・トロス闘

牛場の方が収容4万人弱と大きく、いかにこのオーディエ

ンスをまとめるようなパフォーマンスができるかがミソ。メ

キシコ人は熱しやすく冷めやすい。アツいトリックには素

直に騒ぐが、見飽きると他のものを求めてくる。そういう

意味では今年の開幕戦を制したトム・パジェスはメキシコ

人のハートを鷲掴みにしたと言える。

 一方、スペインの観客は鳴り物を投入して対抗してく

る。開場とともに、スタジアムの外や中で、もはや名物とな

るFMXにカスタマイズされたチェーンソーのエンジンを

吹かしまくる。ラテンの血と言えばこちらが本家なのだろ

うか、会場を包み込む”オーレ・コール”は反響し合って、体

を貫く。

スペインにはダニー・トレスとマイケル・メレロという2大

スターを排出している。このマドリッドのラスベンタス闘

牛場は、言うなれば彼らのホームスタジアム。同国内の

サッカーリーグ、リーガエスパニョーラを観ているような

オーディエンスの咆哮がマドリッドの中心地に響き渡る。

まるで応援合戦のように延々と観客の興奮は続く。

 その他、思い出深い会場と言えば、ブラジルで二度目の

開催となる首都、ブラジリアでの大会。

場所は国会議事堂前と交通アクセスの良さも手伝って、

観客は10万人を記録した。少し底上げされたライダーラ

ウンジから見える人の波は壮観そのもので、ウッドストッ

クさながらの人の地平線が見えそうだった。どこかの国

では同時に開催されていたサッカー W杯人気にちなんで

ブブゼラの応酬があったり、ロンドンの観客はひたすら酒

を飲んで騒いでいた。

 日本でもこれまで海外ライダーを招待した大会が開催

されたこともあったが、ほとんどの人がフリースタイルモト

クロスをはじめて目にするのではないだろうか。国内で

ショーやデモしか観てない人も、世界のトップライダーたち

がコンテストでしか見せない、本気のアクションに思考回

路が寸断されるかもしれない。

 盛り上がり方は人それぞれだが、敢えて楽しみ方をアド

バイスするなら、それは考えないこと。目の前で起こってい

る出来事を、そのまま受け入れて楽しめばいいだけである。

冷静に考えてみても、バイクが20メートル以上ぶっ飛ぶ上

に、なんかよくわからない技をやってる。これはどう考えて

も普通ではないし、なにより危ない(笑)。難しい技名を覚

えるより、目の前で起こっている非日常を楽しめばいいの

だ(もちろんトリック名を覚えるとそれだけ楽しいです)。

 その他にも、自分のお気に入りのライダーを見つけてお

くの も、面 白く観 戦 できる ポイントだ。Red Bull

X-Fightersに出場しているライダーはライディングスタイ

ルも然ることながら、なかなかの男前が多いので女性

ファンはビジュアルもチェックしてほしい。

ダニー・トレスはスペイン人らしい情熱的なパフォーマン

スでファンを魅了し、フロントフリップをメイクしたジャク

ソン・ストロングはハードコアチームのメタルマリーシャ

らしくゴリゴリスタイル全開。それぞれのスタイルで人気

も分かれるだろう。

しかし、その中でもやはり日本人ライダーは外してはいけ

ない。世界に誇る、地元大阪出身ライダー東野貴行は優

勝候補の一角。凱旋とも言えるこの大会で燃えない訳が

無い。ローカルならではの声援で背中を押してあげよう。

盛り上がり方というのは千差万別だが、その国によってスタ

イルが出ているのは間違いない。

大会のもうひとつの主役はオーディエンスにあり。リミッ

ターを外して大いに叫ぼう。

マドリッドの闘牛場に詰めかけた観衆に認められるのは簡単な事ではない。しかし、この25,000人の声援を味方につけることができれば、これほど心強い応援はない。マドリッドの闘牛場に詰めかけた観衆に認められるのは簡単な事ではない。しかし、この25,000人の声援を味方につけることができれば、これほど心強い応援はない。

022

大会を盛り上げるもうひとつの主役、それはオーディエンスにあり。

国によって違う盛り上がり方。しかし、世界共通で言えるのは、お祭りということ。

Photo & Text: Hitoshi Kajino

Page 23: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

 この大会の映像を少しでも観たことがある人ならば、会

場のすごさに感嘆の声を上げる人も少なくないだろう。

バックグラウンドのすごさも然ることながら、観客の盛り

上がり具合も各国様々である。特に闘牛場スタイルのメ

キシコとスペインは、観客の興奮がライダーに伝わりやす

いこともあって、ライダーからも普段以上のパフォーマン

スが発揮できると人気だ。しかし、この両国は同じ闘牛場

スタイルでも盛り上がり方が違う。

南米のメキシコ(メキシコシティ)のプラザ・デ・トロス闘

牛場の方が収容4万人弱と大きく、いかにこのオーディエ

ンスをまとめるようなパフォーマンスができるかがミソ。メ

キシコ人は熱しやすく冷めやすい。アツいトリックには素

直に騒ぐが、見飽きると他のものを求めてくる。そういう

意味では今年の開幕戦を制したトム・パジェスはメキシコ

人のハートを鷲掴みにしたと言える。

 一方、スペインの観客は鳴り物を投入して対抗してく

る。開場とともに、スタジアムの外や中で、もはや名物とな

るFMXにカスタマイズされたチェーンソーのエンジンを

吹かしまくる。ラテンの血と言えばこちらが本家なのだろ

うか、会場を包み込む”オーレ・コール”は反響し合って、体

を貫く。

スペインにはダニー・トレスとマイケル・メレロという2大

スターを排出している。このマドリッドのラスベンタス闘

牛場は、言うなれば彼らのホームスタジアム。同国内の

サッカーリーグ、リーガエスパニョーラを観ているような

オーディエンスの咆哮がマドリッドの中心地に響き渡る。

まるで応援合戦のように延々と観客の興奮は続く。

 その他、思い出深い会場と言えば、ブラジルで二度目の

開催となる首都、ブラジリアでの大会。

場所は国会議事堂前と交通アクセスの良さも手伝って、

観客は10万人を記録した。少し底上げされたライダーラ

ウンジから見える人の波は壮観そのもので、ウッドストッ

クさながらの人の地平線が見えそうだった。どこかの国

では同時に開催されていたサッカー W杯人気にちなんで

ブブゼラの応酬があったり、ロンドンの観客はひたすら酒

を飲んで騒いでいた。

 日本でもこれまで海外ライダーを招待した大会が開催

されたこともあったが、ほとんどの人がフリースタイルモト

クロスをはじめて目にするのではないだろうか。国内で

ショーやデモしか観てない人も、世界のトップライダーたち

がコンテストでしか見せない、本気のアクションに思考回

路が寸断されるかもしれない。

 盛り上がり方は人それぞれだが、敢えて楽しみ方をアド

バイスするなら、それは考えないこと。目の前で起こってい

る出来事を、そのまま受け入れて楽しめばいいだけである。

冷静に考えてみても、バイクが20メートル以上ぶっ飛ぶ上

に、なんかよくわからない技をやってる。これはどう考えて

も普通ではないし、なにより危ない(笑)。難しい技名を覚

えるより、目の前で起こっている非日常を楽しめばいいの

だ(もちろんトリック名を覚えるとそれだけ楽しいです)。

 その他にも、自分のお気に入りのライダーを見つけてお

くの も、面 白く観 戦 できる ポイントだ。Red Bull

X-Fightersに出場しているライダーはライディングスタイ

ルも然ることながら、なかなかの男前が多いので女性

ファンはビジュアルもチェックしてほしい。

ダニー・トレスはスペイン人らしい情熱的なパフォーマン

スでファンを魅了し、フロントフリップをメイクしたジャク

ソン・ストロングはハードコアチームのメタルマリーシャ

らしくゴリゴリスタイル全開。それぞれのスタイルで人気

も分かれるだろう。

しかし、その中でもやはり日本人ライダーは外してはいけ

ない。世界に誇る、地元大阪出身ライダー東野貴行は優

勝候補の一角。凱旋とも言えるこの大会で燃えない訳が

無い。ローカルならではの声援で背中を押してあげよう。

盛り上がり方というのは千差万別だが、その国によってスタ

イルが出ているのは間違いない。

大会のもうひとつの主役はオーディエンスにあり。リミッ

ターを外して大いに叫ぼう。

マドリッドの闘牛場に詰めかけた観衆に認められるのは簡単な事ではない。しかし、この25,000人の声援を味方につけることができれば、これほど心強い応援はない。マドリッドの闘牛場に詰めかけた観衆に認められるのは簡単な事ではない。しかし、この25,000人の声援を味方につけることができれば、これほど心強い応援はない。

022

大会を盛り上げるもうひとつの主役、それはオーディエンスにあり。

国によって違う盛り上がり方。しかし、世界共通で言えるのは、お祭りということ。

Photo & Text: Hitoshi Kajino

Page 24: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

DUBAI  GLENHELEN  ISTANBUL  MADRID  MUNICH  SYDNEY

ビッグトリックが次々と誕生し、チャンピオン争いでは上位2名がランキングトップのまま最終戦に突入。しかも決勝戦でその2人が対決というドラマティックな展開を見せた昨シーズン。ここではその2012シーズン全戦を振り返り、2013シーズンに懸ける各ライダーのマインドに近づきたい。

025

Text: wadaPOLICE

Page 25: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

DUBAI  GLENHELEN  ISTANBUL  MADRID  MUNICH  SYDNEY

ビッグトリックが次々と誕生し、チャンピオン争いでは上位2名がランキングトップのまま最終戦に突入。しかも決勝戦でその2人が対決というドラマティックな展開を見せた昨シーズン。ここではその2012シーズン全戦を振り返り、2013シーズンに懸ける各ライダーのマインドに近づきたい。

025

Text: wadaPOLICE

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Page 31: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

1 Levi Sherwood 100pt

2 Tom Pagès 80pt

3 Josh Sheehan 65pt

RESULT

1 Levi Sherwood 335pt

2 Tom Pagès 315pt

3 Dany Torres 215pt

POINT RANKING

バッドコンディションとビッグトリック、チャンピオンは誰の手に?

 リーバイ・シャーウッド、トム・パジェスの両選手が同ポ

イントでランキングトップタイのまま、ついに最終戦シド

ニーラウンドをむかえたRed Bull X-Fighters。シドニー

湾に浮かぶコカトゥー島に設けられたそのトラックは強

風、そして雨と、最悪とも言えるコンディションに見舞われ

た。クオーターファイナルでのファーストトリックでその強

風の餌食となったのはパジェスと対戦した東野貴行だ。

彼のチャレンジングなまでのKODフリップは横風に大き

くあおられクラッシュ。ドクターヘリで搬送されたが幸い

にもケガは軽く、周囲をほっとさせた。

 そして、もう1人の日本人ライダー、佐藤英吾は前日の練

習中に100ftジャンプでのバックフリップでビッグクラッ

シュ。こちらも幸いに骨折等にはいたらなかったがダメー

ジは大きく、もはや乗るだけで精一杯の状態。クォーター

ファイナルもラン中に棄権することとなった。そんなサバ

イバル戦を感じさせる展開の中、昨年のここ地元シドニー

ラウンド王者、ジョシュ・シーハンは今年さらに完成度を

増したダブルバックフリップを披露、2011チャンプ、ダ

ニー・トレスを下す。さらに同じくオージーのジャクソン・

ストロングはシリーズ初のフロントフリップをメイク、セミ

ファイナルへ。バッドコンディションとビッグトリックのあ

りえない組み合わせが続く中、3人目のオージー、キャメ

ロン・シンクレアはなんとパジェスの得意技、540フレア

をメイク、周囲を驚かせる。しかし、対戦相手のチャンピ

オンに一番近い男の1人、リーバイ・シャーウッドには届

かず、セミファイナルのチケットはシャーウッドの手に。

 パジェスvsストロングのセミファイナル一戦目。ストロ

ングはフロントフリップにワンハンドを加える気合いの入

りよう。しかしパジェスはキラートリックの数でも他を圧

倒。しかも今回の540はワンハンド。さすがのフロントフ

リップマスター、ストロングもパジェスの勢いには敵わず

ここで敗退となった。セミファイナル2戦目はダブルフリッ

プマスターのシーハンが登場。シャーウッドを打ち負か

し、シドニーラウンド連覇のためにもファイナルへのチ

ケットが欲しいところ。しかし途中またしても風の影響か、

東野と同じくK.O.Dフリップでクラッシュ。これでリズム

を崩し、リーバイにファイナルの席を譲ってしまった。そし

てファイナルはまさに今シーズンのタイトルを争う2人、

パジェスとシャーウッドの直接対決という、ファンにとっ

てこれ以上はないカードとなった。先攻のパジェスはこれ

まで以上の気迫のラン。今年の彼を象徴するキラーラン

になるかに見えたが、なんと得意のボルトで痛恨のクラッ

シュ。これもまた風の影響か?なんとか立て直そうとする

パジェスだが、リズムが戻らない。しかし諦めないパジェ

スはここで2009年以来封印していたバックフリップを

公の場で解禁!!そのアツいランに観衆は大声援を送るが、

ここでもオーバーローテーション、クラッシュ。流れを取

り戻す事はできず、シリーズチャンピオンには若干20歳

のシャーウッドが輝いた。もちろん彼のファイナルでのラ

ンもチャンピオンにふさわしい、大胆かつ安定感を合わせ

持つものであった。日本の英吾もシリーズランキング5位

に入り、コンディションが万全ではない中、来シーズンの

シード権を確保、大健闘をみせた。

red

bu

llco

nte

ntp

oo

l

SYDNEY

AUSTRALIASYDNEY

AUSTRALIA2012.10.62012.10.6

ROUND

06

red

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llco

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oo

l

030

厳しいコンディションをものともしない気迫のランは、早くも来シーズンチャンプ候補No.1の声を呼んだ。T・パジェス。

激戦の末、タイトルを手にしたシャーウッド。若き王者の誕生だ。

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Page 36: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

INSIDE MIND

Red Bull X-Fightersでスポットライトを浴びるのは、単に技術だけでなく、カリスマ性やスタイル、そして体力的にもシーズンを通して戦い抜くことができる、

本当の強さを持っていないと選抜の12人には残れない。昨シーズンのトップ6はシリーズのシード権を持っているので、

残った6枠を世界中のライダーが虎視眈々と狙っている。トップ3の独走か、それを阻止すべくベテランのいぶし銀や、

若手の勢いが上回るのか。もしくは突如現れたダークホースが突然化けることも十分にあり得る。

長いシーズン、誰が勝っても、何が起こってもおかしくない。今シーズンを賑わす、世界中のトップライダー達を改めて紹介していこう。

Photo : redbullcontentpool  Text : Hitoshi Kajino,wadaPOLICE

037

Page 37: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

INSIDE MIND

Red Bull X-Fightersでスポットライトを浴びるのは、単に技術だけでなく、カリスマ性やスタイル、そして体力的にもシーズンを通して戦い抜くことができる、

本当の強さを持っていないと選抜の12人には残れない。昨シーズンのトップ6はシリーズのシード権を持っているので、

残った6枠を世界中のライダーが虎視眈々と狙っている。トップ3の独走か、それを阻止すべくベテランのいぶし銀や、

若手の勢いが上回るのか。もしくは突如現れたダークホースが突然化けることも十分にあり得る。

長いシーズン、誰が勝っても、何が起こってもおかしくない。今シーズンを賑わす、世界中のトップライダー達を改めて紹介していこう。

Photo : redbullcontentpool  Text : Hitoshi Kajino,wadaPOLICE

037

Page 38: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

2009年、メキシコラウンドにワイルドカードで出場し、なんとそのまま優

勝を勝ち取るというセンセーショナルなデビューを飾ったシャーウッド。

当時17歳という年齢も手伝って全くの新人と思われがちだったが、地元

のコンテストやツアーでは充分な実績を残しており、満を持して、ともいえ

るデビューだった。最近FMXの解説でよく使われる”エクステンション”

という言葉は彼の登場後、急激に広がった。その言葉通り、彼のトリック

は通常の完成型からさらに伸びがあり、まるで別の技に見えてしまう程、

柔軟性が高い。そんな彼も2010~2011年とケガに悩まされたが、

2012年、パジェス達との接戦によるプレッシャーにも負けず、念願のシ

リーズタイトルを獲得。改めて実力を証明してみせた。今シーズンはディ

フェンディングチャンプとして、強敵との戦いにのぞむ。

比較的FMXでのキャリアは浅いパジェスだが、その内容は波瀾万丈

だ。2007年にメジャーシーンに登場後、世界で初めてダブルグラブ

バックフリップを成功させるなど急成長をみせたが、親友の事故や自

身のケガによりダメージを受け、一時メジャーシーンから姿を消して

しまう。同時に得意としていたバックフリップも封印してしまったが、

昨年のグレンヘレンラウンドにキラートリック『ボルト』をひっさげ、

Red Bull X-Fightersの舞台へ復活。それまでベストトリックコンテ

ストでのトリックと思われていたボルトをフリースタイルコンテストで

見事メイク。再び溢れる才能を開花させた。その後もスペシャルフリッ

プ、540フレアと、ミラクルトリックをマスター。やはりそれらをフリー

スタイルコンテストのルーティンに組み込んでくるところが、彼の才

能がただならない事を証明している。昨シーズンはリーバイ・シャー

ウッドとの激しいチャンピオン争いの末、惜しくもランキング2位と

なったが、今シーズン最もチャンピオンに近いライダーの一人だ。

比較的FMXでのキャリアは浅いパジェスだが、その内容は波瀾万丈

だ。2007年にメジャーシーンに登場後、世界で初めてダブルグラブ

バックフリップを成功させるなど急成長をみせたが、親友の事故や自

身のケガによりダメージを受け、一時メジャーシーンから姿を消して

しまう。同時に得意としていたバックフリップも封印してしまったが、

昨年のグレンヘレンラウンドにキラートリック『ボルト』をひっさげ、

Red Bull X-Fightersの舞台へ復活。それまでベストトリックコンテ

ストでのトリックと思われていたボルトをフリースタイルコンテストで

見事メイク。再び溢れる才能を開花させた。その後もスペシャルフリッ

プ、540フレアと、ミラクルトリックをマスター。やはりそれらをフリー

スタイルコンテストのルーティンに組み込んでくるところが、彼の才

能がただならない事を証明している。昨シーズンはリーバイ・シャー

ウッドとの激しいチャンピオン争いの末、惜しくもランキング2位と

なったが、今シーズン最もチャンピオンに近いライダーの一人だ。

LEVISHERWOOD

TOMPAGES

トム・パジェス

D.O.B : 1985.3.25HOME : FRANCEB I K E : YAMAHA YZ250リーバイ・シャーウッド

D.O.B : 1991.10.22HOME : NEWZEALANDB I K E : KTM 250SX 強く、そして熱いソウルフリースタイラー

新世代を代表するFMXライダーにして王者

2012 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

2012 Red Bull X-fighters シリーズ総合 2 位

Gra

em

e M

urr

ay/

Red

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t P

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Page 39: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

2009年、メキシコラウンドにワイルドカードで出場し、なんとそのまま優

勝を勝ち取るというセンセーショナルなデビューを飾ったシャーウッド。

当時17歳という年齢も手伝って全くの新人と思われがちだったが、地元

のコンテストやツアーでは充分な実績を残しており、満を持して、ともいえ

るデビューだった。最近FMXの解説でよく使われる”エクステンション”

という言葉は彼の登場後、急激に広がった。その言葉通り、彼のトリック

は通常の完成型からさらに伸びがあり、まるで別の技に見えてしまう程、

柔軟性が高い。そんな彼も2010~2011年とケガに悩まされたが、

2012年、パジェス達との接戦によるプレッシャーにも負けず、念願のシ

リーズタイトルを獲得。改めて実力を証明してみせた。今シーズンはディ

フェンディングチャンプとして、強敵との戦いにのぞむ。

比較的FMXでのキャリアは浅いパジェスだが、その内容は波瀾万丈

だ。2007年にメジャーシーンに登場後、世界で初めてダブルグラブ

バックフリップを成功させるなど急成長をみせたが、親友の事故や自

身のケガによりダメージを受け、一時メジャーシーンから姿を消して

しまう。同時に得意としていたバックフリップも封印してしまったが、

昨年のグレンヘレンラウンドにキラートリック『ボルト』をひっさげ、

Red Bull X-Fightersの舞台へ復活。それまでベストトリックコンテ

ストでのトリックと思われていたボルトをフリースタイルコンテストで

見事メイク。再び溢れる才能を開花させた。その後もスペシャルフリッ

プ、540フレアと、ミラクルトリックをマスター。やはりそれらをフリー

スタイルコンテストのルーティンに組み込んでくるところが、彼の才

能がただならない事を証明している。昨シーズンはリーバイ・シャー

ウッドとの激しいチャンピオン争いの末、惜しくもランキング2位と

なったが、今シーズン最もチャンピオンに近いライダーの一人だ。

比較的FMXでのキャリアは浅いパジェスだが、その内容は波瀾万丈

だ。2007年にメジャーシーンに登場後、世界で初めてダブルグラブ

バックフリップを成功させるなど急成長をみせたが、親友の事故や自

身のケガによりダメージを受け、一時メジャーシーンから姿を消して

しまう。同時に得意としていたバックフリップも封印してしまったが、

昨年のグレンヘレンラウンドにキラートリック『ボルト』をひっさげ、

Red Bull X-Fightersの舞台へ復活。それまでベストトリックコンテ

ストでのトリックと思われていたボルトをフリースタイルコンテストで

見事メイク。再び溢れる才能を開花させた。その後もスペシャルフリッ

プ、540フレアと、ミラクルトリックをマスター。やはりそれらをフリー

スタイルコンテストのルーティンに組み込んでくるところが、彼の才

能がただならない事を証明している。昨シーズンはリーバイ・シャー

ウッドとの激しいチャンピオン争いの末、惜しくもランキング2位と

なったが、今シーズン最もチャンピオンに近いライダーの一人だ。

LEVISHERWOOD

TOMPAGES

トム・パジェス

D.O.B : 1985.3.25HOME : FRANCEB I K E : YAMAHA YZ250リーバイ・シャーウッド

D.O.B : 1991.10.22HOME : NEWZEALANDB I K E : KTM 250SX 強く、そして熱いソウルフリースタイラー

新世代を代表するFMXライダーにして王者

2012 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

2012 Red Bull X-fighters シリーズ総合 2 位

Gra

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Page 40: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

楽天市場店

OPENw w w. ra k u t e n . c o . j p / b a n z a i s t o re

red

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DANYTORRES

ダニー・トレスダニー・トレス

D.O.B : 1987.3.10HOME : SPAINB I K E : KTM 350 SX-F

D.O.B : 1987.3.10HOME : SPAINB I K E : KTM 350 SX-F

母国スペインの英雄

D.O.B : 1987.3.10HOME : SPAINB I K E : KTM 350 SX-F

Red Bull X-Fighters World Tour 2011シリーズチャンピオ

ンであり、同郷スペインのFMXレジェンド、エドガー・トロン

テラスの後継者とされ、母国での人気はマドリッド大会での

彼への声援を一度でも体験すればどれだけもの凄いものか、

一瞬で理解できるはず。2004年マドリッド大会でデビュー

後、2007年メキシコ大会で初優勝を飾る。その後ケガに悩

むが2009年マドリッド大会の復帰戦で優勝し、ドラマチッ

クな復活にファンはしびれた。そして11年には念願のタイト

ルを獲得し、間違いなくRed Bull X-fightersの顔といえるラ

イダーの1人と言える。

またスパニッシュらしく、ラン後の陽気なパフォーマンスも特

徴で、母国以外にもファンは多い。2012年ランキング3位。

Red Bull X-Fighters World Tour 2011シリーズチャンピオ

ンであり、同郷スペインのFMXレジェンド、エドガー・トロン

テラスの後継者とされ、母国での人気はマドリッド大会での

彼への声援を一度でも体験すればどれだけもの凄いものか、

一瞬で理解できるはず。2004年マドリッド大会でデビュー

後、2007年メキシコ大会で初優勝を飾る。その後ケガに悩

むが2009年マドリッド大会の復帰戦で優勝し、ドラマチッ

クな復活にファンはしびれた。そして11年には念願のタイト

ルを獲得し、間違いなくRed Bull X-fightersの顔といえるラ

イダーの1人と言える。

またスパニッシュらしく、ラン後の陽気なパフォーマンスも特

徴で、母国以外にもファンは多い。2012年ランキング3位。

2011 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

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Page 41: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

楽天市場店

OPENw w w. ra k u t e n . c o . j p / b a n z a i s t o re

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DANYTORRES

ダニー・トレスダニー・トレス

D.O.B : 1987.3.10HOME : SPAINB I K E : KTM 350 SX-F

D.O.B : 1987.3.10HOME : SPAINB I K E : KTM 350 SX-F

母国スペインの英雄

D.O.B : 1987.3.10HOME : SPAINB I K E : KTM 350 SX-F

Red Bull X-Fighters World Tour 2011シリーズチャンピオ

ンであり、同郷スペインのFMXレジェンド、エドガー・トロン

テラスの後継者とされ、母国での人気はマドリッド大会での

彼への声援を一度でも体験すればどれだけもの凄いものか、

一瞬で理解できるはず。2004年マドリッド大会でデビュー

後、2007年メキシコ大会で初優勝を飾る。その後ケガに悩

むが2009年マドリッド大会の復帰戦で優勝し、ドラマチッ

クな復活にファンはしびれた。そして11年には念願のタイト

ルを獲得し、間違いなくRed Bull X-fightersの顔といえるラ

イダーの1人と言える。

またスパニッシュらしく、ラン後の陽気なパフォーマンスも特

徴で、母国以外にもファンは多い。2012年ランキング3位。

Red Bull X-Fighters World Tour 2011シリーズチャンピオ

ンであり、同郷スペインのFMXレジェンド、エドガー・トロン

テラスの後継者とされ、母国での人気はマドリッド大会での

彼への声援を一度でも体験すればどれだけもの凄いものか、

一瞬で理解できるはず。2004年マドリッド大会でデビュー

後、2007年メキシコ大会で初優勝を飾る。その後ケガに悩

むが2009年マドリッド大会の復帰戦で優勝し、ドラマチッ

クな復活にファンはしびれた。そして11年には念願のタイト

ルを獲得し、間違いなくRed Bull X-fightersの顔といえるラ

イダーの1人と言える。

またスパニッシュらしく、ラン後の陽気なパフォーマンスも特

徴で、母国以外にもファンは多い。2012年ランキング3位。

2011 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

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Page 42: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

ネイト・アダムス

D.O.B : 1984.3.29HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

ザ・デストロイヤー2009 , 2010 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

JAVIERVILLEGAS

ハビエル・ビレガスハビエル・ビレガス

D.O.B : 1983.8.12HOME : CHILEBIKE : YAMAHA YZ250

D.O.B : 1983.8.12HOME : CHILEBIKE : YAMAHA YZ250

南米からの新勢力2012 Red Bull X-fighters 4 位

ROBADELBERG

ロブ・アデルバーグロブ・アデルバーグ

D.O.B : 1988.11.7HOME : AUSTRALIABIKE : YAMAHA YZ250

D.O.B : 1988.11.7HOME : AUSTRALIABIKE : YAMAHA YZ250

若さと充分なキャリアをあわせ持つ新世代オージー

Red Bull X-fighters 2012 Dubai 2位

MAIKELMELERO

マイケル・メレロ

D.O.B : 1988.1.25HOME : SPAINB I K E : KTM 250SX

英雄D.Tに続く次世代スパニッシュRed Bull X-fighters 2012 Madrid 3位

ANDREVILLA

D.O.B : 1982.4.27HOME : NorwayB I K E : KAWASAKI KX450F

アンドレ・ビラアンドレ・ビラ

あくなき”強さ”への追求者2010 Red Bull X-fighters 2位

JOSHSHEEHANジョシュ・シーハンジョシュ・シーハン

オセアニアの脅威Red Bull X-fighters 2011 Sydny 優勝

DAICESUZUKI

鈴木大助

D.O.B : 1981.2.25HOME : JAPANB I K E : YAMAHA YZ250

唯一無二のスタイルをもつジャパニーズフリースタイラー

2010 Red Bull X-Fighters Giza 初出場

BLAKEWILLIAMS

ブレイク・ウィリアムス

D.O.B : 1985.4.4HOME : AUSTRALIAB I K E : KTM 350SX-F

D.O.B : 1985.4.4HOME : AUSTRALIAB I K E : KTM 350SX-F

温和な表情からは想像出来ないダイナミックなライディング

2009 X-GAMES MOTO-X Freestyle 優勝

MATTREBEAUD

マット・レボー

D.O.B : 1982.7.29HOME : SWITZERLANDB I K E : KTM 250SX

ケガからの再起にかける今シーズン2008 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

JACKSONSTRONGジャクソン・ストロングジャクソン・ストロング

D.O.B : 1991.11.4HOME : AUSTRALIAB I K E : YAMAHA YZ250

D.O.B : 1991.11.4HOME : AUSTRALIAB I K E : YAMAHA YZ250

Mrベストトリックがフリースタイルを圧巻する2011,2012X-GAMES MOTO-X Best Trick 優勝

ADAMJONES

アダム・ジョーンズ

D.O.B : 1984.7.23HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

アダム・ジョーンズ

D.O.B : 1984.7.23HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

最強のアメリカンコンペティター2007 X-GAMES MOTO-X Freestyle 優勝Red Bull X-fighters 2010 Giza 優勝

TODDPOTTER

トッド・ポーター

D.O.B : 1984.8.9HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

トッド・ポーター

D.O.B : 1984.8.9HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

FMXの故郷、テメキュラのベストウィッパー2012 Red Bull X-fighters 6位

D.O.B : 1986.2.27HOME : AUSTRALIABIKE : HONDA CRF450R

D.O.B : 1986.2.27HOME : AUSTRALIABIKE : HONDA CRF450R

NATEADAMS

Page 43: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

ネイト・アダムス

D.O.B : 1984.3.29HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

ザ・デストロイヤー2009 , 2010 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

JAVIERVILLEGAS

ハビエル・ビレガスハビエル・ビレガス

D.O.B : 1983.8.12HOME : CHILEBIKE : YAMAHA YZ250

D.O.B : 1983.8.12HOME : CHILEBIKE : YAMAHA YZ250

南米からの新勢力2012 Red Bull X-fighters 4 位

ROBADELBERG

ロブ・アデルバーグロブ・アデルバーグ

D.O.B : 1988.11.7HOME : AUSTRALIABIKE : YAMAHA YZ250

D.O.B : 1988.11.7HOME : AUSTRALIABIKE : YAMAHA YZ250

若さと充分なキャリアをあわせ持つ新世代オージー

Red Bull X-fighters 2012 Dubai 2位

MAIKELMELERO

マイケル・メレロ

D.O.B : 1988.1.25HOME : SPAINB I K E : KTM 250SX

英雄D.Tに続く次世代スパニッシュRed Bull X-fighters 2012 Madrid 3位

ANDREVILLA

D.O.B : 1982.4.27HOME : NorwayB I K E : KAWASAKI KX450F

アンドレ・ビラアンドレ・ビラ

あくなき”強さ”への追求者2010 Red Bull X-fighters 2位

JOSHSHEEHANジョシュ・シーハンジョシュ・シーハン

オセアニアの脅威Red Bull X-fighters 2011 Sydny 優勝

DAICESUZUKI

鈴木大助

D.O.B : 1981.2.25HOME : JAPANB I K E : YAMAHA YZ250

唯一無二のスタイルをもつジャパニーズフリースタイラー

2010 Red Bull X-Fighters Giza 初出場

BLAKEWILLIAMS

ブレイク・ウィリアムス

D.O.B : 1985.4.4HOME : AUSTRALIAB I K E : KTM 350SX-F

D.O.B : 1985.4.4HOME : AUSTRALIAB I K E : KTM 350SX-F

温和な表情からは想像出来ないダイナミックなライディング

2009 X-GAMES MOTO-X Freestyle 優勝

MATTREBEAUD

マット・レボー

D.O.B : 1982.7.29HOME : SWITZERLANDB I K E : KTM 250SX

ケガからの再起にかける今シーズン2008 Red Bull X-fighters シリーズチャンピオン

JACKSONSTRONGジャクソン・ストロングジャクソン・ストロング

D.O.B : 1991.11.4HOME : AUSTRALIAB I K E : YAMAHA YZ250

D.O.B : 1991.11.4HOME : AUSTRALIAB I K E : YAMAHA YZ250

Mrベストトリックがフリースタイルを圧巻する2011,2012X-GAMES MOTO-X Best Trick 優勝

ADAMJONES

アダム・ジョーンズ

D.O.B : 1984.7.23HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

アダム・ジョーンズ

D.O.B : 1984.7.23HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

最強のアメリカンコンペティター2007 X-GAMES MOTO-X Freestyle 優勝Red Bull X-fighters 2010 Giza 優勝

TODDPOTTER

トッド・ポーター

D.O.B : 1984.8.9HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

トッド・ポーター

D.O.B : 1984.8.9HOME : USAB I K E : HONDA CRF450R

FMXの故郷、テメキュラのベストウィッパー2012 Red Bull X-fighters 6位

D.O.B : 1986.2.27HOME : AUSTRALIABIKE : HONDA CRF450R

D.O.B : 1986.2.27HOME : AUSTRALIABIKE : HONDA CRF450R

NATEADAMS

Page 44: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

D.O.B : 1985.3.13HOME : JAPANB I K E : YAMAHA YZ250

 渡米6シーズン目に突入した今年は、至って順調なス

タートを切った。昨年、夏のX-GAMESまではとにかく集

中の日々が続いた。技術だけでなく心の充実があってこ

そのライディングだが、やはり体は極限の状態だった。

 一旦頭からバイクを切り離したものの、体はバイクを求

めていたと言う。間もなく全米ツアーのショーも封を切

り、パフォーマンスをしながら感覚を取りもどしていった。

Red Bull X-Fightersのグレンヘレン戦からのワイルド

カードが決定していた。

 拠点にしている南カリフォルニア、テメキュラに念願の

マイホームも購入し、プロFMXライダーとしての人生を謳

歌している、そんな幸せの最中、東野にとって最も大きな

存在である佐藤英吾、急逝のニュース。一気にどん底に

突き落とされた。

「FMXでは誰もが経験をするクラッシュによって、彼は亡く

なってしまった。その事実をしっかり受け止めて、これから

TAKAHIGASHINO

東野貴行

世界のFMX史にその名を刻んだジャパニーズライダー

2012 X-GAMES MOTO-X Freestyle 優勝2012 X-GAMES MOTO-X Best Trick 2位

も真剣にこのスポーツと向き合っていきたい。僕が思うの

は、大切なのはいかに本気でこのスポーツと向き合うか」

 怪我の恐怖に怯え、練習を控えるのではなく、怖さを無

くす為に練習をする。このスポーツは全てが感覚だ、と東

野は言う。研ぎすまされた感覚を維持するには毎日のラ

イディングが必須になる。ただ、それはストイックに乗り

込む従来のトレーニングではなく、バイクに乗る楽しさを

味わうことで自然と取り戻す事が出来た。

「もう乗るとか乗らんじゃなく、単純に好きやから乗ってる

んですよね。誰に言われるわけでも無く、ただうまくなりた

い理由だけで乗っています。乗りこんで自分に足りひんと

ころを探して、自分の中で解決しながら・・・そこは遊びの

感覚なんですけど」

 いよいよ東野の目に光が灯った。

 Red Bull X-Fightersグレンヘレン大会は大阪大会の

20日前。大阪決戦の前哨戦というにはいきなりスケール

が大きすぎるが、そのスケールすら気にさせない強さを、

今の東野は備えている。完全に格上の風格が漂っている。

「グレンヘレンは素直に楽しむ。これからも結果より、自分

の出来にこだわりたい。これだけ言えるのは、ジャッジの

評価だけに惑わされて、自分を表現が出来ない走りだけは

したくないです」

 そして迎える、6月1日は地元開催の大阪ラウンド。い

よいよ、という気持ちはある。亡き友の想いも誰よりわ

かっているつもりだ。大きく。自由に。そして楽しむ。

「最近、やっとバイクも出来てきて、いよいよ本気モードっ

て感じですね。いろんな期待もあるので、それに応えれる

ように全開で攻めたいですね。果たしてどこまで行けるか

わからないですけど、とりあえず最低は表彰台を狙えたら

なって思います。エイゴくんと一緒に頑張ります」

 大阪城でRed Bull X-Fightersを観たキッズたちが、将

来FMXに興味を持って、その中から世界を相手に戦うライ

ダーが現れたりでもすれば、この大会の役割はとても大き

なものだ。この世界へ本気で飛び込む勇気のあるライダー

がいれば、東野は心から受け入れたいと笑顔で答えた。

「僕はこのスポーツに出会えたことを誇りに思います。

FMXが僕の人生の支えや希望にもなってます。本当に好

きで始めたいなら、まずは行動に移してみてください。無

理かなと思っていても好きでやりたいならとことんやって

みてください。本気なら何もかも、道は少しづつ開いていき

ます。大切なのは本気。今を楽しむ為に乗るのでは無く、

未来の為に今を犠牲に出来る人が上に上がって行くと思

います。早く次の世代が現れて、抜かれないかヒヤヒヤし

たいです(笑)」

 6月1日が待ち遠しい。

これまで語られてこなかった東野貴行、今後の決意。

21歳で故郷の大阪から単身アメリカへ渡り、それから5年後にはX-GAMESフリースタイル部門でゴールドメダルを獲得。同年、オフロード名門雑誌TRANS WORLD MOTOCROSSにおいて『Rider of the year』を獲得。日本人ライダーとして異例づくしの記録と実績を持ち、アメリカのセレブたちとも交流が深い。

Photo & Text: Hitoshi Kajino

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D.O.B : 1985.3.13HOME : JAPANB I K E : YAMAHA YZ250

 渡米6シーズン目に突入した今年は、至って順調なス

タートを切った。昨年、夏のX-GAMESまではとにかく集

中の日々が続いた。技術だけでなく心の充実があってこ

そのライディングだが、やはり体は極限の状態だった。

 一旦頭からバイクを切り離したものの、体はバイクを求

めていたと言う。間もなく全米ツアーのショーも封を切

り、パフォーマンスをしながら感覚を取りもどしていった。

Red Bull X-Fightersのグレンヘレン戦からのワイルド

カードが決定していた。

 拠点にしている南カリフォルニア、テメキュラに念願の

マイホームも購入し、プロFMXライダーとしての人生を謳

歌している、そんな幸せの最中、東野にとって最も大きな

存在である佐藤英吾、急逝のニュース。一気にどん底に

突き落とされた。

「FMXでは誰もが経験をするクラッシュによって、彼は亡く

なってしまった。その事実をしっかり受け止めて、これから

TAKAHIGASHINO

東野貴行

世界のFMX史にその名を刻んだジャパニーズライダー

2012 X-GAMES MOTO-X Freestyle 優勝2012 X-GAMES MOTO-X Best Trick 2位

も真剣にこのスポーツと向き合っていきたい。僕が思うの

は、大切なのはいかに本気でこのスポーツと向き合うか」

 怪我の恐怖に怯え、練習を控えるのではなく、怖さを無

くす為に練習をする。このスポーツは全てが感覚だ、と東

野は言う。研ぎすまされた感覚を維持するには毎日のラ

イディングが必須になる。ただ、それはストイックに乗り

込む従来のトレーニングではなく、バイクに乗る楽しさを

味わうことで自然と取り戻す事が出来た。

「もう乗るとか乗らんじゃなく、単純に好きやから乗ってる

んですよね。誰に言われるわけでも無く、ただうまくなりた

い理由だけで乗っています。乗りこんで自分に足りひんと

ころを探して、自分の中で解決しながら・・・そこは遊びの

感覚なんですけど」

 いよいよ東野の目に光が灯った。

 Red Bull X-Fightersグレンヘレン大会は大阪大会の

20日前。大阪決戦の前哨戦というにはいきなりスケール

が大きすぎるが、そのスケールすら気にさせない強さを、

今の東野は備えている。完全に格上の風格が漂っている。

「グレンヘレンは素直に楽しむ。これからも結果より、自分

の出来にこだわりたい。これだけ言えるのは、ジャッジの

評価だけに惑わされて、自分を表現が出来ない走りだけは

したくないです」

 そして迎える、6月1日は地元開催の大阪ラウンド。い

よいよ、という気持ちはある。亡き友の想いも誰よりわ

かっているつもりだ。大きく。自由に。そして楽しむ。

「最近、やっとバイクも出来てきて、いよいよ本気モードっ

て感じですね。いろんな期待もあるので、それに応えれる

ように全開で攻めたいですね。果たしてどこまで行けるか

わからないですけど、とりあえず最低は表彰台を狙えたら

なって思います。エイゴくんと一緒に頑張ります」

 大阪城でRed Bull X-Fightersを観たキッズたちが、将

来FMXに興味を持って、その中から世界を相手に戦うライ

ダーが現れたりでもすれば、この大会の役割はとても大き

なものだ。この世界へ本気で飛び込む勇気のあるライダー

がいれば、東野は心から受け入れたいと笑顔で答えた。

「僕はこのスポーツに出会えたことを誇りに思います。

FMXが僕の人生の支えや希望にもなってます。本当に好

きで始めたいなら、まずは行動に移してみてください。無

理かなと思っていても好きでやりたいならとことんやって

みてください。本気なら何もかも、道は少しづつ開いていき

ます。大切なのは本気。今を楽しむ為に乗るのでは無く、

未来の為に今を犠牲に出来る人が上に上がって行くと思

います。早く次の世代が現れて、抜かれないかヒヤヒヤし

たいです(笑)」

 6月1日が待ち遠しい。

これまで語られてこなかった東野貴行、今後の決意。

21歳で故郷の大阪から単身アメリカへ渡り、それから5年後にはX-GAMESフリースタイル部門でゴールドメダルを獲得。同年、オフロード名門雑誌TRANS WORLD MOTOCROSSにおいて『Rider of the year』を獲得。日本人ライダーとして異例づくしの記録と実績を持ち、アメリカのセレブたちとも交流が深い。

Photo & Text: Hitoshi Kajino

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Page 47: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition
Page 48: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

5. GRAB HOLE

FMXバイクの最も特徴的なモディファイの一つが、グラブホールと呼ばれるサイドゼッケンにあけられた穴だ。その名称のとおり、シートをつかむ為のモディファイで写真ではさらに滑り止めのラバーを追加している。

6. SIDE NO' PANEL

通常のモトクロスレーシングではゼッケンNoの為のスペースだが、FMXではそれを必要としないため、スポンサーロゴを露出する絶好の場所となる。そのレイアウトの仕方等も含め、この部分は各ライダーの個性が表れる部分だ。

4. SEAT

FMXバイクでシートを薄く削るモディファイの目的は足付きを良くする為ではなく、シートをつかみやすくする為だ。よってグラブホール加工とセットで行われる。

7. FOOT PEG

ジャンプで踏み切る際のバイクへの加重や、空中でのトリックでもバイクコントロールの要となるフットペグ。FMXバイクのそれはよりワイドでコントローラブルなものが使用される。

1. FLIP LEVER

FMXはその特殊性から、使用するバイクにも独特のモディファイが施されている。もちろんライダー個々によって異なる部分もあるが、ここでは代表的な例を紹介する。

ここ数年で飛躍的な進化を遂げたバックフリップコンビネーショントリックに大きく貢献しているのが、このフリップレバーと呼ばれるパーツ。空中で大きく身体と離れたバイクに戻りやすくする為のもの。写真は折り畳んだ状態。

KTM 250SXSHERWOOD'SLEVI

外観の変化は全くないが、FMXバイクのサスペンションはレーシングバイクに比べ、極端に硬いセッティングが施されている。通常ではありえないビッグジャンプからの着地で、その衝撃に対応する為で、これもFMXバイクではマストなモディファイだ。

サイドゼッケンスペース同様、シュラウド、フロントフェンダー、リアフェンダーといった外装部品もライダーそれぞれの個性を表現するキャンバスとなる。スポンサーロゴを含めたそのグラフィックデザインは、FMXが他のモータースポーツと趣を異にすることが感じ取れる部分だ。

8. SUSPENSION

1

2

3

4

5 6

7

8サイドゼッケン

グラブホールシート

フットペグ

サスペンション

9. ORIGINAL GRAPHICオリジナル グラフィック

2. HANDLE BAR

空中でのコントロール性を重視したポジション(乗車姿勢)をとるため、FMX仕様のバイクのハンドルバーは通常のレーシングバイクに比べ、かなりハイト(高さ)のあるものを使用する場合が多い。

ハンドルバー

フリップレバー 3. STEERING DAMPER

空中でハンドルバーから完全に手を離すトリックや、ハンドルを握らないまま着地するノーハンドランディング時に不意にハンドルが切れてしまわないよう安定させる為のパーツ。

ステアリングダンパー

FMXバイクの特徴

048 049

Page 49: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

5. GRAB HOLE

FMXバイクの最も特徴的なモディファイの一つが、グラブホールと呼ばれるサイドゼッケンにあけられた穴だ。その名称のとおり、シートをつかむ為のモディファイで写真ではさらに滑り止めのラバーを追加している。

6. SIDE NO' PANEL

通常のモトクロスレーシングではゼッケンNoの為のスペースだが、FMXではそれを必要としないため、スポンサーロゴを露出する絶好の場所となる。そのレイアウトの仕方等も含め、この部分は各ライダーの個性が表れる部分だ。

4. SEAT

FMXバイクでシートを薄く削るモディファイの目的は足付きを良くする為ではなく、シートをつかみやすくする為だ。よってグラブホール加工とセットで行われる。

7. FOOT PEG

ジャンプで踏み切る際のバイクへの加重や、空中でのトリックでもバイクコントロールの要となるフットペグ。FMXバイクのそれはよりワイドでコントローラブルなものが使用される。

1. FLIP LEVER

FMXはその特殊性から、使用するバイクにも独特のモディファイが施されている。もちろんライダー個々によって異なる部分もあるが、ここでは代表的な例を紹介する。

ここ数年で飛躍的な進化を遂げたバックフリップコンビネーショントリックに大きく貢献しているのが、このフリップレバーと呼ばれるパーツ。空中で大きく身体と離れたバイクに戻りやすくする為のもの。写真は折り畳んだ状態。

KTM 250SXSHERWOOD'SLEVI

外観の変化は全くないが、FMXバイクのサスペンションはレーシングバイクに比べ、極端に硬いセッティングが施されている。通常ではありえないビッグジャンプからの着地で、その衝撃に対応する為で、これもFMXバイクではマストなモディファイだ。

サイドゼッケンスペース同様、シュラウド、フロントフェンダー、リアフェンダーといった外装部品もライダーそれぞれの個性を表現するキャンバスとなる。スポンサーロゴを含めたそのグラフィックデザインは、FMXが他のモータースポーツと趣を異にすることが感じ取れる部分だ。

8. SUSPENSION

1

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3

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5 6

7

8サイドゼッケン

グラブホールシート

フットペグ

サスペンション

9. ORIGINAL GRAPHICオリジナル グラフィック

2. HANDLE BAR

空中でのコントロール性を重視したポジション(乗車姿勢)をとるため、FMX仕様のバイクのハンドルバーは通常のレーシングバイクに比べ、かなりハイト(高さ)のあるものを使用する場合が多い。

ハンドルバー

フリップレバー 3. STEERING DAMPER

空中でハンドルバーから完全に手を離すトリックや、ハンドルを握らないまま着地するノーハンドランディング時に不意にハンドルが切れてしまわないよう安定させる為のパーツ。

ステアリングダンパー

FMXバイクの特徴

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ここでは現在のFMXにおいて使用頻度の高い、ベーシックとも呼べる11のトリックを挙げてみた。しかし、その中には高難易度のフリップコンボも含まれてしまうことに、近年のFMXがいかに進化しているのかを感じてもらいたい。

バイクを地面と水平、あるいはそれ以上に寝かし込み、さらに横方

向にもひねりを加える、FMXのルーツとも言え、ライダーそれぞれ

のスタイルが色濃く表れるとても奥が深いトリック。いかにウイッ

プがスタイリッシュか?だけを競うコンテストさえあるほど。

WHIP

9NAC ナインナック

バイクにまたがった状態から後ろ回し蹴り

の様な動作で片足を逆サイドまでもってい

く”ナックナック”からさらに身体を大きく

の伸ばし、バイクと身体の位置関係が時

計の9時を指す長針と短針の様である事

から”9 O’clock nacnac”と呼ばれるト

リックで、略称9ナック。

空中でバイクのフロントフェン

ダーにキスをするかの様に頭部

を近づける”フェンダーキス”の

進化型で、さらにバイクの上に逆

立ちする姿勢になり、フロント

フェンダーにライダーの頭部が

接するほど近づくことから、付い

た名前が”Kiss of Deth”(死の

キス)。通称K.O.Dだ。

ケーオーディー

ウィップ

KOD

11

051

Page 52: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

9NAC

一方の腕でハンドル、もう一方の腕でシートをつかみ、ま

るで逆立ちするかのように空にむかって身体を大きく伸

ばす”ハートアタック”をバックフリップ中に行う高難易

度フリップコンビネーショントリックのひとつ。コンテス

トで高得点をマークするには欠かせないトリックだ。

HART ATTACKFLIP

ハンドルバーを握った両腕の間から両足を大きく前方に

突き出し、そのまま仰向けの状態でバイクと体が平行、

あるいはそれ以上になるトリック。まるで棺のなかで眠

るかのような姿勢になることからこの名前が付いた。

バックフリップよりも水平方向に近い軌道で回転するトリック。

BMXの360の様に完全に水平方向=横回転ではないため、よ

り3D的な、複雑な動きを見せる。さらには着地姿勢をとる事が

非常に難しく、かなりの高難易度トリック。

360ただでさえ”死のキス”と呼ばれる大技を

バックフリップ中に行う強烈なインパク

トを放つ大技。通常のKODはバイクの

上に逆立ちするような姿勢になるが、バッ

クフリップ中には当然アップサイドダウン

となるため、今度はまるでバイクを両腕で

持ち上げているような姿勢になる。

KOD FLIP

ハンドルバーを両手で握ったまま、身体を大きく横方

向に伸ばす”9ナック”から片手をはなし、身体をさら

にバイクから大きく離すトリック。日本の釘村孝太選

手が完成させた、彼のシグネチャートリックで、今で

は世界のトップライダー達がが取り入れている。

AIRPLANE

ウイップのバリエーションのひとつだが、ウイップがバイクを寝かし

込むのに対し、ターンダウンはバイクを垂直に保ったまま、大きく横

方向にバイクを振るトリック。時にはバイクが進行方向とは完全に

逆を向くことさえある。

TURN DOWN

ロックソリッド

ターンダウン

ケーオーディー フリップ

スリーシックスティ

エアプレーン

ハートアタック フリップ

デッドボディ

両手でシートをつかみ、体を大きく伸ば

す”ダブルグラブ”の状態から一気に両手

を大きく左右に広げるトリック。空中で

体とバイクは完全に離れる大技だ。

ROCK SOLID

DEAD BODY

CLIFF HANGERクリフハンガー

両足の甲の部分でハンドルバーを

下から支え、そのまま体を天に向

かって大きく伸ばす、日本人から見

ればまるでバンザイをしているかの

ような姿勢になるトリック。

052 053

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9NAC

一方の腕でハンドル、もう一方の腕でシートをつかみ、ま

るで逆立ちするかのように空にむかって身体を大きく伸

ばす”ハートアタック”をバックフリップ中に行う高難易

度フリップコンビネーショントリックのひとつ。コンテス

トで高得点をマークするには欠かせないトリックだ。

HART ATTACKFLIP

ハンドルバーを握った両腕の間から両足を大きく前方に

突き出し、そのまま仰向けの状態でバイクと体が平行、

あるいはそれ以上になるトリック。まるで棺のなかで眠

るかのような姿勢になることからこの名前が付いた。

バックフリップよりも水平方向に近い軌道で回転するトリック。

BMXの360の様に完全に水平方向=横回転ではないため、よ

り3D的な、複雑な動きを見せる。さらには着地姿勢をとる事が

非常に難しく、かなりの高難易度トリック。

360ただでさえ”死のキス”と呼ばれる大技を

バックフリップ中に行う強烈なインパク

トを放つ大技。通常のKODはバイクの

上に逆立ちするような姿勢になるが、バッ

クフリップ中には当然アップサイドダウン

となるため、今度はまるでバイクを両腕で

持ち上げているような姿勢になる。

KOD FLIP

ハンドルバーを両手で握ったまま、身体を大きく横方

向に伸ばす”9ナック”から片手をはなし、身体をさら

にバイクから大きく離すトリック。日本の釘村孝太選

手が完成させた、彼のシグネチャートリックで、今で

は世界のトップライダー達がが取り入れている。

AIRPLANE

ウイップのバリエーションのひとつだが、ウイップがバイクを寝かし

込むのに対し、ターンダウンはバイクを垂直に保ったまま、大きく横

方向にバイクを振るトリック。時にはバイクが進行方向とは完全に

逆を向くことさえある。

TURN DOWN

ロックソリッド

ターンダウン

ケーオーディー フリップ

スリーシックスティ

エアプレーン

ハートアタック フリップ

デッドボディ

両手でシートをつかみ、体を大きく伸ば

す”ダブルグラブ”の状態から一気に両手

を大きく左右に広げるトリック。空中で

体とバイクは完全に離れる大技だ。

ROCK SOLID

DEAD BODY

CLIFF HANGERクリフハンガー

両足の甲の部分でハンドルバーを

下から支え、そのまま体を天に向

かって大きく伸ばす、日本人から見

ればまるでバンザイをしているかの

ような姿勢になるトリック。

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Page 54: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

バイクの上で身体だけバックフリップする、最先端トリック。BMX

のスペシャル・グレッグ・パウエル選手が世界で最初に成功させた

為、この名がついた。

SPECIAL FLIP スペシャルフリップRIDER: Tom Pages

5過去の時代では最先端トリックに賛否両論はつきものだった。いわゆるスタイリッシュか否か?という論争だ。もちろんそれは今でも皆無ではないが、よりスタイリッシュな、しかし、度肝を抜くニュートリックが生まれ続けている。そのバランスも重要な進化の一つだ。

055

Page 55: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

バイクの上で身体だけバックフリップする、最先端トリック。BMX

のスペシャル・グレッグ・パウエル選手が世界で最初に成功させた

為、この名がついた。

SPECIAL FLIP スペシャルフリップRIDER: Tom Pages

5過去の時代では最先端トリックに賛否両論はつきものだった。いわゆるスタイリッシュか否か?という論争だ。もちろんそれは今でも皆無ではないが、よりスタイリッシュな、しかし、度肝を抜くニュートリックが生まれ続けている。そのバランスも重要な進化の一つだ。

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Page 56: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

Pre

dra

g V

ucko

vic

/Red

Bu

ll X

-Fig

hte

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Dan

iel G

run

d/R

ed

Bu

ll Co

nte

nt P

oo

l

Hit

osh

i K

ajin

o

その名の通り、空中で後方に2回転するトリック。スーパーキッカー

と呼ばれる、より角度のついたランプを使用するため、かなりの高さが

出る大迫力トリック。

DOUBLE FLIP ダブルフリップRIDER: Cameron Sinclair

red

bu

llco

nte

ntp

oo

l

クォーターパイプと呼ばれる形状のランプ、あるいは

同様の地形を利用し、真上に飛び出すと同時にバイ

クごと一回転半 (540度 )し、真横のランディングに

着地するトリック。着地後、スタート地点に戻ってく

る形となるのが通常のトリックと大きく違う点だ。

FLARE フレアRIDER: Tom Pages

バイクの横で身体だけを横方向にスピンさせるト

リック。ライダーからバイクが見えなくなる瞬間があ

るため、よりタフな精神力も要求される。

VOLT ボルトRIDER: Robbie Maddison

フリップ中に両手でシートをつかむダブルグラブフリップから、さらに両手を

大きく離す、大技中の大技。現在メイクできるのは日本の東野貴行ただ1人。

ROCKSOLID FLIP ロックソリッドフリップRIDER: Taka Higashino

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その名の通り、空中で後方に2回転するトリック。スーパーキッカー

と呼ばれる、より角度のついたランプを使用するため、かなりの高さが

出る大迫力トリック。

DOUBLE FLIP ダブルフリップRIDER: Cameron Sinclair

red

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クォーターパイプと呼ばれる形状のランプ、あるいは

同様の地形を利用し、真上に飛び出すと同時にバイ

クごと一回転半 (540度 )し、真横のランディングに

着地するトリック。着地後、スタート地点に戻ってく

る形となるのが通常のトリックと大きく違う点だ。

FLARE フレアRIDER: Tom Pages

バイクの横で身体だけを横方向にスピンさせるト

リック。ライダーからバイクが見えなくなる瞬間があ

るため、よりタフな精神力も要求される。

VOLT ボルトRIDER: Robbie Maddison

フリップ中に両手でシートをつかむダブルグラブフリップから、さらに両手を

大きく離す、大技中の大技。現在メイクできるのは日本の東野貴行ただ1人。

ROCKSOLID FLIP ロックソリッドフリップRIDER: Taka Higashino

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Photo : Joerg Mitter/Red Bull X-Fighters

Rider : Adam Jones

ONE HAND HART ATTACK

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Photo : Joerg Mitter/Red Bull X-Fighters

Rider : Adam Jones

ONE HAND HART ATTACK

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STAGEBACK

会場近くにはこのようなオブジェも。観光者の記念撮影スポットとして、こういうところでも大会を盛り上げている。

本番前のパドックの中では、選手がコンセントレートを高める。緊張感が漂う。

BANZAI宮本in TEXAS。海外の顔出しパネルはリアルだ。

ライダーを支えるスポンサーの広告スペースとしても利用されるグラフィックに、自身の顔をプリント。B・ウィリアムス選手のジョーク。

大会後の楽しみと言えばアフターパーティ。過去にはプールサイドで開かれた事もある。ライダーたちの弾けっぷりもハンパじゃない。

セグウェイにステディカム(カメラのブレを抑える為の撮影用機材)を搭載して撮影するカメラマンを発見。競技撮影では最先端の技術を駆使する。

ライダーパドックも会場によって趣向が異なる。パドックの横にはライダーラウンジが隣接され、食事や会議、マッサージにTVゲームまで、ホスピタリティが充実しているのもこの大会のすごいところ。

過去のマドリッド大会で配布されていたフライヤー。大会の雰囲気が一目で伝わってくるデザインがいい。

ガレージ(パドック)セール?ライダーたちのいたずらがあちこちに垣間みれる。

あまりの改心のランに勢い余って頭から着地!というわけではなく、ビルコの一時流行ったパフォーマンスの起原。

大会前のシリアスなーシーンの撮影の合間に見えたモンスターライダーの2ショット。ん!?何かおかしいぞ?

アフターパーティになれば噂のTシャツ破り部隊が現れる。最初は嫌がるライダーも気がつけばこのように。さて、このライダーは誰でしょう?

ハンドルのバーパッドにはライダーのルーティンが書かれ、ここでも選手のスタイルが出てくる。しかし、こんな細かく書いて走りながら読めるのか?

手作りフラッグで応援するスペインのファン。大会の純粋な楽しみ方だ。

メキシコの会場付近でオープンしてたイリーガルストア。逆にレア感満載。日本では真似しないように!

メキシコ大会の会場である闘牛場はコンクリートの冷えたシートに運営側から気配りのザブトン。こういうアイテムがいいお土産になったりする。

ライダーからサインをもらうには色紙なんて野暮ったいことはしないほうがいい。Tシャツかキャップ、なければボトルに書いてもらうとコレクション価値は高くなる。

Photo & Text: Hitoshi Kajino

065064

都市型FMXコンテストRed Bull X-Fighters Red Bull X-Fightersは世界中を旅するFMXコンテストとし

て、これまで14カ国で開催され、今年は南アフリカと日本が新た

に開催地として加わった。

この大会の面白いところは、バックグラウンドもそうだが、その

国々のカルチャーが強烈に反映されているほど、より大会の雰囲

気も増して、その国の世界観を味わう事ができる。

 メキシコのマリアッチや、ローマの歴史遺跡もいいだろう。だ

が、ツアーガイドブックに載ってるような場所に行く事だけがすべ

てではない。テキサスは経験した事の無い暑さだけで十分だった

し、リオ・デ・ジャネイロでは夜になると銃声らしきものが聞こえ、

ホテルから外に出る事を止められたりした。郷に入っては郷に従

うスタイルで、いろいろ散々な目にも遭ってきた(笑)。

 Red Bull X-Fightersのライダーのホスピタリティは完璧だ。

空港からの移動は専用のハイヤーで、ホテルも5つ星がほとんど。

ライダーには御当地の土産物が用意され冷蔵庫を開けるとレッド

ブルは飲み放題(笑)。ライダーパドックもセット同様手抜きは無

く、横に隣接されたラウンジはライダーの休息の場として大いに

利用されている。こういう状態でライダーを迎えられる事が、彼ら

のパフォーマンスを最大限に引き出し、イベントそのものの価値

を上げているように思える。

 普段webキャストやテレビから映し出されるのは、ライダーのス

トイックなシーンや、真剣な表情ばかりが目につくが、ツアー前後

をじっくり観察してみると、そこにはいろんな表情を見せるもうひ

とつのRed Bull X-Fightersがある。

なかなか見ることができない大会の裏側を少しばかり紹介したい。

Page 65: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

STAGEBACK

会場近くにはこのようなオブジェも。観光者の記念撮影スポットとして、こういうところでも大会を盛り上げている。

本番前のパドックの中では、選手がコンセントレートを高める。緊張感が漂う。

BANZAI宮本in TEXAS。海外の顔出しパネルはリアルだ。

ライダーを支えるスポンサーの広告スペースとしても利用されるグラフィックに、自身の顔をプリント。B・ウィリアムス選手のジョーク。

大会後の楽しみと言えばアフターパーティ。過去にはプールサイドで開かれた事もある。ライダーたちの弾けっぷりもハンパじゃない。

セグウェイにステディカム(カメラのブレを抑える為の撮影用機材)を搭載して撮影するカメラマンを発見。競技撮影では最先端の技術を駆使する。

ライダーパドックも会場によって趣向が異なる。パドックの横にはライダーラウンジが隣接され、食事や会議、マッサージにTVゲームまで、ホスピタリティが充実しているのもこの大会のすごいところ。

過去のマドリッド大会で配布されていたフライヤー。大会の雰囲気が一目で伝わってくるデザインがいい。

ガレージ(パドック)セール?ライダーたちのいたずらがあちこちに垣間みれる。

あまりの改心のランに勢い余って頭から着地!というわけではなく、ビルコの一時流行ったパフォーマンスの起原。

大会前のシリアスなーシーンの撮影の合間に見えたモンスターライダーの2ショット。ん!?何かおかしいぞ?

アフターパーティになれば噂のTシャツ破り部隊が現れる。最初は嫌がるライダーも気がつけばこのように。さて、このライダーは誰でしょう?

ハンドルのバーパッドにはライダーのルーティンが書かれ、ここでも選手のスタイルが出てくる。しかし、こんな細かく書いて走りながら読めるのか?

手作りフラッグで応援するスペインのファン。大会の純粋な楽しみ方だ。

メキシコの会場付近でオープンしてたイリーガルストア。逆にレア感満載。日本では真似しないように!

メキシコ大会の会場である闘牛場はコンクリートの冷えたシートに運営側から気配りのザブトン。こういうアイテムがいいお土産になったりする。

ライダーからサインをもらうには色紙なんて野暮ったいことはしないほうがいい。Tシャツかキャップ、なければボトルに書いてもらうとコレクション価値は高くなる。

Photo & Text: Hitoshi Kajino

065064

都市型FMXコンテストRed Bull X-Fighters Red Bull X-Fightersは世界中を旅するFMXコンテストとし

て、これまで14カ国で開催され、今年は南アフリカと日本が新た

に開催地として加わった。

この大会の面白いところは、バックグラウンドもそうだが、その

国々のカルチャーが強烈に反映されているほど、より大会の雰囲

気も増して、その国の世界観を味わう事ができる。

 メキシコのマリアッチや、ローマの歴史遺跡もいいだろう。だ

が、ツアーガイドブックに載ってるような場所に行く事だけがすべ

てではない。テキサスは経験した事の無い暑さだけで十分だった

し、リオ・デ・ジャネイロでは夜になると銃声らしきものが聞こえ、

ホテルから外に出る事を止められたりした。郷に入っては郷に従

うスタイルで、いろいろ散々な目にも遭ってきた(笑)。

 Red Bull X-Fightersのライダーのホスピタリティは完璧だ。

空港からの移動は専用のハイヤーで、ホテルも5つ星がほとんど。

ライダーには御当地の土産物が用意され冷蔵庫を開けるとレッド

ブルは飲み放題(笑)。ライダーパドックもセット同様手抜きは無

く、横に隣接されたラウンジはライダーの休息の場として大いに

利用されている。こういう状態でライダーを迎えられる事が、彼ら

のパフォーマンスを最大限に引き出し、イベントそのものの価値

を上げているように思える。

 普段webキャストやテレビから映し出されるのは、ライダーのス

トイックなシーンや、真剣な表情ばかりが目につくが、ツアー前後

をじっくり観察してみると、そこにはいろんな表情を見せるもうひ

とつのRed Bull X-Fightersがある。

なかなか見ることができない大会の裏側を少しばかり紹介したい。

Page 66: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition
Page 67: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition
Page 68: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

GUIDEPhoto: Yusuke KashiwazakiText: wada POLICE

069068

DUBAI(UAE) 2013.4.12

2011年から開幕戦の会場として、熱戦が繰り広げら

れたジュメイラビーチから場所を移し、ダウンタウンに

あるブルジュ・アル・アラブの近くに特設会場が作られ

る予定だ。季節によっては砂嵐が絶え間なく吹き、昨

年大会は予選開催日が、決勝当日の午前に繰り越しに

なったほど。ライダーのコンディションにも影響を及ぼ

す風の存在に悩まされていたが、過去2大会ではドバ

イを制したライダーが、シリーズチャンプにまでなった

(※1)経緯を考えると、ここ、ドバイでの戦いも落とす

わけにはいかない。日本からは鈴木大助が参戦決定。

※1:2011勝者ダニー・トレス2012勝者 リーバイ・シャーウッド

●会場:ブルジュ・アル・アラブ近く特設会場●通貨:ディルハム●開催都市:ドバイ●市の人口:約193万人●季節:亜熱帯気候にして夏冬の二季

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GLEN HELEN

2013.5.11●会場:グレンヘレンレースウェイ●通貨:ドル●開催都市:カリフォルニア●市の人口:約3,730万人(カリフォルニア州)●季節:比較的暑い

昨年その姿を現し、ファンの度肝を抜いた超モンスタートラックがア

メリカ、グレンヘレン会場だ。ここは、AMAナショナルのコースとし

ても使用され、伝統あるカリフォルニアのモトクロスコース。ファン

なら馴染みの深い場所でもある。アメリカのオープンエリアを彷彿と

させる、最も大きく、そしてテクニックも要する難コースはアメリカらし

いレイアウトといえる。地元カリフォルニア出身のトッド・ポーターは

フリーライディングの才能をいかんなく発揮し、昨年度優勝。今年の

グレンヘレンもアメリカ勢が優性ではあるが、このラウンドから参戦

予定の東野貴行が暴れまくってくれることを期待しよう。

(USA)

bala

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Bu

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l

 いよいよ開幕を迎えたRed Bull X-Fighters World Tour

2013。その開幕戦メキシコラウンドは、普段とは異なるセレ

モニーで幕を開けた。開幕から一週間前、練習中のクラッシュ

により急逝してしまった佐藤英吾のための追悼セレモニー

だ。世界を代表する指折りのFMXライダーであり、Red Bull

X-Fightersを代表するライダーの一人だった彼を失った悲し

みはあまりにも大きすぎるが、彼が愛したフリースタイルモト

クロス、そしてRed Bull X-Fightersのさらなる発展を誓い、

会場にいた全員が最愛の友の冥福を祈った。

 そんな佐藤英吾追悼大会とも言える開幕戦メキシコラウン

ド、予選トップは昨シーズン数々のキラートリックをメイク、そ

して英吾とも特に親しかったトーマス・パジェスだ。大会数日

前に「日本のファミリーの為に、そして共に走る」と語った彼

は、以前自身のジャージと交換したという英吾のジャージを

身にまとい、予選を制覇。決勝へ万全の体制を整えた。

迎えた決勝当日、ロブ・アデルバーグは昨年からの勢いをここ

でも発揮、同郷の先輩格ジョシュ・シーハンを見事撃破、セミ

ファイナルへ進んだ。

アデルバーグ同様アップカマーのマイケル・メレロもスピード

感溢れるランを披露、最後はメキシコナショナルチームのサッ

カージャージで観客にアピールしたが、王者リーバイ・シャー

ウッドには届かず敗退となった。

ダニー・トレスvsトッド・ポーターはホームであるマドリッドと

よく似た環境を味方につけたトレスと、広大なフリーライド的

トラックを得意とするポーター。やはりポーターには分が悪

く、トレスがセミファイナルへ。

そしてRd.2最後に登場したパジェスは予選同様、英吾の

ジャージと共に走る。そのランはまるでファイナルのようにす

べてを出し切る渾身のラン、さらに彼の仕草ひとつひとつか

ら溢れる闘志が伝わる。

セミファイナル一戦目、シャーウッドとトレスの対戦も白熱。

王者らしく丁寧に、大胆なトリックを繰り出すシャーウッド。

しかし、トレスも得意の闘牛場トラックでいかんなく強みを発

揮、シャーウッドを破り、ファイナルへ。

残りの決勝の椅子を争うのはアデルバーグとパジェス。フ

リップコンボを連発、ファイナルを戦える力を見せたアデル

バーグ。しかし、パジェスはすべてのビッグトリックをスムース

に繋げるそのランで気迫を裏付ける圧倒的なスキルを証明。

心技体のすべてが異次元のパジェスに会場が最高の勝者を

讃える”WE ARE THE CHAMP”を大合唱、いよいよパジェ

スvsトレスのファイナルラウンドへ。

そのファイナルラウンド直前、トレスが日の丸をマントに会場

を一周。あらためて佐藤への追悼の意を表した。そして決戦

を前にパジェスと互いを讃えあう。それは対戦相手にではな

く、互いがこれから挑む限界への挑戦を励ますような、同士

のそれに見えた。英吾がよく口にした「FMXは相手でもない、

ジャッジでもない、自分との戦い」という言葉をこれから2人

が証明するかのようだ。

トレスのランからはじまったファイナル。トレスはここで自らを

プッシュ、初のダブルグラブフリップを披露、大喝采を浴び

た。そして大きく深呼吸、集中力を研ぎ澄ましたパジェスが登

場。会場はさらに大歓声の渦につつまれ、今夜最後のスー

パーランが始まる。そして予選から一切駆け引きなしのラン

が再度炸裂、スペシャルフリップ、360、ボルト、540フレアと

ビッグトリックの応酬に、会場は興奮のるつぼと化した。最後

にパジェスはランディング上で佐藤のジャージを高 と々掲げ、

ファイナルが終了。結果はトレスも笑顔で讃えるパジェスの

勝利。佐藤のジャージと共に勝利の美酒に酔うこととなった。

RESULT1. トム・パジェス (FRA)

2. ダニー・トレス (ESP)

3. リーバイ・シャーウッド (NZL)

4. ロブ・アデルバーグ (AUS)

5. ジョシュ・シーハン (AUS)

6. マイケル・メレロ (ESP)

7. トッド・ポーター (USA)

8. トルーマン・キャロル (AUS)

9. エリック・ルイス (MEX)

10. マーティン・コーレン (CZE)

11. アレックス・サルバンテス (MEX)

MEXICOTHE BATTLE STORY OF

RobAdelberg

1

2

3

4

JoshSheehan

MaikelMerelo

LeviSherwood

ToddPotter

DanyTorres

TrumanCarroll

ThomasPages

RobAdelberg

JoshSheehan

MaikelMerelo

LeviSherwood

ToddPotter

DanyTorres

ThomasPages

TrumanCarroll

RobAdelberg

LeviSherwood

DanyTorres

DanyTorres

ThomasPages

ThomasPages

TOURNAMENT

セミファイナルでの対戦も、前日の予選結果を考慮したものとなる。予選一位と二位がファイナルまで顔を合わせない為の配慮だが、それ故に予選も全力での戦いとなる

Red Bull X-fighters 2013開幕戦メキシコでの戦い

この見慣れた舞台で英吾がいないことには違和感を感じるが、それでも白熱する戦いを観て改めてこのシリーズのレベルの高さを感じた。

Page 69: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

GUIDEPhoto: Yusuke KashiwazakiText: wada POLICE

069068

DUBAI(UAE) 2013.4.12

2011年から開幕戦の会場として、熱戦が繰り広げら

れたジュメイラビーチから場所を移し、ダウンタウンに

あるブルジュ・アル・アラブの近くに特設会場が作られ

る予定だ。季節によっては砂嵐が絶え間なく吹き、昨

年大会は予選開催日が、決勝当日の午前に繰り越しに

なったほど。ライダーのコンディションにも影響を及ぼ

す風の存在に悩まされていたが、過去2大会ではドバ

イを制したライダーが、シリーズチャンプにまでなった

(※1)経緯を考えると、ここ、ドバイでの戦いも落とす

わけにはいかない。日本からは鈴木大助が参戦決定。

※1:2011勝者ダニー・トレス2012勝者 リーバイ・シャーウッド

●会場:ブルジュ・アル・アラブ近く特設会場●通貨:ディルハム●開催都市:ドバイ●市の人口:約193万人●季節:亜熱帯気候にして夏冬の二季

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GLEN HELEN

2013.5.11●会場:グレンヘレンレースウェイ●通貨:ドル●開催都市:カリフォルニア●市の人口:約3,730万人(カリフォルニア州)●季節:比較的暑い

昨年その姿を現し、ファンの度肝を抜いた超モンスタートラックがア

メリカ、グレンヘレン会場だ。ここは、AMAナショナルのコースとし

ても使用され、伝統あるカリフォルニアのモトクロスコース。ファン

なら馴染みの深い場所でもある。アメリカのオープンエリアを彷彿と

させる、最も大きく、そしてテクニックも要する難コースはアメリカらし

いレイアウトといえる。地元カリフォルニア出身のトッド・ポーターは

フリーライディングの才能をいかんなく発揮し、昨年度優勝。今年の

グレンヘレンもアメリカ勢が優性ではあるが、このラウンドから参戦

予定の東野貴行が暴れまくってくれることを期待しよう。

(USA)

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 いよいよ開幕を迎えたRed Bull X-Fighters World Tour

2013。その開幕戦メキシコラウンドは、普段とは異なるセレ

モニーで幕を開けた。開幕から一週間前、練習中のクラッシュ

により急逝してしまった佐藤英吾のための追悼セレモニー

だ。世界を代表する指折りのFMXライダーであり、Red Bull

X-Fightersを代表するライダーの一人だった彼を失った悲し

みはあまりにも大きすぎるが、彼が愛したフリースタイルモト

クロス、そしてRed Bull X-Fightersのさらなる発展を誓い、

会場にいた全員が最愛の友の冥福を祈った。

 そんな佐藤英吾追悼大会とも言える開幕戦メキシコラウン

ド、予選トップは昨シーズン数々のキラートリックをメイク、そ

して英吾とも特に親しかったトーマス・パジェスだ。大会数日

前に「日本のファミリーの為に、そして共に走る」と語った彼

は、以前自身のジャージと交換したという英吾のジャージを

身にまとい、予選を制覇。決勝へ万全の体制を整えた。

迎えた決勝当日、ロブ・アデルバーグは昨年からの勢いをここ

でも発揮、同郷の先輩格ジョシュ・シーハンを見事撃破、セミ

ファイナルへ進んだ。

アデルバーグ同様アップカマーのマイケル・メレロもスピード

感溢れるランを披露、最後はメキシコナショナルチームのサッ

カージャージで観客にアピールしたが、王者リーバイ・シャー

ウッドには届かず敗退となった。

ダニー・トレスvsトッド・ポーターはホームであるマドリッドと

よく似た環境を味方につけたトレスと、広大なフリーライド的

トラックを得意とするポーター。やはりポーターには分が悪

く、トレスがセミファイナルへ。

そしてRd.2最後に登場したパジェスは予選同様、英吾の

ジャージと共に走る。そのランはまるでファイナルのようにす

べてを出し切る渾身のラン、さらに彼の仕草ひとつひとつか

ら溢れる闘志が伝わる。

セミファイナル一戦目、シャーウッドとトレスの対戦も白熱。

王者らしく丁寧に、大胆なトリックを繰り出すシャーウッド。

しかし、トレスも得意の闘牛場トラックでいかんなく強みを発

揮、シャーウッドを破り、ファイナルへ。

残りの決勝の椅子を争うのはアデルバーグとパジェス。フ

リップコンボを連発、ファイナルを戦える力を見せたアデル

バーグ。しかし、パジェスはすべてのビッグトリックをスムース

に繋げるそのランで気迫を裏付ける圧倒的なスキルを証明。

心技体のすべてが異次元のパジェスに会場が最高の勝者を

讃える”WE ARE THE CHAMP”を大合唱、いよいよパジェ

スvsトレスのファイナルラウンドへ。

そのファイナルラウンド直前、トレスが日の丸をマントに会場

を一周。あらためて佐藤への追悼の意を表した。そして決戦

を前にパジェスと互いを讃えあう。それは対戦相手にではな

く、互いがこれから挑む限界への挑戦を励ますような、同士

のそれに見えた。英吾がよく口にした「FMXは相手でもない、

ジャッジでもない、自分との戦い」という言葉をこれから2人

が証明するかのようだ。

トレスのランからはじまったファイナル。トレスはここで自らを

プッシュ、初のダブルグラブフリップを披露、大喝采を浴び

た。そして大きく深呼吸、集中力を研ぎ澄ましたパジェスが登

場。会場はさらに大歓声の渦につつまれ、今夜最後のスー

パーランが始まる。そして予選から一切駆け引きなしのラン

が再度炸裂、スペシャルフリップ、360、ボルト、540フレアと

ビッグトリックの応酬に、会場は興奮のるつぼと化した。最後

にパジェスはランディング上で佐藤のジャージを高 と々掲げ、

ファイナルが終了。結果はトレスも笑顔で讃えるパジェスの

勝利。佐藤のジャージと共に勝利の美酒に酔うこととなった。

RESULT1. トム・パジェス (FRA)

2. ダニー・トレス (ESP)

3. リーバイ・シャーウッド (NZL)

4. ロブ・アデルバーグ (AUS)

5. ジョシュ・シーハン (AUS)

6. マイケル・メレロ (ESP)

7. トッド・ポーター (USA)

8. トルーマン・キャロル (AUS)

9. エリック・ルイス (MEX)

10. マーティン・コーレン (CZE)

11. アレックス・サルバンテス (MEX)

MEXICOTHE BATTLE STORY OF

RobAdelberg

1

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3

4

JoshSheehan

MaikelMerelo

LeviSherwood

ToddPotter

DanyTorres

TrumanCarroll

ThomasPages

RobAdelberg

JoshSheehan

MaikelMerelo

LeviSherwood

ToddPotter

DanyTorres

ThomasPages

TrumanCarroll

RobAdelberg

LeviSherwood

DanyTorres

DanyTorres

ThomasPages

ThomasPages

TOURNAMENT

セミファイナルでの対戦も、前日の予選結果を考慮したものとなる。予選一位と二位がファイナルまで顔を合わせない為の配慮だが、それ故に予選も全力での戦いとなる

Red Bull X-fighters 2013開幕戦メキシコでの戦い

この見慣れた舞台で英吾がいないことには違和感を感じるが、それでも白熱する戦いを観て改めてこのシリーズのレベルの高さを感じた。

Page 70: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

念願のアジア初開催は国内でも一般メディアを巻き

込むほどのビッグニュースとして扱われた。

遂にこの日が来る。6月1日は日本のフリースタイルモ

トクロス史上にとっても大きな意味を持つ日になるだ

ろう。2007年に一度開催寸前までこぎ着けたもの

の、バックグラウンドの弱さと準備不足で日本大会は

幻となった。それから6年の月日の中で、日本人ライ

ダー、佐藤英吾の継続的な活躍と、実行委員会の熱

意によって、大阪城西の丸庭園という日本として最高

のバックグラウンドが用意された。

改めてこの歴史的建造物を説明すると、大阪城は

1583年に豊臣秀吉が天下統一の本拠地として築城

が始まったが、秀吉の没後、1615年に大坂夏の陣で

豊臣家は滅亡、大阪城も落城したとされる。今ある大

阪城の再建は1630年から始まり、その後も戦火の

犠牲になったりと、再建を繰り返してきたが、歴史とと

もに大阪を見守り続けたシンボルに、今年は世界中が

注目することになるだろう。

歴史と威厳のある建物は、過去のRed Bull X-Fighters

の中でも、ギザのピラミッド、あるいはモスクワの赤の

広場に匹敵するほどの存在感と言える。

残念ながら佐藤英吾はここで走ることはできないが、

地元大阪のライダー、東野貴行も参戦が決定している

ので、彼のパフォーマンスには大いに注目したい。世

界中のトップライダー達が大阪でどんなパフォーマン

スをしてくれるのか。あの興奮と感動を味わうなら、会

場に足を運ぶことをオススメします。

Jaso

n H

ala

yko

MADRID(ESP) 2013.7.19●会場:ラスベンタス闘牛場●通貨:ユーロ●開催都市:マドリッド(スペイン)●市の人口:約321万人●季節:夏は熱く乾燥している

PRETORIA(RSA) 2013.9.7●会場:ユニオンビル●通貨:ランド●開催都市:プレトリア(南アフリカ)●市の人口:約321万人●季節:年間を通して温暖な気候

2013年のフィナーレはアフリカ大陸で迎える

ことになった。

アフリカ大陸と言えば2010年北アフリカで

行われたエジプト大会が印象的だが、今回の

会場は南アフリカのプレトリア市にて行われ

る。過去にはRed Bull X-Fighters Jamが行

われた場所でもあるが、今回は規模も一新し

て、政府所有の歴史的建造物に特設会場を

作ることになっている。

年間王者は最終戦まで決まらないのか?ある

いはすでに王者は生まれているのか?

この過酷なシーズンを戦い抜き、体もボロボロ

の中で、真の勇者(ファイター)の栄冠は誰の

手に?史上空前のエアレースに期待をしよう。

2002年から毎年開催されているマドリッド、

ラスベンタス闘牛場は、熱狂的な観客達で有

名だ。マドリット都心部から、ほど近い場所に

ある市街に作られた伝統的な闘牛場。

25,000人が円形で囲まれたスタジアムで、

チェーンソーをカスタムしたエキゾーストノート

を奏で、ライダーの名前を叫び唄う様子は、お

祭りさながらの盛り上がり。

ローカルで圧倒的な人気、強さを誇るダニー・

トレス(SPA)と、その後継者として頭角を現し

ているマイケル・メレロ(SPA)が大物ライダー

達を迎え撃つ。

シンプルなレイアウトの中にも、過去には35m

ジャンプが現れたり、決して油断はできない。

red

bu

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nte

ntp

oo

l

OSAKA(JPN) 2013.6.1●会場:大阪城公園 西の丸庭園 特設会場●通貨:円●開催都市:大阪●市の人口:約268万人●季節:春夏秋冬

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Page 71: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

念願のアジア初開催は国内でも一般メディアを巻き

込むほどのビッグニュースとして扱われた。

遂にこの日が来る。6月1日は日本のフリースタイルモ

トクロス史上にとっても大きな意味を持つ日になるだ

ろう。2007年に一度開催寸前までこぎ着けたもの

の、バックグラウンドの弱さと準備不足で日本大会は

幻となった。それから6年の月日の中で、日本人ライ

ダー、佐藤英吾の継続的な活躍と、実行委員会の熱

意によって、大阪城西の丸庭園という日本として最高

のバックグラウンドが用意された。

改めてこの歴史的建造物を説明すると、大阪城は

1583年に豊臣秀吉が天下統一の本拠地として築城

が始まったが、秀吉の没後、1615年に大坂夏の陣で

豊臣家は滅亡、大阪城も落城したとされる。今ある大

阪城の再建は1630年から始まり、その後も戦火の

犠牲になったりと、再建を繰り返してきたが、歴史とと

もに大阪を見守り続けたシンボルに、今年は世界中が

注目することになるだろう。

歴史と威厳のある建物は、過去のRed Bull X-Fighters

の中でも、ギザのピラミッド、あるいはモスクワの赤の

広場に匹敵するほどの存在感と言える。

残念ながら佐藤英吾はここで走ることはできないが、

地元大阪のライダー、東野貴行も参戦が決定している

ので、彼のパフォーマンスには大いに注目したい。世

界中のトップライダー達が大阪でどんなパフォーマン

スをしてくれるのか。あの興奮と感動を味わうなら、会

場に足を運ぶことをオススメします。

Jaso

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ala

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MADRID(ESP) 2013.7.19●会場:ラスベンタス闘牛場●通貨:ユーロ●開催都市:マドリッド(スペイン)●市の人口:約321万人●季節:夏は熱く乾燥している

PRETORIA(RSA) 2013.9.7●会場:ユニオンビル●通貨:ランド●開催都市:プレトリア(南アフリカ)●市の人口:約321万人●季節:年間を通して温暖な気候

2013年のフィナーレはアフリカ大陸で迎える

ことになった。

アフリカ大陸と言えば2010年北アフリカで

行われたエジプト大会が印象的だが、今回の

会場は南アフリカのプレトリア市にて行われ

る。過去にはRed Bull X-Fighters Jamが行

われた場所でもあるが、今回は規模も一新し

て、政府所有の歴史的建造物に特設会場を

作ることになっている。

年間王者は最終戦まで決まらないのか?ある

いはすでに王者は生まれているのか?

この過酷なシーズンを戦い抜き、体もボロボロ

の中で、真の勇者(ファイター)の栄冠は誰の

手に?史上空前のエアレースに期待をしよう。

2002年から毎年開催されているマドリッド、

ラスベンタス闘牛場は、熱狂的な観客達で有

名だ。マドリット都心部から、ほど近い場所に

ある市街に作られた伝統的な闘牛場。

25,000人が円形で囲まれたスタジアムで、

チェーンソーをカスタムしたエキゾーストノート

を奏で、ライダーの名前を叫び唄う様子は、お

祭りさながらの盛り上がり。

ローカルで圧倒的な人気、強さを誇るダニー・

トレス(SPA)と、その後継者として頭角を現し

ているマイケル・メレロ(SPA)が大物ライダー

達を迎え撃つ。

シンプルなレイアウトの中にも、過去には35m

ジャンプが現れたり、決して油断はできない。

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bu

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OSAKA(JPN) 2013.6.1●会場:大阪城公園 西の丸庭園 特設会場●通貨:円●開催都市:大阪●市の人口:約268万人●季節:春夏秋冬

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Page 72: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

073

日本を代表する生粋のフリースタイラー。海外での大会はエイゴと同じく2002年にデビューし、以来、多くのデモや大会に出演。型にはまらないクリエイティブなランは必見。MX-VIRUS所属。

「パワーも湧いてきて、今は良いイメージばっかりっすね」

鈴木大助の本音

メキシコに発つ直前にエイゴくんの悲劇があって、メキシコ

をキャンセルした後にドバイラウンドに招集されました

 (ドバイ出場を)言われた時は一回断ったんだ。あの日以

来、まだバイクにも乗ってなかったし、呼ばれる事は嬉しかっ

たけど、まだ先のことが考えれてなかったから。でも、電話を

切ってから色々考えて、俺は一体何をやってんだと思ってね。

だって、奇跡は二回もないでしょ。頭の中で、ふとエイゴ君の

ことを思い出したら「ダイス、なにやってんだよー!」って言わ

れたような気がした。断ってからそんなに時間が経ってない

うちに、もう一度こっちから電話をかけ直して、「やっぱ出た

いです」って言いました。そっから徐々に気合いが入ってき

て、今はドバイに感謝、レッドブルに感謝です。

これから大会までは、どういう風に体を作るんですか?

 元々メキシコに向けてがっちり練習して、身体も感覚も

良い感じだったからね。年明けに海外遠征も行っていたか

ら身体的には動けてると思う。後は、微妙な感覚を取り戻

せば、今の自分の100%で飛んで、楽しんで帰ってこれると

思います。

6月1日に開催されるRed Bull X-Fighters Osakaの決

定はダイスにとってどういう風に映りましたか?

 決まった!って言っても最初はピンとこなかったね。でも、

よくよく考えたら、すげーって思ったし、そこで絶対飛びた

いって思った。2005年に大阪でAIR-Xがあった時もそう

だったんだけど、海外のいろんな所から日本にライダーが

来るんだなって思うと、それだけで楽しみだよね。俺はホー

ムだから、時差もなく、しかも普段使い慣れてる自分のバイ

クで飛べるし、こんなに頑張るいいチャンスはないなって

思ったな。そして、やっぱり大阪AIR-Xの時みたいにエイゴ

君とカマしたいなぁって思ったね。

大阪城で走っている自分はイメージできますか?

 世界で12人だけのライダーを集めてやるって言っても、

俺よりうまいヤツなんかはいっぱいいると思う。世界規模

なでっかいイベントで勝つのは現実的にはなかなか難しい

けど、これがなんかイメージが出来ちゃってるんですよね

~。そんでパワーも湧いてきて、今は良いイメージばっか

りっすね。

ライディングスタイルは自由なイメージのダイスだけど、コン

テストに対してはどう思いますか?

 俺の中では、デモもコンテストもショウも一緒で、その日

に可能なだけのベストを尽くすこと以外はあんま変わんな

い。コンテストは一人で飛ぶし、実際には飛ぶ回数も少な

いから、やっぱデモが一番好きかな。みんなでワイワイ飛

べるから最高だね~

Red Bull X-Fightersが大阪で開催されることによって、

日本のFMXにはどんな影響があると思いますか?

 個人的にはいい影響しか与えないと思うし、FMXのこと

を幅広く知ってもらえる力はあると思う。でも、コンテスト

だけっていう風に、その形が強くなるのはあまり好きじゃな

いね。FMXにはいろんな形、スタイルがあるってことを知っ

てもらうのは、これからの俺たちにかかってると思うし、自

分がその役割を持ってやらないといけないと思ってるよ。

数いる日本人ライダーを代表して(笑)ダイスから、Red Bull

X-Fighters Osakaを楽しみにしてるファンにメッセージを

お願いします

 まずはチケットゲットして、生で観たらどれだけすごいかわ

かってもらえると思う。ライダーもみんなすごくて、ヤツらも

すげー FMX好きだし、それに負けないように。それを楽しん

でもらえたら最高です。本戦に出れるレベルになれるように

日々精進あるのみです。今から楽しみでしょうがないね。

INSIDE MIND DAICE SUZUKI

DAICE SUZUKI

D.O.B:1981.2.25

HOME:MIYAGI

SPONSORS:MX-VIRUS,DIRT FREAK

TAKOHKAN CREATE,MOTOPARKMORI

XPC,DAYTONA,SUPEX JAPAN

VONZIPPER,7 UNION,FLEX WATCHES

BR4SS,FOX,DRC,UFO,MOTION

TWIN AIR,BLACK VEGAS

FAT JOINTMETALS

ダイスにとってRed Bull X-Fighters初出場となった2010年エジプト・ギザ大会。スケールの大きさを肌で感じるデビュー戦となった。これからの活躍に期待したい。

ON LINE STORE

Page 73: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

073

日本を代表する生粋のフリースタイラー。海外での大会はエイゴと同じく2002年にデビューし、以来、多くのデモや大会に出演。型にはまらないクリエイティブなランは必見。MX-VIRUS所属。

「パワーも湧いてきて、今は良いイメージばっかりっすね」

鈴木大助の本音

メキシコに発つ直前にエイゴくんの悲劇があって、メキシコ

をキャンセルした後にドバイラウンドに招集されました

 (ドバイ出場を)言われた時は一回断ったんだ。あの日以

来、まだバイクにも乗ってなかったし、呼ばれる事は嬉しかっ

たけど、まだ先のことが考えれてなかったから。でも、電話を

切ってから色々考えて、俺は一体何をやってんだと思ってね。

だって、奇跡は二回もないでしょ。頭の中で、ふとエイゴ君の

ことを思い出したら「ダイス、なにやってんだよー!」って言わ

れたような気がした。断ってからそんなに時間が経ってない

うちに、もう一度こっちから電話をかけ直して、「やっぱ出た

いです」って言いました。そっから徐々に気合いが入ってき

て、今はドバイに感謝、レッドブルに感謝です。

これから大会までは、どういう風に体を作るんですか?

 元々メキシコに向けてがっちり練習して、身体も感覚も

良い感じだったからね。年明けに海外遠征も行っていたか

ら身体的には動けてると思う。後は、微妙な感覚を取り戻

せば、今の自分の100%で飛んで、楽しんで帰ってこれると

思います。

6月1日に開催されるRed Bull X-Fighters Osakaの決

定はダイスにとってどういう風に映りましたか?

 決まった!って言っても最初はピンとこなかったね。でも、

よくよく考えたら、すげーって思ったし、そこで絶対飛びた

いって思った。2005年に大阪でAIR-Xがあった時もそう

だったんだけど、海外のいろんな所から日本にライダーが

来るんだなって思うと、それだけで楽しみだよね。俺はホー

ムだから、時差もなく、しかも普段使い慣れてる自分のバイ

クで飛べるし、こんなに頑張るいいチャンスはないなって

思ったな。そして、やっぱり大阪AIR-Xの時みたいにエイゴ

君とカマしたいなぁって思ったね。

大阪城で走っている自分はイメージできますか?

 世界で12人だけのライダーを集めてやるって言っても、

俺よりうまいヤツなんかはいっぱいいると思う。世界規模

なでっかいイベントで勝つのは現実的にはなかなか難しい

けど、これがなんかイメージが出来ちゃってるんですよね

~。そんでパワーも湧いてきて、今は良いイメージばっか

りっすね。

ライディングスタイルは自由なイメージのダイスだけど、コン

テストに対してはどう思いますか?

 俺の中では、デモもコンテストもショウも一緒で、その日

に可能なだけのベストを尽くすこと以外はあんま変わんな

い。コンテストは一人で飛ぶし、実際には飛ぶ回数も少な

いから、やっぱデモが一番好きかな。みんなでワイワイ飛

べるから最高だね~

Red Bull X-Fightersが大阪で開催されることによって、

日本のFMXにはどんな影響があると思いますか?

 個人的にはいい影響しか与えないと思うし、FMXのこと

を幅広く知ってもらえる力はあると思う。でも、コンテスト

だけっていう風に、その形が強くなるのはあまり好きじゃな

いね。FMXにはいろんな形、スタイルがあるってことを知っ

てもらうのは、これからの俺たちにかかってると思うし、自

分がその役割を持ってやらないといけないと思ってるよ。

数いる日本人ライダーを代表して(笑)ダイスから、Red Bull

X-Fighters Osakaを楽しみにしてるファンにメッセージを

お願いします

 まずはチケットゲットして、生で観たらどれだけすごいかわ

かってもらえると思う。ライダーもみんなすごくて、ヤツらも

すげー FMX好きだし、それに負けないように。それを楽しん

でもらえたら最高です。本戦に出れるレベルになれるように

日々精進あるのみです。今から楽しみでしょうがないね。

INSIDE MIND DAICE SUZUKI

DAICE SUZUKI

D.O.B:1981.2.25

HOME:MIYAGI

SPONSORS:MX-VIRUS,DIRT FREAK

TAKOHKAN CREATE,MOTOPARKMORI

XPC,DAYTONA,SUPEX JAPAN

VONZIPPER,7 UNION,FLEX WATCHES

BR4SS,FOX,DRC,UFO,MOTION

TWIN AIR,BLACK VEGAS

FAT JOINTMETALS

ダイスにとってRed Bull X-Fighters初出場となった2010年エジプト・ギザ大会。スケールの大きさを肌で感じるデビュー戦となった。これからの活躍に期待したい。

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Page 74: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

074

2009年まではMXの名門「SRM」のチームライダーとして全日本モトクロスを戦っていた元プロモトクロスライダー。2010年にFMX転向後はGOBIGでいきなりランキング5位を獲得するなど、こちらの世界でも才能を開花させている。2012シーズンは関西のFMXチーム「THUGWAY」の一員にもなり、さらなる飛躍を目指している。

TES SWELL

「フリップしないとこれからの先が見えないし、海外にもいけない。」「すでに素晴らしい会場と世界のトップライダー達を用意できているから、後は日本のファンの番だね」

テス・セウェルの本音TES SWELLTES SWELL

今回のRed Bull X-Fighters Osaka開催決定にあたって

どう思いますか?

 やっと日本で開催できることに、とてもワクワクしている

よ。大阪城を訪ねる度に、会場のカッコ良さと、Red Bull

X-Fightersを通じて日本の文化と歴史を世界に伝えられ

ことにエキサイトしている。

なぜ日本で開催するのにこれだけ時間がかかったのですか?

 この数年間、日本で開催することをずっと考えていた。

Red Bull X-Fightersは普通のスポーツやFMXのイベン

トではない。できるだけユニークな会場で開催したいが、

様々な障害も立ちはだかる。今回の大阪城は特にユニー

クな反面、会場の許可も大変だったし、運営チーム、メディ

アなどの足踏みが揃わないと開催は難しいんだ。

長年Red Bull X-Fightersのファミリーだったエイゴが亡

くなりました

 世界のリアルなFMXを日本に持って来るのはエイゴの

夢で、大阪のRed Bull X-Fighters開催はその夢を実現す

ることになるはずだったんだ。このイベントは日本のメディ

アなどに自分たちのことを見せるチャンスだった。彼はどう

やってRed Bull X-Fightersの注目度で、日本でのFMXを

広げれるか、いつも相談されていたよ。彼が亡くなったのは

とても寂しい出来事だけど、このイベントを開催する事で、

彼の精神と情熱を継承しなくてはいけないと思う。

佐藤英吾はなぜ、この世界のトップカテゴリに出続けること

ができたのでしょうか?

 エイゴはFMXに対してすごくいいマインドと考え方を持っ

ていた。口癖のように言ってた「Have fun!」と「Go Big!」。

彼は口で言うだけじゃなく、心からそう思っていた。このよう

な素晴らしい態度で取り組んでいたから、新しい技などに

挑戦する「自由」を持っていた。FMXを本当に楽しんでたか

らこそ、世界のトップライダーで居続けたのだと思う。

今シーズンの注目すべき選手を教えてください。

 今年のトム(パジェス)はすごくアツイ。彼は他のライ

ダー達がまだ挑戦したこともない技にたくさん成功して

て、封印していたバックフリップと360も復活した。しかし、

2012年のチャンピオン、リーバイ・シャーウッドと2011年

王者のダニー・トレスも元気だし、彼らは今年のタイトルを

全力で狙ってくるだろう。

大阪大会成功のポイントを挙げるなら

 すでに素晴らしい会場と世界のトップライダー達を用意

できているから、後は日本のファンの番だね。会場にいる

ファンの皆さんのエネルギーで、間違いなく世界的ないい

イベントになるだろう。

日本のFMXファンは日本人枠についても興味を持っていま

すが、ファンにとってサプライズはありますか?

 地元大阪出身で昨年のX-Gamesでゴールドメダルを勝

ち取った東野貴行の出場は決定している。さらに、エイゴ

の夢を実現するため、イベント前日にそれ以外の日本人予

選を開催する予定だ。この予選を勝ち抜いたライダーはワ

イルドカードとして大阪大会に出場する権利を得る。ダイ

スの走りはドバイで見れたけど、釘村孝太のようなライダー

もいるから驚かされるかもしれないね。

大会を心待ちにしている日本のRed Bull X-Fightersサ

ポーターのみんなへメッセージを

 日本でのFMXシーンは間違いなく本物だ。日本のライ

ダー達はFMXに対して熱意を持ち、これを日本の皆さん

に伝えるチャンスをずっと待っていた。FMXを観たことが

ない人は本当にびっくりするだろうね。今度はあなた達が

彼らのすごさを認める時だよ!

INSIDE MINDINSIDE MIND

TES SWELLRed Bull X-Fighters競技ディレクター。本シリーズだけでなく、X-GAMESなどのメガコンテストにおいても、独自のレギュレーションを生み出し、FMXの発展に大きく貢献してきた。

2013年2月に来日し、大阪開催記者会見ではエイゴとともに大会の魅力を訴えた。彼も大阪大会には特別な想いを持つ一人である。

www.saveabrother.com/help-eigo-satos-family

Jaso

n H

ala

yko

Page 75: BANZAImagazine Red Bull X-Fighters OSAKA 2013 Edition

074

2009年まではMXの名門「SRM」のチームライダーとして全日本モトクロスを戦っていた元プロモトクロスライダー。2010年にFMX転向後はGOBIGでいきなりランキング5位を獲得するなど、こちらの世界でも才能を開花させている。2012シーズンは関西のFMXチーム「THUGWAY」の一員にもなり、さらなる飛躍を目指している。

TES SWELL

「フリップしないとこれからの先が見えないし、海外にもいけない。」「すでに素晴らしい会場と世界のトップライダー達を用意できているから、後は日本のファンの番だね」

テス・セウェルの本音TES SWELLTES SWELL

今回のRed Bull X-Fighters Osaka開催決定にあたって

どう思いますか?

 やっと日本で開催できることに、とてもワクワクしている

よ。大阪城を訪ねる度に、会場のカッコ良さと、Red Bull

X-Fightersを通じて日本の文化と歴史を世界に伝えられ

ことにエキサイトしている。

なぜ日本で開催するのにこれだけ時間がかかったのですか?

 この数年間、日本で開催することをずっと考えていた。

Red Bull X-Fightersは普通のスポーツやFMXのイベン

トではない。できるだけユニークな会場で開催したいが、

様々な障害も立ちはだかる。今回の大阪城は特にユニー

クな反面、会場の許可も大変だったし、運営チーム、メディ

アなどの足踏みが揃わないと開催は難しいんだ。

長年Red Bull X-Fightersのファミリーだったエイゴが亡

くなりました

 世界のリアルなFMXを日本に持って来るのはエイゴの

夢で、大阪のRed Bull X-Fighters開催はその夢を実現す

ることになるはずだったんだ。このイベントは日本のメディ

アなどに自分たちのことを見せるチャンスだった。彼はどう

やってRed Bull X-Fightersの注目度で、日本でのFMXを

広げれるか、いつも相談されていたよ。彼が亡くなったのは

とても寂しい出来事だけど、このイベントを開催する事で、

彼の精神と情熱を継承しなくてはいけないと思う。

佐藤英吾はなぜ、この世界のトップカテゴリに出続けること

ができたのでしょうか?

 エイゴはFMXに対してすごくいいマインドと考え方を持っ

ていた。口癖のように言ってた「Have fun!」と「Go Big!」。

彼は口で言うだけじゃなく、心からそう思っていた。このよう

な素晴らしい態度で取り組んでいたから、新しい技などに

挑戦する「自由」を持っていた。FMXを本当に楽しんでたか

らこそ、世界のトップライダーで居続けたのだと思う。

今シーズンの注目すべき選手を教えてください。

 今年のトム(パジェス)はすごくアツイ。彼は他のライ

ダー達がまだ挑戦したこともない技にたくさん成功して

て、封印していたバックフリップと360も復活した。しかし、

2012年のチャンピオン、リーバイ・シャーウッドと2011年

王者のダニー・トレスも元気だし、彼らは今年のタイトルを

全力で狙ってくるだろう。

大阪大会成功のポイントを挙げるなら

 すでに素晴らしい会場と世界のトップライダー達を用意

できているから、後は日本のファンの番だね。会場にいる

ファンの皆さんのエネルギーで、間違いなく世界的ないい

イベントになるだろう。

日本のFMXファンは日本人枠についても興味を持っていま

すが、ファンにとってサプライズはありますか?

 地元大阪出身で昨年のX-Gamesでゴールドメダルを勝

ち取った東野貴行の出場は決定している。さらに、エイゴ

の夢を実現するため、イベント前日にそれ以外の日本人予

選を開催する予定だ。この予選を勝ち抜いたライダーはワ

イルドカードとして大阪大会に出場する権利を得る。ダイ

スの走りはドバイで見れたけど、釘村孝太のようなライダー

もいるから驚かされるかもしれないね。

大会を心待ちにしている日本のRed Bull X-Fightersサ

ポーターのみんなへメッセージを

 日本でのFMXシーンは間違いなく本物だ。日本のライ

ダー達はFMXに対して熱意を持ち、これを日本の皆さん

に伝えるチャンスをずっと待っていた。FMXを観たことが

ない人は本当にびっくりするだろうね。今度はあなた達が

彼らのすごさを認める時だよ!

INSIDE MINDINSIDE MIND

TES SWELLRed Bull X-Fighters競技ディレクター。本シリーズだけでなく、X-GAMESなどのメガコンテストにおいても、独自のレギュレーションを生み出し、FMXの発展に大きく貢献してきた。

2013年2月に来日し、大阪開催記者会見ではエイゴとともに大会の魅力を訴えた。彼も大阪大会には特別な想いを持つ一人である。

www.saveabrother.com/help-eigo-satos-family

Jaso

n H

ala

yko

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