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BBLセミナー プレゼンテーション資料 http://www.rieti.go.jp/jp/index.html 2017年5月242017版中小企業白書・小規模企業白書伊奈 友子 独立行政法人 経済産業研究所(RIETI)

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BBLセミナープレゼンテーション資料

http://www.rieti.go.jp/jp/index.html

2017年5月24日

「2017版中小企業白書・小規模企業白書」

伊奈 友子

独立行政法人 経済産業研究所(RIETI)

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2017年版 中小企業白書・小規模企業白書

概要

平成29年5月

中小企業庁調査室

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中小企業白書・小規模企業白書について • 中小企業白書は、中小企業基本法に基づく年次報告。 2017年版で54回目。 • 小規模企業白書は、小規模企業振興基本法に基づく年次報告。2017年版で3回目。

(年次報告等) 第十一条 政府は、毎年、国会に、中小企業の動向及び政府が中小企業に関して講じた施策に関する報告を提出しなければならない。

2政府は、毎年、中小企業政策審議会の意見を聴いて、前項の報告に係る中小企業の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。

中小企業基本法上の中小企業の定義

(資料)「平成26年経済センサス-基礎調査」再編加工

中小企業 うち 小規模事業者

業種 資本金 または 従業員 従業員 製造業 その他 3億円以下 300人以下 20人以下

卸売業 1億円以下 100人以下 5人以下

サービス業 5,000万円以下 100人以下 5人以下

小売業 5,000万円以下 50人以下 5人以下

従業者数(2014年)

大企業 約1,433万人

(29.9%)

企業数(2014年) 付加価値額(2011年)

大企業 約94.3兆円 (45.5%)

(資料)「平成24年経済センサス-活動調査」再編加工

大企業 約1.1万者 (0.3%)

小規模事業者 約325.2万者

(85.1%)

中規模企業 約55.7万者 (14.6%)

小規模事業者 約1,127万人

(23.5%)

中規模企業 約2,234万人

(46.6%)

小規模事業者 約33.3兆円 (16.1%)

中規模企業 約79.9兆円 (38.5%)

中小企業基本法(抄)

中小企業は全企業の99.7% 中小企業の従業者は全体の約70% 中小企業の付加価値は全体の約55%

1

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2017年版 中小企業白書・小規模企業白書の全体像 • 中小企業の景況は緩やかな改善傾向にあるが、新規開業の停滞、生産性の伸び悩みに加えて、経営者の高齢化や人材不足の深刻化といった構造的な課題が進行中。

• こうした状況の中、起業・創業によりイノベーションが起こり、既存企業は成長を目指し、事業や経営資源(撤退企業を含む)が円滑に次世代に引き継がれるというライフサイクルが重要。各ライフステージで共通課題となる人材不足と併せて課題を分析。

経営資源のバトンタッチ

起業・創業 新事業展開 承継・ M&A 撤退

幼年期 成長期 成熟期

人材(各ライフステージ共通の課題)

中小企業ならではの人材活用

イノベーションの源泉

中小企業のライフサイクル(イメージ) 図

2

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2017年版 中小企業白書・小規模企業白書の構成

1 中小企業・小規模事業者の現状

2 中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性

3 中小企業・小規模事業者の雇用環境と人手不足の現状

第1部 現状分析

1 起業・創業

2 事業の承継

3 新事業展開の促進

4 人材不足の克服

第2部 中小企業のライフサイクル

1 起業・創業

2 事業の承継

3 売上拡大に向けた取組

4 職場環境の整備と多様な人材の 活用

第2部 小規模事業者のライフサイクル

3

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【1-1】中小企業・小規模事業者の現状① • 中小企業の経常利益は過去最高水準にあり、景況感も改善傾向。

図1 経常利益の推移

図1:財務省「法人企業統計調査季報」 (注) ここでいう大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満の 企業とする。

図2:日本銀行「全国企業短期経済観測調査」、中小企業庁・(独)中小企業基盤整備機構「中小企業 景況調査」 (注) 日銀短観では、大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金2千万円以上1億円 未満の企業をいう。

▲ 60

▲ 50

▲ 40

▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17

大企業(短観) 中小企業(短観)

中小企業(景況調査) 小規模企業(景況調査) (DI、%p)

(年期)

業況判断DIの推移 図2

5.3

10.0

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

中小企業 大企業 (兆円・後方4四半期移動平均)

(年期)

4

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【1-1】中小企業・小規模事業者の現状② • 中小企業の売上高、生産性は伸び悩んでいる。

規模別労働生産性の推移

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

1,200

1,300

1,400

00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

大企業 中小企業 小規模企業 (万円)

(年)

図2:財務省「法人企業統計調査年報」 (注) ここでいう大企業とは資本金10億円以上、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満、 小規模企業とは資本金1千万円未満の企業とする。

中小・小規模企業

大企業

図2 売上高の推移 図1

図1:財務省「法人企業統計調査季報」 (注) ここでいう大企業とは資本金10億円以上の企業、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満の 企業とする。

126.4

133.0

100

110

120

130

140

150

160

170

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

中小企業 大企業 (兆円・後方4四半期移動平均)

(年期)

5

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5.3

10.0

0.0

2.0

4.0

6.0

8.0

10.0

12.0

Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ

07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

中小企業 大企業 (兆円・後方4四半期移動平均)

(年期)

【1-1】中小企業・小規模事業者の現状③ ~取引適正化の取組~

• 大企業の経常利益は大きく改善しており、中小企業との格差が拡大している。 • こうした状況の改善のため、下請中小企業と親事業者の適正な取引を普及定着させ、賃上げできる環境の整備を図るための取組を推進。

図2 取引適正化に向けた取組(世耕プラン)

図1:財務省「法人企業統計調査季報」 (注) ここでいう大企業とは資本金10億円以上、中小企業とは資本金1千万円以上1億円未満とする。

経常利益の推移 図1

①業種横断的なルールの明確化・厳格な運用 ・「不適正な原価低減活動」や「金型の保管コストの押しつけ」等の違反行為事例を、66事例から141事例に大幅に追加。

・親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行として、「生産性向上等への協力」等を追加。

・親事業者のうち大企業は、下請代金の支払いを可能な限り現金で行う等、率先して取り組む。

②業種別の自主行動計画の策定等 ・下請ガイドライン策定業種のうち、まずは自動車等の業種に対して、サプライチェーン全体での「取引適正化」と「付加価値向上」に向けた自主的な行動計画の策定と着実な実行を要請し、フォローアップ。平成29年3月末現在、8業種13団体が策定。

③取引調査員(下請Gメン)による訪問調査 ・新たに下請Gメンを配置し、年間2,000件以上、下請中小企業へのヒアリングを実施し、適正取引に向けた取組に生かす。

6

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【1ー2】中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性①(開廃業等による企業数の変化)

図1 企業数の推移 図2 開業・廃業の内訳(2009-2014年)

図3 存続企業の規模の変化(2009-2014年)

(注) 「規模維持」の企業の中には、2009年時点に存在が確認されなかったものの、分社化や統計精度の向上により2014年時点で 存在が確認された約11万者の企業を含み、2009年時点で存在が確認されたものの、2014年時点で、合併等で企業数が 減少した4万者分は含まない。

中規模→小規模 9.1万者 大企業→中規模 0.2万者

61 59 55 53 54 51

423 410 378 366 367 334 小規模 325

0

100

200

300

400

500

1999 2001 2004 2006 2009 2012 2014

(万者)

(年)

421万者 382万者

▲39万者

中規模 56

大企業 1.1

小規模→中規模 7.1万者 中規模→大企業 0.1万者

• 企業数全体は減少傾向にあり、2009年から2014年にかけて39万者減少。小規模事業者の廃業が特に影響している。

• 結果として、小規模企業が減少し、中規模企業が増加。

開業 大企業 0.1

開業 中規模 11.1

開業 小規模 54.6

廃業 大企業 ▲ 0.1

廃業 中規模 ▲ 9.9

廃業 小規模 ▲ 102.7

▲ 120.0

▲ 80.0

▲ 40.0

0.0

40.0

80.0(万者)

開業

廃業

+66万者

▲113万者

規模縮小 9.3

規模維持 299.8

規模拡大 7.2

0

50

100

150

200

250

300

350(万者) 存続企業 316万者

図1-3:総務省「経済センサス-基礎調査」「経済センサス-活動調査」「事業所・企業統計調査」再編加工 7

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小規模企業 1,282

小規模企業 1,127

中規模企業 2,033

中規模企業 2,234

大企業 1,489

大企業 1,433

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

2009 2014

(万人)

(年)

▲3.8%

+9.9%

▲12.1%

【1-2】中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性②(開廃業等による従業者数の変化)

• 2009年から2014年にかけて全体の従業者数は横ばいで推移する中で、中規模企業で働く人は増加。特に中規模企業の開業による増加の影響が大きい。

• 1者あたり従業者数で見ても、中規模企業で特に増加。

図1

図2

従業者数の推移

従業者数変化の内訳(2009年~2014年)

図3 企業規模別1者あたり従業者数の変化

1,248

1,289

1,200

1,220

1,240

1,260

1,280

1,300

2009 2014

(人) ①大企業

(年)

+41人 (+3.3%)

37.9

40.1

36.0

37.0

38.0

39.0

40.0

41.0

2009 2014

(人) ②中規模企業

(年)

+2.2人 (+5.8%)

3.50 3.46

3.00

3.20

3.40

3.60

2009 2014

(人) ③小規模企業

(年)

▲0.04人 (▲0.9%)

4,803 4,794 ▲10万人

図1-3:総務省「経済センサス-基礎調査」「経済センサス-活動調査」「事業所・企業統計調査」再編加工

589

56

595

312

134

184

▲ 622

▲ 79

▲ 424

▲ 281

▲ 176

▲ 297

▲ 1,500

▲ 1,000

▲ 500

0

500

1,000

1,500

大企業 中規模企業 小規模企業 減少大企業 減少中規模企業 減少小規模企業

存続企業 +95万人

合計 ▲10万人

開業企業 +551万人

廃業企業 ▲656万人

(万人)

8

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【1-2】中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性③(業種ごとの開廃業率・2015年度)

資料:厚生労働省「雇用保険事業年報」 (注)1.雇用保険事業年報による開業率は、当該年度に雇用関係が新規に設立した事業所数/前年度末の適用事業所数である。 2.雇用保険事業年報による廃業率は、当該年度に雇用関係が消滅した事業所数/前年度末の適用事業所数である。

• 開廃業の現状は、業種によって大きく異なる。

0.0%

1.0%

2.0%

3.0%

4.0%

5.0%

6.0%

7.0%

8.0%

0.0% 1.0% 2.0% 3.0% 4.0% 5.0% 6.0% 7.0% 8.0% 9.0% 10.0% 11.0%

建設業 製造業

宿泊業, 飲食サービス業

生活関連サービス業,娯楽業

医療,福祉 運輸業・ 郵便業

小売業

学術研究, 専門・技術サービス業

卸売業

その他サービス業 (複合サービス他)

情報通信業

その他の業種 (鉱業、電気、金融、農林漁業、公務、分類不能)

不動産業, 物品賃貸業

教育, 学習支援業

高開業率 高廃業率

高開業率 低廃業率

低開業率 高廃業率

低開業率 低廃業率

(廃業率)

(開業率)

廃業率 全業種平均

3.8%

開業率 全業種平均

5.2%

9

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【1-2】中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性④(廃業の現状)

• 中小企業の経営者年齢は高齢化しており、倒産件数は減少しているが、休廃業・解散企業数は過去最多。

• 休廃業・解散企業のうち、経営者が60歳代以上、80歳代以上の企業の割合は過去最高。

図3

図2 37.1

34.7

27.3

33.7

6.1 14.0

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

2007 2016

休廃業・解散企業

40歳代以下 50歳代 60歳代 70歳代 80歳代以上 (%)

(年)

休廃業・解散企業の経営者年齢

60歳代 以上 70.5%

60歳代 以上 82.4%

図2-3:東京商工リサーチ「2016年休廃業・解散企業動向調査」

休廃業・解散件数、倒産件数の推移 29,583

8,446

0

5,000

10,000

15,000

20,000

25,000

30,000

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

休廃業・解散件数 倒産件数 (件)

(年)

図1 中小企業の経営者年齢の分布(年代別)

0

5

10

15

20

25

30歳~ 45歳~ 60歳~ 75歳

(万人)

20年間で経営者年齢の 山は47歳から66歳へ移動

1995年 最頻値

2000年

2005年 2010年

2015年

図1:(株)帝国データバンク「COSMOS2企業概要ファイル」再編加工 (注) 最頻値とは、各調査年で最も回答の多かった値を指す。

10

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【1-2】中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性⑤(ライフサイクルと生産性の関係①)

• ライフサイクルの各要素の動向が、中小企業全体の生産性に及ぼす影響を分析。 • 開業企業は生産性を押し上げているが、直近の押し上げ効果は縮小。生産性の高い既存企業がシェアを拡大して全体を押し上げている。一方で、既存企業の生産性の低下や、生産性の高い企業の倒産・廃業が全体の生産性を押し下げている。

生産性変化の要因分解 図1

図1:中小企業庁委託「平成28年度中小企業の新陳代謝に関する分析に係る委託事業」(2016年12月、(独)経済産業研究所) (注)1. ここでいう生産性とは、全要素生産性とする。全要素生産性とは、労働や資本がそれぞれ変化した時に、全体として付加価値がどの程度変化するかを示すもの。 2. 業種転換効果とは、企業が業種転換することで、全体の生産性を押し上げる/押し下げる効果を指す。 3.一般社団法人CRD協会が会員(信用保証協会及び金融機関)から提供を受けた取引先中小企業の財務データ等 を使用。

0.5%

▲ 1.0%

0.2%

▲ 2.0%

▲ 1.5%

▲ 1.0%

▲ 0.5%

0.0%

0.5%

1.0%

2003-2007 (第1期)

2007-2009 (第2期)

2009-2013 (第3期)

内部効果 再配分効果 参入効果 倒産効果

廃業効果 業種転換効果 合計 (%)

(年)

生産性の高い企業の廃業

生産性の高い企業の 開業

生産性の高い既存企業の市場シェア拡大

生産性の高い企業の倒産

既存企業の生産性低下

11

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• 開業企業のうち約5割が全体の生産性を押し上げ。 • 直近は押し上げ効果が縮小しており、生産性の高い企業の参入が減少したことが要因。 図1 参入効果の内訳

11.2%

7.0% 8.3%

5.9%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

2003-2007 … 2009-2013 …

プラスの参入効果 マイナスの参入効果

(年)

図3 参入率の推移(2009-2013年)

生産性の高い企業と低い企業の参入率の差が縮小

0.3%

0.1%

-0.10%

-0.05%

0.00%

0.05%

0.10%

0.15%

0.20%

0.25%

0.30%

0.35%

0.40%

2003-2007 (第1期)

2009-2013 (第3期)

プラスの参入効果 マイナスの参入効果

TFP伸び率 (%)

58%

開業企業数 全体に占める割合

42%

図1-2:中小企業庁委託「平成28年度中小企業の新陳代謝に関する分析に係る委託事業」(2016年12月、(独)経済産業研究所) (注)1. ここでいう生産性とは、全要素生産性とする。全要素生産性とは、労働や資本がそれぞれ変化した時に、全体として付加価値がどの程度変化するかを示すもの。

2. ここでいう参入率とは、開業企業が全企業に占める割合を指す。

54%

開業企業数 全体に占める割合

46%

図2 参入企業の分布(2009-2013年)

【1-2】中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性⑥(ライフサイクルと生産性の関係②)

12

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• 全体の廃業企業のうち約5割が生産性を押し下げ。廃業による生産性押し下げのうち、M&Aや海外移転等によると思われるものを除いても、全廃業企業の半分が、生産性を大きく押し下げている。

• こうした企業は、存続企業と比べて、従業員数及び売上高は小さいが、利益率は高い。他方で後継者決定率が相対的に低く、こうした企業の後継者不足による廃業を減らすことが重要。

図2 廃業企業の分布(2009-2013年)

廃業企業 (マイナス①)

50.3%

廃業企業 (マイナス②)

0.8% (参考) 存続企業

廃業企業 (押し上げ)

48.9%

従業員数 6.4人 94.5人 11.2人 8.7人 売上高 1.9億円 65.9億円 3.4億円 0.9億円

売上高伸び率 0.55% 3.54% 1.4% -3.8% 経常利益率 3.93% 4.95% 1.9% -1.1%

固定資産伸び率 1.0% 8.0% 3.9% -0.5% 後継者決定率 42% 41.7% 45% 40.8%

廃業効果の内訳 図1

廃業企業の平均の特徴(経営指標) 図3

図1-3:中小企業庁委託「平成28年度中小企業の新陳代謝に関する分析に係る委託事業」 (2016年12月、(独)経済産業研究所) (注) ここでいう生産性とは、全要素生産性とする。全要素生産性とは、労働や資本がそれぞれ変化した 時に、全体として付加価値がどの程度変化するかを示すもの。

→廃業企業(マイナス②)

→廃業企業(マイナス①)

▲0.5%

▲0.6%

-0.80%

-0.70%

-0.60%

-0.50%

-0.40%

-0.30%

-0.20%

-0.10%

0.00%

0.10%

0.20%

2003-2007 2009-2013

プラスの廃業効果 マイナスの廃業効果① マイナスの廃業効果② TFP伸び率 (%)

54.8%

廃業企業数 全体に占める割合

44.6%

0.6%

48.9%

50.3%

0.8%

【1-2】中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性⑦(ライフサイクルと生産性の関係③)

廃業企業数 全体に占める割合

13

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規模の大きな中小企業のM&A事例 【事例】A社

【事例】株式会社リブネット(三重県伊勢市)

事業承継を理由に大企業の子会社になった 製造業者

現社長が取引先からの出資を受けて設立した、加工調味料の製造・販売業者。順調に業容を拡大させ、売上高約80億円で従業員約50名となったが、自社株評価額が高くなっていた。

現社長(67歳)は、創業者で株式の過半数を所有していたが、親族にふさわしい後継者が不在。

従業員の雇用維持と事業の更なる発展を望み、M&Aを決断。取引先の大手企業のB社が、同社の開発技術や製品管理を評価し、社長保有の株式を取得し子会社化。

親会社からの要請で、最低2年は社長を続けるが、将来は生え抜きの常務に社長を引き継ぐ予定。

「社員の雇用と会社の発展、売却先の発展を重視していた。会社の支配権には特に未練はないが、自分が作ってきた仕組みが長く続き、発展していく会社を見届けたいとの思いがあった。当社と親会社は、業態が違うため、各々で発展を遂げることができる。M&Aで所有と経営の分離が図られ、当社も社員たちの力でさらに発展することが、親会社への恩返しにつながると思っている。」と現社長は言う。

事業承継を理由に大企業の子会社になった企業

現社長は県職員を経て、2002年に起業。図書館業務の総合プロデュース企業として、図書館委託業務、ソフトウェア開発販売、コンサルティング等の事業を展開。

契約社員含め多くの従業員を擁する中規模企業だが、社長は、後継者難に悩んでいた。

「子会社にならなければ、万が一のことがあったときに、事業存続が困難になる。」と思い、(株)ミライト(電気通信工事業者の大手)の社長からの申し出を受けて、資本提携を行った。

「これからは、私がいなくても、この事業が続いていく仕組みづくりをしていきたい。事業の規模も大きくなってきたため、人材の育成と会社の組織を整備し、バックヤードのIT化といったシステムを構築していきます。やはり、一番は後継者を確保したい。親会社にも、後継者を育成することが私の仕事だと言われています。」と谷口社長は言う。

14

谷口とよ美社長(前列左から3番目)と東京支店の社員

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▲ 30

▲ 20

▲ 10

0

10

20

30

Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ Ⅰ Ⅲ

2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016

製造業 建設業 卸売業

小売業 サービス業

(DI,%p)

(年期) 図1:中小企業基盤整備機構・中小企業庁「中小企業景況調査」

【1-3】中小企業・小規模事業者の雇用環境と人手不足の現状① • 中小企業では、人手不足感が強まっており、有効求人倍率も高いが、特に規模の小さな中小企業で従業者数が減少している。背景には、職種や賃金等のギャップがある。

図2

図3 図1

図4

1,735

1,514 1,252

1,628

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16

1~29人 30~99人 100~499人 500人以上

(万人)

図3:厚生労働省「一般職業紹介状況」 (注)1.「農林漁業の職業」「分類不能の職業」を除いて表示している。 2.「介護関係職種」とは、平成23年改定「厚生労働省職業分類」に基づく「福祉施設指導専門員」、「その他の社会福祉の専門的職業」、 「家政婦(夫)、家事手伝」、「介護サービスの職業」の合計であり、それぞれ「専門的・技術的職業」「サービスの職業」から抽出した数値 である。 従業者規模別雇用者数の推移

職種別有効求人数・求職者数の差 従業員数過不足DIの推移

図2:総務省「労働力調査」

過剰

不足

規模別給与額の推移

過剰

不足

38.4

29.8

24

29

34

39

94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

大企業(正社員) 中小企業(正社員) (万円)

(年) 図4:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」再編加工 (注)1.「正社員」の値は、2004年以前は、雇用期間の定め無しの一般労働者を集計しており、2005年以降は、一般労働者のうち、事業所で「正社員・正

職員」とする者を集計している。 2.給与額は、「きまって支給する現金給与額」であり、各年の6月分として支払われた給与額で基本給と、あらかじめ定められている諸手当の 合計額をいい、残業代を含む。 3.「企業全体の常用労働者数」が299人以下(卸売業、サービス業、小売業、飲食店は99人以下)の企業を中小企業、中小企業以外の 企業を大企業とする。

0.2

▲ 13.3

47.3

▲ 1.6

▲ 18.8

▲ 4.3

6.5

▲ 3.0 ▲ 5.3

18.1

▲ 8.5 ▲ 0.2

▲ 21.5

32.3

▲ 12.1

▲ 37.8

▲ 5.3 ▲ 4.5 ▲ 5.6 ▲ 6.6

9.1

▲ 16.9

▲ 60

▲ 40

▲ 20

0

20

40

60

管理的職業

専門的・ 技術的職業

事務的職業

販売の職業

サービスの 職業

保安の職業

生産工程の職業

輸送・機械

運転の職業

建設・採掘の職業

運搬・清掃・

包装等の 職業

介護関係 職種(※)

2013年平均 2016年平均 (万人)

(年) 15

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【1-3】中小企業・小規模事業者の雇用環境と人手不足の現状②(多様な人材の活用状況)

• 規模の小さな企業ほど、女性やシニアといった多様な人材を積極的に活用。 • 中核人材として活用又は活用を検討する中小企業も多い。

図1

図1,2:総務省「平成19年就業構造基本調査」「平成24年就業構造基本調査」 図3:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(2016年11月、みずほ情報総研(株))

52.5 57.0 60.7 61.4 63.2

47.5 43.0 39.3 38.6 36.8

0

20

40

60

80

100

1~4人 5~19人 20~49人 50~299人 300人以上

男性 女性 (%)

15.6 27.2 28.5 29.9 33.4

40.4 43.0 44.1 45.9 49.3

24.8 19.0 19.1 18.3 14.9 19.2 10.9 8.3

5.9 2.4

0

20

40

60

80

100

1~4人 5~19人 20~49人 50~299人 300人以上

15~34歳 35~54歳 55~64歳 65歳以上 (%)

52.8 55.3 59.6 61.2 62.5

47.2 44.7 40.4 38.8 37.5

0

20

40

60

80

100

1~4人 5~19人 20~49人 50~299人 300人以上

男性 女性 (%)

従業者規模別に見た、雇用者の男女別割合

20.2 30.8 32.9 34.9 38.0

38.9 39.8 40.3 41.6 45.3

25.1 20.1 20.2 19.1 14.7 15.8 9.3

6.7 4.5 2.0

0

20

40

60

80

100

1~4人 5~19人 20~49人 50~299人 300人以上

15~34歳 35~54歳 55~64歳 65歳以上 (%)

(2007年) (2012年)

図2 従業者規模別に見た、雇用者の年齢構成割合 (2007年) (2012年)

図3

53.2

48.7

26.9

17.6

19.9

33.7

0% 100%

女性(n=2,791)

シニア(n=2,684)

活用中 今後の活用を検討中 活用も検討もしていない 多様な人材の中核人材としての活用状況(中小企業)

16

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1 中小企業・小規模事業者の現状

2 中小企業・小規模事業者のライフサイクルと生産性

3 中小企業・小規模事業者の雇用環境と人手不足の現状

第1部 現状分析

1 起業・創業

2 事業の承継

3 新事業展開の促進

4 人材不足の克服

第2部 中小企業のライフサイクル

1 起業・創業

2 事業の承継

3 売上拡大に向けた取組

4 職場環境の整備と多様な人材の 活用

第2部 小規模事業者のライフサイクル

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75.8 78.2 72.3

63.9 60.7 64.7 63.5 60.7 62.3

72.3 73.1 77.3

22.9

36.0 30.6

39.2

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12

日本 米国 英国 ドイツ フランス

(年)

(%)

19 20

13 15

9

0

5

10

15

20

25

日本 米国 イギリス ドイツ フランス

(%)

【2-1】起業・創業(中小企業白書①)

起業に無関心な人の割合(国際比較)

図1 起業に関心を持った人が起業準備、起業に至る割合(国際比較) 図3

図3:「起業活動に影響を与える要因の国際比較分析」 (平成24年3月 独立行政法人経済産業研究所)から中小企業庁作成

• 我が国は国際的に見て開業率が低く、起業に無関心な人の割合が高いが、起業を目指す人が起業に至る確度は高い。

• いかに起業への関心を高めていくかが重要。周囲の勧め等が重要なきっかけとなる。

図1-2:平成25年度「起業家精神に関する調査」報告書 (平成26年3月(財)ベンチャーエンタープライズセンター)から中小企業庁作成

第1位 第2位 第3位

40代 以下

男性 (n=961)

周囲の起業家・経営者の影響(40.7%)

勤務先ではやりたいことが できなかった(29.2%)

勤務先の先行き不安・ 待遇悪化(27.5%)

女性 (n=75)

周囲に勧められた (33.3%)

家庭環境の変化 (結婚・出産等)(25.3%)

周囲の起業家・経営者の影響(22.7%)

50代

男性 (n=809)

勤務先の先行き不安・ 待遇悪化(35.7%)

勤務先ではやりたいことが できなかった(28.4%)

周囲の起業家・経営者の影響(27.3%)

女性 (n=107)

周囲に勧められた (37.4%)

家庭環境の変化 (結婚・出産等)(29.0%)

勤務先ではやりたいことが できなかった(23.4%)

60代 以上

男性 (n=949)

周囲の起業家・経営者の影響(25.2%)

周囲に勧められた (21.9%)

勤務先の先行き不安・ 待遇悪化(21.7%)

女性 (n=99)

勤務先ではやりたいことができなかった(30.3%)

周囲に勧められた (26.3%)

事業に活かせる免許・資格の取得(24.2%)

図4:中小企業庁委託「起業・創業の実態に関する調査」(2016年11月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)) (注)1.起業を実現した起業家が起業に関心をもったきっかけについて集計している。 2.複数回答のため、合計は必ずしも100%にはならない。

周囲の勧めや周囲の企業家の存在が重要なきっかけに 図2 図4 起業家が起業に関心を持ったきっかけ

開業率の国際比較

5.2

9.3

14.3

7.3

12.4

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15

日本 米国 英国 ドイツ フランス (%)

(年、年度)

18

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7.5

15.5

9.7

6.1

26.4

31.8

31.7

24.1

30.4

26.4

29.2

31.4

27.1

20.2

21.9

29.3

8.6

6.2

7.4

9.1

0% 100%

全体 (n=3,191)

高成長型 (n=129)

安定成長型 (n=729)

持続成長型 (n=2,174)

39歳以下 40代 50代 60代 70代以上

25.4

22.1

35.6

25.2

13.8

10.0

24.5

16.5

10.8

12.4

6.1

8.7

10.0

12.1

3.6

9.4

8.1

7.9

8.1

10.2

8.0

7.6

8.1

11.8

7.5

8.3

6.6

3.1

16.2

19.8

7.4

15.0

0% 100%

全体 (n=3,184)

高成長型 (n=127)

安定成長型 (n=740)

持続成長型 (n=2,216)

サービス業(医療、福祉は除く) 医療、福祉 製造業 建設業 卸売業 小売業 情報通信業 その他の業種

13.6 14.4 12.8

8.8

4.8 7.2

14.7

11.3

7.7

3.9 3.0 2.4

14.3

9.7 8.3

3.3 2.7 2.7

0.0

3.0

6.0

9.0

12.0

15.0

簿記や金融に関する知識の習得

起業家に関する本を読む

企業・商店における職場体験

リーダーシップを育成する教育

起業家等による講演会や交流会への

参加

企業インターンシップへの参加

高成長型(n=124~126) 安定成長型(n=691~713) 持続成長型(n=2,038~2,092) (%)

(注) 小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、専門学校、短期大学、大学、大学院のいずれかに受講したことが あると回答した人を集計している。

【2-1】起業・創業(中小企業白書②) • 起業後5~10年の企業は、高成長、安定成長、持続成長の3タイプに分類される。 • 高成長型ではサービス業・製造業が多い。経営者が若く、起業家教育の影響が見られる。

図1

図2

図4

図3 起業後の成長タイプ

図1-4:中小企業庁委託「起業・創業の実態に関する調査」(2016年11月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)) (注)本資料において、定量的に成長タイプを類型化しているが、アンケート回答状況によってはいずれかの成長タイプにも分類できない企業もあるため、各成長タイプの合計と全体のn数が異なっている。

成長タイプ別に見た、起業家の年齢分布

成長タイプ別に見た、在学中に受講した起業家教育の内容 成長タイプ別に見た、業種の割合

19

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47.8 47.5 34.4 31.2 27.8

0

20

40

60

資金調達 質の高い 人材の確保

量的な労働力の 確保

販路開拓・ マーケティング

自社の宣伝・PR

(%)

57.6

36.4 32.1 31.6 30.8

0

20

40

60

質の高い 人材の確保

企業の成長に応じた組織体制の見直し

量的な労働力の 確保

資金調達 新たな製品・商品・サービスの開発

(%)

【2-1】起業・創業(中小企業白書③) • いずれの成長タイプも、ステージが進むにつれて課題は資金調達から人材確保へと移行。販路開拓は各ステー

ジ共通の課題だが、内容は変化。 • 目指すタイプを実現できた者、できなかった者の差を見ると、資金調達の成否が影響。

担保や保証によらない融資の利用状況 図2 安定・拡大期における担保や保証によらない融資が安定成長、高成長を実現

(注) 1.ここでいう「創業期」とは、本業の製品・商品・サービスによる売上がない段階、「成長初期」とは、売上が計上されているが、営業利益が黒字化していない段階、「安定・拡大期」とは、売上が計上され、少なくとも一期は営業利益が黒字化した段階のことをいう。

2.ここでいう担保や保証によらない融資」とは、事業内容や成長可能性を評価して担保や保証によらないで融資を行うことをいう。

成長段階ごとの課題 図1

図1-2:中小企業庁委託「起業・創業に関する実態調査」(2016年11月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))

60.0

40.8 35.6 28.3 26.4

0

20

40

60

資金調達 家族の理解・ 協力

事業や経営に 必要な知識・ ノウハウの習得

質の高い 人材の確保

販路開拓・ マーケティング

(%) 販路開拓に 係る課題

人材確保に 係る課題

創業期(n=2,781) 成長初期(n=2,762) 安定・拡大期(n=2,690)

(3) 安定・拡大期

(2) 成長初期

(1) 創業期

3.9

10.1

3.4

16.7

0

5

10

15

20

創業期 安定・拡大期

安定成長型を目指して起業したが、安定成長型になれなかった企業(n=605~639) 安定成長型になれた企業(n=475~521) (%)

(1) 安定成長型企業における、 担保や保証によらない融資の利用状況

3.3

12.4

4.7

21.1

0

5

10

15

20

25

創業期 安定・拡大期

高成長型を目指して起業したが、高成長型になれなかった企業(n=209~210) 高成長型になれた企業(n=85~95)

(%)

(2) 高成長型企業における、担保や保証によらない融資の利用状況

資金調達に 係る課題

20

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第1位 第2位 第3位 第4位 第5位

安定・拡大期に利用した 資金調達方法 (n=104)

民間金融機関からの借入 (73.1%)

政府系金融機関からの借入 (45.2%)

経営者本人の自己資金 (36.5%)

公的補助金・ 助成金の活用 (19.2%)

家族・親族、友人・知人等からの借入 (13.5%)

安定・拡大期に利用したかった資金調達方法 (n=14)

ベンチャーキャピタル、投資組合・ファンド等からの出資 (78.6%)

個人投資家からの出資 (71.4%)

民間企業、その他の団体からの借入 (71.4%)

民間企業、基金、財団その他の団体からの出資 (71.4%)

クラウド・ファンディングの活用 (64.3%)

(注) 利用した資金調達方法、利用したかった資金調達方法それぞれについて、 回答割合が高い上位5項目を表示している。

スピーディーな企画・開発プロセスで、 技術を高め成功を掴んだ企業

東京都にある株式会社ロビットは、2014年6月創業のIoT機器やロボット等の開発を行っている企業である。同社の高橋社長は、大学在学中に複数のビジネスコンテストに出場し、企画力と試作品の完成度の高さが評価され優勝したことから、起業を決意。

ビジネスコンテストの優勝賞金と中小企業庁の創業・第二創業促進補助金のわずかな資金でスタートした中で、製品の企画や試作品の開発を短期間の間に繰り返していった。その企画・開発のスピードが個人投資家の目に止まり、投資家からの出資を受けることに成功した。

その後は、出資を活用して、大学時代の友人を採用し、研究開発を強化し、創業から2年経った2016年の夏に、スマートフォンでカーテンの開閉を制御できる機器「めざましカーテンmornin’(モーニン)」を発売することができた。

同社の製品は、発売後約半年間で 出荷数2万個を突破、順調に売上 も伸ばしており、今後も新たな製品・ サービスの事業化に向けて取り組ん でいる。

【2-1】起業・創業(中小企業白書④) • 高成長型企業では、安定・拡大期において、出資のニーズが高く、また、経営補佐人材、内部管理人材や経

営企画人材など業務拡大に必要な人材のニーズが高まる。

【事例】株式会社ロビット(東京都)

同社の製品「めざましカーテンmornin’」

図1

図2

高成長型企業の成長・拡大期における資金調達方法

高成長型企業が各成長段階で必要とする人材

図1-2:中小企業庁委託「起業・創業の実態に関する調査」(2016年11月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))

47.4 42.1

21.1 15.8 14.7 11.6

58.4 57.5

32.7 31.0

22.1 17.7

66.1 59.6

40.4 41.3 47.7 49.5

0

10

20

30

40

50

60

70

経営者の右腕人材

営業・販売人材 財務・会計人材 内部管理人材 経営企画人材 後継者候補人材

創業期(n=95) 成長初期(n=113) 安定・拡大期(n=109) (%)

21

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46.4

38.4

27.1 22.1

19.5

9.7

59.6

49.5

32.3 32.3 31.5

16.9

59.8

51.8

37.7 36.1

43.6

55.9

0

10

20

30

40

50

60

70

経営者の右腕人材

営業・販売人材 財務・会計人材 内部管理人材 経営企画人材 後継者候補人材

創業期(n=524) 成長初期(n=626) 安定・拡大期(n=637)

(%)

第1位 第2位 第3位 第4位 第5位

安定・拡大期に利用した資金調達方法 (n=546)

民間金融機関 からの借入 (78.4%)

政府系金融機関からの借入 (42.6%)

経営者本人の 自己資金 (40.2%)

公的補助金・ 助成金の活用 (22.9%)

家族・親族、友人・知人等からの借入 (13.8%)

安定・拡大期に利用したかった資金調達方法 (n=110)

ベンチャーキャピタル、投資組合・ファンド等からの出資 (44.5%)

クラウド・ファンディングの活用 (44.5%)

公的補助金・ 助成金の活用 (42.7%)

民間企業、基金、財団その他の団体からの出資 (40.0%)

個人投資家からの出資 (37.3%)

第1位 第2位 第3位 第4位 第5位

成長初期に利用した資金調達方法 (n=646)

民間金融機関 からの借入 (72.9%)

経営者本人の 自己資金 (46.4%)

政府系金融機関からの借入 (40.9%)

家族・親族、友人・知人等からの借入 (22.0%)

公的補助金・ 助成金の活用 (19.8%)

成長初期に利用したかった資金調達方法 (n=126)

公的補助金・ 助成金の活用 (44.4%)

民間企業、基金、財団その他の団体からの出資 (43.7%)

ベンチャーキャピタル、投資組合・ファンド等からの出資 (42.9%)

個人投資家からの出資 (39.7%)

クラウド・ファンディングの活用 (38.1%)

【2-1】起業・創業(中小企業白書⑤) • 安定成長型企業の資金調達ニーズは、ステージが進むにつれて借入から公的補助金、出資に移行。また、成

長初期以降、経営者の補佐人材を始め様々な人材ニーズが高まる。

図1

図2

安定成長型企業の各成長段階ごとの資金調達方法

安定成長型企業が各成長段階で必要とする人材

図1-2:中小企業庁委託「起業・創業の実態に関する調査」(2016年11月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))

第1位 第2位 第3位 第4位 第5位

創業期に利用した資金調達方法 (n=677)

経営者本人の自己資金 (82.3%)

家族・親族、友人・知人等からの借入 (39.3%)

民間金融機関からの借入 (39.3%)

政府系金融機関からの借入 (28.2%)

公的補助金・ 助成金の活用 (12.6%)

創業期に利用したかった資金調達方法 (n=179)

民間金融機関からの借入 (45.3%)

政府系金融機関からの借入 (41.3%)

公的補助金・ 助成金の活用 (36.9%)

ベンチャーキャピタル、投資組合・ファンド等からの出資 (34.6%)

民間企業、基金、財団その他の団体からの出資 (31.8%)

(創業期)

(成長初期)

(安定・拡大期)

(注) 利用した資金調達方法、利用したかった資金調達方法それぞれについて、回答割合が高い上位5項目を表示している。 22

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17.9 23.2 25.4 24.2 26.4

33.5 27.6

36.8 37.6

0

10

20

30

40

従業員 顧客・販売先 技術やノウハウ

高成長型企業(n=123~126) 安定成長型企業(n=705~707) 持続成長型企業(n=2,089~2,113)

(%) 前職等関係者、廃業企業等から引き継いでいる割合

第1位 第2位 第3位 第4位 第5位

創業期に利用した 資金調達方法 (n=1,956)

経営者本人の 自己資金 (80.2%)

民間金融機関 からの借入 (34.9%)

家族・親族、友人・知人等からの借入 (34.0%)

政府系金融機関からの借入 (25.2%)

公的補助金・ 助成金の活用 (8.9%)

創業期に利用したかった資金調達方法 (n=391)

民間金融機関 からの借入 (48.8%)

政府系金融機関からの借入 (48.6%)

公的補助金・ 助成金の活用 (43.5%)

ベンチャーキャピタル、投資組合・ファンド等からの出資 (38.6%)

個人投資家からの出資 (36.1%)

(注) 利用した資金調達方法、利用したかった資金調達方法それぞれについて、 回答割合が高い上位5項目を表示している。

【2-1】起業・創業(小規模企業白書①) • 持続成長型企業の8割が小規模企業で、他の成長タイプに比べて、廃業企業等の他者から、顧客、技術等

の経営資源を引き継いでいる傾向がある。 • 創業期には資金調達、安定拡大期には人材、特に後継者の確保に課題がある。

図1

図2

図3

図4 持続成長型企業の成長段階ごとの課題

持続成長型企業の起業時の経営資源の引継ぎ状況 持続成長型企業は経営資源を引き継いでいる割合が高い

持続成長型企業の創業期における資金調達方法

持続成長型企業が各成長段階で必要とする人材

図1-4:中小企業庁委託「起業・創業の実態に関する調査」(2016年12月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))

創業期の借入れニーズは大きい。

59.2

39.9

26.6 19.7

5.0

26.5 25.2

46.5

12.6

43.2

31.3

16.7

32.4 28.3 32.4

9.2

53.8

29.1 32.7

29.2 23.5

0

10

20

30

40

50

60

70

資金調達 家族の理解・協力

質の高い 人材の確保

量的な労働力の確保

企業の成長に応じた組織体制の

見直し

販路開拓・マーケティング

自社の宣伝・PR

創業期(n=1,895) 成長初期(n=1,878) 安定・拡大期(n=1,809) (%)

販路開拓に係る課題 人材確保に係る課題 資金調達に係る課題

42.7 39.1

24.1 19.6 17.6 15.8

49.3 45.8

24.2 22.1 23.5 21.0

50.3 47.3

26.9 23.5 29.8

51.9

0

10

20

30

40

50

60

経営者の右腕人材

営業・販売人材

財務・会計人材

内部管理人材 経営企画人材 後継者候補人材

創業期(n=1,421) 成長初期(n=1,636) 安定・拡大期(n=1,712) (%)

23

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50.2 43.8

26.1 22.6

15.4 10.5 7.6

32.0

53.0

24.4

37.3

15.5 12.6 7.3 6.9

55.3

21.9

38.6

13.5 12.3 6.9

0

10

20

30

40

50

60

家族・親戚、友人・知人、自社の役員・従業

税理士、公認会計士、中小企業診断士、経営コンサルタ

ント

周囲の起業家・経営者・取

引先

民間金融機関 商工会・商工会議所

政府系金融機関

国・地方自治体・公的支援

機関

創業期(n=1,764) 成長初期(n=1,711) 安定・拡大期(n=1,533) (%)

【2-1】起業・創業(小規模企業白書②) • 持続型企業が相談する相手は、ステージが進むにつれて身内から金融機関等の接触機会の多い相手へ移

行。周囲のサポートを受けることが円滑な事業化につながる。

【事例】リトルピアニスト(茨城県龍ヶ崎市)

よろず支援拠点の活用により起業に成功 世界初のピアノ専用シューズの製造販売を開始

茨城県龍ヶ崎市にあるリトルピアニストは、2014年4月に起業、ピアノの演奏専門シューズを開発し、製造販売を行っている。

代表はゲーム制作会社の正社員として勤務していたが、結婚を機に退職。出産・育児に専念していたが、娘がピアノの演奏中にペダルを踏みづらそうにしていたことから、自らピアノ演奏用シューズを開発。特許も取得し、起業を決意した。

事業アイデアは革新的であったが、事業や経営に関する知識・ノウハウがなく、起業のやり方も分からなかったため、茨城県と東京都のよろず支援拠点に相談。事業計画作成や補助金申請手続きに始まり、製造面では製造委託先との調整、販売面では販売委託契約や広告宣伝手法等、よろず支援拠点からトータルサポート受けて起業に成功。

起業後は、テレビ番組で取り上げ られたこと等がきっかけとなり、 国内最大手の楽器小売店を始め 販路の確保に成功。 順調に業績を伸ばしている。

持続成長型企業の各成長段階の相談相手 図1

図1:中小企業庁委託「起業・創業の実態に関する実態調査」(2016年12月、三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))

・産業競争力強化法では、地域における創業を促進させるためのスキームを整備。 ・市区町村が「創業支援事業計画」を策定し、国の認定を受けた上で創業支援事業者と連携して具体的な創業支援を行う。 ・平成28年12月時点で、全国1,742市区町村のうち、1,275市区町村が計画を策定済み。人口カバー率は95%。

図2 産業競争力強化法における創業支援事業計画認定制度

同社の倉知代表とピアノ専用シューズ 24

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3.9

10.5

22.7

42.4

20.5 10年超

5 年超10年以内

3 年超5 年以内

1 年超3 年以内

1 年以内

(%)

(n=1,075)

3年超の割合37.1%

63.6

54.5

51.0

31.2

29.4

36.4

45.5

49.0

68.8

70.6

0% 100%

決まっている(n=1,369)

候補者はいるが、本人の了承を得ていない (n=950)

後継者候補を探しているが、まだ見つかっていない (n=453)

後継者候補を探す時期ではない (n=401)

後継者候補についてまだ考えたことがない (n=248)

勧められたことがある 勧められたことはない

【2-2】事業の承継(中小企業白書①)

経営の引継ぎに関する課題と対策・準備状況(後継者決定・未決定)

36.3

44.1

75.0

65.9

74.9

57.1

63.9

69.8

80.8

71.2

020406080100

社内の組織 体制の整備

課題と感じる (n=1,336~1,440)

対策・準備を行っている (n=1,453~1,576)

(%) 11.5

15.2

26.9

30.5

31.0

52.7

62.2

66.7

79.6

80.2

0 20 40 60 80 100

後継者を選定し、 本人や関係者 の了承を得る

課題と感じる (n=2,180~2,216)

対策・準備を行っている (n=2,016~2,088)

(%)

後継者を補佐する人材の確保

後継者への段階的な権限の委譲

引継ぎ後の事業運営計画の策定

経営者の個人保証に関する 金融機関との折衝

後継者決定 後継者未決定

• 親族外承継は全体の3分の1を占め、多くの場合社内人材が後継者。 • 事業承継の準備を周囲から勧められた場合は後継者決定割合が高い。後継者の選定には時間がかかるが、

未決定企業は総じて経営の引継ぎに関する対策が進んでいない。

図1

図4

図2

親族外 33.4

親族内 66.6

(n=2,357)

親族内外承継の割合

親族以外の役員 57.9

親族以外の従業員 33.9

社外の人材 8.1

(n=787)

後継者が決まっている

41.6

後継者候補あり 27.5

後継者候補もいない、未定 30.9

(n=4,036)

後継者の選定状況

後継者選定状況・親族外承継の現状(中規模法人)

親族外承継の内訳

後継者選定状況別に見た、経営や資産の引継ぎの準備を 勧められた割合

図1-4:中小企業庁委託「企業経営の継続に関するアンケート調査」(2016年11月、(株)東京商工リサーチ)

図3 後継者の選定を始めてから 了承を得るまでにかかった時間

(%)

25

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【2-2】事業の承継(中小企業白書②) • 資産の承継について、親族外承継の場合には課題への対応が遅れており、対策に時間を要する資産の引継

ぎ方法への対策・準備が課題となる。 • 経営者は、後継者選定とともに計画的に承継の準備を進め、支援機関や金融機関等は連携し、多様な課

題をきめ細かく支援していくことが重要。

図1

図2 図3

30.3

44.7

53.5

35.7

50.1

49.3

34.5

64.5

69.0

69.7

020406080

課題と感じる (n=1,522~1,522)

対策・準備を行っている (n=1,341~1,481)

(%) 21.8

21.4

35.1

18.8

28.3

48.4

55.2

55.6

60.8

62.6

0 20 40 60 80

課題と感じる (n=832~847)

対策・準備を行っている (n=725~780)

(%)

自社株式や事業用資産の 最適な移転方法の検討

承継者が納税や自社株式、事業用資産を買

い取る際の資金力

自社株式や事業用資産の 適切な評価

自社株式や事業用資産の評価額 が高く、贈与税・相続税の負担が

大きい

会社が自社株式や事業用資産 を買い取る際の資金調達

資産の引継ぎの課題と対策・準備状況(親族内・親族外) 親族内 親族外

25.7

30.2

40.9

42.6

62.7

62.9

56.0

54.4

11.6

6.9

3.0

2.9

0% 100%

マイナス (n=319)

0 %以上3 %未満 (n=1,364)

3 %以上10%未満 (n=823)

10%以上 (n=204)

予想より高かった 概ね予想どおりだった 予想より低かった

売上高経常利益率別に見た、自社株式評価額の印象

47.1

26.6

12.0 11.4 6.1

27.1 20.7

7.1 8.3 4.6

0

10

20

30

40

50

顧問の 公認会計士 ・税理士

取引 金融機関

経営コン サルタント

親族、 友人・知人

親族以外の 役員や従業員

対策・準備を行っている(n=700) 対策・準備を行っていない(n=2,192) (%)

「承継者の資金力」についての対策・準備状況別に見た、 経営や資産の引継ぎの準備を勧められた相手 日頃から接触機会の多い相手からのアドバイスが重要。 赤字でも予想外に株式評価額が高い印象を受ける企業は多い。

図1-3:中小企業庁委託「企業経営の継続に関するアンケート調査」(2016年11月、(株)東京商工リサーチ) (注)「承継者の資金力」とは、承継者が納税や自社株式、事業用資産を買い取る際の資金力をいう。 26

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85.7 77.9 73.5

67.0 65.2

11.3 23.7

15.8 15.2 7.8

0

20

40

60

80

100

従業員の雇用維持・処遇問題

M&Aに関する情報や知識の不足

法務、税務、財務等の専門知識の不

M&Aを検討する上での情報漏洩のリス

企業風土の違い

課題と感じる(n=839~856) 対策・準備している(n=744~768) (%)

59.1

43.4 42.3

9.1 4.5 2.6 0

10203040506070

顧問の 公認会計士 ・税理士 (n=716)

親族、 友人・知人 (n=691)

取引金融 機関

(n=698)

商工会・ 商工会議所 (n=638)

事業引継ぎ 支援センター (n=627)

よろず 支援拠点 (n=626)

(%)

【2-2】事業の承継(中小企業白書③) • 後継者がいないが事業を継続したい企業にとっては、事業の譲渡・売却・統合(M&A)は重要な選択肢。

一般に、従業員の雇用維持のほか、会社の発展を重視する経営者が多い。 • 課題は多いが準備・対策は進んでおらず、専門家に相談する割合も低い。こうしたニーズをとらえ、多様な課題

に対応できる支援体制が必要。

図1 図3

図2 図4

2.3

3.4

20.2

33.3

77.5

63.3

0% 100%

後継者・後継者候補がいる (n=2,141)

後継者候補がいない (n=1,094)

事業の譲渡・売却・統合(M&A)を具体的に検討または決定している 事業を継続させるためなら事業の譲渡・売却・統合(M&A)を行っても良い 事業の譲渡・売却・統合(M&A)することを検討していない

後継者・後継者候補の有無別に見た、事業の譲渡・売却・統合 (M&A)の検討状況

88.8

38.3 38.0 29.3

23.7

88.7

35.5

56.7

22.0 25.5

86.0

33.1

59.0

24.7 29.8

0

20

40

60

80

100

従業員の雇用 の維持・確保

売却による 金銭的収入

会社や事業の 更なる発展

会社の債務 の整理

自社技術や ノウハウの 活用・発展

20人以下 (n=410)

20人超50人以下 (n=282)

50人超 (n=178)

(%)

従業員規模別に見た、事業を譲渡・売却・統合(M&A)する 場合に重視すること

事業の譲渡・売却・統合(M&A)に関する課題と対策・準備状況

事業の譲渡・売却・統合(M&A)に関心のある企業の、事業の承継 に関する過去の相談相手(上位3つ、下位3つ) 相談相手は普段から接触機会の多い相手。

M&Aに関心がある層でも対策・準備は進んでいない。

図1-4:中小企業庁委託「企業経営の継続に関するアンケート調査」(2016年11月、(株)東京商工リサーチ) 27

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【2-2】事業の承継(中小企業白書④) 【事例】株式会社オーテックメカニカル(山梨県南アルプス市)

左から営業部長(社長候補)、会長、現社長

経営と資産の円滑な承継に向けて三代で取り組む企業

現会長が創業した自動組立機、自動検査装置等の設計・製作を行う製造業者。会長は、同族経営にこだわらず、優秀な従業員が次の経営者として会社を継いでゆき、永く会社が存続していく仕組みづくりを早期から意識。

現会長が経営理念を策定し、「経営計画発表会」を行うなど社内に経営の方向性を浸透。同時に、現社長を40代で従業員の中から取締役に抜擢し、経営を引き継いでいった。

現社長の次の経営者候補として、営業部長を40歳のときに取締役に抜擢し、現社長も40代で受講した外部の後継者育成研修に派遣。次の後継候補者の育成を進めている。

堅実な経営を行っており株価も高かったが、非同族への承継を円滑に進めるために、会長一族が保有していた株式を、時間をかけて現経営陣や従業員持株会に徐々に譲渡。

「組織規模が大きければ、後継者を選ぶこともできるが、中小企業は時間をかけて育てて行かなければならない。後継者候補は早期から経営者としての経験を積ませていく必要がある。」と会長は言う。

28

事業承継後に事業再建した経験を活かして、 同業者のM&Aに取り組む企業

自動車整備業、自動車販売業を主に行う企業。近年は、飲食業や自動車整備工場のM&Aのコンサルティング等も手がけている。

3代目の現社長が入社した2003年当時は、従業員24人、金融機関からの借入れ15億円を抱えていたが、本業の自動車整備業が7,000万円の赤字に陥っており、不動産部門の利益で何とか黒字を計上していた。

老朽化していた工場・店舗の改装や大胆な業態の転換を行い、先代や工場長・従業員の反対に遭いながらも、従業員を解雇することなく事業を立て直した。

こうした事業再生の経験から、自社の可能性と事業の統合の必要性を認識。2007年から同業者のM&Aを始め、板金工場や自動車の買取店、保険代理店等の買収を進め、バリューチェーンを構築した。現在では買収実績が30件を越え、グループ全体の売上が40億円を超えた。

買収した中には、後継者不在で業績不振の整備工場もあり、自社の事業を立て直した経験が活かされている。

将来を懸念して、単独で事業を続けていくのではなく、 順調なうちに同社の傘下に入る企業もあるという。 経済環境が変化する中で、1社単独でなく、 統合し事業を継続させていくことも一つの選択肢 といえるだろう。

【事例】株式会社ファーストグループ(奈良県天理市)

藤堂高明社長

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親族以外の役員

15.8

親族以外の従業員 69.3

社外の人材 14.9

(n=48)

親族以外の役員

23.1

親族以外の従業員 64.6

社外の人材 12.3

(n=118)

親族外 9.7

親族内 90.3

(n=1,214)

【2-2】事業の承継(小規模企業白書①) • 小規模事業者では、親族内承継がほとんど。 • 小規模事業者では、事業用資産と個人用資産の分離ができていない可能性があり、親族外承継に抵抗感を

感じる企業が一定割合存在。

図1

図3

図2

親族外 4.9

親族内 95.1

(n=978)

後継者が決まってい

る 48.3

後継者候補あり 17.2

後継者候補もいない、未定

34.5

(n=1,518)

後継者の選定状況

後継者選定状況・親族外承継の現状(小規模法人・個人事業者)

(2)個人事業者

(1)小規模法人

後継者が決まってい

る 47.8

後継者候補あり 22.4

後継者候補もいない、未定

29.8

(n=1,760)

親族外承継の内訳 後継者の選定状況 親族内外承継の割合

親族内外承継の割合 親族外承継の内訳

54.1

38.6

27.1

22.4

29.5

25.1

23.5

32.0

47.8

0% 100%

経営者の親族のみ(n=170)

経営者の親族の方が多い(n=241)

経営者の親族以外の従業員の方が多い(n=435)

自宅と工場、店舗、事務所等の不動産を同じ建物で兼用している 自宅と工場、店舗、事務所等の不動産は同じ敷地にあるが、別の建物である 自宅と工場、店舗、事務所等の不動産は別の敷地にあり、分離している

従業員構成別に見た、経営者または親族が所有する事業用 不動産と自宅の分離状況(小規模法人)

41.0 40.3

28.4

20.1

29.9 27.8

35.1 28.9

0

10

20

30

40

50

後継者候補を探す うえで適切な相談 相手が見つからない

探す時間が確保できない 親族外への 経営の引継ぎに 抵抗感がある

探し方がわからない

小規模法人(n=134) 個人事業者(n=97) (%)

後継者候補が見つからない理由(小規模企業)

図1-3:中小企業庁委託「企業経営の継続に関するアンケート調査」(2016年11月、(株)東京商工リサーチ) 29

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2.1

7.9

26.0

0

5

10

15

20

25

30

中規模法人(n=4,170)

小規模法人(n=1,920)

個人事業者(n=2,057)

(%)

(1)廃業意向のある企業の割合

【2-2】事業の承継(小規模企業白書②) • 小規模事業者では、廃業を検討する場合も多いが、法人と個人事業者で課題は大きく異なる。 • 小規模法人では、廃業の際、自社の事業や資産を他社に譲りたいとする者もいるが、相談相手は限定的であ

り、こうしたニーズをとらえた効果的なマッチングが必要。

図1

図2

図3

図4

29.1 25.2

15.9 13.2 11.9 11.3 11.3

41.5

15.5 13.6

2.6

23.8

6.6 5.1

05

1015202530354045

廃業後の 生活費の 確保

借入など の負債の 整理

商店街など 地元の 活力低下

役員や従業員 の生計の維持

廃業後の 自分の 生きがい

取引先企業 の事業に 迷惑をかける

廃業に必要な 費用(撤去等) が準備できない

小規模法人(n=151) 個人事業者(n=530) (%)

廃業する上で問題になりそうなこと(小規模法人・個人事業者)

4.6

4.5

21.7

11.9

53.9

58.8

19.7

24.9

0% 100%

小規模法人(n=152)

個人事業者(n=531)

譲りたいと思う できれば譲りたいと思う 分からない 譲りたくない

廃業に際して自社の事業や資産を他社に譲ることについて (小規模企業)

45.0 45.1 42.1

22.2 20.3

61.2

49.6

9.4 18.0

24.1

0

10

20

30

40

50

60

70

商工会・ 商工会議所

親族、 友人・ 知人

顧問の 公認会計士 ・税理士

取引 金融 機関

他社の 経営者

小規模法人(n=111~131) 個人事業者(n=359~466) (%)

廃業意向の小規模事業者の相談相手

1.2 0.6

18.1

9.8

0

5

10

15

20

25

後継者候補がいない 小規模法人 (n=508)

後継者候補がいない 個人事業者 (n=510)

事業を継続させるためなら、M&Aを行っても良い M&Aを具体的に検討または決定している

(%)

(2)M&Aの検討状況

M&Aの検討状況と廃業意向(小規模法人・個人事業者)

個人事業主は廃業後の生活、生きがい等を懸念する傾向。

図1-4:中小企業庁委託「企業経営の継続に関するアンケート調査」(2016年11月、(株)東京商工リサーチ) 30

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【2-2】事業の承継(小規模企業白書③) 【事例】松永陶器店(福島県浪江町)

再開された松永窯

東日本大震災による事業停止を乗り越え、伝統産業を再開

事業承継を機に、新販路を開拓 現代表の実家は福島県浪江町の伝統的工芸品である「大堀相馬焼」の窯元として代々続く個人事業者の4代目。

東日本大震災により、窯元のあった浪江町が帰還困難区域に指定され、25件あった「大堀相馬焼」 の窯元も離散し、事業停止に陥っていた。

「大堀相馬焼」は浪江町で採れる「砥山石」から作る釉薬がなければ作ることができず、事業再開のハードルは高かった。当初は先代も事業再開に消極的であったが、息子である現代表や取引先からの働きかけもあり、福島県などの協力で代替原料を開発して西郷村で事業を再開。

現代表は、地元の伝統を守り、大堀相馬焼のよさをより多くの消費者に分かってもらいたいという強い思いから、事業を引き継いでいくことを決意。

現在は、先代である父親が製造を担当し、現代表は販売事業を別会社で立ち上げ、デザイナーとコラボレーションした新製品の企画や海外展開を含めた新販路の開拓に注力している。

【事例】有限会社福島商店(鳥取県米子市) 丸山商店(鳥取県西伯郡大山町)

事業引継ぎの調印式の光景

小規模事業者が後継者不在の個人事業を買収し

商品・ブランド・顧客を引継ぎ 丸山商店は浅漬の製造・販売を行ってきた個人事業者。親族や従業員に後継者もなく、一人では事業継続は困難であると感じていた。

丸山商店の代表は、同業者で10年来の知人である福島商店の社長に事業譲渡を持ちかけ、両者の間で基本的に合意。地元金融機関からの紹介を受けて鳥取県事業引継ぎ支援センターに相談。

個人事業の買収であり、明確な評価方法がなかったため譲渡金額の設定には苦労したが、事業引継ぎ支援センター等が間に入ることでスムーズな調整が出来た。

結果、福島商店に事業譲渡することとがまとまり、事業主及び従業員7名の雇用維持と浅漬けの技術・商品ブランド・取引先などを引き継ぐことができた。

丸山商店の前代表は「譲渡を一人で判断するのは大変、支援のおかげで気分が楽になった。」と言う。

福島商店は、県内の需要が縮小していくなか、丸山商店の有していたブランドや県外の販路を獲得でき、 今後の事業展開につなげたいという。

31

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31.7

19.6 14.9 14.9

8.5 11.0

36.1

21.2 21.8 21.6 18.1

14.9

0

10

20

30

40

必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足してい

新事業展開に必要なコストの負担が大きい

市場ニーズの把握が不十分で

ある

販路開拓が難しい

自社の製品・サービスの情報発信が不十分

である

自社の強みを活かせる事業の見極めが難しい

成功した(n=281) 成功していない(n=679) (%) (2)新製品開発戦略

32.6 26.7 24.7

18.1

10.8 12.5

35.7 35.4

25.9 25.9 20.1

16.9

0

10

20

30

40

必要な技術・ノウハウを持つ人材が不足してい

販路開拓が難しい

新事業展開に必要なコストの負担が大きい

市場ニーズの把握が不十分であ

自社の製品・サービスの情報発信が不十分

である

自社の強みを活かせる事業の見極めが難しい

成功した(n=288) 成功していない(n=703) (%)

(1)新市場開拓戦略

【2-3】新事業展開の促進(中小企業白書①) • 新事業展開は中小企業の成長に寄与。 • 目指す新事業展開の戦略別に、マーケティングの取組状況によって成否に差がある。

図1

図3

図2 新事業展開の取組(新製品開発)と経常利益率の関係

36.0

28.0

37.8

41.8

26.3

30.2

0% 20% 40% 60% 80% 100%

実施している (n=670)

実施していない (n=2,142)

増加 横ばい 減少

新事業展開の実施状況

22.3

23.7

16.0

4.9

77.7

76.2

84.0

95.0

0% 20% 40% 60% 80% 100%

新市場開拓戦略 (n=2,959)

新製品開発戦略 (n=2,928)

多角化戦略 (n=2,959)

事業転換戦略 (n=2,875)

実施している 実施していない

図1-3:中小企業庁委託「中小企業の成長に向けた事業戦略等に関する調査」(2016年11月、(株)野村総合研究所)

新事業展開の成功、不成功企業別に見た課題

マーケティングに係る課題 マーケティングに係る課題

32

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60.4

49.1 48.8

33.3

60.4

42.6 38.6

28.4

55.1

39.2 38.6 31.6

54.1

31.1 33.8

17.6

54.5

24.7 29.9

19.5

0

10

20

30

40

50

60

70

新規顧客の獲得 企業の知名度向上 従業員の意欲向上 人材育成

4つ全部(n=336) 市場ニーズ&自社の強み&PR(n=197) 市場ニーズ&自社の強み(n=158) 強みのみ(n=74) どれもやってない(n=77)

(%)

44.5

36.0

19.5

増加 横ばい 減少

(1)マーケティング活動全て実施 (%)

(n=328)

図3

62.8 51.7

13.2 14.0 10.3 5.4

76.2

39.2

14.4 13.7 10.5 5.3

0

20

40

60

80

社内の営業 部門・担当者

社内の経営企画部門・担当者

社内のマーケティング企画部門・担当

社内の研究開発部門・担当者

その他の部門・担当者

市場ニーズを把握する担当者はおらず部門もない

成功した(n=242) 成功していない(n=564) (%)

【2-3】新事業展開の促進(中小企業白書②) • マーケティングの中でも市場ニーズの把握に強みを持つ企業が新事業展開に成功。営業部門だけでなく、経営

企画部門も市場ニーズの把握に取り組む傾向。 • また、こうしたマーケティング活動の評価・検証まで実施する企業は従業員の意欲向上や人材育成の効果を享

受。

図1

図2 図4

マーケティング活動有無別に見た経常利益率の傾向

新事業展開の成功、不成功企業別に見た自社の強み マーケティング実施状況と新事業の効果との関係

図1-4:中小企業庁委託「中小企業の成長に向けた事業戦略等に関する調査」(2016年11月、(株)野村総合研究所)

(注) マーケティング活動とは「自社の強みの把握」、「市場ニーズの把握」、「情報戦略」、「マーケティング活動の効果検証」を指す。

新事業展開の成功、不成功企業別に見た市場ニーズの把握を行う部門

59.5

38.6 34.5

30.7 30.3

65.4

28.9 36.5

25.2 30.2

0

10

20

30

40

50

60

70

要望に応じた柔軟な製品・サービス の生産・提供

市場ニーズを反映した製品・

サービスの開発力

高付加価値な製品・サービスの生産・

提供

会社や製品・サービスの

ブランド力

技術・研究開発力

成功した(n=264) 成功していない(n=616) (%)

29.3

30.7

40.0

(2)マーケティング活動全て非実施 (%)

(n=75)

33

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62.5 20.0

17.5

増加

横ばい

減少

【2-3】新事業展開の促進(中小企業白書③)

• 新事業展開の際の共通課題である人材不足に対応するためには、外部の経営資源の活用が有効。利益にも好影響を与えている。実際に活用した企業はさほど問題を感じていない。

【事例】田中金属製作所株式会社(岐阜県山県市)

外部リソースを活用したブランド戦略で ニッチ市場を創出

伸銅部品・ステンレス部品の製造やシャワーヘッドの開発、製造及び販売業者。下請メーカーとして水栓バルブ部品の製造を行ってきたが、住宅着工の低迷による需要の停滞や価格競争の激化を受け、下請取引に頼らない自社製品の開発と販路開拓を目指す。

新たな事業の柱を検討していたところ、節水効果を備えたシャワーヘッドが高価格帯で販売されていることに着目。新製品開発を進め、節水効果と美容作用という付加価値を兼ね備えたシャワーヘッドの開発に成功した。

消費者向けの新製品を売り出すに当たり、ブランディング戦略構築をアウトソーシングし、新製品のコンセプトやPRポイントを明確にすることで、顧客からの認知度を高めている。

美容や健康志向に感度の高い30歳代 の女性をターゲットとし、自社ブランド製品 を3年近くかけて確立してきた。その結果、 売上は2倍程度まで増加した。

14.6 85.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

マーケティング 活動の評価・ 検証(n=341)

外部リソースを活用している 外部リソースを活用していない

図1

経常利益率の傾向 経常利益率の傾向

マーケティングの評価検証における外部リソースの活用状況と経常利益率との関係(新事業展開成功企業)

図2 外部リソースの活用状況別に見た課題

図1-2:中小企業庁委託「中小企業の成長に向けた事業戦略等に関する調査」(2016年11月、(株)野村総合研究所)

(%) (n=40)

(%) (n=230)

50.4 32.2

17.4

増加

横ばい

減少

26.5 26.5 18.4

8.2 8.2 6.1

40.8 39.7 36.9

29.4

18.2

33.5

12.0 6.2

0

10

20

30

40

50

必要な人材、体制を自前で確保する場合と比較して、コストが 割高に思われる

適正な契約金額の 相場が分からない

アウトソーシングの 成果が対価に 見合わない

競合他社等への 技術・ノウハウ等の 流出が心配

自社で業務を行う 場合と比べて、柔軟・臨機応変な対応が

なされない

アウトソーシング先 との契約手続きが

面倒

特に問題は 生じなかった

活用している(n=49) 検討しているが、活用していない(n=582) (%)

34

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0.9

1.3

1.6

1.7

1.8

8.6

5.7

8.8

6.2

5.2

0%5%10%

従業員の動線を「見える化」し、 業務プロセスを改善

(n=989)(n=1,886)

製品・サービスの稼動状況、顧客 ニーズの把握による新製品開発

(n=994)(n=1,906)

受注、生産、在庫状況等を 統一的に把握・管理

(n=988)(n=1,887)

バックヤード・アシスタント業務の 自動化・省力化

(n=985)(n=1,885)

顧客・取引先のニーズ把握 (n=995)(n=1,912)

1.0

1.9

0.9

0.6

2.1

5.3

5.7

4.9

4.0

6.1

0% 5% 10%

活用している

活用を検討している

【2-3】新事業展開の促進(中小企業白書④) • IoTなどの新技術の中小企業での活用度合いは低いが、一定の関心がある。非製造は新技術を活用した「見

える化」等で生産性向上につながる可能性もある。 • 中小企業にとって新しいビジネスチャンスとなるシェアリングエコノミーには比較的高い関心。

9.5

11.2

13.6

36.7

38.2

46.4

53.8

50.6

40.1

0% 100%

プラットフォーム提供者として (n=692)

場所・モノ・サービス等 の提供者として(n=694)

場所・モノ・サービス等の 利用者として(n=699)

関心があり、事業参入を検討している 事業参入を検討していないが、関心はある 関心がない

【事例】十勝バス株式会社(北海道帯広市)

IoTを積極導入して顧客満足度を高め、 成長する地域密着企業

1926年創業のバス事業者。北海道十勝管内の1市13町村にて、バス事業を運営。バス利用者の減少を自然減と諦めず、利用者の増加を目指す。

2008年、バス沿線世帯への個別訪問による営業を開始し、需要減少の理由を探った。最寄の停留所や経路がわからないという利用者の不安を解消すべくITベンダーと共同で、バス乗換案内サービスを開発。停留所名がわからなくても、目的地のみで経路検索できるシステムをアプリで提供。

また、IoT技術を活用したバスロケーション利用者にシステムを導入。アプリ上で運行状況を見える化し、利用客に到着時刻を通知するサービスを提供。冬季の到着時刻のばらつきというバス利用者の不安を解消し、顧客満足度を高めている。今後、バスに取り付けたセンサーで乗降客数を計測し、ダイヤ改正等に生かすことを検討。

各種取組が奏功し2011年には増収を達成。さらに、アプリ上で十勝管内の観光地情報、その

目的地までのバス経路を紹介 するなど観光客の増加による 地域活性化にも取り組んでいる。

図1

図2

業種別に見た、 IoT、ビッグデータ、AI等の新技術の活用状況

シェアリングエコノミーへの関心度

図1-2:中小企業庁委託「中小企業の成長に向けた事業戦略等に関する調査」(2016年11月、(株)野村総合研究所)

【製造業】 【非製造業】

35

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30.6

37.4

32.5

37.4

44.2

13.1

44.2

40.1

43.9

41.0

32.6

46.5

25.1

22.5

23.6

21.5

23.3

40.4

0% 20% 40% 60% 80% 100%

商圏・顧客との関係強化の取組(n=2,633)

新市場開拓の取組(n=1,577)

新製品開発の取組(n=1,418)

多角化の取組(n=1,411)

事業転換の取組(n=43)

特にない(n=245)

増加 横ばい 減少

【2-3】売上拡大に向けた取組(小規模企業白書①) • 小規模事業者の業績は伸び悩み、新規販路開拓や人材の確保が課題となっている。 • 売上拡大に向けた取組(新市場開拓、新商品開発、多角化、事業転換等)の実施に当たり、PR活動に

併せてニーズの把握や自社の強みの把握に取り組む事業者は高い効果を感じているが、その際、人材不足が課題。

図1

図2

図3

図4

44.6 51.4

21.4 20.5 17.4

41.6

29.0 24.4 20.1 21.5

0102030405060

新たな商圏・顧客・販路の開拓

人材確保 既存の商圏・顧客・販路との関係強化

新製品・サービスの開発

製品・サービスのPR活動や自社の知名

度向上

法人(n=1,926) 個人(n=2,275) (%)

最近、重要になったと感じる経営課題

図1-4:中小企業庁委託「小規模事業者の業績向上に向けた取組み等に関する調査」(2016年12月、(株)野村総合研究所)

「売上拡大に向けた取組」と売上動向との関係

マーケティング活動の実施状況別に見た、「売上拡大に向けた取組」の効果

41.5

30.2 31.7 24.9

20.3

7.3

16.1

39.8

29.9

20.9 23.2 23.6

6.0

18.7

0

10

20

30

40

50

必要なコスト の負担が大きい

PR活動・知名度向上に

取り組む時間がない

必要な技術・ノウハウを持った人材

が不足

実施した取組を評価・検証し、改

善する 時間がない

地域の雑誌やメディア、IT等を有効活用できて

いない

適切な相談 相手がいない

特にない

法人(n=1,926) 個人(n=2,275) (%)

PR活動における課題 PR活動に当たっては、コスト負担、人材不足が課題。

小規模企業が「売上拡大に向けた取組」を実行するに当たり、PR活動に併せたニーズや自社の強みの把握のメリットは大きい。

61.0 52.9 50.7 50.5

41.1 47.3 48.4 48.4 44.0 29.7

38.4 33.3 27.1 38.4

29.4

0

20

40

60

80

新規顧客の獲得 リピート顧客の増加 自社の知名度向上 売上高の増加 利益の増加

PR活動、ニーズ・強みの把握全て実施(n=2,326) PR活動のみ実施(n=91) 何もやってない(n=177)

(%)

36

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【2-3】売上拡大に向けた取組(小規模企業白書②)

【事例】有限会社佐賀ダンボール商会(佐賀県有田町)

オンリーワン製品の開発により伝統工芸品を 高価格帯市場に展開する企業

有田焼製品梱包のためのダンボール箱製造・包装資材の販売及び有田焼製品の製造・販売会社。伝統工芸品の有田焼市場が年々縮小する中、①有田焼の美しさを世界に示す、②有田地域の経済を復活させる、という2つの使命を掲げ、有田焼の新製品開発を目指した。

同社の石川社長は、自身が病床に伏した際に、万華鏡の美しさに魅せられ、万華鏡を有田焼で製造することを思い付いた。しかし、精密さを要求される万華鏡を有田焼を組み合わせることは、技術的に困難であり、この問題を解決するため、2003年に、「有田焼万華鏡研究会」を発足させた。専門家の英知を結集することで、「有田焼万華鏡」は完成に至ることができた。

同年に、アメリカで毎年行われる万華鏡世界大会に出展したところ、「有田焼万華鏡」の優美な工芸技術が高く評価され、海外の百貨店から引き合いを受けることができた。また、海外での評判を日本の百貨店も聞きつけ、日本でも販売先が増えることで、2004年の販売開始から、1年間で1億3,000万円の売上を達成することができた。

この出展を契機に、有田焼製品を次々に開発。 特に、日本の工芸品が世界の富裕層に受け入 れられることに気づいた社長は、万年筆や時計 といった高価格帯製品を国内外の名門ブランド とコラボレーションし、高付加価値かつオンリー ワン製品の開発を目指している。

【事例】田島テクニカ株式会社(徳島県吉野川市)

B to B事業からB to C事業に多角化し 新たなブランドを確立した小規模事業者

発泡体スライス加工やラミネート加工会社。緩衝材やサンダル等の底材として使われるEVA素材に着目し、EVA素材が持つ柔軟性や耐久性を活かした、タブレットケースや小物入れ等の雑貨を製造・販売している。

同社は、取引先の履物メーカーからEVA素材の取扱いの依頼を受け、EVA素材の加工に注力していたが、履物メーカーが海外での現地生産を進めていたことや等から、新事業展開の必要性を感じていた。

これまでは、主要顧客は企業であったが、今後は、一般消費者を顧客にしたいと考えていた。また、従来から取り扱っていたEVA素材の活用による新製品開発という思いから、この素材の衝撃性という特性を活かし、タブレットケースや小物ケースの制作・販売事業を開始した。

支援機関からの紹介によるデザイナーとの協働や、補助金の活用、展示会への出展を精力的にこなすことで、知名度向上につながり、新規顧客層を開拓することができている。特に、 徳島県の支援事業に採択され、ブランド力を大きく 向上させることができた。

今後は、この事業を会社全体の売上高の5割 程度を占めるまで、成長させたいと考えている。

37

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・各部門の中枢として、高度な業務・ 難易度の高い業務を担う人材。・組織の管理・運営の責任者となっている人材。・複数の人員を指揮・管理する人材。・高い専門性や技能レベル、習熟度を有している人材。・各部門において、比較的定型的な業務を担う人材。・組織の管理・運営の責任者となっていない人材。・中核人材の指揮・管理のもと、各業務を行う人材・中核人材の補助的な業務を行う人材。・その他、特殊な技能は有さないが、事業の運営に 不可欠たる労働力を提供する人材。

【人材の区分】

中核人材

労働人材

60.4

36.3

35.6

26.5

34.0 27.0

52.8 25.6

63.6

24.4

28.7

21.6

31.0

25.7

60.1

31.9

全体

経営企画

内部管理

財務・会計

情報 システム

研究開発・設計

営業・ 販売・ サービス

生産・運搬

中核(n=681~709)

労働(n=649~696)

(%) 【成長・拡大】

【2-4】人材不足の克服(中小企業白書①) • 成長・拡大を目指す企業は中核・労働ともに人材の不足感強い。 • 特に中核人材の不足は、新事業展開の停滞や需要増に対応できないなど、成長・拡大を目指す企業の新事

業展開に影響がでている。

図1

図2 (参考)2017年白書における人材の区分

製 造 業 非 製 造 業

業種別・業務領域別に見た人材不足の状況

事業展開の方針別に見た、中核人材の不足による経営への影響

図1-2:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(2016年11月、みずほ情報総研(株))

47.4

27.6

29.6

18.2

27.6 34.5

41.7

39.7 42.6

17.8 22.3

14.6

18.3 29.4

33.5

45.8

全体

経営企画

内部管理

財務・会計

情報 システム

研究開発・設計

営業・ 販売・ サービス

生産・運搬

中核(n=399~416)

労働(n=387~421)

(%) 【安定・維持】 57.8

31.7

35.8

24.3

30.0

44.8

54.0

51.5

60.1

19.5

27.9 18.3

26.7

40.1 51.1

58.3

全体

経営企画

内部管理

財務・会計

情報 システム

研究開発・設計

営業・ 販売・ サービス

生産・運搬

中核(n=218~229)

労働(n=208~228)

(%) 【成長・拡大】

42.5

25.4

24.6

18.4

23.5

20.0

41.4 25.7

50.4

18.3

19.4

15.4

21.3

18.1 43.4

32.6

全体

経営企画

内部管理

財務・会計

情報 システム

研究開発・設計

営業・ 販売・ サービス

生産・運搬

中核(n=1,272~1,401)

労働(n=1,240~1,362)

(%) 【安定・維持】

(注)グラフの外側にいくほど人材不足の割合が高い。

58.4 57.6 47.8 43.1

36.0 40.7 45.0 53.0 54.6

28.3

010203040506070

新事業・ 新分野への 展開が停滞

需要増加に 対応できず 機会損失が 発生

技術・ ノウハウの 承継が困難

事業規模の 維持が困難

新規採用の コストが増加

成長・拡大(n=531) 安定・維持(n=777) (%)

38

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33.0 29.0 29.0 28.7

25.6 23.4 21.8

17.2

37.2

28.0 26.6 21.5 24.6 22.4

18.9 16.2

0

10

20

30

40

能力や適性に応じた

昇給・昇進

成果や業務内容に応じた人事評価

時間外労働削減・休暇制度の利用促

職場環境・人間関係への配

研修・能力開発支援

他社よりも 高い賃金 水準の確保

作業負担の軽減や業務上の安全 確保の徹底

勤務時間の弾力化

人材確保成功企業(n=582) 人材確保不成功企業(n=1,405) (%)

【2-4】人材不足の克服(中小企業白書②) • 定着に成功する企業は、職場環境改善、業務負担軽減に注力し、採用にも成功。 • 多様な人材を活用できている企業は、時間外労働の削減や人間関係の配慮など中小企業ならではの柔軟

性を活かした職場環境改善の取組を行っている。

(%) (n=849)

(%) (n=2,673)

図1 図3

図2

採用の成否と採用した人材の定着成否

期待通りの人数・能力の 人材を採用できていない

67.9

期待通りの人数・能力の 人材を採用できている

32.1 採用した人材が おおむね3年 以上定着

90.6

3年以上定着していない

9.4

人材の定着や育成のために、中小企業が有効だと考える取組

41.0 40.7 37.1

23.9 20.5

33.6

25.8 25.8

18.8 13.3

23.7

14.0 15.1 12.9 6.5

0

10

20

30

40

50

時間外労働の削減・休暇制度の利用促進

職場環境・人間関係への配慮

社内勉強会・提案発表会等による従業員の意見

の吸い上げ

休憩室等ハード面の整備 勤務時間等に制約がある人材への業務量・業務負

担の軽減

活用中(n=410) 検討中(n=128) 未検討(n=93) (%)

【製造業】

40.1 39.0 34.0

24.0

16.5

35.8 30.5

34.5

17.5 15.1 15.7 16.1 14.3 10.8

6.3

0

10

20

30

40

50

時間外労働の削減・休暇制度の利用促進

職場環境・人間関係への配慮

社内勉強会・提案発表会等による従業員の意見

の吸い上げ

勤務時間等に制約がある人材への業務量・業務負

担の軽減

休憩室等ハード面の整備

活用中(n=1,543) 検討中(n=377) 未検討(n=286) (%)

多様な人材の活用状況別に見た、 職場環境の整備に関する取組(中核人材)

【非製造業】

図1-3:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(2016年11月、みずほ情報総研(株))

(注)「女性」「シニア」「外国人」「障がい者」について、1つでも「「中核人材として活用している」と回答した企業を「活用中」とし、「活用中」を除き、1つでも「中核人材としての活用を検討している」と回答した企業を「検討中」とし、その他の企業を「未検討」としている。 39

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33.7

14.6

34.7

24.9

42.2

39.6

38.5

40.9

24.1

45.8

26.8

34.2

0% 100%

合理化・標準化実施企業 (n=187)

未実施企業(n=48)

合理化・標準化実施企業 (n=470)

未実施企業(n=225)

製造業

非製造業

増益 横ばい 減益

• 人手不足の中でも多様な人材を活用できている企業は、生産性向上にもつながる業務の合理化・標準化に取り組んでおり、収益力の向上にもつながっている。

【2-4】人材不足の克服(中小企業白書③)

【事例】三州製菓株式会社(埼玉県春日部市)

「一人三役」を軸に柔軟な働き方を実現し、女性が活躍

1950年創業の米菓・洋菓子製造販売業者。女性比率は正社員で4割弱、非正社員で9割以上、管理職比率は2割以上と、女性が戦力として大きな役割を果たしている。そのため、かねてから代表取締役社長の主導で女性活躍を積極的に推進しており、「ダイバーシティ経営企業100選」をはじめ数々の認定・表彰を受けている。

同社において、出産・育児・介護等の事情による離職はほとんどない。育児・介護支援に関する人事制度はもちろん、有給休暇についても役職に関わらず気兼ねなく取得している。その最も大きな秘訣は、工場における多能工化を発展させた、一人が三種類以上の業務を担当する「一人三役」の仕組みを全ての社員に適用していることにある。

「一人三役」を円滑に機能させるために、業務の標準化や役割分担の見える化、人事評価への反映を定期的に実施することをルールで定めており、これが休暇中の社員のフォロー体制の確保だけでなく、モチベーションアップや、生産性の向上にもつながっているという。

これにより、基幹的役割を担っている女性 社員も、柔軟な働き方によりワーク・ライフ・ バランスを実現しながら自らの潜在力を発 揮できる体制が整えられている。近年の一 番のヒット商品は育児中の短時間勤務正 社員が考案した「揚げパスタ」であり、社長 はこれも「一人三役」を基軸にした体制が あったからこその成果だと語る。

近年のヒット商品 「揚げパスタ」

図2

図1

66.0 48.2

38.5 32.6 17.7

58.3

32.6 43.9

26.5 9.8

37.2

17.0 17.0 10.6 8.5

010203040506070

5Sの徹底 業務プロセスの見える化 各人の業務内容・役割分担の明確化

業務内容の見直し・削減

社内共通の業務ツールの導入

活用(n=423) 検討(n=132) 未活用(n=94) (%)

44.2 38.3 35.4 29.4 24.4

42.0 40.6 31.9 27.7 20.8 27.6 23.4

14.3 11.2 13.6

010203040506070

各人の業務内容・役割分担の明確化

5Sの徹底 業務プロセスの見える化 業務内容の見直し・削減

社内共通の業務ツールの導入

活用(n=1,563) 検討(n=379) 未活用(n=286) (%)

【製造業】

【非製造業】

業務の合理化・標準化の取組と収益力の関係 (多様な人材を中核人材として活用する企業)

図1-2:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(2016年11月、みずほ情報総研(株))

多様な人材の活用状況別に見た、業務の合理化・標準化の取組(中核人材)

(注)「見える化等実施企業」とは、「業務プロセスの見える化」を実施し、かつ「5Sの徹底」「各人の業務内容・役割分担の明確化」 「業務内容の見直し・削減」「社内共通の業務ツールの導入」「部門・エリア間での重複業務の集約」についていずれか1つ以上実施している企業とし、「未実施企業」とは、見える化等の取組を一切行っていない企業としている。 40

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29.6 29.6 27.3 25.9 25.0

16.2

22.2 23.0

31.3

18.5 23.0

8.2

05

101520253035

情報処理関連 一般事務処理 税務・会計等の特殊分野

デザイン・商品企画

運送・配送・保管等の物流関

調査・マーケティング

成長・拡大志向(n=216) 安定・維持志向(n=243) (%)

【2-4】人材不足の克服(中小企業白書④) • 人材不足でも業績を伸ばす企業は省力化、IT導入、アウトソーシング等に取り組む。 • デザイン・マーケティングなど高度な人材が求められる業務でも、アウトソーシングにより成長を目指す企業も増え

ている。

図1

42.4

25.9

36.7

51.0

31.1 21.8

12.4 12.3

27.8 31.9

17.9 28.1

37.9

21.9 14.7

7.3 6.6

21.1

0

10

20

30

40

50

60

省力化・ 作業負担 軽減のための機械化

付加価値 向上のための機械化

フロント オフィスへのIT導入

バックオフィスへのIT導入

繁忙期に おけるアウトソーシング

高度専門 業務のアウトソーシング

非中枢・ 非差別化業務のアウトソーシング

高付加価値型の業態への転換

能力開発による一人当たりの生産性向上

機械化・IT導入 アウトソーシング その他

中核人材・労働人材とも不足だが増益(n=226~244) 中核人材・労働人材とも不足で減益(n=193~204) (%)

経常利益の実績別に見た、人材不足企業の取組(非製造業)

図1-2:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(2016年11月、みずほ情報総研(株))

図2 事業の方針別に見た、外部委託の必要性が増加した業務

中小・ベンチャー企業と高スキルの女性フリーランサーを

マッチングする企業

2013年設立の人材マッチングサービス会社。PR・マーケティング業務等を「プロジェクト」として任せたい企業と、フリーランスとして働きたいと考える女性、中でも文系の総合職領域での経験が豊富なプロフェッショナル人材とを、業務委託契約にてマッチングする役割を果たしている。

約1,100社の顧客企業の7割が中小・ベンチャー企業。顧客にとっては、新規プロジェクトなどの高度な戦略部門が必要となる業務を、経験豊富な人材に委託することで、新規に高度な人材を採用するよりもコストダウンを図ることができる。加えて、単なる外注と異なり、プロフェッショナル人材とともに業務を進めることで、自社の従業員に新たな知見やネットワークが蓄積され、従業員の能力向上にもつながる。

現状ではこのようなプロジェクト型の業務委託を締結した経験のある中小企業は少ないため、当社は顧客企業に対し、業務の整理・分解、必要とされるスキルの明確化、業務委託契約の内容精査から契約期間中のフォローアップまで、各企業が円滑にプロジェクトを完遂できるよう一貫した支援を行っている。

代表取締役の一人である田中氏は、「労働力人口の 減少も相まって、特に中小・ベンチャー企業では高度な 人材の採用が厳しくなっている。そのようななか、『雇用』を 前提にして人材採用を考えると、必要な時に必要な人 材を確保できないリスクがある。ぜひ発想を柔軟にし、業 務委託という選択肢を考えてほしい」と語る。

【事例】株式会社Waris(東京都港区)

代表取締役 田中美和氏 41

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17.8 16.8 15.9 15.0

4.7 2.8

49.5

40.7

14.3

31.4

16.4 9.3

12.9 15.0

0

10

20

30

40

50

60

導入の費用対 効果が不明

導入領域が 限られており、 効果が小さい

適切な委託先が見つからない

技術・ノウハウ・ 機密情報等の 流出懸念

業務プロセスや社内ルールの

見直しに手間がかかる

どの領域を委託すればよいのかわ

からない

特に 課題はない

活用中(n=107) 検討中(n=140) (%)

• 小規模事業者では人手不足感が強まっているが、職場環境を整備し、女性やシニアなど多様な人材を活用することや、外部委託を活用することにより、効果を得られている。

図1

図2

図3

図4

58.2 51.2 54.2 36.0 41.3 40.4

22.9 18.8 15.8

25.9 18.4 17.1

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

増加(n=153) 横ばい(n=293) 減少(n=253) 増加(n=139) 横ばい(n=283) 減少(n=245)

女性 シニア

活用中 活用を検討中 (%)

直近の売上高傾向別に見た、女性・シニアの活用状況

図1-2:中小企業庁委託「中小企業・小規模事業者の人材確保・定着等に関する調査」(2016年11月、みずほ情報総研(株))

26.8 24.5 22.9

18.5

10.7 6.5

8.5 7.0 4.2

7.7

2.8 1.4

0

10

20

30

時間外労働の 削減・休暇制度の利

用促進

職場環境・ 人間関係 への配慮

勤務時間等に 制約がある人材への業務量・業務 負担の軽減

社内勉強会・提案発表会等による 従業員の意見の 吸い上げ

休憩室等 ハード面の整備

希望に応じた配置に関する相談 体制の確保

女性またはシニアを活用している(n=384) 女性、またはシニアのいずれも活用しておらず、今後の活用も検討していない(n=142) (%)

女性・シニアの活用状況別に見た、職場環境の整備に関する取組

25.0

15.0

9.4

26.7

16.3

17.2

48.3

68.8

73.4

0% 100%

人材不足だが売上増加(n=60)

人材不足で売上横ばい(n=80)

人材不足で売上減少(n=64)

活用している 現在は活用していないが、今後の活用を検討している 現在活用しておらず、今後の活用も検討していない

直近の売上高傾向別に見た、 人材不足企業の外部委託の活用状況

外部委託の活用状況別に見た、外部委託の課題

【2-4】職場環境の整備と多様な人材の活用(小規模企業白書①)

42

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【事例】株式会社杉岡織布(滋賀県高島市)

設備投資やIT化推進を行い 生産性の向上と職場環境の改善を図る企業

地域ブランドである「高島ちぢみ」の綿織物製造・販売を行う創業62年目の企業。代表取締役社長の杉岡定弘氏は、2014年に父親である先代社長から事業を承継したが、「これまでと同じことをやっているだけでは、この先事業が立ち行かなくなるのではないか」という危機感のもと、承継する以前から顧客ニーズや補助金等の情報収集に努め、新しい取組に挑戦してきた。

例えば、顧客ニーズを反映した商品を短納期で生産するため、目的に合わせて機械設備の導入を実施しており、2016年には、中小企業庁の「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」を活用し、高性能デザインシステムを導入した。これにより商品の付加価値が向上しただけでなく、深夜までの残業時間が大幅に減少するなど、従業員の作業負担の軽減にもつながっている。

同社は製造部門だけでなく、販売面・事務面においても改善を進めている。2012年にはエンドユーザー向けのインターネット販売を開始しており、消費者の声が直接届くようになったことで、従業員のモチベーションも向上しているという。さらに、手書きの伝票や給与明細が主流である伝統地場産業の中にあって、2006年に同社はいち早く事務処理のシステム化を図り、これによって

事務員の作業負担が軽減された。更に、 2015年にはクラウド会計を導入し、事務の 効率化を積極的に推進している。 これらの取組により、職場環境が改善された ほか、生産性も向上し、新たな設備投資や 海外展開への挑戦を可能にするといった好 循環が生まれている。

【事例】株式会社YPP(東京都中央区)

スキマ時間の活用により、人手不足の事業者を支える企業

2005年創業の、経理・受発注・給与計算等の事務代行業者。育児や介護等様々な事情から勤務地や勤務時間等の「働き方」に制約はあるが、「スキマ時間を生かして少しでも働きたい」とする登録メンバーと、事務作業員を確保できない中小企業・個人事業主とのマッチングを担う。

メンバーの家庭事情等による急な休みにも対応できるよう、同社は受注した業務の内容・納期にあわせて登録メンバーからチームを編成し、主に在宅で当該業務に従事させている。ワークシェアに重点を置くことで、メンバーは単独で納期の責任を負うことなく、柔軟な働き方が可能となっている。また、円滑な業務遂行のため、請け負った業務は、同社が作業レベルまでマニュアル化し、都度顧客・メンバー双方の調整やフォローを行っている。

顧客企業にとっては、コア業務に自社の従業員を集中させることができるほか、事務作業員の急な退職による不足部分を同社に委託することで、次の採用者が見つかるまで滞りなく業務を継続できたケースなど、様々なメリットがある。

メンバーの中には、妊活中の方や適応障害のあ る方、ダブルケアを行っている方など、様々な事 情で常勤が困難な方も多い。同社での業務を 通じて、就業スキルを磨きながら収入を得ること はもちろん、社会からの孤立を防ぐという効果も あると代表取締役の五味渕氏は語る。登録メ ンバーの中には、徐々に働く時間を増やし、在 宅ワーカーながら月20万以上収入を得る方や、 他社で常勤の従業員として採用され、同社を ‘卒業’した方もいる。

代表取締役 五味渕紀子氏 代表取締役

杉岡定弘氏

【2-4】職場環境の整備と多様な人材の活用(小規模企業白書②)

43

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平成29年度中小企業施策・小規模企業施策(抜粋)

1 起業・創業支援施策

(1) 当面のパッケージ

(2) 創業・事業承継補助金

(3) 潜在的創業者堀り起こし事業

2 事業承継支援施策

(1) 事業承継対策の集中実施

(2) 事業承継支援施策の全体像

(3) 事業承継税制

3 経営力強化・生産性向上に向けた取組

(1) 中小企業等経営強化法の機能強化

(2) イノベーションの加速、ITの集中的な導入

(3) 国内外の需要獲得に向けた支援強化

4 人手不足への対応

(1) 多様な働き方の促進

(2) 地域中小企業人材確保支援等事業

(3) 中小企業・小規模事業者 人手不足対応ガイドライン (4) 事業承継ネットワーク構築事業

44

参考

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平成29年度中小企業施策・小規模企業施策のポイント

【中小企業施策のポイント】 地域経済を支える重要な存在である中小企業の活性化を図るため、「経営力強化・生産性向上に向けた取組」、「活力ある担い手の拡大」、「安定した事業環境の整備」、「災害からの復旧・復興」の四つの観点から、政策の効果的な実施を図る。 具体的には、中小企業の生産性向上にむけて、技術力の強化、IT化の促進、海外展開支援、経営支援体制の強化等に取り組んでいく。 また、創業・事業承継支援や人材の地域内外からの発掘を後押ししていくとともに、取引条件の改善や資金繰り支援等に引き続き取り組んでいく。さらに東日本大震災や熊本地震等で被災した中小企業に必要な措置を講じていく。

【小規模企業施策のポイント】 小規模事業者政策を効果的に実行していくため、小規模基本法に基づいて、平成26年10月に閣議決定した「小規模企業振興基本計画」において設定した、次の四つの目標に位置付けた施策に取り組むこととしている。 (1) 需要を見据えた経営の促進 (2) 新陳代謝の促進 (3) 地域経済の活性化に資する事業活動の推進 (4) 地域ぐるみで総力を上げた支援体制の整備

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創業

成長 再成長

承継

廃業 資産の承継 (空き店舗、機械装置、 商圏など)

創業支援

プレ支援 ポスト支援 承継支援

事業引継ぎ支援センター等

●創業・事業承継補助金(H29) ・地域における創業の促進を図るとともに、事業承継(事業再生を伴うものを含む)等の課題を抱える中小企業が世代交代・再活性化を図るため、創業・事業承継に係る設備投資等の支援を行う。

ポスト承継支援(創業、ポスト再生と一体で支援)

プレ承継支援(支援対象の掘り起こし、計画策定支援等)

事業承継の促進に向けて、潜在的な支援対象の掘り起し、プレ支援、ポスト支援を一貫して行う体制を確立

事業承継支援(後継者マッチング、株や資産の移転)

●事業承継促進のための税制措置の強化等(H29税制改正) ・取引相場のない株式の評価方式について、中小企業等の実力を適切に反映した評価となるよう見直しを行う。

・人手不足の中で円滑な事業承継に向けて早期に取り組む中小企業を支援するため、事業承継税制の雇用要件の緩和等を行う。

●中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業 (H28補正、H29) ・よろず支援拠点や地域プラットフォーム(地域PF)が、個々の中小企業・小規模事業者が抱える事業承継等の経営課題に応じた専門家を無料で派遣する(事業承継支援は5回まで無料)。

●事業承継ネットワーク構築事業(H29) ・地域の支援機関(商工会・商工会議所、地域金融機関、士業等専門家等)が連携して事業承継診断等の掘り起こしを行うための事業承継支援ネットワークを構築する。

●事業引継ぎ支援(H29) ・後継者問題を抱える中小企業・小規模事業者の事業引継ぎの促進・円滑化を図るため、適切な助言、マッチング支援等を行う。また、創業希望者と後継者不在事業主等とのマッチングも行う。

1.起業・創業支援施策(1)当面のパッケージ

●金融支援の拡充(H29) ・日本公庫の事業承継融資の拡充(対象の拡大・金利引下げ)を行う。

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平成29年度事業のポイント

• 新たに創業する者や事業承継を行う者に対して、その創業等に要する経費の一部を助成し、新たな需要や雇用の創出等を促す。

【補助対象者】 「新たに創業する者(※公募開始時点から新たに創業する者)」又は

「事業承継を契機として、経営革新や事業転換に挑戦する者」

【補助対象事業】 既存技術の転用、隠れた価値の発掘を行う新たなビジネスモデルにより、

需要や雇用を創出する事業等

【補助対象経費】 人件費、事業費(設備資金、申請書類作成経費、店舗等借入費、旅費、謝金等)、委託費

【補助上限】 100万円又は200万円(※事業承継の場合は200万円又は500万円)

【補助率】 創業1/2、事業承継2/3

民間団体等 補助(定額)

補助 (1/2又は2/3)

創業者

支援スキーム

補助対象者を、平成28年度要件に加えて、下記要件を満たす者とする。(創業のみ)

補助事業期間中に一人以上の雇用を行う者。

100万円以上の補助については外部資金調達を行う者。

業種転換を伴わない場合も補助の対象に加える。(承継のみ)

1.起業・創業支援施策(2)創業・事業承継補助金

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国 民間事業者 委託 認定

スクール運営 事業者

支援スキーム

起業家等

支援(スクール実施)

1.起業・創業支援施策(3)潜在的創業者掘り起こし事業

○創業スクール(認定制度) ① 創業に必要な一定レベルの知識を提供することができる創業スクールを国が認定する制度 を実施する。 ② 認定創業スクールについては、特設サイトで募集告知を行う等により広く周知を図る。 ③ 認定創業スクールの中で作成された優秀なビジネスプランについては、 「アントレプレナー・ジャパン・キャンペーン(仮称)」に参加することができる。

○ビジネスプランコンテストの開催 潜在的創業者の掘り起こし等に繋げるとともに、将来の地域の創業者を日本全国で増やす観点から、現行の創業スクール選手権を以下のとおり改変する。 (1)アントレプレナー・ジャパン・キャンペーン(EJC) (仮称)の開催 ①、②を集めて創業スクール選手権の拡大版である全国大会を開催する。 ① 認定創業スクールの優秀なビジネスプラン ② EJCと連携した地域のビジネスプランコンテストにおいて推薦を受けたビジネスプラン (2)創業フェスの開催(EJC内で開催)

創業者を支援する各団体・民間企業や過去の創業スクール選手権受賞者によるPRブース設置する等、横のつながりを創出し、 創業支援の質の向上を図る。

• 創業者の基本的知識習得のため、全国で質の高い創業スクールを認定。また、潜在的創業者の掘り起こしに繋げるため、全国の優れたビジネスプランを表彰するイベントを実施。

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2.事業承継支援施策(1)事業承継対策の集中実施

3つの重点課題

論点

事項 論 点 プレ承継支援 ・全国の事業承継ネットワークによる「事業承継診断」(ドアノック・ツール)を通じた早期取組の促進【5万者/年】

・専門家を派遣し、後継者が継ぎたくなるよう経営の見える化、磨き上げを支援

承継支援

・小規模案件のM&Aマーケット形成、民間の担い手育成、事業引継ぎ支援センターの体制強化 【全国のセンターで成約目標2千件/年】 ・サプライチェーンの維持・強化のために、親企業が取引先企業の事業承継を支援するよう促進。 ・地域の再編・統合を通じた強い中小企業の育成(地域ファンドの活用等) ・後継者不在の小規模事業者と起業家とのマッチング(創業・UIJターン施策を行う市町村との連携) ・経営者保証ガイドラインや再生手法の活用などによる円滑な引退が可能な環境整備

ポスト承継支援 ・承継後の経営革新や新分野展開、地域の事業統合等の促進。

支援体制構築・強化 ・県主導の事業承継ネットワークの構築。専門家の支援能力の可視化・高度化。

以下の論点について来春までに検討して具体化し、今後5年程度で集中実施。

・早期・計画的な承継準備の促進 ・経営の見える化、磨き上げ支援

・団塊世代の円滑な引退・承継 ・後継者が継ぎやすい環境の整備

プレ承継支援

・多方面からの後継者マッチング ・支援策の拡充(税、金融等)

・黒字廃業の回避 ・産業・地域等の維持・強化

承継支援

・承継を契機とした経営革新や新分野展開等の支援

・承継を契機とする成長・発展、経営力強化・生産性向上

ポスト承継支援

以下の3つの重点課題について、それぞれ対応。

【課題】

【政策対応の方向性】

• 団塊経営者の引退期を間近に控え、事業承継に関して取り組むべきことを今後5年程度で集中的に実施する。

49

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事業承継税制 :非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予 ※平成25年度改正で親族外後継者を対象化(平成27年1月1日施行)

株式等の承継に伴う 相続税等の負担

遺留分による 株式の散逸

後継者がいない

後継者による新たな 取組のための資金調達

<主な課題> <施策>

はい

いいえ

後継者を確保できているか

遺留分に係る民法の特例 :推定相続人の遺留分放棄を後継者が単独で家裁に許可申請可能等 ※昨年の通常国会で親族外後継者を対象化(平成28年4月1日施行)

事業承継補助金(平成29年度から) :事業承継を契機に経営革新等を行う中小企業への経費補助

事業引継ぎ支援センター :後継者不在等の問題を抱える中小企業の事業引継ぎ(M&A)を支援

分散した事業用資産 の集約資金調達

金融支援 :事業用資産の買取に係る低利融資や信用保険枠の拡大

経営承継円滑化法

2.事業承継支援施策(2)事業承継支援施策の全体像

①事業承継支援施策(全体像)

• 事業承継関連支援は、従来、親族内承継が中心であったが、M&Aや従業員承継が増加するなど事業承継の形態が多様化していることを踏まえ、親族外承継にもその対象を拡充。

50 50

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
「遺留分に係る民法の特例」の「遺族」→「推定相続人」に変更 「第二創業補助金」 → 事業承継補助金(H29~) :事業承継を契機に経営革新等を行う中小企業への経費補助
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○申告期限から5年間は、以下の要件を満たして事業を継続することが必要(満たせなかった場合は全額納付)。 ①雇用の8割以上を5年間平均で維持 ※平成25年度改正前は、雇用の8割以上を毎年維持 ②後継者が代表を継続 ③先代経営者が代表者を退任(有給役員として残留可)※贈与税のみ。平成25年度改正前は先代経営者が役員を退任 ④同族で過半数の株式を保有 ⑤後継者が同族内で筆頭株主 ⑥対象株式を継続して保有 ⑦上場会社、資産管理会社、風俗関連事業を行う会社に該当しないこと 等

○5年経過後は、以下の要件を満たすことが必要。 ①対象株式を継続して保有(譲渡した場合は、譲渡した株式の割合分だけ納付) ②資産管理会社等に該当しないこと(満たせなかった場合は、全額納付)

○後継者が納付すべき相続税のうち、相続により取得した非上場株式等(注)に係る課税価額の80%に対応する額が納税猶予される。

(注)相続前から後継者が既に保有していた議決権株式等を含め、 発行済議決権株式総数の2/3に達するまでの部分に限る。

相続税の納税猶予制度 贈与税の納税猶予制度 ○後継者が納付すべき贈与税のうち、贈与により取得した非上場株式等(注)に係る課税価額の全額に対応する額が納税猶予される。

(注)贈与前から後継者が既に保有していた議決権株式等を含め、 発行済議決権株式総数の2/3に達するまでの部分に限る。

制度概要 経済産業大臣の認定件数 相続 959件 贈与 626件 (平成20年10月~平成28年8月)

2.事業承継支援施策(3)事業承継税制① • 事業承継税制とは、後継者が、都道府県知事の認定を受けた非上場会社の株式等を先代経営者から相続又は贈与により取得した場合において、相続税・贈与税の納税が猶予される特例制度。

<認定の要件> 中小企業者であること、上場会社・風俗会社でないこと、従業員が1名以上いること、資産運用会社に該当しないこと 等 ※親族外後継者を対象化(平成27年1月1日施行)

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2.事業承継支援施策(3)事業承継税制②

改正概要

早期かつ計画的な取組の促進 ~生前贈与の促進~

人手不足の中での雇用要件の見直し ~人手不足への対応~

○深刻な人手不足の中で、特に小規模事業者 において、雇用要件が高いハードルになっている。 ○災害や経営環境の激変(事故・災害、取引先 の倒産等)時も原則として雇用要件が課され るため、利用を躊躇する要因になっている。

○贈与税の納税猶予中、雇用要件等を満たせ ず認定取消になると、相続税よりも高額な贈 与税を納税する必要がある。 ○事業承継後5年経過後も、先代死亡時に相 続税の猶予へ切り替えるには、中小企業要件 等を課される。

○従業員5人未満の事業者について実質的に 雇用要件の緩和を図る。 (4人→3人、3人→2人、2人→1人が認められる) ○災害や経営環境の激変時における雇用維持の 困難化に対応するため、セーフティネット(雇用 要件の弾力化)を措置

○相続時精算課税との併用を認めることで、贈与 税の納税猶予取消時の納税額を、相続税と同額 とする。 ○成長を阻害する先代死亡時の切替要件を廃止 (中小企業要件・非上場要件)

※以上のほか、手続きの簡素化によりさらなる利便性の向上を図る。

※平成29年1月1日以後に相続若しくは遺贈又は贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税について適用。

• 経営者の高齢化への対応、事業承継の円滑化は「待ったなし」の課題。 • 事業承継税制(非上場株式に係る贈与税・相続税の納税猶予制度)について、 ① 人手不足を踏まえた雇用要件の見直し ② 早期取組を促すための生前贈与の税制優遇強化 を図る。

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2.事業承継支援施策(4)事業承継ネットワーク構築事業

【かかりつけ医】 【総合医】 【専門医】

中小企業(経営者)

M&A等の支援が必要な場合

経営支援と一体となった事業承継支援等

事業承継診断

意識低い

必要に応じて事業承継診断を実施 相談

よろず支援拠点

47ヶ所、CO47人、SCO361人

DMによる自己診断を送付 相談

ミラサポ専門家派遣

登録専門家7,466人 (うち事業承継専門2,279人)

事業引継ぎ支援センター

PM29人、SM46人、 専門相談員26人

M&A等支援

経営の可視化、磨き上げ、 事業承継計画作成支援 商工会

1,661ヶ所、経営指導員4,104人

士業等専門家 税理士 約7.4万人、 会計士 約3.5万人 弁護士 約3.5万人、診断士 約2.3万人

金融機関 約550機関、約2万店舗 (信金・信組で約9000店舗)

商工会議所 515ヶ所、経営指導員3,437人

同業種組合 全中会員団体 約2.7万団体

事業承継ネットワーク (47都道府県毎)

意識高い

親族内承継が必要な場合

地域PF

• 円滑な事業承継を促すため、国のバックアップの下、県がリーダーシップをとり、地域の商工会・商工会議所、金融機関、士業等のネットワーク化を図る。

• 早期・計画的な事業承継準備を促すため、 「事業承継診断」の実施等を通じ、事業承継ニーズを掘り起こす。 • 他の支援機関、よろず支援拠点や引継ぎセンター等の公的機関と連携して事業承継をシームレスにサポート。

53

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
○ミラサポ専門家派遣 ・地域プラットフォーム9割、よろず支援拠点1割が活用。 ・登録専門家は9千人だが、実際に稼働しているのは3千人。9千人のうち、専門分野として事業承継にチェックを入れているのは2,716人。 ・事務局はパソナ。 ・専門家は事務局に報告書●を提出。 ○よろず支援拠点 ・相談
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□中小企業等経営強化法の対象業種拡大 ・平成28年7月に施行。これまで稼ぐ力を高めるための「事業分野別指針」を14業種(製造業、卸・小売業、外食・中食、旅館業、医療、保育、介護、障害福祉、貨物自動車運送業、船舶、自動車整備、建設、CATV、電気通信)について整備。今後も拡大。

□法認定と補助金・融資制度を連携させた 生産性向上支援 ・中小企業による生産性向上に向けた取組をさらに応援するため、認定事業者に対して、補助金において優先採択をすすめるほか融資制度を創設。

□中小企業経営強化税制の創設及び固定資産税軽減措置の拡充(平成29年度改正) ・中小・小規模事業者の「攻めの投資」を後押しするため、器具備品や建物附属設備を広く対象とした、中小企業経営強化税制を創設。固定資産税の軽減措置についても、対象地域・業種を限定したうえで、同様に拡充することで、幅広い中小企業の生産性向上を後押し。

経営力向上計画 申請事業者

中小企業・小規模事業者 中堅企業

経営革新等支援機関 申請を サポート

事業分野別 経営力向上推進機関

申請 認定

※事業分野別指針が策定されてない分野においては 基本方針に基づいて申請が可能。

主務大臣 (事業分野別指針の策定)

普及啓発 人材育成

【支援措置】 生産性を高めるための機械装置を取得した 場合、3年間、固定資産税を1/2に軽減

計画に基づく事業に必要な資金繰りを支援 補助制度における優先採択等

提出先 (例)経産省:各地方の経済産業局

※推進機関において、人材育成を行う場合には、労働保険 特会からの支援を受けることが可能。

【認定件数(3月末時点):18,242件】

【事業分野別指針(14)と所管省庁】 製造業、卸・小売業 :経済産業省 旅館、貨物自動車運送、:国土交通省 船舶、自動車整備、建設

外食・中食、旅館、医療 :厚生労働省 介護、保育、障害福祉

外食・中食 :農林水産省 CATV、電気通信業 :総務省

例 ・事業者団体 ・同業者組合 等

例 ・商工会議所・商工会・中央会 ・地域金融機関 ・士業等の専門家

3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(1)中小企業等経営強化法の機能強化①

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【固定資産税】 生産性が年平均 1%以上向上

先端設備 生産性が年平均1%以上向上

(A類型)

現行制度

【上乗せ措置】

機械装置 (160万以上)

【通常措置】 中小企業投資促進税制

器具備品(30万以上) 建物附属設備(60万以上)等

生産性向上設備 生産性が年平均1%以上向上

(A類型)

改組・新設

【固定資産税】 生産性が年平均 1%以上向上

拡充

中小企業投資促進税制

生産ライン等の改善に資する設備 投資利益率5%以上のパッケージ投資

(B類型) 投資利益率5%以上のパッケージ投資 収益力強化設備 (B類型)

拡充

改正概要

ソフトウェア等 (複数合計で 70万以上)

経営強化法認定

機械装置 (160万以上)

ソフトウェア (複数合計で 70万以上)

固定資産税

特例

(3年間)

半分に減免

【中小企業経営強化税制】

商業・サービス業 活性化税制

経営強化法認定

拡充

延長

(3年間)

半分に減免

※を付した部分は、資本金3,000万円以下の法人等に適用

30%特償

(※

税額控除7%)

即時償却

税額控除7%(※

10%)

30%特償

(※

税額控除7%)

即時償却

税額控除7%(※

10%)

3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(1)中小企業等経営強化法の機能強化②(税制支援措置)

• 中小・小規模事業者の「攻めの投資」を後押しするため、中小企業投資促進税制の上乗せ措置 (即時償却等)を改組し、中小企業経営強化税制を創設。

対象設備を拡充し、一定の器具備品・建物附属設備を追加(適用期限は2年間)。固定資産税の特例対 象設備も、地域業種を限定した上で、同様に拡充することで、サービス業も含め、幅広く中小企業の生産性向 上を強力に後押し。 • 中小企業投資促進税制、商業・サービス業・農林水産業活性化税制も適用期限を2年間延長。

55

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
図の色、(※10%)などを分かりやすく修正
Page 58: BBLセミナー プレゼンテーション資料 - RIETI年版 中小企業白書・小規模企業白書の全体像 • 中小企業の景況は緩やかな改善傾向にあるが、新規開業の停滞、生産性の伸び悩みに加えて、

③中小企業信用保険法の特例 中小企業者は、経営力向上計画の実行(※)にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会による信用保証のうち、普通保険等の別枠の追加保証や保証枠の拡大が受けられる。 ○保証限度額の別枠・保証枠の拡大

通常枠 別枠 普通保険 2億円(組合4億円) 2億円(組合4億円) 無担保保険 8,000万円 8,000万円 特別小口保険 1,250万円 1,250万円 新事業開拓保険 海外投資関係保険 2億円→3億円(保証枠の拡大)

⑤日本政策金融公庫によるスタンドバイ・クレジット 経営力向上計画の認定を受けた中小企業者(国内親会社)の海外支店又は海外現地法人が、日本公庫の提携する海外金融機関から現地通貨建ての融資を受ける場合に、信用状を発行して、債務の保証を実施できる。 ○補償限度額:1法人あたり最大4億5000万円 ○融資期間 :1~5年

※新事業活動に該当する事業

⑥中小企業基盤整備機構による債務保証 中堅クラスの企業等、信用保険法の特例が措置されていない中小企業者以外の者が、経営力向上計画を実施するために必要な資金について、保証額最大25億円(保証割合50%、保証料率 有担保0.3%、無担保0.4%)の債務の保証を受けられる。

⑦食品流通構造改善機構による債務保証 食品製造業者等は、経営力向上計画の実行にあたり、民間金融機関から融資を受ける際に、食品流通構造改善機構による債務の保証を受けられる。

④中小企業投資育成株式会社法の特例 経営力向上計画の認定を受けた場合、通常の投資対象(資本金3億円以下の株式会社)に加えて、資本金額が3億円を超える株式会社も中小企業投資育成株式会社からの投資を受けることが可能に。

②商工中金による低利融資 経営力向上計画を策定した場合、商工中金の独自の融資制度により、低利融資を受けられる。

中小企業者向け 中堅クラス向け

中堅クラス向け

中堅クラス向け 中小企業者向け

中小企業者向け ①日本政策金融公庫による低利融資 経営力向上計画の認定を受けた事業者が行う設備投資の借入について、低 利融資を受けられる。 ○設備資金について0.9%引き下げ ※基準利率:中小企業事業1.21% 国民事業1.76%(平成29年4月現在)

中小企業者向け

中小企業者向け

中小企業者向け

3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(1)中小企業等経営強化法の機能強化③(金融支援措置)

• 政策金融機関の低利融資、民間金融機関の融資に対する信用保証、債務保証等により円滑な資金調達を支援。

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○戦略的基盤技術高度化・連携支援事業 【130.0億円】 ・地域経済を支える中小企業におけるイノベーションの創出を図るた め、中小企業・小規模事業者が産学官連携して行う研究開発等 や新しいサービスモデルの開発等のための事業を支援。

○地域未来投資促進事業 【1001.3億円 28補正】 ・地域における「中小企業等の稼ぐ力の強化」を図るため、中小企業等の経営力向上に資する取組を一貫して支援。

①ものづくり・商業・サービスの開発支援 ・第四次産業革命に向けてIoT等の活用や経営力向上に資する革新的ものづくり・商業・サービスの開発を支援。 ・賃上げ等を行う事業者の補助上限額を増額等。 ②ITの導入等支援 ・中小企業等経営強化法に基づく事業分野別指針に盛り込まれたIT活用事例を踏まえ、業務の効率化、生産性の向上に資するITツールの導入を補助するとともに、IT専門家の派遣、取組事例の紹介、相談会を開催することで、IT導入を集中的に支援。 ・また、業種の垣根を越えた取引のIT化を実現するため、国際標準に準拠した商取引等共通システムによる業種別・地域別のモデルプロジェクトを実施。

③海外や商店街等における需要開拓 ・需要開拓につなげていくため、先進的な観光開発やTPPも見据えた海外販路開拓、商店街・中心市街地の集客力向上等を幅広く支援。

○ロボット導入促進に向けた ・ロボット導入実証事業 【11.9億円】 ・スマートものづくり応援隊等事業 【1.8億円】 ・システムインテグレータ育成事業 【14.0億円 28補正】

IT経営力

高(攻め)

低(守り)

取組事例紹介・相談会

ITツール導入支援補助

専門家派遣

ものづくり・商業・ サービス開発支援

戦略的基盤技術 高度化・連携支援事業

IT共通基盤 開発事業

一億総活躍 ・IT活用の意識はあるが、何も 対応していない中小企業を対象

地域の中核的な中小企業 ・地域経済の中核を担いつつも人材、知識、資金が不足して

いる中小企業を支援

外貨を稼ぐ中小企業 ・投資リスクの伴うハイレベルな取組を行う中小企業を支援

IT経営を実践する中小企業 ・IT投資をしているが効果が出ず、 どうしたら良いかわからない中小企業

ロボット 導入促進

3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(2)イノベーションの加速、ITの集中的な導入①

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3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(2)イノベーションの加速、ITの集中的な導入② (サービス等生産性向上IT導入支援事業)

• 中小企業者が経営強化法の事業分野別指針に沿うような生産性向上に係る計画を策定し、ITツールを導入する際の経費を補助(補助率:2/3)

• 従来の手法を見直し、新たに民間ベンダーの活力を最大限利用することで、サービス業を中心に抜本的なIT導入を実現

• 中小企業者の生産性向上に配慮した事業スキームを検討 • 中小企業が事業計画を策定する際、専門家等による支援 • 交付申請はIT導入支援事業者(民間ベンダーの取りまとめ役)が代理申請

IT導入支援事業者 (民間ベンダーの取りまとめ役)

複数機能をIT化するツールを提供

ベンダーB

①補助金HPを通じて、ツール情報等の広報 ②計画策定の技術的支援 ③補助金交付申請を代理申請 ④活用状況のモニタリング/フォローアップ

中小企業者

生産性向上の計画策定 ITツールの選定・導入 活用状況報告

よろず支援拠点、地域プラットフォーム、 ミラサポ専門家派遣

専門家等による支援 ・ITツール選定支援 ・抜本的な業務プロセス改善計画等の策定支援

ベンダーC

IT導入支援事業者

(ベンダーA)

決済 財務会計

イメージ

※ベンダーは1社でも可

在庫管理

連携してパッケージ化された 複数機能を提供するクラウドサービス等

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• 中小企業にとっては、IoT・ロボットなど技術の説明よりも、自社の課題の解決に関心。業務をどう改善するか、その際、技術をどう活用すればよいか、アドバイスが欲しい。

• このため、中小製造業が相談できる「スマートものづくり応援隊」の整備を平成28年度から開始。 (全国21拠点に整備 ※平成29年度時点) • 「伴走型」で中小企業に専門人材を派遣し、中小企業の課題に応じた改善策や技術をアドバイス。 派遣する人材は、研修によりクオリティを確保。

スクールでの研修

生産技術に 秀でた企業OB

中小企業に派遣 IoT・ロボット等に知見ある人材

+ 現場カイゼン ノウハウ

IoT・ロボット導入ノウハウ +

全国の拠点整備を28年度から開始

スマートものづくり応援隊 ・ 企業でのカイゼン活動 ・ IoT・ロボット導入支援

拠点で相談受付

リードタイムの短縮 ・仕掛在庫の極小化 ・作業動線の短縮 ・多能工化の推進 ・作業の合理化 ・製造指示の作成 等

企業OBの海外流出防止

下請け生産からの脱却

身の丈に合ったロボット・IoT活用促進

先行例:カイゼン×ロボットによる生産性向上の例 北九州産業学術推進機構

(FAIS) 「生産技術」と「ロボット技術」に通じたコーディネータ2名が連携して中小企業の生産性向上(カイゼン 活動+ロボ導入)

FAISでは、備えられたロボットを実際に動かして生産の効率化を実験できる。ロボット・IoTは「手の届かない高度なツール」との苦手意識を変え、中小企業の身の丈に合った活用を推進。

【問合せ先】 経済産業省製造産業局参事官室 TEL: 03-3501-1689 Mail:[email protected]

3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(2)イノベーションの加速、ITの集中的な導入③ (スマートものづくり応援隊)

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対象事業

中小企業が、産学官連携により取り組む 研究開発に対する支援

事業期間 2~3 年

補助上限

○初年度 4,500万円以下 ※うち、大学・公設試等の合計額 1,500万円以下 ○2年度目 初年度の2/3 ○3年度目 初年度の1/2

補助率 2/3以内 ※事業管理機関が大学・公設試等の場合、 大学・公設試等の補助率は定額

法認定事業者

民間企業 大学・公設試等

事業管理機関

協力者

大学・公設試等

支援スキーム

特定ものづくり基盤技術の指定 (第2条第2項) 法律に基づく支援を行う対象となる、特定ものづくり基盤技術を国が指定。現在では12技術を指定。

技術高度化指針(技術別指針)の策定 (第3条) 特定ものづくり基盤技術ごとに、中小企業が目指すべき 技術開発の方向性を指針として策定。 研究開発等計画の認定(第4条) 指針に基づいて、中小企業等が自ら行う研究開発計画を作成し、国が認定。

デザイン開発技術 情報処理 精密加工 製造環境

接合・実装 立体造形 表面処理 機械制御

複合・新機能材料 材料製造プロセス バイオ 測定計測

中小企業のものづくり基盤技術の高度化に関する法律の目的 我が国製造業の国際競争力の強化及び新たな事業の創出を図るため、中小企業が担う特定ものづくり基盤技術の高度化に向けた研究開発及びその成果の利用を支援。 共同体

3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(2)イノベーションの加速、ITの集中的な導入④ 第4次産業革命等への対応等(戦略的基盤技術高度化支援事業)

支援措置 サポーティング・インダストリー支援事業(競争的な補助金) ※サポーティング・インダストリーとは、組み立てや完成品を 製造する産業に部品等の基盤的な製品や技術サービスを 提供する裾野産業のこと。

公募期間 60

平成29年4月14日~6月8日

プレゼンター
プレゼンテーションのノート
懇親会
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○地域・まちなか商業活性化支援事業等 【15.0億円 28補正】 【17.8億円】 ・公共的機能や買物機能の維持・強化を図る商店街が行う各種サービスの提供に向けた取組や、商店街内の個店等が連携して行う販路開拓や新製品開発、コンパクトシティ化に取り組む「まち」における波及効果の高い商業施設等の整備に対して支援する。

○中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業等 【23.9億円】 ・新規に海外展開を目指す中小企業・小規模事業者を中心に、 事業計画策定から海外販路開拓、現地進出、進出後の課題に対する対応までを一貫して戦略的に支援する。

○ふるさと名物応援事業 【13.5億円】

・各地域の資源を活用した「ふるさと名物」のブランド化や商品・サービス開発、販路開拓等を支援する。

○小規模事業者販路開拓支援事業 (小規模事業者持続化補助金)等 【120.0億円 28補正】 【49.4億円】

・経営指導員による小規模事業者への伴走型支援を推進する。また、経営計画に基づく販路開拓・商品開発等の費用を補助する。同時に、賃上げ等を行う事業者への補助上限額の増額等を行う。

3.経営力強化・生産性向上に向けた取組(3)国内外の需要獲得に向けた支援強化

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4. 人手不足への対応(1)多様な働き方の促進(「多様な働き方」の促進に向けた検討)

中小企業庁 創業・新事業促進課 経済産業政策局 産業人材政策室

中小企業庁 経営支援課 経済産業政策局 産業人材政策室

①兼業・副業の促進

兼業・副業を通じた 創業・新事業の創出 中小企業の人手不足対応力強化

兼業・副業を通じた創業・新事業創出の政策的効果(社会・企業・個人にとっての)を深掘りし、「みえる化」

<想定しうる政策的出口> ベストプラクティス集の策定 モデル就業規則の策定 ガイドラインの検討 等

人材確保に成功している企業は、賃金以外の就労条件等の整備に積極的。

多様な求職者から選ばれ、また、多様な求職者が能力を最大限、発揮できる企業づくり・職場づくりについて、業種別、規模別、地域別に事例を分析。

<想定しうる政策的出口> 事例集の策定を通じた横展開 等

兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する研究会

中小企業・小規模事業者の人手不足への対応研究会

③その他(人材活用の事例研究)

経済産業政策局 産業人材政策室

②雇用契約にとらわれない働き方の促進

多様な働き方を通じた 人材の有効活用

アンケート調査により、雇用関係によらない働き方」に関する政策課題を抽出し、分析を行う。

働き方をいくつかのカテゴリーに分類し、カテゴリー毎の課題と対策を検討。

<想定しうる政策的出口> 課題と政策的方向性をまとめたガイドラインの策定 等

雇用契約にとらわれない 新しい働き方に向けた研究会

• 「働き方実現会議」のキックオフを受け、実態把握や課題整理ができていない分野を中心に、経産省として、「多様な働き方」促進に向けて3つの研究会を立ち上げ。

• 各研究会が相互に連携しながら、産業所管省として、産業界に資する働き方を打ち出していく。その成果を実現会議にインプットし、厚労省と連携して必要なルール策定に反映していく。

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Page 65: BBLセミナー プレゼンテーション資料 - RIETI年版 中小企業白書・小規模企業白書の全体像 • 中小企業の景況は緩やかな改善傾向にあるが、新規開業の停滞、生産性の伸び悩みに加えて、

• 中小企業のニーズが高いミドル、新卒のみならず、女性や高齢者、外国人等の多様な人材に視野を広げ、人材の発掘から、確保、定着までを支援。

地域の中小企業・小規模事業者のニーズを把握し、都市部の若手人材等や地域内外の若者・女性・シニア等多様な人材から、地域事業者が必要とする人材を発掘する。併せて、合同企業説明会などを開催し、マッチングを促進する。同時に、人材定着のための研修等も行い、人材確保を支援する。

地域や都市部での 実施事業者によるイベント等

・中小企業の経営者と大学生との交流会 ・若手社員の定着に向けた研修 ・女性のための合同企業説明会 ・シニア人材の採用・活用セミナー ・都市部人材への地域企業の魅力発信支援 など

地域内外の人材

参加

地域の中小企業・

小規模事業者

参加

4.人手不足への対応(2)地域中小企業人材確保支援等事業(平成29年度予算10.3億円)

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Page 66: BBLセミナー プレゼンテーション資料 - RIETI年版 中小企業白書・小規模企業白書の全体像 • 中小企業の景況は緩やかな改善傾向にあるが、新規開業の停滞、生産性の伸び悩みに加えて、

• 人材不足は中小企業・小規模事業者の経営上の大きな不安要素。多様な働き手が最大限能力発揮できる職場づくりや、設備導入等による生産性向上に取り組んでいる好事例を収集・分析し、人手不足対応への考え方を整理。豊富な事例とともに、経営者にヒントを与えることを企図。

1.趣旨

• 人手不足は全業種にわたり深刻化。人口構造的に恒常化しうる問題。 • 中小企業は大企業よりも離職率が高く、離職が人手不足につながっている側面もある。 • 新卒は大企業志向。一方、復職女性、高齢者等は中小企業を選択する傾向にあり潜在労働力が多数。外国人も増加傾向。

2.人手不足の状況

• 経営課題として深刻化する人手不足を変革・成長のための機会と捉え直す。経営者次第で変革が進む可能性。 • 女性、高齢者、外国人等の多様な人材に視野を広げ、働き手の立場にたった職場環境整備等を進め、人材を確保する(掘り起こす)。 • IT導入や設備導入、人材育成等により、労働生産性を向上する。

3.基本的な考え方

4.重要な視点(3つのステップ)

• 業種別、規模別、地域別、経営課題別、課題クロス軸毎に索引。 • 100を超える事例において、きっかけや取組、効果を分かりやすく表示。

5.事例集

• 3つのステップごとの関連施策。 • よろず支援拠点の相談対制を充実させ、都道府県労働局と連携。

6.人手不足対応を後押しする施策

• 背後の経営課題を見つめ直す • 補充したい業務を見つめ直す

【ステップ1】 経営課題や業務を見つめ直す

【ステップ2】 求人像や生産性を見つめ直す

• 業務に対する生産性を見つめ直す • 業務に対する求人像を見つめ直す

【ステップ3】 働き手の目線で、人材募集や職場環境を見つめ直す

• 働き手の目線で、人材募集や自社PRを見つめ直す • 働き手の目線で、職場環境を見つめ直す

※生産性向上は設備導入、人材育成からアウトソーシングまで幅広い取組を含む。

• 課題対応チャートや診断シートの作成。 • 中小企業団体や都道府県労働局等の取組との連携。

7.普及・浸透に向けて

※中小企業・小規模事業者の人手不足対応研究会とりまとめ(平成29年3月)

4.人手不足への対応(3)中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン 中小企業・小規模事業者人手不足対応ガイドライン

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