betaine gaba トランスポーター阻害薬...

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1 BetaineGABA トランスポーター阻害薬 NNC 05-2090 神経障害性疼痛に対する効果について 秦泉寺 紋子 The effect of betaine/GABA transporter inhibitor NNC 05-2090 on neuropathic pain Ayako JINZENJI (平成 日受付) 神経障害性疼痛とは,体性感覚伝導路の損傷や病変によって直接に引き起こ される痛みと定義され 1) (1)持続性および発作性の自発痛 (2)アロディニア(非 侵害刺激で痛みが誘発される) (3)痛覚過敏(侵害刺激による疼痛閾値の低下 がある) (4)しびれ(感覚低下を伴う)などの症状を伴う 2) .三環系抗うつ薬 やカルシウムチャネルα2δサブユニット結合薬などが第一選択薬として用い られているが 3) ,効果が不十分であったり 4) ,副作用が多く 5) ,他の機序によ る新薬の開発が求められている. 一次求心性ニューロンは,痛みを伝えるAδやC線維の他に,Aβで構成され ている.末梢に加えられた刺激は,AδやC線維によって脊髄後角に伝わり,シ 脚注

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Betaine/GABA トランスポーター阻害薬 NNC 05-2090 の

神経障害性疼痛に対する効果について

秦泉寺 紋子

The effect of betaine/GABA transporter inhibitor NNC 05-2090

on neuropathic pain

Ayako JINZENJI

(平成 年 月 日受付)

緒 言

神経障害性疼痛とは,体性感覚伝導路の損傷や病変によって直接に引き起こ

される痛みと定義され 1),(1)持続性および発作性の自発痛 (2)アロディニア(非

侵害刺激で痛みが誘発される) (3)痛覚過敏(侵害刺激による疼痛閾値の低下

がある) (4)しびれ(感覚低下を伴う)などの症状を伴う 2).三環系抗うつ薬

やカルシウムチャネルα2δサブユニット結合薬などが第一選択薬として用い

られているが 3),効果が不十分であったり 4),副作用が多く 5) ,他の機序によ

る新薬の開発が求められている.

一次求心性ニューロンは,痛みを伝えるAδやC線維の他に,Aβで構成され

ている.末梢に加えられた刺激は,AδやC線維によって脊髄後角に伝わり,シ

脚注

2

ナプスを介して二次求心性ニューロン,さらに上位中枢へ伝達され,疼痛とな

る6).また,一部はAβ線維によって脊髄後角の抑制性介在ニューロンに入力し,

γ-アミノ酪酸(gamma-aminobutyric acid: GABA)などの抑制性伝達物質の放

出を促し,二次ニューロンの興奮を抑制することが知られている2, 7).神経障害

性疼痛発症のメカニズムは現在も明らかになっていないが,脊髄レベルでの興

奮性のアミノ酸神経伝達物質(グルタミン酸やアスパラギン酸など)および抑

制性のアミノ酸神経伝達物質(GABAやグリシンなど)と,それぞれの受容体

機能のアンバランスを伴うと考えられている8-10).抑制性神経伝達物質である

GABA神経系に着目すると,神経障害後,GABA合成酵素であるグルタミン酸デ

カルボキシラーゼや,GABAニューロンそのものが減少していることが報告さ

れている11,12).また,GABAの調節を行う機構として,GABAトランスポーター

(GAT)によるGABA再取り込みがあり,GABAの減少の原因として,GATの

過剰発現についても報告されており13),神経障害性疼痛の発症にGABA神経系の

変化が関わっていると考えられる.

GATは神経終末やグリア細胞膜上に存在する膜輸送タンパクで,Na+濃度勾

配を利用して,Cl-依存的に遊離されたGABAを再取り込みし,神経伝達を速や

かに終結させる14).GATには,GABAに対して高親和性のGAT-1(SLC6A1),

GAT-2(SLCA13),GAT-3(SLC6A11)と,低親和性のトランスポーター(BGT-1,

SLC6A12)の4種類のサブタイプが存在し14),GAT-1はシナプス前ニューロンに

14),GAT-3とBGT-1はシナプス近くのアストロサイトに存在するとされ15,16),

GABA調節に関する役割も異なると考えられている14).

3

最近,GAT-1 選択的阻害薬が神経障害性疼痛に対して抑制効果を持つことが

報告されたが 17),その他の GAT サブタイプに対する阻害薬を検討した報告はな

い.これまで GAT は抗痙攣薬のドラッグターゲットとなっており 15,18,19),30

以 上 の 阻 害 薬 が 開 発 さ れ て い る が 14) , 1-(4,

4-Dphenyl-3-butenyl)-3-piperidinecarboxylic acid(SKF 89976A)など,その

ほとんどが GAT-1 に選択的な薬物であった 14).しかし,近年, BGT-1 に選択

性 を 高 め た

1-(3-(9H-Carbazol-9-yl)-1-propyl)-4-(2-methyoxyphenyl)-4-piperidinol(NNC

05-2090)が開発された 20).特に BGT-1 阻害薬は抗痙攣作用を有することが報

告され 21),BGT-1 が中枢における GABA 調節に大きく関与している可能性が示

唆された 21).これらの知見から,本研究は,BGT-1 阻害薬である NNC 05-2090

の神経障害性疼痛に対する効果を,GAT-1 選択的阻害薬(SKF 89976A)と比

較検討した. さらに,神経障害性疼痛と関連の強いモノアミントランスポーター

への影響についても調べた.

材料と方法

実験動物モデルの作成

岡山大学動物実験委員会の承認のもと実験を行った.実験動物は,25-30 g の

ddY 系雄性マウス(3~4 週齢,日本エスエルシー株式会社,静岡)を使用した.

4

坐骨神経部分結紮(partial sciatic nerve ligation:PSNL)モデルは,Seltzer

ら 22)や Malmberg ら 23)の方法に従い,ペントバルビタール(大日本住友製薬,

大阪)60 mg/kg を腹腔内に投与し,麻酔下で,片側の大腿中央部より中枢側の

坐骨神経 1/3 から 1/2 を 8-0 絹糸(夏目製作所,東京)で強く結紮し,作成した

(PSNL 側).反対側は対照側とした.

試験薬の調製

試験薬として,BGT-1 阻害薬である NNC 05-2090 (Tocris Bioscience,

Bristol,UK)と GAT-1 阻害薬である SKF 89976A(Tocris Bioscience,Bristol,

UK)を用いた.NNC 05-2090およびSKF 89976Aはdimethyl sulfoxide(DMSO)

に溶解し,人工脳脊髄液(NaCl:124 mM,KCl:3 mM,CaCl2:2 mM,MgSO4:

1 mM,KH2PO4:1.25 mM,glucose:10 mM,pH 7.4)で DMSO の最終濃度

が 0.5%未満になるように希釈した.

試験薬の投与

PSNL モデルマウス作成後 16 日目に,腰椎(L4-6)の椎弓間に 27G の注射

針を刺入し,ハミルトンマイクロシリンジ(HAMILTON,Reno,NV,USA)

を用いて,NNC 05-2090 または SKF 89976A を 5μl(総量 15 pmoles または

150 pmoles)くも膜下に投与した.

神経障害性疼痛の評価

5

神経障害性疼痛に対する効果の判定には,Morita ら 24)の方法に従い von Frey

フィラメント(North Coast Medical Inc,Gilroy, CA, USA)を用いて行った.

マウス後肢足蹠に 5 秒間隔で 5 回刺激して,その刺激に対する逃避行動を 5 回

連続して起こす最小のフィラメントの値(g)を疼痛閾値とし,試験薬投与前(0),

投与後 0.5,1,2,5,および 28 時間に判定した.

評価者は試験薬やモデル動物について知らされず,盲検化して実験を行った.

GABA トランスポーター遺伝子発現の評価

PSNL手術後 14日に神経障害性疼痛の発症を確認したマウス(PSNL群)と,

皮膚切開のみ行ったマウス(Sham 群)を頸椎脱臼して屠殺し,大脳皮質,脳

幹,小脳,脊髄の組織を採取した.摘出したそれぞれの組織に TRIzol Reagent

(Invitrogen, Carlsbad, CA,USA)1 ml を加え,ホモジネナイズ後,クロロ

ホルム 0.2 ml を加えて遠心分離した.水相のみ回収し,イソプロパノール,エ

タノールを加えて精製して, total RNA を抽出し,さらに Recombinant DNase

Ⅰ(タカラバイオ株式会社,滋賀)を加えて 37℃40 分間反応させて DNA を分

解した.total RNAの逆転写にはReverTra Ace (東洋紡,大阪)を用いた.GAT-1,

GAT-3,BGT-1 のプライマー(オペロンバイオテクノロジー,東京)(表 1)と

KOD –Plus-(東洋紡,大阪)を用い,94℃2 分の反応後に,94℃30 秒のディ

ネーチャー,アニーリング 58℃30 秒,68℃2 分の伸長反応を,BGT-1 のみ 35

サイクル,その他は 30 サイクルで PCR を行った.68℃5 分の反応後,反応液

を 1.5%アガロースゲルにて電気泳動し,エチジウムブロマイドにて染色した.

6

内部標準としては G3PDH を用いた.

取り込み阻害効果の評価

トランスポーターの基質取り込み能の評価は過去の研究 25-31)に従って行った.

マウス由来 GAT-1 および GAT-3 の cDNA(RIKEN Mouse FANTOM Clones,

KK DANAFORM,横浜),BGT-1 cDNA(Origene Technologies,Rockville,

MD,USA),ラット由来セロトニントランスポーター,ノルアドレナリントラ

ンスポーター,ドーパミントランスポーター,およびグリシントランスポータ

ー1 の cDNA(Origene Technologies,Rockville,MD,USA),およびグリ

シントランスポーター2 cDNA(RIKEN Mouse FANTOM Clones,KK

DANAFORM,横浜)を,それぞれ制限酵素(NEW ENGLAND Biolabs,Beverly,

MA,USA)で切断し,pBluescriptⅡ(Ajllent Technologes,Loveland,CO,

USA)を用いて哺乳動物発現プラスミド pcDNA3(Invitrogen, Carlsbad, CA,

USA)へサブクローニングした.その後,CHO(Chinese Hamster Ovary)細

胞へ FuGENE6(Roche,Mannheim,GER)を用いて形質導入し,10%ウシ

胎児血清(65℃,30 分非動化)(Biowest,Kansas City,MO,USA)および

1%ペニシリン-ストレプトマイシン-アンフォテリシン液(シグマアルドリ

ッチジャパン,東京)を含む Alpha Modification Minimum Essential Medium

Eagle(α‐MEM:シグマアルドリッチジャパン,東京)に G-418(Promega,

Madison,WI,USA)500μM を添加した培地で,5%CO2,37℃で 2~3 週間

培養することによって,それぞれの遺伝子を定常的に発現する細胞(トランス

表1

7

ポーター定常発現細胞)を作成した.各トランスポーター発現の確認は,基質

取り込み能を測定することによって行った.作成した細胞を24時間培養した後,

Krebs-Ringer HEPES-buffered solution(KRH;NaCl:125 mM,KCl:5.2 mM,

CaCl2:1.2 mM, MgSO4:1.4 mM,KH2PO4:1.2 mM,glucose:5 mM,

HEPES:20 mM,pH 7.3)で 3 回洗浄し, NNC 05-2090(0.1μM,1.0μM,

10μM,100μM,300μM)または SKF 89976A(0.1μM,1.0μM,10μM,

100μM,1000μM)と,[3H]ラベルした各基質{[3H]GABA(1.295 TBq/mmol)

(Perkin-Elmer Life Sciences,Boston,MA,USA),[3H]セロトニン(1.02

TBq/mmol)(Perkin-Elmer Life Sciences,Boston,MA,USA),[3H]ノル

アドレナリン(0.548 TBq/mmol)(Perkin-Elmer Life Sciences,Boston,MA,

USA),[3H]ドーパミン(1.12 TBq/mmol)(Perkin-Elmer Life Sciences,Boston,

MA,USA),[3H]グリシン(1.802 TBq/mmol)(Perkin-Elmer Life Sciences,

Boston,MA,USA)}を同時に添加し,10 分間 37℃で反応させた.その後,0℃

の KRH で 3 回洗浄して反応を停止させた.1M NaOH を添加して細胞をかき取

り,1M HCl で中和し,液体シンチレーションカウンター(1414WinSpectral,

WALLAC,Turku,FIN)で放射活性を測定し,基質取り込み量を計測した.

各 GAT サブタイプに対する非特異的取り込みは 10 mM GABA,セロトニント

ランスポーター,ノルアドレナリントランスポーター,ドーパミントランスポ

ーターに対する非特異的取り込みは 10μM コカインを,グリシントランスポー

ター1および2に対する非特異的取り込みは 10 mM グリシンを添加すること

により計測した.各トランスポーターによる基質取り込みに対する NNC

8

05-2090およびSKF 89976Aの阻害曲線を作成し,Prism5(Graphpad Software,

Version5.0,San Diego,CA,USA)を用いて IC50を算出した.

統計解析

神経障害性疼痛の評価における経時的な変化については,試験薬投与前の値

に対する変化を one-way ANOVAおよび post hoc Dunnett testを用いて分析し

た.NNC 05-2090 と SKF 89976A の効果の比較には,対応のない T 検定を用

いた.なお,P値が 0.05 未満を有意差ありとした.統計処理には統計ソフト

Prism5(Graphpad Software,Version5.0,San Diego,USA)を用いて行っ

た.

結 果

神経障害性疼痛に対する効果

PSNL モデルマウス作成から 16 日後,試験薬投与前は PSNL 側で疼痛閾値の

低下(0.04g 以下)が認められた.一方,対照側では疼痛閾値の低下は認められ

なかった(投与前の平均値はいずれも 1.0g 以上).

NNC 05-2090 をくも膜下に 15 pmoles 投与したマウスでは,対照側で疼痛閾

値の上昇はみられなかったが(投与前:1.200±0.335g; 0.5 時間後:1.133±

0.327g;1時間後:1.200±0.335g;2時間後:1.267±0.207g;5時間後:1.333

9

±0.163g;28 時間後:1.267±0.207g),PSNL 側で薬物投与前の値に比較して,

投与後1時間および 2 時間で疼痛閾値が有意に上昇した(投与前:0.008±

0.000g; 0.5 時間後:0.018±0.005g;1時間後:0.090±0.056g;2時間後:

0.075±0.044g;5時間後:0.053±0.053g;28 時間後:0.008±0.000g)(図1).

NNC 05-2090 をくも膜下に 150 pmoles 投与したマウスでは,対照側で疼痛

閾値の上昇はみられなかったが(投与前:1.286±0.302g; 0.5 時間後:1.286

±0.302g;1時間後:1.229±0.315g;2時間後:1.229±0.315g;5時間後:

1.286±0.302g;28 時間後:1.114±0.302g),PSNL 側で薬物投与前の値に比較

して,投与後 0.5 時間で疼痛閾値は有意に上昇し,投与後 5 時間まで持続した

(投与前:0.010±0.005g; 0.5 時間後:0.571±0.076g;1時間後:1.286±

0.195g;2時間後:1.286±0.195g;5時間後:1.371±0.335g;28 時間後:0.017

±0.016g)(図2).

SKF 89976A をくも膜下に 15 pmoles 投与したマウスでは,対照側で疼痛閾

値の上昇はみられず(投与前:1.229±0.315g; 0.5 時間後:1.171±0.315g;

1時間後:1.114±0.302g;2時間後:1.114±0.302g;5時間後:1.114±0.302g;

28 時間後:1.229±0.214g),PSNL 側においても疼痛閾値に有意な変化はみら

れなかった(投与前:0.010±0.005g; 0.5 時間後:0.017±0.006g;1時間後:

0.018±0.012g;2時間後:0.021±0.009g;5時間後:0.017±0.006g;28 時

間後:0.013±0.006g)(図3).

SKF 89976A をくも膜下に 150 pmoles 投与したマウスでは,対照側で疼痛閾

値の上昇はみられなかったが(投与前:1.133±0.207g; 0.5 時間後:1.200±

10

0.219g;1時間後:1.200±0.219g;2時間後:1.133±0.207g;5時間後:1.200

±0.219g;28 時間後:1.200±0.219g), PSNL 群で薬物投与前の値に比較して,

投与後 1 時間,2 時間および 5 時間で,疼痛閾値が有意に上昇していた(投与前:

0.009±0.004g; 0.5 時間後:0.022±0.013g;1時間後:0.034±0.017g;2時

間後:0.035±0.011g;5時間後:0.029±0.012g;28 時間後:0.009±0.004g)

(図4).

投与後 1 時間,2 および 5 時間における疼痛閾値について,150 pmoles の

NNC 05-2090 と SKF 89976A を比較した結果,いずれの時間においても NNC

05-2090 が有意に疼痛閾値を上昇させていた(投与後1時間:NNC 05-2090 vs.

SKF 89976A:1.286±0.195g vs. 0.034±0.017g;投与後2時間:NNC 05-2090

vs. SKF 89976A:1.286±0.195g vs. 0.035±0.011g;投与後5時間:NNC

05-2090 vs. SKF 89976A:1.371±0.335g vs. 0.029±0.012g)(図5A〜C).

GABA トランスポーターmRNA の発現

神経障害性疼痛発症後の大脳皮質,小脳,脳幹,脊髄における GAT-1,GAT-3,

BGT-1 の mRNA 発現を検討した結果,いずれの組織においても,またいずれの

GABA トランスポーターにおいても PSNL 群と Sham 群で mRNA 発現に差は

認められなかった(図6).

取り込み阻害効果(表2)

各基質(GABA,セロトニン,ノルアドレナリン,ドーパミン,およびグリ

図1 図2

図3 図4

図5

図6

11

シン)に対するトランスポーターを定常発現させた細胞における,各基質の取

り込みに対する試験薬の阻害効果について検討した結果,NNC 05-2090 の

BGT-1に対する IC50値はその他のGAT-1およびGAT-3に対する IC50値と比較

して最も小さく, BGT-1 の GABA 取り込みを最も強く阻害していた.一方,

SKF 89976A は GAT-1 に対して高い選択的阻害効果がみられた.NNC 05-2090

は SKF 89976A と比較して,セロトニントランスポーター,ノルアドレナリン

トランスポーター,ドーパミントランスポーター,グリシントランスポーター

1およびグリシントランスポーター2に対する IC50値が低く,セロトニン,ノ

ルアドレナリン,ドーパミン,およびグリシンの取り込みを強く阻害していた.

考 察

神経障害性疼痛は,末梢から中枢神経系に及ぶ痛覚伝導路の機能的・可塑的

変化によって引き起こされており,痛覚系ニューロンの感作,神経再構築,脱

抑制や疼痛抑制系の変化など,様々な病態が生じていると考えられている 32).

動物を用いた神経障害性疼痛モデルは,これらの病態をすべて網羅したもので

はないため,本研究結果が必ずしも臨床的有効性に繋がるものではないが,そ

の可能性を示唆することはできる.神経障害性疼痛モデルは数多く報告されて

おり,末梢神経を損傷するモデル,病態特異的なモデル,化学療法薬誘発モデ

ルに大別され,末梢神経損傷モデルには絞扼性神経損傷モデル,坐骨神経部分

表2

12

損傷(PSNL)モデル,脊髄神経結紮損傷モデルなどがある 33).本研究では,

マウスに容易に応用でき,神経障害性疼痛が発症しやすい坐骨神経部分損傷

(PSNL)モデルを採用した.また,刺激の種類には機械的刺激,熱刺激および

化学刺激などがあるが,本研究では von Frey フィラメントを用いた機械的刺激

を行った. PSNL モデルマウスにおいては, 0.166g 未満の von Frey フィラメ

ントは非侵害刺激であり,それ未満のフィラメントに対する疼痛閾値の増加は

アロディニアが発症しているとされている 34).本研究では NNC 05-2090(15

及び 150pmoles)および SKF 89976A(150pmoles)が坐骨神経を結紮してい

ない対照側での疼痛閾値を上昇させることなく,結紮側の疼痛閾値のみを上昇

させたことから,これらの薬物が正常な侵害受容性の神経回路ではなく,非侵

害受容性1次ニューロンによって誘発される中枢内神経回路の異常活動のみに

作用している可能性が考えられる。従って NNC 05-2090 と SKF 89976A は抗

アロディニア効果を有している可能性が示唆された.

これまでに,神経障害性疼痛治療薬として三環系抗うつ薬,選択的セロトニ

ン再取り込み阻害薬,およびセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬

が知られているが 3),近年,グリシン再取り込み阻害薬が神経障害性疼痛に対し

て抑制効果があることが報告され 24),神経障害性疼痛治療薬としての可能性が

示唆されている.しかし,これまで神経障害性疼痛発症時の GABA 神経系の変

化が報告されているにもかかわらず 11-13),GABA 再取り込み阻害薬については,

GAT-1 の選択的阻害薬である NO-711 についてのみである 17).本研究では

GAT-1 に対して NO-711 よりも強い阻害作用を持っているとされている SKF

13

89976A と 14), BGT-1 阻害薬である NNC 05-2090 に注目した.その結果, く

も膜下に投与された NNC 05-2090 と SKF 89976A に神経障害性疼痛に対する

抑制効果が認められた.また,NNC 05-2090 の神経障害性疼痛に対する抑制効

果は SKF 89976A よりも強力であり,より少ない用量で抑制効果が認められた

ことから,NNC 05-2090 は BGT-1 阻害薬よりも有効な神経障害性疼痛治療薬

となる可能性があると考えられた.

本研究では,神経障害性疼痛を発症した PSNL モデルマウスの脳および脊髄

におけるBGT-1のmRNAの発現量を調べたが,いずれの組織においても PSNL

群と Sham 群間における BGT-1 の mRNA の発現量の差は認められなかった.

BGT-1 はアストロサイトに多く発現しているとされているが 14, 35),本研究では

神経障害性疼痛発症時の活性化アストロサイトに限局した BGT-1の発現変化や,

BGT-1 の膜への発現レベルの変化,GABA 取り込み能の変化について検討して

いないため,BGT-1 そのものの神経障害性疼痛への関わりについて明確にする

ことはできなかった.よって,NNC 05-2090 の神経障害性疼痛に対する抑制は

BGT-1 の阻害作用以外の機序も関与していると考えられた.

NNC 05-2090 は BGT-1 の阻害作用だけでなく,α1アドレナリン受容体やド

ーパミン D2受容体に対しても親和性があることが報告されていることから 21),

本研究では,NNC 05-2090 のモノアミントランスポーターに対する阻害作用に

ついても検討した.さらに,GAT-1 に対しても高い親和性を示したことから,

NNC 05-2090 は GAT-1 の阻害およびセロトニン,ノルアドレナリンおよびド

ーパミンのトランスポーターを強く阻害していることが示された.この結果か

14

ら,NNC 05-2090 の神経障害性疼痛に対する抑制効果には GABA トランスポ

ーターだけでなく,モノアミントランスポーターへの効果が関与している可能

性が示唆された.

本研究結果から,BGT-1 阻害薬である NNC 05-2090 が神経障害性疼痛に対

する抑制効果を持っていることが示された.その機序として,BGT-1 だけでな

く GAT-1 を阻害して GABA の抑制性伝達を増強することに加え,セロトニンお

よびノルアドレナリントランスポーターを抑制し,脊髄の下行性抑制路の伝達

を増強する可能性が示唆された.今後,さらに作用機序を解明する必要がある

が,NNC 05-2090 が神経障害性疼痛に対して有効な治療薬になる可能性が示唆

された.

謝 辞

稿を終えるにあたり,本研究を行う貴重な研究機会を与えて頂き,ご指導,

ご校閲を賜りました岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯科麻酔・特別支援歯

学分野の宮脇卓也教授,歯科薬理学分野北山滋雄教授に心より感謝の意を表し

ます.また,本研究の実施に際し,終始懇切なるご指導とご教授を頂きました

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯科薬理学分野の十川紀夫准教授,十川千

春助教に深く感謝致します.最後に本研究を行うにあたり,貴重なご助言を頂

きました岡山大学大学院医歯薬学総合研究科歯科麻酔・特別支援歯学分野,歯

15

科薬理学分野の先生方に深く御礼を申し上げます.

16

文 献

1) Treede, R. D. , Jensen, T. S. , Campbell, J. N. ,Cruccu, G. , Dostrovsky, J.

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22

表題脚注

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科

機能再生・再建科学専攻

口腔・顎・顔面機能再生制御学講座

歯科麻酔・特別支援歯学分野

(主任:宮脇卓也教授)

23

表1 RT-PCR 用プライマーの塩基配列

F: Forward; R: Reverse

GAT-1: GABA トランスポーター1

GAT-3: GABA トランスポーター3

BGT-1: Betaine/GABA トランスポーター1

増幅産物 Tm値

Bp (℃)

F:5'-GGGAAGGAACAAAAGAAATCACAAG-3’ 56

R:5'-TAAGAAGCTACGGGACGAGACATAC-3’ 60

F:5'-ACCGGTTCTATGACAATATTGAGGA-3’ 56

R:5'-CATTAGGTGAAGTACGAGGTTCAGG-3’ 60

F:5'-CCATGAAGATGGCTATCCTGTGGTCTCTTG-3’ 64

R:5'-CCAGAATTCCATGACAGGCGAGGTAAAGTT-3’ 62

F:5'-ACCACAGTCCATGCCATCAC-3’ 57

R:5'-TCCACCACCCTGTTGCTGTA-3’ 57G3PDH 450

プライマーの塩基配列標的遺伝子

GAT-1 478

GAT-3 501

BGT-1 556

24

表2 トランスポーター発現細胞における基質取り込み阻害効果(IC50 (μM))

トランスポーター 基質 NNC 05-2090 SKF 89976A

GAT-1 GABA 29.6 0.3

GAT-3 GABA 22.5 302.8

BGT-1 GABA 10.6 481.1

セロトニントランスポーター セロトニン 5.3 3514.0

ノルアドレナリントランスポーター ノルアドレナリン 7.9 202.1

ドーパミントランスポーター ドーパミン 4.1 728.8

グリシントランスポーター1 グリシン 25.7 309.5

グリシントランスポーター2 グリシン 27.7 622.5

GAT-1:GABA トランスポーター1

GAT-3:GABA トランスポーター3

BGT-1:Betaine/GABA トランスポーター1

25

図表の説明

図 1 NNC 05-2090 脊髄腔内投与(15pmoles)後の疼痛閾値(Withdrawal

threshold)の経時的変化

Control: 対照側; n=6; *P< 0.05, **P< 0.01 vs. 0.0 値(投与前値)

疼痛閾値(Withdrawal threshold)は対数で示している.

図2 NNC 05-2090 脊髄腔内投与(150pmoles)後の疼痛閾値(Withdrawal

threshold)の経時的変化

Control: 対照側; n=7; ***P< 0.0001 vs. 0.0 値(投与前値)

疼痛閾値(Withdrawal threshold)は対数で示している.

図3 SKF 89976A 脊髄腔内投与(15pmoles)後の疼痛閾値(Withdrawal

threshold)の経時的変化

Control: 対照側; n=7; 0.0 値(投与前値)に対して有意な変化なし

疼痛閾値(Withdrawal threshold)は対数で示している.

図4 SKF 89976A 脊髄腔内投与(150pmoles)後の疼痛閾値(Withdrawal

threshold)の経時的変化

Control: 対照側; n=10; **P< 0.01, ***P< 0.0001 vs. 0.0 値(投与前値)

疼痛閾値(Withdrawal threshold)は対数で示している.

26

図5 NNC 05-2090 投与群と SKF 89976A 投与群の疼痛閾値(Withdrawal

threshold)の比較

A: 投与後1時間,B: 投与後2時間,C: 投与後5時間

NNC 05-20090: 150pmoles, n=7; SKF 89976A: 150pmoles, n=10

疼痛閾値(Withdrawal threshold)は対数で示している.

図 6 GABA トランスポーターmRNA の発現

Sham: 対照マウス,PSNL: 坐骨神経結紮マウス

GAT-1: GABA トランスポーター1

GAT-3: GABA トランスポーター3

BGT-1: Betaine/GABA トランスポーター1

G3PDH: 内部標準遺伝子

27

図 1

秦泉寺 紋子

28

図2

秦泉寺 紋子

29

図3

秦泉寺 紋子

30

図4

秦泉寺 紋子

31

図5

秦泉寺 紋子

32

図 6

秦泉寺 紋子