みやこ町 観光まちづくり 振興計画...2. 計画の位置づけ...

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みやこ町 観 光まちづくり 振興計画 みやこ町 平成30年3月 Miyako Town

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Page 1: みやこ町 観光まちづくり 振興計画...2. 計画の位置づけ 本計画は、当町の最上位計画である「第2次みやこ町総合計画」(平成28年3月策定)

みやこ町観光まちづくり振興計画

みやこ町平成30年3月

Miyako Town

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みやこ町は、福岡県の北東部に位置し、美しい水と緑、そして数多くの文化財に恵

まれた町です。面積は、約151平方キロメートルで南北に長く、北の端は北九州市小倉南区、南の端は大分県中津市に接しています。町内には、ともに英彦山山系を源

流とする今川と祓川、それに平尾台を源流とする長峡川が流れ、先史以来、肥沃な土地を活かして人々の生活が営まれてきました。

 この度、当町では「みやこ町観光まちづくり振興計画」を策定しました。これは

今後3年間における観光施策の基本理念、基本方針、また戦略、ターゲット等の方向性を見定め、それを町民の皆様はもちろん、関係する諸団体の皆様と共有するこ

とにより、共に観光によるまちづくり、地域づくりを目指すために策定したものです。

 観光の「光」には、ひかり、かがやきの意味の他に、景色、飾り、恵み、そして、美しい文物・文化という意味があります。豊かな自然の恵みと地理上の特性を背景

に、北部九州の重要な拠点地域として古くから栄えたみやこ町には、他に誇るべき「光」が溢れています。ぜひ、その「光」を多くの方々に来て、見ていただきたく、次に掲げる基本理念を軸に、この振興計画を策定しました。

ごあいさつ

みやこ町長

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【基本理念】

「観光プラス」の発想で 観光客と住民が互いに価値を創造するまち みやこ

 ここでいう「観光プラス」とは、ただ単に、外から人に来ていただくのではなく、

非日常を求めて来訪する観光客と、そこに住む住民の日常、そのどちらにも意味のあることや価値を求めてゆこう、という発想です。具体的には、例えば、文化芸術活動の推進、生きがいづくりといった各種施策に、観光というエッセンスをプラスし

て、観光客と住民の双方が参加し、体験し、ふれあう試みを考え、人づくり、ひいてはまちづくりを行ってゆこうとするものです。

 過疎化、少子高齢化の進む中、その克服のため、各地で様々な地方創生、地域活性化の取り組みが行われています。当町においても「日本一元気なまちづくり」をス

ローガンに、今までも、そしてこれからも、出来る施策は積極的に取り組んでまいります。そのなかで、「観光」は間違いなく、重要な施策の一つに位置づけられます。

その意味で、この「みやこ町観光まちづくり振興計画」は、まちづくりの大切な道しるべとなるものです。多くの方々にご高覧いただき、手を取り合って、当町の振興・発展を期したいと思います。

平成30年3月                      

コスモス畑と平成筑豊鉄道(左手奥に馬ヶ岳)久松 博志 氏 撮影

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1章 計画の趣旨・目的 1. 背景・計画の必要性 5 .............................................................................................................2. 計画の位置づけ 6 .....................................................................................................................3. 計画の期間 6 .............................................................................................................................

2章 観光の現況 1. 国の観光施策 8 .........................................................................................................................2. 福岡県の観光振興 8 .................................................................................................................3. 広域連携へ向けた取り組み 9 .................................................................................................

3章 本町における観光の現状と課題 1. みやこ町における観光の現状 12 ...........................................................................................2. 課題と展望 25 ..........................................................................................................................

4章 基本理念と施策の方向性 1. 基本理念 28 ..............................................................................................................................2. コンセプト 29 ..........................................................................................................................3. 基本方針 30 ..............................................................................................................................4. 誘客ターゲット 31 ..................................................................................................................

5章 施策 1. 優先施策 34 ..............................................................................................................................2. 施策例の体系 39 ......................................................................................................................3. 施策の具体例 40 ......................................................................................................................

6章 推進体制 観光まちづくりの推進体制 47 ....................................................................................................

資料編 資料1:みやこ町観光まちづくり振興計画策定の経緯・経過 48 ..........................................資料2:みやこ町観光まちづくり振興計画策定委員名簿 49..................................................

ー 目 次 ー

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1章計画の趣旨•目的

暁の長峡川(みやこ町勝山上田)久松 博志 氏 撮影

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1章 計画の趣旨・目的

1. 背景・計画の必要性

 みやこ町は、平成18年3月に、勝山町・犀川町・豊津町の3町が合併し、誕生しました。旧3町ではそれぞれの歴史・文化・自然等を活かしながら、観光振興、地域活性化の諸施策が行われてきましたが、新しく発足したみやこ町は、それらを発展させるべく、観光誘客に向けた取り組みを行ってきたところです。合併以降、観光振興につながる出来事や事業を抜粋すると以下のとおりです。

  平成 21年 5月 蛇渕キャンプ場リニューアルオープン

   22年 4月   有害鳥獣加工施設(みやこ肉加工施設)オープン

   23年 11月 マスコットキャラクター「みやっこ君」決定

   24年 1月   第1回ミュージックストリート開催

   26年 9月 みやこ観光まちづくり協会発足

   27年 1月   東九州自動車道みやこ豊津IC開通

3月   第1回ジビエSAI開催

      11月 みやこ町歴史民俗博物館リニューアルオープン

   28年 1月   安藤忠雄建築研究所設計「みやこ伊良原学園」校舎完成

   28年 9月 地方創生加速化交付金による「みやこ町観光振興(DMO 推進等)業務」  1

  を実施(みやこ観光まちづくり協会)。平成29年3月完了

 みやこ町が発足した年と同じ平成18年、観光立国推進基本法が制定され、「観光は我が国の成長戦略の柱、地方創生への切り札である」という認識のもと、国をあげて「観光先進国・日本」実現のための諸施策がとられているところです。またその動きは、平成32年度開催の東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けてさらに加速しています。

 このような国の大きな流れのなか、当町においても観光をまちづくりの重要な柱の一つとしてとらえ、町民、関係諸団体と協働・連携し、目標に向けて、より一層計画的に観光振興事業を実施するための「道しるべ」として、この「みやこ町観光まちづくり振興計画」を定めます。

Destination Management/Marketing Organizationの略。地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する「観光地経営」1

の視点に立った観光地域づくりの舵取り役として、多様な関係者と協同しながら、明確なコンセプトに基づいた観光地域づくりを実現するための戦略を策定するとともに、戦略を着実に実施するための調整機能を備えた法人のこと。

5

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2. 計画の位置づけ

 本計画は、当町の最上位計画である「第2次みやこ町総合計画」(平成28年3月策定)にもとづく、観光部門の個別計画です。策定に際しては、「みやこ町 まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成28年3月策定)との整合性を図りながら、また、観光立国推進基本法第2条に定める下記の基本理念を旨としました。

3. 計画の期間

 平成30年度(2018)から平成32年度(2020)までの3年間

6

観光立国推進基本法第2条 

1 観光立国の実現に関する施策は、地域における創意工夫を生かした主体的な取組を尊重しつつ、

地域の住民が誇りと愛着を持つことのできる活力に満ちた地域社会の持続可能な発展を通じて国

内外からの観光旅行を促進することが、将来にわたる豊かな国民生活の実現のため特に重要であるという認識の下に講ぜられなければならない。

2 観光立国の実現に関する施策は、観光が健康的でゆとりのある生活を実現する上で果たす役割

の重要性にかんがみ、国民の観光旅行の促進が図られるよう講ぜられなければならない。

3 観光立国の実現に関する施策は、観光が国際相互理解の増進とこれを通じた国際平和のために

果たす役割の重要性にかんがみ、国際的視点に立って講ぜられなければならない。

4 観光立国の実現に関する施策を講ずるに当たっては、観光産業が、多様な事業の分野における特

色ある事業活動から構成され、多様な就業の機会を提供すること等により我が国及び地域の経済社会において重要な役割を担っていることにかんがみ、国、地方公共団体、住民、事業者等によ

る相互の連携が確保されるよう配慮されなければならない。

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2章観光の現況

蛇渕の滝 初夏(みやこ町犀川帆柱)久松 博志 氏 撮影

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2章 観光の現況

1. 国の観光施策

 定住人口が減少する中、社会活力の維持のための施策として、観光による交流人口の増加が求められています。観光消費活動は、運輸・宿泊・旅行サービス・飲食・農林水産・小売・製造等、広範に渡るため、産業全体への高い波及効果が期待でき、雇用促進にも効果が見込まれています。

 これを踏まえ、観光は21世紀における日本の重要な政策の柱との位置づけのもと、観光基本法を改訂し、観光立国推進基本法(平成19年1月より施行)が制定されました。観光立国実現に向け、訪日観光の振興と同時に、国内旅行振興を推進し、これにより地域の経済を潤し、ひいては住民にとって誇りと愛着の持てる地域社会を築いてゆくべく、様々な施策が

講じられています。現在は、「観光ビジョン実現プログラム2017」 が平成29年5月に策2

定され、観光地域づくり・人材育成・観光産業等の幅広い分野で、観光立国実現に向けた様々なアクション・プログラムが推進されています。

2. 福岡県の観光振興

 福岡県では、平成29年7月に「福岡県観光振興指針」 (平成29年度~平成31年度)3

を策定しています。これは「ご来福」をキーワードに、①福岡県に来れば、素晴らしい体験とおもてなしに出会い「福が来る」という意味と、②迎える側にとっても、観光客に喜んでもらった満足感が得られ、また観光消費の拡大によって地域が潤い「福が来る」という、2つの意味を込め、観光客と迎える側、双方の視点を取り入れた観光振興指針を定めています。施策体系は、観光資源の魅力の向上・受け入れ環境の充実・効果的な情報発信・観光振興の体制強化という枠組みで戦略的に進められています(→ P10)。

平成29年 「観光ビジョン実現プログラム2017」(観光立国推進閣僚会議)2

平成29年 「ご来福推進宣言 ~福岡県観光振興指針~」(福岡県商工部観光局)3

8

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3. 広域連携へ向けた取り組み

 福岡県では広域連携による誘客推進策として、県内各地の観光資源を活かしながら、観光客を「福岡市から筑後・筑豊へ」、「北九州市から筑豊・京築へ」等、広く県内各地域への周遊を促す取組みが進められています。

 また、九州各県、中国・四国各県との連携による新たな広域ルートの開発や、広域連携のための包括的な観光情報の発信、条例の整備等の施策が進められています。

 本町においては、地方創生加速化交付金による「みやこ町観光振興(DMO推進等)事業」

(平成28年度)の成果にもとづいて、「けいちくDMO(仮称)」の設立等、広域連携の推進をめざし、周辺市町との担当レベルの会議を平成29年度から始めています。

9

地 域

(公社)福岡県観光連盟

市町村観光協会 市町村

福岡県

(一社)九州観光推進機構

民 間

九州各県・経済団体九州地方知事会・九州地域戦略会議[ [

▼福岡県観光施策推進体制  平成29年 「ご来福推進宣言 ~福岡県観光振興指針~」(福岡県商工部観光局)より

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参考:福岡県の観光振興指針が掲げる数値目標数値目標 2016(H28)年実績 2019(H31)年目標

外国人入国者数 260万人 414万人

県内延べ宿泊数 1,612万人泊 1,984万人泊

    (うち外国人) 267万人泊 588万人泊

観光消費額 9,620億円 12,407億円

旅行者満足度(良い+大変良い) 75.8% 85.0%

再訪意向(是非また来たい) 53.6% 60.0%

参考:福岡県の観光振興施策体系および、成果指標

基本的考え方 施策の方向性成果指標

基準年 2016年 → 目標年 2019年

①観光資源の魅力向上

歴史を活かした観光資源の発掘、磨き上げ

〇 観光客の体験に対する満足度(大人が楽しめるスポット・施設・体験)25位 → 15位

食の魅力を活かした観光の推進

文化・スポーツの集積を活かした観光の推進

産業観光の推進

体験、交流、滞在型観光の推進

②受入環境の充実

観光案内の充実 〇 通信状況(Wi-Fi含む)の満足度47% → 60%

〇 県内インバウンド協力店舗数225店舗 → 1000店舗

多言語対応等の充実

移動しやすい交通基盤の整備

観光客の安全・安心対策

③効果的な情報発信

国や地域毎の旅行者のニーズをとらえたプロモーション活動 〇「クロスロードふくおか」SNSフォロワー数

5,690人 → 15,000人

〇「クロスロードふくおか」アクセス数246万セッション → 300万セッション

海外進出企業、飲食業等との連携によるPRの強化

ゴールデンルートからの誘客拡大

広域連携による誘客の推進

④観光振興の体制強化

統計情報の収集・分析によるマーケティング 〇 日本版DMO候補法人数

2団体 → 8団体専門的な人材の育成

新たな観光ビジネスの創出

10

平成29年 「ご来福推進宣言 ~福岡県観光振興指針~」(福岡県商工部観光局)を基に作成

同上

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3章本町における 観光の現状と課題

豊前国分寺三重塔(みやこ町国分)久松 博志 氏 撮影

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3章 本町における観光の現状と課題

1. みやこ町における観光の現状

(1)みやこ町の観光資源

 みやこ町の観光資源として既に認知されているものを、観光パンフレット『みやこ町ガイドブック』等から抜粋すると次のとおりです。

 【自然】仲哀公園の桜、千女房のヤマザクラ、八景山自然公園の桜、本庄池の桜、花菖蒲公園、伊良原・帆柱渓谷のしゃくなげ、崎山ひまわり、蛇渕の滝(キャンプ場)、ほたるの里公園、九州自然歩道、【歴史・文化財】みやこ町歴史民俗博物館、思永館、永沼家住宅、綾塚古墳、橘塚古墳、甲塚方墳、豊前国分寺跡、郡長正の墓、胸の観音、仙人神社、二兒神社、馬ヶ岳城跡、障子ヶ岳城跡、蔵持山修験道遺跡、神楽城跡、【特産】みやこ肉、みやこ肉カレー、九州菊、かずら筆、帆柱茶、柳瀬ごぼう、たけのこ、勝山ねぎ、勝山米、里いも、花・葉わさび、いちご、巨峰、梨、【直売所】国府の郷、よってこ四季犀館、採れたて市場、【まつり】花しょうぶまつり、夏まつり、産業祭、愛郷音楽祭、生立八幡神社神幸祭、神楽、にわとり楽

 また、この他にも、華道「無雙真古流」を通じた銀閣寺との交流やその関連史跡、また

平成29年度に完成する「伊良原ダム」も、観光資源としての活用が大いに期待されています。

(2)数値目標

 みやこ町では、「第2次みやこ町総合計画」および「みやこ町 まち・ひと・しごと創生

総合戦略」の中で、観光に関する数値目標(KPI) を定めています。「第2次みやこ町総合計4

画」では、特産品の開発やイベントに関するKPI、「みやこ町 まち・ひと・しごと創生総合戦略」では、これに加えて情報発信力の強化についてKPIを定めています(→ P15)。特に、体験型観光事業とボランティアガイドについては双方ともにKPIを設定しており、特に重要な施策として位置づけています。本計画ではこれらの目標値を見据えた施策を推進してゆきます。

Key Performance Indicatorの略で、日本語では「重要業績指標」等と訳される。事業等の達成度合いを示す指標のこと。4

12

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●みやこ町の主な観光資源 

13

21 蛇渕の滝(キャンプ場)

22 仲哀公園の桜

23 伊良原ダム

吉田学軒顕彰碑

鶴田知也文学碑

葉山嘉樹文学碑

小宮豊隆文学碑

生立八幡神社山笠

講堂「思永館」

豊前国分寺跡

豊前国府跡

永沼家住宅

蔵持山修験道遺跡

9 みやこ町歴史民俗博物館

綾塚古墳

橘塚古墳

みやこ町福岡県

26

17 花菖蒲公園

18 犀川公園

19 崎山ひまわり

20 ほたるの里公園

15 千女房のヤマザクラ

16 八景山自然公園の桜

26 よってこ四季犀館

24 採れたて市場

25 国府の郷

堺利彦文学碑14

犀川駅

豊津支所至香春町

みやこトンネル

至行橋市

障子ヶ岳

東九州自動車道

東犀川三四郎駅

犀川支所

新豊津駅

みやこ町役場

馬ヶ岳

平成筑

豊鉄道

源じいの森駅

崎山駅

行橋IC

今川スマートIC

みやこ豊津 IC

253

58

34

58201

496

みやこ町役場

サングレートみやこ

庄屋塚古墳

橘塚古墳

黒田小学校

勝山中学校

綾塚古墳

吉田学軒顕彰碑

みやこ町役場 犀川支所犀川小学校

犀川中学校

平成筑豊鉄道「犀川駅」(ユータウン犀川)

犀川公園

生立八幡神社山笠

豊津駅

新豊津駅

豊前国府跡花菖蒲公園

豊前国分寺跡

講堂「思永館」

本立寺

豊津中学校

みやこ町役場豊津支所

堺利彦文学碑

八景山公園の桜

小宮豊隆文学碑

17

15

22

19

20

410

12 13 6

5

3

2

18

87

11

14

16

21

1

87

11

18

3

16

17

5

4

14

10

12 13

6

N

みやこ町歴史民俗博物館9

9

26

26

25

25国府の郷

よってこ四季犀館

24

採れたて市場

23

歴史・文化 自然 食(直売所) 人

豊津駅

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●みやこ町フェノロジーカレンダー(生活季節暦) 5

平成29年度第2回みやこ観光まちづくり講座(平成29年11月11日)で試作したものを、みやこ観光まちづくり協会が集約・編集。5

14

冬 冬春 夏 秋1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

0102030

気温

mm050100150200

降水量

国府まつり

じゃがいも菜の花(犀川)田植えグリーンピースアスパラガスワラビたけのこしいたけ

初代川の上流今川沿いの花見

今川のホタル蛇渕キャンプ場(水遊び・マイナスイオン)

八畳岩(八景山) ひまわり(崎山)カブトムシ

バードウォッチングセミカワセミほおずき

そうめん流し

麦なすびきゅうりトマト梨ブドウ(巨峰)大豆イチジクブルーベリー

本庄池(カヌー・ヨット)かじか蛙 やな漁

かき氷アライグマアナグマタヌキ

花菖蒲(菖蒲園) コスモス街道

秋月藩士墓前祭

勝山米・伊良原米・蛇渕米ジャンボ落花生

こんにゃくきのこミョウガそばカブムラサキ豆の天ぷら柿

ナスの辛子漬け 胡椒粕漬け帆柱茶干し柿

滝遊び(鳴滝)

ほたるの里公園

桜(仲哀公園・千女房・本庄池) えびね モミジ初日の出

渡り鳥

七夕 BBQ 花火大会生立神幸祭

神楽

たけのこ祭り(諌山) ひまわり祭り(崎山)蔵開き花しょうぶ祭り(菖蒲園)招魂祭(護国神社) いも・ジャンボ落花生掘り三重塔祭り

ほたる祭り 産業祭(犀川)どんど焼き

七草寒茶作り(帆柱)

銀杏みかん

酒(仕込み)

今川ウォーク

イノシシシカ

三十田橋(崎山)

平成筑豊鉄道沿線の景色

然自

事行

物産農

食存保

他のそ

平均最高気温平均気温平均最低気温

大原八幡神幸祭カキ祭り

醤油(仕込み) 梅干し ぬかみそ炊き シソの葉

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「第2次みやこ町総合計画」における観光振興施策KPI

施策項目 指標 KPI(H26→H32)

特産品を活かした魅力づくりを推進する

PRイベントの出品産物数 17品 → 30品

特産品の開発数(累計) 5品 → 8品

観光を振興する

ボランティアガイド育成数 0人 → 3人

自然散策・ウォーキングイベント開催数 0回 → 3回

体験型観光事業の実施回数 1回 → 3回

町主催イベントの交流人口 30,000人 → 40,000人

「みやこ町 まち・ひと・しごと創生総合戦略」における観光振興施策KPI

施策項目 指標 KPI(H26→H31)

観光振興の地域一体型組織体制を確立する ボランティアガイドの人数 0人 → 10人

農林業や自然・文化・歴史資源を活用した観光商品を開発する

自然散策・フットパス等の参加者数 0人 → 300人

体験型観光の参加者数 50人 → 500人

観光情報発信力を強化する

観光入込客数 1,169千人(H25年) → 1,200千人

町の観光・歴史ページアクセス数 82,358件 → 100,000件

みやこ町宣伝隊員数 0人 → 20人

みやこ町フェイスブックのファン数 1,153人 →  3,000人

観光客の受け入れ基盤を整備する 宿泊観光客数 4,450人 →  7,000人

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(3)観光入込客の動向 6

①観光入込客の推移  観光入込客数(上図)は、平成23年から27年でやや減少しています。月別(下図)では、平成25年から平成27年の3年間は同様の傾向が見られ、8月が最も多く、1月が最も少ない入込客数となっています。

福岡県観光入込客推計調査(福岡県商工部)を基に作成6

16

観光入込客の推移

(千人)

1,100

1,150

1,200

1,250

1,300

H23年度

H24年度

H25年度

H26年度

H27年度

1,204

1,1801,169 1,164

1,178

月別入込客の状況

(千人)

30

60

90

120

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

H25年度H26年度H27年度

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②施設別利用状況  施設別利用状況は、国分寺三重塔、みやこ町歴史民俗博物館、みやこ町総合観光案内所、蛇渕キャンプ場について調査しています。

 全体(上図)で見ると国分寺三重塔、みやこ町歴史民俗博物館は概ね横ばい、みやこ町総合観光案内所、蛇渕キャンプ場については減少傾向が見られます。

 月別(下図)でみると夏季(8月)の蛇渕キャンプ場が、3,332人で最も多い入込客数となっています。

17

月別利用状況(H27年度)

(人)

0

1,000

2,000

3,000

4,000

1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月

国分寺三重塔みやこ町歴史民俗博物館みやこ町総合観光案内所蛇渕キャンプ場

施設別利用状況

(人)

0

3,000

6,000

9,000

12,000

H23年度

H24年度

H25年度

H26年度

H27年度

国分寺三重塔みやこ町歴史民俗博物館みやこ町総合観光案内所蛇渕キャンプ場

改修工事により休館

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(4)来訪者の特徴

 平成28年度の「直売所・主要観光施設アンケート調査」 では、町内の3カ所の直売7

所、2カ所の飲食店、みやこ町歴史民俗博物館で来訪者のアンケート調査を実施しています。みやこ町の来訪者には以下のような特徴が見られます。

①住まい  「京築地域」が43.4%と最も多く、次いで「北九州地域」(27.7%)、「筑豊地域」(23.4%)と続き、京築エリアを中心としたみやこ町周辺からの来訪者が多くなっています。

②年齢層  「60代」(28.0%)、「70代以上」(25.3%)と60代以上が全体の53.3%を占めています。次いで「50代」(18.6%)、「40代」(10.8%)となっています。

平成28年度 みやこ町観光振興(DMO推進等)事業により実施7

18

0.5%

4.9%

23.4%

27.7%

43.4%京築地域(町外)北九州地域(京築地域除く)筑豊地域福岡地域筑後地域

1.7%

6.1%9.6%

10.8%

18.6%25.3%

28.0%

60代70代以上50代40代30代20代10代

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③来訪形態  「夫・妻」が33.4%と最も多く、次いで「ひとり」(24.1%)、「友人・知人」(16.2%)の順で多くなっています。

④来訪頻度  「月に1~2回」が39.8%と最も多く、次いで「週に1~2回」(28.2%)、「年に1~2回」(17.1%)の順で多くなっています。「今回が初めて」と回答した方は5.8%と少ない傾向がみられます。

⑤来訪手段  94.7%と多くの方が自家用車で来訪していることがわかります。

19

7.0%3.3%

3.6%6.1%

6.2%

16.2%

24.1%

33.4%夫・妻ひとり友人・知人子ども親夫・妻・子ども職場の人その他

4.1%4.9%

5.8%

17.1%

28.2%

39.8% 月に1~2回週に1~2回年に1~2回今回が初めて週に3~4回ほぼ毎日

2.4%

2.9%

94.7%

自家用車自転車その他

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(5)認知度とイメージ

 平成28年度の「みやこ町認知度調査」 では、全国の20代から60代の男女3,000人8

(九州1,000人、関東1,000人、関西1,000人)を対象にインターネットによる認知度調査を実施しました。みやこ町の認知度やイメージには以下のような特徴が見られます。

①認知度  全体(左図)では、「知らない」が78.8%と最も多く、次いで「知っている」(11.1%)、「大体知っている」(10.1%)となっており、知らない方が全体の約8割を占めています。

 地域別(右表)でみると、北九州市では、「知らない」(32.0%)、「大体知っている」(30.0%)、「知っている」(38.0%)となっており、比較的近隣の北九州市でも「知らない」との回答が32 . 0%を占める結果となっています。大分県では、「知らない」(63.0%)、「大体知っている」(13.0%)、「知っている」(24.0%)。関東では、「知らない」(91.8%)、「大体知っている」(4.1%)、「知っている」(4.1%)。関西では、「知らない」(92.9%)、「大体知っている」(3.3%)、「知っている」(3.8%)という結果となっています。

平成28年度 みやこ町観光振興(DMO推進等)事業により実施8

20

全体

78.8%

10.1%

11.1%

知っている大体知っている知らない

地域別(%)

知っている 大体知っている 知らない

福岡市 (N=300) 23.3 27.0 49.7

北九州市 (N=300)

38.0 30.0 32.0

大分県 (N=100)

24.0 13.0 63.0

関東 (N=1000)

4.1 4.1 91.8

関西 (N=1000)

3.8 3.3 92.9

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②町のイメージ  「特に無し」が全体の45.9%と最も多く、次いで、「田舎」(23.3%)、「自然が豊か」(20.6%)、「歴史がある」(16.6%)、「景色がきれい」(12.2%)、「史跡が多い」(11.1%)となっています。

(6)満足度と来訪先

①来訪経験者の満足度  「特に満足した点はない」(30.5%)、次いで「景勝地、観光施設の魅力」(29.7%)、「地元ならではのグルメ」(19.0%)の順となっています。

21

特になし田舎

自然が豊か歴史がある景色がきれい史跡が多い

街並みがきれい交通が不便

新鮮な野菜がある人が優しい・温かみがある魅力的な工芸品があるおいしい食べ物がある観光スポットが豊富

神秘的アウトドア体験が楽しめる魅力的な旅行商品が多い

その他

(%)

0.32.12.33.15.36.56.98.08.18.810.111.112.2

16.620.623.3

45.9

特に満足した点はない景勝地、観光施設の魅力地元ならではのグルメ

観光地での案内・説明表示地元ならではのお菓子、スイーツ

お土産品の品数や質観光地での現地ガイド

観光パンフレットの充実度町民のおもてなし

体験メニューやイベントの充実度宿泊施設のサービス

その他

(%)

1.45.46.57.910.012.212.514.016.119.0

29.730.5

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②来訪先  1回以上みやこ町を訪れたことがある方の訪問先は、「豊前国分寺・三重塔」(21.5%)が最も多く、次いで「八景山自然公園」(17.2%)、「ほたるの里公園」(16.5%)、「豊津花菖蒲公園」(16.1%)となっています。

22

豊前国分寺・三重塔

八景山自然公園

ほたるの里公園

豊津花菖蒲公園

豊前国府跡公園

みやこ町総合観光案内所

花しょうぶまつり

蛇渕キャンプ場(蛇渕の滝)

その他

国府の郷

みやこ町歴史民俗博物館

林龍平酒造場

採れたて市場

綾塚古墳・橘塚古墳

思永館・黒門

生立八幡神社(山笠・大楠)

本庄池(犀川公園)

千女房のヤマザクラ

よってこ四季犀館

夏まつり

京築神楽

産業祭

障子ヶ岳

甲塚方墳

愛郷音楽祭

永沼家住宅

蔵持山

(%)

2.9

2.9

3.2

4.7

5.0

6.8

6.8

7.2

7.2

7.5

7.5

7.5

7.9

9.0

10.0

10.8

11.1

11.5

11.8

13.3

14.0

14.0

15.1

16.1

16.5

17.2

21.5

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(7)観光資源への興味・関心

①興味・関心  全体では、「興味・関心がある」との回答に比べ「興味・関心は無い」との回答の割合が多い結果となっています。個別では、「みやこ町の八景山からは、天候が良ければ、大分県国東半島や由布岳、山口県宇部市方面まで見渡すことができる」(38.1%)が最も多く、次いで「九州でも数少ない木造の層塔『三重塔』が豊前国分寺跡に建っている」(34.8%)、「みやこ町には、綾塚・橘塚といった巨大な石室を持つ古墳がある」(33.5%)、「神楽などの特色ある民俗芸能が伝承されている」(29.4%)となっています。

23

A

B

C

D

E

F

G

H

I

J

K

L

M

N

O

PQ

R

S

T0% 25% 50% 75% 100%

89.0%86.2%

83.9%

83.7%

83.2%

81.9%

80.2%

77.9%

75.0%74.2%

73.6%

71.9%

71.5%

71.2%

71.1%

71.0%70.6%

66.5%

65.2%

61.9%

11.0%13.8%

16.1%

16.3%

16.8%

18.1%

19.8%

22.1%

25.0%25.8%

26.4%

28.1%

28.5%

28.8%

28.9%

29.0%29.4%

33.5%

34.8%

38.1%

興味・関心がある 興味・関心はない

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記号 選択項目

A みやこ町の八景山からは、天候が良ければ、大分県国東半島や由布岳、山口県宇部市方面まで見渡すことができる。

B 九州でも数少ない木造の層塔「三重塔」が豊前国分寺跡に建っている。

C みやこ町には、綾塚・橘塚といった巨大な石室を持つ古墳がある。

D 神楽などの特色ある民俗芸能が伝承されている。

E みやこ町には、希少な自生シャクナゲやブナ林がある。

F みやこ町の林龍平酒造場は、京築地区(福岡県行橋市・京都郡・築上町・豊前市)で唯一の造り酒屋である。

G 「みやこ」という地名は、景行天皇が仮の宮を置いたという日本書紀の記述に由来している。

H みやこ町内には、古代に大宰府と宇佐を結ぶ道が通っていた。

I 町立博物館には、国内有数の漱石コレクションや、国府・国分寺出土資料等特色ある所蔵品がある。

J 蛇渕キャンプ場は、福岡県森林浴100選にも選ばれた。

K みやこ町鳥獣害加工施設では、みやこ町で獲れた「いのしし」と「しか」の肉を、ガイドラインに基づいて衛生的に加工処理を行い出荷している。

L 迫力ある山笠が呼び物の「生立八幡宮神幸祭」が毎年5月に開催される。

M 夏目漱石著「三四郎」のモデルとなった小宮豊隆氏が生まれ育った。

N みやこ町にある「蛇渕キャンプ場」は、年間を通して利用できる。

O 明治時代の初めに豊津藩・豊津県が設置された。

P 県立育徳館高等学校は250年以上の歴史がある。

Q みやこ町の面積は約151㎢で、町としては、福岡県内で最大の町である。

R みやこ町の愛郷音楽祭は、東京芸術大学および同大学OBとコラボレーションして実施している。

S 日本電気株式会社(NEC)創業者、岩垂邦彦が生まれ育った。

T 法政大学の初代学長、松室致はみやこ町出身である。

● みやこ町認知度調査 選択項目

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2. 課題と展望

(1)現状

 合併から10年余りしか経過していないこともあってか、みやこ町の認知度は全体的に高くありません。比較的近隣の北九州市においても認知度が70%程度で、「みやこ町」という町名がいまだ浸透していない現状があります。

 しかし、来訪者アンケート調査や認知度調査のデータが示すように、「日本書記」に由

来し、歴史の古さや文化的な風土を想起させる「みやこ町」という町名自体、観光振興のツールとして機能する可能性を有しています。また、歴史・文化系の観光資源が豊富で、認知度も相対的に高く、住民もそれを町の「強み」と感じています。他にも、蛇渕キャンプ場でのレジャーや、旬の農産物といった食の魅力を求めて来訪する観光客も多く、中でもフルーツ狩りの体験や、旬の料理が味わえる農家レストランは人気の高い施設です。

 豊津、勝山、犀川にある物産直売所は地域の特色を活かして集客力はあるものの、今後、周辺地域に開設予定の直売所等と競合が予想され、集客力の維持・発展のために、より戦略的なマーケティングミックス(製品戦略、価格戦略、流通戦略、コミュニケーション戦略)が必要です。

(2)観光まちづくりに向けた課題

これまでの現状からみえる観光まちづくりに向けた課題をまとめると以下のとおりです。

1.意識づくり  みやこ町では、これまでも各種施策により、観光客誘致の取り組みを行ってきましたが、観光振興に特化した計画が無かったこともあり、必ずしも体系的な施策を行うに至っていませんでした。また対外アピールや観光振興に対する町民への意識、観光客を受け入れる「おもてなしの心」の醸成もこれからの課題です。そこで、まずは町民が日常の暮らしの中でみやこ町を知り、誇り、その上で観光客を受け入れる気運を整えてゆくことが重要です。

25

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2.魅力アップ  みやこ町の観光資源は、歴史・文化、自然、食の3つに大きく分けられますが、いずれも全国的に認知されるような資源となるには至っていません。観光資源の魅力アップのためには、各々の観光資源の魅力をPRすることはもちろん、複数の観光資源をテーマごとに設定された観光ルートでつなぎ、その相乗効果によって魅力をアップさせることが有効と考えられます。また体験型の観光メニューにより、住民との触れ合いのなかで、観光資源を五感で感じる試みも、その魅力を創出するのには有効です。

3.PR戦略の展開  前述のように、現状においては、近隣地域である北九州市においても、みやこ町の認知度は70%程度です。PR戦略の第一歩として、まずは、後述の顧客ターゲットとする地域の方々を主な対象に、みやこ町の扉の前に立っていただくこと、つまり、まずはみやこ町の基本的な情報(町名、位置等)を周知・広報することが大切です。そのためには、あらゆるメディアを通じて、絶えずみやこ町の「露出度」を高めてゆくPR活動が何よりも重要と考えられます。それと同時並行して、あるいはその次のステップとして、みやこ町の扉を開けていただくこと、つまり、より具体的なみやこ町の魅力を発信して、観光に来ていただけるよう、ニーズを見極めながら戦略的にアピールを行う事が重要です。

4.施設・体制の整備  みやこ町には、唯一の宿泊施設として、通年利用可能な町営蛇渕キャンプ場「清流の郷帆柱」がありますが、老朽化の解消や、身体障がい者・高齢者の方々も利用しやすくするために施設・設備の見直しが必要です。また、今後は住宅宿泊事業法(民泊新法)にもとづいた農村民泊の普及・促進も必要と考えます。観光振興に向けた基盤の整備としては、現在任意団体であるみやこ観光まちづくり協会について、近い将来における法人化を検討する必要があります。また、「けいちくDMO(仮称)」等による広域連携の動きにも積極的に関わってゆくことが大切です。

26

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4章基本理念と 施策の方向性

ひまわり畑(みやこ町犀川崎山)久松 博志 氏 撮影

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4章 基本理念と施策の方向性

1. 基本理念

「観光プラス」の発想で 観光客と住民が 互いに価値を創造するまち みやこ

28

観光プラスとは、非日常を求めて来訪する観光客と、そこで日常生活を営む住民の、双方に意味のあることや価値を求めてゆこう、という発想です。例えば文化芸術活動の推進、生きがいづくりといった各種施策に、観光というエッセンスを加えて、観光客と住民の双方が参加し、体験し、ふれあう試みを考えてゆこう、ということです。観光客はもちろん、住民へのメリット(価値)を志向して観光施策を展開します。

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2. コンセプト

 基本理念から導き出されるコンセプトは以下のとおりです。

「観光客と住民が」共に…

1. 魅力を知る、考える、伝える  観光プラスの発想で、町民自らがみやこ町の魅力を知ること、考えることは、まちづくりの根本である「誇り(シビックプライド )」の醸成につながります。みやこ町にどのよ9

うな観光資源があるのかを知らなければ、観光客に来ていただきたい、見ていただきたいという気持ちは起こりにくいことでしょう。まず必要なのは、住民自らがみやこ町の魅力を知り、その価値を考え、発信し、守ってゆくことです。また、観光客に対しては、認知度アップに向け、あらゆるメディアを通じた情報発信を行うとともに、みやこ町とのかかわりをもっていただくための仕組みづくり、受け皿づくりが重要です。

2. 新たな価値を考え、育て、伸ばす  みやこ町の魅力について、知る、考える、伝えることと同時並行または次の段階において、観光資源に新たな価値を付加する試みが必要です。観光プラスの発想で、日常生活の中に「観光=おもてなし」という視点を取り入れ、暮らしそのものが魅力的な観光資源となるような取り組みも考えられます。また、各種の体験プログラムを開発し、観光資源を五感で体験できるような仕組みづくりも、観光資源そのものの価値を高めることに大変有効でしょう。あわせて、歴史的な由緒のある「みやこ町」という町名自体、観光振興のツールとして新たな価値を創造する可能性を有しています(例えば、みやこ観光まちづくり協会が実施している「みやこさんを探せ」→ P38)。農村民泊の推進や空き家の活用、周辺市町との広域連携も、観光資源に新たな価値を付加するものです。

3. 互いを受け入れ、つながり、交流する  みやこ町の「魅力を知る、考える、伝える」、そして「新たな価値を考え、育て、伸ばす」といった試みは、観光客を受け入れるのに最も重要な「おもてなしの心」の醸成に向かい、ひいてはそれが観光客と住民が、様々な形で互いを受け入れ、つながり、交流する試みに発展することでしょう。観光プラスの発想による諸施策の核心は、「おもてなしの心=お互いを受け入れる心=お互いを思いやる心」によって、みやこ町をより一層、元気で住みよい町にすることです。これこそが観光プラスの発想による「観光まちづくり」の最終目標です。

シビックプライド(Civic Pride)とは都市に関係する人々(住み、働き、来訪する人々)が、その都市に対して持つ誇りや愛着のこと。9

29

馬ヶ岳の日の出(みやこ町犀川花熊)

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3. 基本方針

観光客と住民の、双方に意味のあることや価値を求めてゆこうとする「観光プラス」の発想を基本的な理念とし、そこから導き出された3つのコンセプト、すなわち、観光客と住民が共に「魅力を知る、考える、伝える」「新たな価値を考え、育て、伸ばす」「互いを受け入れ、つながり、交流する」を施策の方向性として、3つの基本方針を定めます。

1. 人づくり、ファンづくり  みやこ町の観光振興のために最も重要なことは、「おもてなし」の気運を醸成することです。町民自らが、町の観光資源の魅力に気づき、語り、誇り、そしてもてなす、そのような観光の担い手づくりを推進します。また、みやこ町の認知度アップのため、あらゆるメディアを通じて、絶えずみやこ町の「露出度」を高めてゆくPR活動を行います。さらには、みやこ町を訪れた観光客とのつながりを大切にし、永く「みやこファン」として、情報発信の一翼を担ってもらえるようなファンづくりを進めてゆきます。

2. 価値づくり、魅力づくり  体験プログラムの企画・運営等を通じて、みやこ町の観光資源の価値や魅力をより一層高め、観光誘客につとめます。また、「みやこ」の町名自体を観光振興のツールとして捉え、町の観光資源の一つとして新たな価値を付加します。さらには、周辺市町との連携強化や、ビジュアル・アイデンティティ 「みやこのもの」の活用等を通じて、町の観光資源の魅力を10

高めるように努めます。

3. 受け皿づくり、基盤づくり  観光客が訪れやすい町とするために、ハード面、ソフト面の受け皿づくり、基盤づくりに努めます。既存の観光施設の老朽化に対応するとともに、誰もが利用しやすい施設となるよう配慮いたします。また、農村民泊の普及・推進、観光まちづくり協会の体制整備、広域連携の強化、観光ボランティア育成等を通じて、観光客を受け入れる環境を整備します。

Visual Identity(略称VI)。ブランドの価値やコンセプトを可視化した、ブランドシンボルやロゴデザイン等のこと。10

30

上伊良原神楽(みやこ町犀川上伊良原)

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4. 誘客ターゲット

 みやこ町の来訪者調査、現状の町内観光資源、国内観光の情勢や訪日外国人旅行者の動向を踏まえ、地域、顧客、時季の各項目について、誘客ターゲットを明らかにします。

31

項目 ターゲット

地域

国内

基盤 (H30~H32)

往復4時間圏内の地域(日帰り圏内)

開拓 (~H34)

往復4時間圏外の地域(日帰り圏外)

国外 東アジア圏(九州への入国者数の多い地域)

顧客

国内

基盤 (H30~H32)

自家用車、北九州・筑豊地域、日帰り、50代~60代、夫婦

開拓 (~H34)

福岡都市圏・大分県北部、日帰りまたは宿泊、30代~40代、 夫婦または親子連れ

国外 レンタカーを利用し、周辺観光地(別府等)へ向かう立ち寄り観光客

時季

基盤 (H30~H32)

3月下旬~5月:桜、祭礼(神楽等)、新緑 10月~11月:紅葉、フルーツ狩り

開拓 (~H34)

6月~8月:ホタル、キャンプ、川遊び、夏登山 1月~3月上旬:冬キャンプ、星空観察、冬登山

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(1)地域ターゲット

 国内の基盤ターゲットは、往復4時間圏内の近隣地域とし、開拓ターゲットは、往復4時間

圏外の地域とします。観光入込客推計調査 や来訪者調査 によると、来訪者の多くは、京築11 12

エリア等の近隣地域から直売所や公園を利用する一般行楽を目的に来ています。現状では、町内の宿泊施設が蛇渕キャンプ場のみであるため、まずは近隣地域からの日帰り観光を強化します。将来的には、民泊等、宿泊客受け入れの環境整備を進め、日帰り圏外からの誘客を行います。国外のターゲットは、九州への入国者が多い東アジア圏(韓国・中国・台湾・香

港等) とします。 13

(2)顧客ターゲット

 国内の基盤ターゲットは、直売所や農家レストランへの主な来訪者である「自家用車を利

用し、北九州・筑豊地域から来訪する50~60代の夫婦」12とします。あわせて、土産品開発

や、町内周辺施設と連携して周遊企画を行い、旅行消費額アップや誘客力の強化を目指します。国内の開拓ターゲットは、「福岡都市圏・大分県北部から来訪する30~40代の夫婦または親子連れ」とし、ツーリズムプログラムや体験型イベント等の充実による誘客を目指します。国外ターゲットは、「レンタカーを利用し、周辺観光地(別府等)へ向かう立ち寄り観

光客」とします。外国人旅行者の多くは、個人ブログの旅行情報を見ており 、外国人ブロ14

ガー等による町の観光情報の発信は有効な誘客施策です。また、インバウンド対応のサイン整備やWi-Fi環境の整備等を推進します。

(3)時季ターゲット

 基盤ターゲットは、春(3月下旬~5月)・秋(10月~11月)とし、神楽等の伝統行事や、桜・新緑といった豊かな自然を活かした誘客を進めます。開拓ターゲットは、夏(6月~8月)・冬(1月~3月上旬)とし、川遊びや星空観察といった自然を楽しむ体験プログラム等を充実し、顧客開拓を行います。

平成27年 福岡県観光入込客推計調査(福岡県商工部観光局観光政策課)11

本書 第3章 1.みやこ町における観光の現状 (4)来訪者の特徴12

平成29年 九州への外国人入国者数の推移について(国土交通省 九州運輸局HP)13

平成29年 10-12月期 訪日外国人の消費動向(国土交通省 観光庁)14

32

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33

5章施策

そば畑(みやこ町勝山大久保)久松 博志 氏 撮影

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5章 施策

1. 優先施策

 具体的な施策を展開してゆく上で、優先的に推進する5つの施策を「優先施策」として位置づけます。優先施策はハード、ソフト両面でみやこ町の観光まちづくり振興施策の中心となるものです。各施策は、平成30年度より取り組みを開始し、KPIを定めてその達成を目指します。

34

観光まちづくり振興に向けた 5つの優先施策

✅ 伊良原ダムを活用した観光振興

✅ 体験型観光プログラムの開発・運用

✅ 農村民泊の普及・推進

✅ 観光ボランティアガイドの育成・運用

✅ 「みやこ」つながりプロジェクト

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✅  伊良原ダムを活用した観光振興

 平成29年度に完成する伊良原ダムは、みやこ町の新しい観光拠点として重要な役割を期待されています。完成を機に町民と観光客の交流の場となるソフト面・ハード面の環境整備を進めるとともに、最寄りの町営蛇渕キャンプ場「清流の郷帆柱」の環境整備を同時に進め、互いが連携することでレジャー地区としての賑わいを創出し、利用客数の増加を図ります。

 具体的な施策としては、湖面や周辺の自然環境を活用した体験型プログラムの開発や、旬の食材を活かしたイベント等を企画・実施してゆきます。

<例>

カヌー・カヤック体験(湖面利用) レンタルサイクルの整備 ドローンレース大会、ドローン空撮コンテストの開催 プロジェクションマッピング、灯明イベント、蛇渕の滝ライトアップ等の実施 蛇渕キャンプ場の再整備やバリアフリー化 オートキャンプ用キャンプサイトの整備 スノーキャンプ体験プログラム(冬季の集客プログラム)

【KPI】 伊良原ダム観光利用者数      → H32  20,000人/年 蛇渕キャンプ場利用者数 H28 8,200人 →  H32  10,000人/年

35

▲町営蛇渕キャンプ場「清流の郷帆柱」

▲伊良原ダム

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✅  体験型観光プログラムの開発・運用

 みやこ町の様々な観光資源を、五感で楽しむことができる体験型観光プログラムの開発・運用を行います。また、町の特性を活かした、ストーリー性のあるプログラムを積極的に開発し、観光資源の魅力アップを目指します。

 具体的な施策としては、日帰り観光を楽しめる体験プログラムを手始めに、将来的には、酒造り体験や農林業体験等を滞在型で実施するプログラムの開発を目指します。

<例>

伝統・文化体験プログラム(神楽体験等) 地元食材を使用した料理教室(勝山米の米粉パンづくり体験等) ふるさと納税の返礼品として体験プログラムを活用 酒造り体験や農家滞在体験プログラム 文化財宿泊体験プログラム 直売所を核とした旬の食材食べ歩きツアー 落ち葉あそびプログラム スポーツツーリズム (トレイルランニング等) 15

やまびこ大声コンテスト

【KPI】

体験型プログラムの数     → H32  30件

プロスポーツの観戦者やスポーツイベントの参加者と開催地周辺の観光とを融合させ、交流人口の拡大や地域経済への波及効果等を目指す取15

り組み。

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▲農業体験

▲酒造り体験

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✅  農村民泊の普及・推進

 住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づいた農村民泊の普及・推進を図り、宿泊施設の整備を進め、滞在型の体験プログラムとの連携等による集客を行います。

 具体的な施策としては、民泊に関する研修会の実施、地域活動拠点としての民泊の活用支援、「民泊サポーター」登録といった受け皿づくりを行います。

<例>

民泊を知る講座、農村民泊事例見学会 滞在型農家体験プログラムの受け入れ農家交流会 空き家DIYリノベーションワークショップ

【KPI】農村民泊の数 → H32  3件

 

✅  観光ボランティアガイドの育成・運用

 「おもてなしの心」の醸成や観光客との積極的な交流を推進するため、観光ボランティアガイドの育成・運用を行います。現在行われている教育委員会所管「文化遺産ボランティア講座」や、観光まちづくり協会主催「みやこ観光まちづくり講座」等の成果を継承し、実施してゆきます。

 具体的な施策としては、観光資源の魅力を学ぶ講座のほか、観光客へのおもてなしの作法やスピーチテクニックといった多岐にわたる研修を行い、人材の育成を図ります。

<例>

みやこ観光まちづくり講座 観光ボランティアコース インバウンド対応外国語講座 音声翻訳アプリ使い方講座

【KPI】 観光ボランティアガイドの育成数  → H32  30人

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✅  「みやこ」つながりプロジェクト

 「みやこ」という町名は、歴史・文化が豊かというイメージを想起させるものです。このみやこの名称自体を観光振興のツールとして捉え、観光客と町とを結ぶものとして有効活用し、みやこ町の認知度アップにつなげます。

 具体的な施策としては、みやこ観光まちづくり協会が行っている「みやこさんを探せ」をより充実させるほか、歴史的な縁のある「京都」の慈照寺(銀閣寺)との交流等を通じて、「みやこ」の認知度向上を図ります。

<例>

全国「みやこさんサミット」の開催 銀閣寺との協働プロモーション

【KPI】 「みやこさん」登録者数 H29  6人 → H32  100人

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▲「みやこさんを探せ」 (みやこ観光まちづくり協会)

▲みやこのものEXPO2017での 「みやこさんを探せ」イベント

▲「みやこさん」会員証

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2. 施策例の体系

  基本理念の実現に向け、基本方針をふまえた施策の方向性を体系的に整理します。

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・ 観光ボランティアガイドの育成・運用• わが町を「知る•考える•伝える」講座

• 観光クリーンアップ活動• 子ども向け郷土学習プログラムの実施

•「みやこのお宝」発掘活動• 来訪者に聞く「みやこファンから見た町の魅力」ワークショップの開催• インバウンドから見た町の魅力に関するヒアリング調査の実施

• 体験型観光プログラムの開発・運用• 既存資源を活用した観光ストーリーの開発• VI「みやこのもの」を活用したブランド商品の開発• 平成筑豊鉄道を活用した鉄道ファン向けの観光プログラムの開発

• 既存イベントの魅力向上• 都市圏での観光PRイベント

・ 「みやこ」つながりプロジェクト  • 先進テクノロジーを活用した観光 コンテンツの開発• 公共交通機関の駅等への観光 パンフレットの設置

• ブログや SNSを活用した情報発信• 歴史•文化系の観光資源を活かした ファンづくりの推進• 家族連れや若者をターゲットにした ファンづくり

•「地域間交流 +観光」イベント• みやこファンクラブの発足 

施策例 目指すところ短期(H30~H32) 中•長期(~H34)

<シビックプライドの醸成>

<新たな価値・魅力を引き出す>

(1)「誇り」の醸成 / 担い手づくり

(3)交流

(6)誘客活動

(2)認知度アップ / ファンづくり

(4)観光資源の発掘

(5)観光商品の開発

りくづ人

りくづ値価

りくづ力魅

・ 伊良原ダムを活用した観光振興・ 農村民泊の普及・推進

• 情報インフラの整備(多言語化推進)• 観光情報コーナーの設置

• DMO形成を見据えた組織の検討

• けいちくDMO(仮称)を見据えた広域連携の推進 • 観光事業者等との連携推進

(7)受け入れ環境の整備

(8)連携強化りくづ皿け受

りくづ盤基

、りがなつ、れ入け受をい互が民住と客光観

ちまるす流交

ちまるれ溢が力魅・値価るす訪来

針方本基

こやみ ちまるす造創を値価 にい互が民住と客光観 で想発の」スラプ光観「

「おもてなしの心」が溢れるまち

(緑字は優先施策を示す)

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3. 施策の具体例

(1)「誇り」の醸成 / 担い手づくり

例1 わが町を「知る・考える・伝える」講座  「知る・考える・伝える」をテーマに学習講座を実施し、みやこ町の歴史・文化等を学び、シビックプライドを醸成。

「わが町の文化遺産」講座 「みやこ自然塾」講座 「観光おもてなし」講座

例2 観光クリーンアップ活動  観光スポット等の清掃活動を通じて、美しい町並みづくりや景観づくりを町民が主体的・日常的に行うような気運の醸成。

地域住民参加の観光スポットクリーンアップ作戦の開催

例3 子ども向け郷土学習プログラムの実施  座学やフィールドワーク等の郷土学習プログラムを実施し、子どもたちの、郷土に対する誇りを育成。

学校と連携した郷土学習の実施 子ども郷土史学校の開催 昔あそび体験講座 地域の観光ネタを紹介するこども観光まちづくり新聞の発行

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▲みやこ観光まちづくり講座のPRチラシ (平成28年度)

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(2)認知度アップ / ファンづくり

例1 先進テクノロジーを活用した観光コンテンツの開発  ドローンのような先進テクノロジーを積極的に活用し、インパクトやライブ感のある観光プロモーションコンテンツや観光プログラムの開発。

ドローンによる空中散歩プロモーション

VR やAR を活用した観光案内ツールの開発 16 17

例2 公共交通機関の駅等への観光パンフレットの設置  町外の主要な公共交通機関の駅等(行橋駅、小倉駅、博多駅、福岡空港、北九州空港等)に観光パンフレットを設置し、町の認知度をアップ。

例3 ブログやSNSを活用した情報発信  ブログやSNSを活用し、体験イベントや撮影スポット等の観光情報の発信を行い、来訪者やフォロワーの増加を図る。

例4 歴史・文化系の観光資源を活かしたファンづくりの推進  みやこ町は、歴史・文化系の観光資源が豊富で、認知度も相対的に高く、住民もそれを町の「強み」と感じています。これらの資源を好む愛好家向けの観光プログラムを実施。

博物館バックヤードツアー 幕末維新墓地めぐりツアー

例5 家族連れや若者をターゲットにしたファンづくり  家族やカップルで楽しめる観光プログラムや、期間限定イベント等を実施し、若い年齢層にもファンを拡大。

蛇渕の滝、桜等のライトアップイベント 女子旅(観光農園でのフルーツ狩り等の企画)

Virtual Realityの略。仮想現実と訳され、コンピュータにより作られた現実感を伴う仮想的な世界のことを指す。16

Augmented Realityの略。拡張現実と訳され、現実世界の物事に対してコンピュータによる情報が付加された世界のことを指す。17

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▲ドローン動画 (みやこ観光まちづくり協会)

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(3)交流

例1「地域間交流+観光」イベント 姉妹都市提携を結んでいるハワイ島や、交流実績のある国々をはじめ、国内では歴史的に縁のある銀閣慈照寺(京都)、会津若松市、福岡県朝倉市秋月等との観光振興に関する相互連携。

例2 みやこファンクラブの発足  「みやこ町にゆかりや愛着のあるひと」は、だれでも入会できるみやこファンクラブを発足。みやこ町と関わりを持つ人を増やし、交流人口を拡大。

(4)観光資源の発掘

例1「みやこのお宝」発掘活動  まだあまり知られていない町内の景観スポットや、パワースポット等の口コミ情報の収集。個人ブログやSNS等で話題になっている観光スポット(例えば、苔が美しい国内の観光スポット10選等)を調べ、本町にこれと類似した資源があれば観光資源化を検討。

みやこ観光お宝発掘隊結成 個人ブログやSNS等の調査

例2 来訪者に聞く「みやこファンから見た町の魅力」ワークショップの開催  農家レストラン、直売所のリピーター客等に、町の魅力を語ってもらうワークショップを開催。来訪者のニーズを把握し、マーケットイン の視点で観光資源を発掘・商品化。 18

例3 インバウンドから見た町の魅力に関するヒアリング調査の実施  国際交流協会のイベント参加者や来町した外国人観光客に対し、町の魅力やニーズに関するアンケートやヒアリング調査の実施。また、国ごとにニーズを把握し、インバウンドのターゲット戦略の基礎資料とする。

市場や購買者という買い手の立場に立って、買い手が必要とするものを提供してゆこうとすること。18

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▲ みやこ町国際交流協会の活動

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訪日外国人へのヒアリング調査・報告会 インバウンドターゲットの検討会議

(5)観光商品の開発

例1 既存資源を活用した観光ストーリーの開発  既存の観光資源を、これまでとは違う別の角度から見直し、新しい価値を付加。例えば、山伏を疑似体験する「峰入り 体験」等、観光客がその世界観に引き込まれるような19

観光プログラムを開発し、既存資源の新しい魅力を創出。

修験道「峰入り」体験 秋月の乱戦跡ウォーク

例2 VI「みやこのもの」を活用したブランド商品の開発  「みやこ町観光振興(DMO推進等)事業」(平成28年度)で作成したビジュアル・アイデンティティ「みやこのもの」を活用し、みやこ町オリジナルブランド商品を開発。既存商品のブラッシュアップや、加工品開発等を行い、ブランド商品として販売。

例3 平成筑豊鉄道を活用した鉄道ファン向けの観光プログラムの開発  平成筑豊鉄道を活用した観光商品として、鉄道ファンをターゲットにした観光プログラムを開発。

修験者が霊山に入り修行すること。19

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▲VI「みやこのもの」 ▲粉末ゆず胡椒パッケージ(試作)

▲山伏体験

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鉄道員体験プログラム 平成筑豊鉄道年間カレンダー制作プログラム 平成筑豊鉄道沿線八十八箇所寺社院めぐり

(6)誘客活動

例1 既存イベントの魅力向上  観光資源の発掘や、観光商品の開発等の成果を既存のイベント(花しょうぶまつり、夏まつり、産業祭等)で紹介し、その魅力と価値の向上を目指す。

観光ボランティアガイドの実践体験 移動式観光PRブースの製作・設置 模擬体験プログラムの実施

例2 都市圏での観光PRイベント  近隣都市圏の主要駅等で、観光PRイベントを実施し、みやこ町の認知度アップを図り、来訪者増加を目指す。特産品の試食アンケート等のマーケティング調査や、体験型観光プログラムのPRと参加募集等も行う。

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▲みやこのものEXPO2017(博多駅前広場)

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(7)受け入れ環境の整備

例1 情報インフラの整備 (多言語化推進)  インバウンド対応のサイン整備や、Webや観光案内アプリ等の情報インフラ整備等を推進。

Wi-Fi環境の整備 多言語対応の観光案内アプリ 観光案内サインの整備

例2 観光情報コーナーの設置  来訪者の多い施設や観光地に観光情報コーナーを設置。

直売所や蛇渕キャンプ場等に観光情報コーナーを設置。

例3 DMO形成を見据えた組織の検討  DMO形成を見据え、その基礎となる官民一体の推進体制を検討。

(8)連携強化

例1 けいちくDMO(仮称)を見据えた広域連携の推進  けいちくDMO(仮称)の設立等、広域連携の推進を見据え、周辺市町と連携。

例2 観光事業者等との連携推進  旅行事業者や、交通事業者と情報交換や企画立案を行うフレームづくりを検討。

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▲多言語パンフレット (みやこ観光まちづくり協会)

▲観光アプリイメージ

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6章推進体制

生立八幡宮神幸祭(みやこ町犀川生立)久松 博志 氏 撮影

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6章 推進体制

観光まちづくりの推進体制

 観光まちづくりを戦略的に進めるため、施策の検討・評価・検証を行ってゆくには、行政と民間、観光関係者、その他関係団体が協働する組織が必要です。そのため、観光に関わる複数の団体等によって協議会「みやこ町観光プラス協議会(仮称)」を設置し、観光まちづくり事業について、PDCAサイクル の手法を用いる等して推進します。 20

みやこ町観光プラス協議会(仮称)のイメージ

・観光まちづくり振興計画の検証(KPI達成状況の確認等)

・観光まちづくり施策の提言

plan-do-check-act cycle の略。Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Act(改善)の4段階を繰り返すことによって、事業活動等に20

おける生産管理や品質管理等の管理業務を円滑に進める手法の一つ。

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みやこ町観光プラス協議会(仮称)

みやこ観光まちづくり協会

行政

町民

商工業

交通事業者

学識経験者

農林業

飲食店町 民

行 政

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資料編

資料1:みやこ町観光まちづくり振興計画策定の経緯・経過

日程 主な議題等

平成28年11月~ 平成29年2月

「みやこ町観光振興(DMO推進等)事業」(みやこ観光まちづくり協会)による直売所・主要観光施設アンケート調査を実施

平成29年2月「みやこ町観光振興(DMO推進等)事業」によるみやこ町認知度調査を実施

平成29年10月18日

第1回みやこ町観光まちづくり振興計画策定委員会 1.委員委嘱、委員長・副委員長の選出 2.委員会の位置づけと役割説明 3.策定スケジュールの紹介 4.上位計画・調査等の概要説明 5.みやこ町観光資源の紹介 6.計画の基本理念・ビジョンの検討・評価 7.次回基本方針・具体的施策に向けた課題等の整理

平成29年11月22日

第2回みやこ町観光まちづくり振興計画策定委員会 1. 基本理念、基本方針改訂案の検討・評価 2. 誘客ターゲット設定の検討・評価 3. 施策メニューの検討・評価

平成29年12月26日

第3回みやこ町観光まちづくり振興計画策定委員会 1.基本理念、基本方針の検討・評価 2.誘客ターゲット設定の検討・評価 3.施策メニューの検討・評価 4.推進施策例、KPIの検討・評価 5.施策のマネジメント(推進の方向性・推進体制等)の検討

平成30年1月29日第4回みやこ町観光まちづくり振興計画策定委員会 観光まちづくり振興計画素案の検討・評価

平成30年2月20日~ 平成30年3月19日

みやこ町観光まちづくり振興計画(案)パブリックコメント実施

平成30年3月22日第5回みやこ町観光まちづくり振興計画策定委員会 1. パブリックコメントの実施報告 2. みやこ町観光まちづくり振興計画(案)を町へ提出

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資料2:みやこ町観光まちづくり振興計画策定委員名簿

役職名 氏名 所属

委員長 岡田 知子 西日本工業大学デザイン学部 教授

副委員長 林 龍平 林龍平酒造場 代表

委員

市岡 清美 みやこ観光まちづくり協会 理事

大宮 誠 福岡県観光連盟 国内観光誘致課長

木下 祐史 みやこ町商工会青年部 部長

相良 貴志 西日本シティ銀行 行橋支店 副支店長

迫田 繁充 平成筑豊鉄道株式会社 常務取締役

福田 忠昭 ローカルアンドデザイン㈱ 代表取締役 小郡市景観審議会委員

水上 斗夢 みやこ町地域おこし協力隊

森 昭文 よってこ四季犀館 所長

任期:委嘱の日から平成30年3月31日まで

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(五十音順・敬称略)

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みやこ町観光まちづくり振興計画

発行年月:平成30年3月 発行:みやこ町 〒824-0892 福岡県京都郡みやこ町勝山上田960番地 TEL:0930-32-2511 FAX:0930-32-4563 HP:http://www.town.miyako.lg.jp