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月周回有人拠点(Gateway)概要 別紙1 月を南北に回る月長楕円極軌道 (近月点:約4,000km、遠月点:約75,000kmNear Rectilinear: ほぼ直線) 軌道面は常に地球を向いているため、地球と の通信は常時確保される。 地球からの到達エネルギーが月低軌道まで 70%程度であり、輸送コストが比較的小さい。 月の南極の可視時間が長く、南極探査の通信 中継としても都合がよい。 Near Rectilinear Halo OrbitNRHO軌道) 国際宇宙ステーション(ISS)に続く、米国、カナダ、日本、欧州、ロ シアの協力で開発が計画されている月周回の有人拠点。 規模はISSの約1/7程度。 月面・月近傍探査ミッションの支援、深宇宙環境を利用した科学実 験(超小型探査機放出を含む)、月以遠探査へ向けた準備(技術実証、 デモンストレーション)等を目的とする。 2022年から組み立て開始、 2024年にはフェーズ1、2028年には フェーズ2の形態が完成予定。年1回有人ミッション、無人補給ミッ ションが計画されている。 20191018日に開催された宇宙開発戦略本部会議において、日本 の参画方針を決定。日本として生命維持等有人滞在技術や深宇宙補 給技術での貢献を予定。 フェーズ12024年完成形態 フェーズ22028年完成形態 ISSと同様に、Gatewayから超小型探査機を放出する 機能を搭載し、1U~最大50kg級 の超小型探査機を搭 載することを検討中。 NRHO軌道等の月周回軌道以外に、月面衝突軌道や 火星遷移軌道等 にも投入可能。 火星遷移軌道投入には自らの加速(数100m/sec以上のΔV)が必要

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Page 1: 別紙1 月周回有人拠点(Gateway)概要 - JAXAstage.tksc.jaxa.jp/compe/jouhou/FY2019-0240.pdf別紙1 月周回有人拠点(Gateway)概要 月を南北に回る月長楕円極軌道

月周回有人拠点(Gateway)概要別紙1

◼ 月を南北に回る月長楕円極軌道(近月点:約4,000km、遠月点:約75,000km)(Near Rectilinear:ほぼ直線)

◼ 軌道面は常に地球を向いているため、地球との通信は常時確保される。

◼ 地球からの到達エネルギーが月低軌道までの70%程度であり、輸送コストが比較的小さい。

◼ 月の南極の可視時間が長く、南極探査の通信中継としても都合がよい。

Near Rectilinear Halo Orbit(NRHO軌道)⚫ 国際宇宙ステーション(ISS)に続く、米国、カナダ、日本、欧州、ロシアの協力で開発が計画されている月周回の有人拠点。

⚫ 規模はISSの約1/7程度。⚫ 月面・月近傍探査ミッションの支援、深宇宙環境を利用した科学実験(超小型探査機放出を含む)、月以遠探査へ向けた準備(技術実証、デモンストレーション)等を目的とする。

⚫ 2022年から組み立て開始、 2024年にはフェーズ1、2028年にはフェーズ2の形態が完成予定。年1回有人ミッション、無人補給ミッションが計画されている。

⚫ 2019年10月18日に開催された宇宙開発戦略本部会議において、日本の参画方針を決定。日本として生命維持等有人滞在技術や深宇宙補給技術での貢献を予定。

フェーズ12024年完成形態 フェーズ22028年完成形態

ISSと同様に、Gatewayから超小型探査機を放出する機能を搭載し、1U~最大50kg級の超小型探査機を搭載することを検討中。NRHO軌道等の月周回軌道以外に、月面衝突軌道や火星遷移軌道等※にも投入可能。※火星遷移軌道投入には自らの加速(数100m/sec以上のΔV)が必要

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HTV-X Gateway補給ミッション概要別紙2

⚫ Gateway への貢献として、2025年度を目標に新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)による補給ミッションを計画中。補給完了後、HTV-Xは廃棄されるが、その前に、余剰推進薬を利用して、様々な軌道に移動することが可能。放出機構を搭載することで、超小型衛星を放出することを検討中。

⚫ 定期的に補給ミッションを計画中であることから、複数回の放出機会が期待される。

HTV-Xは、Gatewayへの補給の後、廃棄軌道に入る前に、余剰推進薬を利用してGateway軌道から離れた軌道へ移動することが可能であり、1U~最大50kg級の超小型探査機を放出することを検討中。Gatewayと同様に、月面衝突軌道や火星遷移軌道等※にも投入可能。※火星遷移軌道投入には自らの加速(最低800m/secのΔV)が必要

HTV-X Gateway補給ミッション

HTV-X補給軌道

◼ 地球周回軌道から、Weak Stability Boundary(WSB)※2軌道経由で、NRHO軌道に移動する

計画。補給後、廃棄軌道に投入するが、その前に余剰推進薬によりNRHO軌道から移行して、超小型探査機の放出が可能。

※2太陽潮汐力を使った低エネルギーの遷移軌道であるが、NRHOへの到達には100日前後を要する。

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H3ロケットミッション概要別紙3

H3ロケットによる打上げで、静止遷移軌道へ、50kg級の超小型探査機の相乗り搭載を現在検討中。

H3ロケット 静止衛星の例:技術試験衛星9号機

⚫ H3ロケットでは、相乗り衛星搭載を担う民間事業者を公募選定の上、技術の民間移管を進めつつ、ペイロード選定・搭載に向けた具体的取組みを推進している。現在の計画では、ロケット1機あたり、4基の小型衛星の搭載が可能であり、うち1基分は、JAXAが衛星を選定・搭載できることとしている。(H3ロケット初号機は2020年に打上げ予定。)

⚫ 静止衛星では、H3ロケットにより静止トランスファー軌道(GTO)に投入され、衛星が静止軌道に移動する。

(静止軌道)

(長楕円軌道)

加速

◼ GTOは、遠地点約36,000kmの軌道。近地点で加速※することにより、地球から200,000km以上の距離に投入することも可能。※自らの加速が必要。

地球周回軌道(GTO)から

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SLS2ミッション概要別紙4

⚫ NASAが2022年を目標にSLSロケットの2号機でOrion宇宙船による有人ミッションを計画中。SLSロケットの1号機と同様に超小型衛星(探査機)(6U,12U)の相乗りを米国内を対象に公募する。米国以外への公募については調整中。

⚫ SLSロケットの1号機には、日本からOMOTENASHI、EQULIUUSを搭載予定であり、2号機でも同様に搭載できる可能性がある。

SLSロケット1号機と同様に、超小型探査機(6U,12U)を相乗りする調整を実施中。月遷移軌道※へ投入の機会が見込まれる。 ※下図の点線軌道

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イプシロン月周回ミッション案概要別紙5

月周回軌道(例:高度200kmの円軌道)

◼ 月周回円軌道・高度はミッションによりに任意に選ぶことが可能。

⚫ 月探査等の新たなチャレンジ領域では、特に国際競争が進んでいる。そのため、日本の産業界が参入するにあたっては月周辺での技術実証を行ったり、日本の科学コミュニティが行う科学探査に向けた新たな探査機や科学観測機器等の実証を行う必要が生じている。

⚫ 2019年1月、イプシロンロケットによる複数小型衛星を放出する革新実証ミッション1号機が打上げられ、地球周回軌道における技術実証の成果を上げた。小型月着陸実証機(SLIM)の設計を活用して、同様な取組みを月周回で行うことを検討中。

⚫ 現行のイプシロンロケットに第4段を搭載することで、50kg級の超小型探査機を月周回に投入する検討を行っている。

革新実証ミッションと同様に、超小型探査機(1U ~50kg級程度)を放出する機能を搭載したミッションを検討中。これにより、任意の月周回軌道※、月遷移軌道に投入することを検討中。※輸送機に観測機器を搭載するオプションもある

イプシロンロケット SLIM 革新実証1号機