第8回天文宇宙検定2級問題・解答第8回天文宇宙検定2級問題・解答 no. 問題...

12
第8回天文宇宙検定2級問題・解答 No. 問題 正答 解説 1 宇宙の歴史において、次の出来事は宇宙誕生からおよそ何年後 のことか。正しい組み合わせを選べ。 A:宇宙の晴れ上がり B:クェーサーの形成 C:太陽系の形成 ①A:38万年 B:1億年 C:50億年 ②A:38万年 B:10億年 C:50億年 ③A:38万年 B:10億年 C:90億年 ④A:3800万年 B:10億年 C:90億年 宇宙の晴れ上がりとは、陽子と電子が結合して水素原子 ができ、光子が電子に妨げられず長距離を進むことがで きるようになった現象で、宇宙誕生から38万年後の出来 事である。クエーサーは非常に遠方にある活動銀河核の 一種で、宇宙誕生後遅くとも10億年後からでき始めた。太 陽系はできてから50億年経っているので、宇宙誕生から はおよそ90億年後に形成された。 1 2 太陽コロナの特徴の説明で間違っているものはどれか。 ①コロナは太陽を取り巻く、100万Kほどの高温のガスである ②Cコロナは吸収線が見られないコロナで、高速運動する電離した 電子が太陽光を散乱したものである ③Fコロナは吸収線が見られるコロナで、微小な塵が太陽光を散乱 したものである ④Eコロナは高温コロナ中で電離したイオンから放出され、輝線で 光っている コロナは彩層よりさらに上空に存在する、希薄なガスの広 がりである。ガスの温度は100万Kもあり、光球や彩層より も桁違いに温度が高い。そのため、コロナのガスは原子 が電離した状態になっている。コロナはその輝き方でKコ ロナ、Eコロナ、Fコロナに呼び分けられている。吸収線が 見られないコロナはKコロナで、「連続」を意味するドイツ 語のKontinuierlichから取られており、英語のcontinuityで はない。電子は高速運動しているので、その散乱光はドッ プラー効果で吸収線がかき消されて連続光になる。Fコロ ナは吸収線(Fraunhofer線)のF、Eコロナは輝線 (Emission)のEである。 2 3 太陽系外縁天体のセドナの軌道長半径はおよそ500auである。セド ナが太陽を一周する時間はおよそどれくらいか。ただし、√ 5=2.2 とする。 ①100年 ②1000年 ③1万年 ④10万年 軌道長半径をa [au]、公転周期をP [年]とすると、ケプ ラーの第3法則よりP 2 a 3 が成り立つ。 よって、 P 500 3 =√5 3 ×10 6 =5×10 3 ×√5 =5000×2.2=11000≒1万年 となる。 3 4 天文学において用いられる色指数とは何か。 ①ベガと比べたときの星の表面温度の差 ②光の波長(単位メートル)の常用対数 ③2つの異なる色フィルターを通して測光したときの等級差 ④実視等級(見かけの等級)と絶対等級の差 恒星の表面温度を知るためには、温度に従って変化する 色を測定するのがよい。恒星の色は基本的に黒体放射 に近く、放射波長のうち2つの色域の明るさの比(すなわ ち等級の差)で示すことができる。これが色指数である。 色指数は1つの恒星について、フィルターを変えて2回観 測すれば出せるので手軽なほか、スペクトルと違って色を 細かく分解しないので、暗い星でも測定がしやすい。 4 1

Upload: others

Post on 03-Jan-2020

650 views

Category:

Documents


42 download

TRANSCRIPT

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

1 宇宙の歴史において、次の出来事は宇宙誕生からおよそ何年後のことか。正しい組み合わせを選べ。

A:宇宙の晴れ上がりB:クェーサーの形成C:太陽系の形成

①A:38万年   B:1億年  C:50億年②A:38万年   B:10億年  C:50億年③A:38万年   B:10億年  C:90億年④A:3800万年 B:10億年  C:90億年

③ 宇宙の晴れ上がりとは、陽子と電子が結合して水素原子ができ、光子が電子に妨げられず長距離を進むことができるようになった現象で、宇宙誕生から38万年後の出来事である。クエーサーは非常に遠方にある活動銀河核の一種で、宇宙誕生後遅くとも10億年後からでき始めた。太陽系はできてから50億年経っているので、宇宙誕生からはおよそ90億年後に形成された。

1

2 太陽コロナの特徴の説明で間違っているものはどれか。

①コロナは太陽を取り巻く、100万Kほどの高温のガスである②Cコロナは吸収線が見られないコロナで、高速運動する電離した電子が太陽光を散乱したものである③Fコロナは吸収線が見られるコロナで、微小な塵が太陽光を散乱したものである④Eコロナは高温コロナ中で電離したイオンから放出され、輝線で光っている

② コロナは彩層よりさらに上空に存在する、希薄なガスの広がりである。ガスの温度は100万Kもあり、光球や彩層よりも桁違いに温度が高い。そのため、コロナのガスは原子が電離した状態になっている。コロナはその輝き方でKコロナ、Eコロナ、Fコロナに呼び分けられている。吸収線が見られないコロナはKコロナで、「連続」を意味するドイツ語のKontinuierlichから取られており、英語のcontinuityではない。電子は高速運動しているので、その散乱光はドップラー効果で吸収線がかき消されて連続光になる。Fコロナは吸収線(Fraunhofer線)のF、Eコロナは輝線(Emission)のEである。

2

3 太陽系外縁天体のセドナの軌道長半径はおよそ500auである。セドナが太陽を一周する時間はおよそどれくらいか。ただし、√ 5=2.2とする。

①100年②1000年③1万年④10万年

③ 軌道長半径をa [au]、公転周期をP [年]とすると、ケプ

ラーの第3法則よりP 2=a 3 が成り立つ。よって、

P =√ 5003=√53×106=5×103×√5 =5000×2.2=11000≒1万年となる。

3

4 天文学において用いられる色指数とは何か。

①ベガと比べたときの星の表面温度の差②光の波長(単位メートル)の常用対数③2つの異なる色フィルターを通して測光したときの等級差④実視等級(見かけの等級)と絶対等級の差

③ 恒星の表面温度を知るためには、温度に従って変化する色を測定するのがよい。恒星の色は基本的に黒体放射に近く、放射波長のうち2つの色域の明るさの比(すなわち等級の差)で示すことができる。これが色指数である。色指数は1つの恒星について、フィルターを変えて2回観測すれば出せるので手軽なほか、スペクトルと違って色を細かく分解しないので、暗い星でも測定がしやすい。

4

1

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

5 次の図のA、B、Cに当てはまる組み合わせとして正しいものはどれか。

①A:白色矮星 B:褐色矮星 C:中性子星②A:褐色矮星 B:白色矮星 C:中性子星③A:中性子星 B:白色矮星 C:褐色矮星④A:褐色矮星 B:中性子星 C:白色矮星

② 分子雲の密度の濃い所で原始星が生まれる。ガスの質量が小さいと核反応が始まらず、褐色矮星となり、核反応が始まったものは主系列星となる。太陽質量の0.08~0.46倍のものはヘリウムの核が形成された後、周りの水素ガスは失われ、最後にヘリウムを主成分とした白色矮星が残る。太陽質量の0.46~8倍の場合は、赤色巨星になった後に中心核が白色矮星となる。8倍以上のものは最後の段階で重力崩壊を起こし、超新星となる。中心部には中性子星やブラックホールが残される。

5

6 銀河系の散開星団に関して間違っているのはどれか。

①星の重元素量は太陽と比べて100分の1程度である②天の川に沿って分布している③星の数は数十から数百程度である④高温の主系列星が含まれている若い天体である

① 散開星団の星の重元素量は太陽と同程度か、天体によっては、より多い場合もある。

6

7 岐阜県の神岡鉱山跡地の地下に作られたXMASS検出器は、何の検出を目的としているか。

①ニュートリノ②ガンマ線③ダークマター④重力波

③XMASSエックスマス

検出器は、約-100℃の液体キセノンを用いて

ダークマターを検出するために、岐阜県神岡鉱山跡地の

地下1000mに設置されたもので、2010年に試運転を開始

し、改良を経て2013年から観測を開始している。

7

8 紀元前433年に、19太陽年は235朔望月=12朔望月×19+7朔望月にほぼ等しいという周期を見出したギリシャの科学者は誰か。

①カリポス②ヒッパルコス③プラトン④メトン

④ 紀元前433年にギリシアの科学者メトンは、19太陽年は235朔望月にほぼ等しいという周期を見出した。これをもとにして19年で7回閏月をいれる太陰太陽暦を提案した。紀元前330年にカリポス、紀元前2世紀頃にはヒッパルコスによってよりズレが小さくなるような修正が行われた。その後、月の満ち欠けと無関係の太陽暦であるユリウス暦が古代ローマで導入され、現在では1太陽年と日付のずれがより小さいグレゴリオ暦が世界の多くの国で採用されている。

8

2

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

9 宇宙線について間違っているものはどれか。

①宇宙空間を飛び交う高エネルギーの電磁波である②超新星残骸や銀河中心、太陽などから発せられている③地上での被曝線量(自然放射線量)は、1年間で約2.4ミリシーベルトである④ISS滞在中の宇宙飛行士は、1日あたり地上での約半年分を被曝する

① 宇宙線は宇宙空間を飛び交う陽子やアルファ粒子、リチウム、ベリリウムといった高エネルギーの粒子線である。

9

10 地球上の生物について間違っているものはどれか。

①生物界は真正細菌、古細菌、真核生物の3つに大きく分けられる②粘菌も人類も同じ真核生物である③最初の光合成細菌シアノバクテリアは古細菌に分類される④単細胞生物のDNAは環状で、多細胞生物のDNAは鎖状である

③ メタン生成菌は古細菌に分類されるが、最初の光合成生物シアノバクテリアは真正細菌に分類される。

10

11 次のHR図で白色矮星を表しているものはどれか。 ④ 図の①は赤色巨星(明るいが低温の天体)、②は主系列星(大多数の星がふくまれる、HR図の帯状領域にある星)、③は褐色矮星(低温で暗く、質量が非常に小さい)、④は白色矮星(温度は高いが暗い天体)である。

4

12 質量が太陽の10倍の主系列星がある。この主系列星の寿命はどれくらいか。なお、太陽の主系列星としての寿命はおよそ100億年である。

①3000万年②30億年③300億年④3000億年

① 主系列星の寿命は、質量の2~3乗に反比例する。したがって質量が太陽の10倍の主系列星の寿命は、太陽の

寿命の1/(103)~1/(102)倍=1/1000~1/100倍となる。太陽の主系列星としての寿命が100億年であるから、この恒星の寿命は100×1/1000~100×1/100億年=1000万年~1億年となる。この中であてはまる選択肢は、①3000万年である。

5

13 最初に発見された、主系列星を公転する太陽系外惑星はペガスス座51番星である。この惑星の存在は、どのような方法で確認されたか。

①アストロメトリー法②ドップラー法③トランジット法④直接撮像法

② ペガスス座51番星の惑星の存在は、主星の分光観測によって確認された。分光観測によって得られるスペクトルのドップラー効果を測定すると、その星の視線方向の運動が求まる。ペガスス座51番星(主星)のドップラー効果の時間変動から、惑星の公転周期や質量が推定できる。

10

3

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

14 電荷を持ち自転しているブラックホールを何というか。

①シュバルツシルト・ブラックホール②カー・ブラックホール③ライスナー=ノルドシュトルム・ブラックホール④カー=ニューマン・ブラックホール

④ ブラックホールが持ちうる物理量は、質量・電荷・角運動量の3つであり、それらの組み合わせで4種類のブラックホールのモデルが存在する。シュバルツシルト・ブラックホールは、回転しておらず電荷を持たない。カー・ブラックホールは、回転しており、特異点がリング状になっている。ライスナー=ノルドシュトルム・ブラックホールは、回転していないが電荷を持つ。カー=ニューマン・ブラックホールは電荷を持ち、回転している。

1

15 次のうち、プロミネンスと同じ現象を示しているものはどれか。

①スピキュール②プラージュ③ダークフィラメント④コロナ

③ プロミネンスは、光球よりも低温で、太陽面に重なっていると太陽光を吸収するので、暗いダークフィラメントとして見える。スピキュールは太陽表面からガスが噴き出し、太陽の縁が毛羽立ったように見える構造。プラージュは黒点周囲の彩層が明るくなっている現象をいう。

2

16 惑星の見かけの動きの特徴で、間違っているのはどれか。

①水星は約2カ月ごとに西方最大離角・東方最大離角をむかえる②火星は約2年ごとに地球に接近し、合の頃の約2カ月間は夜空を逆行する③木星は黄道12星座の中を1年に1つずつ移動し、12年かけて一周する④土星は約30年かけて黄道12星座を一周する

② 外惑星は、接近の前後に逆行するが、これは「合」ではなく「衝」の位置になる。

3

17 星間空間に存在する天体の説明として間違っているものはどれか。

①暗黒星雲:より遠方の星の光を遮る領域だが、赤外線や電波で観測するとさまざまな分子が存在することがわかる②輝線星雲(HⅡ領域):電離した水素が電子と再結合するときに出されるさまざまな波長の光が観測できる領域である③反射星雲:星雲中の分子が星の光を散乱する領域であり、長い波長の光が効率的に散乱されるため赤っぽく見える④HⅠ雲:中性水素が出す波長21cmの電波が観測できる領域である

③ 反射星雲は、通常は温度が低い星の周囲にみられ、塵がその星の光を散乱している。塵は分子に比べて十分に大きく可視光範囲の光を散乱するが、短波長の光をより効率的に散乱するため、反射星雲は元の星よりもより青く見える。問題文は「分子が…散乱…」、「長い波長…赤っぽく…」が誤り。

6

18 写真はかみのけ座の方向にある銀河M88である。M88のハッブルの音叉型分類はどれか。

①E3②S0③SAb④SBb

③ ハッブルの音叉型で、E0~E7は楕円銀河、S0はレンズ状銀河、SAa~SAcは渦巻銀河、SBa~SBcは棒渦巻銀河である。ちなみに銀河系はSAbとSBbの中間的な形態ではないかと考えられている。

7

19 ケプラーの3つの法則からニュートンが発見したことは何か。

①物体は、力が作用しない限り、静止または等速直線運動を続ける②物体は、他の物体に作用を及ぼすと、その物体から反作用を受ける③外力を受けない限り、質点系の角運動量は変化しない④万有引力は、物体の質量に比例し、物体間の距離の2乗に反比例する

④ ニュートンは、ケプラーの法則に運動方程式を適用することで、「2つの物体間にはたらく万有引力は、物体の質量に比例し、物体間の距離の2乗に反比例する」ことを発見した(万有引力の法則)。①は慣性の法則(運動の第1法則)、②は作用反作用の法則(運動の第3法則)と呼ばれる。③は「角運動量の法則」で、ケプラーの第2法則「面積速度一定の法則」に他ならない。

8

4

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

20 液体ロケットと固体ロケットの違いについて正しく述べたものはどれか。

①液体ロケットのほうが、製造コストが安い②液体ロケットのほうが、長時間の貯蔵・保存ができる③固体ロケットのほうが、燃焼時間が長い④固体ロケットのほうが、比推力が小さい

④ 固体ロケットは構造が比較的簡単なため、開発コストも安く、長期間の保存も可能で、大きな推力が必要な第一段には適している。一方、液体ロケットは燃焼時間を長くでき、点火後の燃焼停止・再点火ができるため、誘導制御において優れている。

9

21 主系列星の光度をL 、表面温度をT 、半径をR 、質量をM として、次のア~ウの関係が成り立っているとすると、間違っているものはどれか。

ア:HR図からの経験則 L =定数×T 8

イ:ステファン・ボルツマンの法則から L =定数×R 2T 4

ウ:質量光度関係から L =定数×M 4

①R =定数×T 2

②T =定数×√M

③L =定数×R 2

④R =定数×M

③ 主系列星の表面温度の常用対数を横軸に、光度の常用対数を縦軸にとってグラフを描くと、傾きがおよそ8の直線で近似することができ、アの経験則が得られる。アとイから①が、アとウから②が導かれる。するとアと②からL =

定数×R 4という関係が導かれる。④は①、②より導かれる。

4

22 主系列星の中心部では、水素が核融合したものがたまっていく。この部分を何というか。

①ヘリウムコア②カーボンコア③シリコンコア④アイロンコア

① 主系列星の中心部では、水素が核融合してできたヘリウムの割合が増えていく。そして、主系列の終末期にはほとんどがヘリウムからなる中心部「ヘリウムコア」ができる。ヘリウムコアとなった中心部は核融合反応が起こらなくなって縮み、その周囲で水素の核融合反応が起こり、恒星は赤色巨星に進化する。

5

23 銀河系が所属する銀河群の名前はどれか。

①局部銀河群②ちょうこくしつ座銀河群③M81銀河群④M101銀河群

① 銀河系は、大マゼラン雲、小マゼラン雲、アンドロメダ銀河などとともに局部銀河群を構成しており、大小50個ほどの銀河が確認されている。

7

24中国の歴史書『史記』の中に「秦始皇七年、彗星まず東方に出

づ…」とあるが、これは紀元前240年のある彗星の出現記録である

ことが軌道計算によって確かめられている。この彗星は何か。

①百武彗星

②池谷・関彗星

③ヘール・ボップ彗星

④ハレー彗星

④ ハレー彗星は約76年周期で地球に接近する彗星で、有史以来さまざまな文献に出現の記録が残されている。最近の出現は1986年、次は2061年ごろである。百武彗星、池谷・関彗星、ヘール・ボップ彗星も有名な彗星ではあるが、古い文献に記録はない。

8

5

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

25 小惑星探査機「はやぶさ2」が、飛行に使用しているエンジンはどれか。

①ガソリンエンジン②プラズマエンジン③イオンエンジン④原子力エンジン

③ 電気を使って燃料を噴射するイオンエンジンを長時間運転することで、2018年6月に小惑星リュウグウの上空に到着した。①のガソリンエンジンは、ガソリンを空気中の酸素を使って燃焼させるため宇宙で使うのは困難である。②のプラズマエンジンは、イオンエンジンと同様、電気推進の一種で、惑星間航行用として期待されているが、実用化には至っていない。④の原子力エンジンは原子炉の熱を利用しているが、推進剤(水素など)を加熱し噴出している点では科学ロケットと同じである。

9

26 ハビタブルゾーンについて、間違っているものはどれか。

①そこに位置する惑星の表面温度が、液体の水が存在できる程度となる領域である②そこに位置する惑星の大気には、必ず大量の酸素を含む③親星の質量や温度によってその領域が変わる④太陽系の惑星では地球がハビタブルゾーンに含まれる

② ハビタブルゾーンは、親星の周辺で水が液体で存在できる軌道領域のことで、惑星の大気組成は関係ない。地球の場合、むしろ生命が存在した結果、大量の酸素を含む大気が形成されたと考えられている。

10

27 宇宙の終わりの可能性について正しく説明したものはどれか。

①ビッグチルと呼ばれる、宇宙膨張で宇宙が冷たく凍りつく状態②ビッグクランチと呼ばれる、宇宙が引き裂かれるような激しさで膨張し続ける状態③ビッグリップと呼ばれる、宇宙が収縮に転じて潰れてしまう状態④ビッグホールと呼ばれる、巨大重力で時空に穴が開いてしまう状態

① ②と③は説明が逆。引き裂かれるのがビッグリップで、潰れるのがビッグクランチ。加速膨張がゆっくりであれば、膨張に伴い宇宙全体が冷たく凍りつくだろうと考えられている。

1

28太陽の彩層を観察するのに最も一般的なフィルターは、何を透過

するものか。

①21cm線

② Hαエイチアルファ

③Caカルシウム

K線

④X線

② 太陽の彩層は、光球の外側、コロナの内側に位置する薄いガスの層で、観測にはHα線を透過するフィルターがよく用いられている。太陽の紅炎(プロミネンス)の観測にはCa K線フィルターが用いられることが多い。21cm線はイオン化されていない水素(中性水素)から放出されるもので、銀河系内の中性水素の分布から、銀河系が渦巻き構造になっていることがわかった。X線は太陽の場合、フレアから強く放出される。

2

29 小惑星「イトカワ」は次のどのタイプの小惑星であるか。

①S型②C型③D型④V型

① 小惑星はCCDの感度波長域である0.4-0.9μmの波長帯におけるスペクトルの形状により分類が行われている。S型小惑星の表層物質は大部分が普通コンドライトではないかと考えられている。S型小惑星は強い宇宙風化の影響を受けて普通コンドライトよりも短波長域の反射率が低くなっている。C型の小惑星の表層物質は炭素質コンドライトではないかと考えられている。D型は小惑星帯にはあまり存在しないが、木星のトロヤ群小惑星では大半を占めている。普通の炭素質コンドライトよりも始原的とされるタギシュレイク隕石のスペクトルはD型の小惑星と似ていることが分かっている。V型は玄武岩質隕石であるHED隕石と似ていることが知られており、ベスタはV型小惑星の代表的な天体であると考えられている。

3

6

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

30 肉眼で見える最も暗い恒星は6等級だと言われている。一方、すばる望遠鏡は28等級まで観測できる。すばる望遠鏡は、肉眼のおよそ何分の1の明るさの星まで見えていることになるか。

①約600分の1②約6万分の1③約600万分の1④約6億分の1

④ 1等級差で明るさは約2.5倍(2.5分の1)となり、5等級差で明るさは100倍(または100分の1)となる。本問の場合、28-6=22等級の差があるため、22=5×4+2となり、少なくても明るさは100の4乗分の1=1億分の1以下になるはずだ。この時点で正答が④となる。なお、2等級差は2.5×2.5=約6.25倍(6.25分の1)であるから、正確には6億2500万分の1となる。

4

31 地球をつくる水素とヘリウム以外の「重元素」はどこからきたか。

①ビッグバンのときにできた②太陽から放出された③超新星爆発でまき散らされた④植物の光合成によってできた

③ 天文学では、水素とヘリウム以外の元素をすべて「重元素」または「金属元素(メタル)」と呼ぶ。宇宙の誕生直後は、重元素は存在せず、大質量星の内部でつくられた重元素が、超新星爆発によって宇宙空間にまき散らされた。超新星爆発を起こすような大質量星は寿命が短いため、銀河系の方々で超新星爆発が起こり、星間ガス中に次第に重元素が蓄積していった。この星間ガスをもとに原始太陽が収縮を始め、その周囲に形成された原始太陽系円盤から地球をはじめとする太陽系の天体がつくられた。

5

32 超新星爆発によって放出されるガスは、周囲の星間ガスと衝突する。その結果、ガスは何度くらいまで加熱されるか。

①1000K②1万K③10万K④100万K

④ 超新星爆発によって放出されるガスの速度は1000 km/s以上にもなる。そのガスが周囲の星間ガスと衝突すると、100万K以上にまで加熱される。このような高温のガスは、X線でも観測できる。

6

33 銀河の衝突は、星どうしの衝突より頻繁に起こっている。それはなぜか。

①銀河の移動スピードが星の速度より速いため②天体どうしの距離に対する天体の大きさが、銀河のほうが大きいため③星どうしが接近すると、衝突せずに必ず連星を形成するため④銀河のほうが観測しやすく、見かけ上そう見えるため

② 星の衝突はめったに起こらないが、銀河はよく衝突する。この違いは、天体間の距離と天体自身の大きさとの比による。例えば、太陽から隣の恒星(アルファ・ケンタウリ)までは40兆km離れているが、太陽の直径は140万kmで桁違いである。一方で、銀河系の近くの銀河はアンドロメダ銀河で230万光年であるのに対し、銀河系の直径は10万光年ほどなので1桁しか違わない。

7

34 次のうち、改暦のための天文観測において太陽の南中高度を測定した「圭表」はどれか。

② 圭表は、影の長さから太陽の南中高度を測定し、春分・夏至・秋分・冬至の時刻を決定するために用いられた。①は渾天儀、③は分光器、④は大象限儀である。

8

35 太陽の重力を振り切り、太陽系から脱出するために必要な速度のことを何というか。

①第一宇宙速度②第二宇宙速度③第三宇宙速度④第四宇宙速度

③ 地球を周回する軌道に乗るために必要な最小の速度を、第一宇宙速度という(時速約2万8400km)。地球の重力を振り切る最小の速度を、第二宇宙速度とという(時速約4万320km)。問題の太陽の重力を振り切る最小の速度を、第三宇宙速度といい、およそ時速6万120kmである。実際には、第三宇宙速度より初速が小さくても、スイングバイなどを利用して太陽系を脱出することは可能である。第二宇宙速度を超えていないと地球圏すら脱出できない。なお、第四宇宙速度は定義されていない。

9

7

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

36 系外惑星の大気を調べて、生命存在の指標としてもっとも適しているのはどれか。

①オゾンの吸収線②水の吸収線③鉄の輝線④カルシウムの輝線

① 生命存在の証拠となりうる指標をバイオシグネチャー(またはバイオマーカー)という。生物由来の大気成分(酸素、オゾン、メタン)の分光観測や、植物のレッドエッジの測光・分光観測などが挙げられる。

10

37 次の図は、太陽近傍の多数の星々から作成したHR図である。この図の中で星の表面積が最も大きいのはどの位置にある星か。

② ステファン・ボルツマンの法則によると、星の明るさは表面温度の4乗に比例し、表面積に比例する。言い換えれば、星の表面積は星の明るさに比例し、表面温度の4乗に反比例する。つまり、同じ明るさなら表面温度が低い星のほうが、同じ表面温度ならば明るい星のほうが、それぞれ表面積が大きい。

4

38 パルサーの半径として適当なものはどれか。

①約100m②約10km③約1000km④約10万km

② 超新星爆発によって形成された中性子星は、しばしばパルサーとして観測される。中性子星が高速で自転し、その自転軸が磁極と異なる場合、磁極方向に放射される電磁波が周期的に地球で観測される場合がある。これがパルサーである。太陽と同じ質量の中性子星の半径は、おおよそ10 km程度と考えられている。

5

39 次のうち、プランク時間はどれか。ただし、G は万有引力定数、h はプランク定数、c は光速とする。

③ 基本的な定数(光速c 、万有引力定数G 、プランク定数h )を使って組み立てられた、時間の単位をもつ物理量をプランク時間と呼ぶ。MKS単位系で表した光速の単位は

m/s、万有引力定数はN・m2/Kg2、プランク定数はJ・s。

N(ニュートン)はkg・m/s2、J(ジュール)はkg・m2/s2であるから、③のみが時間の単位(s)を持つ。

1

40 太陽-地球間の距離、太陽の直径、地球の直径を比にしたとき、最も近いものはどれか。

①100000:100:1②10000:200:1③10000:100:1④1000:20:1

③ 太陽-地球間の距離が約1億5000万km、太陽の直径が約140万km、地球の直径が約1.3万kmである。太陽-地球間の距離、太陽の直径、地球の直径を比にしたとき①~④のうち最も近いものは③の10000:100:1となる。

2

41 現在の太陽系の雪線はどの位置にあるか。

①金星と地球の公転軌道の間②地球と火星の公転軌道の間③火星と木星の公転軌道の間④木星と土星の公転軌道の間

③ 金星、地球、火星、木星、土星の太陽からの平均距離はそれぞれ0.7au、1au、1.5au、5.2au、9.6auである。現在の太陽系の雪線は3au付近にあるため、雪線は火星と木星の公転軌道の間にある。

3

8

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

42 2017年、太陽に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリが10秒間だけ電波で突如1000倍も明るく輝いた。この際、仮に可視光でも1000倍明るく輝いたとしたら何が起こりうるか。なお、プロキシマ・ケンタウリは可視光では通常11等級の星である。

①肉眼で見えるほどになった②地球にオーロラが発生した③プロキシマ・ケンタウリが他の星と合体した④惑星の存在が確認された

① プロキシマ・ケンタウリは、ケンタウルス座アルファ星の伴星であり、太陽の1割ほどしか重さがない赤色矮星である。非常に暗いため、太陽系の外にある恒星で一番近くにもあるにかかわらず11等と普段は見られない。ただ、赤色矮星は恒星内部の対流が発達し、表面の磁場がかき乱されやすいためしばしば大規模なフレアを起こす。それにより強烈な恒星風が吹き荒れるが、地球に届くことはない。ただ、こうした大フレアで非常に明るくなることがあり、2017年3月の事例では、電波で10秒間だけ1000倍明るくなったのが観測された。可視光での観測はないが、仮に可視光でも1000倍明るくなったとすると、等級では7.5等の増光にあたる。結果、11等級が3~4等級となり、10秒間だけ肉眼でみられたであろう。

4

43 太陽ニュートリノ問題の説明として、間違っているものはどれか。

①太陽から地球に到達するニュートリノの数が、理論的な予想の約3分の1である②ニュートリノ振動という現象が原因である③スーパーカミオカンデによる太陽からのニュートリノ数の精密測定が、解決の決め手となった④太陽ニュートリノ問題を解決した功績もあり、梶田隆章はノーベル賞を受賞した

③ 太陽の中心で起きる核反応により、ニュートリノが発生する。理論的に予想され、地球に到来するはずのニュートリノの数が、実際の観測数と3倍も違う、というのが太陽ニュートリノ問題である。この問題は、太陽中心で生成された電子ニュートリノが、飛来中に他の種類のニュートリノ(ミューニュートリノとタウニュートリノ)に変化する、ニュートリノ振動という現象が原因であることがわかった。この問題の解決には、地球大気で発生するミューニュートリノの数を到来方向で比較し、その変化を証明したスーパーカミオカンデの観測が大きな役割を果たしたのであり、「③太陽からのニュートリノ数の精密測定」ではない。ニュートリノ振動の存在は、ニュートリノに質量があることを意味しており、その功績から梶田隆章氏はノーベル賞を受賞した。

5

44 星間ガスのおかれた環境とその状態を表にまとめた。A、B、Cに当てはまる組み合わせとして正しいものはどれか。

①A:分子の状態 B:原子の状態  C:電離した状態②A:原子の状態 B:分子の状態  C:電離した状態③A:分子の状態 B:電離した状態 C:原子の状態④A:原子の状態 B:電離した状態 C:分子の状態

① 暗黒星雲、HⅠ雲、輝線星雲の順に温度が高くなっていき、星間ガスの受けるエネルギーが高い。よってこの順に分子で安定な状態、原子にバラバラにされた状態、電子がはぎとられ電離した状態、となる。ちなみに輝線星雲をHⅡ領域と呼ぶこともあるが、HⅠ雲やHⅡ領域のローマ数字は、原子(この場合、水素)のイオン価数+1の数字を表す(中性原子は0価+1でⅠ、など)。

6

9

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

45 次の図1に示すように、銀河系から同じ方向に見える、距離がそれぞれD と3D の銀河Aと銀河Bのスペクトルを観測したところ、同じ吸収線が次の図2のように観測された。もし銀河Aから銀河系と銀河Bのスペクトルを観測した場合、どのようなスペクトルが得られると予想されるか。

③ ハッブルの法則により、全ての銀河は距離に比例した速度で遠ざかっている。銀河Aから見れば、銀河系までの距離はD 、銀河Bまでの距離は2D となる。したがって銀河系のスペクトルは、銀河Aのスペクトルから波長の長い方に2目盛り分ずれ、銀河Bのスペクトルは波長の長い方に4目盛り分ずれる。そのため③が正答となる。

7

46 次の記述のうち間違っているものを選べ。

①安倍晴明の子孫は明治初頭まで陰陽道を主導した②陰陽寮には陰陽博士、天文博士、暦博士、祈祷博士が置かれた③天文博士の主な仕事は天変を観測して記録することであった④暦博士が毎年作った具注暦を平安公家は利用していた

② 陰陽寮に置かれたのは、祈祷博士ではなく漏刻博士(時報係)である。

8

47 スペースデブリに対して、最近主にとられている対処法はどれか。

①回収している②レーザーで溶かしている③地球に落下させている④軌道を把握して、回避している

④ 運用後に放置された人工衛星やロケットの一部など、地球の衛星軌道上を周回している打ち捨てられた人工物体をスペースデブリ(宇宙ゴミ)という。たとえ小さくとも、活動中の人工衛星やISSなどに衝突すれば、甚大な被害をもたらす恐れがある。しかし、回収は難しく、スペースデブリの軌道を把握して、回避を図っている。

9

48 図は生命の系統樹を簡単に表したもので、根元は生命の起源を表している。正しいものはどれか。

① 生命が誕生した約38億年前頃の地球は、のちに現れる生命では存在できないほどの高温の環境だったと推測されている。したがって、超好熱菌が根元にある①が正答。

10

10

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

49 次のうち、シュバルツシルト半径を示す式はどれか。ただし、G は万有引力定数、M はブラックホールの質量、c は光速とする。

①2GM /c 2

②2GM 2/c 4

③M 2c 2/G

④Mc 4/G

① シュバルツシルト半径は、球対称なブラックホールの事象の地平面の半径を示すものである。これから計算すると、太陽の質量をもつブラックホールの半径は約3kmになる。

1

50 次のうち、太陽フレア発生のエネルギー源として適切なものはどれか。

①重力のエネルギー②表面の気圧差のエネルギー③核融合反応のエネルギー④磁場のエネルギー

④ フレアは、複雑に交差する磁力線がより簡略な構造へつなぎ変わることによって、蓄えられていた磁場のエネルギーが様々なエネルギーに変換される現象であることがわかってきた。

2

51 「ボイジャー1号」はヘリオポーズに到着し、その後恒星間空間に入ったと考えられる。その理由について正しいものはどれか。

①太陽風の速度がほぼ0になった②地球上から通信ができなくなった③天王星の軌道を超えた④太陽光が届かなくなった

① ヘリオポーズ(太陽圏界面)では太陽風が恒星間空間の星間ガスの圧力と釣り合い、速度が0になるため。

3

52 天体の観測に使われる電磁波のうち、地上では全く観測できないのはどれか。

①X線②可視光線③赤外線④電波

① 地球の大気は、電磁波のうち可視光線と赤外線、電波の一部はよく通すが、紫外線はかなり吸収され、ガンマ線やX線は完全に吸収されてしまうため、地上での観測が難しい。しかし、ガンマ線やX線や紫外線で明るくみえる天体もあるため、もっぱら人工衛星を活用した宇宙空間での観測が行われる。X線に関しては、高高度の気球も使われていた。なお、地上で十分観測できる可視光線でも、宇宙空間では大気の揺らぎの影響がないので、宇宙望遠鏡が活躍している。

4

53 白色矮星の大きさと質量について正しい組み合わせはどれか。

①大きさ:太陽程度 質量:地球程度②大きさ:太陽程度 質量:太陽程度③大きさ:地球程度 質量:地球程度④大きさ:地球程度 質量:太陽程度

④ 白色矮星は質量は太陽程度であるが、大きさは地球と同程度の天体である。

5

54 銀河系内の球状星団の記述として間違っているものはどれか。

①数万~数十万個の星の集団である②年齢はほとんどが100億年程度である③星団全体としてはほとんど自転していない④そのほとんどが銀河系のバルジ内に存在する

④ 球状星団は、バルジ内にも存在するが、多くは銀河系全体を取り囲むハロー領域に存在するため、④が間違い。

6

55 活動銀河の説明として間違っているものはどれか。

①中心に星が活発に生成されている場所や超巨大ブラックホールがある②セイファート銀河は、活動銀河の一種である③クェーサーは、活動銀河の一種である④活動銀河は、強いX線は放射するが、電波の放射はごく弱い

④ 活動銀河は、標準的な銀河に比べ、銀河中心部分が非常に明るい銀河のことをいう。セイファート銀河やクェーサーは活動銀河であり、活発な星形成領域や超巨大ブラックホールがあると考えられる。活動銀河は、しばしば、強いX線や電波も放射しているので、④が間違い。

7

11

第8回天文宇宙検定2級問題・解答

No. 問題 正答 解説 章

56次のうち、日本の暦として使われなかったものはどれか。

①元嘉暦げんかれき

②宣明暦せんみょうれき

③授時暦じゅじ れき

④儀鳳暦ぎほう れき

③いずれも中国の暦だが、授時暦は、江戸時代の天文学

者渋川春海が大和暦やまとれき

を作成する際にその仕組みを参考

とした暦である。823年間一度も改訂されずに使われてい

た宣明暦に代わるものとして、当初は中国製の大統暦だいとうれき

使われたが、渋川らの尽力で、すぐに国産の大和暦が大

統暦にとって代わって使われたのである。なお、大和暦が

使われるときは貞享暦じょうきょうれき

という名前で呼ばれた。

8

57 2018年現在、実現されている非化学ロケットの推進方法はどれか。

①原子力推進②光子推進③レーザー推進④太陽帆(ソーラーセイル)推進

④ 2010年に打ち上げられた小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」で太陽帆推進が実現されている。

9

58 TRAPPIST-1という星の周りに多数の惑星が見つかり、2017年にニュースになった。この発見について間違っているのはどれか。

①親星は赤色矮星と褐色矮星の境界程度の星である②地球と同じ程度の大きさの惑星が7つ見つかった③発見はケプラー宇宙望遠鏡による④発見された惑星のうち3つがハビタブルゾーンにある

③ 発見は、チリのラ・シーヤ天文台にある口径60cmのTRRAPIST-South望遠鏡による。39光年離れたこの恒星は質量が太陽の8%と、水素核融合を起こせるかどうかのギリギリであり、わずかに軽いと褐色矮星となる。7つの惑星はトランジット法で相次いで発見された。その後8mのVLT望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡、スピッツァー宇宙望遠鏡、ケプラー宇宙望遠鏡などで詳細な観測がされ、一部の惑星には大気の存在が示唆されるなど、活発な研究がなされている。

10

59 次の文のア、イにあてはまる組み合わせとして最も適当なものはどれか。

太陽質量より小さな質量の原始星が収縮する初期の段階では、HR図上をほぼ【 ア 】に移動する。この移動経路を【 イ 】という。

①ア:水平 イ:ハヤシトラック②ア:水平 イ:ハヤシフェイズ③ア:垂直 イ:ハヤシトラック④ア:垂直 イ:ハヤシフェイズ

③ 大質量星は原始星から主系列星になるとき、HR図上をほぼ水平に移動するが、小質量星はほぼ垂直に移動する。この垂直方向の経路を、最初に指摘した林忠四郎にちなんでハヤシトラック(林の経路)という。ハヤシトラックにいる状態の星をハヤシフェイズにあるという。

5

60 生命の遺伝情報を担うDNAについて、正しく述べているのはどれか。

①ヒトのDNAは、幅0.34nm、長さ1.8mの細い紐状である②ヒトのDNAは、30億のヌクレオチドでできており、30億の遺伝情報をもつ③DNAの基盤となるのは、酸素と水素、リンであり、これを炭素と窒素、水素でできた鎖がとりまいている④DNAは、糖やリン酸や塩基が結びついた高分子化合物といえる

④ ヒトのDNAは、幅2nm、長さ1.8mの細い紐状で、糖やリン酸や塩基が結びついたヌクレオチドからなる。ヌクレオチドはヒトの場合約30億ペアあり、ヌクレオチドは平均すると約900個が組み合わさって、1つのタンパク質を合成する遺伝情報を持つ。したがって遺伝情報としては、30億÷900で300万を持ちうる。これらDNAは紐の基盤が炭素と窒素で作られ、その周りを水素、酸素、炭素、リンでできた鎖がとりまくような形になっている。DNAは、生命を考える基礎の基礎なので、宇宙と生命の関係を考えるとき、ある程度の知識を持っておきたい。

10

12