第Ⅱ章 守口市の現況と課題 - moriguchi第Ⅱ章 守口市の現況と課題 7...

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題 5 図Ⅱ-1 守口市の位置 守口市 1-1 都市の成り立ち (1) 位置・地勢 ・本市は、大阪平野のほぼ中央部の淀 川左岸に位置し、大阪市、門真市、 寝屋川市及び淀川を介して摂津市に 接しています。 ・市域の面積は、12.73k ㎡で、大阪府 では7番目に小さな都市です。 ・地形は概ね平坦で、密度の高い市街 地が広がっています。 ・京阪電車、大阪モノレール、地下鉄 が通るほか、幹線道路網も整備され ており、交通利便性に優れています。 (2)沿革・市街地の成り立ち ・本市は、昭和 21 年(1946 年)11 月1日、当時の守口町と三郷町が合併して、誕生 しました。その後、昭和 32 年(1957 年)に庭窪町と合併し、現在に至っています。 ・市域は、古くは農地が大部分を占め、集落が点在する地域でしたが、近年になると 大阪市に隣接する西部地域から市街地が発展し、特に高度成長期には一挙に市街地 が拡大しました。その後、東部、南部で市街化が進み、現在では、淀川を除くほぼ 全域が市街地となっています。 (3)広域的な位置付けと特徴 ・本市は、大阪と京都を結ぶ軸上に立地しており、大阪市に近接した交通利便性の高 い都市です。大阪モノレールの開通により、大阪空港とも直結した地域となってい ます。 ・本市は、大阪府内でも早くから都市化が進んだ住宅都市です。産業面では大手家電 メーカーや多様な中小企業が集積し、産業都市としての性格も併せ持っています。 また、広域的に集客性の高い大規模商業施設が立地しています。 ・人の移動の状況をみると、大阪市、門真市、寝屋川市との関連が強くみられます。 第Ⅱ章 守口市の現況と課題 都市の現況 1.

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Page 1: 第Ⅱ章 守口市の現況と課題 - Moriguchi第Ⅱ章 守口市の現況と課題 7 ・人口が減尐する中、65歳以上の老齢人口が増加し、15~64歳の生産年齢人口や0~

第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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図Ⅱ-1 守口市の位置

守口市

1-1 都市の成り立ち

(1) 位置・地勢

・本市は、大阪平野のほぼ中央部の淀

川左岸に位置し、大阪市、門真市、

寝屋川市及び淀川を介して摂津市に

接しています。

・市域の面積は、12.73k ㎡で、大阪府

では7番目に小さな都市です。

・地形は概ね平坦で、密度の高い市街

地が広がっています。

・京阪電車、大阪モノレール、地下鉄

が通るほか、幹線道路網も整備され

ており、交通利便性に優れています。

(2)沿革・市街地の成り立ち

・本市は、昭和 21 年(1946 年)11 月1日、当時の守口町と三郷町が合併して、誕生

しました。その後、昭和 32 年(1957 年)に庭窪町と合併し、現在に至っています。

・市域は、古くは農地が大部分を占め、集落が点在する地域でしたが、近年になると

大阪市に隣接する西部地域から市街地が発展し、特に高度成長期には一挙に市街地

が拡大しました。その後、東部、南部で市街化が進み、現在では、淀川を除くほぼ

全域が市街地となっています。

(3)広域的な位置付けと特徴

・本市は、大阪と京都を結ぶ軸上に立地しており、大阪市に近接した交通利便性の高

い都市です。大阪モノレールの開通により、大阪空港とも直結した地域となってい

ます。

・本市は、大阪府内でも早くから都市化が進んだ住宅都市です。産業面では大手家電

メーカーや多様な中小企業が集積し、産業都市としての性格も併せ持っています。

また、広域的に集客性の高い大規模商業施設が立地しています。

・人の移動の状況をみると、大阪市、門真市、寝屋川市との関連が強くみられます。

第Ⅱ章 守口市の現況と課題

都市の現況

1.

Page 2: 第Ⅱ章 守口市の現況と課題 - Moriguchi第Ⅱ章 守口市の現況と課題 7 ・人口が減尐する中、65歳以上の老齢人口が増加し、15~64歳の生産年齢人口や0~

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1-2 歴史的・自然的条件

(1)歴史・文化

・本市には、古墳時代や縄文時代の遺跡、「文禄堤※」等の史跡、東海道 57 番目の「守

口宿」の面影を残すまちなみ、由緒ある神社や寺院など、長い歴史を反映した、多

くの歴史的資源が分布しています。

・江戸期の武家屋敷の遺構である「旧中西家住宅」は、もりぐち歴史館※として市が

整備し、一般に公開しています。

・無形民俗文化財である寺方提灯踊りや八雲神社など各神社の秋祭りでのだんじり、

みこしなども地域において継承されています。

(2)自然的条件

・本市は、概ね平坦な地形となっており、淀川水系寝屋川流域に属しています。市域

の大半が市街地ですが、北部を流れる淀川は、貴重な自然環境が享受できる親水空

間※となっています。また、南部の鶴見緑地には、緑と親しめる空間が整備されて

います。

1-3 社会的条件

(1)人口等

・平成 22 年国勢調査によると、本市の人口は 146,697 人、世帯数は 65,129 世帯で、

1世帯当たり人員は 2.25 人/世帯となっています。

・本市の人口は、高度成長に伴う都市化の時代に急増し、昭和 45 年のピーク時には

18 万人を超えましたが、その後は減尐傾向が続いています。人口密度は 11,524 人

/k ㎡(平成 22 年国勢調査による)で、大阪府内では大阪市に次いで高くなってい

ます。

資料:国勢調査

図Ⅱ-3 年齢(3区分)別人口の推移 図Ⅱ-2 人口・世帯数・世帯人員の推移

資料:国勢調査、大阪府

人口減尐社会白書

58,053

68,204

102,295

138,856

184,466 178,383

165,630 159,400 157,372 157,306

152,298 147,465 146,697

13,774 15,741

25,339

38,207

54,698 55,111 54,433 54,137 56,406 60,489 62,037 62,928 65,129

4.21 4.33

4.04

3.63

3.37 3.24

3.04 2.94

2.79 2.60

2.45 2.34

2.25

0.00

0.50

1.00

1.50

2.00

2.50

3.00

3.50

4.00

4.50

5.00

0

20,000

40,000

60,000

80,000

100,000

120,000

140,000

160,000

180,000

200,000

S25 S30 S35 S40 S45 S50 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22

人口 世帯数 世帯人員人 ・ 世帯 人/世帯

20.2%

15.9%

14.3%

13.9%

13.2%

12.4%

13.3%

71.6%

74.0%

73.7%

70.6%

64.3%

62.5%

64.4%

8.2%

9.5%

11.7%

15.3%

19.9%

24.4%

22.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

S60

H2

H7

H12

H17

H22

H22 大阪府全体

0~14歳 15~64歳 65歳以上

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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・人口が減尐する中、65 歳以上の老齢人口が増加し、15~64 歳の生産年齢人口や0~

14 歳の年尐人口が減尐する傾向にあります。平成 22 年現在の人口構成は、老齢人

口 24.4%、年尐人口 12.4%、生産年齢人口 62.5%となっています。

・家族の状況をみると、夫婦と子どもからなるファミリー世帯の割合が減尐する一方、

高齢単身世帯をはじめとする単独世帯や夫婦のみの世帯等の割合が増加しています。

(2)産業

・本市の事業所数及び従業者数は、平成 21 年の経済センサス基礎調査によると、7,627

事業所、72,976 人となっています。平成3年との比較では 3,093 事業所、5,730 人、

平成 18 年との比較では 90 事業所、2,238 人が減尐しており、長期的に減尐傾向と

なっています。産業別には、事業所数、従業者数ともに第一次産業はごく尐なく、

第二次産業は事業所数の約 26%、従業者数の約 27%、第三次産業は事業所数の約

74%、従業者数の約 73%の構成となっています。

・本市の工業は、大手家電メーカーにより発展してきました。これらの下請け企業を

中心に小規模な企業が大半を占めています。

・本市の商業は5市場、23 商店街を中心に小売業がその大半を占めています。平成 18

年(2006 年)に、大日に大型ショッピングセンターがオープンするなど、小売商業

を取り巻く環境は大きく変化し、地元商店街等においては経営者の高齢化と後継者

不足が深刻化しており、商店街の衰退化が進行しています。

・本市の農業は、担い手の高齢化とともに農家数、農地面積ともに減尐傾向にあり、

平成 17 年の農家数は 88、農地面積は 34.36ha であるのに対して、平成 22 年の農家

数は 84、農地面積は 32.23ha となっています。平成 23 年2月現在 10.26ha の農地

を生産緑地地区※に指定しています。

(3)道路・交通

1)道路

・道路については、国道1号、国道 163 号、国道 479 号、府道京都守口線、府道大阪

中央環状線等の広域幹線道路が通り、本市の骨格を形成しています。

・高速道路は、阪神高速守口線の守口出入口が設置されているほか、近畿自動車道が

通過し、門真IC、摂津南ICが最寄りのインターチェンジとなっています。

・このように利便性の高い広域幹線道路網が整備されている一方、生活道路※の整備・

管理が十分でない地域や歩道のネットワークが形成されていない地域がみられます。

2)鉄道

・本市には京阪本線、地下鉄谷町線、地下鉄今里筋線、大阪モノレールの4つの鉄道

が通り、市内には、京阪本線の守口市駅、滝井駅、土居駅、地下鉄谷町線の守口駅、

大日駅、大阪モノレールの大日駅の6駅が設置されています。また、市の境界付近

には京阪本線の千林駅、西三荘駅、大和田駅、地下鉄の太子橋今市駅があります。

・これらの駅の中では京阪守口市駅の利用者が最も多く、1日の乗降客数が4万人を

超えています。近年では、地下鉄大日駅の利用者も増えています。

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3)バス

・バスは、京阪バスが路線バス及び地域循環バス※として「タウンくる」を運行する

ほか、大阪市バスの路線バスが一部乗り入れています。近年、慢性的な交通渋滞等

による定時性の低下や採算性の低下が、利便性や信頼性、サービス水準の低下をま

ねき、結果的に利用者が減尐するという問題が生じています。

4)自転車・バイク・自動車

・自動車の登録台数は減尐傾向で、自転車やバイクの利用者は増加傾向にあります。

1-4 土地利用・市街地・建物の現況

(1)法規制

・本市は、淀川河川敷が市街化調整区域※、それ以外が市街化区域※に指定されていま

す。市街化区域においては、低層住居専用地域、工業専用地域を除く9種類の用途

地域※が指定されています。また、特別用途地区※として、市南部及び主要幹線道路

沿道では特別業務地区※が、大阪市に近い市西部では中高層階住居専用地区が、大

規模な工場地では特別工業地区が指定されています。大日駅周辺や幹線道路沿道の

一部では、地区計画※区域が指定されています。(図Ⅱ-4)

(2)土地利用

・本市の土地利用現況において、商業業務地は、守口市駅・守口駅周辺、大日駅周辺、

佐太東町2丁目や、京阪北本通、土居駅周辺等の商店街、国道 163 号沿道等にみら

れます。工業地は、市の中央部の大規模な企業用地のほか、市南部等に分布してい

ます。その他、一般市街地には主に低層の戸建て住宅地が広がっており、国道1号

沿道等では、土地の高度利用※が図られています。(図Ⅱ-5)

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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図Ⅱ-4 用途地域等指定状況

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図Ⅱ-5 土地利用現況

資料:平成 22 年度 都市計画基礎調査

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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(3)市街地の状況

・本市には、ミニ開発※による敷地の細分化・高密度化や住工混在等の問題を抱える

地域が存在しています。

・道路の幅員別の状況をみると、市の東部などを中心に幅員4m未満の道路で構成さ

れた市街地が分布しています。(図Ⅱ-6)

・建替え時期を迎えた過密、狭小な木造共同住宅や長屋建て住宅は、戸建て住宅等に

建て替わりつつあります。

(4)建物・住宅

・都市計画基礎調査によると、市内の建物床面積の約8割が住宅です。(図Ⅱ-7)ま

た、建物床面積の 37.1%が木造・土蔵造でそれ以外が鉄筋・鉄骨鉄筋コンクリート

造や鉄骨・軽量鉄骨造等となっています。建物床面積の約6割は昭和 60 年以前に建

設されたものです。

・市内の住宅数は、平成 20 年の住宅・土地統計調査によると 74,320 戸で、このうち

15.6%が空き家です。近年の動向として住宅総数、空き家数、空き家率とも増加傾

向にあります。また、平成 17 年国勢調査による持家率は 57.1%です。

・市営住宅は 13 団地、773 戸が整備されています。

1-5 都市施設※の整備状況

(1)都市計画道路

・本市の都市計画道路※は、自動車専用道路1路線、幹線街路 24 路線、区画街路1路

線歩行者専用道路3路線、モノレール専用道1路線の計 30 路線(延長 35.99km)が

計画決定され、延長に対する整備率は約 57%となっています。未着手の計画路線の

中には周辺道路の整備や土地利用の変遷などの環境変化によって、整備の必要性、

実現性等が計画当初とは変わってきています。特に東部地区に多くの未着手路線が

残っています。(図Ⅱ-8)

(2)交通施設

・駅前広場は、守口市駅交通広場と大日駅交通広場の2カ所、自転車駐車場は、西三

荘、土居駅前、守口市駅西、大日駅地下の4カ所を都市計画施設※として整備して

います。

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図Ⅱ-6 幅員別道路現況

資料:平成 20 年度 都市計画基礎調査

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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図Ⅱ-7 建物用途現況

資料:平成 21 年度 都市計画基礎調査

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図Ⅱ-8 都市計画道路現況

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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(3)都市計画公園・緑地

・本市の都市計画公園※は、地区公園※1カ所、近隣公園※2カ所、街区公園※57 カ所

の計 60 カ所(面積 22.03ha)が計画決定され、面積に対する開設率は約 94%となっ

ています。都市計画公園のうち街区公園4カ所が未開設公園として残っています。

また、都市計画緑地は、淀川河川公園と鶴見緑地があります。

(4)下水道

・下水道は、昭和 22 年から整備が進められ、西側が市単独の公共下水道守口処理区、

東側が大阪府の寝屋川北部流域下水道鴻池処理区となっています。整備はほぼ完了

し、水洗化率も 99.9%となっています。市内には公共下水道※の守口処理場とポン

プ場4カ所、流域下水道※のポンプ場1カ所が整備されています。

(5)河川

・寝屋川流域は、浸水被害が起きやすい平地が多く、特定都市河川浸水被害対策法に

よる特定都市河川※流域に指定されています。流域では、関係機関の協力により、

総合治水対策が進められ、市内では事業中のものを含め4カ所の調節池※が整備、

計画されています。〔大久保(整備済)、大日南(整備済)、西郷通(事業中)、地下

河川守口調節池(計画中)〕

・淀川では、スーパー堤防(高規格堤防)※の整備が進められていますが、整備期間

が長期化しています。

(6)その他

・上水道は大半を淀川から取水し、守口浄水場で処理した高度浄水処理水※を給水し

ています。現状の水道施設の多くは、更新時期を迎えようとしています。なお、大

阪広域水道企業団の庭窪浄水場、同大庭浄水場、大阪市水道局の庭窪浄水場が市内

に立地しています。

・ごみ処理については、守口市クリーンセンターで焼却を行っています。

・斎場、霊園は本市と門真市、大東市及び四條畷市で組織する「一部事務組合※」に

より、四條畷市の飯盛霊園で運営しています。

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1-6 都市環境

(1)自然環境

・本市は、市域の大半が市街地であり自然環境は多くありませんが、淀川水系寝屋川

流域に属しており、大規模なオープンスペース※として、淀川の河川敷や鶴見緑地

を有しています。西三荘ゆとり道※は、市のほぼ中央部を南北に貫く全長約2㎞に

わたる散歩道で、水や緑とのふれあいの場となっています。

(2)都市環境

・大阪府のヒートアイランド※調査(平成 17 年度)によると、大日周辺やそれをとり

まく地域は、建物や人工排熱※等による熱負荷(大気に放出される熱エネルギー)

が大阪市に次いで高い状況を示しています。淀川沿いや鶴見緑地周辺の熱負荷は低

くなっています。

1-7 都市景観

・本市の都市景観は、国道1号、府道京都守口線沿いの都市的な沿道景観や住宅地な

どの市街地景観を中心に形成されています。大日駅前や守口市駅前の近代的な景観

や、大規模な企業用地、浄水場等の産業景観を有する一方、旧京街道沿いには歴史

的な雰囲気のまちなみが残され、市街地内には寺社や公園の緑が点在しています。

・淀川は、都市の中で広々とした眺めを提供し、鶴見緑地の緑の景観は都市のオアシ

スとなっています。また、大阪モノレールや府道大阪中央環状線、京阪本線からは、

広く市街地を眺望することができます。

1-8 都市防災

・本市には、木造老朽住宅密集地が存在し、大地震が発生した場合、甚大な被害が発

生することが予想されています。市街地の一部は大阪府が「災害に強いすまいとま

ちづくり促進区域※」に指定しており、そのうち大日・八雲東町地区、東部地区の

2地区は重点密集市街地(アクションエリア) ※に指定されています。

・豪雨による浸水が想定される区域も存在しています。

・本市は、都市の防火性能を向上させるため、平成 16 年 12 月に市街化区域※全域に、

防火地域※または準防火地域※を指定しました。

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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2-1 社会動向を踏まえた主要課題

・本市の都市づくりについて、本市をとりまく人口・産業・行財政等の動向や社会的

な要請を踏まえた主な課題を示します。

(1)人口減少・少子高齢社会への対応

・わが国の人口減尐・尐子高齢化の傾向は、今後も続くことが予想されています。

・本市においても、人口総数とともに子どもや働き盛りの人口が減尐し、高齢者数が

増加する傾向にあります。このような状況のもとでは、地域産業や消費・交流、ま

ちづくりなどの都市活動を担う人材の不足をまねくとともに、財政状況に厳しい影

響を与え、都市の活力を減退させることにつながりかねません。

(2)安全・安心な都市づくり

・阪神・淡路大震災(1995.1.17)や東日本大震災(2011.3.11)の教訓を踏まえ、災

害による被害を最小限にとどめる減災※の考え方に基づき、都市構造、地域構造の

形成や、自助・共助・公助※の考え方による地域防災力の向上などの取り組みを多

面的に進めることが必要です。

・日常生活においては、ユニバーサルデザイン※の考え方を踏まえた移動しやすい都

市空間の整備や身近なまちでの生活支援機能の充実、良好なコミュニティの形成な

ど安心して暮らせるまちづくりへの取り組みが求められます。

(3)産業構造の変化への対応

・我が国の製造業は国際競争の激化や景気の変動の中で、再構築を迫られています。

・小売業については、大規模商業施設等の立地により商圏が拡大する一方で、商店街

の衰退や中心市街地の空洞化の問題が生じています。

(4)環境負荷の少ない持続可能な都市づくり

・地球温暖化をはじめとする環境問題の深刻化に伴い、社会全体で循環型社会※、低

炭素社会※の実現を目指すことが必要となっています。このような中、都市計画や

都市整備の分野においても、自動車利用の抑制と公共交通の利用促進、緑化の推進、

都市施設※の長寿命化など、環境負荷の尐ない持続可能な都市づくりを進めること

が重要な課題となっています。さらに、東日本大震災を背景として、太陽光発電や

バイオマス※等、再生可能エネルギー※への転換が、今後一層求められることとなり

ます。

都市づくりの主要課題 2.

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(5)行財政改革への対応

・自治体の財政状況が悪化する一方で、行政需要が多様化かつ増大し、都市経営コス

トの効率化を迫られる状況が全国的な動向としてみられます。

(6)多様な主体による協働のまちづくり

・住民のニーズが多様化する中で、行政だけではなく、市民やNPO※、事業者など

多様な主体が協働してまちづくりの担い手となる「新しい公共※」の活動が期待さ

れています。また、近年の行財政改革の流れを受けて、一部の都市計画事業の府か

ら市町村への権限移譲や民間活力の導入等の取り組みが進められています。

2-2 市域の現況と市民意識からみた主要課題

・本市の都市づくりについて、市街地や都市施設※の現況、及び平成 22(2010)年1

~2月に実施した住民意向アンケート調査結果を踏まえた主な課題を示します。

(1)にぎわい・活力の維持

・本市は、守口市駅周辺、大日駅周辺に都市拠点が形成され、にぎわいを創出してい

ますが、地域住民の生活を支えてきた地元の商店街においては、空き店舗問題をは

じめとする商業の衰退やにぎわいの低下等の問題を抱えています。

・本市のにぎわい・活力を維持するためには、住環境の改善等を通じて魅力あるまち

づくりを進めることによって定住人口※の減尐に歯止めをかけ、若い世代の転入や

定住を促進するとともに、本市を訪れる交流人口※の増加を目指す必要があります。

・そのためには、子育て環境の充実など若い世代が住みやすいまちづくりとあわせ、

高齢者にとっても住みやすいまちづくりを進めることが必要になっています。

(2)計画的な土地利用の誘導

・本市の産業は、大手家電メーカーや多様な中小企業が立地していますが、経済のグ

ローバル化※等の影響により、近年、事業所数は減尐する傾向にあります。また、

商業や農業については、後継者不足等の問題に直面し、空き家・空き店舗が増加す

る傾向がみられます。そのため、工場跡地における建売住宅及びマンション開発や

商店街の中での住宅開発など、土地利用が急激に変化する事例もみられます。

・秩序ある市街地を形成するためには、空き家、空き地等の適正な管理を促すととも

に土地利用の更新に際して、各地区の市街地像に即し、適切な土地利用の誘導を図

ることが必要となっています。

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第Ⅱ章 守口市の現況と課題

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路線バス・市内

循環バス8.9%

自家用車(家族

などが運転を含む)

2.1%

タクシー

1.1%

原付・バイク

0.5%

自転車

43.8%

徒歩のみ

39.3%

その他

0.4%

無回答

3.8%

N=2,896

(3)市街地環境の改善・整備

・市民アンケートによると、若者層の転出希望が多く、30~50 代の住環境の満足度が

低くなっています。定住性を高めるためには、利便性の高さを活かしつつ、緑が豊

かな景観など、若者や子育て層が住みたくなる住環境整備が求められます。

・本市には、市東部を中心に老朽住宅が密集したオープンスペース※の尐ない低層市

街地が形成されており、消防活動困難区域※もあります。

・これらの市街地においては、土地利用の更新とあわせた道路やオープンスペースの

整備、住宅の耐震化など市街地の環境改善に関する取り組み等を進めていく必要が

あります。

・このほか、市南部等での住工混在に伴う問題などさまざまな市街地の問題に対応し

住民や関係者とともにきめ細かなまちづくりを進めていく必要があります。

(4)都市施設の既存ストックの活用

・本市では、早くから都市整備が進められたことから、都市施設※の整備水準が高い

一方で、上下水道など更新時期を迎えた都市施設や老朽化した公共施設が多く存在

しています。今後、限られた財源の中で、多様化する住民ニーズへの的確な対応や

老朽化した都市施設の更新等が求められる状況にあり、行財政改革の一層の推進が

必要となっています。そのため、今後の都市整備においては、効率的な行財政運営

や環境負荷の低減の観点からも、既存ストック※の活用と老朽施設の維持、更新が

重要な課題となります。

(5)生活道路の改善・快適な移動環境づくり

・本市では、市街地のほぼ全域が鉄道駅

から2㎞以内に含まれており、市内の

商業施設等が充実していることから、

徒歩や自転車が日常移動の重要な手

段となっています。一方、市街地の現

状をみると生活道路※の整備や歩道の

ネットワークが十分とはいえない状

況がみられます。

・市民アンケートでは、自転車の通行の

しやすさに対する評価が低く、自由意

見でも人や自転車の通行環境の改善

や生活道路の管理についての意見が

出されています。

・このことから、本市においては、生活道路の改善や歩行者・自転車の移動しやすい

環境づくりが必要とされています。

図Ⅱ-9 自宅から最寄駅までの交通手段

資料:平成 21 年住民意向アンケート調査

Page 16: 第Ⅱ章 守口市の現況と課題 - Moriguchi第Ⅱ章 守口市の現況と課題 7 ・人口が減尐する中、65歳以上の老齢人口が増加し、15~64歳の生産年齢人口や0~

20

(6)潤いある都市環境づくり

・市民アンケートでは、緑や景観に対する満足度が低い結果となっています。一方、

本市は、緑や景観の資源として、淀川河川公園や鶴見緑地、西三荘ゆとり道※等の

オープンスペース※や京街道の歴史的まちなみ等を有しています。

・こういった既存の資源をまちづくりに活かすとともに、官民のそれぞれの参画によ

り、身近な緑の充実や景観に配慮したまちづくりを進めることが求められます。

(7)災害に強いまちづくり

・本市には、密集市街地や淀川、寝屋川の浸水想定区域などが存在し、地震や豪雨に

伴い甚大な被害を受けることが懸念されます。市民アンケートにおいても、地震や

火災に関する安全性に対する満足度が特に低い傾向がみられます。災害に強いまち

づくりを進めるためには、東日本大震災(2011.3.11)等の教訓を踏まえ、被害を最

小限にとどめる「減災※」の取り組みが重要であると考えられます。

・このため、市街地においては、耐火性能の向上や住宅・建築物の耐震化、避難地・

避難路の整備、治水・浸水対策の推進等、総合的な防災対策の推進や、災害時にお

ける各地区での協力体制の確立等、地道な取り組みが必要です。

(8)参画と協働のまちづくり

・今後のまちづくりにおいては、地域住民、行政及び関連団体との協働により、まち

づくり計画の立案、施設の維持管理、防災組織の強化等、各方面での活動が重要に

なっています。自主防災組織※や要援護者支援組織の結成等、地域主体のまちづく

りが求められます。

・市民の参画、協働のまちづくりを進めるためには、情報の共有や人材の育成、活動

の場・機会の提供等の取り組みが課題となります。