空家等対策の推進に関する特別措置法第6条の規定に基づく 飛騨市空家...

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空家等対策の推進に関する特別措置法第6条の規定に基づく 飛騨市空家等対策計画 平成29年6月

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Page 1: 空家等対策の推進に関する特別措置法第6条の規定に基づく 飛騨市空家 … · に伴い、全国的にも空家が増加しており、平成25年の住宅・土地統計調査によると、

空家等対策の推進に関する特別措置法第6条の規定に基づく

飛騨市空家等対策計画

平成29年6月

飛 騨 市

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はじめに

近年、地域における人口減少や既存の住宅・建築物の老朽化、社会的ニーズの変化

に伴い、全国的にも空家が増加しており、平成25年の住宅・土地統計調査によると、

その戸数は、約820万戸で、住宅総数に占める割合は13.5%となっています。

このような空家の中には、適正に管理されていないことにより、安全性の低下、公

衆衛生の悪化、景観の阻害などの問題を生じさせ、地域住民の生活環境に深刻な影響

を及ぼしているものがあり、今後、空家が増加すると一層深刻化することが懸念され

ています。

こうしたなか、国では、空家等に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって

公共の福祉の増進と地域の振興に寄与することを目的として、平成26年11月に

「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空家法」という。)が公布され、平

成27年5月に全面施行されました。

空家法第6条では、市町村は、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施する

ために空家等に関する対策についての計画(以下「空家等対策計画」という。)を定

めることができると規定されています。

このような背景を踏まえ、本市における今後の空家等の対策を総合的かつ計画的に

進め、また、市の空家等対策について市民に周知することを目的に飛騨市空家等対策

計画を策定します。

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目 次

1.市の背景、空家等の現状と課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・P1

(1)背景

(2)現状

(3)課題(問題)

2.空家等に関する対策の基本的な方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・P9

(1)空家等に関する対策の対象とする地区

(2)計画期間

(3)基本的な対策の方針

(4)対象とする空家等の種類、対応方針

3.空家等対策の推進に関する事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・P12

(1)空家化の予防

(2)空家の流動化・活用の促進

(3)管理不全状態にある空家の解消

4.空家等の調査 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P20

(1)調査概要

(2)調査対象地区

(3)調査期間

(4)調査対象空家

(5)調査方法及び内容

(6)調査結果の取り扱い

(7)関係機関との情報共有

(8)継続した情報収集(把握)

5.空家等対策の実施体制に関する事項 ・・・・・・・・・・・・・・・・P22

(1)空家等対策庁内会議及び空家等対策協議会

(2)関係者の役割

(3)各種相談先

6.空家等に関する対策の実施に関し必要な事項 ・・・・・・・・・・・・P25

(1)法と条例の関係について

(2)空家等対策に関する条例の整備について

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1.市の背景、空家等の現状と課題

(1)背景

○人口減少社会の到来と高齢化の進展

国勢調査等によると、本市における人口は年々減尐しており、合併前の平成12

年の調査では、旧4町村の合計が約3万人であったのに対し、平成22年の調査で

2万6千7百人となり、平成27年では2万4千6百人と更に減尐しており、今後

も減尐が続くと推計されています。また、世帯数についても同様で、平成12年の

調査で9千3百世帯であったのが、平成27年調査では8千5百世帯と減尐し、推

計数値はありませんが推計人口と同様に減尐傾向が続くと推測されます。

年齢別人口では、平成22年では3人に1人が65歳以上の高齢者となっており、

平成42年には、概ね2.5人に1人が高齢者となる見込みです。

居住者の死亡などにより空家等の発生につながる可能性の高い高齢者単身世帯

については、平成12年の6.8%が平成27年では12.3%に増加し、今後も

増加していくことが予想されます。

【表1】 飛騨市の人口及び世帯数の推移

※H12は合併前旧 4町村の数値 [出典]実績値(H27まで):国勢調査

推計値(H32以降) 日本の世帯数の将来推計(2014 年4月推計、国立社会保障・人口問題研究所) 日本の地域別将来推計人口(2013年3月推計、国立社会保障・人口問題研究所)

○住宅ストックの現状

平成25年住宅・土地統計調査によると、住宅数が約1万戸に対し、世帯数は約

8千4百世帯と住宅数が世帯数を大きく上回っており、乖離傾向にあります。こ

の住宅が過剰な状況は、人口減尐傾向と相まって、今後の空家等の増加の要因に

なると考えられます。

【表2】 飛騨市の住宅数、世帯数の推移

[出典]平成 15~25年住宅・土地統計調査:総務省

H12(参考) H17 H22 H27 H32 H42

人口(人) 30,412 28,902 26,732 24,696 22,939 19,231

65歳以上の割合 26.3% 30.0% 33.3% 37.4% 40.0% 42.5%

世帯数(件) 9,367 9,046 8,770 8,509 - -

高齢者単身世帯割合 6.8% 8.4% 10.0% 12.3% -% -%

H15(参考古川のみ) H20 H25

住宅数(戸) 4,920 10,310 10,120

世帯数(世帯) 4,520 8,830 8,410

住宅数-世帯数 400 1,480 1,710

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(2)現状

○飛騨市の空家数・空家率の推移

本市の空家については、平成20年に約1千4百戸(空家率:13.6%)であ

ったものが、平成25年には約1千6百戸(空家率:16.4%)と、5年間で

250戸の増加となり、空家率については、平成25年には、県平均の15.2%

を大きく上回りました。

【表3】 飛騨市の住宅数、空家数の推移

[出典]平成 15~25年住宅・土地統計調査:総務省

【表4】 空家率の推移(%)

[出典]平成15~25年住宅・土地統計調査:総務省

〇水道休止データを活用した空家数(推計値)

水道休止データを活用した空家等実態調査を行った結果、本市の空家数は802

件でした。平成25年住宅・土地統計調査の空家数に対する割合が、県平均では約

1/4であったのに対し、本市は約1/2と県全体と比較して高い数値となりまし

た。

H15(参考古川のみ) H20 H25

住宅数(戸) 4,920 10,310 10,120

空家数(戸) 350 1,410 1,660

H15 H20 H25

全 国 12.2 13.1 13.5

岐阜県 13.0 14.1 15.2

飛騨市 7.1(参考古川のみ) 13.6 16.4

空家等実態調査(水道休止データ)の活用

○水道データのうち、休止データから空家等の推測を行った。

○休止中のデータから下記の要件で集計した。

①休止から 1 年以上経過していないものは除く(基準日:平成 28 年 3 月 1 日)

②氏名と開栓場所が同一な者が複数開栓している場合、1 と数える

③設置者が公共団体等もしくは公共施設等は除く

④共同住宅等で休止しているものを除く

以上の条件で集計したところ 802 件が該当となった。

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○飛騨市における空家の特徴

ア 用途別の特徴

住宅・土地統計調査において、「空家」は次のように分類されています。

・二次的住宅・・・別荘やセカンドハウスとして使用しているもの

・賃貸用住宅・・・賃貸のために空家になっているもの

・売却用住宅・・・売却のために空家になっているもの

・その他の住宅・・・長期不在や建て替えに伴う解体予定のもの

同調査では、特定空家等となる可能性が高い「その他の住宅」は平成20年

以降、空家数の増加とともに急速な増加傾向にあります。平成25年では市内

に約1千3百戸存在し、空家総数に占める割合は、全国平均の38.8%、県

平均の43.2%を大きく上回る78.3%と非常に高い水準となっています。

【表5】 飛騨市の「空家」 用途別内訳(単位:戸)

[出典]平成15~25年住宅・土地統計調査:総務省

空 家

総数

(A)

二次的

住宅

(別荘・セカンドハウス)

賃貸・売却用

住宅

その他の住宅

(長期不在・建て替えに伴う解体予定)

数(B) 割合(B/A,%)

(参考) H15古川のみ 350 30 90 230 65.7

H20 1,410 100 320 990 70.2

H25 1,660 80 280 1,300 78.3

(参考) H25岐阜県 133,400 8,900 66,900 57,600 43.2

(参考) H25全国 8,195,600 412,000 4,600,000 3,183,600 38.8

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イ 空家「その他の住宅」の建て方・構造別特徴と老朽化の状況

平成25年調査では、「その他の住宅」の建て方・構造の内訳では、980

戸(75.4%)が耐用年数が比較的短い「一戸建(木造)」であり、県平均(7

8.5%)を尐し下回りましたが、全国平均(69.1%)と比較しても高い

割合となっています。

【表6】 「その他の住宅」の建て方・構造別戸数内訳

(上段:戸数(戸)※全国のみ(千戸) 下段:空家総数に占める割合(%))

※ 数値の四捨五入処理により割合の合計は一致しない。

[出典]平成25年住宅・土地統計調査:総務省 また、「その他の住宅」の約4割が老朽化(外観から「腐朽・破損ありと判断さ

れたもの)しており、全空家における老朽化の状況(概ね3戸に1戸)と比較し

ても高い割合となっています。

【表7】 空家のうち、老朽化空家(外観から「腐朽・破損有」判断された空家)の割合(%)

[出典]平成25年住宅・土地統計調査:総務省

○飛騨市の空家の現状まとめ

本市における空家等の現状をまとめると、以下のとおりです。

・空家数と空家率は、ともに増加傾向である。

・実態調査(水道休止データ)による空家等件数も県全体に比較して高い。

・適正な管理がなされず特定空家等となる可能性が高い「その他の住宅」の空家

総数に占める割合が、県や全国に比較して非常に高い。

・「その他の住宅」の中でも、耐用年数が比較的短く危険空家等となる可能性の

高い「一戸建て(木造)」の割合が、全国に比較して高い。

その他の住宅

総数 一戸建 長屋建・共同住宅・その他

木造 非木造 木造 非木造

飛騨市 1,300 980 40 10 270

100 (75.4) (3.0) (0.8) (20.8)

岐阜県 57,600 45,200 2,300 2,100 8,000

100 (78.5) (4.0) (3.6) (13.9)

全 国 3,184 2,200 106 237 641

100 (69.1) (3.3) (7.4) (20.1)

全空家 二次的住宅 賃貸用住宅 売却用住宅 その他の住宅

飛騨市 35.5 12.5 9.5 14.3 41.5

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(3)課題(問題)

○空家が引き起こす課題(問題)

空家は大きく「利活用が困難な空家」と「利活用が可能な空家」の2つに区分さ

れます。

利活用が困難な空家が引き起こす課題(問題)は、安全、防犯、衛生、景観など

多岐にわたり、一様ではありません。本市においても、管理されず放置され周辺

環境に悪影響を与えている空家が数多くみられます。放置された空家が引き起こ

す課題(問題)の具体的な例を挙げると以下のものがあります。

ア 安全(防災)上の問題

空家等が放置されると、建物自体の倒壊や屋根の落下、外壁の崩壊などが発生

し、近隣住民等に対してとても危険な問題を引き起こします。特に密集市街地や

交通量の多い道路、通学路に空家が位置している場合は、倒壊した場合の被害が

大きくなります。

○放置された空家の一例

イ 防犯上の問題

空家等への不審者の不法侵入や放火などにより、空家が犯罪の温床となる可能

性もあります。

ウ 衛生(生活)上の問題

敷地内へのゴミ等の放置や不法投棄による異臭や草木の繁茂による病害虫の

発生、樹木の枝の越境等、近隣の生活環境に悪影響を与え、地域住民の日常生活

にも支障をきたす可能性もあります。

エ 景観上の問題

空家が倒壊したまま放置されたり、屋根、外壁等が、汚物や落書き等で外見上

大きく傷んだり、多数の窓ガラスが割れたまま放置されたりすることで、周囲の

景観を著しく損なうこととなり、特に観光地や密集市街地等では、その地区全体

のイメージを低下させることにもなります。

家屋の一部が崩れ落ちており、倒壊す

る危険性もある状態です。

家屋は市道にも面しており、通学路に

もなっていることから、飛騨署により応

急的にバリケードが設置され、市では注

意喚起をしました。

所有者等に対して、家屋の除却も含め

て、適切な措置を行うように指導しまし

た。

※平成 28 年 12 月 12 日に家屋解体・撤去済

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オ その他の問題

空家等が増加することで降雪期の除雪の問題や居住者が減尐することにより

地域コミュニティの活力が低下する問題があります。

また、空家等の増加に伴い地域全体としての不動産価値の低下にもつながりま

す。

○所有者の課題(問題)

一般的に指摘されていることやこれまでの周辺住民等の相談内容から、空家等

所有者等については、次のような課題があると思われます。

ア 意識的な課題(問題)

・転出し遠方に居住していることで、空家等所有者や管理者としての管理責任

への意識が低くなっていく。

・転出の際、空家等を賃貸や売却することを意識していない。

・帰省時の利用を考えているため家財道具を含め手放すことに抵抗がある。

・賃貸や売却を希望しても借り手や買い手がいないと思っている。

イ 経済的な課題(問題)

・適正管理や改修、除却費用を捻出する余裕が無い。

・除却後、固定資産税の負担が増加することを懸念している。

利活用が可能な空家は、活用次第では市にとっても大きな資産となる可能性を秘めて

います。しかしながら、時間が経つにつれて、その価値はどんどん低下してしまうため、

尐しでも早く新たな活用等について考える必要があります。

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○これまでの空家対策に関する課題への対応

これまでの空家対策には、以下の課題があり、今後はこれらの課題の解決に向け

て検討する必要があります。

ア 空家化の予防

新たな空家化を防ぐため、空家等になる前の所有者等(空家予備軍)に対して

管理意識の向上と空家化防止策を周知していく必要があります。

イ 実態の把握

空家等の実態(どこに、どのような状態の空家等があるかなど)を把握する必

要があります。特に急な対策が必要と思われる空家等(老朽化や損傷が激しく、

倒壊の恐れがある危険空家等)の情報を把握し、今後の対策を検討していく必要

があります。

ウ 管理不全空家等の予防

危険な状態の空家等を増やさないため、管理責任を有する所有者等に対し適正

な管理の手法や啓発等、発生を抑制する働きかけや情報を提供することが必要で

す。

また、市民に対して市としての空家等に対する対応方針を周知していく必要が

あります。

エ 利活用の推進

市外からの移住や市内での住み替えを希望される相談者に対し、安心・安全・

確実に住宅が確保できるよう空家物件の情報収集、公表、仲介支援を行う必要が

あります。

居住者の減尐(空家等の増加)に伴う地域コミュニティの活力低下を防ぐため、

空家を取得する移住希望者に対して改修費用の助成を行う等、空家等の有効活用

を通じ地域のさまざまな課題の解決と活性化につなげる取組みを支援する必要

があります。

オ 特定空家対策の実施

危険な状態の空家等の解消については、市から所有者等への適正な管理に関す

る指導・要請から始まり、最終的には法令に基づく助言指導等の措置が必要とな

る場合もありますが、これらの対応手順等が明確となっていません。

さらに、危険な状態の空家を増やさないための適正管理方法、空家等を増やさ

ないための利活用も必要となります。これらの対策については、これまでは移住

政策や防災・防犯政策といった観点からそれぞれの担当部局が対応しており、空

家等対策という観点からの取り組みが十分ではありません。

空家等対策においては、管理責任を有する所有者等への働きかけや情報提供が

最も重要ですが、前述のとおり、推進体制や役割分担が明確となっていないため、

的確な対策を施す必要があります。

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カ 推進体制

空家等は、第一義的には所有者等が自らの責任により適正に管理すべきである

ことを前提とし、空家等がもたらす課題を地域の課題と捉え、行政はもとより地

域住民及び民間事業者等の役割を明確化した上で、それぞれが連携・協力する推

進体制を構築し、効果的な対策を実施していく必要があります。

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2.空家等に関する対策の基本的な方針

(1) 空家等に関する対策の対象とする地区

飛騨市における空家等に関する対策の対象とする地区は、市内全域とします。

ただし、今後行う空家等に関する調査等の結果、他の地区と比べて著しく空家率

が高い等の理由により、空家等に関する対策を重点的に推し進める必要がある地区

がある場合は、重点地区を定めることとします。

(2)計画期間

本計画の期間は、5年間とします。

なお、本計画は、継続して適正な進行管理を行うとともに、各種施策の実施によ

る効果や社会状況の変化等により、必要に応じて見直しを図るものとします。

対象地区:市内全域

計画期間:平成29年度から平成33年度まで

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(3)基本的な対策の方針

本市では、現に適正な管理がなされていない空家等を原因とした様々な問題が発

生しています。この状況は尐子高齢化、人口減尐と相まって更なる事案の増加、進

行が予想されます。

このような状況から、市民が「あんき」に暮せるまちづくりのために迅速かつ効

果的な対策を講じていくため、次の3つの対策を空家等対策計画の3本柱として推

進します。

○空家等対策の3つの基本方針

空家等対策の基本方針①

「空家化の予防」 ・地域と連携し、空家等の実態把握に努めるとともに、所有者等やその家族に対し、

適正な管理の基本的な考え方や管理不全による諸問題、相続等による不動産の円

滑な継承方法等を周知・徹底していく中で責任意識の醸成を図ります。

また、これらの問題を解決するために市として相談窓口を整え、空家化の予防

に努めます。

空家等対策の基本方針②

「空家の流動化・活用の促進」 ・空家の流動化、空家等の有効活用を促進するため、不動産、建築、金融分野の専

門家と連携し、利活用等の総合的な窓口として対応できる相談体制を整備します。

・市で実施している空家バンク「飛騨市住むとこネット」による幅の広い情報の発

信、地域等とのマッチングにより、「買い手・借り手」と「売り手・貸し手」の橋

渡しを積極的に支援します。

・空家等の購入や改修、他用途転用等について各種補助制度等を設ける等、積極的

に支援します。

空家等対策の基本方針③

「管理不全状態にある空家の解消」 ・管理不全状態にある空家等については、現地調査や所有者確認を行い、空家法に

基づく助言、指導、勧告、命令などの必要な措置を講じます。

・全く改善がなされず、周辺に対する影響度、危険度が極めて高い場合は、必要に

応じて本市が代執行を行います

・他法令での措置により是正が可能な場合は関係部署、関係機関と連携しながら、

空家等全般に対し必要な措置を講じます。

・特定空家等の除却に対する支援方法等について検討をしていきます。

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(4)対象とする空家等の種類、対応方針

本計画で対象とする空家等の種類は、空家法第2条第1項※1 に規定する空家等

とします。

空家等における状況別の対応方針は、以下のとおりとします。

※1 建物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態

であるもの及びその敷地(立木その他の土地に定着するものを含む。)をいう。

管理状況 空家の状態 所有者の意向 区分 対策内容

適切に管

理されて

いる空家

そのままで利

活用可能な状

利活用等の計画がある ― 対策の必要なし

利活用等の計画はなく、対

応に苦慮している。 (イ)

利活用等に向けた助言及び

支援

そのままでは

利活用が不可

能な状態

利活用等の計画がある ― 対策の必要なし

利活用等の計画はなく、対

応に苦慮している。 (イ)

利活用等に向けた助言及び

支援

適切に管

理されて

いない空

地域の生活環

境に影響を与

えていない状

利活用等の計画がある (イ) 管理指導

利活用等の計画はなく、対

応に苦慮している。 (イ)

管理指導、利活用等に向け

た助言及び支援

所有者の特定が困難な状態 (ロ) 所有者等の調査、管理指導

地域の生活環

境に影響を与

えている状態

利活用等の計画がある (ロ) 除却及び利活用等の助言及

び指導

利活用等の計画はなく、対

応に苦慮している。 (ロ)

除却及び利活用等の助言及

び指導、勧告、命令、代執

所有者の特定が困難な状態 (ロ)

所有者等の調査、除却等の

助言及び指導、勧告、命令、

代執行

※区分…(イ)空家等の除却及び利活用について、所有者から相談があったもの

(ロ)管理が不適切な空家等について、地域住民から相談若しくは苦情があったもの

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3.空家等対策の推進に関する事項

(1)空家化の予防

〇所有者等による適正な管理の促進

空家問題の第一の要因は、所有者等による適正な管理義務意識の低さと、放置

することによる周辺環境に与える影響への認識不足によるものです。空家等は、所

有者等の財産であり、第一義的には所有者等が自らの責任で、適正な管理に努める

必要があります。所有者等の空家等に関する意識の醸成を図ることが空家等の適正

な管理につながります。

また、空家等になる前の段階から住宅の適正な管理についての責任、重要性につ

いて意識を持ってもらうことが空家等の発生抑制につながることから所有者等の

みならず市民に向け、次の取り組みを推進します。

ア 講習会、勉強会等による啓発

空家問題を地域全体の問題と捉え、自治会や民間団体等と連携し空家等に関す

る講習会や勉強会等を実施します。

イ 広報誌、ホームページ、チラシ等による啓発

既に行っている固定資産税納税通知書の送付時に配付している「飛騨市住むと

こネット」のチラシのほか適正管理についてのチラシを作成し、納税通知書の発

送時や転出届、死亡届の際に配付するとともに、市ホームページや広報等でも情

報を提供し、空家等の適正管理について所有者の意識向上を図ります。

参考:適正管理チラシ(岐阜県)

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ウ 相続等の事前対策、相続登記等の促進

所有者等の急な死亡により相続登記がなされず、相続人や管理者等が不明と

なることが管理不全状態の空家等を発生させる一因となっています。そこで、

所有者等存命の内から、死亡等した場合の住宅等の管理・処分の方法の決定や

相続・滅失登記に向けた事前準備等について、市のホームページや広報等を利

用した情報提供を行い、意識向上を図ります。

また、生前または相続発生時、建物の滅失の際に速やかに相続・滅失登記が

できるよう、司法書士会や土地家屋調査士会等と連携し、相談会や相談窓口の

開設等の実施を検討します。

所有者等が死亡し空家となる場合、市役所窓口での死亡届等の手続き時にお

いて、管理者連絡先等が把握できるよう検討していきます。

エ 空家等の全般相談窓口の設置

空家等に関する問題は多種多様であるため、所有者等が適正な管理を行うに

当たって、どこにどのように相談すればよいのか分からないといったことも考

えられます。

そこで、市では空家等全般相談窓口を設け、各種相談に対応するほか、相談

内容により各所管部署等への橋渡しを行います。

<空家情報収集相談窓口>

飛騨市総務部総務課内

□TEL:0577-73-7461

□収集・相談時間:毎週月~金 8:30~17:15(祝休日除く)

<空家等全般相談窓口>

飛騨市総務部総務課

□TEL:0577-73-7461

□収集・相談時間:毎週月~金 8:30~17:15(祝休日除く)

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(2)空家の流動化・活用の促進

空家等や空家等を除却した跡地は、所有者等の財産であることはもちろん、地域

においても活性化につなげることができる貴重な資産です。所有者等に対して、有

効活用を促し、市街地等の活性化、観光誘客、移住定住の促進等を図ることが、飛

騨市の魅力アップにも繋がります。

このため、市では下記の取組により、空家等の利活用を推進していきます。

ア 利活用に対する普及啓発

本市は、飛騨市空き家情報サイト「飛騨市住むとこネット」(空き家バンク)

での市内宅地建物取引業者(以下「宅建業者」という。)との連携に続き、市金

融協会も加えた「飛騨市における空き家等の有効活用の促進に関する協定」を締

結しました。

今後も様々な連携、協力を得ながら、空家等の所有者等に対し、空家等の利活

用について普及啓発していきます。

□行政、市内宅建業者、市金融協会がこれまで各々で取り組んできた空家関連事

業の情報を、空家の利活用希望者に対して一括で提供する工夫をしていきます。

また、空家関連、移住関連等の新たな支援策を連携、協議しながらその方策を

検討していきます。

□固定資産税納税通知書等に「空き家募集」チラシを同封する等、空家所有者に

空家をどうしていくか考えていただきます。

イ 空家等物件の状態・品質の把握

中古住宅の購入希望者が、物件の状態・品質を把握できるようにするため、第

三者が客観的に住宅の検査・調査を行うインスペクション(既存住宅現況検査)

の実施を関係する民間事業者に働きかけるとともに、「既存住宅インスペクショ

ン・ガイドライン」の普及啓発に努めます。

ウ 利活用可能な空家情報の発信

空家の利活用希望者が、市内の空家情報を

容易に入手できるよう空家情報提供サイト

「飛騨市住むとこネット」の存在を全国規模

の移住促進サイトに掲載し、移住関連イベン

トで宣伝チラシを配布する等、市内外に広く

発信するとともに、発信する内容についても

充実させます。

空家情報提供サイト「飛騨市住むとこネット」http://www.city-hida.jp/sumutoko-net/

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エ 空家等の購入者、改修者に対する支援

空家等を有効に活用するため、空家等の取得や改修工事、耐震診断、耐震改

修工事にかかる資金を市が支援するとともに、不足する資金に対して活用でき

る金融ローン商品等を紹介します。

□利活用制度に係る補助制度の更なる充実をはかります。

□利活用を促進する国、県の事業を積極的活用します。

オ 空家等の他用途への利活用

空家等は従来の用途以外へ転用することで、新たな価値が発掘され、地域活

性化に繋がることもあります。本市では、市民等の意見を聞き、関係する民

間団体等と連携し、空家等を観光施設や文化施設、福祉施設等の他用途で利

活用する方法を検討していきます。

カ 除却した跡地の有効活用の研究

今後、危険空家等の除却が進むことにより、空き地が増加することも懸念さ

れます。空き地についても安心・安全なまちづくりの観点から、有効な活用

がなされるよう研究を進めていきます。

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(3)管理不全状態にある空家の解消

特定空家等とは、空家法第2条第2項において、以下の状態にある空家等と規

定されています。

・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態

・著しく衛生上有害となるおそれのある状態

・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態

・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

また、市では条例により、特定空家等のうち、そのまま放置すれば倒壊等著し

く危険となるおそれのある状態のものを「危険空家等」と規定しています。

ア 基本的方針

空家等のうち、特定空家等(危険空家等)に該当するおそれのあるものにつ

いては、速やかな改善が求められることから、所有者等に対して早期に助言又

は指導を行うことが必要です。

このため、特定空家等に該当するか否かの判断にかかわらず、市は所有者等

に対し、除却、修繕、立木竹の伐採、その他周辺の生活環境の保全を図るため

に必要な措置をとるよう、助言又は指導を行い、まずは所有者等自らの責任に

おいて、早期に解決が図られるように努めます。

再三の指導にもかかわらず改善が見られない場合に、空家法第9条第2項の

立入調査を実施するかを判断し、その必要性が認められた場合に立ち入り調査

を実施し、特定空家等に該当するかどうかを判断します。

イ 特定空家等の判断基準

空家等が特定空家等に該当するか否かを判断する基準は、「『特定空家等に対

する措置』に関する適切な実施を図るために必要な指針(ガイドライン)」に

定める内容を基本とします。

ウ 特定空家等に関する判定の手続き

空家等が特定空家等に該当するか否かについては、空家等の多角的な観点か

ら判断する必要があるため、市の関係各課の長で組織する「飛騨市空家等対策

庁内連絡会議」(以下「庁内連絡会議」という。)に意見聴取し、「飛騨市空家

等対策協議会」(以下「市協議会」という。)の意見を踏まえたうえで判断する

ものとします。

エ 飛騨市空家等対策協議会との調整

特定空家等に対して、空家法第14条に基づく措置を講ずるか否かについて

は、市は市協議会に諮り、判断するものとします。

オ 特定空家等に対する措置

特定空家等に対する措置については、ガイドラインに基づき「周辺への悪影

響の程度等について考慮する」必要があり、県が作成した「危険空家等対応マ

ニュアル」を参考として実施します。対応については、以下のとおりです。

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□初期指導

市民からの情報提供によりその状況に応じて担当課による現地調査を実施し、

所有者を特定し、適正な管理について初期指導を行います。

□空家法に基づく対応

初期指導→立入調査→特定空家の判定

所有者等に対し、適正な管理が行われるよう粘り強く指導を行います。再三の

指導にもかかわらず改善がみられない場合には、立入調査を実施します。特定空

家等の可能性があると判断される空家等については、市協議会の助言・協力を得

て、特定空家等として判定します。

特定空家→空家法「助言・指導」

特定空家等と判定した空家等の所有者等に対して、市協議会に諮りながら空家

法に基づく「助言・指導」を行います。

所有者不明の場合の措置

なお、所有者が不明(所有者がいない)な場合には、市協議会に諮りながら個

別に対応していくことが考えられます。対応策としては、「財産管理人の選任」

により適正な管理をしていく方法や「略式代執行」により必要な措置を行うこと

が考えられます。

空家法に基づく「勧告」

再三の助言・指導にもかかわらず改善がみられない場合には、勧告の検討を行

い、市協議会に諮って「勧告」を実施します。

空家法に基づく「命令」

勧告を行っても改善が見られない場合は、所有者等に対し事前に意見を述べる

機会を設けたうえで、履行期限を定めて必要な措置を講じるよう「命令」します。

空家法に基づく「行政代執行」

命令を行っても改善がみられない場合は、「行政代執行」を行います。なお、

行政代執行の実施に当たっては、状況に応じて適宜庁内連絡会議を開催し協議し

ます。

□勧告した場合の措置

空家法に基づく「勧告」を行うことにより、当該空家等には固定資産税は課

税されませんが、住宅用地の特例が解除されます。

※参考 固定資産税の住宅用地の特例

※アパート・マンション等の場合は、戸数×200㎡以下の部分が小規模住宅用地となります。

※併用住宅の場合は、建物の構造、階数、住宅としての利用部分の割合により、住宅用地と

なる面積が異なります。

住宅用地の区分 住宅用地区分の範囲 特例率

固定資産税

小規模住宅用地 面積が200㎡以下の住宅用地(200㎡を超える場合

は1戸当たり200㎡までの部分) 1/6

一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地 1/3

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□条例に基づく命令に従わないに場合の措置

命令に従わない場合は、氏名等の公表を行います。

○飛騨市特定空家等対策条例(平成 23 年 3月 28 日飛騨市条例第 4号) (公表) 第 10 条 市長は、前条の規定による命令を行ったにもかかわらず、当該所有者等が正当

な理由なく命令に従わない場合は、次の事項を公表するものとする。 (1) 住所(法人にあっては、主たる事務所の所在地) (2) 氏名(法人にあっては、名称及び代表者の氏名) (3) 命令の対象である特定空家等の所在地 (4) 命令内容 (5) その他市長が必要であると認める事項

カ 特定空家等の除却(解体)補助等

危険空家等であっても、個人の財産であり、所有者等が責任を持って対応しな

ければなりません。しかし、所有者等によっては除却費用を負担することが困難

な場合もあります。

そのため、市民の安全で安心な生活環境を確保し、所有者の自発的な除却を促

進するため、危険空家等の除却費用の一部を助成する制度の創設を検討します。

また、除却後の固定資産税の減免等も検討します。

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再三の指導にも未対応

担当課決まっていない場合

再三の指導にも未対応

税特例解除

過料

YES

NO

NO

YES

不明の場合

YES

庁内連絡会議

庁内連絡会議

氏名等の公表

※特定空家等への対応フロー

空家等の情報把握

職員による現地調査

所有者等の調査

現地確認

初期助言・指導

担当課決定

特定空家等の判断

助言・指導

現地確認

勧告実施の判断

勧告

意見書提出機会付与の通知

命令

戒告書による通知

代執行命令書による通知

行政代執行

助言

協力

市協議会

現地確認

特定空家等の検討

勧告実施の検討

庁内連絡会議

立入調査 実施の判断

助言指導内容の検討

状況に応じて

適宜開催

助言

協力

市協議会

立入調査 実施の判断

立入調査

助言

協力

市協議会

特定空家等の検討

特定空家等の判断

対応方法の検討

対応方法の判断

民法で対応 (財産管理人選

任等)

略式代執行

情報記録簿

情報記録簿

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4.空家等の調査

(1)調査概要

本市では、早急な対策が必要と思われる空家等(老朽化や損傷が激しく、倒壊の

恐れがある危険空家等)の調査を実施しました。

実態調査は、自治会・町内会等に依頼して行う1次調査と、市の空家担当課が行

う2次調査があります。

(2)調査対象地区

1次調査は、市内全域を対象として平成27年に各4町(古川・河合・宮川・神

岡)自治会に依頼し、実施しました。今後は職員による2次調査を行い、より詳細

に調査をしていく予定です。1次調査についても平成28年以降も自治会より随時

受け付けています。

2次調査は、1次調査にて把握した空家等候補物件や市民等からの通報物件を調

査対象に行います。

(3)調査期間

2次調査は、平成29年度中に実施する予定です。調査終了後も、空家等の実態

を継続的に把握するために、補足調査を随時実施する予定です。

(4)調査対象空家

調査の結果、周辺に悪影響を及ぼしている空家等は、空家法第2条第2項に規定

する特定空家等と認められるかの判断を行うことになります。

(5)調査方法及び内容

2次調査は、1次調査における調査項目の再確認に加え、下記に示す詳細な項目

について調査を実施し、使用実績や周辺に及ぼしている悪影響等を把握します。

ア 空家等の所有者等への聞き取り調査

イ 空家等の近隣への聞き取り調査

ウ 外観調査

エ 所有者等特定調査

所有者等が不明の場合は、空家法第10条に基づく固定資産税情報等の利用のほ

か、「地方公共団体における家屋調査の手引き vol.1」を参考として所有者等の特

定を図ります。具体的な特定方法は以下のとおりとします。

【所有者等の特定方法】

○ 固定資産税情報等の利用 ・税務・戸籍等担当部局等と連携し、行政情報の内部利用により特定

○ 住民等への聞き取り ・自治会(共同住宅などの場合には、管理会社や管理組合)への聞き取り

○ 登記簿謄本等の活用

・登記簿謄本を入手するには、空家の家屋番号(通常は敷地の地番と同じ)を特定 する必要があるため、住宅地図及び公図を活用します。

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(6)調査結果の取り扱い

1次調査、2次調査の実施結果を踏まえて、市内における空家等の実態を把握し

ます。調査の結果、周辺に悪影響を及ぼしていると考えられる空家については、特

定空家等に該当するかどうかを判断し、「空家等情報記録簿」等に記録して管理しま

す。

(7)関係機関との情報共有

市は、集約した空家等の情報を必要に応じ、関係部局で共有し、空家等対策に活

用します。なお、特定空家等にかかる情報については、県及び影響を及ぼすと考え

られる周辺市町村に提供します。

(8)継続した情報収集(把握)

市は、空家等の情報を継続して収集し、その情報を有効活用します。継続した情

報収集のため、情報収集相談窓口を次のとおり設置します。

<空家等情報収集相談窓口>

飛騨市総務部総務課

□TEL:0577-73-7461

□収集・相談時間:毎週月~金 8:30~17:15(祝休日除く)

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5.空家等対策の実施体制に関する事項 (1)空家等対策庁内会議及び空家等対策協議会

ア 飛騨市空家等対策庁内連絡会議

空家等の対策に当たっては、必要に応じ庁内の関係部局と協議を行います。そ

のため、庁内の関係部局で構成する庁内連絡会議を設置し、市協議会と連携して、

迅速で適切な対応が実施できる体制を整えていきます。

□主管部局

空家等に関する対策にかかる事務の主管部局は、総務部総務課とします。

□庁内組織

庁内組織として、総務課長を委員長、都市整備課長と地域振興課長を副委員

長とする関係部署で組織する「飛騨市空家等対策庁内連絡会議」を組織します。

□飛騨市空家等対策庁内連絡会議(庁内連絡会議)

イ 飛騨市空家等対策協議会

市長を会長として、市内の空家対策に関連する団体と警察署で組織する「飛騨

市空家等対策協議会」を組織します。

□飛騨市空家等対策協議会

飛騨市古川町建築士会、神岡建築四会

(公社)岐阜県不動産鑑定士協会、

(公社)岐阜県宅地建物取引協会飛騨支部

岐阜県土地家屋調査士会高山支部、岐阜県司法書士会高山支部

飛騨市金融協会、古川町区長会、河合町自治会、宮川町区長会

神岡行政区長会、飛騨市民生委員児童委員協議会、飛騨警察署

岐阜県都市建築部住宅課、飛騨市議会、飛騨市関係部

部 名 課 名

総務部 総務課、税務課、危機管理課

基盤整備部 都市整備課、建設課

企画部 地域振興課

環境水道部 環境課

市民福祉部 地域包括ケア課、障がい福祉課

商工観光部 商工課、観光課

教育委員会事務局 学校教育課、文化振興課

消防本部 総務課

河合振興事務所 総務市民福祉係

宮川振興事務所 総務市民福祉係

神岡振興事務所 総務係

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(2)関係者の役割

空家等対策においては、市と地域住民、民間事業者がどのような役割を主体的に

果たすのかを明確にすることが、効果的な対策の実施につながります。

ア 市の役割

市は、地域の安全・安心なまちづくりを推進する観点から、空家法や空家等対策計

画に基づき、主体的な役割を担います。

イ 地域住民(自治会)の役割

地域住民は、自らの住まいの空家予防に対する努力はもちろんのこと、市や民間事

業者等の取組みに協力し、空家等の発生・放置が起こらないよう良好なコミュニティ

活動を推進する役割を担います。

ウ 民間事業者の役割

不動産、建築、解体等の民間事業者等は、その専門性を活かして、所有者等への普

及啓発や行政機関への支援を行い、空家等の適正な維持管理や利活用を推進する役割

を担います。

エ 市と地域住民、民間事業者の連携

前述のとおり、空家等対策は市が主体的な役割を担いますが、市と地域住民、民

間事業者が連携することで、より効果的な対策の実施が可能となります。市が設置す

る協議会等へ参画する等、連携を強化して空家等対策に取り組みます。

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(3)各種相談先

市では、住民からの空家等に関する相談に対して、空家等全般相談窓口(総務部総

務課)を設け、空家全般の相談に応じるほか、内容に応じて担当課と調整し迅速な対応

に努めています。

<空家等の相談窓口>

○空家等全般相談窓口

飛騨市総務部総務課 TEL:0577-73-7461

河合振興事務所総務市民福祉係 TEL:0577-65-2221

宮川振興事務所総務市民福祉係 TEL:0577-63-2311

神岡振興事務所総務係 TEL:0578-82-2251

□相談時間:毎週月~金 8:30~17:15(祝休日除く)

○空家バンクに関すること

飛騨市住むとこネット事務局(飛騨市企画部地域振興課内) TEL:0577-62-8904

□相談時間:毎週月~金 8:30~17:15(祝休日除く)

○建物の耐震に関すること

飛騨市基盤整備部都市整備課 TEL:0577-73-0153

□相談時間:毎週月~金 8:30~17:15(祝休日除く)

○空き家・住まい総合相談に関すること

岐阜県住宅供給公社 空き家・すまい総合相談室

□相談時間:事前予約制 毎週火・金 いずれも 13:00~16:00

事前予約TEL:0584-81-8511 毎週月~金 8:30~17:15(祝休日除く)

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6.空家等に関する対策の実施に関し必要な事項

(1)法と条例の関係について

ア 基本的な考え方

市は、平成23年3月に廃屋対策に特化した「飛騨市廃屋対策条例」を施行しまし

た。その後、平成27年5月に全面施行された空家法に基づき条例の一部を改正しま

した。この条例に基づき、空家法には規定されない「周辺住人による申立て」、「公表」

を市独自の施策として実施します。

イ 法と条例の関係図

【 】は空家法、( )空家条例の条番号を示す

・市町村の責務(計画書作成)【4条】

・空家等対策計画の作成【6条】

・協議会の設置【7条】

・立入調査等【9条】

・課税情報等の利用【10条】

・区長等の申立て(5条)

・命令に従わない場合の氏名等の公表(10条)

・特定空家等対策審議会の設置(11条)

・空家データベースの整備【11条】

・空家等及び跡地の活用【13条】

・行政代執行【14条】

・命令等に従わない場合の過料【16条】

・空家等の所有者の責務【3条】(3条)

・市町村の責務(必要な措置)【4条】(4条)

・所有者による適正な管理の促進【12条】(4条)

・助言・指導【14条】(7条)

・勧告【14条】(8条)

・命令【14条】(9条)

・略式代執行【14条】(9条)

空家法に規定する事項

空家条例に規定する事項

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(2) 空家等対策に関する条例の整備について

現在、飛騨市空家等対策条例で規定されているもののうち、空家法で規定のある

ものについては削除し、空家法に規定のないもののみ、条例で規定するものとしま

す。

また、今後空家等の様々な課題に対し、空家法による規定がないものについては、

随時条例で規定し、本市における空家等対策の強化を図ります。

例)所有者等は、転居転出等によって空家等となることが確実になった場合、

その空家等所在地の区長に空家等の管理者、連絡先を伝えるよう努める。