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余熱利用施設整備基本構想 【概要版】 平成 24 3

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余熱利用施設整備基本構想

【概要版】

平成 24年 3月

佐 久 市

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(表紙のウラ)

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はじめに

現在、佐久市では、将来に向けた安全安定なごみ処理体制を維持していくため、平成 29 年度を

目途に既存のごみ焼却施設である佐久クリーンセンター及び川西清掃センター両施設を統合した

新たなごみ焼却施設「新クリーンセンター」の整備計画を進めている。

近年のごみ焼却施設は、ごみの中間処理施設としての機能に加え、焼却に伴い発生する熱エネル

ギーを効率的に回収し、発電など、その有効活用を図る熱回収施設としての機能を併せ持っている。

平成 22 年 2 月、市では、新クリーンセンターの建設候補地を公募で募集するにあたり、この熱

エネルギーの有効活用(以下「余熱利用」という。)を地元と協議し進めることを方針として示した。

こうした方針により公募を行う中で、市内 3地区からの応募があり、総合的な適性評価に基づく

検討の結果、同年 12 月に平根地区「上舟ヶ沢・棚畑地籍」を市として建設候補地とすることを決

定した。平根地区では、余熱利用として温浴施設の整備を掲げており、市は、当初の方針のとおり

同地区との具体的な協議を開始した。

また、市では、重要施策である「世界最高健康都市構想」において、その実現プランの一つとし

て温水利用型健康運動施設の整備を位置付けている。更に、交流人口創出のための市内観光振興の

観点から、市の最大の観光拠点である平尾山公園一帯の魅力づくりが求められている。

このような状況から、新クリーンセンターの余熱利用にあたっては、地元の条件整備という前提

を堅持しつつ、健康づくり、観光振興にも資する複合的利用を検討していく必要がある。

本基本構想は、こうした状況を踏まえ、新クリーンセンターの余熱利用について、基本的方向性

を示すべく策定するものである。

平成 24年 3月

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目 次

はじめに

第1章 余熱利用施設整備内容の検討

第1節 施設基本コンセプト

1 地域意向等の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1

2 整備候補地の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2

3 開発基本方向性の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5

4 マーケティングコンセプトの整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 15

5 施設基本コンセプト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 17

第2節 施設整備計画

1 地域環境整備課題の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 24

2 プランニングコンセプトの整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 25

3 施設機能配置の検討 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 30

第2章 余熱供給の検討

第1節 余熱供給媒体の検討と必要熱量の把握

1 余熱利用の考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 33

2 供給媒体に関する考え方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 34

3 余熱利用施設における必要熱量の算定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 35

第2節 余熱利用施設におけるコスト試算

1 熱源供給イニシャルコスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 38

2 熱源でのランニング・イニシャルコスト比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 40

第3章 余熱利用施設の収支計画

第1節 投資計画

1 施設規模・機能の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

2 概算建設コスト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 43

第2節 営業収支計画

1 営業収支に係る前提条件 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 44

2 営業収入・営業支出の設定 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 46

3 営業収支モデル ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 48

4 課題の整理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 49

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第1章 余熱利用施設整備内容の検討

第1節 施設基本コンセプト

1 地域意向等の整理

余熱利用については、新クリーンセンターの地元となる平根地区と協議し進めることを基本

方針としており、「平根地区新クリーンセンター・温浴施設建設対策協議会」との協議で挙げ

られた意向や課題は以下の4点に集約される。

表 具体的な要望・意見の例

□ 若者から高齢者まで幅広い層に利用される施設づくり

□ 飽きの来ない、末長く利用される施設づくり

□ 「ここ」にしかない施設づくり(佐久市内、長野県内、全国にもない)

□ 平尾山公園周辺や佐久市内の既存施設・諸活動との連携を図る

・造ったばかりの新しいうちは珍しいから行くが、古くなったら客も減ってくる。平尾には

安定的かつ継続的であるものを造ってほしい。

・入浴は高齢者が多く入るが、若者向けの運動、森林セラピーなど新しいものを加える。

・冬はスキー客が 15万人も来るので、スキー客にも入ってもらいたい。

・今のセンターハウスは眺望がある。それとの関連でコストダウンを図れる施設を造って

ほしい。

・魅力ある施設とするために天然温泉が必要。

これまでの協議会などより

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2 整備候補地の検討

(1) 整備候補地の抽出、条件整理及び比較評価

整備候補地の抽出にあたっては、余熱供給の容易性の観点から新クリーンセンター建設候補地の

周辺地、また、集客力の観点から平尾山公園センターハウス周辺地の2つのエリアについて、下表

により設置場所としての適性条件を整理し、比較評価を行った。

その結果、Bエリア(平尾山公園センターハウス周辺地)が適しているという評価となった。

表 整備候補地の条件整理及び比較評価

整備候補地

Aエリア

新クリーンセンター

建設候補地 周辺地

適性

評価

Bエリア

平尾山公園

センターハウス 周辺地

適性

評価

土地の規模・形

状など

◆細長い形状の場所となり、施設

配置の効率性が悪い。 2

◆施設配置の効率がよい方形がと

りづらい場所がある。 2

整地の必要性 ◆ある程度整地されている。 3

◆やや高低差があるため、整地の

必要がある。 2

新クリーンセン

ターとの距離

◆隣接しているため、余熱供給配

管コストが抑制できる。 3

◆約 2.5 ㎞離れており、余熱供給

配管コストがかかる。 1

市街地からの動

◆県道に接している。 2

◆佐久平スマートICに直結して

いる 3

PAからの動線 ◆PAからかなり離れている。 1

◆PAに直結しており、利便性が

高い。 3

周囲からの視認

◆あまり目立たない。 2

◆視認性が高く、目立つ位置にあ

る。 3

土地の認知度 ◆スキー客以外の観光客には分か

りづらい。 2

◆観光客を含め認知度が高い。 3

眺望 ◆林に囲まれているが、樹間から

浅間山が眺望できる。 2

◆前面に佐久市街地や山々が眺望

できる。 3

既存施設との連

◆施設集積が少ないため、相互利

用などの効果が低い。 1

◆センターハウスと近接している

ため、相乗効果が期待できる。 3

健康づくり活動

との連携

◆森林セラピー基地と離れてお

り、有機的な連携が取りにくい。 1

◆森林セラピー基地に近いため、

有機的な連携が取りやすい。 3

合 計

19

26

設置場所としての適性評価

3 優れている

2 普通

1 やや劣る

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図 整備候補エリアの位置

新クリーンセンター建設候補地

佐久平ハイウェイオアシス

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(2) 整備候補地の評価、選定及び課題

余熱利用という観点では、Aエリア(新クリーンセンター周辺地)は新クリーンセンターに近接

しているため、余熱供給コスト(配管工事等)などの点で最も合理的・効率的である。

しかし、交通アクセス、既存のスキー場との連携や景観上の整合性、施設からの眺望、視認性、

高速道路からの利用面などの点でBエリア(平尾山公園センターハウス周辺地)に比べ劣り、利用

者の観点からみると魅力に欠けると判断できる。また、平尾山公園一帯の魅力づくりという視点で

もやや劣っている。

その点、Bエリア(平尾山公園センターハウス周辺地)は利用者の利便性及び公園の一体利用と

いう大きな役割を担うことができ、供給コストなどの負担増を上回る効果を生むと評価できる。

以上より、整備候補地をBエリアとした。

ただし、課題もいくつかある。第一に、Bエリアは高低差のある傾斜地が多いため、レベル調整・

整地、基礎工事が必要と考えられる。特にセンターハウスとの連絡を想定した場合は同ハウスと同

じ水準にしておく必要がある。また、センターハウスとの距離は、往来利用するにはより近い方が

便利であるが、あまり近すぎると眺望を遮蔽する可能性もあるので、留意すべきである。

また、新たな導入路を整備するなど、利用しやすい動線の確保が必要である。さらに擁壁への造

作は不可能であるため、敷地奥行きが制限されて建築制限が発生する場合がある。

施設構成的には複数階となる可能性が大きく、上層階に浴場を配置して南側に露天風呂を設置す

ることが想定される。周囲からの視線を検証し、仮に問題がある場合は間仕切りなどの遮蔽対策を

することでプライバシーを確保する必要がある。

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3 開発基本方向性の検討

(1) 整備候補地のポテンシャル評価

① 立地環境条件の評価及び課題

整備候補地は佐久市の中心市街地に近接しており、また、地域交通及び広域交通が整備されてい

るので、地元及び観光客にとって利用しやすい立地・交通利便性の高さがある。標高は 800m程度で

市街地を始め周囲の山々を一望できる環境に恵まれており、当該施設の特徴(売り)となると同時に

周囲からの視認性が高い。

平尾山公園内にあり、上信越自動車道「佐久平PA」「佐久平スマートIC」及び「佐久平ハイウ

ェイオアシス」と直結している。首都圏(練馬IC)より2時間で到達でき、日帰り圏に位置し、

広域的な集客力に優れている。ハイウェイオアシスと一体化しているため、単にドライブ途中に立

寄るだけでなく、長時間を過ごせる場所としての利用形態が見込める。また、高速道路のみならず

一般道からの利用が可能であるので利用対象は佐久市のほか御代田町、軽井沢町などの地域・周辺

住民及び観光客であり、幅広い層の集客を見込むことができる。

さらに、平尾山周辺を含む佐久市内各所で行なわれている森林セラピー、ポールウォーキング(ス

テーション)などとの連携・相互利用により、利用率を向上させることが可能である。

一方、課題として、周辺及び市内の関連施設との差別化、独自性の発揮が大切であり、ここにし

かない施設づくりが求められる。また、高齢者など交通手段の確保が困難な人向けに送迎バスなど

二次交通の確保のため、市内巡回バスの活用などの検討が必要である。

表 立地環境条件の評価及び課題

項目 内容

現況の把握 ▶ 中心市街地に近く、地域交通、広域交通が整備されている

▶ 標高 800mからの眺望に優れている

▶ 平尾山公園、佐久平ハイウェイオアシスと一体である

▶ 周辺には森林セラピー、ポールウォーキングなどの拠点がある

優位性

(ポテンシャル評価)

▶ 立地・交通利便性がよく、地域及び広域から来やすい

▶ 眺望が良く、当該施設の「売り」となる

▶ 立寄りだけでなく長時間を過ごせる場所として利用が可能である

▶ 佐久市及び周辺地域と観光客など幅広い層の利用が見込まれる

▶ 周辺施設との相乗効果による利用率の向上が可能である

課題 ▶ 周辺、市内施設との差別化・独自性の発揮が求められる

▶ 二次交通として市内巡回バスの活用を検討する

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② 市場環境条件の評価及び課題

佐久市の人口は約 10万人、周辺(御代田町、軽井沢町)を合わせると 13.4万人であり、日常的

な利用が見込める地域の潜在需要がある。年代別では 65 歳以上の高齢者が 25%強を占めているほ

か、団塊世代(60代前半)の比率も高く、高齢化の進行と高齢者の健康維持が地域的な課題であり、

温水利用による健康運動施設の機能と一致した需要が存在し、その対策の一助となることが可能で

ある。

また、平尾山公園には年間 50万人の観光客が訪れ、スキー場、健康運動施設、飲食・物販施設な

どが集積し、佐久市の観光拠点となっている。この観光客は顕在的な需要と位置付けられ、諸施設

との連携による利用者の取り込みが可能である。さらには隣接する軽井沢や、中部横断自動車道の

延伸が計画されている南佐久方面などの観光客が利用対象となる可能性を有している。

課題として、若年層など幅広い層に利用してもらうための機能・サービスの充実が必要である。

また、周辺及び近隣施設とは連携・協力を図り、共存共栄を実現するためにも他と違った特色のあ

る機能・サービスを導入することが不可欠である。

表 市場環境条件の評価及び課題

項目 内容

現況の把握 ▶ 佐久市 10万市民及び周辺を合わせた 13.4万人の地域

▶ うち高齢者が1/4を占め、今後も高齢化が進む

▶ 平尾山公園は 50万人の観光客を有し、スキー場、飲食・物販施設な

どが集積しており、広域集客が顕在化している

優位性

(ポテンシャル評価)

▶ 日常的な利用が見込める潜在的な需要が存在している

▶ 高齢者の健康維持という地域課題に寄与できる

▶ 周辺施設との連携による顕在客の取り込みが可能である

▶ 地域のほか、広域観光客の利用が見込める

▶ 中長期には軽井沢、南佐久方面などからの集客も可能である

課題 ▶ 幅広い層に利用可能な機能・サービスの充実が必要である

▶ 周辺などの施設との連携、共存共栄を図り、独自の機能・サービス

の導入が不可欠である

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③ 温泉・温浴、健康運動施設の参加動向からの評価及び課題

温泉・温浴参加率は全国平均で 40%、長野県はそれを上回るものと見込まれる。また、利用対象

も子ども、若年層から高齢者まで幅広いため、潜在的な需要が高く、周辺施設でも年間 10~20 万

人の利用者がある。また、日帰り観光などでの立ち寄り率も 10%近くであり、利用が見込める。

健康増進活動では 50代以上の中高年者で参加率が高く、健康維持や成人病などの防止への関心が

高い。佐久市及び周辺では高齢化比率が全国より高いことから、潜在的な需要もさらに多く見込ま

れる。

周辺の温泉・温浴施設及び類似施設の例をみると、競合施設の出現や施設の老朽化やサービスの

陳腐化などにより、開業当時に比べいずれも利用者数の逓減傾向にある。長期間利用してもらうた

めには、奇を衒(てら)ったものではなく、何度来ても飽きない施設・設備づくりと接客などのサ

ービスの充実を図ることが大切である。

また、健康運動施設では不特定の利用者を対象とするのではなく、継続的な利用により個々の健

康増進を図るうえでも会員制、スクール制などの採用が必要である。そのためには利用を促す独自

のプログラムやメニューを作成し、常に更新していくことが必要である。その場合、専門的な知識・

人材が欠かせず、市内などで活動している既存機関・施設との連携、協力が可能かどうかも課題と

なる。

表 温泉・温浴、健康運動施設の参加動向からの評価及び課題

項目 内容

現況の把握 ▶ 長野県は全国平均よりも温泉・温浴需要が高い

▶ 温泉・温浴活動は幅広い層にわたっている

▶ 健康増進活動は中高年を中心に活発である

優位性

(ポテンシャル評価)

▶ 地域需要のみならず、観光客の利用も見込める

▶ 健康維持・成人病予防など中高年を中心に健康増進の潜在的な需要

は高い

課題 ▶ 利用者の逓減を防ぐため、飽きの来ない施設づくりとサービスの充

実が必要である

▶ 継続的な利用により健康増進効果を図るため、会員制などの導入や

独自プログラムなどの作成が必要である

▶ 既存施設などとの連携・協力を検討する必要がある

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(2) ターゲットと商圏の考え方

利用者は佐久市及び周辺の住民、そして平尾山公園や佐久平ハイウェイオアシスを中心とした観

光客が主な対象となる。

地元地区及び佐久市民など周辺住民は日常的、繰り返しの利用が見込める対象であり、中心(一

次)的な利用客となる。また、地域特性より高齢者比率が高いことも勘案する。

周辺住民とは主に御代田町、軽井沢町であり、住民のほか、別荘所有者も対象と考える。

観光客については当面は周辺への来訪者を対象とするが、中長期的には軽井沢や中部横断自動車

道の全線供用による南佐久方面などの観光客も視野に入れる。

そのうえで当該施設が新たな観光客の増加を誘導していく。

図 利用者のイメージ

地域外客

観光客(平尾山公園周辺)

対象:50万人/年

地域客(佐久市及び周辺地域)

対象:13.4万人

軽井沢・南佐久方面等の観光客

対象:1,275万人/年

日常的な利用

特定の利用

直近の利用 将来的な利用

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(3) 開発テーマ・方向性の整理、検討

① 社会的背景

高齢化社会 ~長寿で、お元気~

4人に1人が高齢者(65歳以上)という社会を迎え、今後もその傾向が続く中、次世代の医療費

や介護費などの負担を軽減するうえでも、元気な高齢者が増えることが望まれている。病気や怪我

ではないが、日頃生活において不自由を感じる高齢者は多く、ストレッチや散歩などの負担の尐な

い軽い運動をとりいれることで軽減されることが期待できる。

これらを習慣づけるには本人の心がけが第一であるが、周囲の人間の協力や支援も重要であり、

地域全体で取り組むことが実現に向けての課題となる。

生活習慣病 ~疾病の前に、先ず予防~

健康への不安は高齢者だけに限らず、中高年層ではいわゆる生活習慣病が社会問題となっている。

メタボ(肥満予防)対策や食習慣改善など、日常的な予防のための運動、療法が必要である。これ

らは家庭でもある程度の習慣づけができるが、専門の保健師、栄養士などの指導を受けながらより

適切な対応が可能となる。

ストレス社会 ~くつろぎを、浴びる~

IT、デジタル社会化が進み、また人間関係からくる孤立感など、心身にストレスを感じる人が

増えている。医療による治療を必要とする場合もあるが、お風呂に入ることや森を歩くことで開放

感を得られることも多い。

食への関心 ~安全、安心と安定~

食品への関心が増す中、自然志向がますます高まっている。ただ、美味しいだけでなく、産地や

生産者のこだわりを持つ消費者が増えている。また、食物アレルギーなどの症状に悩んでいる人も

尐なくなく、なお一層、食生活への関心が高い。

地域コミュニティの活性化 ~団らん、ふれあい、助け合い~

高齢者単身・夫婦世帯の増加や家族、友人関係などが希薄になっているといわれる。かつては個

人の時代といわれたが、今日では「孤人」へと進み、個室から「孤室」、個食から「孤食」へと生

活形態が変化している。反面、家族・仲間・地域とのつながりを見直す動きもみられる。

② 世界最高健康都市に向けて

佐久市は、平成23年12月に「世界最高健康都市構想」とそれを具体的な施策に表す「世界最

高健康都市構想実現プラン」を策定した。余熱利用施設の整備は、施策の主な取り組みである運動

施設の整備やスポーツ機会の確保の中で「温水利用型健康運動施設の整備」として挙げられている。

本市が目指す「健康な市民」とは市民一人ひとりが身体的にも精神的にも健康で、しかも家庭や

社会において自身の役割を持ちつつ人間関係や社会との繋がりなどが豊かで、生きがいにあふれ、

そして、これらが高い水準でバランスがとれていることをいい、そのような市民が日々の暮らしを

健やかにおくっている姿である。

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その実現のために、以下の4つの基本方針を定めている。

図 世界最高健康都市の基本方針

資料:佐久市「世界最高健康都市構想」・「世界最高健康都市構想実現プラン」

・医療体制の充実

・保健からのアプローチ

・食育と地産地消の推進

・子どもの体力向上と運動習慣の定着

・禁煙の推進

・市民自身の学習と啓発

・子育てや介護等のサービスの充実

・運動施設の整備やスポーツ機会の確保

・安全で快適な都市空間の整備

・花や緑・河川等の保全

・交通ネットワークの形成

・教育の充実と学習の場や機会の確保

・働く機会の確保・創出と安心して働ける環境づくり

・ソーシャルキャピタルへの積極的な関与

・市民同士のネットワークづくり

・佐久市への定住の促進と交流の推進

・他の都市に住む人との交流の推進

・世界最高健康都市への活動の検証に基づいた情報発信

・佐久市の世界最高健康都市の体験受入れ

・他の健康都市との交流の促進

・医療関係者や保健関係者との交流の推進

・医療と産業との連携の促進と企業誘致

・世界最高健康都市を生かした商品等の開発や販売の促進

ひとの

健康づくり

まちの

健康づくり

きずなの

健康づくり

広がる

健康づくり

基 本 方 針 名 施 策 の 主 な 取 り 組 み

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③ 開発テーマ・方向性の検討

前項の社会背景及び佐久市の世界最高健康都市構想では、体と心の健康、それを支える地域や市

民一人ひとりの助け合いが重要と位置付けられており、本構想においても、これらの考え方を反映

した三つのキーワードを定め、これに基づいた開発テーマ及び方向性を検討する。

~ 三つのキーワード ~

▶ すこやか(健全な体づくり)

▶ い や し(豊かな心づくり)

▶ き ず な(豊かな人間関係、助け合い)

三つのキーワード

高齢化

食・食育

地域コミュニティ

ストレス

き ず な す こ や か

い や し

生活習慣病

世界最高健康都市の実現

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三つのテーマと方向性

■基本となる方向性

長野県は全国でも有数の長寿県で、しかも元気な高齢者が多いことでも有名である。その背景に

は恵まれた自然の中で暮らすという気候風土に加えて、農村医療発祥の地として、長く、地域の健

康づくりに貢献してきた経緯がある。

将来的にも高齢者はもとより全ての世代が健康でいつづけられるような体づくりを進めていくこ

とを目指していく。

[具体的な機能例]

健康であるためには日常からの運動が必要である。体力の維持や身体機能の向上を目指すため、

子どもから高齢者まで負担なくできるストレッチなどの軽い運動による健康増進、疾病予防、体質

改善を進めたり、通常環境より負荷の尐ない水中での運動は有効である。また、自然素材・食材を

利用した薬膳や漢方などを摂取する食事療法によって、肥満の予防や解消、成人病の防止に役立て

る。さらに周辺及び市内にある健康運動機能を持つ施設との連携・協力を図る。

◆軽い運動による健康増進、疾病予防、体質改善を促進する機能

◆負担の尐ない水中運動(歩行浴、浮遊浴等)による体力維持及び向上を図る機能

◆薬膳・漢方などを利用した食事療法や肥満予防、成人病防止に役立つ機能

◆周辺にある施設との相互利用を実現する連携・協力機能

■基本となる方向性

豊かな自然に囲まれているだけでも心身をいやすことができるといわれるが、五感と自然との対

面によって、さらに大きな効果が得られる。自然に恵まれた佐久平を背景として、山、森、水、土、

植物などによって育まれた滋養を活かした寛ぎの自然浴場づくりを目指していく。さらには温もり

のある、人の手を通した施術によりリラクゼーション効果を高めていく。

[具体的な機能例]

温泉・温浴という日本人に古くから好まれる機能により、心身の疲労やストレスからの開放を行

う。温浴のみならず、森林浴(森林セラピー)、空気浴、日光浴、香浴(アロマテラピー)などに

よって自然の養分を体内に吸収し、活力の源とする。

また、マッサージ、鍼灸などの施術などによって、リラクゼーション効果をさらに深めていく。

さらに周辺及び市内にあるリラクゼーション機能を持つ施設との連携・協力を図る。

す こ や か ⇒ いつまでも元気でいられる健康な体づくりを進める

い や し ⇒ 自然の養力を活かした寛(くつろ)ぎの「浴場」づくりを進める

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◆温泉・温水浴による心身の疲労、ストレスを解消する機能

◆森林を歩く、山に登るなどにより、自然の養分を得る自然浴・テラピー機能

◆マッサージ、足もみ、鍼灸などの施術によるリラクゼーション機能

◆周辺にある施設との相互利用を実現する連携・協力機能

■基本となる方向性

家族、友人、仕事仲間などの関係や人と地域の関わり方、また、地方と都市との交流などにみら

れる希薄な状況を見直し、潤滑な関係を持てる輪(和)を育む環境づくりとともに、地域の風土や

歴史を見つめ直し、皆に誇れる郷土(ふるさと)づくり及び各地に向けた情報の発信を目指してい

く。

また、健康増進活動などを通じて積極的に地域活動への参加を促し、地域ぐるみで助け合いの気

持ちを養っていく。

さらに周辺及び市内にある飲食機能などを持つ施設との連携・協力を図る。

[具体的な機能例]

◆食事(食育等)や会話などを通じた家族や仲間との団らん・ふれあいを育む機能

◆地域の再発見により誇れる郷土を新たな創造や情報発信機能

◆地域活動への参加促進などにより地域ぐるみで助け合う相互扶助・連帯機能

◆周辺にある施設などとの相互利用を実現する連携・協力機能

き ず な ⇒ 人と人、人と地域、地域と地域の輪(和)づくりを進める

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以上のテーマ・方向性に基づいて、これらを構成する機能例及びイメージを示す。

[テーマ及び構成する機能例]

[機能のイメージ]

◆温泉・温浴による疲労、ストレスからの開放

◆散歩、山歩き等の自然浴(森林、空気、緑等)による養分の吸収

◆マッサージ、鍼灸等によるリラクゼーション効果の深耕

す こ や か

い や し

き ず な

◆ストレッチ等の軽い運動による健康増進、疾病予防、体質改善を促進

◆負担の軽い水中運動(浮遊浴、歩行浴等)による体力維持、体機能の向上

◆薬膳・漢方等を取り入れた食事療法による肥満の予防や成人病の防止

◆団らんによる家族や友人・仲間とのふれあい

◆地域の再発見及び郷土創造と情報の発信

◆地域活動への参加を通じた地域ぐるみの助け合い

す こ や か

運 動

い や し き ず な

予 防

改 善

休 養

談笑(話)

親交(睦)

食 事 食 育

温・水浴 自 然 浴

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4 マーケティングコンセプトの整理

(1) 利用対象、施設利用像(利用形態など)

す こ や か

利用は全年代にわたるが、施設機能によっては年代を絞った利用形態が必要となる。例えば、ト

レーニング室は若年層から高齢者まで幅広い利用が予想されるが、特に団塊の世代が徐々に高齢化

へ進むため、健康増進、成人病防止などの目的で利用する頻度が高いと考えられ、健康増進プール

は高齢者を中心とした利用が想定される。

い や し

子どもから高齢者までが利用する温浴施設であり、観光客の利用も見込まれる。単にお湯につか

るだけでなく、健康増進機能と合わせたプログラムや相談や助言、きずな機能の食事指導などを取

り入れて、心身のリフレッシュ及び増進を目的とした利用もできる。

き ず な

すこやか・いやし施設の利用者はもちろん、食事のみの利用も見込める。薬膳・漢方食などの提

供により健康増進との相互利用が可能である。また、地域の会食需要なども取り込める。

(2) 提供サービスの例

す こ や か

単に施設を提供するだけでは利用者への訴求効果は薄く、時間経過とともに次第に足が遠のくこ

とがあるため、健康・運動プログラム、教室などを充実させ、能動的な活動を促進する必要がある。

そのため、運営上は会員制度または教室(スクール)制を導入し、高い利用頻度かつ中長期間の

利用を実現し、目的に応じた効果が生まれるような仕組みとする。プログラムなどの内容、運営方

法については先進事例などをもとに医療機関などと協力して、当該施設独自に策定する。

また、会員などの利用以外に、その他の市民、森林セラピー利用者などを対象とした健康情報室

では血圧測定や骨密度チェックができるほか、簡単な健康指導を受けられる相談員を置く(常駐で

なくても、月に何度か指導日を設けるなど)。

食事についても単にレストランなどで食べるだけでなく、栄養指導などを取り入れた相談を組み

合わせる。

提供サービスの一部は施設内に留まらず、周辺の施設と共通で受けられるような協力体制を取り、

利用度を高めていく。

【展開例】

▶ セラピーデスク

既に森林セラピー基地として稼動している「平尾の森」や市内 20か所の一つであるポールウォ

ーキングステーションなどと連携、連動したカウンセリングサービス。簡単な健康チェックを受

けたり、運動を行う際の留意点について、個々の状況に合わせて指導する。

▶ 食事相談室(ダイエット・食物アレルギー等)

個々の体質に合った食生活を栄養士より指導を受け、健康増進プログラムとの相乗効果を図る。

また、食物アレルギーなどの相談も行う。

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い や し

温浴施設については健康運動施設との併用による相乗効果を図るほか、温浴だけでも楽しめるサ

ービスの提供が必要である。何よりも計画地の特徴である眺望を活かした露天風呂を広めに取り、

ゆっくりとできる工夫が必要である。一方、内風呂は浴槽の種類を多く取る必要はなく、十分な広

さとサウナを併設する程度とする。

【展開例】

▶「眼にイイ」眺望露天風呂

露天風呂からの眺望を活かし、日の出・日の入りや夜景を楽しめるよう営業開始と終了時間を

それぞれ前後に延ばすことなどを検討する。

▶ 平根の湯、薬師の湯、浅間の湯

平根地区にちなんだ浴槽名と機能を取り入れる。平根の湯は寝湯、薬師の湯は薬湯、また半身

浴、足浴などの坐浴ができるのは浅間の湯(湯底が浅い)など。

き ず な

飲食の提供については対面注文方式と、券売機などによるセルフオーダー方式があるので、どち

らを採用するかを検討する必要がある。人件費などの経費抑制面では後者の方が有利であるが、施

設の雰囲気、料金設定などにより決定する。また、メニューなどについても検討が必要であるが、

周辺の飲食施設と重複しないことが前提となる。

大広間は入浴などの休憩場所として利用するが、飲食の持込などを許可するかどうかも検討課題

である。

【展開例】

▶ 健康ランチバイキング

比較的利用度の低い平日の午後から夕方の時間帯に有機野菜、自然食材などを使った料理を並

べ、バイキング形式で提供する。予め個々の事情に合わせた食べ(選び)方を数コース用意し、

ある人は肥満対策コースのA皿とC皿・・・から選び取るなどの方法でそれぞれの目的にあった

食事の摂り方を学ぶ。

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5 施設基本コンセプト

(1) 施設基本コンセプト

高齢化社会、生活習慣病、ストレス社会、食への関心、地域コミュニティの活性化などの社会的

背景をふまえ、また、市が進める世界最高健康都市構想に準じて定めた、三つのテーマと方向性(す

こやか、いやし、きずな)に基づき、以下のような施設づくりの基本的な考え方とする。

【地域意向】

公園や市内の施設・諸活動と連携し、「ここ」にし

かなく、幅広い層に末永く利用される施設

【世界最高健康都市構想】

<ひとの健康づくり> <まちの健康づくり>

<きずなの健康づくり> <広がる健康づくり>

地域コミュニ

ティの活性化

高齢化社会

生活習慣病

ストレス社会 食への関心

温水利用型健康運動施設

すこやか 健全な身体づくり

い や し 豊かな心づくり

き ず な 豊かな人間関係、助け合い

施設の基本コンセプトは、恵まれた自然・環境のもとで、誰もが気軽に利用でき、

健全な体づくり、豊かな心づくり、豊かな人間関係、助け合いが実現できる施設づ

くりを目指す「温水利用型健康運動施設」とする。

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(2) 施設機能・内容、施設構成の検討

① 施設機能・内容の例

温水利用型健康運動施設として、<すこやか>「運動等による健康増進機能」と、<いやし>「温

浴等による休息・休養機能」、及び<きずな>「飲食・交流等によるふれあい機能」の3つの機能

よりなる。

また、平尾山公園内の既存施設及びハイウェイオアシスとの連携を積極的に進める。

施設機能・内容の例

・森林セラピー基地

・アスレチックコース

・マレットゴルフ

・スキー場

・ポールウォーキングステーション

既存施設と

の連携

・飲食施設

・物販施設

・その他(観光情報等)

・温浴施設

内風呂

露天風呂

サウナなど

施設例 ・健康情報室

・トレーニング室

・健康増進プール

(歩行浴など)

・大広間、休憩室

・多目的交流スペース

・リラックスコーナー

・飲食施設

・物販施設

すすここややかか 運運動動等等にによよるる

健健康康増増進進機機能能

きき ずず なな

飲食・交流等による

ふれあい機能

温温浴浴等等にによよるる

休休息息・・休休養養機機能能

いい やや しし

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[イメージ写真]〔すこやか〕

リフレ芥見(岐阜市余熱利用施設)

リフレ芥見(岐阜市余熱利用施設)

▶ トレーニング室

▶ 健康増進(歩行浴)プール

▶ 健康情報室(会員向け指導)

▶ 森林セラピーデスク

平成 22年度五ヶ山ダム水源地域活性化事業(国土交通省)

独立行政法人 森林総合研究所

NPO法人森林セラピーソサエティ

奥多摩ビジターセンター(東京都)

▶ 森の中で血圧測定

▶ トレーニング教室

▶ 健康情報室(ビジター向け)

大手スポーツクラブ事業者

▶ ポールウォーキング(体操)

佐久ポールウォーキング協会

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[イメージ写真]〔いやし〕

吉川温泉 よかたん(兵庫県)

▶ 内湯(窓外の視界が良い)

▶ サウナ(眺望が良い) ▶ 露天風呂からの眺望

▶ イベント湯(コスモス風呂)

ほったらかし温泉(山梨県)

永源寺温泉 八風の湯(滋賀県)

あぐりの湯(小諸市)

▶ 炭酸泉

永源寺温泉 八風の湯(滋賀県)

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[イメージ写真]〔きずな〕

▶ 大広間

▶ レストラン(薬膳) ▶ ビュッフェレストラン

▶ 直売所(売店)※敷地内 ▶ 多目的交流スペース

舞鶴ふるるファーム(京都府)

上平島温泉 びんぐし湯さん館(坂城町)

スパティオ小淵沢(山梨県)

▶ ステージ付き大広間

真岡井頭温泉(栃木県)

前橋荻窪温泉あいのやまの湯(群馬県)

つくばウェルネスパーク(茨城県)

Spa Resort 湯の華アイランド(岐阜県)

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② 施設構成の検討

「すこやか」は利用頻度の高い会員、教室受講者にとって使いやすい下層階へ配置する。ただし、

会員などの専用フロアのように造作すると、森林セラピーコース、ポールウォーキングやトレッキ

ング利用者及び一般観光客などが立寄りづらいので、健康情報室内にセラピーデスクや観光案内所

を設けるなどして、気軽に入館できる工夫をする必要がある。

「きずな」は本施設の利用者だけでなく、幅広い層が利用しやすい配置とする。また、センター

ハウスのレストランとのすみわけに留意する。

「いやし」は露天風呂等からの眺望の確保を条件として上層階に配置することが望ましい。

[施設構成案]

会員・教室受講者が利用しやすい

眺望の確保が条件

※森林セラピー、ポールウォーキング利用者、一般観光

客が気軽に入れる導入口の検討

すすここややかか 運運動動等等にによよるる

健健康康増増進進機機能能

温温浴浴等等にによよるる

休休息息・・休休養養機機能能

いい やや しし

きき ずず なな

飲飲食食・・交交流流等等にによよるる

ふふれれああいい機機能能

誰もが利用しやすい

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(3) 余熱利用の位置付け

余熱利用の用途として最も期待されるのは温浴施設(浴場)である。本施設は膨大な水(湯)量

を消費する装置であり、豊富な天然温泉が湧出する以外は井水あるいは上水に依存するが、そのた

めの費用は大きな課題となる。また、加熱処理のための燃料費の負担も大きな課題である。

その点、余熱を利用することによって、水の確保を除き施設経営を圧迫する光熱費の軽減となり

最も有効である。近年、光熱費の高騰が続く状況を考えると、当該事業のような余熱の活用によっ

て安定的な事業継続が可能となる。

余熱利用の方法は、単純の加温機能(熱交換による温水又は高温水供給)以外に、発電による動

力確保や冷暖房への転用など、供給施設側の能力と供給設備及び受給側の設備によって多様な利用

が考えられ、施設運営の面で非常に有利な条件となる。

ただし、余熱利用に際しては、余熱供給量及び余熱移送に伴う温度の逓減率などの課題があり、

これらについては、第2章「余熱供給の検討」の中で整理を行う。

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第2節 施設整備計画

1 地域環境整備課題の整理

当該施設の整備にあたり、以下のような課題が挙げられる。

(1)用地の整備

建設場所によっては高低差と傾斜があり、どの程度の整備を要するか課題となる。特に温浴施設

という重装備の設置となるため、しっかりとした基礎工事が必要である。

また、センターハウスとの連携を想定した場合は、同施設と最も近接した場所が合理的である。

(2)車利用客への対応

温浴施設、健康運動施設ともにグループ・団体ではなく、1人、又は2人程度の単位で来訪する

ことが多く、平尾山公園への車両(交通手段はほとんどがマイカーと想定)が増えることが予想さ

れることから、それらに対応した道路環境整備(公園内を含む)の検討が必要である。

同時に利用者及び業務用の駐車場確保が課題となるが、どの程度の余力があるか、検証が必要で

ある。

(3)周辺施設との相乗効果

PA、ハイウェイオアシスなどに所在する既存施設との相乗効果を目指すことが求められるが、

それには特定層を対象とした施設の整備ではなく、幅広い層が利用できることが条件となる。また、

周辺施設とは共存共栄が前提であり、似通った業種・業態を導入するのではなく、それぞれが独自

性を発揮しながら、相互利用が可能なサービス・商品を提供することが重要である。

中でもセンターハウスとの連携が求められ、相互補完できるような施設導入が重要である。

(4)三つのテーマを基とした展開

テーマと方向性で示した「すこやか」「いやし」「きずな」という基本的な考え方(コンセプト)

を基にし、利用の促進を図るとともに、周辺施設のみならず、最終的には、佐久市の世界最高健康

都市づくり、及び交流人口の創出につながるような大きな展開を目指していくことが、当該施設の

使命・課題である。そのためにも単なる集客施設に終わらない永続的な施設、環境及び発想づくり

を行うことが必要である。

(5)周辺への影響

交通量の増加などによる騒音影響、夜間の出入りなど周辺住民への影響が懸念されるが、利用者

に対してマナーの厳守を徹底周知するなどの対策を講じることが重要である。

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2 プランニングコンセプトの整理

(1) 基本方針の整理

当該施設は、佐久市など地域住民と観光客を対象とした温水利用による健康運動施設として、「す

こやか」「いやし」「きずな」をテーマとした諸機能を整備するものである。

導入機能は、それぞれ、健康増進(トレーニングルームなど)、温浴、レストランなどであり、

それぞれが独自の利用及び相互利用される。年齢も幅広い層であり、地域客及び観光客の二面的な

利用である。

また、同時に周辺施設との相乗効果により、利用率の向上を図っていく。

図 導入機能の例

・森林セラピー基地

・アスレチックコース

・マレットゴルフ

・スキー場

・ポールウォーキングステーション

既存施設

・飲食施設

・物販施設

・その他(観光情報等)

導入機能

テ ー マ

す こ や か い や し き ず な

健康増進機能

①健康情報室

②セラピーデスク

③トレーニング室

④健康増進プール

交流・ふれあい機能

①大広間・休憩室

②飲食施設

③物販施設

④交流施設

休息・休養機能

▶内風呂

▶露天風呂

▶サウナ

利用対象

▶幅広い層が利用

(子ども~高齢者)

▶地域客

▶観光客

▶健康運動施設利用者

①幅広い層が利用

(主に温浴利用者)

②③地域客・観光客

(子ども~高齢者)

▶健康運動施設利用者

▶温浴施設利用者

①地域客、観光客

(主に40代以上)

②森林セラピー、ポール

ウォーキングステーシ

ョン利用者

③地域客(主に30代以上)

④地域客(③の利用者)

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(2) 開発規模の検討

① 年間利用客数の目安及び設定値(収容計画)

ア)温浴施設

温浴施設については需要推計による 20 万人を年間利用客数とした。内訳は地域客が 75%、観

光客が 25%である。佐久市内及び周辺施設(10%程度)に比べ観光客比率が高いが、当該地域の

立地・市場特性を活かせる部分である。

表 温浴施設の利用客数

合計 200,000人(1年目)

地域客(佐久市など) 150,000人(全体の 75%)

観光客 50,000人(全体の 25%)

表 年間利用客数の需要推計

(A)地域住民等の利用者数推計

基本利用商圏の人口 佐久市 100,325人

(平成23年7月1日現在) 御代田町 14,850人

軽井沢町 19,170人

(計) 134,345人

発生需要量 806,070人

集客率 17.005%

商圏内の利用者数 (a) 137,072人

基本商圏内の利用者比率 (b) 90%

商圏外の比率 10%

商圏外の利用者数 (c=a÷b) 15,230人

小計(a+c) 152,302人

(B)観光客の利用者数推計

観光客数 (5年間平均) (a) 534,700人

集客率 (7年間平均) (b) 9.2%

観光客の利用者数 (c=a×b) 49,192

(C)計画地の利用者数推計

合計(A+B) 201,494人 201,494

(A)地域住民等 152,302人 75.6%

(B)観光客 49,192 24.4%

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イ)健康運動施設

次に健康運動施設であるが利用者の中心となる会員数を推計した結果は 540人であるが、この

うち、3/4程度の 400人と想定した。また、健康増進プールについては、今後、導入の是非を

検討していくが、当面施設規模の算定に見込むものとする。需要推計では1日当たりの利用客数

が 15人程度であり、単独での運営が難しいことから健康増進プログラムの一部に組み入れた。

表 健康運動施設の会員数

健康運動施設 400人

健康増進プール 上記プログラムに含む

表 年間利用客数の需要推計

健康増進施設の需要推計

項目 数値

総人口 134,345人

参加率 26.0%

潜在需要量 34,930人

獲得率 0.402%

会員数 540人

健康増進プールの需要推計

総人口 134,345人

参加率 2.0%

潜在需要量 2,687人

年間平均回数 48 (週1回)

発生需要量 128,976人

獲得率 4.0%

利用者数 5,159人

同1日当たり 15人 営業日数350日

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② 開発規模の想定

ア)温浴施設

年間利用者数を年間営業日数(350 日)で除し、1日当たりの平均利用数(C)を求め、さら

に平均利用数に対する土日比率(D)を乗じて土日1日平均の利用者数を算出した(E)。

次に土日の回転率(F)で(E)を除して、同時滞留者数を求め(G)、1人当たりの面積(H)

を乗じ、必要面積を算出した。

ただし、露天風呂部分は除外するため、延床面積は 630坪となる(L)。

内訳は下表のとおりである。

表 温浴施設の規模想定

(注1)平日:土日比率は観光客利用を考慮して、6事例施設平均(1.14)より多い 1.5とした

(注2)回転率は6事例施設平均の土日並み(1.42回転)とした(1.5回転)

温泉・温浴施設の規模想定(A) 年間利用者数 200,000 人(B) 年間営業日数 350 日

(C) 1日平均 571 人 (A÷B)(D) 土日比率(対1日平均) 1.5(E) 土日1日平均利用者数 857 人 (C×D)(F) 回転率 1.50

(G) 同時滞留者数 571 人 (E÷F)(H) 収容1人当たり面積 4.11 ㎡(I) 必要施設面積 2,347 ㎡ (G×(H)(J) (坪換算) 710 坪 0.3025(K) 露天風呂部分 80 坪 延床面積外

(L) 延床面積 630 坪 (J-K)内訳 区分 面積 比率

浴室 63 坪 10.0%更衣室 47 坪 7.5%飲食施設(厨房含む) 65 坪 10.3%

大広間、休憩室 50 坪 7.9%リラクゼーションコーナー 24 坪 3.8%売店 12 坪 1.9%下足、ピロティ 7 坪 1.1%健康情報室など 112 坪 17.8%

倉庫、機械室、EV等 118 坪 18.7%廊下等 132 坪 21.0%合計(L) 630 坪 100.0%

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イ)健康運動施設

会員1人当たりが週2回通うと想定し、年間延べ利用者数を4万人(50週)とした。これを営

業日数で除し、1日当たりの利用者数を求め、1日当たり5回の教室(プログラム)に分かれて

利用する。

1回当たりは 23人となり、これを 1人当たり面積で除して、必要面積を算出した。さらに保守

点検などを考え、同規模の予備室を用意し、合計で 46坪となる(K)。

健康増進プール(歩行浴など)及びその他の施設を加え、全体で 130坪である。

表 健康運動施設の規模想定

③ 当該施設の規模想定

以上より、当該施設の規模想定を 760坪(2,512.4㎡)とする。

合計 760坪(2,512.4㎡)

温浴施設 630坪(2,082.6㎡)

健康運動施設 130坪( 429.8㎡)

トレーニング室の規模想定(A) 会員数 400 人(B) 1人当たり利用回数 2 回/週(C) 年間延べ利用者数 40,000 回/年 (A×B×50週)(D) 営業日数 350 日(E) 1日当たり利用者数 114 人 (C÷D)(F) 1日教室回数 5 回(G) 1教室当たり参加者数 23 人 (E÷F)(H) 収容1人当たり面積 3.3 ㎡(I) 必要施設面積 76 ㎡ (G×H)(J) (坪換算) 23 坪(K) 予備室を加えJの2倍 46 坪 (J×2)

健康増進プールの規模想定(L) 教室利用者数の 40%(M) 1日当たり利用者数 46 (E×L)(N) 収容1人当たり面積 3.3 ㎡(O) 必要施設面積 152 ㎡ (M×N)(P) (坪換算) 46 坪

その他の規模想定更衣室(Q) 利用1人当たり面積 1.0 坪

(R) 必要面積 23 坪 (G×Q)受付、相談室、救護室(S) 10 坪 設定値

下足(T) 5 坪 設定値合計(U) 130 坪 (K+P+R+S+T)

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3 施設機能配置の検討

(1) 平面配置

階層構造は2層とし、1階に「すこやか」(トレーニング室、健康増進プール)機能を配し、2階

に「きずな」(交流ゾーンなど)、「いやし」(温浴施設)とする。

前項「整備方針の整理~施設構成の検討」で示したように健康増進の会員などと森林セラピーな

ど一般利用者とがともに使いやすい1階に「健康情報室・セラピーデスク」を配置することにより

利用率の向上が図れると考える。また、2階については眺望の確保という点から温浴施設を置くこ

とが必要であり、同時に交流ゾーンなどを配置することで、利用者の使い易さを配慮する。

(2) アプローチ動線

1階エントランスより「健康情報室・セラピーデスク」と「健康増進室(トレーニング室等)」の

受付などに分かれ、一般利用者と健康増進会員との動線を明確にする。2階へは階段・EVにより

下足置場を経て、受付を行い、交流ゾーン、休憩ラウンジ脇を通って、浴室部分へと進む。家族風

呂は別途専用の通路を設ける。

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機能関連図(案)

(注)上図は個々の機能の面積を示したものではない

来館者

来館者動線

管理者動線

1階

2階

2階へ

電気室

機械室

健康増進プール

(歩行浴等)

男女更衣室 トレーニング室 受付

事務室

救護室

健康情報室

セラピーデスク

事務室・職員控室 階段

EV

救 護

サービスヤード

エントランス・売店

救護室

浴室

休憩

ラウンジ

交流ゾーン 更衣室 機械室

倉庫

家族

風呂

露天風呂

厨房

受付・ラウンジ・売店

救護室

中庭等

階段

EV

下足

置場

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(3) 運営形態の検討

ア)営業日数、営業時間

休業日を月1回(年 12回)及び保守点検などで 15日とし、営業日数は 350日と想定する。周

辺施設では週1回、月2回程度の定休日を設定している例が多いが、「ゆうふる tanaka」のよう

に会員制を採用している施設では年中無休となっており、当該施設もこれに近い設定とした。

営業時間は午前 10時~午後 10時が多い。基本的には同様の設定とするが、条件にもよるが、

閉店時間を1時間延長するなどを検討する。

イ)料金設定

市の施設として、「布施温泉」や「穂の香乃湯」とのバランスを考慮し決定する必要がある。

ウ)運営方式

運営方式については、運営委託など以下の方法を検討する。

▶運営委託方式

▶指定管理者制度

▶テナント方式

▶その他

表 周辺施設の営業概要

(注)料金は温浴施設の利用料金である。「ゆうふる tanaka」は温泉とプールの料金、スタジオ・

ジム利用の場合は 1,200円(16歳以上の利用)である

佐久市 立科町

布施温泉 穂の香乃湯 権現の湯

事業主体 佐久市 佐久市 立科町

運営主体 (社)佐久市振興公社 (社)佐久市振興公社 立科町

運営方式 指定管理者制度 指定管理者制度 直営

営業時間 10~22時 10~22時 10~22時

営業日数 313 日 301 日 314 日

定休日 毎週水曜日 保守点検休業あり 毎週火曜日 保守点検休業あり 毎週木曜日

料金 400円 (中学生以上) 400円 (中学生以上) 400円 (中学生以上)

250円 (4歳~小学生) 250円 (4歳~小学生) 200円 (小学生)

  東御市 小諸市

  ゆうふるtanaka 湯楽里館 あぐりの湯

事業主体 東御市 東御市 小諸市

運営主体 ㈱信州東御市振興公社 ㈱信州東御市振興公社 佐久浅間農業協同組合

運営方式 指定管理者制度 指定管理者制度 指定管理者制度

営業時間 10~22時 10~22時 10~21時

営業日数 361 日 350 日 341 日

定休日 年中無休 保守点検休業あり 年中無休 保守点検休業あり 毎月第2・4火曜

料金 500円 (中学生以上) 500円 (中学生以上) 500円 (12歳以上)

300円 (小学生) 300円 (小学生) 300円 (6~11歳)

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第2章 余熱供給の検討

第1節 余熱供給媒体の検討と必要熱量の把握

1 余熱利用の考え方

当該施設における余熱利用計画を検討するうえでの与件として、以下を条件として検討を行う。

条件1:余熱供給時期と施設完成時期が異なる

条件2:新クリーンセンター位置と当該施設とは約 2.5km離れて立地している

平根地区における余熱利用の方向としては、以下の5つの形式が挙げられる。

① 高温水(直接利用、熱交換)

② 温水(直接利用)

③ 蒸気(熱交換)

④ 蓄熱方式(トランスヒートコンテナ)

⑤ 電力

以上が本件での検討媒体となる。

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2 供給媒体に関する考え方

当該施設で新クリーンセンターからの余熱供給を受ける検討媒体は、「蒸気」「温水(高温水・温

水)」「電気」「蓄熱媒体」がある。当該施設と新クリーンセンターとは約 2.5 ㎞離れ、かつ、高低

差を考えた供給を考える必要がある。それぞれの特徴に関しては、以下のとおりである。

蒸気 新クリーンセンター側からの一次供給媒体は蒸気であり、これをそのまま圧送して送

れる距離であれば、蒸気活用が最も楽である。しかしながら施設間距離が約 2.5㎞あり

設備業者側の回答では、減圧されて難しいとしている。また、輸送間の事故・トラブル

など安全面でも課題があり、蒸気の活用は無理がある。

温水 高温水での供給に関しては、新クリーンセンター側で蒸気から温水に変換し、圧送す

ることになる。供給温度によって高温水と温水に分けられるが、当然のことながら高温

水で供給を受ける方が熱源としての効率は高い。温水供給方法は、熱交換利用と直接利

用との2種類に分けられる。

熱交換方式では、高温水で送られてきた温水管を熱交換器に繋ぎ、熱交換器側で別に

引き込んだ水との熱交換によって加温させる。この結果、高温水で送られてきた温水は

温度低下し、再び新クリーンセーター側に還され、蒸気によって加温して施設側に再び

戻る形式の閉鎖型循環となる。この方式の場合、温水でも同じである。

一方、温水供給においても距離と高低差が問題となる。一般的には温泉でも見られる

ように距離は余り問題とはなっていない。送水管の保温が確保されていれば可能である。

当構想では、高低差が大きな障害となる。圧送のためにポンプアップ設備を数箇所配置

することとなる。これにより、閉鎖型の管がピットで一時開放型となることから、温度

は必然的に低下することになる。当然のことながら、ピットの保温も行うが、どの程度

の供給温度を得たいかによって検討が必要である。

このように、循環型の温水利用以外に、送水管設備を片側だけとし、70℃程度の温水

を施設側で受け取る方式も考えられる。これにより、全体では送水管及びポンプアップ

設備が半分程度で済むし、施設側では熱交換設備のコストが抑えられる利点がある。

電気 蒸気・温水等と異なり、供給ルートは自由に設定できる利点と、保温や高低差考慮も

要らない。同様に、公園敷地内での事業展開となることから、送電等の許可も施設内利

用となり容易である。また、既存水力発電からの電気供給を受けることとなれば、施設

開業時期のずれに関してもある程度カバーできるメリットがある。

蓄熱媒体 蓄熱媒体に新クリーンセンターから熱を供給・蓄熱(蒸気からの熱交換)し、タンク

ローリー方式で蓄熱媒体を運び、当該施設側で蓄熱媒体から熱交換器によって熱を吸収

し、温水を作り出す方式。メリットは給湯管・送電線等の設備が不要であり、施設場所

を選ばない利点がある。反面、取熱時間及び放熱時間がかかることから2台のタンクロ

ーリーで運用となり敷地面積が必要となる。また、単位維持間当たりの熱量が 100kw

程度であり、短時間での昇温加熱は不可能であり、今回の検討では対象外とする。

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3 余熱利用施設における必要熱量の算定

温水、蒸気、電気などの検討媒体、いずれの供給であれ、当該施設内で必要となるエネルギー量

を算定する。算定方法は、後掲「(5)余熱利用施設における必要熱量の試算」のとおりである。

この試算では、利用者の想定を年間 20 万人とし、浴槽規模を周辺施設などとの差別化を考え、

内湯・露天風呂ともに 40㎥(t)前後として想定する。

上記のとおり年間利用者想定は 20万人であるが、開業時はこれを上回る利用が想定される。

また、通常期においても土日祝日、ゴールデンウィーク、シルバーウィーク、年末年始、夏季等

平日との差は大きい。しかしながら、施設規模をこれら繁忙期に合わせた設定となれば、過剰投資、

過剰運営コストを招くことになることから、周辺事例などでの平日と休日利用の比率を参考としな

がら、検討を行った結果である。以上の年間利用者を基に休日1時間当たり利用者を算定し、浴槽

規模を設定した。

男女浴室合計で内湯は 35.6㎥(t)、露天風呂 40.1㎥(t)と設定し、算定を行った。

また、熱量として必要な項目は「温浴施設」「健康運動施設」「施設空調」の3つとなるが、空調

熱量に関しては、現実的には電気式空調機を活用することから、蒸気、温水利用との比較は難しい

ため、除外して検討を行うこととした。したがって、供給方式比較においては「温浴施設」「健康

運動施設」それぞれの時間当たりの最大熱量を合算し、合計値とした。

(1) 温浴施設

温浴施設は、浴槽(内湯)と露天風呂給湯、洗い場シャワー、水温維持の項目に分けて検討を

行った。浴槽(内湯)及び露天風呂に関しては、浴槽内への貯湯時間を2時間で満水として設定

した。これに関しては、施設の開業時間や換水回数、貯湯可能時間によって異なる。例えば、浴

室・浴槽清掃を営業終了後行えば、夜間に貯湯できることから貯湯時間を 10時間程度と設定でき、

単位時間当たりのエネルギーは減尐することとなる。また、換水頻度もこれと関連してくる。

本算定では、清掃を早朝清掃として開館時間までに満水にする設定で行っている、これは、営

業時間中に施設内でのトラブルなどにより満水にする必要が起きた場合を想定している。また、

換水を毎日行う場合も同様な考え方である(循環ろ過の場合、毎日換水が指導されているが、実

際は3日に1回程度と思われる)。以上から、貯湯時の熱量は699,855kcal/時となる。

いずれの算定においても、平均水温を8℃とし、給湯時の平均水温を浴槽及び水温維持は 45℃、

シャワーを 42℃とする。貯湯タンク内温度は衛生管理上の問題から 65℃程度とする。熱量計算に

おいては温度差が有ればそれだけ熱量は必要となるが、実施の給湯温度に下げることになるため、

水での希釈となる。つまり、45℃で 10トンの湯ということは、65℃で 6.5トン(45℃=65℃*6.5

トン+8℃*3.5トン)のお湯を作ればよいことなることから、同じ結果である。

シャワー利用は、時間当たり最大利用者数に対する使用水量から勘案して算定を行なった。

実際は、施設計画でのカラン数を基に行うべきであり、施設基本計画での検討が必要となるが、

計画水量は実際減尐すると考えられる。

水温設定は、上記項目のとおりとし、水量はカランの1分当たり 10ℓで、10分間の 100ℓとして

設定した。以上から、シャワー利用時は605,200kcal/時となった。

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水温維持に関しては、内湯を毎時2℃、露天風呂を毎時4℃低下するものとして設定し、低下

水温を上昇させるのに必要熱量として算定し、それぞれ、内湯71,200kcal/時、露天風呂

160,240kcal/時が算定された。

以上から、シャワー利用及び水温維持に関して営業時間中に必要な熱量は836,640kcal/

時となる。

この結果、先に述べた通り、貯湯時とシャワー利用時とは同時使いは無いと考えられることか

ら、シャワー利用時等の836,640kcal/時が、貯湯時の必要熱量の699,855kcal/時

を上回る結果となり、給湯関係熱量は単位時間最大必要熱量836,640kcal/時となった。

(2) 健康運動施設

健康運動施設では、温水プール貯湯及びシャワー利用・水温維持に係る熱量を算定した。歩行

プールの水量は 40 ㎥(t)で、給湯温度 30℃に設定。貯湯時間は、休館日又は夜間を使用し、10

時間で適正水温にする設定とした。

シャワー給湯温度は浴室と同様とし使用量を1分当たり 10ℓで8分間使用として設定した。

また、水温維持に関しては、毎時1℃低下するものとして設定し、低下水温を上昇させるに必

要熱量として算定した。

結果、プール給湯は88,000kcal/時、シャワー利用時は187,680kcal/時、水温維

持は40,000kcal/時となった。

以上から、シャワー利用及び水温維持に関しては、営業時間中に必要となる熱量で、プール給

湯時必要熱量を上回る結果となり、給湯関係の熱量は単位時間最大必要熱量227,680kcal/

時となった。

(3) 施設空調

熱媒体比較は行わないが、一般的な空調(冷暖房)利用エネルギー算定すると次の通りである。

当該施設面積の内、空調必要面積を 1,500㎡として設定する。㎡当たりの空調に必要となる熱量

は約200kcal/時であり、放熱負荷を 10%程度増加するものとして算定すると330,000

kcal/時となる。

(4) 必要熱量のまとめ

給湯関係熱量 温浴施設 836,640kcal/時

健康運動施設 227,680kcal/時

計 1,064,320kcal/時 = 1.1Gcal/時

空調関係熱量 施設空調 330,000kcal/時

合 計 1,394,320kcal/時 = 1.4Gcal/時

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【参考Ⅰ】 余熱利用の方法

一般的に焼却炉で発生した熱の回収の設備にはボイラーと熱交換器(空気予熱器、温水器)があり

熱利用の最終形態は電力、温水、高温空気、蒸気などになる。

下図は、一般的な焼却排熱のエネルギー変換による熱利用形態の整理をしたものである。

【参考Ⅱ】 蓄熱媒体(トランスヒートコンテナシステム)

本技術は、工場や焼却施設等(熱源施設)から発生する排熱を、コンテナ内の蓄熱材に高密度

に蓄えて、工場への産業利用や、庁舎、病院、集合住宅、温浴施設などへの民生利用等、熱を必

要としている施設(熱利用施設)へトラック等でオフライン搬送するものである。

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第2節 余熱利用施設におけるコスト試算

1 熱源供給イニシャルコスト

(1) 温水供給コスト

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(2) 電気供給コスト

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2 熱源でのランニング・イニシャルコスト比較(夜間蓄熱を基準として算定) 単位:千円

A重油 灯油 LPG 電気

ランニング 対象熱源ランニング 28,767 30,367 81,889

開業前 空調ランニング 4,839 4,839 4,839

計 33,606 35,206 86,728 19,904

ランニング 対象熱源ランニング 8,630 9,110 24,567

開業後 空調ランニング 1,100 1,100 1,100

計 9,730 10,210 25,667 6,538

開業前 0 △ 1,600 △ 53,122 ▲ 13,701

開業後 0 △ 480 △ 15,937 ▲ 3,192

イニシャル 温水ボイラー等 9,240 9,240 12,600

(給湯設備) 貯湯槽等 18,580 18,580 18,580 30,000

エコキュート関連 91,200

熱交換器関連 13,000 13,000 13,000 19,000

ヒートポンプ 42,284

マルチエアコン 19,341 19,341 19,341 19,341

オイル・バルクタンク 4,453 4,453 4,453

※オイルタンク算定

計 64,614 64,614 67,974 201,825

0 0 △ 3,360 △ 137,211

給湯・配電設備 223,400 223,400 223,400 133,900

0 0 0 ▲ 89,500

288,014 288,014 291,374 335,725

0 0 △ 3,360 △ 47,711

A重油は最もコストが安く安定的である。現状はA重油と灯油のコスト差は見られない。近年、原油高の影響から燃料費高等となっているものの、LPGと比較すると安い。一方、化石燃料の枯渇とCO2排出問題から、クリーンエネルギーへの対応が問題となっている。

A重油同様にコストが安く安定的である事から、採用する施設が多い。また、A重油と比較してCO2排出量も少ないことから選択される例も多い。設備コスト等はA重油と同じであるが、燃焼効率はA重油にやや劣る事から、A重油と比較しこの分ランニングコストがかかる。

A重油と比較すると、燃料効率は2倍以上良いが、燃料単価が6~7倍以上かかる。特にここ数年はガス単価が高騰しており、選択肢として考えると難しい。また、燃料単価を下げるために、バルクタンクを設置しプロパン容器使用料を下げる方法もあるが、当該施設でのバルクタンク設置は大規模なものとなり不可能である。同様に、プロパンガスの場合、購入業者選択が難しく、競争原理が働かないデメリットがある。

電気の場合、深夜電力を活用した蓄熱により、燃料コストは大幅に抑えることが出来る。また、施設開業後で見ると、30%程度に削減できる。また、実際は平根地区内の既存水力発電施設からの供給も可能であり、開業時のタイムラグを解消することが可能で、ランニングの削減が期待できる。また、配電に関しては自由度は高い。一方、設備コストはエコキュート設備を活用するため、給湯量からみて大規模(複数セット)設置が必要となり、投資と場所(面積)が必要となる。環境問題ではクリーンエネルギー評価が高い。

問題・課題点

A重油基準での比較

全体イニシャル

A重油基準での比較

19,904

6,538

A重油基準での比較

A重油基準での比較

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【参考Ⅰ】 余熱供給ルート案 (温水による余熱供給を想定した場合)

給湯ルート案 片道:約 2.5km

新クリーンセンター

整備候補地

余熱利用施設

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【参考Ⅱ】 熱源供給

(1) 温水・電気供用の場合

(2) 電気利用単独の場合

※ EHP(ビルマル)…電気式ヒ-トポンプ(電気式個別分散空調機)

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第3章 余熱利用施設の収支計画

第1節 投資計画

1 施設規模・機能の整理

当該施設の年間利用者数 20万人、会員数 400人を想定した場合の施設規模及び機能は、以下のと

おりである。温浴施設は 710 坪であるが、うち露天風呂部分が 80 坪のため、延床面積は 630 坪と

なる。トレーニング室等の延床面積は 130坪で、合計 760坪(2,512.40㎡)である。

2 概算建設コスト

余熱利用施設のイニシャルコスト例(延床面積 2,000 ㎡~3,000 ㎡)は下表のとおりである。こ

のうち比較的最近の施設を参考として坪単価 1,400千円とした。なお、イニシャルコスト例では造

成、道路、外溝等の工事費用を含む総事業費と、含まないとみられる場合があることに、留意が必

要である。

その結果、概算建設費は 10億 6,400万円(760坪×1,400千円)となる。

表 余熱利用施設のイニシャルコスト例(延床面積 2,000㎡~3,000㎡)

施設名称 所在地設置主体運営主体

開業年月 延床面積 イニシャルコスト(千円)㎡卖価

(千円/㎡)坪卖価

(千円/坪)備考

袋井市余熱健康増進施設風見の丘

静岡県袋井市袋井市直営

平成11年4月 3,000.00㎡ 総事業費 1,420,000 473 1,565

衣浦衛生組合余熱利用施設サン・ビレッジ衣浦

愛知県碧单市衣浦衛生組合直営

平成11年9月 2,873.40㎡ 総事業費 1,131,165 394 1,301

環境センター余熱利用施設フレッシュランド西多摩

東京都羽村市西多摩衛生組合直営

平成13年10月 2,360.00㎡ 事業費 1,303,050 552 1,825

高松市健康増進温浴施設ループしおのえ

香川県高松市高松市指定管理者

平成17年12月 1,911.00㎡ 事業費 1,000,000 523 1,730計画時の概算事業費

リフレ芥見 岐阜県岐阜市岐阜市指定管理者

平成19年3月 2,718.19㎡ 総事業費 1,105,000 407 1,344

還元施設環境の杜ふれあい

沖縄県单風原町那覇市・单風原町環境施設組合

指定管理者平成19年7月 3,026.00㎡ 総事業費 1,210,000 400 1,322

(仮称)稲城市健康プラザ 東京都稲城市稲城市指定管理者(予定)

平成24年5月(予定)

2,967.09㎡設計費+建設費

1,181,250 398 1,316VFM算定の設定値(従来方式)

平均 2,693.67㎡ - 1,192,924 443 1,464

平成19年以降 2,903.76㎡ - 1,165,417 401 1,327

施設名称 施設内容

袋井市余熱健康増進施設風見の丘

衣浦衛生組合余熱利用施設サン・ビレッジ衣浦

環境センター余熱利用施設フレッシュランド西多摩

高松市健康増進温浴施設ループしおのえ

リフレ芥見

環境の杜ふれあい

(仮称)稲城市健康プラザ室内プール(25×13)、小プール・ジャグジー、救護室、更衣室、浴室、見学ラウンジ事務室、相談室、コミュニティー・ふれあいセンター、スタジオ、トレーニングジム、キッズルーム、授乳室  ※病院との合築

プール(25m×6)、歩行用プール(25m×2)、子供用プール、ジャグジー、トレーニング室、フィットネス室、交流スペース、多目的室、休憩コーナー、温浴施設など

プール(25m×5)、幅広スライダー、こども用プール、幼児用プール、ジャグジー、採暖室、軽運動室、医務・監視室、浴室 (サウナ、水風呂、カルシウム人工温泉、寝湯、白湯、足湯、露天風呂)、和室(24帖)

大浴場、バイブラバス、スクリューバス、半身浴、露天風呂、サウナ、福祉風呂、トレーニングルーム、大広間、食堂、リラックスルーム、会議室、多目的施設/体育館、卓球(連棟)

プール(20m×3)、ウォーキングプール、キッズプール、ジャグジー、アクアレスト、浴室、アクアジムなど

歩行浴プール棟(1,057㎡):歩行浴プール(1周約32m)、ジャグジー、温浴プール(屋外直径3m)、サウナ(ドライ・ミスト)、採暖室、トレーニングルーム、談話室、リラクゼーションルーム、多目的ルーム多目的ドーム棟(1,520㎡):直径44mのドーム型運動施設(砂入り人工芝でフットサル1面、テニス2面、ゲートボール1面のいずれか)

温浴室(浴室、シャワーブース、サウナ室等)、岩盤浴、体育室、トレーニング室、体力測定室、健康相談室、研修室、会議・談話室、学習コーナー、ラウンジ

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第2節 営業収支計画

1 営業収支に係る前提条件

(1) 事業方式の整理

一般的な事業方式及び運営方式には以下の方法がある。なお、営業収支計画は運営事業者の収支

とした。

事業方式 建設 運営 概要

①公設公営

公共 公共 ・佐久市による直営事業である。

②公設民営

公共 民間 ・運営方式については指定管理者制度(DBO方式を含む)、

運営委託及び賃貸方式がある。

③民設民営 民間 民間 ・PFI方式

(2) 営業条件設定

月1回及び保守点検による休業を考慮して、営業日数は 350日とした。営業時間については特に

設定していないが、佐久市内4施設は 10時から 22時である。

(3) 各種料金の設定と収入設定利用者数設定

佐久市内4施設の料金は大人 400円、小人 250円である。ただし、これらには入湯税(大人;12

歳以上)50円が含まれているが、本収支ではこれを除き、大人 350円、小人 250円で設定した。

また、家族風呂はいわゆる福祉風呂と異なり、一般利用を見込んでおり、1室1回当たり 2,000

円(2時間)とした。(参考:布施温泉の福祉風呂は2時間 1,050円、別所温泉A旅館 40分 2,000

円)

また、健康増進会員は月会費 4,000円とした。(入会金なし)

なお、飲食などの料金は収入設定で行う。

月会費 4,000 円(年) 48,000 円

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(4) 利用者見込みの設定

年間利用者数を 20万人と見込む。まず、健康増進会員のうち 60%(24,000人)が温浴を利用す

る(ゆ~ふる tanaka を参考)と設定した。残りについて、家族風呂(3室)は1日4回の利用と

し、年間 1,400回、1組当たり 2.5人の利用を想定すると利用室数は 560回となる。一般的な利用

と異なり、家族風呂は1室ごとの料金のため、利用室数=利用者数として考える。

以上の利用者数(175,440 人)を除いた分について大人:小人を9:1とし、さらに、回数券な

どの利用を全体の 30%(大人 25%、小人5%)と設定し、それぞれを算出した。

また、健康増進会員は 400人、年間利用者数は4万人とした。

なお、当該施設では大規模修繕などが必要となるが、開業後4年目以降は年3%前後(3年で

10%)の利用客の減尐があることから、本構想においても、この逓減率を考慮した。ただし、施設

の永続性を維持するうえで追加投資は必要であることから、運営収支(15年間)では6・9・12・

15年目に投資を行うこととし、当該年度は前年比5%の利用客数の増加とした。

表 温浴の年間利用者数(10年目まで)

(注1)4年目以降は前年比3%の減尐とした

(注2)ただし、6・9・12・15年目は前年比 5%の増加とした

会員数 400 人週回数 2 回週 50 週年間利用者数 40,000 人温浴利用率 60 %年間利用者数 24,000 人年間営業日数 350 日同1日 69 人

(人)1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年

合計 200,000 200,000 200,000 194,000 188,180 197,589 191,661 185,911 195,207 189,351温浴のみ 175,440 175,440 175,440 169,440 163,620 173,029 167,101 161,351 170,647 164,791一般大人 114,036 114,036 114,036 110,136 106,353 112,470 108,616 104,877 110,921 107,113一般小人 8,772 8,772 8,772 8,472 8,181 8,651 8,355 8,068 8,532 8,240割引大人 43,860 43,860 43,860 42,360 40,905 43,257 41,775 40,338 42,662 41,198割引小人 8,772 8,772 8,772 8,472 8,181 8,651 8,355 8,068 8,532 8,240

家族風呂 560 560 560 560 560 560 560 560 560 560健康増進会員 24,000 24,000 24,000 24,000 24,000 24,000 24,000 24,000 24,000 24,000

利用比率 利用者数(人)

一般大人 56.9% 113,840一般小人 4.4% 8,800割引大人 22.0% 44,000割引小人 4.4% 8,800

(小計) 87.7% 175,440家族風呂 0.3% 560温浴のみ利用者数 88.0% 176,000健康増進 12.0% 24,000

(合計) 100.0% 200,000

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2 営業収入・営業支出の設定

(1) 収入項目の整理と収入設定

本構想における収入項目は、①入館料収入、②飲食収入、③売店収入、④自動販売機(自販機)

収入、⑤健康増進会員の会費収入の5つとした。

上記以外にも収入を得る方法は想定されるが、ここでは計上していない。

① 入館料収入

入館料収入は前項で設定した利用者比率に基づいて各料金に乗じて算出した。なお、健康増進会

員の利用については会費に含まれているとし、計上していない。また、値上げ率など考慮しないも

のとした。(金額はすべて入湯税抜;以下同じ)

② 飲食、その他の収入

飲食、売店、自販機収入は温浴のみ利用者 176,000人と健康増進会員の年間利用者数 40,000人を

あわせた 216,000人に対する利用率及び平均単価を設定し、算出した。健康増進会員の会費収入は

会員数 400 人に月会費 4,000 円(年間 48,000 円)を乗じた。なお、各収入ともに値上げ率など考

慮しないものとした。

以上から、収入は1億 5,300 万円となる(1年目)。平均単価は 708 円、温浴部門のみでは 760

円である。

割引率 料金 利用者数 売上 平均卖価(円) (人) (千円) (円)

一般大人 - 350 113,840 39,844 -一般小人 - 250 8,800 2,200 -割引大人 10% 315 44,000 13,860 -割引小人 10% 225 8,800 1,980 -

(小計) - - 175,440 57,884 330家族風呂 - 2,000 560 1,120 2,000温浴のみ利用者数 - - 176,000 59,004 335健康増進の温浴利用(注) - - 24,000 - -

(合計) - - 200,000 59,004 295(注)健康増進会員の会費収入に含まれる

利用者数 売上 売上比率 平均卖価(人) (千円) (円)

(合計) 216,000 152,940 100.0% 708温浴部門 176,000 133,740 87.4% 760入館料 176,000 59,004 38.6% 335飲食 118,800 53,460 35.0% 450売店 54,000 13,500 8.8% 250自販機 64,800 7,776 5.1% 120

健康増進会費 40,000 19,200 12.6% 480(うち温浴利用) 24,000 - - -

利用率 利用者数 卖価 売上 平均卖価(人) (円) (千円) (円)

飲食 55.0% 118,800 450 53,460 -売店 25.0% 54,000 250 13,500 -自販機 30.0% 64,800 120 7,776 -

(合計) - - - 74,736 315

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[参考]

所在市町名 佐久市 立科町

施設名称 布施温泉 穂の香乃湯 権現の湯

男女別 60%:40% ほぼ半々 不明

年齢別 平日60代、土日50代 65歳以上が40% 60~70代が多い

連休など40~50代 土日はファミリーが多い

料金区分別 大人93%、小人7% 1回利用券62% 期間券26.2%

一般75.5%、回数8.7% 共通券32%、回数券6% 1日券・回数券大人63.8%

共通券14.5% 同小人4.2%

他1.2%(福祉、軽井沢) その他5.7%

同行形態など 家族、夫婦(高齢者) 1人とカップルが半々 平日は高齢者

1人客(卖身赴任) グループ客増えつつある 土日はファミリー

リピート率 - -

飲食施設の利用状況 利用率50% 利用客は少ない -

その他付帯施設の利用状況 - - -

(運動・プールなど)

客卖価(利用者数全体) 740円 475円(入館料と売店) 407円

内訳 入館料50% (飲食は賃貸している) -

飲食32%

売店14%

その他4%

※共通券は佐久市施設 ※共通券は佐久市施設 ※期間券(1年、6か月、3か月)

所在市町名 東御市 小諸市

施設名称 ゆうふるtanaka 湯楽里館 あぐりの湯

男女別 ほぼ半々 50%:50% 男性が若干多い

年齢別 50代以上 60代後半~70代が中心 50代後半~80歳

スタジオ20~30代女性

料金区分別 月会員50%(850人) 大人90%、その他10% -

共通券30%、他20%

同行形態など 会員1人 家族、夫婦、1人客 家族、カップル(夫婦)

土日は家族 登山客、スキー客 団体(山登りツアーなど)

リピート率 月会員75~80% 半年利用券25% -

飲食施設の利用状況 利用率10% 利用率80% -

その他付帯施設の利用状況 会員の30%は風呂のみ マッサージ10%以下 -

(運動・プールなど) 売店5%

整体コーナー1%

客卖価(利用者数全体) - 1,000円 1,050円

内訳 食事450円 入館料50% 入館料50%

(利用者平均) その他50% 飲食20%

直売、他30%

※共通券は東御市施設

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3 営業収支モデル

当該施設の単年度(1年目)における営業収支については下表のとおり営業利益が見込まれる。

長期においては、大規模修繕などが必要となるが、営業収支は均衡すると見込まれている。

(注)余熱利用による削減後の金額である。

項目 1年目 対収入比(千円)

収入 152,562 100.0%温浴部門 133,362 87.4%

入館料 58,820 38.6%飲食 53,321 35.0%売店 13,465 8.8%自販機 7,756 5.1%

健康増進部門 19,200 12.6%年会費 19,200 12.6%その他 0 0.0%

支出 135,048 88.5%原価(合計) 29,892 19.6%温浴部門 (小計) 29,892 19.6%

入館料 0 0.0%飲食 15,996 10.5%売店 8,079 5.3%自販機 5,817 3.8%

健康増進部門 (小計) 0 0.0%年会費 0 0.0%その他 0 0.0%

販売管理費(合計) 105,156 68.9%温浴部門 (計) 94,716 62.1%

人件費 計 (17名) 59,200 38.8%正社員 (2名) 11,000 7.2%契約社員 (5名) 12,500 8.2%パート・アルバイト (10名) 35,700 23.4%

福利厚生費 1,650 1.1%水道光熱費(注) 17,000 11.1%消耗品費 3,000 2.0%保険料 340 0.2%修繕費(日常) 2,400 1.6%清掃費 6,000 3.9%保守点検費 2,400 1.6%広告宣伝費 1,526 1.0%その他諸経費(事務消耗品等) 1,200 0.8%入湯税(大人のみ) 0 0.0%

健康増進部門 (計) 10,440 6.8%人件費 0 0.0%福利厚生費 0 0.0%水道光熱費 8,000 5.2%消耗品費 2,400 1.6%保険料 40 0.0%修繕費(日常) 0 0.0%清掃費 0 0.0%保守点検費 0 0.0%広告宣伝費 0 0.0%その他諸経費(事務消耗品等) 0 0.0%

営業収入 17,514 11.5%

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4 課題の整理

(1)投資計画

建設費は資材、人件費(工賃)等の市場価格の影響を受けるため、ある程度の余裕を持った計画

が必要である。また、過大な投資を避けるため既存施設などとの連携により、必要最低限の施設計

画を行うことが肝要である。

本構想では直近の余熱利用施設の例を参考としたが、さらに精査が必要である。

(2)収入計画

入館料については市内施設と同額としたが、特に理由がない場合は市民を中心とした利用の促進

を図るためには周辺との価格差がない方が望ましい。逆に利用促進のための割引券等の発行も考え

られるが、発券比率を高めることにより、利用者は増えても、収入が反映しないこともあるので、

注意が必要である。

また、本収支では人工温泉を前提とし、天然温泉に係る入湯税(日帰り、大人 50円)は計上して

いない。

(3)支出計画

要員配置は地元雇用を基本とする。比率的にはアルバイト・パート採用などを中心とし、人件費

の抑制を図る一方で、1日 12時間、350日という営業体制(想定)の中で常時雇用を確保するのは

想像以上に難しく、特に土日における要員確保は課題となる。

その他の経費では浴槽に係る光熱水費の負担が比較的大きいため、余熱利用により、どの程度抑

制できるかも課題となる。

(4)収支計画

1年目より単年度の営業黒字となるが、4年目以降は利用者数の減尐が予想されることから、固

定費等の抑制が必要となる。また、集客施設全般に開業時は目新しさから平時以上の集客力を発揮

するが、温浴施設でも同様である。ただし、改装などを行なわない場合、開業4年目以降に年平均

3%前後の逓減があるといわれており、集客の維持のためには一定期間における追加投資も必要と

なるので原資の確保等が課題となる。

(5)魅力維持のための対策

利用者の逓減を抑えるためには施設の魅力を維持することが重要であり、その方策について、以

下に記す。

① 衛生、清掃管理の徹底

最も基本的なことであり、日常の衛生、清掃管理の徹底が長期間の利用を促す。これは利用者の

安全を確保する目的もあるが、施設等の清潔感が「また来たい」と思っていただく、リピート利用

につながるうえで重要である。

また、施設のみならず、従業員の服装等についても同様である。

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② 浴槽の充実

利用客の満足度を高めるために各種人工温泉、イベント風呂の導入を図り、魅力を維持していく。

これらは時間の経過により、変化していくため、一定期間ごとの更新が求められる。

[人工温泉の例]

炭酸泉、シルキー風呂、ナノ水等

[イベント風呂の例]

薬湯風呂、地域の素材を使ったイベント風呂(リンゴ、牛乳、日本酒等)

③ おもてなしの心

お風呂は心身の疲労回復や入浴者及び従業員とのふれあいなど「すこやか」「いやし」「きずな」

を体感できる場所でもあり、常にお客様をもてなす心を持ち、接することが求められる。そのため、

従業員教育等を行うことが必要である。

④ 温泉掘削

当該構想は、余熱利用による温浴施設であり、掘削や引湯による温泉利用を前提としていない。

しかし、余熱利用温浴施設でありながら温泉利用施設の事例もあり、当該施設においても集客力

向上と魅力維持の方策として導入の可能性はある。

ただし、掘削コストや維持管理コストが付加されるので、慎重な検討を要する。温泉掘削費の参

考例を次頁に記載する。

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◇ 温泉掘削費 参考例

①一般的な初期費用(三井金属資源開発㈱の資料をもとに作成)

◆調査費:2,000~4,000千円(調査内容・面積により異なる)

◆掘削費(一般的な卖価)深度別掘削費 m卖価

1,000m 1,300m 1,500m 1,000m 1,300m 1,500m岩質:軟質 42,000千円 52,000千円 58,000千円 42千円/m 40千円/m 39千円/m岩質:硬質 52,000千円 65,000千円 73,000千円 52千円/m 50千円/m 49千円/m

◆ポンプ設置費:6,000~8,000千円(ポンプ設置深度:地表-350mの場合)

②長野県内の掘削事業者による情報

  ◆探査       1ヵ月 5,000~6,000千円  ◆掘削       8ヵ月 1億円/1,500m  ◆ヒットアンドペイ 8ヵ月 1.5~1.6億円/1,500m

③自治体における温泉開発費例時期 種別 金額(性格) 掘削深度 m卖価

H23年度 源泉調査 2,930千円 (落札価格) ― ―

H23~24年度温泉掘削工事揚湯設備工事

111,090千円(入札公告の限度額)

1,200m 93千円/m

神奈川県秦野市

H22年度 温泉掘削工事 76,440千円 (落札価格) 1,010m 76千円/m

高知県中土佐町

H22年度 温泉掘削工事 64,600千円 (成功報酬) 1,500m 43千円/m

H18年度 温泉源探査 3,297千円 (最低見積額) ― ―

H18~19年度 温泉掘削工事 131,250千円 (成功報酬) 1,700m 77千円/m

種別 備考

源泉調査

温泉掘削工事揚湯設備工事

神奈川県秦野市

温泉掘削工事

高知県中土佐町

温泉掘削工事

温泉源探査

温泉掘削工事

「こんぴら温泉いこいの湯」自然放射能探査掘削終了後(H19.7.19)の湯温28.2℃、湯量98.6ℓ/分。湯温/湯量価格表に則り最高額(左記)を業者へ支払った。H20年に湯量減と加水の問題が発覚し、現在訴訟中

秋田県大仙市

香川県琴平町

秋田県大仙市

香川県琴平町

かみおか温泉「嶽の湯」。入札の予定価格は3,120千円業務は現地踏査一式、電磁波調査6点、放射能探査100点途中で60ℓ/分、50℃以上の安定した湯量が得られた場合、1,200m未満で終了有。得られない場合は最大1,500mまで可能な仕様。揚湯ポンプ能力は揚湯量90ℓ/分以上。源泉を既存貯湯槽まで送湯する設備一式鶴巻温泉。予定価格は92,490千円。揚湯試験では湯温38.8℃、湯量370ℓ/分久礼新港後背地温泉掘削工事。終了時点の湯温31.5℃、湯量76トン/日(→53ℓ/分)。最高条件は深度1,000m以上、湯温30℃以上、湯量50ℓ/分以上であり、左記金額を業者へ支払った

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