津南町三箇地区では、三箇小学校が平成...

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地域づくり インタビュー I N T E R V I E W 30 22 120このコーナーは、県内で地域づくりに活躍されて いる方に地域づくりを始めたきっかけや想い、活動 の秘訣やノウハウについてお伺いするものです。 廃校を活用した取り組み 恩田 稔さん 旧 三箇小学校 田植え体験 森遊び 6

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Post on 06-Feb-2021

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  • ―活動のきっかけを教えてください。

     

    三箇小学校が閉校になる4か月ほど前に、横浜国立

    大学附属鎌倉小学校から子どもたちを津南に連れて行

    き、廃校を活用し体験学習をさせたいので、協力して

    もらえないかという話を頂きました。この地域をこれ

    からどうして行けばいいのだろうという思いや、将来

    地域づくりインタビューI N T E R V I E W

    への危機感は当時も持っていましたので、地域の活性

    化につながるのであればと思い、仲間で相談をかさね「都

    会との交流を進める会」を立ち上げ、受入れたことがきっ

    かけです。

    ―活動内容を教えてください

     

    まず、運営は事務局3名で行っており、農業体験の指

    導や民泊受入、イベントの手伝いなどを含めますと30名

    くらいで活動しています。主な活動は都会の小学生に三

    箇地区に来てもらい、田植えや稲刈り、芋ほりなどの農

    業体験を行う他、地元の行事にも参加してもらったこと

    もあります。また、夏は川で泳いだり、冬はかまくらを作っ

    たりと、子どもたちを自然の中で自由に遊ばせることで

    非日常的な時間を過ごしてもらい、津南町の魅力を知っ

    てもらうように心掛けています。子供達の体験写真が鎌

    倉駅に貼られ、翌年来る子どもたちが写真の場所で遊び

     

    津南町三箇地区では、三箇小学校が平成22年

    3月末をもって120年の歴史に幕を閉じ、津

    南小学校へ統合されました。廃校になった施設

    を生かしたいという思いで、地域で会を立ち上

    げ、現在は都会との交流事業や地域コミュニティ

    の拠点として小学校が活用されています。今回

    の地域作りインタビューでは、2つの会の会長

    として活動をリードする恩田稔さんにお話を伺

    いました。

     このコーナーは、県内で地域づくりに活躍されている方に地域づくりを始めたきっかけや想い、活動の秘訣やノウハウについてお伺いするものです。

    廃校を活用した取り組み  恩田 稔さん

    たいと言ってくるなど、この会の取り組みが都会にも少

    し知られて来ています。

     

    私達が「都会の小学生に第二のふるさとを」を、キャッ

    チフレーズに活動しているのは、将来、子どもたちが大

    きくなった時、昔行った三箇がいいと言って住んでくれ

    る人がいれば最高ですが、たとえ住んでくれなくても、

    地域の行事や共同作業に協力してもらえる関係を構築

    旧 三箇小学校

    田植え体験森遊び

    地域活性化のために

    津南町の魅力を都市部へ

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  • 連携し地域活性化に取り組んでいます。

    ―今後の取り組みについて教えてください。

     

    地域は少子高齢化、人口減少が顕著になって来ています。

    地域の維持にはどうしても都会の人を呼び込むことが必

    要です。ただ津南町は豪雪地であり、何も知らずに来て

    いきなり住むというのは大変難しいと思います。時間は

    かかるかもしれませんが、多くの人と交流をすることで、

    可能性も出るのではと期待しています。地域の皆さんも

    全く知らない人ではなく、交流している人ならば快く受

    け入れてくれるはずです。今年は、ゲストハウスや農家

    民宿をやりたいので空き家はありませんか、と尋ねられ

    ることもありました。田舎へ移住したい人は間違いなく

    増えていることを実感します。そのためにも移住・定住

    を体験できる住宅が地域に一戸必要と考えます。自然の

    中で生きる素晴らしさや住民の暖かさも同時に体験して

    もらいたいですね。空き家はあってもなかなか活用がで

    きないのが現状ですが、これからも仲間で知恵を出して

    交流拡大を進めて行きたいと思います。

    プされ、求人広告にも使われています。

     

    6年間活動し、都会と三箇のお母さんがメル友になっ

    たり、高齢者の皆さんから孫が来たみたいだと言ったよ

    うな話を聞くととてもうれしいです。私達は都会の多く

    の方からこの地域の魅力や価値を教えて頂き、そして交

    流することができました。今後は小学生の農業体験をは

    じめ、さらに多くの方が来てもらえるような地域にした

    いと考えています。

     

    ずっと昔から三集落の中に小学校があり、運動会や

    文化祭などの学校行事が地域のコミュニティを構築し

    てきました。その拠点が失われるということは、地域

    内の交流もおそらく衰退することになるでしょう。一

    同に会する何か仕掛けが必要であることから「三箇を

    明るく住みよい地域にする会」を立ち上げ、三集落で

    校舎周りやグラウンド、公園、駅の草刈りなどの共同

    作業や夏祭り、収穫感謝祭などのイベントを開催して

    います。昨年からは2つの会と地域おこし協力隊とが

    すれば、元気な地域を維持できると考えているからです。

     

    昨年は越後妻有大地の芸術祭が開催され、台湾のテレ

    ビ局から夏休み、稲刈り、冬体験と3回の交流事業を取材

    して頂きました。また東京在住の女性写真家が小学校を

    拠点に活動したり、鎌倉市の団体で写真家や芸術家が小

    中学生にアドバイスをする夏合宿なども受け入れました。

     

    その中のお一人の写真家が三箇を大変気に入ってく

    れて、2か月間三箇で生活しながら、地域のほぼ全戸の

    家族写真を撮り、3月に地域住民と一緒に雪上プロジェ

    クションを開催し、雪で作った大スクリーンに映し出さ

    れた家族の笑顔は、地域に元気をくれました。夏にはバ

    ルセロナ在住のジュエリーデザイナーの受け入れ、津南

    の自然がとても素晴らしく、創作のイメージが膨らんだ

    と喜んで帰国されました。

     

    横浜市磯子区の皆さんからは「磯子・三箇プロジェクト」

    を立ち上げて頂き、四季毎に交流を行っております。春

    の田植え、夏のラフティング、秋の稲刈り、冬のかまくら

    と体験して頂きました。参加者の多くは親子ですが、中

    には保育士さんが研修として参加してくれることもあ

    ります。この保育園ではホームページで研修風景がアッ

    恩田

    稔さん

    地域コミュニティの維持

    三箇プロジェクション

    かまくら体験

    三箇地区の未来を見据えて

    昭和26年津南町生まれ。現津南町議会議員。廃校活

    用による地域活性化を目指すため、会社を退職し、町

    議会議員選挙に立候補する。議員活動の傍ら、都会と

    の交流を進める会と、明るく住みよい地域にする会の

    会長を勤め、三箇地区の発展に向け活躍中。

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