日米貿易協定 米国での特恵関税の活用 - meti...日米貿易協定利用の流れ...

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2020年2月 日米貿易協定 米国での特恵関税の活用

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  • 2020年2月

    日米貿易協定米国での特恵関税の活用

  • 日米貿易協定の構成

    1

    本体定義(第1条) 改正(第8条)発効(第9条) 終了(第10条) 等

    附属書Ⅰ(日本側)

    第A節 一般規定第B節 日本国の関税に係る約束

    第1款 一般的注釈第2款 関税の撤廃又は削減第3款 関税割当て第4款 農産品セーフガード措置第5款 日本国の表

    第C節 日本国の原産地規則及び原産地手続

    附属書Ⅱ(米国側)

    ANNEXⅡTARIFFS AND TARIFF-RELATED

    PROVISIONS OF THE UNITED STATES

    一般的注釈General Notes of the United States

    米国の関税率表Tariff Schedule of the United States

    米国の原産地規則及び原産地手続Rules of Origin and Origin Procedures of the United States

    ・2年目以降、日本側は毎年4月1日、米国側は発効日から1年ごとに関税を削減

  • 日米貿易協定利用の流れ

    関税編を参照

    原産地規則編を参照

    1. 輸出する産品のHTSコードを特定します

    2. 関税率を調べます

    3. 原産地規則を満たしているかを確認します

    4. 輸入者による特恵待遇の要求を行います

    2

  • 関税編

  • 1-1. HSコードとは

    4

    HSコードとは商品を分類するコードで、HSコードに基づいて各国で関税率が設定されています。

    1. HSコードとは、「商品の名称及び分類についての統一システム(Harmonized Commodity Description and Coding System)に関する国際条約」に基づいて定められた、輸出入の際に商品を分類するコード番号です。各国の関税率表や品目別原産地規則がHSコードに基づき策定されており、また、貿易統計にも利用されています。HSコードの構成は、下記のとおりとなっています。

    2. 下図のとおり、HSコードは桁数が増えるにつれて、細かな品目が特定されます。「号(上6桁)」までは世界共通ですが、それ以下は各国独自に定められています。日本においては統計細分として更に3桁のコードを付しています。

    3. 日本の9桁の統計品目番号、世界共通の6桁までのHSコードについては、税関のウェブサイト(次項参照)で確認できます。

    番号 品名

    ① 「類(上2桁)」 92 楽器及び部分品

    ② 「項(上4桁)」 9201 ピアノ、鍵盤のある弦楽器

    ③ 「号(上6桁)」 9201.20 グランドピアノ

    細分化

    9 2 0 1 . 9 0 . 0 0 0

    類:上2桁

    項:上4桁

    号:上6桁

    統計細分

    92(楽器及び部分品)

    9201(ピアノ、鍵盤のある

    弦楽器)

    9202(その他の弦楽器)

    9205(吹奏楽器)

    9201.10(アップライトピアノ)

    9201.20(グランドピアノ)

    9201.90(その他のピアノ)

    HSコードの桁数が増えるにつれ、細かな品目が特定されます。

  • 1-2. HSコードの調べ方

    5

    HSコードは「輸出統計品目表」などの税関資料で確認できます。

    1. HSコードは「輸出統計品目表」 、または「実行関税率表」で調べることができます。通常の貿易取引の際に必要となる輸出入申告書に記載する統計品目番号は、日本からの輸出申告の場合は「輸出統計品目表」を、日本への輸入申告の場合は「実行関税率表」を用います。なお、日米貿易協定の特恵税率を利用して日本から米国に輸出する場合、輸出先となる米国の品目分類を調べる必要があります。

    輸出統計品目表 : http://www.customs.go.jp/yusyutu/index.htm 実行関税率表 : http://www.customs.go.jp/tariff/index.htm

    輸出統計品目表 実行関税率表

    HSコードは「輸出統計品目表」などの税関資料で確認できます。世界共通のHSコードの上6桁目までは、「輸出統計品目表」などの税関資料で確認できます。

    4桁

    6桁

    国内細分 数量単位

    品名

    輸出統計品目表の見方

    http://www.customs.go.jp/yusyutu/index.htmhttp://www.customs.go.jp/tariff/index.htm

  • 1-3. HTSコードとは

    米国独自の品目分類としてHTSコードがあり、HTSコードに基づいて米国の関税率が設定されています。

    1. 米国独自の品目分類としてHTSコードがあり、 原則として6桁までは世界共通のHSコードと一致しています。なお、米国固有の分類として、第98類と第99類があります。※米国関税率表第98類は、無条件減免税あるいは税関保証金(ボンド)差し入れのもとでの特定減免税が適用される輸入事例を20項に分類、規定している。例えば、船積用のコンテナ、米国政府機関の購入品、在米外国政府・国際機関の輸入品、商品見本、米国水産業者による水産物、ボンド差し入れによる展示品や一時輸入品など。

    2. 7桁目以降は国内細分のため、米国の関税率表で分類を確認する必要があります。(https://hts.usitc.gov/current)

    日本:実行関税率表 米国:関税率表

    上6桁までは世界共通 7桁目以降の国内細分は各国で異なります

    1品目 2品目

    6

    (Harmonized Tariff Schedule of the United States)

    https://hts.usitc.gov/current

  • (参考) 米国の事前教示制度

    事前教示制度によって、米国への輸出前に、米国税関に商品のHTSコード等を照会できます。

    7

    1. 事前教示制度を利用することで、米国税関(CBP)に対して、以下のような内容を確認することができます。• 品目分類• 原産地の判定(協定に基づく原産品であるかの判定)• 協定の適用の可否• 原産国の適切な表示

    2. 回答までの期間: 原則30日以内に回答(CBP本部への確認が必要な場合などは90日以内)

    3. 照会を行える者: 米国への輸入を予定している輸出者、輸入者及びそれらの代理人など、あらゆる法人や個人

    4. 照会の方法: 以下のWebフォームeRulingより登録ができます。照会にあたっては、輸出者・輸入者の情報や商品の状態、材料、用途などの情報の提出が必要になります。https://erulings.cbp.gov/s/

    5. 有効期間: 法改正やCBPによる教示回答の修正がない限り、教示回答は有効です。

    6. 輸入時の手続: 輸入時に申告書類に教示回答文書のコピーを添付する、もしくは教示回答番号を記入します。

    輸出者・輸入者等

    米国税関(CBP)

    他の輸出者・輸入者等

    ①照会③教示内容を

    公開②教示

    https://erulings.cbp.gov/s/

  • (参考) 米国の事前教示情報データベース(CROSS)

    米国税関のデータベースCROSSにて、事前教示の回答情報を閲覧できます。

    8

    1. 米国税関のデータベースCROSSにて、事前教示の回答情報を提供しています。https://rulings.cbp.gov/home

    2. 例えば、「保温性トートバッグ」の事前教示回答情報を調べる場合は、「insulated tote bag」「classification」で検索をすると、これらの用語を含む回答情報の一覧が表示されます。そのうち、確認したい貨物と同様の貨物があれば、該当する商品のHTSコード(4202.92.9040)がわかります。(ただし、HTSのバージョンは回答書の日付時点のものになります。)

    ① 「insulated tote bag」「classification」を検索

    ②該当する事例を選択

    ③教示されたHTSコードや税率を確認

    https://rulings.cbp.gov/home

  • 米国の関税制度の詳細については以下をご参照下さい。 JETRO 米国 関税制度https://www.jetro.go.jp/world/n_america/us/trade_03.html 米国 国際貿易委員会(ITC)https://www.usitc.gov/

    MFN税率と日米貿易協定税率を比較し、日米貿易協定税率がより低い場合には、日米貿易協定の利用を検討してください。

    1.通常適用される税率(MFN税率)を調べます

    2.日米貿易協定税率を調べます

    3.通常適用される税率(MFN税率)と日米貿易協定税率を比較します

    HTSコードに基づき、米国で通常適用される税率(MFN税率)を確認します。※米国輸入時に適用する品目分類や関税率は、米国税関の判断によります。

    HTSコードに基づき、日米貿易協定附属書Ⅱの関税率表に掲げる品目(関税削減・撤廃の対象)か否かを確認した後、掲げられている場合は、日米貿易協定税率を確認します。

    2-1. 関税率の確認の手順

    9

    MFN税率と日米貿易協定税率を比較して、協定利用による関税削減メリットがあるか確認します。

    JETRO ITC

    https://www.jetro.go.jp/lib/link/tariff_link.htmlhttps://www.usitc.gov/

  • HTS Search (米国 国際貿易委員会:ITC)HTSコードを検索することで、米国のMFN税率と発効済各FTA税率等の特恵税率を調べることができます。https://hts.usitc.gov/

    【World Tariff とは】世界約175カ国の関税率を検索できるデータベースです。提供元のFedEx Trade Networks社とJETROとの契約により、ユーザー登録を行えば日本の居住者はどなたでも無料で利用できます。輸出先別、品目別に、MFN税率やFTA/EPA税率等の特恵税率を調べることができます。また、輸入時にかかる諸税(付加価値税・酒税など)も調べることができます。

    【注意】輸出の際は、World Tariffで調べるだけでなく、輸入者等を通じ、輸出先国の税関にもご確認をお願いします。

    World Tariff (FedEx Trade Networks社)世界各国のMFN税率と発効済各FTA/EPA税率等の特恵税率を調べることができます。https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff /

    2-2. 通常適用される税率(MFN税率)を調べる

    ① 米国政府のWebページで確認する

    ② World Tariffを利用して確認する →使い方はP.14~15

    米国政府のWebページやWorld Tariffで米国のMFN税率を調べます。

    10

    https://hts.usitc.gov/https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/

  • 2-3. 日米貿易協定税率を調べる①-「関税率表」の見方-

    日米貿易協定の米国側附属書(Annex II)中の関税率表(Tariff Schedule of the United States)で、品目ごとの協定税率を確認できます。関税率表では、個別品目の関税の撤廃・削減の方法やステージングがStaging Categoryとして定められています。

    外務省Webページの協定テキスト(英文版)の118ページ以降に米国側の関税に関する約束内容があります。https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page23_002886_00001.html

    ①HTSコード ②品目名 ③基準税率(ベースレート)

    ④実施区分(ステージングカテゴリー)

    品目分類の品目名が記載されています。

    関税の撤廃または削減の基準となる税率です。日米貿易協定では2019年1月1日時点のMFN税率を用います。

    品目の関税の撤廃または削減がどのように行われるかを示します。(次項参照)

    11

    https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page23_002886_00001.html

  • 2-4. 日米貿易協定税率を調べる②-「実施区分」の確認方法-

    米国側の実施区分(ステージングカテゴリー)の定義

    A : 即時撤廃B : 発効時に3%削減、2年目撤廃C : 1/2ずつ均等に段階的削減し、2年目に撤廃D : 1/5ずつ均等に段階的削減し、5年目に撤廃E : 1/10ずつ均等に段階的削減し、10年目に撤廃F : 即時半減G : 発効時3%削減、2年目にベースレートの1/2に削減H : 発効時3%削減、2年目に更に3%削減、3年目にベースレートの

    1/2に削減I : 1/4ずつ均等に段階的削減し、2年目にベースレートの1/2に削減

    J : 1/6ずつ均等に段階的削減し、3年目にベースレートの1/2に削減K : 1/10ずつ均等に段階的削減し、5年目にベースレートの1/2に削減

    米国の一般的注釈(General Notes)

    =即時撤廃

    =段階的2年目撤廃

    関税率表に記載の実施区分(Staging Category)の定義を米国の一般的注釈を参照して確認します。

    米国の関税率表(Tariff Schedule)

    12

  • 2-5. 日米貿易協定税率を調べる③-税率引下げ日等の確認方法-

    関税率の計算で生じる端数の処理方法や税率の引下げ日を米国の一般的注釈を参照して確認します。

    例1: K1/10ずつ均等に段階的削減し5年目にベースレートの1/2に削減

    例2: G発効時3%削減、2年目にベースレートの1/2に削減

    1年目 3年目 5年目

    16%

    1年目 2年目 3年目

    6.2%

    3.2% 3.1%

    米国の関税率の引下げ日1回目の関税削減は協定発効日、2年目以降はその年の同日

    米国の関税率の計算で生じる端数処理0.01%未満の端数を切り上げ (0.152%→0.16%)

    21050005 Ice cream, whether or not … 20% K 82054000 Screwdriver and base metal … 6.2% G

    20%ベースレート ベースレート

    13

    12%14%18%

    10%

  • 2-6. 個別品目に関する情報

    各省の所管品目について、以下webページでも確認できます。

    経済産業省 (工業品)https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190926006/20190926006.html

    農林水産省 (農林水産品)http://www.maff.go.jp/j/kokusai/tag/index.html

    14

    https://www.meti.go.jp/press/2019/09/20190926006/20190926006.htmlhttp://www.maff.go.jp/j/kokusai/tag/index.html

  • (参考) World Tariffの使い方①

    15

    https://www.jetro.go.jp/theme/export/tariff/

  • (参考) World Tariffの使い方②

    ③輸出国別の関税率表示画面

    輸出先を選択

    16

  • 原産地規則編

  • 米国への輸入(日本からの輸出)と日本への輸入(米国からの輸出)とでは特恵適用の対象産品や手続が異なる事に留意が必要です。

    輸出者・生産者の「原産地証明書」の作成は不要です。

    米国での特恵申告等、手続やルールに関して不明な点については、米国税関に設置される照会所に質問を行うことが出来ます。

    3-1.日米原産地規則(日本→米国)の要点

    18

    http://www.aseansec.org/index2008.html

  • 3-2. 米国への輸出にかかる規定について

    19

    1.日米貿易協定

    2.米国の関税率表、原産地規則及び品目別原産地規則(PSR)

    米国への輸出で日米貿易協定を利用する際に使用する米国の関税率表、原産地規則及び品目別原産地規則(PSR)は英文のみです。

    外務省 「日本国とアメリカ合衆国との間の貿易協定」のページhttps://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page23_002886_00001.html

    協定の「英文」に掲載しています。

    関税率表は「Tariff Schedule of the United States」原産地規則は 「Rules of Origin and Origin Procedures of the United States」PSRは「Product-Specific Rules of Origin 」をご覧ください(いずれもANNEXⅡ)。

    *日本への輸入に関する約束内容は、

    「和文」・「英文」の両方があります。 19

    https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/et/page23_002886_00001.html

  • 原産地規則は、輸出入される貨物が日米貿易協定の「原産品」として認められるための要件です。 域内で完全に生産された産品や、域外の材料を使用して生産した産品のうち品目毎に定められ

    た基準(品目別原産地規則(PSR:Product-Specific Rules of Origin))を満たした「原産品」が、日米貿易協定による関税撤廃・削減の対象となり得ます。

    原産地規則には、日本又は米国以外で生産された産品が、不当に日米貿易協定上の特恵税率を付与されることを防ぐ意味合いもあります(迂回防止)。

    日本・米国内

    日米以外における生産品

    日本・米国内で生産されていない産品は特恵税率の対象外です。

    日本・米国内における生産品

    日本・米国内で生産され、かつ、一定の「加工」がされた等の要件を満たした産品(「原産品」)は特恵税率の対象となり得ます。

    4-1. 原産地規則とは

    20

    http://www.aseansec.org/index2008.html

  • TPP等と同様に、①完全生産品、②原産材料のみから生産される産品、③非原産材料を使用し、品目別原産地規則(PSR)を満たす産品を、原産品として認定します。

    《類型》A)農産品、鉱業品の一次産品:一次産品の収穫、採掘、

    収集等を「生産」として捉える。B)上記完全生産品のみから生産された物品:完全生産品同士から生産されても完全生産品であると捉える。

    《完全生産品の例》収穫等された植物 (ANNEXⅡ Rule of Origin and

    Origin Procedures of the United states パラ3(a))生きている動物であって、生まれ、かつ成育されるもの (〃 パラ3(b))生きている動物から得られる産品 (〃 パラ3(c))日本又は米国域内の領域で狩猟、漁ろうにより得られる動物 (〃 パラ3(d))抽出・採掘された鉱物性生産品 (〃パラ3(e))これら上記のものから得られ、生産されたもの

    (〃 パラ3(f))

    ①完全生産品 ②原産材料のみから生産される産品

    生産に直接使用された材料が原産材料であるもの。

    原産材料の中に、日本・米国産以外の材料が含まれていても、当該材料が原産性基準を満たしていればよい。

    ③PSRを満たす産品

    4-2. 日米貿易協定上の原産性の判断基準

    非原産材料を使用して生産された産品であっても、その生産において一定の要件を満たしていれば、原産品とするものです。

    PSRは関税分類ごとに要件が定められており、「関税分類変更基準」が採用されています。

    21

  • 米国

    4-3. 日米貿易協定上の原産性の判断基準 -完全生産品-

    日本・米国又は両国の領域内で完全に得られ、または生産される産品は、原産品となります。 具体的には農産品(動植物等)、鉱物資源など。 また、これらのものから得られ、生産されたものも、完全生産品として原産品になります。

    特恵税率で輸入申告

    日米貿易協定では、「原産材料のみから生産される産品」も原産品と認められます。完全生産品との違いは、産品の材料の材料(2次材料)に日本・米国産以外のものを含み、それから日本・米国で1次材料(原産材料)に加工されたものから生産される点です。

    輸出

    22

  • 非原産材料を使用しても、日本・米国又は両国における加工等の結果として、当該材料に実質的な変更があった場合には、その産品を「原産品」と認めるものです。

    日米貿易協定のPSRでは、「関税分類変更基準」が用いられています。これは、非原産材料のHS分類と最終産品のHS分類の間に、特定の変更がある場合、原産性を認めるものです。

    PSRにおいて、「CC」は上2桁、「CTH」は上4桁、「CTSH」は上6桁での変更が必要です。

    電球(HSコード:8539.29)

    「CTSH」(上6桁の変更)の場合日本・米国又は両国における加工・組立て

    ガラス球(HSコード:7002.90)

    口金(HSコード:8539.90)

    4-4. 日米貿易協定上の原産性の判断基準 -PSR-

    23

  • 溶接機械の場合(HSコード:85153100)

    溶接機械のPSRは「CTSH, except from subheadings 8515.11 through 8515.80」。 この場合、「except from」以降に示されている材料からの変更では原産性は認められません。

    溶接機械HS85153100

    変更の除外対象

    8515.11 はんだ付けガン

    8515.19 その他はんだ付用機器

    8515.21 全自動溶接機器

    8515.80 その他溶接機器非締約国産のこれらの品目から生産した場合、CTSHは生じているものの原産品とは認められない。

    アイスクリームの場合(HSコード:21050005)

    アイスクリームのPSRは「CTH except from headings 04.01 through 04.06 or dairy preparations of subheading 1901.90 containing more than 10 percent by dry weight of milk solids or dairy preparations of subheading 2106.90 containing more than 10 percent by dry weight of milk solids 」。

    「except from」以降のHSコードの材料(例:乳製品)が、日本又は米国の原産品である必要があります。

    4-5. 日米貿易協定上の原産性の判断基準 –特殊なPSR-

    24

  • 産品がPSRに規定される関税分類変更の要件を満たさない非原産材料を含む場合であっても、全ての当該非原産材料の価額が当該産品の価額の10%を超えず、かつ、当該産品がその他の適用可能な要件を満たす時は、当該産品を原産品と見なします。この規定は、非原産材料を他の産品の生産において使用している場合にのみ適用します。

    ただし、僅少の非原産材料の規定を適用できない(例外)場合があります。

    4-6. その他の規定:僅少の非原産材料

    僅少の非原産材料の例外

    適用できない非原産材料 適用できない生産

    HS 04.01~04.06 (酪農品)HS 21.05 (アイスクリームその他の氷菓)

    HS 1901.90 (酪農調整品(乳固形分含有量10%超))

    僅少の非原産材料の具体例

    非締約国

    部品A

    15ドル

    10ドル非締約国品の部品を組み込んだピアノ PSR:CTH

    部品B

    産品価額 3,000ドル

    CTHがクリアできない

    →部品価額は15ドルと10ドルで、産品価額の10%以下であるため、僅少の非原産材料ルールを適用することで、原産品となる。

    25

  • 一般的に混在して在庫管理されることが多い代替性のある材料や産品について、それぞれ原産材料と非原産材料で他の産品の生産に使われる場合、または、原産品と非原産品が混在し同じ形で輸出される場合、一般的な会計原則に基づく在庫管理方式に基づき、原産材料/原産品であるかどうかが決定されます。

    なお、在庫管理方式は、生産者等により選択され、会計年度を通して使用されている方式である必要があります。

    4-7. その他の規定:代替性のある産品または材料

    混在している事例:ボルト

    日本以外の国A500トン搬入

    ①日本産のボルト:500トン搬入(6月1日)②日本以外の国A産ボルト:500トン搬入(6月10日)

    ➡在庫目録の中で混合して1,000トンを保管米国

    700トンを搬出(6月15日)

    ➡原産品は??

    在庫管理方式 先入先出方式 後入先出方式 平均方式

    算定方式最初に搬入された

    順から数える最後に搬入された

    順から数える

    米国に輸出した時の原産性の判定

    ①原産品500トン②非原産品200トン

    ①原産品200トン②非原産品500トン

    ①原産品350トン②非原産品350トン

    ROM(%) = TOMTONM × 100

    ROM:原産品とみなされる数量の割合 TOM:在庫(搬出前)の代替性のある原産品の数量 TONM:在庫(搬出前)の代替性のある原産品と非原産品の合計数量 26

  • 4-8. その他の規定: 包装材料及び容器、附属品、間接材料他セット

    27

    包装材料・容器・附属品・間接材料等の扱い

    輸出産品が、完全生産品か品目別規則を満たすかどうかの判断にあたり、次のものについては、考慮する必要はありません。 産品とともに分類される小売用の包装材料と容器 輸送用の梱包材料と容器 附属品・予備部品・工具・解説資料その他の情報資料のもので、産品について慣習的なもの

    で、産品とともに分類、納入され、インボイス(仕入書)が産品と別立てされていない場合 生産や検査等に使用され物理的に組み込まれていない間接材料や、産品の生産に関連す

    る建物の維持や設備の稼働のために使用される間接材料

    セット

    複数の産品から成る「セット」は、以下の条件を満たせば原産品となります。① 統一システムの解釈に関する通則3の適用により関税分類が決定されるセットの場合、セットに

    属する各産品がそれぞれ原産品であり、かつ、セットと各産品が適用される他の原産地規則の要件を満たすこと。

    ② ①の場合でも、統一システムの解釈に関する通則3の適用によるセットに含まれる非原産品の価額がセットの価額の10%を越えない場合。

    27

  • 次の場合は、原産品が原産性を失うことになります。(a) 日本と米国の領域外で、追加的な生産や何らかの作業を行う場合。但し、積卸し、ばら積み、

    貨物からの分離、蔵置 、米国から要求されるラベル又は証票による表示、及び原産品を良好な状態で保存するため又は米国の領域への輸送に必要なその他の作業は除きます。

    (b) 日米以外の国にある間、当該国の税関当局の監督下に置かれない場合。

    4-9. その他の規定: 通過及び積替え

    日本 米国

    直送

    税関監督下

    ※日米以外の国(経由地)で許容される作業 : 積卸し、ばら積み貨物からの分離、蔵置 、米国から要求されるラベル又は証票による表示、原産品を良好な状態で保存するため又は米国への輸送に必要なその他の作業

    28

    許容される作業のみを行う※

    http://www.aseansec.org/index2008.html

  • CPTPPや日EU・EPA等でも利用されている「輸入者による原産地申告」を採用しています。

    産品の輸入に際し,輸入者の知識又は産品が原産品であるとの輸入者が持つ情報に基づき、米国の輸入者の申告により米国の関税率表の品目について特恵待遇の要求を行うことができ

    ます。

    輸入者は、「産品が原産品である」との申告を「輸入申告書」の一部を構成する形で行います。(輸出者・生産者には、原産地証明書の作成は求められていません。)

    5-1. 日米貿易協定の特恵待遇の要求(自己申告)

    日本

    輸入者

    米国税関

    輸出

    (特恵待遇)

    輸入申告

    米国

    輸出者生産者

    *原産地証明書の作成は不要です。

    原産地証明書

    輸入者の知識又は輸入者が持つ情報

    29

  • 米国は、輸入者に対し、原産品である理由を記載した申告(製造情報も含む)を提出することを、

    求めることができます。なお、申告に様式はなく、可能な場合は電子的な提出でも認められます。

    米国は、産品が原産品であり特恵待遇を与えられる資格を有する事の証明に必要な情報や書類を要求することができます。

    (日本の輸出者・生産者から輸入者に情報を提供することが憚られるような場合、)輸入者は、輸出者・生産者から直接米国税関に送付されるように手配する事ができます。

    30

    5-2. 原産性の確認手続

    日本

    米国税関

    米国

    輸出者生産者

    資料の要求

    説明資料

    輸入者

    説明資料

    *輸入者が手配する場合

    30

  • (参考) 原産地関連書類の保存 – 関税分類変更基準

    CTH

    金属成形用の金型(84804100)のPSR :日米貿易協定では、CTH(4桁レベルの関税分類変更)が全ての非原産材料で認められれば、原産品となる

    金属成形用の金型(84804100)

    全非原産材料のHSコードが輸出製品のHSコード(HS8480.4100)と上4桁レベルが異なる 原産品

    関税分類変更基準を満たすには、使用される材料が、PSRが定める指定された桁数の関税分類(HSコード)の変更が必要。同変更要件は、非原産材料についてのみ適用されます。

    原産部材一覧表(日本または米国域内産品)

    品名 HSコード

    1 六角孔付きボルト(8本): 購入品 7318

    2 ロケートリング用 炭素鋼鋼材 7208

    3 ガイドピンブッシュ 炭素工具鋼鋼材 7215

    4 ガイドピン(4本):購入品 7318

    5 可動側型板高強度クロム モリブデン鋼鋼板 7208

    6 受け板高強度クロム モリブデン鋼鋼板 7208

    7 リターンピン(4本)用 合金工具鋼鋼材 7215

    8 突き出しピン(4本)用 炭素工具鋼鋼材 7215

    9 突出板(上)用炭素鋼鋼材 7208

    10 突出板(下)炭素鋼鋼材 7208

    11 可動側取付板炭素鋼鋼材 7208

    12 ノックピン(8本)用 炭素工具鋼鋼材 7215

    非原産部材一覧表(日米以外の国産や原産・非原産不明品)

    番号 品名 HSコード 注

    1 スループッシュ用炭素鋼鋼材 7215 輸入

    2 固定側型板用炭素鋼鋼材 7208 輸入

    3 コアー用炭素鋼鋼材 7208 輸入

    4 固定側取付板用炭素鋼鋼材 7208 輸入

    5 スペンサブロック用炭素鋼鋼材 7208 輸入

    31

  • (1)原産性を明らかにするための資料

    • 生産に使用した非原産材料(非原産と扱った「材料・部品」)の関税分類(HSコード)と、輸出する産品のHSコードが変更されていることを示す資料□対比表

    • 対比表に記載された「材料・部品」を用いて生産されていることを裏付ける資料□総部品表□製造工程フロー図□生産指図書(委託生産の場合)□各「材料・部品」の投入記録(在庫蔵入蔵出記録など)

    (2)船荷証券等の船積書類の写し

    (参考) 原産地関連書類の保存 – 書類例

    保存書類の例

    32

  • (参考) 米国輸入時の手続に関する情報(米国税関)

    33

    米国税関(CBP)は日米貿易協定を利用する際の手続概要についてウェブ上で情報提供しています。

    ① 米国税関・国境取締局(The U.S. Customs and Border Protection (CBP))のページhttps://www.cbp.gov/trade/free-trade-agreements/japan

    ② 米国税関・国境取締局の告示https://content.govdelivery.com/bulletins/gd/USDHSCBP-273e4fc?wgt_ref=USDHSCBP_WIDGET_2?utm_source=search.usa.gov&utm_medium=search.usa.gov&utm_term=undefined&utm_content=undefined&utm_campaign=(not%20set)&gclid=undefined&dclid=undefined&GAID=620124297.1576746057

    手続概要(上記ページ①の要約)

    2020年1月1日~13日の期間、米国側輸入者は、日米貿易協定の特恵税率の対象品目についても従来の輸入手続きを行い、関税を支払う。ただし、その期間に支払った関税は関税還付手続き(post summary correction:PSC)の対象となる。

    関税還付手続きは、米国税関の電子申請システム(Automated Commercial Environment:ACE)を通じて申請することができる。米国税関は既に関税還付申請を受付中。なお、申請期間は、通関から300日以内あるいは関税の清算から15日以内のいずれか早い方が期限となる。(参考)関税還付手続き https://www.cbp.gov/trade/programs-administration/entry-summary/post-summary-correction

    2020年1月14日以降は、米国税関の電子申請システム(Automated Commercial Environment:ACE)を通して、特恵税率の適用を要求可能。1月14日以降、日米貿易協定を利用する際は、輸入手続の際にACEにおいて対象輸入品目のHTSコードの前に「JP」(日米貿易協定の特別プログラム表示)を付す必要がある。

    https://www.cbp.gov/trade/free-trade-agreements/japanhttps://content.govdelivery.com/bulletins/gd/USDHSCBP-273e4fc?wgt_ref=USDHSCBP_WIDGET_2?utm_source=search.usa.gov&utm_medium=search.usa.gov&utm_term=undefined&utm_content=undefined&utm_campaign=(not%20set)&gclid=undefined&dclid=undefined&GAID=620124297.1576746057https://www.cbp.gov/trade/programs-administration/entry-summary/post-summary-correction

  • (米国の問合せ先)米国税関・国境取締局(The U.S. Customs and Border Protection (CBP))Office of Trade, Trade Agreements BranchEmail: [email protected].

    (日本の問合せ先)(1) 輸出入の手続やビジネス相談を含む実務の全般について

    日本貿易振興機構(JETRO) EPA活用のための相談窓口https://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/tpp/contact.html

    (2) 輸出時の原産地申告の準備等の実務についてEPA相談デスク ※2020年3月31日までhttps://epa-info.go.jp/

    (3) 協定の鉱工業品の関税などの内容について経済産業省 通商政策局 経済連携課

    http://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/contact/

    (4) 協定の農林水産品の関税などの内容について農林水産省 国際部 国際経済課

    http://www.maff.go.jp/j/kokusai/tag/index.html

    (5) 輸入に関するお問い合わせ各税関窓口(税関相談官(室))http://www.customs.go.jp/question2.htm

    6. 日米貿易協定や利用に係る問い合わせ先

    34

    https://www.jetro.go.jp/theme/wto-fta/tpp/contact.htmlhttp://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/contact/http://www.customs.go.jp/question2.htm

  • 経済産業省 通商政策局 経済連携課〒100-8901 東京都千代田区霞ヶ関1丁目3番1号Tel: 03-3501-1595/Fax: 03-3501-1592

    ご清聴ありがとうございました。本資料にかかる問い合わせはこちらまでお願いします。

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