川崎病院通信専 門 特 殊 外 来 担 当 医 表...

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胆石は日常臨床で非常によく遭遇する疾患です。胆石のうち胆嚢内にできた胆石を胆嚢結石、総胆管内にで きた胆石を総胆管結石といいます。総胆管結石が胆管につまると腹痛や黄疸を起こします。さらに高率に細菌感 染を併発し胆管炎となります。胆管炎は容易に敗血症にまで至る重篤な疾患であり、致死的になることも珍しく ありません。また、総胆管結石は急性膵炎の原因にもなります。総胆管結石は放置すると命に関わる疾患であり、 診断されれば早期の治療が必要です。 総胆管結石の治療としては、内視鏡的治療、経 皮的治療、外科的手術がありますが、近年は内視 鏡治療手技や処置具の進歩に伴い、より侵襲の少 ない治療法である内視鏡的治療が第一選択となっ ています。総胆管結石の内視鏡的胆管結石除去術 は、まず内視鏡下に胆管の出口である十二指腸乳 頭部からカテーテルを胆管内に挿入して胆管を造影 することで総胆管結石の数や大きさ、胆管の状態 を評価します。この検査を内視鏡的逆行性膵胆管 造影検査(ERCP)といいます。ERCP に引き続いて、 胆管の出口を広げて結石をとり出しやすくしておい て、バスケットカテーテルやバルーンカテーテルなど の内視鏡処置具を用いて結石を截石(除去)します。 胆管の出口を広げる方法には、電気メスで切開する 乳頭括約筋切開術(EST)と乳頭バルーン拡張術 (EPBD)があり、患者さんの状態に応じて使い分けています。また、EST や EPBD で除去できない巨大結石に 対して、近年、さらに大きいバルーンでの乳頭拡張術が行われるようになっており大口径バルーン拡張術 (EPLBD)と呼ばれています。当院では近隣の病院に先駆けて EPLBD をいち早く導入しており治療成績を向上さ せています。 総胆管結石は胆管炎や膵炎を伴う場合には緊急処置を要する疾患です。当院では、重症の胆管炎に対して夜 間や休日でも緊急内視鏡治療を行う体制を整えています。ここ数年、総胆管結石治療数、ERCP 件数ともに増加 の一途を辿っており、症例数は兵庫県下トップクラスとなっています。さらに治療成績を向上させるように内視鏡 機器の充実と技術の研鑽に努めています。腹痛、黄疸、肝胆道系酵素高値など総胆管結石をはじめとする胆道 疾患を疑う患者さんがおられましたら、是非、川崎病院消化器内科へのご紹介をよろしくお願いいたします。 治療実績 総胆管結石治療数 ERCP 件数 51 件 127 件 2009 年 55 件 150 件 2010 年 65 件 152 件 2011 年 74 件 216 件 2012 年 96 件 267 件 2013 年 ①3個の総胆管結石を認めた ②バスケットカテーテルで截石 ③截石完了 ①胆管にカテーテルを挿管 ②乳頭括約筋切開術(EST) ③バスケットカテーテルで截石 総胆管結石の内視鏡的治療に力を入れています 消化器内科 部長 野村 祐介 川崎病院通信 川崎病院通信 http://www.kawasaki-hospital-kobe.or.jp/ 2014年 12月発行 発行責任者 病院長 中村 正 編集責任者     浦野 聖史  Vol. 21

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Page 1: 川崎病院通信専 門 特 殊 外 来 担 当 医 表 専門特殊外来は予約(または一般外来の受診)が必要です。診 療 科 月 火 水 木 内 科 午前

 胆石は日常臨床で非常によく遭遇する疾患です。胆石のうち胆嚢内にできた胆石を胆嚢結石、総胆管内にできた胆石を総胆管結石といいます。総胆管結石が胆管につまると腹痛や黄疸を起こします。さらに高率に細菌感染を併発し胆管炎となります。胆管炎は容易に敗血症にまで至る重篤な疾患であり、致死的になることも珍しくありません。また、総胆管結石は急性膵炎の原因にもなります。総胆管結石は放置すると命に関わる疾患であり、診断されれば早期の治療が必要です。 総胆管結石の治療としては、内視鏡的治療、経皮的治療、外科的手術がありますが、近年は内視鏡治療手技や処置具の進歩に伴い、より侵襲の少ない治療法である内視鏡的治療が第一選択となっています。総胆管結石の内視鏡的胆管結石除去術は、まず内視鏡下に胆管の出口である十二指腸乳頭部からカテーテルを胆管内に挿入して胆管を造影することで総胆管結石の数や大きさ、胆管の状態を評価します。この検査を内視鏡的逆行性膵胆管造影検査(ERCP)といいます。ERCPに引き続いて、胆管の出口を広げて結石をとり出しやすくしておいて、バスケットカテーテルやバルーンカテーテルなどの内視鏡処置具を用いて結石を截石(除去)します。胆管の出口を広げる方法には、電気メスで切開する乳頭括約筋切開術(EST)と乳頭バルーン拡張術(EPBD)があり、患者さんの状態に応じて使い分けています。また、EST や EPBD で除去できない巨大結石に対して、近年、さらに大きいバルーンでの乳頭拡張術が行われるようになっており大口径バルーン拡張術(EPLBD)と呼ばれています。当院では近隣の病院に先駆けて EPLBDをいち早く導入しており治療成績を向上させています。

 総胆管結石は胆管炎や膵炎を伴う場合には緊急処置を要する疾患です。当院では、重症の胆管炎に対して夜間や休日でも緊急内視鏡治療を行う体制を整えています。ここ数年、総胆管結石治療数、ERCP 件数ともに増加の一途を辿っており、症例数は兵庫県下トップクラスとなっています。さらに治療成績を向上させるように内視鏡機器の充実と技術の研鑽に努めています。腹痛、黄疸、肝胆道系酵素高値など総胆管結石をはじめとする胆道疾患を疑う患者さんがおられましたら、是非、川崎病院消化器内科へのご紹介をよろしくお願いいたします。

治療実績

総胆管結石治療数ERCP 件数

51件127件

2009 年55件150 件

2010 年65件152件

2011年74件216 件

2012年96 件267件

2013 年

①3個の総胆管結石を認めた ②バスケットカテーテルで截石 ③截石完了

①胆管にカテーテルを挿管 ②乳頭括約筋切開術(EST) ③バスケットカテーテルで截石

総胆管結石の内視鏡的治療に力を入れています消化器内科 部長 野村 祐介

川崎病院通信川崎病院通信http://www.kawasaki-hospital-kobe.or.jp/

2014年12月発行発行責任者 病院長 中村 正編集責任者     浦野 聖史 

Vol. 21

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専 門 特 殊 外 来 担 当 医 表 専門特殊外来は予約(または一般外来の受診)が必要です。

診 療 科 月 火 水 木

内  科

午前 【糖尿病外来】市原 紀久雄

【糖尿病外来】

【糖尿病外来】大塚 章人

【脳神経外来】篠山 隆司

【糖尿病連携合併症外来】村井 潤

・・・・・

・・・・・

【糖尿病外来】大塚 章人

【神経内科外来】本岡 里英子

午後

阪尾 淳 柴北 宗顕 殿元 康仁

【腎臓外来】

【リンパ浮腫外来】要外来受診八杉 悠

粕本 博臣【呼吸器外来】徳永 俊太郎

【腎臓外来】粕本 博臣

【腫瘍外来】茶屋原 菜穂子

【禁煙外来】中村 正(第1・3・5)久保 聡子(第2・4)

循環器内科午後

・・・・・ 【心臓血管外科外来】仲村 輝也

【ペースメーカ外来】(第1・3)

・・・・・・・・・・

・・・・・

午前

午前

・・・・・ ・・・・・【直腸肛門外来】柴北 宗顕

10:00~11:00

・・・・・ ・・・・・

外  科

午後

【乳腺外来】

13:30~14:30

【直腸肛門外来】

14:00~

【乳腺外来】

13:30~14:30 ・・・・・

整形外科 午前 ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・ ・・・・・

・・・・・ ・・・・・ ・・・・・

形成外科

午前 ・・・・・

・・・・・

【フットケア外来】

耳鼻咽喉科 午後

午後

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・ 【補聴器外来】要外来受診(第1・3・4・5)

・・・・・

土(第2・4は休診)

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

【スポーツ外来】戸祭 正喜

・・・・・

・・・・・

・・・・・

久保 聡子

金【呼吸器外来】畠山 由記久

【血液外来】飯田 正人

・・・・・

・・・・・

【直腸肛門機能外来】(第1・3)

【直腸肛門外来】柴北 宗顕14:00

・・・・・

・・・・・

・・・・・

・・・・・

【ストマ外来】(第2・4)

14:00~16:00

その他、各診療科にて力を注いでいる疾患・治療 注)学会など諸事情により代診、休診になる場合もあります。 あらかじめご了承ください。

標榜科 専   門 医師名および診療曜日 標榜科 専   門 医師名および診療曜日

内科

糖 尿 病 市原 紀久雄(金曜 午前)大塚 章人(月曜 午前)

消化器内科

悪性疾患(膵臓癌、胆管癌等)により黄疸が出た時のステント減黄術 前田 哲男(月曜 午前/水曜 午前)

野村 祐介(火曜 午前/木曜 午前)西田 悠(金曜 午前)

多田 秀敏(火曜 午前/金曜 午前)※内科2診で診察消化器癌の早期発見と

内視鏡治療

肥満、高脂血症、痛風 中村 正(月曜 午前/水曜 午前)

循環器内科 冠動脈疾患全医師が対応致します

血    液 飯田 正人(月曜 午前/水曜 午前/木曜 午前)

末梢動脈疾患

腎    臓 櫨木 聡(月曜 午前)

整形外科小 児 全 般 戸祭 正喜

(月曜 午前/金曜 午前)耳鼻咽喉科

睡眠時無呼吸症候群

下屋 聡子(月、水、木、金、土 午前)土曜日は第3・5のみ

手 全 般

中 耳 炎

スポーツ障害全般

アレルギー性鼻炎

形成外科

眼瞼下垂熱傷を含む外傷 八杉 悠

(月、火、木、金、土 午前)土曜日は第3のみ

副 鼻 腔 炎

良性・悪性の皮膚腫瘍美容医療褥瘡

扁 桃 炎

歯科口腔外科

感 染 症

全医師が対応致します

声帯ポリープ

腫瘍(悪性、良性)

突発性難聴

顎 骨 骨 折

顔面神経麻痺

インプラントおよびインプラントのための骨再生

眼科 涙 道 手 術 松場 眞弓(火、水、金 午前)

  電話 078-511-3133 / FAX 078-511-3297ご予約は地域医療連携室まで電話またはFAXにてお申し込み下さい。

専門分野:形成外科一般趣  味:音楽鑑賞一言メッセージ

 11月より川崎病院の形成外科で勤務させて頂いております。地域の先生方や患者さんのお役に立てるよう頑張りますので、ご指導宜しくお願い致します。

新入職医師のご紹介新入職医師のご紹介便失禁治療専用 仙骨神経刺激療法(SNM)

治療機器の導入について便失禁治療専用 仙骨神経刺激療法(SNM)

治療機器の導入について 川崎病院肛門外科では便失禁治療機器“InterStimⅡ仙骨神経刺激システム”(日本メドトロニック社製)を兵庫県下ではじめて導入いたしました。 便失禁の治療は生活習慣の改善や肛門括約筋のトレーニング、薬物療法などの保存的治療が主に行われ、保存的治療で症状に改善がみられない場合は外科的治療が検討されてきました。SNM の導入により保存療法で改善がみられない患者さんにも治療の選択が広がることが期待されます。SNMは試験刺激により治療効果を確認し、効果が認められた場合に臀部に神経刺激装置を植え込み継続的な神経刺激を行います。 SNM により、これまで治療効果を得られなかった患者さんにも、症状に合わせたきめの細やかな治療が可能になります。かかりつけの患者さんで便失禁に悩まされている方がいらっしゃれば、是非、川崎病院肛門外科の受診をお勧めください。(川崎病院肛門外科の診察には予約が必要です。お問い合わせ、ご予約は地域医療連携室までお願いします。)川崎病院 地域医療連携室電話:078-511-3133(開業医専用番号)/FAX:078-511-3297

InterStimⅡ仙骨神経刺激システム 形成外科 医員秋山 幹雄(あきやま みきお)