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厚生労働省 雇用均等・児童家庭局事業 子どもの心の診療 ネットワーク事業 事業概要集 平成 2327 年度

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厚生労働省 雇用均等・児童家庭局事業

子どもの心の診療

ネットワーク事業

事業概要集

平成 23~27年度

各都道府県および拠点病院・機関における事業概要 ...................... 3

①東京都/東京都立小児総合医療センター ................................................................. 4

②神奈川県/神奈川県立こども医療センター ............................................................ 8

③石川県/金沢大学附属病院・医王病院・高松病院 ............................................... 12

④山梨県/山梨県立こころの発達総合医療センター・山梨県立精神保健福祉センター

山梨県立あけぼの医療福祉センター・山梨県立北病院 ............................................... 16

⑤長野県/長野県立こども病院 ................................................................................. 20

⑥静岡県/静岡県立こども病院 ................................................................................. 24

⑦大阪府/大阪府立精神医療センター ..................................................................... 28

⑧兵庫県/兵庫県立光風病院 ................................................................................... 32

⑨鳥取県/鳥取大学医学部附属病院 ........................................................................ 36

⑩島根県/島根県立こころの医療センター .............................................................. 40

⑪岡山県/岡山県精神科医療センター ..................................................................... 44

⑫香川県/四国こどもとおとなの医療センター ....................................................... 48

⑬佐賀県/肥前精神医療センター ............................................................................ 52

⑭熊本県/熊本大学医学部附属病院神経精神科 発達障がい医療センター .............. 56

⑮大分県/大分大学医学部附属病院 ........................................................................ 60

⑯沖縄県/琉球病院 ................................................................................................. 64

オブザーバー参加自治体および拠点病院・機関における事業概要 .... 65

⑰札幌市(オブザーバー参加)/

北海道大学(大学院医学研究科)との共同研究 ........................................... 69

各都道府県および拠点病院・機関

における事業概要

東京都の事業概要 ~東京都立小児総合医療センター~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課:東京都福祉保健局少子社会対策部 家庭支援課母子保健担当 ・児童数(0歳~18歳) :1,841,428人 (引用:住民基本台帳による 東京都の世帯と人口平成28年1月より) ・児童精神科系 医師数: 不詳 ・児童精神科のある医療機関数: 不詳

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院名 :東京都立小児総合医療センター (561床うち一般347床,結核12床,精神202床) ・事業実施科名:児童・思春期精神科 ・事業開始年 :平成20年(平成22年2月までは都立梅ケ丘病院) ・子どもの心診療機関マップ:平成27年11月から公開 登録施設数:129施設

【3】事業実施への経緯 旧東京都立梅ヶ丘病院から診療基盤を引き継いだ東京都立小児総合医療センター 児童・思春期精神科は、日本最大の児童・思春期精神科専門医療機関であり、梅ヶ丘時代から継続して地域の専門機関との連携を図るためのセミナーや、療育現場の支援者を対象にした実習を交えた研修会、子どもの精神保健のための電話相談などを行ってきた。 これらの活動を通じて関係機関との連携、研修体制がすでに構築されていたことから、東京都立小児総合医療センターに事業を委託した。

~地域との双方向ネットワークによって 子どもと家庭を強力にサポート!~

東京都立小児総合医療センター

地域中核病院

地域医療機関

中央拠点病院 (国立成育医療研究センター)

児童相談所

保健所 保健センター

発達障害者支援センター

療育施設 福祉施設

学校等教育機関 司法機関

警察

など

地域の諸機関

地域発達支援システム

【5】実施事業の概要 ①子供の心の診療連携事業 ・地域との連携強化のための出張講座等 ・精神科連携マップの作成 ・医師、医療機関との連携強化のための講座・連絡会議等 ② 子供の心の診療関係者研修事業 ・関係機関向けセミナーの開催 ・児童青年期臨床精神医療講座入門基礎コース ・教育・保育機関向け講座の開催 ・包括的暴力防止プログラム講座 ・看護師向け講座 ・児童養護施設等職員研修 ・訪問サポート・巡回連続研修 ③普及啓発・情報提供事業 ・都民向けシンポジウムの開催 ・ホームページによる情報提供 ・普及啓発用印刷物の作成

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ・ 当院児童・思春期精神科で培われた臨床のノウハウを地域の各種専門職と共有することにより、医師のみでなく幅広い専門領域で 子どもの心の問題に対する最適な対応が可能となるように、できる限り多様な研修プログラムを用意する。 ・ 特に地域での発達障害の早期療育に関しては、現場の担当者や保育士を対象にしたより実践的な研修を企画し、発達障害児が 地域で安定した療育に参加できるための準備を行う。 ・ 協同診療による地域医療機関とのネットワーキングを促進し、長期フォローを必要とする子どもたちが安心して地域の医療機関・ 相談機関に通える体制作りをする。

東京都の事業概要 ~東京都立小児総合医療センター~

【7】事業による効果と思われるもの ・地域発達支援との連携強化 地域の医師会や療育機関との連携を強化したことで、地域の医療機関で軽度な発達障害を診るためのネットワーク構築が進み、地域医療機関を主治医、東京都立小児総合医療センターで療育支援を行う取組が一部で始まっている。 その他、地域の保育園に対しても研修を実施し、発達の気になる子どもの支援と、その支援を園内や関係機関とつなぐ役割ができる人材を育成したことにより、発達障害の幼児軽症例を地元の療育機関に委ねることができるようになっている。 ・地域医療機関との連携強化 上記のネットワーク化を軸にして、児童精神科の地域中核病院との連携が成立し、定期的な連絡会を開催することができるようになった。またこの連携と歩調を合わせながら、児童・思春期精神科の初診受付にトリアージシステムを導入、この結果、新患の待機日数は大幅に減少し、地域の重症例を優先的に診療することが可能となった。

【8】目指す方向性について (今後の予定事業や展望、目標など) ・地域医療機関との双方向連携と分業の確立 中央拠点事業である診療マップを完成させて活用することにより、逆紹介を活発化することができるようになった。この方針は未だ道半ばであり、マップの完成度を上げ、地域との双方向連携をさらに推進し、トリアージシステムを確立することにより、子どもの精神障害全般にわたる発症年齢ごと・重症度ごとの、地域の医療機関との棲み分けが可能となる。子どもの心の医療機関全体が、ひとつのシステムとして機能するようになるためには、今後もこの方向が継続的に推進される必要がある。 ・子どもの心の健康に関わる多領域連携の実践 児童精神科医療の領域に止まらず、小児科医療、教育、福祉などとの多様な連携は、今後ますます必要となる。このためのキーになるのは領域間の人材交流・より実践的な相互研修・ネットワークシステムとコーディネーター養成などである。こうした施策を統合的に実践する要として、われわれ拠点病院が機能する必要がある。そのために、より実践的な研修が可能なプログラムを準備し、地域の専門機関全体を見渡してコーディネートできるような人材を育成していく。

東京都の事業概要 ~東京都立小児総合医療センター~

神奈川県の事業概要 ~神奈川県立こども医療センター~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課名 :神奈川県 県民局 次世代育成部 子ども家庭課 ・児童数(0歳~18歳未満) :1,406,209人(H27.1.1現在) ・児童精神科系医師数 : 不明 ・児童精神科のある医療機関数,入院病床・病棟数 :児童思春期精神科入院算定病床は 5病院・計136床 その他受け入れ対応病院は8病院 児童精神科のあるクリニック等までは未把握

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院機関名:神奈川県立こども医療センター(329病床 うち、こころの診療病棟40床。別に90床の障害児入所施設を有する小児専門病院) ・事業実施科名 :児童思春期精神科及び臨床心理室 ・事業開始年 :平成20年度のモデル事業から実施、平成23年度から当事業が始まるとともに本格実施する。 ・子どもの心の診療機関マップ 実施有無と登録施設数: マップ実施済み。 69診療機関が登録。 ・事業協力施設(連携病院など)の数: 神奈川県域児童青年期精神科入院医療連携を考える会に13病院が参加

【3】事業実施への経緯 ・元々県立の小児専門病院として、地域医療機関等での研修会や事例検討などの連携を、児童思春期精神科を中心に独自で実施していた 経過があった。事業開始の情報を得て、事業参加を病院側から県へ打診し実施するに至った。

神奈川県の事業概要~神奈川県立こども医療センター~

【4】事業図

患者紹介

診療支援

地域の医療機関 地域の関係機関

児童相談所

療育施設 学 校

保健センター

養護施設 発達障害者支援センター 自立支援施設

(技術支援・専門家派遣・情報提供) 連携会議・コンサルテーション・合同研修会

警 察 司法機関

教育委員会

など

(情報提供・普及啓発) セミナー・公開講座

連携

連携

地域の関係者・一般県民

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 *地域の医療機関等からの患者紹介を受けて、診療支援を実施している。 *児童精神科入院医療を行う医療機関の連携会議を開催している。 *摂食障害治療を行う医療機関のネットワークを構築している。 *児童相談所、教育機関等と連携会議を実施し、福祉・教育と医療とのネットワーク化を目指している。 *福祉施設等に出向いてコンサルテーションを実施し、支援困難な子どもの受け皿に対する医療支援を行い連携を図っている。 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 *研修医のみならず、児童精神科専門医を育成している。 *小児科医を中心とした子どもに関わる専門職に対してセミナーを開催し、児童精神科医療に関する専門知識の普及や医療情報の 提供を図っている。 *地域の養護教諭を中心とした教育関係者に対して、児童精神科医療情報の提供、病棟見学を実施している。 ③普及啓発・情報提供事業 *公開講座を開催し、子育て中の親を中心とした一般県民に対して、子どもの心の問題や診療に関する情報の普及啓発を行っている。 *事業のホームページを立ち上げ、子どもの心の診療に関する情報を提供している。また病院のホームページ内では過去のセミナーの 抄録なども閲覧できるようにしてある。 ④その他 *事業報告を年度ごとに作成し、関係機関に配布することで事業の周知を図り連携を深める一助としている。

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 *上記事業のうち特にアウトリーチ型支援として、児童養護施設コンサルテーション、地域コンサルテーションを実施している。地域に足を運んで、支援困難な被虐待児や発達障害児の支援についての医学的な診立てや援助方法の助言・情報交換をすることで、子どもに関わる職員の役割分担の明確化やエンパワメントにつながり、ひいては子どもを取り巻く環境の安定をもたらすとともに、相互の連携が円滑化されることを目標として力を入れている。

神奈川の事業概要~神奈川県立こども医療センター~

【7】事業による効果と思われるもの ・セミナーや公開講座の開催によって、子どもの心の問題に関する地域の関心や危機感が高まった。 ・コンサルテーションでの医学的診立てが、その後の受診や入院に繋がることもあり、児童精神科医療に対する敷居を低くする役割を果たしている。また困難事例をかかえる現場職員に対して問題の具体的な解決や負担の軽減に結びつく糸口を提供できている。 ・連携会議を通じて関係機関相互の役割分担を明確にしたり、課題を共有することでお互いの実際の状況や、できることできないことなどを再確認し、一歩進んだ対応について問題意識が持てるようになった。 ・子どもの摂食障害患者についての医療連携システムが確立し、依頼患者にもれなく対応可能な医療機関の紹介ができるようになった。 ・精神科入院を要する子どもへの対応が迅速かつスムーズに行えるようになった。

【8】目指す方向性について (今後の予定事業や展望、目標など) ・被虐待児や発達障害児への支援に関しては、環境調整が大きなウエイトを占める。そのため取り巻く周囲の人々の理解や支援が必要であり、今後ともセミナーや公開講座を通して普及啓発に力を入れて行く必要がある。 ・アウトリーチ型のコンサルテーションについては、実施のたびに相手方の満足度も高く、継続希望の関係機関が殆どであるが、医師が職場を空けて出張する必要があるため予算に大きく左右される事業である。継続のためには安定的な予算の確保が望まれる。 ・支援が必要な新規開設施設(情短施設、養護施設)、児童相談所等に対する医療的なサポートとネットワーク作りが今後の課題として挙げられる。 ・小児総合病院という長所を生かし、今後は母子保健推進室、地域医療連携室、虐待症例部会等の当センター内の横の連携も強化し事業実施の広がりや、窓口の集約を図りたい。

神奈川県の事業概要~神奈川県立こども医療センター~

石川県の事業概要 ~金沢大学附属病院・医王病院・県立高松病院~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課 :石川県健康福祉部少子化対策監室子育て支援課 ・児童数(0歳~18歳未満):184,142人(平成27年10月1日現在) ・児童精神科系 医師数 :日本児童青年精神医学会認定医 4人

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院名 :金沢大学附属病院(病床数838床)子どものこころの診療科にて実施 独立行政法人国立病院機構 医王病院(病床数310床)小児科にて実施 県立高松病院(病床数400床) ・事業開始年 :平成20年 ・事業協力施設:県では「子どもの心の診療・相談機関情報ガイド」を作成し、関係機関に配布。 当ガイドには、小児科36医療機関、精神科34医療機関、行政機関等を掲載

【3】事業実施への経緯 ひきこもりや小児うつ、摂食障害、発達障害など様々な子どもの心の問題について、多くの家族や保育所、学校等が対応に苦慮しているが、 子どもの心の診療を行う医師が少なかったことから、平成20年10月より「いしかわ子どもの心のケアネットワーク事業(平成24年度からは、 子どもの心のケア推進事業)」を開始し、子どもの心の問題に関しての病診連携及び人材育成を促進し、医療・教育・保育・保健等の 関係者が連携し、包括的支援を推進することとした。

石川県観光PRマスコットキャラクター 「ひゃくまんさん」

~子どもの心のケアネットワークの推進~

【4】石川県における子どもの心のケア推進事業体系図

教育関係

学校 幼稚園 保育所 放課後児童クラブ等

福祉:児童相談所

地域 -生活支援相談―

保健:保健福祉センター 等

民間:親の会、NPO法人 等

一般診療所

(小児科・精神科)

医療 -診断治療―

専門的診療

(3基幹病院)

金沢大学附属病院

医王病院

県立高松病院

診療援助 助言指導

相談 紹介 等

連携

相談

ネットワーク事務局

(石川県こころの健康センター内)

①連携強化のためのネットワーク会議

②子どもの心の支援事例検討

③スキルアップ研修等

④関係機関への情報発信

多機関のコーディネート 困難事例への対応

助言・指導

助言・指導

相談

子どもの心のケア推進事業

子ども・家族を取り巻く関係者(機関)が、連携した支援を行う

石川県の事業概要

【5】実施事業の概要

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ○ 支援事例検討会(①未就学児・学童期事例検討会②児童・青年期事例検討会③精神科・小児科医師等事例検討会)を開催し、 福祉・教育・医療の連携とネットワークの強化、関係者の人材育成を実施 ○ 社会資源が不足している地域へ出向き、気になる子どもたちへの早期支援(保育士等への支援)を実施

石川県の事業概要

年度

1 子どもの心の診療支援 2 子どもの心の研修・育成

3 普及啓発 ➀検討会(体制整備検討会)

➁支援事例検討会 (多職種及び医師間連携の

合同事例検討会)

➀関係者育 成セミナー

②出前講座 ③保育所への 早期介入(市町・保育所支援)

23 ケアネットワーク検討会 3回 包括体制構築連携会議 1回 地域ネットワーク検討会 4回

・教育関係 7回 ・保育関係 5回

3回 9回 18回

(対象児182人)

「子どもの心のケアネットワーク」小冊子・カード・ポスター配付

24 ケアネットワーク検討会 2回 ・未就学児・学童期 5回 ・児童・青年期 5回 ・精神科医師・小児科医師 5回

2回 ー 10回

(対象児40人 保育士77人)

上記配布

25 ケアネットワーク検討会 1回 ・未就学児・学童期 5回 ・児童・青年期 4回 ・精神科医師・小児科医師 4回

2回 ー ー 「子どもの心の診療・相談機関情報ガイド」作成

26 ケアネットワーク検討会 1回 ・未就学児・学童期 4回 ・児童・青年期 4回 ・精神科医師・小児科医師 4回

3回 ー ー 上記配付

27 ケアネットワーク検討会 1回 ・未就学児・学童期 4回 ・児童・青年期 4回 ・精神科医師・小児科医師 4回

3回 ー 9回

(対象児59人 保育士41人)

上記配付

【7】事業による効果と思われるもの ○ 人材育成:子どものこころの相談対応小児科等医師数の増加 16機関(22年3月末)→36機関(26年3月) *「子どもの心の診療・相談機関」情報ガイドに掲載機関 ○ ネットワークの構築:医療・教育関係機関からの紹介が約3割を占める ○ 保育所と教育の連携強化 (保育所への早期介入事業を通じ福祉課と教育機関とのネットワークが強化された)

【8】目指す方向性について (今後の予定事業や展望、目標など)

石川県の事業概要

<子どものこころに関する来所相談件数及び紹介機関割合 石川県こころの健康センター受理分>

年度 延件数 実件数

紹介機関

医療機関 割合 教育機関 割合

a b b/a c c/a

23 142 54 7 13.0 10 18.5

24 185 59 1 1.7 14 23.7

25 412 84 6 7.1 29 34.5

26 434 71 5 7.0 16 22.5

27 302 53 6 11.3 10 18.9

○ 児童青年精神科医師数の増加(事例検討会でスーパバイズできる人材育成) ○ 教育・医療・保健・福祉のチームによる支援にむけて関係機関の更なる連携強化(定期的な事例検討会の企画) ○ 社会資源が不足している地域への支援強化

山梨県の事業概要 ~山梨県立こころの発達総合支援センター、山梨県立精神保健福祉センター、山梨県立あけぼの医療福祉センター、山梨県立北病院~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課:山梨県 福祉保健部障害福祉課 ・児童数(0歳~20歳未満):149,000人(H26 総務省統計局 推計人口調査) ・児童精神科系 医師数:拠点4機関の常勤医21名(精神科医17名 小児科医4名)のうち児童精神科医3名 ・児童精神科のある医療機関数:・児童精神科医による外来診療実施医療機関 2 (こころの発達総合支援センター甲府クリニック、都留クリニック) ・児童思春期病棟をもつ医療機関 1(県立北病院) ・拠点4機関以外に児童思春期外来を開設している医療機関 1 (公立病院、*医師は県立北病院から派遣されている。)

【2】拠点病院・機関概要 ①拠点病院機関概要 ・山梨県立こころの発達総合支援センター:医療機能を併せ持つ発達障害者支援センター、発達障害(全年齢)及び18歳までの子どもの心に関する 外来診療(県内2か所)及び相談(県内3か所)、研修事業、 集団療育や関係者コンサルテーション等地域支援を実施している。 ・山梨県立精神保健福祉センター:心の健康増進や精神障害者の社会復帰等の支援機関,思春期コンサルタント事業を実施している。(診療は未実施) ・山梨県立あけぼの医療福祉センター:病院、医療型障害児入所施設及び医療型児童発達支援センターの機能を有する総合福祉施設、 外来診療(小児科)で理学療法、作業療法、言語療法、心理療法を実施している。 ・山梨県立北病院:児童思春期病棟(20床)がある精神科単科病院,外来診療,思春期ショートケア,家族相談,家族支援プログラム等を実施している。 ②事業開始年度 :平成21年度~22年度 子どもの心の診療拠点病院推進事業 平成23年度~子どもの心の診療ネットワーク事業

【3】事業実施への経緯 ・本事業を活用して後期臨床研修医を確保し、県内の児童思春期精神科医療の強化拡充を図ることを目的としてH21年10月から子どもの心の診療拠点病院推進事業参加に至った。子どもの心の診療を担う医師が不足している状況を踏まえ、少ない医療資源を有効に活用するため、複数の機関の事業を本事業に位置づけた。 ・平成23年度、こころの発達総合支援センター開設を契機に、主に県内の子どもの心の診療や相談を担っていた他の3機関と各事業実施担当機関を整理したうえで4機関を拠点機関として位置づけ、子どもの心の診療ネットワーク事業に参加することになった。

~各拠点機関の強みを活かし、相互連携で県全体をカバー!~

山梨県の事業概要

【4】事業図

▲こころの発達総合支援センター相談

【5】実施事業の概要

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ・4機関がそれぞれの強み(※1)を活かした事業を行い、相互連携することで県全体の機能強化を図っている。 ※1 こころの発達総合支援センター(児童精神科医2名体制での発達障害及び子どもの心の専門外来)、 県立北病院(県内精神科病院の中核、児童思春期入院機能)、 あけぼの医療福祉センター(リハビリ機能)、 精神保健福祉センター(思春期以降のメンタルヘルス全般への対応) ・上記【5】本事業で予算化されている事業以外で行っている事業(※2)も本事業の一環として実施することで、 地域支援と一体的に行うことができる。 ※2 保育所等訪問指導事業、思春期コンサルタント事業、思春期問題ワークショップ等

山梨県の事業概要

事業名 事業内容 1 子どもの心の診療支援(連携)事業

子どもの心の問題等対策に関わる関係機関との診療連携会議

子どもの心の診療に係る地域支援体制構築のため、医療・保健・福祉・教育機関等との連携会議(年1回)及び部会(年3回)を開催

支援関係者による合同事例検討会 北病院の思春期精神科医療に関わるスタッフと事例に関わる関係者の合同事例検討会(随時開催)

こころの発達総合支援センターにおける診療体制強化

常勤医師1名、非常勤心理職1名の確保

2 子どもの心の診療関係者研修・育成事業

子どもの心の診療対応力向上研修 早期発見・早期支援につなげるため、小児科医・精神科医等に対し子どもの心の問題に関する研修を実施 (年2回)

子どもの心の診療関係職種専門研修 医師及び保健福祉関等関係機関の職員を対象に、専門性の更なる向上を図るために系統だった研修を行う (年3回)

先進地研修及び専門研修の受講 医師及び保健福祉等関係職員の専門性のさらなる向上を図るため、先進地(中央拠点病院等)や学会や専門研修等に派遣する。(年1回)

県立北病院における後期臨床研修医2名の指導

後期臨床研修医(専修医)として配置された2名の非常勤医師に対し、指導医が中心となり児童思春期精神科医療についての実地研修を行うとともに、児童思春期医療の人材確保、育成、定着により医療の強化充実を図る。

児童青年期精神医学専門研修プログラム 県内の病院に勤務する医師に対し、精神医学研修の一環として児童青年精神医学の研修プログラムにより充実した人材育成の機会を提供する。思春期入院症例カンファレンス(年6回)

3 普及啓発・情報提供事業

一般県民向けの子どもの心に関する講演会とシンポジウム

子どもの心の診療に関する情報を幅広く収集し、地域の医療機関、保健福祉関係機関等及び地域住民に対して、ホームページ等により適切な情報を提供するとともに、子どもの心の問題について普及啓発を図る。(年1回)

貸し出し図書 発達障害や虐待により子どもの心の問題に対応するための最新図書を購入整備し関係機関等に情報提供する。

【7】事業による効果と思われるもの ・こころの発達総合支援センターでは、利用者や関係機関への普及・啓発の進展に伴って多様なニーズが喚起された。 ・県立北病院では、後期臨床研修の期間が終了した医師は現在までに4名、北病院で診療に当たっている。その医師が中心となり、児童思春期病棟のプログラムを充実させ、家族支援にも力を入れ始めたことで、専門性を高めた医師が児童思春期の患者や家族の治療ニーズを満たせるようになっている。また、一般向け講演会では、一般県民に加え、学校、子どもに関わる県や市町村などの職員の出席が多い。また、ホームページに「子どもの心の支援ネットワーク」のバナーの設置、子どもの心の問題で支援に困難を感じている他機関と事例検討会をすることで、当院で行われている児童思春期医療の役割について、周知できる機会が増えている。そのため、27年度の児童思春期の受診者数が273件と前年度に比べ90件近く増えている。 ・あけぼの医療福祉センターの外来では年間130~160名程度の発達障害関連の新規患者を受けている。昨年度にはセンターの分院が開院し、さらに90名程度の新規患者を受けた。また、保育所訪問支援では、現場の保育士等の相談に具体的な助言ができており、需要が高い。

【8】目指す方向性(今後の予定事業や展望、目標など) 【全体】 本事業と併せて、県独自に取り組んでいる「発達障害医療支援体制整備事業」(H27~29 地域医療介護総合確保基金事業)で、 小児科医を対象とした人材育成とこころの発達総合支援センターを中心とした医療ネットワークの構築を進めており、 発達障害等子どもの心の診療体制の更なる強化を目指す。 【各拠点機関】 ・多様なニーズに直接対応することは勿論のこと、 医療・教育のOJTを展開していく。(こころの発達総合支援センター) ・県内唯一、児童思春期病棟がある北病院で、児童思春期の患者により専門的な 精神医療を提供できるように、各職種の技術を高めるとともに、 システム(プログラムやカンファレンス、家族支援など)の確立を目指す。 また、県民に対して児童思春期精神医療の普及啓発を目指すとともに、 他機関との連携を図り、医療と福祉が統合された支援を目指し、 児童思春期医療と福祉を必要としている人々に充実した支援を提供したい。(県立北病院) ・啓発や研修事業にも積極的に取り組んでいけるよう体制整備を行っている。(あけぼの医療福祉センター)

山梨県の事業概要

長野県の事業概要 ~長野県立こども病院~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課:長野県健康福祉部保健・疾病対策課 ・児童数(0歳~18歳未満):333,411人(平成28年4月1日現在) ・児童精神科のある医療機関数:2機関(病床数計45床) (児童・思春期精神科入院医療管理料届出医療機関)

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院機関名:地方独立行政法人長野県立病院機構長野県立こども病院(180床) ・事業実施科名 :リハビリテーション技術科 ・事業開始年 : 平成24年度 ・子どもの心の診療機関マップ実施 : なし ・事業協力施設 : 県内医療機関12ヶ所(通称「地域連携病院」)

【3】事業実施への経緯 平成23年度に本県で開催された「発達障害者支援のあり方検討会」報告において、全県的な発達障がい診療体制の整備が課題の一つとされた。そこで、平成24年度から子どもの心の診療ネットワーク事業を活用し、発達障がい診療体制の整備に関する検討会及び地域連絡会を設置し、体制整備を推進することとした。 拠点病院は、全圏域を対象とした発達障がいを中心とする子どもの心の診療を行うとともに、県内の各地に職員を派遣して公開講座を行うなどの実績を持つ、県立こども病院とした。

長野県PRキャラクター「アルクマ」 ⓒ長野県アルクマ

~地域の支援機関のネットワーク強化を推進~

長野県立こども病院「ちるくま」

長野県の事業概要~長野県立こども病院~

【4】事業図

検討会

地域 連絡会

連絡会議

<メンバー>

こども病院

信州大学医学部附属病院 こころの医療センター駒ヶ根

発達障がい者支援センター

・発達障がい診療の体制整備に関する検討 ・事業実施方針に関する検討 ・地域連絡会の実施状況の共有

地域連携病院 保健福祉事務所

・事例検討、シンポジウム、講義 など

診療医 研修

・こども病院、保健・疾病対策課、 発達障がい者支援センター ・検討会委員の助言を受ける

保健・疾病対策課(事務局)

<企画>

<内容>

<参加者>

・医師、医療従事者、福祉関係者、教育関係者、 行政関係者 など

<企画>

<内容>

<参加者> ・県内に勤務する医師

・発達障がいに関する施策説明 ・基本的事項や投薬治療に関する講義 ・症例検討

・事業実施方針の周知 ・各圏域で開催する地域連絡会について情報交換

<事務局> 検討会委員 <参加者> 地域連携病院医師等、保健福祉事務所保健師 等

講師派遣

※講師派遣の調整はこども病院が行う

参加

参加

<検討事項>

<内容>

【5】実施事業の概要

①子どもの心の診療支援[連携]事業 発達障がいを中心とした診療ネットワークの構築に関する検討会を開催し、圏域ごとの医療ネットワークの構築、地域連絡会と拠点病院の連携、保健福祉教育関係機関等との連携等について討議する。 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 発達障がいを中心とした「子どもの心の診療」を担う地域連携病院と保健福祉事務所が事務局となり、県内10圏域ごとの地域連絡会において、地域の実状に応じて必要な医療研修会、症例検討会等を実施し、拠点病院に対し専門家(医師、心理士、作業療法士等)の派遣を要請する連携体制を継続させる。 医療機関等に勤務する医師を対象とした「発達障がい診療医研修」を開催し、医師同士の連携体制の構築を図るとともに、発達障がい診療を行う医師の増加を図る。 ③普及啓発・情報提供事業 毎年、拠点病院、地域連携病院、保健福祉事務所、発達障がい者支援センター等の関係者を参集し、連絡会議を開催し、事業の実施方針の周知を図る。 子どもの心の診療関係者研修・育成事業について、医師会等を通じて医療機関へ広く周知するとともに、県の公式ホームページに情報を掲載する。また、研修テーマに応じて医療機関だけでなく、保健福祉教育関係機関等への参加を促す。

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ・特 徴 : 長野県では、発達障がいに力を入れて事業を推進している。 ・力を入れている事業 : ・平成27年度より医師を対象に「長野県発達障がい診療医研修」を開催。 ・平成28年度においては、圏域での顔の見える関係を構築するため、事例検討を推進。

長野県の事業概要~長野県立こども病院~

【7】事業による効果と思われるもの 県内10圏域において、地域連絡会が開催されるようになり、医師、医師以外の医療従事者、福祉関係者、教育関係者、行政職員等の発達障がい診療に関する知識が深まるとともに、関係機関同士の連携が進んだ。 また、各圏域の関係者が一堂に会すことで、地域での課題を共通のものとして理解することができた。 なお、地域連携病院及び保健福祉事務所からは、以下のような意見が寄せられた。 ・関係機関との連携を進めていく上で、各機関の取組や課題、医療機関に望むことなどが具体的になった。 ・地域連絡会を通じて普段会う機会のない関係者に定期的に会うことができた。 ・県内各圏域の現状や抱えている問題を把握することができた。 ・座学の研修ばかりでは支援力がつかないと研修会講師より助言があったので、今後は事例検討を実施したい。

【8】目指す方向性について (今後の予定事業や展望、目標など) ・当初は圏域において医療機関の裾野を広げることを目的に地域連絡会を開催していたが、今後は医療機関を中心とした連携体制の強化 を図る。 ・医療機関の裾野を広げる取組は、県担当課、拠点病院が中心となり、研修会を企画・運営することにより行っていく。 【今後の事業予定】 ○発達障がい診療医研修 ○発達障がい診療地域連絡会 対 象:県内医療機関等に勤務する医師 各圏域において開催 日 時:平成28年9月25日(日) 13:30~18:00 会 場:信州松代ロイヤルホテル 内 容:①施策説明 ②講義「発達障がい診療の基本的事項と支援のポイント」 ③講義「発達障がいの薬物治療」 ④症例検討 定 員:約50名

長野県の事業概要~長野県立こども病院~

長野県発達障がい者支援シンボルマーク

「結(ゆい)」

静岡県の事業概要 ~静岡県立こども病院~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課:静岡県健康福祉部こども家庭課 ・児童数(0歳~18歳未満):594,394人(平成26年10月1日現在) ・児童精神科のある医療機関数:145機関 ※医療機関へのアンケート結果(平成26年度実施) 児童精神科を標榜している医療機関・・・2機関 中学生以下の児童精神を診療している機関・・・143機関

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院機関名:静岡県立こども病院 (病床数279床 うち児童精神科専用病棟36床) ・事業実施科名 :こころの診療科 ・事業開始年:平成23年度(平成20~22年度はモデル事業として実施) ・子どもの心の診療機関マップ:登録施設数 30施設 (平成28年4月1日現在)

【3】事業実施への経緯 平成20~22年度の3ヵ年は、国のモデル事業として実施。平成23年度から国の「母子保健医療対策等総合支援事業」としての位置付けで事業を展開。モデル事業の実施の中で、県立こども病院が、子どもの心の診療において地域医療の中で果たす役割が明確になったため、これまでに構築したネットワークを生かし、関係機関との連携を継続させている。

静岡県の事業概要~県立こども病院~

【4】事業図

中央拠点病院 (国立成育医療研究センター)

拠点病院に対する支援・医療の均てん化・専門家派遣・研修・調査研究・情報収集・提供・普及啓発

・心の問題 ・児童虐待 ・発達障害

地域の医療機関 (一般病院、診療所)

・診療支援 電話対応 患者受入 ・研修 (医療機関)

静岡県健康福祉部こども家庭課

患者紹介

診療支援

※ 心の問題とは 精神行動障害、統合失調症、気分障害、神経性 症障害、生理的障害、行動症候群、摂食障害、 分離不安障害、選択性かん黙、反応性愛着障害、 チック、その他

拠点病院

県立こども病院

保健所 保健センター 児童相談所 療育施設 福祉施設 学校等教育機関 等

・心の問題 ・児童虐待 ・発達障害

・診療支援 ・研修 (行政機関) ・普及啓発 ・情報提供

・ネットワーク関係機関との連携調整

・県民への事業情報の提供、啓発の実施

・寄附講座の開講による児童精神医の養成

【5】実施事業の概要 ① 子どもの心の診療支援[連携]事業 (1)地域の医療機関から相談を受けた心の問題や児童虐待、発達障害の症例に対する診療支援を行う ⇒ 紹介患者の受入件数:572件 新入院患者数:59件(うち緊急入院:14件) 【H27実績】 (2)地域の保健福祉関係機関等から相談を受けた心の問題や児童虐待、発達障害の症例に対する医学的支援を行う ⇒ 児童養護施設巡回相談:11施設22回 【H27実績】 (3)地域保健福祉関係機関等との連携会議(児童相談所及び教育相談機関の連絡会等への参加及び助言)を実施 ⇒ 静岡市要保護児童地域協議会各区実務者会議(15回)、静岡市子どもと家族の精神保健ネットワーク運営会議(2回)【H27実績】 ⇒ 県養護施設協会施設長会議に出席 【H27実績】 ② 子どもの心の診療関係者研修・育成事業 (1)医師等専門職に対する実地研修等を実施 ⇒ 全国児童青年精神科医療施設協議会、その他の研修会に出席 【H27実績】 (2)地域医療機関、保健福祉関係機関等の職員に対する講演会等の開催 ⇒ 教師のための児童思春期精神保健講座の開催(5回、参加者:166人) 【H27実績】 (3)子どもの心の診療に専門的に携わる医師及び関係専門職の育成 ⇒ 研修医の受入れ(1名) 【H27実績】 ③ 普及啓発・情報提供事業 ⇒ 静岡県発達障害者支援センターによる研修会(講義・パネルディスカッション)の実施(参加者:50人) 【H27実績】 ⇒ 子どもの心の診療ができる医療機関のマップを国立成育医療研究センターHPに掲載(30施設) 【H27実績】

【6】特徴や特に力を入れている事業内容

静岡県の事業概要~県立こども病院~

県立こども病院は、拠点病院として地域医療機関への診療支援はもとより、児童虐待や発達障害の症例に対する医学的支援として、特に児童養護施設への巡回を中心に、地域との連携に力を入れているところである。また、医師等専門職に対する実地研修等を通じて、子どもの心の診療に専門的に携わる医師及び関係専門職の育成にも努めている。 県は、県立こども病院の拠点病院としての実施内容を活かして、行政や保健福祉機関との連携について調整や事業啓発を行い、より効果的な展開に繋げていくスタンスを取っている。

【7】事業による効果と思われるもの

【8】目指す方向性 (今後の予定事業や展望、目標など)

静岡県の事業概要~県立こども病院~

モデル事業からの実施も含め、平成20年度からの実施の中で、医療・保健福祉・行政の各機関の連携体制が構築されてきたことにより、最終的な地域への支援体制が図られている。特に、県立こども病院は、施設巡回など地域連携に重点を置き、現在においては地域支援に欠かせない存在となっている。 県立こども病院が、地域の医療機関から相談を受けた心の問題や児童虐待、発達障害の症例に対する診療支援は、年平均で約600件(※)の実績となっており、専門医療機関としての地域医療への貢献度は大変高いものであると考えている。 ※ 紹介患者受入実績: (H23)593件、(H24)700件、(H25)608件、(H26)583件、(H27)572件

児童精神を診察できる医師が、県内中西部地域に集中している現状がある。県立こども病院では、研修医を受入れ、専門職としての育成に力を入れているが、県としても、児童精神科医を養成するため国立大学法人浜松医科大学に寄附講座を開講し、勤務医師増加に向けて取り組んでいるところである。 県立こども病院は、拠点病院として様々な心の問題に対しての課題アプローチに積極的に取り組んでいるが、県との連携をより一層強めることで、さらに効果的かつ広域的な事業展開によるネットワーク体制の構築に繋がることから、今後、拠点病院と行政の定期的な情報共有・事業連携等にさらに力を入れていきたい。

大阪府の事業概要 ~大阪府立精神医療センター~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課:大阪府 健康医療部保健医療室地域保健課 ・児童数(平成27年1月1日現在) :0-4歳 361,972人、 5-9歳 375,560人、 10-14歳 405,870人、 15-19歳 427,590人 ・児童精神科系 医師数 :35人(日本児童青年精神医学会認定医) ・児童精神科のある医療機関数:27機関(病院:10医療機関、診療所:17医療機関)、 入院病床:3医療機関102床、病棟数:3病棟

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院機関名:大阪府立精神医療センター(473床) ・事業実施科名 :児童思春期精神科 50床 ・事業開始 :平成23年度から ※平成20~23年度はモデル事業として 「子どもの心の診療拠点病院機構推進事業」を実施 ・子どもの心の診療機関マップ : 実施無

【3】事業実施への経緯 ・多様化し増加する子どもの心の問題への対応については、大阪府内の既存の小児科や精神科では、十分な医学的診断を行うための知識や ノウハウ等を有しておらず、府立精神医療センターに多くの子どもが診察を求める状況(平成22年3月末 353名の待機児童)であった。 この問題を解消するため、診療機能の強化に加え、地域での対応を可能とする専門的な医学的アドバイスや知識の普及、小児科医や 精神科医など一般の医療機関を対象とした研修等を実施することにより、効果的な待機患児の解消につなげるため、事業の実施となった。

~つなげるで!医療と保健、福祉、教育機関~

・診断初診待機患児解消 ・療育入院、合宿入院

★学術集会にて発表 ★医療・教育機関等へ児童・思春期病棟のPR

★府内6か所 児童相談所 ★一時保護所

大阪府の事業概要~大阪府立精神医療センター~

【4】事業図

拠点病院 巡回指導

普及啓発

診療強化

★行政機関との連携 ・児童相談所、家庭児童相談所とのカンファレンス ★教育機関との連携 ・支援学校、地域の小学校とのケースカンファレンス ★福祉関係機関との連携 ・障がい児等関係機関連絡会議、児童虐待等問題連絡会議、ひきこもり等地域支援ネットワーク会議

連携会議の開催

★講習会 (病棟・分教室の見学) ★症例検討会(教育・福 祉・医療機関) ★講演会

研 修 人材育成

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 【診療支援】 ・大阪府内の子ども家庭センター、一時保護所への巡回相談 ・個別療育・不登校生徒を対象とした入院プログラムを実施 【連携会議】 ・府内支援学校および地域の教育関係機関との調整会議 ・枚方市福祉関係部署との連絡会議 ・大阪府教育委員会との意見交換会 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ・福祉関係機関、教育関係機関、行政機関等を対象にした講習会(センター紹介、病棟、分教室見学)、症例検討会、講演会等を開催。 ③普及啓発・情報提供事業 ・病棟パンフレット、紹介DVDの作成、配布 ・学会、研修会、講演会での発表 ④その他 新たな治療技法の開発 ・入院児童の療育治療 たんぽぽ教室、コグトレ(認知作業トレーニング)、個別SST、OT、心理療法の施行と関係機関への紹介、 見学の受入れ ・難治症例の受入れ 他院での治療困難症例の受入れと相談の施行

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 大阪府は、児童虐待相談対応件数が、ここ数年全国一と多くなっている。虐待を受けた子どもたちや虐待者への治療のために保健、福祉および教育との連携に重点をおいている。

大阪府の事業概要~大阪府立精神医療センター~

【7】事業による効果と思われるもの ・発達障がい児(者)、虐待を受けた子どもへの適切な対応やそれらに関する専門知識が保健、福祉、教育部門に浸透していると感じている。 ・本事業開始当初、診断初診診療待機患児は、618人(H21年3月末)であったが、本事業により診療体制が強化されたことで、H23年度より徐々に解消され、27年度末は166名となり、待機患児の解消につながった。

【8】目指す方向性 (今後の予定事業や展望、目標など)

・児童相談所への医師の派遣や地域の関係機関とネットワーク構築を進めると共に、子どもの心の診療拠点機関として、引き続き子どものこころのサポート体制強化に取り組んでいきたい。

大阪府の事業概要~大阪府立精神医療センター~

「大阪府広報担当副知事もずやん」

兵庫県の事業概要 ~兵庫県立光風病院~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課: 兵庫県 ・児童数(0歳~18歳未満): 921,129人(平成22年国勢調査人口等基本集計) ・児童精神科系 医師数 : 12人(日本児童青年精神医学会 認定医、公表されている数) ・児童精神科のある医療機関数 : 38機関、入院病床・病棟数 : 65床・2病棟

【2】拠点病院・機関概要

【3】事業実施への経緯

・拠点病院機関名:兵庫県立光風病院(283床 うち児童思春期病棟65床) ・事業実施科名 :地域医療連携部 ・事業開始年 :平成26年度 ・子どもの心の診療機関マップ : マップ作成まで至っていない

当院では、従来からこども家庭センター(児童相談所)や地域の児童発達支援センター等からの要請に基づき、児童思春期専門医が医学的支援や療育相談を行っていたが、平成25年7月の県内初となる児童思春期精神科専門治療病棟の開設を機に、当院の役割と地域の医療、福祉、教育等の関係機関との連携を明確にし、適切な専門医療の提供体制を確立していく必要があった。 このような背景のもと、平成24年度から全県の拠点病院として事業実施することについての検討を重ねてきた結果、平成26年度から本格的に事業を開始するに至った。

兵庫県マスコット はばタン

兵庫県の事業概要~兵庫県立光風病院~

【4】事業図

発達支援センター 児童相談所 教育機関 健康福祉事務所

中央拠点病院 (国立成育医療研究センター)

兵庫県立尼崎総合医療センター

兵庫県立こども病院 兵庫県立こども発達支援センター

兵庫県立リハビリテーション中央病院

兵庫県立光風病院

公立病院小児科 公立病院精神科

地域の医療機関

地域の精神科クリニック 地域の小児科クリニック

市町発達支援センター

連携・ケース検討

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業

・診療支援として医師派遣 (計312回) こども家庭センター・情緒障害児短期治療施設、市町発達支援相談等への定期的な医師派遣 みやぎ子ども支援センター事業で相談支援

・児童相談所との連携会議開催 (計2回) ・兵庫県立病院(尼崎総合医療センター、こども病院、リハビリテーション中央病院、こども発達支援センター)との連携会議開催(計1回) ・要対協会議出席(計2回) ・ひょうごユースケアネット推進会議出席(計5回) ・発達障害児に対するリハビリテーションについて意見交換会、子育て支援フォーラムin兵庫、兵庫県精神医療学術講演会、DV応用研修会、神戸市発達障害児(者)支援連絡協議会 出席(各1回) ・神戸市いじめ問題審議委員会 委員派遣(計1回) ・ひょうご発達障害者支援センター 運営協議会・連絡協議会出席(計2回) ・学校(地域の小学校)とのコンサルテーション (計2回) ・移行支援会議 (計1回)

②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ・外部講師を招いての症例検討会(参加者は院外も対象)(計4回) ・シンポジウム開催 テーマ「大震災後の子どもの心の支援~神戸から東北 それぞれの児童精神科医の支援~」 ・講演会への講師派遣(計50回) ・病院見学及び懇談(計23回)

③普及啓発・情報提供事業 ・アンケート調査の実施・結果公表 対象:兵庫県小児科医会の会員診療所 260件、兵庫県精神神経科診療所協会の会員診療所165件 回答率:35.5% ・医療機関への訪問、情報提供(計184件) ・当院ホームページに事業サイト設置 ・市民向け講演会開催 演題「子どものこころの育ちとつまずきを支える」 ・自主上映会 映画「みんなの学校」

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ①医療と福祉、教育との連携 ・発達障がいをもつ子どもと保護者の学校や地域での安定した暮らしを支える ・子ども虐待の予防やリスク軽減のための精神障がいを持つ保護者の支援 ・虐待を受けた子どもの安心安全な場所の確保 ②医療技術の向上 ・子ども虐待を受けた子どもの治療 ・トラウマ治療技術の向上 ・子どもの精神疾患診断技術の向上

兵庫県の事業概要~兵庫県立光風病院~

【7】事業による効果と思われるもの ・症例検討会では院外の関係機関の多くの参加を得て子どもの心への理解と対応について理解を深めた。また、外部講師からスーパーバイズを受けることにより、診療機能向上、職員の資質向上につながっている。当院の児童思春期精神科医療や心の問題を抱える子どもへの支援について、地域の医療機関やこども家庭センター、教育機関等の理解を得る機会となり連携も強化されつつある。 ・シンポジウムでは医療関係者だけではなく市民の方の参加を得ることができ、子どもの心の課題啓発を行えた。 ・教育機関等から依頼を受けた講演会への講師派遣により、当院の機能の紹介と子どもの心の問題に関する知識の普及につながった。 また、各機関の抱える問題や当院への要望などを聞く機会になり、相互理解につながっている。

【8】目指す方向性(今後の予定事業や展望、目標など) ・県立病院との連携会議を継続開催し、各病院の分担や地域のクリニックからの紹介ルートなどを明確化する。 ・病院、クリニックとのメーリングリスト等の連絡網を構築する。 ・兵庫県での事業内容のパンフレットを作成し、情報提供・普及を図る。 ・症例検討会やシンポジウムを通して、児童思春期精神科医療の質の向上を目指すとともに、医療機関、教育機関等との連携を一層強化する。

兵庫県の事業概要~兵庫県立光風病院~

鳥取県の事業概要 ~鳥取大学医学部附属病院~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課 : 鳥取県 子ども発達支援課 ・児童数(0~18歳未満) : 89,615人(H27.10現在) ・児童精神科系 医師数 : 4名 ・児童精神科のある医療機関数 : 3機関、入院病床・病棟なし

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院名:鳥取大学医学部附属病院(697床) ・事業実施科:脳神経小児科 ・事業開始年:H20年10月~ ・子どもの心の診療機関マップ:マップは作成していないが、本事業協 力医療機関名を一覧表で拠点病院 及び県のHPに掲載している。

【3】事業実施への経緯 ・鳥取大学医学部附属病にて発達障害児の地域医療の連携を検討していたところ事業があることを知り、事業参加を県と検討し、実施に至った。

~拠点病院を中心に医療・福祉・教育のネットワークを強化!~

鳥取県発達障がい啓発推進キャラクター「シロウクマ先生」

鳥取県の事業概要~鳥取大学医学部附属病院~

【4】事業図

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 ・ネットワーク会議:ワーキンググループからの課題をもとに、医療と福祉、保健、教育等の各分野との連携の在り方について協議(年1回) ・拠点病院を中心として、医療の連携や事業の企画・運営(年3回) ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ・子どもの心を支える診療医等スキルアップ研修 医学講座(全7講座/2日) 研修会(年2回)→県外から講師をお招きし、毎年テーマを変え開催。医師対象(1回)、支援者対象(1回) 発達支援コーディネータースキルアップ研修(全3回)→保健師、保育士を対象に医療との連携、保護者支援等の具体的な 支援内容の研修を行い、職員のスキルアップを図る。 ③普及啓発・情報提供事業 ・一般市民、保護者を対象に子どもの心に関する理解啓発講演会を開催(年1回) ・ホームページの更新→講演会・研修会の案内、事業協力医の情報発信等 ・リーフレット作成

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ・大学病院を中心にネットワークを形成し、子どもの心の診療のできる医師や専門家の育成に力を入れている。

鳥取県の事業概要~鳥取大学医学部附属病院~

【7】事業による効果と思われるもの ・発達障害を診療する診療医(二次診療医および一次診療医)の増加 鳥取大学と連携して診療にあたる一次診療医が0から4名に増加した 鳥取大学においてこどもの心の診療を研修する小児神経科医が毎年平均2名づつ増加している ・診療に必要な教育機関との連携シートを作成し、より詳細に学校の情報が得られるようになった ・教員や保健師の理解とスキルが向上した ・住民の心の診療の必要な子どもの理解が広まった ・自治体による家族支援(ペアレントトレーニング)の実施に繋がった ・小児神経科医と児童精神科医の連携がスムーズになった

【8】目指す方向性 (今後の予定事業や展望、目標など) ・診療連携できるための診療医を増やし、全ての地区で一定レベルの診療が受けられることを目指す ・市町村(乳幼児健診や発達相談)や教育機関で一次相談ができるように人材のスキルアップを図る そのために関係機関にアウトリーチして実地指導や検討会を行う予定である ・医療と行政、教育、福祉が連携して子どもの心のケアができる仕組みを作る

鳥取県の事業概要~鳥取大学医学部附属病院~

島根県観光キャラクター しまねっこ 島観連許諾第2590号

島根県の事業概要 ~県立こころの医療センター~

【1】地域概要 ○都道府県担当管轄課:島根県 健康福祉部障がい福祉課 ○児童数(0歳~18歳未満) :106,887人(H27年度推計人口) ○児童精神科のある医療機関数:児童思春期病棟を設置する医療機関は 県立こころの医療センター1箇所のみ

【2】拠点病院機関概要 ○拠点病院機関名:島根県立こころの医療センター (242床 うち児童思春期ユニット26床) ○拠点病院における事業実施科名:精神科、神経内科、心療内科 ○事業開始年:平成24年4月 ○事業協力施設 : 1施設 (島根大学医学部付属病院子どものこころ診療部(外来診療)) ○子どもの心の診療機関マップ登録施設数:48施設

【3】事業実施への経緯 本事業開始前の状況として、島根県では次のような課題があった。 ○子どもの心の診療に対応できる医療機関の不足かつ偏在 ○県立こころの医療センターにおける初診待機期間の長期化(2ヶ月超) ○子どもの心の診療に関する情報の不足(当事者や家族、関係機関がどこへ相談したらよいか分からない) このような課題に対応していくため本事業を開始することとし、事業検討会議・設立準備委員会による協議を経て、 平成24年4月より事業を開始した。

~つなぐ よりそう ささえあう~

島根県の事業概要~県立こころの医療センター~

【4】事業図

病院内設置

若松分校

各圏域の医療・保健・福祉・教育の連携

外来・入院診療/児童思春期病棟26床

小児科・精神科の連携

子どもの心の診療拠点病院

身近な地域で相談や受診ができて、療育サービスも受けられるから安心ね!

各学校、特別支援学校 通級指導教室、市町村教育委員会、教育センター

保健所 保健センター

療育施設 福祉施設

発達障害者 支援センター

患者紹介

診療支援

圏域中核 医療機関 心と体の

相談センター

発達クリニック 健診・療育相談

島根大学医学部 附属病院

児童発達支援 放課後等デイ

手帳・判定・デイケア

発達支援

手帳・診断・判定・入所決定

思春期保健相談

教育相談・指導・支援

圏域内病院 ・クリニック

子どものこころ 診療部外来診療

島根県ネットワーク会議

医療部会

◆拠点病院を中核として、二次医 療圏域における関係機関の連携 強化と支援力の向上を図る ◆拠点病院スタッフを各圏域に派 遣し、相談会や事例検討等をと おして、関係者の資質・支援力 の向上を図る

児童相談所

こころの医療センター

島根県子どもの心の診療ネットワーク ~つなぐ よりそう ささえあう~

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 (1)拠点病院における相談支援体制強化事業 ・臨床心理士2名、精神保健福祉士1名を配置し、病院及び各圏域の相談支援体制を強化 ・心理職等関係職員の資質向上のための研修参加 (2)全県ネットワーク会議及び医療部会の開催 ・連携体制の強化や効果的な事業運営等について協議するため、各分野の代表によるネットワーク会議を開催(年1回) ・専門的な知見を持つ医師等から事業に対する助言・評価を受けるため、医療部会を開催(年1回) (3)圏域におけるネットワーク会議等の開催(7圏域で実施) ・各圏域における取り組みの充実を図るため、保健所を事務局として関係機関によるネットワーク会議を開催 ・拠点病院スタッフを派遣し、少人数の関係者による連絡会議や事例検討会、子どもの心の健康相談会を実施 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 (1)関係者研修会の開催 ・医師(学校医・かかりつけ医等)、専門職(看護師・保健師等)を開催(各1回) (2)中央研修への派遣 ・医師及び専門職員を研修会へ派遣(医師7名、専門職員1名) ③普及啓発・情報提供事業 (1)普及啓発用資料の作成 ・各圏域において相談支援機関情報等の資料を作成、配布 (2)子どもの心の診療マップの掲載 ④その他

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ○拠点病院(県立こころの医療センター)を核とし、二次医療圏域(7圏域)において保健所を中心に、医療、保健、福祉、教育等の 関係機関による連携体制の構築と人材育成を図ることを目的とする ⇒・各圏域における取り組みの充実を図るため、保健所を事務局として関係機関によるネットワーク会議を開催 ・拠点病院スタッフを派遣し、少人数の関係者による連絡会議や事例検討会、子どもの心の健康相談会を実施

島根県の事業概要~県立こころの医療センター~

健康長寿しまね マスコットキャラクター まめなくん

【7】事業による効果と思われるもの (1)拠点病院における診療機能強化 ○スタッフの増員によって早期診療やより効果的な治療につながり、各圏域や関係機関への支援が強化された。 ○トリアージ会議、新患カンファレンスの定期開催によって、院内の判断基準の標準化を図り、各職種の専門性を 活かして情報共有・検討した上で、緊急受診等の優先度や他機関紹介の適切な判断ができるようになった。 ○初診待機期間の短縮【約2ヶ月⇒約1ヶ月】 (2)各圏域のネットワーク構築・連携強化・人材育成 ○全圏域で「ネットワーク会議」や「子どもの心の健康相談」等が開催され、関係機関の連携強化が図られた。 特に、学校からの相談に対応することで、教育との関係構築のきっかけとなった。 ○拠点病院スタッフの派遣により行っているケース検討や「子どもの心の健康相談」の対応等を通して、関係者の 支援力向上、エンパワーメントになった。 ○圏域から中央研修への医師を派遣することにより、子どもの心の診療や相談に関わる医師に専門的知識を深めて もらうことができた。また、派遣医師による復命研修や事例検討への参加により、圏域における診立て、治療、 ケース支援ができる体制構築につながっている。 【8】目指す方向性(今後の予定事業や展望、目標など) ○心に問題を抱える子どもや家族、関係者が、早い段階で、身近な地域において相談や診察の機会を得て、必要な支援や治療 を受けることができる支援体制及び人材の育成を目標とする。 ○拠点病院を核とし、二次医療圏域における医療、保健、福祉、教育等の関係機関による連携体制の構築と人材育成を図る ため、現在実施している事業を継続する。 ○今後、地域の小児科及び精神科等の一般医と専門医の連携のあり方について検討し、勉強会や事例検討会を行い、 ライフサイクルを通じての一般医と専門医の連携体制の構築を図る必要がある。 ○将来的に、新研修医制度のもとでの専門医育成に役立てていきたい。

島根県の事業概要~県立こころの医療センター~

岡山県の事業概要 ~岡山県精神科医療センター~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課名:岡山県健康推進課母子歯科保健班 ・児童数 (0歳~20歳未満):347,552人(平成27年) ・児童精神科系 医師数:約35名 ・児童精神科のある 医療機関数:10 (院内学級のある医療機関数:1、児童精神科病床数18)

【2】拠点病院・機関概要 ・拠点病院機関名:岡山県精神科医療センター ・拠点病院の規模:252床(入院病床:18床) ・拠点病院における事業実施科名:児童精神科 ・事業開始年:2015年4月 ・子どもの心の診療機関マップ (実施有無と登録施設数):未実施

【3】事業実施への経緯 乳幼児から成人に至るまでライフステージに応じた支援ネットの構築を積み重ねてきた。また医療・福祉・保健・教育・司法が連携し立体的な支援が可能となるように、人事交流や非常勤スタッフの相互派遣を行ってきた。これらを基盤として平成27年4月より、「子どものこころ診療ネットワーク事業」として発展させていくこととなった。 人材育成、研修と啓発事業について、政令市である岡山市の機関をふくめて岡山県全体でネットワークを組んで事業展開を行っている。

岡山モデル:拠点ネットワークの構築 © 岡山県「ももっち」

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業: 非常勤医師や非常勤スタッフの派遣 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ③普及啓発・情報提供事業 ホームページの改定、市民公開講座(こどものネット依存症) ④その他 岡山県におけるネット依存症の一般人口調査

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 児童精神科医療の岡山県全体でのネットワーク構築 発達障害に専門的に携わる医師や関係専門職の育成 (第7次岡山県保健医療医療計画)

岡山県の事業概要~岡山県精神科医療センター~

○児童福祉機関 岡山市子ども総合相談所 岡山県中央児童相談所 岡山県倉敷児童相談所 児童自立支援施設 岡山市発達障害者支援センター

○教育機関 岡山市教育委員会 岡山市教育相談室 岡山市学校問題解決サポートセンター 岡山県いじめ問題対策専門チーム 岡山県立岡山西支援学校 岡山県立瀬戸高等支援学校

○医療機関 まな星クリニック (岡山市児童発達支援センター を附設する児童精神科診療所) 向陽台病院 (児童精神科不在地域)

○職域 岡山障害者職業センター 国立吉備高原職業リハビリ テーションセンター

○研修事業 ・岡山市保育士保健師研修会 ・発達障害児支援医師等研修会 ・ひきこもりサポーター養成セミナー ・関係機関(保健福祉等)に講師派遣

○育成事業 ・医師初期研修児童精神科ローテートプログラム設置 ・精神科専門研修プログラム設置 ・児童精神科専門研修プログラム設置 ・学生(医師、看護師、臨床心理士、作業療法士、 精神保健福祉士等)臨床実習の受け入れ

○機能強化事業 ・岡山県子育て家庭サポート強化事業 ・児童相談所スーパーバイズ機能強化事業 ・岡山県虐待通告背景分析事業 ・児童養護施設等対応機能強化事業事例検討会

○保健機関 岡山市保健所(乳幼児健診) 玉野市保健所(乳幼児健診)

【7】事業による効果と思われるもの ・拠点病院である岡山県精神科医療センターとともに、乳幼児に対応した多機能診療所、岡山市・県の児童相談所および 発達障害者支援センターとが協働して、子どものこころ拠点医療機関ネットワークのセンター機関としての役割をにない、 連動した支援を実施できるようになった。 ・児童精神科のネットワークが形成され、事業の実施を協働して行なうことが可能となった。 ・人材育成が単独機関でなく児童精神科ネットワークのなかで行われるようになった。

【8】目指す方向性(今後の予定事業や展望、目標など) ・乳幼児期から成人期にいたるまで、ライフステージに応じて切れ目なく、関係機関が連携して 支援を継続する保健・医療・福祉・教育支援システムの構築(岡山モデルの構築) ・発達障害を有する子どもの早期発見と適切な療育の実施体制、就学支援、小学~高校の教育 ・岡山県(政令市である岡山市を含む)での子どもの医療・保健・福祉・教育に関する事業に 児童精神科・一般精神科として関与 ・子どもを育てる親のメンタルヘルス問題に、児童相談所、保健所、産婦人科医療等と連携し 具体的に関与する体制整備 ・児童精神科医療を担う人材を養成するため研修機能を強化

岡山県の事業概要~岡山県精神科医療センター~

© 岡山県「ももっち・うらっちと仲間たち」

香川県の事業概要 ~ 四国こどもとおとなの医療センター ~

【1】地域概要 ・都道府県担当課 : 香川県 子育て支援課 ・児童数(0歳~18歳未満) : 164,058 人 ( H26年10月1日時点) ・子どものこころを診療する医師数 : 不明 ・子どもの心を診療する病院数 : 約 14 機関

【2】拠点病院機関概要 ・拠点病院機関名 : 四国こどもとおとなの医療センター(689床) ・拠点病院における事業実施科名 : 児童心療内科 ・事業開始年 : H24年4月1日~ ・子どもの心の診療機関マップ : 実施していない。

【3】事業実施への経緯 香川県子育て支援課より事業への参加を依頼されて実施に至った。

~こころの診療医は学校へ行こう!~

【4】特徴や特に力を入れている事業・事業概要

教育機関

子どもの状態や背景をよく知る主治医が学校に出向けるようなシステムを構築する。

医療機関

主治医による保育・教育機関への出張支援 こころの診療医は学校へ行こう!

主治医による保育・教育機関への 出張支援の意義

子ども

家庭

学校

香川県の事業概要~四国こどもとおとなの医療センター~

子どもの心の問題は環境に依存しており、学校という環境を整えることは子どものこころの治療としての意味も大きい。

【5】事業図

香川県子育て支援課

< 事務局 >四国こどもとおとなの医療センター

主治医 保育所、幼稚園、小・中学校

③ 申出

⑤ 出張支援

保護者

④ 調整

⑥ 報告

委託

② 同意

① 説明

主治医による保育・教育機関への出張支援の実際

香川県の事業概要~四国こどもとおとなの医療センター~

【6】事業による効果と思われるもの

今まで主治医の個人の努力に任されてきた“患者の学校に出向く”という活動が、公の活動として認定されるようになった。教育委員会公認の正式なルートとして確立されている。医師は学校と話をつけるなどのわずらわしさからも解放されたし、職場に気兼ねすることなく病院をあけることもできるようになった。管理職を含めた話し合いを持つことも容易になり、今まで一部の教師だけで抱えてきた問題が学校全体の問題として取り上げられるようになっている。 一般に、学校と保護者とが対立している場合、事態は深刻であるが、この事業により医療機関が第三者として介入することが可能になった。

【7】目指す方向性について (今後の予定事業や展望、目標など)

今後、この事業を担う医師を育成していきたい。 また、教育との連携が軌道にのった段階で、ほかの機関との連携も図っていきたい。

佐賀県の事業概要 ~肥前精神医療センター~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課 : 佐賀県 男女参画・こども局 こども家庭課 ・児童数(0歳~18歳未満): 143,318人(平成27年10月1日現在)

【2】拠点病院機関概要 ・拠点病院機関名:肥前精神医療センター(564床 うち児童・思春期病床 40床) ・事業実施科名 :児童精神科 ・事業開始年 : 平成21年9月

【3】事業実施への経緯 ・昭和58年に「情動行動障害センター」が設置され、以来、児童思春期精神科医療を実践してきた。 ・当事業はこれまで当院が行ってきた医療の維持発展の為、また、関係機関への医療的支援の強化(診療支援、人材育成、連携強化) に寄与するものと考え、平成21年9月拠点病院として参加し、現在に至る。

佐賀県の事業概要~肥前精神医療センター~

【4】事業図

HPST: 肥前方式親訓練 )

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 1.子どもの心の診療相談窓口の設置 ・地域医療連携室内の相談窓口設置(関係機関からの相談に対応) 2.子どもの専用外来の設置 ・子ども専用の待合室・診察室・相談室・プレイルーム等配置し、平成24年より「子ども外来」として運用を開始した ・専門外来「発達めばえ外来」 自閉スペクトラム症ハイリスク乳幼児とその保護者を対象とした診療を実施 3.佐賀県中央児童相談所嘱託医 発達相談、医療相談の診療支援(月3回程度) 4.特別支援教育事業における学校コンサルテーション 発達相談、支援会議参加、講演等(月2、3回) 5.その他県内の学校職員、児童委員、警察、職員、施設職員等からの相談、連絡会議等(随時対応) 6.佐賀県社会福祉審議会児童処遇部臨時委員 7.不登校、引きこもりの医学的援助モデルの構築に関する事業 不登校入院治療プログラム「つくし合宿」→1クール4名程度の患者を対象として、3~5カ月の治療を実施 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ・佐賀大学文化教育学部附属特別支援学校の児童の健康相談等(発達障害についての相談、学校職員、保護者) ・肥前セミナー(医師・医療関係者向け講演会 年2回) ・専門家を対象とした研修会(随時開催) ③普及啓発・情報提供事業 お母さんの学習室「発達障害児を育てる人のための親訓練プログラム(HPST)」(3カ月/1クール 年2クール) ④その他 HPでの情報提供(児童・思春期病棟の案内)

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ・医療従事者をはじめとした子どもの心の支援に関わる専門職員の育成 ・メンタルヘルス上のニーズを抱えた子どもの支援に関わる医療機関や関係者とのネットワーク構築

佐賀県の事業概要~肥前精神医療センター~

【7】事業による効果と思われるもの ・子どもの心の診療に関わる医療機関間の連携が促進されたと感じている。 ・受診前の支援会議の開催等、教育・福祉との連携が更に活発化したと感じている。

【8】目指す方向性(今後の予定事業や展望、目標など) ・メンタルヘルス上の多様なニーズを抱えた子どもたちに対し、関係機関が有機的に連携し、成長に伴うニーズの変化に合わせた支援を継続できるよ うな支援システムを構築する。 ・発達障害や虐待ハイリスク児に対する早期発見、早期介入が促進されるような体制を強化する。 ・子どもの心の診療を担う人材育成やスキルアップ等を目的とした研修機能を強化する。

佐賀県の事業概要~肥前精神医療センター~

熊本県の事業概要 ~熊本大学医学部附属病院 神経精神科~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課 :熊本県健康福祉部子ども・障がい福祉局 障がい者支援課 ・児童数(0歳~18歳未満): 298,817人 (熊本県推計人口調査:平成26年版より) ・児童精神科のある医療機関数: 3医療機関(熊本県医療施設一覧:平成28年4月1日時点) ※発達障害診療機関数:37医療機関(H25.11時点)

【2】拠点病院機関概要 ・拠点病院機関名:熊本大学医学部附属病院(神経精神科:50床) ・事業実施科名 :神経精神科 発達障がい医療センター ・事業開始年 :平成26年4月 ・子どもの心の診療機関マップ:実施無、診療機関マップはないが 当センターのWEBサイトに県内の精神科病院の医療機関情報を掲載。

【3】事業実施への経緯 ・県内に乳幼児の発達障がい診療ができる医師が不足しており、初診までの待期期間が問題となり医療体制整備検討委員会より 提言、ワーキンググループで検討を重ね、平成26年4月に熊本大学医学部附属病院神経精神科へ委託事業として、 熊本県発達障がい医療センターが設置された。 ①発達障がいを診断できる医師の育成 ②空白地域への医療支援 ③発達障害研修プログラムの作成を行うこと主な目的である。

障がい特性に配慮した地域生活支援 ~発達障がいについての医療体制の整備~

ⓒ2010熊本県くまモン

<方向性> 発達障がいに対応できる医師が地域に不足していることから、身近な地域で診療できる医師を確保するとともに、小児科医と精神科医が連携した受診可能医療機関を圏域ごとに整備することで、発達障がい支援の医療体制を整備する。

【発達障がい医療センター(熊本大学医学部附属病院)】

こども総合療育センター(診療部)、こころの医療センター ( 小児科・精神科の3次医療機関 )

【機能】 ・地域の小児科医、精神科医等への診療支援 ・地域における症例検討会、研修会の開催 ・地域療育支援等の情報提供

一般診療所医師(小児科・精神科等)、校医・園医 等

地域療育センター(10カ所) 児童発達支援センター

(2次療育機関)

専門相談

専門支援

<専門支援> ・人材の育成、専門医の派遣 ・症例検討会の開催 ・指導・助言等

障害児通所支援事業所、相談支援事業所、保育所等、小学校等

(1次療育機関)

療育相談

療育支援

こども総合療育センター(地域療育部) 北部・南部発達障がい者支援センター

(3次圏域療育支援機関)

H25.10.21

医療体制 療育・生活支援

小児科 (少年期まで)

連携

精神科 (青年期以降、うつ・引きこも

り等)

療育・生活相談

療育・生活支援

・相談・紹介 ・医療等の情報提供 ・講習会開催・専門家派遣

連携

精神保健福祉センター

熊本県の事業概要~熊本県発達障がい医療センター~

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 【診療協力】 ・ 児童精神科医不在地域への診療支援 年24回 ・ 熊本県中央児童相談所 年12回 ・ 熊本市児童相談所 年 6 回 ・ 熊本市子ども発達支援センター 年12回

②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ・ 発達障害外来診療検討会(小児科主導)共催 年3回 ・ 児童思春期懇話会(精神科主導) 共催 年3回 ・ 人吉医療センター発達相談外来研修会 年2回 ・ 熊本大学神経精神科児童思春期カンファレンス 週1回

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ○発達障がいについての医療体制の整備 発達障がい医療センター(熊本大学医学部附属病院に委託)において、地域における診療の実践・研究や症例検討会等を実施するこ とで、地域において発達障がいを診療する医師を確保する取組みを推進し、併せて、発達障がいを診療できる医師を養成するための研修システムを整備する。また、受診した発達障がい児への医師の対応や一定水準の発達の診断や対応等を可能とするため、地域のかかりつけ医等発達障害対応力向上研修事業を実施予定。 ○被災した子どもの心のケアにかかる支援 平成28年熊本地震により被災した発達障がい児に対する医療的ケアや、発達障がい児の保護者等支援者に対し、子どもの心のケアについての研修等の支援を行う。

熊本県の事業概要~熊本大学病院~

③普及啓発・情報提供事業 ・ 精神科医・小児科医へのアンケート調査の実施 ・ 「子どもの発達と情報化社会」をテーマに一般市民も対象に したシンポジウムを開催。 ・ 「発達障がい医療センター」ホームページにて研修会等の案内

【7】事業による効果と思われるもの

【8】目指す方向性 (今後の予定事業や展望、目標など)

熊本県の事業概要~熊本大学病院~

・地域への医療支援を実施することで地元医師への医療支援や研修等を通した情報提供の機会が増えた。 ・小児科医からの医療受診等相談の機会が増えた。 ・発達障がい医療センター主催の研修会等啓発の機会が増えた。

児童精神科医の養成及び医療支援や研修等の情報提供の機会の実施。 ・「医師のための発達障害研修プログラム」の実施。 ・小児科と精神科の合同カンファレンスの実施。 ・熊本地震対策として子どもの心のケアについての情報提供や研修会実施、 行政や相談機関等への診療協力の実施。

こどものために

ⓒ2010熊本県くまモン

大分県の事業概要 ~大分大学医学部附属病院~

【1】地域概要 ・都道府県担当管轄課:大分県 福祉保健部 障害福祉課 ・児童数(0歳~18歳未満):235,959人(男児:120,547、女児:115,412) ※平成27年10月1日時点 ・児童精神科系 医師数:小児神経専門医13名、児童精神専門医1名 ・児童精神科のある医療機関数:5機関、入院病床・病棟数:126床(3棟)の一部利用

【2】拠点病院機関概要 ・拠点病院機関名:大分大学医学部附属病院 (一般588床、精神30床) ・事業実施科名 :小児科 ・事業開始年 :平成24年 ・子どもの心の診療機関マップ :未実施 ・事業協力施設(連携病院など)の数:特に指定なし

【3】事業実施への経緯 ・県内では平成23年度までに大分大学医学部附属病院などの協力により5市町で5歳児健診等が実施されていたが、全県的には、 発達障がいの診断ができる専門医が少数・偏在で主要医療機関での診療待ちは2~5か月などの状況があったため、5歳児健診等への 大学専門医の派遣を通じて地域での専門医の関与の機会を確保し、発達障がいの早期発見・早期支援を推進することを目的に本事業を 実施することとした。

大学病院を拠点とした地域におけるこどもの早期支援体制の構築支援

大分県の事業概要~大分大学附属病院~

発達障がい児等こころの診療ネットワーク推進事業

こどもの心の診療拠点病院を中心とした診療ネットワークの構築による早期医学的支援 関係機関の連携に基づく未就学児童を対象とした市町村発達相談の充実

発達障がい、小児うつ等、心の問題を抱えるこどもに専門的に対応できる小児神経専門医等の不足 関係機関(医療、保健、福祉、教育等)の連携の遅れによる問題の深刻化(児童虐待、いじめ、不登校等の二次障害)

現状・ 課題

対応策

家庭及び地域の関係機関

こどもの心の診療拠点病院(大分大学医学部附属病院) ○ こどもの心の診療支援 小児神経専門医等を市町村の5歳児健診等へ派遣 ※市町村による事前スクリーニングと事後の発達支援ファイル作成を要件とする

○こどもの心の専門研修 法定健診に効果的なスクリーニング手法を導入した市町村に対する 研修及び検証の実施 ○こどもの心の診療ネットワーク会議 病院・学校・福祉施設・市町村等との相互連携を図る会議の開催

市町村(5歳児健診等実施主体)

地域の医療機関

フォロー

医師派遣・専門研修

保健師、心理士、 巡回支援専門員等

地域療育等支援事業 困難事例に対する助言等

◎5歳児健診実施地域での事業定着 ◎法定健診の充実

市町村法定健診での効果的なスクリーニング手法の導入による 早期発見の充実

専門研修・検証

継続 医師・専門職による適確な診断・アドバイス=保護者の障がいの早期受容

保育所・児童福祉施設・幼稚園・小中学校等 発達相談の結果を家庭や地域の関係機関(児童発達支援センター等) での支援に確実につなげる

障害福祉課、療育拠点施設・保健所・発達障がい者支援センター、児童相談所、精神保健福祉センター等 連携

委託

連携

委託

5歳児健診、法定健診 等を担う人材の育成

【5】実施事業の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 ・市町村が未就学児の発達相談・5歳児健診を実施する場合や、県が医学的知見を必要とする場合に、拠点病院の小児神経科医等が 診療支援を行なう。 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ・拠点病院が地域の小児科医等に対する専門研修を行い、発達障がいの疑いを判断するスクリーニング精度の向上を図る。 ③普及啓発・情報提供事業 ・「子どもの心の診療ネットワーク会議」を開催し、拠点病院と各関係機関が連携した子どもの心の診療体制の在り方について検討する。 ・医学的視点から早期発見・支援の必要性を訴えるための一般県民を対象とする普及啓発講演会の開催。

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ・全県的な専門医の少数・偏在のため、5歳児健診等の安定・継続した実施が困難な市町村に対し大学専門医の派遣を行ない、発達 障がいの早期発見に努めている。 ・5歳児健診等のスクリーニング精度向上を図るため、SDQやM-CHATの活用に係る研修会を実施し、医療関係者等のレベルアップと 啓発に努めている。

大分県の事業概要~大分大学附属病院~

【7】事業による効果と思われるもの ・事業実施により、5歳児健診等実施市町村は当初の5市から15市町へ拡大。 ・専門医による医療関係者に対する専門研修を行なうことにより、早期発見体制の成熟と定着が促されており、健診でのスクリーニ ング精度の向上が図られている。また、保育士や教員等へ研修を併せて行なうことにより、発達障がい児への理解の促進と支援 の向上へと繋がっている。 ・専門医が診察することにより、保護者の障がい受容が進みやすくなった。 ・子どもの発達や就学の悩みの相談の機会となり保護者の不安軽減に繋がった。 ・保育所等や医療機関、福祉、教育等の機関での連携がスムーズになり、就学に向けた子どものサポート体制づくりが進んだ。 ・地元の小児科医の発達障がいへの意識が高まり、保健師の保護者対応へのスキルアップにもつながった。

【8】目指す方向性 (今後の予定事業や展望、目標など) ・安定的な事業実施のための専門医の確保。 ・法定健診を含めた健診精度の向上のため、地元医師を中心に健診従事者に対し効果的なスクリーニング手法の普及啓発を図る。 ・ネットワーク会議や専門研修の継続により、関係機関との連携強化と情報共有を行なうことで、全県的に乳幼児期から就学前まで 途切れのない安定した支援体制を構築する。

大分県の事業概要~大分大学附属病院~

沖縄県の事業概要 ~琉球病院~

【1】地域概要 都道府県担当管轄課:沖縄県 保健医療部 健康長寿課 児童数(0歳~19歳):173,101人(平成27年1月1日現在) 児童精神科系 医師数:算出不可のため、不明 児童精神科のある医療機関数:1 、入院病床:4床

【2】拠点病院機関概要 ・拠点病院機関名:国立病院機構 琉球病院※1 406床(うち重症心身障がい児(者)80床、 精神291床、医療観察35床) 標榜診療科/内科・精神科・神経科・児童精神科 ・リハビリテーション科・麻酔科・(歯科) ※1 日本精神神経学会精神科専門医研修施設 ・事業実施科名 :児童精神科 ・事業開始年:平成27年度 【3】事業実施への経緯 沖縄県では、平成26年度に策定した新・沖縄県発達障害児(者)支援整備体制計画に基づき、「沖縄県発達障がい者支援センター がじゅま~る」が中心となって、保健・医療・福祉・教育等の関係機関が連携し、発達障害児(者)支援の充実に取り組んでいる。 しかし、発達障害児については、小児科で診察できる医療機関が県内にはまだあまり多くなく、小児神経科、児童精神科の専門的な医療機関に集中する傾向があるため、長期の診療待機状態が慢性的になっている課題となっている。 このことから、平成27年度より、地域の医療機関と専門医療機関の連携や、人材育成等を図るため、児童思春期の入院病床を有し、児童精神科医及び臨床心理士が複数在籍している琉球病院を拠点医療機関として、「子どもの心の診療ネットワーク事業」を開始した。

~悩みを抱える子ども達の笑顔と幸せのために~ けんぞう君

沖縄県の事業概要~琉球病院~

【4】事業図

一般の医療機関 ・軽度の心の問題 ・退院後のアフターケア

重症児など診療 困難なケースは 拠点病院で対応

連携医療機関 ・中等度の心の問題 ・身体症状・入院治療

・子どもの心の診療研修 ・診療支援(助言等)

医療機関の連携イメージ

琉球病院(拠点病院)

(構成)【外部委員中心】 医療、保健、福祉、教育及び労働等の関係分野、学識経験者、当事者団体等

発達障害者支援体制整備委員会

報告・意見

沖 縄 県

(構成)【行政中心】 総務部、商工労働部、 病人事業局、保健医療部、発達障害者支援センター、児童相談所、保健所等

発達障害児(者)支援機関連絡会議

報告・意見

【5】実施事業内容の概要 ①子どもの心の診療支援[連携]事業 ・他機関との連携、子ども心療科専門窓口としてソーシャルワーカーを配置した。 ・県内では子どものことばの発達評価、療育を行える言語聴覚士が少ないため、STを配置し、子どものことばの発達を評価し、 地域の療育へ繋ぎ、フォローする体制をとった。 ・県立宮古病院小児科にて事例検討会を実施し、心理教育のテキスト等、資料を提供した。 ・県立八重山病院と意見交換会を実施。離島から受診がスムーズに行えるように、外来受診離島枠を設定し、待機なく受診 できるような体制を整えた。入院治療が必要となった場合は家族が近くに住めるよう、病院内の官舎を利用できるよう整備した。 ②子どもの心の診療関係者研修・育成事業 ・静岡こども病院の山崎透先生をお招きし、事例検討会及び不登校についての講演会を実施した。 ・学校や児童デイサービス、児童養護施設の職員向けに様々なテーマで講演会を実施した(年14回)。 ・沖縄県臨床心理士会の医療領域・学校臨床領域の心理士向けに病棟見学及び講義を行った。 ・宮古島保健所、宮古島市とタイアップし、思春期の自殺についての講演会を2回実施。合わせてスクールソーシャルワーカーや 養護教諭、思春期の子どもに関わる専門家向けのグループワークを実施した。 ③普及啓発・情報提供事業 ・映画『みんなの学校』上映会及び題材となった大空小学校の元校長木村泰子先生をお招きし、講演会を実施した。 ・うるま市にこにこキッズフェスタにて一般市民向けに発達障がいに関する講演を行った。 ④その他 ・宮古病院・八重山病院から要請があれば、TV会議システムを利用した症例検討会を実施することとし、本島内の県立病院の TV会議システムが利用できるよう整備した。

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 ・沖縄県は多くの離島があり、子どもたちも多く暮らしているが、発達障がいの診断や子どもの心の診療をできる医療機関及び社会資源は少ない。そのため、宮古島、石垣島にある県立病院と連携し、離島で子どもの心の診療を行う体制をバックアップするとともに、地域の支援者研修にも力を入れている。 ・児童精神科医やコメディカルの数が少ないため、小児科医や精神科医、医学部学生、心理士やPSWの見学実習について受け入れ体制を整備し、積極的に受け入れている。

沖縄県の事業概要~琉球病院~

【7】事業による効果と思われるもの ・こども心療科専属のソーシャルワーカーを配置したことで受診相談や他機関との連携がとりやすくなった。 ・小児科医4名、精神科医2名、その他コメディカルの見学実習を受け入れ、その後も定期的に児童精神に関する勉強会に参加する医師及 びコメディカルが増加した。 ・小児科及び精神科で働く専門職種が、お互いの診療分野において子どもの心の診療を行う上での工夫について、症例検討会や会議で意 見交換したことで、互いの理解が深まり、連携しやすくなった(参加した医師からもそういった意見が挙がっている)。 ・離島や県立病院から気になるケースの相談や困難症例の紹介を受けるようになり、連携がスムーズに行えるようになった。 ・映画上映会の後、各地域で同映画の上映会が開催されたり映画を見た保護者がパトレンジャーを作り取り組むようになるなど、一般市民へ の普及啓発が功を奏し、地域活性化に繋がった。

【8】目指す方向性について (今後の予定事業や展望、目標など) 【沖縄県】 県内に発生している待機患者の解消のために、子どもの心の診療ができる医療機関を増やすとともに、病院間での協働支援体制の確立を目指すほか、発達障がい支援センター等関係機関と連携し合い、家庭環境へのサポート面に関しても支援体制を強化していく予定。将来的には県内の各地域ごとに心の診療が可能な医療機関の空き状況が確認できるネットワークシステムを構築し、患者やその家族が迷わずにその症状や家庭環境に応じて、適切な治療・支援を受けられる環境を作ることを目標としている。 【琉球病院】 ・県内で子どもシェルターが開設され、対応についての相談やスーパーバイズの依頼があり、今年度から対応している。 ・地域の小児科、精神科からは症例検討会を実施し、どのように子どもを診ていくのか、地域と連携していくのか、知りたいとの要望が挙がっている。 症例を通して関わり方や繋ぎ方を伝えることで、現時点では子どもの心の診療を行っていない医療機関が子どもの心の診療を行う体制作りがで きるようになっていくのではないかと考える。そのため、圏域ごとに症例検討会を開催していく予定。 ・医学部生や研修医、他機関からの医師の見学、実習受け入れを積極的に行い、県内で児童精神科に興味を持ち、子どもの心の診療に携わ る医師の育成を図る。 ・今年度は小児科医1名が週1回実習に来ており、児童精神科の外来及び入院症例や学校・児童デイなど地域との連携について研修している。

沖縄県の事業概要~琉球病院~

オブザーバー参加

自治体および拠点病院・機関

における事業概要

札幌市独自の事業概要(オブザーバー参加) ~北海道大学(大学院医学研究科)との共同研究~

【1】地域概要 ・担当管轄課:札幌市、障がい福祉課 ・児童数(0歳~18歳未満): 273,000人 (平成28年4月1日時点) ・児童精神科系 医師数:8名(日本児童青年精神医学学会認定医) ・児童精神科のある医療機関数:30機関 (さっぽろ子どものコンシェルジュ事業において、 子どもの心や発達障がい等を扱う医療機関数)

【2】拠点病院機関概要 ・拠点病院機関名:北海道大学病院(936床) ・事業実施主体 :医学研究科児童思春期精神医学講座

【3】事業実施への経緯 平成27年3月に「札幌市児童精神科医療連携体制構築検討会議」からいただいた報告書にもとづき、平成27年10月より事業を実施している。

~子どもと医療機関をつなぐコンシェルジュ~

札幌市の事業概要~北海道大学~

【4】事業図

さっぽろ子どものこころの 連携チーム事業

(北大と札幌市が共同研究) 連携体制の全体管理・研修会の実施・

医学的支援・人材育成等を行う

コンシェルジュ事業実施機関

児童精神を扱う医療機関

福祉施設、教育機関、 保健センター、一般の小児科等

さっぽろ子どものこころの コンシェルジュ事業

(医療機関に委託等) 関係機関や市民からの依頼を受け、

より適切な医療機関等を案内 (コンシェルジュ)する

案内 (コンシェルジュ)

案内 (コンシェルジュ)

相談

市民

相談 相談

【5】実施事業の概要 次の2つの事業の実施により、児童精神科医療を中心とした関係各機関のネットワークを運用・構築し、札幌市全体において、心の悩みを抱える子どもや発達障がいのある子どもへの支援体制の向上を目指す。 1 さっぽろ子どものこころの連携チーム事業 北海道大学大学院医学研究科(児童思春期精神医学講座)と札幌市が共同により、 連携体制の全体管理・研修会の実施・医学的支援・人材育成等を行う。具体的には、次のとおり。 (1) 関係機関の代表者からなる連絡会議を開催する。 (2) ネットワークを構成する関係機関を対象とした研修会等を実施する。 (3) ネットワークを構成する関係機関に医学的見地からの助言等を行う。 (4) 下記コンシェルジュ事業を総括し、コンシェルジュ実施機関の支援を行う。 2 さっぽろ子どものこころのコンシェルジュ事業 市内5か所の医療機関が札幌市からの委託等により、関係機関や市民からの 依頼を受け、より適切な医療機関等を案内(コンシェルジュ)する。具体的には、次のとおり。 (1) ネットワークを構成する関係機関や市民からの依頼により、関係機関や本人の希望も 考慮しながら、より適切な児童精神科医療を扱う医療機関を案内する。 (2) 児童精神科を扱う医療機関からの依頼により、一般の小児科、精神科の医療機関、 教育・福祉機関などのより適切な支援機関を案内する。

【6】特徴や特に力を入れている事業内容 さっぽろ子どものこころのコンシェルジュ事業により、地域の子どもたちに対して、より迅速かつ適切な精神科医療を提供しやすくなるようなシステムの構築を目指している。

札幌市の事業概要~北海道大学~

【7】事業による効果と思われるもの ・さっぽろ子どものこころのコンシェルジュ事業については、外来のトリアージ機関としての適切な役割を果たしている。 例:新規外来患者における待ち時間の短縮、医療機関と患者のミスマッチの解消 ・ネットワークを運用・構築することにより、 地域における児童精神科医療の水準向上に寄与している。

【8】目指す方向性(今後の予定事業や展望、目標など) ・ ネットワークを構成する関係機関を増やし、引き続き、 札幌市全体において、心の悩みを抱える子どもや 発達障がいのある子どもへの支援体制の向上を目指す。 また、将来的には、北海道内の他市町村へ展開し、 北海道全域を対象としたネットワークの構築を目指していく。 ・ 引き続き、さっぽろ子どものこころのコンシェルジュ事業の 周知広報を行い、より多くの市民に本事業を利用していただく。

札幌市の事業概要~北海道大学~

発行者:子どもの心の診療ネットワーク事業中央拠点病院 国立成育医療研究センター こころの診療部 〒157-8535 東京都世田谷区大蔵 2-10-1