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中間発表 残余利益モデルによる理論株価の算出と考察 トヨタ,日産,ホンダ,三菱自動車 法政大学 経営学部 経営戦略学科 滝澤 勧悟

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  • 中間発表

    残余利益モデルによる理論株価の算出と考察

    トヨタ,日産,ホンダ,三菱自動車

    法政大学経営学部経営戦略学科滝澤勧悟

  • はじめに

    本研究は残余利益モデルを用いて、実在する企業の理論株価の算出を行った。理論株価を算出することができた場合は、実際の株価と比較し考察していく、理論株価を算出することができなかった場合は、算出できなかった原因を分析していく。

    また本発表では本スライドに加えて、実際に理論株価を算出する際に使用したエクセルのデータも適宜示しつつ、計算方法なども具体的に説明していく。

  • 目次 はじめに

    1.データ

    2-1.モデル(残余利益モデル)

    2-2.モデル(CAPM)

    2-2.補足

    3.各社のβの値と考察

    4.各社のCAPMの値と考察

    5-1.トヨタの理論株価と考察

    5-2.日産の理論株価と考察

    5-3.ホンダの理論株価と考察

    5-4.三菱自動車の理論株価と考察

    6.残余利益モデルが成立しないパターン

    おわりに

    参考文献/参考文献(データ)

    今後のスケジュール

  • 1.データ

    ①データは2014年~2016年の3月決算の財務データを用いた

    ②連結会計の数値でなく単独会計の数値を用いた

    ③CAPMを算出する際は過去5年分のTOPIXと各企業の株価を用いた

  • 1.データなぜ、トヨタ,日産,ホンダ,三菱自動車を取り扱うのか?

    ①研究計画発表時点では、郵政3社を扱うつもりだったが、データをうまく入手する

    ことができなかったため、変更を余儀なくされたから。

    ②日本を代表する産業であるということと、大企業のため情報開示もされており、

    データの入手が可能であったため。

    ③自動車業界を代表する3社に加えて、相次ぐ不正が明らかになっている三菱自動車

    の分析もすることで、不正などのネガティブな要素が、理論株価にも反映されるか

    どうかを3社と比較しつつ確認できると考えたから。

  • 1.データ

    なぜ、連結会計でなく単独会計の数値を用いるのか?

    ①各社が株を保有している子会社の業績なども影響してしまうと考え

    純粋に各社自体の価値を評価したかったから

    ②連結会計の数値では理論株価を算出できない場面が多くあったから

    *ROEの数値がCAPMを上回ってしまう

  • 1.データ

    なぜ、日経平均株価でなくTOPIXのデータを用いるのか?

    CAPMは市場ポートフォリオは効率的なポートフォリオであることを前提としているため、東証1部という日本市場全体の市場ポートフォリオとなる指標であるTOPIXの方が、東証1部上場の225社しか対象としていない日経平均株価と比べて適切であると考えられるから。

  • 2-1.モデル(残余利益モデル)

    定率成長だと仮定し残余利益モデルを用いた

    P=B+1

    𝑘−𝑔・B・ (ROE-k) (2-1-1)

    B:株主資本簿価

    K:割引率

    g:成長率

    *K>g≥0 *ROE>k

  • 2-2.モデル(CAPM)

    前スライドの割引率Kは以下の式で求めた

    CAPM:E(Ra)=Rf+βa(E[Rm]-Rf) (2-2-1)

    Ra:個別証券のリターンの期待値

    Rf:無リスク利子率

    βa:個別証券の市場に対する感応度

    (E[Rm]-Rf):市場リスクプレミアム

  • 2-2.モデル(CAPM)

    前スライドの個別証券の市場に対する感応度:βaは以下の式で求めた

    βa=𝑐𝑜𝑣[𝑅𝑚,𝑅𝑎]

    𝑣𝑎𝑟[𝑅𝑚](2-2-2)

  • 2-2.補足CAPM(証券市場線)

    CAPM:E(Ra)=Rf+βa(E[Rm]-Rf) (2-2-1)

    Y=切片+X×傾き

    傾き:E[Rm]-Rf),切片:Rfの一次関数だとみることができる

    この一次関数の直線を証券市場線という

    市場が均衡している場合、すべての証券のリターンは証券市場線上にある

  • 2-2.補足CAPM(金融市場の均衡)

    前スライドで述べた「市場が均衡している」とはどういうことか?

    市場に参加しているすべての投資家が望ましい資産の選択を行って市場に購入注文を出したことに加えて、投資家全体のそのような需要を合計した市場としての需要と供給が一致している状態

  • 2-2.補足CAPMが成立する条件

    ①完全情報

    すべての投資家が持つ情報が同じということ

    ②同質的期待

    資産のリターンの期待値と分散に関しての投資家の予想が同じということ

  • 3.各社のβの値と考察

    トヨタ 日産 ホンダ 三菱自動車

    2014(2013/4~2014/3) 1.18 1.089147 1.158962 0.499843

    2015(2014/4~2015/3) 1.20 1.055204 1.227069 0.355704

    2016(2015/4~2016/3) 1.13 0.983972 1.293559 0.421557

    (3-1-1)

  • 3.各社のβの値と考察①三菱自動車の値だけがいずれの期間でも1を大きく下回っている

    「不祥事が相次いだ三菱自動車に関しては、市場全体が上昇したとしても同社の株価の上昇にはあまりつながらないだろう。」と予測していたが、実際に算出されたβの数値にも反映された

    ②トヨタ,日産,ホンダの値はいずれの期間でも1に近い

    日本を代表する産業である自動車産業は、市場全体の動きと近い動きをするということが確認できた。

  • 4.各社のCAPMの値と考察

    トヨタ 日産 ホンダ 三菱自動車

    2014(2013/4~2014/3) 0.11118 0.102566 0.109141 0.047071

    2015(2014/4~2015/3) 0.134332 0.117756 0.136935 0.039695

    2016(2015/4~2016/3) 0.129791 0.113432 0.149121 0.048597

    (4-1-1)

  • 4.各社のCAPMの値と考察①三菱自動車の値が著しく低い

    不祥事が相次いでいる同社であるが、CAPMの値は個別証券のリターンの期待値であるため、証券としての価値も投資家にとって魅力的でないことが分かる。

    ②2016年のホンダのCAPMの値が最も高い

    CAPMの値は個別証券のリターンの期待値であるため、投資家にとって魅力的な証券であることが分かる。ただ、以降のスライドで示すが、2016年のホンダの理論株価を算出することはできなかったため、実際の株価と理論株価の比較を行うことはできなかった。

  • 5-1.トヨタの理論株価と考察

    トヨタ 株主資本簿価 当期純利益 ROE CAPM 期中平均株式数

    2014(2013/4~2014/3) 7803900 1416810 0.181551532 0.11118 3168989173

    2015(2014/4~2015/3) 8548725 1690679 0.197769726 0.134332 3158851116

    2016(2015/4~2016/3) 9354277 1810370 0.193533931 0.129791 3111306060

    (5-1-1)

  • 5-1.トヨタの理論株価と考察

    (5-1-2)

    トヨタ MAX min(g=0) 高値 安値

    2014 965216.8246(g=0.111) 4021.278838 7873 5205

    2015 519814.8188(g=0.134) 3984.304486 8783 6650

    2016 245289.5964(g=0.129) 4483.116562 7495 4917

  • 5-1.トヨタの理論株価と考察

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    理論株価と成長率の関係(2014年/トヨタ)

    (5-1-3)

  • 5-1.トヨタの理論株価と考察

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    理論株価と成長率の関係(2015年/トヨタ)

    (5-1-4)

  • 5-1.トヨタの理論株価と考察

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    理論株価と成長率の関係(2016年/トヨタ)

    (5-1-5)

  • 5-1.トヨタの理論株価と考察

    ①2014年~2016年の実際の株価の高値,安値はすべて理論株価の想定の範囲内に

    入っている。

    ②他社と比較して、成長率の増加が理論株価の増加につながっていることを、グラフ

    の形から確認できる。

  • 5-2.日産の理論株価と考察

    日産

    株主資本簿価 当期純利益 ROE CAPM期中平均株式数

    2014(2013/4~2014/3) 2071337 425494 0.205419978 0.102566 4191414231

    2015(2014/4~2015/3) 2387562 491570 0.205887847 0.117756 4192309319

    2016(2015/4~2016/3) 2442206 251009 0.102779618 0.113432 4190789033

    (5-2-1)

  • 5-2.日産の理論株価と考察

    (5-2-2)

    日産 MAX min(g=0) 高値 安値

    2014 90298.01164(g=0.102) 989.7589511 1146 824

    2015 66961.00013(g=0.117) 995.747001 1350 963

    2016 - - - -

  • 5-2.日産の理論株価と考察

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    理論株価と成長率の関係(2014年/日産)

    (5-2-3)

  • 5-2.日産の理論株価と考察

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    01

    理論株価と成長率の関係(2015年/日産)

    (5-2-4)

  • 5-2.日産の理論株価と考察

    ①理論株価を算出できた2014年,2015年ともに、実際の株価の安値をやや下

    回っており、理論株価では想定できないレベルでの下落をしたと考えられる。

    日産の理論株価はやや過大評価されているともいえる。

  • 5-3.ホンダの理論株価と考察

    ホンダ

    株主資本簿価 当期純利益 ROE CAPM期中平均株式数

    2014(2013/4~2014/3) 1850263 262928 0.142103042 0.109141 1802294383

    2015(2014/4~2015/3) 1922960 264686 0.137645089 0.136935 1802289321

    2016(2015/4~2016/3) 1816258 51912 0.028581842 0.149121 1802285138

    (5-3-1)

  • 5-3.ホンダの理論株価と考察

    (5-3-2)

    ホンダ MAX min(g=0) 高値 安値

    2014 241021.9089(g=0.109) 1336.666858 4320 3239

    2015 1877.255915(g=0.136) 1072.486898 4499 3420

    2016 - - - -

  • 5-3.ホンダの理論株価と考察

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    01

    理論株価と成長率の関係(2014年/ホンダ)

    (5-3-3)

  • 5-3.ホンダの理論株価と考察

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    理論株価と成長率の関係(2015年/ホンダ)

    (5-3-4)

  • 5-3.ホンダの理論株価と考察

    ①2014年に関しては、実際の株価の高値,安値は理論株価の想定の範囲内となっ

    ている。

    ②一方、2015年に関しては算出された理論株価を実際の株価の高値,安値ともに

    上回っており、ホンダの理論株価は極端に過小評価されてしまっているといえ

    る。

    ③2014年,2015年ともに、グラフの形が横ばいとなっている部分が多く、成長率

    の増加が理論株価の増加にあまりつながっていないことが確認できる。

  • 5-4.三菱自動車の理論株価と考察

    三菱自動車

    株主資本簿価 当期純利益 ROE CAPM期中平均株式数

    2014(2013/4~2014/3) 344,381 93641 0.271911052 0.047071 668367915

    2015(2014/4~2015/3) 439,750 121918 0.277243889 0.039695 983440269

    2016(2015/4~2016/3) 465796 42272 0.090752175 0.048597 983439966

    (5-4-1)

  • 5-4.三菱自動車の理論株価と考察

    (5-4-2)

    三菱自動車 MAX min(g=0) 高値 安値

    2014 1632210.012(g=0.047) 2976.439263 1353 1002

    2015 153283.2941(g=0.039) 3123.086665 1168 871

    2016 33918.12074(g=0.048) 884.4952036 1043 412

  • 5-4.三菱自動車の理論株価と考察

    3000

    8000

    13000

    18000

    23000

    28000

    33000

    38000

    0.0

    48

    0.0

    46

    0.0

    44

    0.0

    42

    0.0

    4

    0.0

    38

    0.0

    36

    0.0

    34

    0.0

    32

    0.0

    3

    0.0

    28

    0.0

    26

    0.0

    24

    0.0

    22

    0.0

    2

    0.0

    18

    0.0

    16

    0.0

    14

    0.0

    12

    0.0

    1

    0.0

    08

    0.0

    06

    0.0

    04

    0.0

    02

    理論株価と成長率の関係(2014年/三菱自動車)

    (5-4-3)

  • 5-4.三菱自動車の理論株価と考察

    3000

    8000

    13000

    18000

    23000

    28000

    33000

    38000

    0.0

    39

    0.0

    37

    0.0

    35

    0.0

    33

    0.0

    31

    0.0

    29

    0.0

    27

    0.0

    25

    0.0

    23

    0.0

    21

    0.0

    19

    0.0

    17

    0.0

    15

    0.0

    13

    0.0

    11

    0.0

    09

    0.0

    07

    0.0

    05

    0.0

    03

    0.0

    01

    理論株価と成長率の関係(2015年/三菱自動車)

    (5-4-4)

  • 5-4.三菱自動車の理論株価と考察

    900

    5900

    10900

    15900

    20900

    25900

    30900

    35900

    0.0

    48

    0.0

    46

    0.0

    44

    0.0

    42

    0.0

    4

    0.0

    38

    0.0

    36

    0.0

    34

    0.0

    32

    0.0

    3

    0.0

    28

    0.0

    26

    0.0

    24

    0.0

    22

    0.0

    2

    0.0

    18

    0.0

    16

    0.0

    14

    0.0

    12

    0.0

    1

    0.0

    08

    0.0

    06

    0.0

    04

    0.0

    02 0

    理論株価と成長率の関係(2016年/三菱自動車)

    (5-4-5)

  • 5-4.三菱自動車の理論株価と考察

    ①2014年、2015年に関しては実際の株価の高値,安値ともに、算出された理論株

    価の最小値を下回っており、三菱自動車の理論株価は極端に過大評価されてし

    まっているといえる。

    ②2016年に関しても、実際の株価の高値は算出された理論株価の最小値を上回っ

    たが、最大値とはかけ離れており、三菱自動車の理論株価は極端に過大評価さ

    れているといえる。

    ③グラフを見ると、2016年に関しては成長率を増加させても、理論株価がほぼ横

    ばいになっていることが分かる。

  • 6.残余利益モデルが成立しないパターン

    ①ROEの値がCAPMを下回ってしまうパターン

    例:2016年の日産とホンダのROEとCAPM

    ROE CAPM

    日産 0.102779618 0.113432

    ホンダ 0.028581842 0.149121

    (6-1)

  • 6.残余利益モデルが成立しないパターン

    ①ROEの値がCAPMを下回ってしまうパターン

    P=B+1

    𝑘−𝑔・B・ (ROE-k) (2-1-1)

    赤字で示した部分が残余利益となるが、前スライドで示したようにROE

    がCAPM=Kを下回ると(ROE-k)の値が負となり、残余利益の値も負になっ

    てしまう

  • 6.残余利益モデルが成立しないパターン

    ②CAPM=Kの値が負となるパターン

    例:2013年(2012/4~2013/3)の各社のCAPM

    トヨタ -0.034866

    日産 -0.04718

    ホンダ -0.034407

    三菱自動車 -0.02966

    (6-2)

  • 6.残余利益モデルが成立しないパターン

    ②CAPM=Kの値が負となるパターン

    P=B+1

    𝑘−𝑔・B・ (ROE-k) (2-1-1)

    赤字で示した部分が残余利益となるが、前スライドで示したようにKの値が負と

    なると𝑘 − 𝑔の値も負となり、残余利益の値も負になってしまう

    *K>g≥0

  • おわりに

    定率成長を仮定した残余利益モデルにより、トヨタ,日産,ホンダ,三菱自動車の4社の理論株価を算出したが、トヨタのように、実際の株価の高値,安値が、理論株価の範囲内にあることから、成長率さえ正確に予測することができれば、実際の株価を正確に予測することも可能となる場合があると考えられる。

    一方、三菱自動車のように不祥事が相次ぎ、投資家にとっても魅力的でなくなってしまった企業に関しては残余利益モデルを用いても実際の株価に近似する理論株価を算出できないということが分かった。

  • 参考文献 日本証券アナリスト協会 編/浅野 幸弘・榊原 茂樹 監修/伊藤 敬介・荻島 誠治・諏訪部 貴嗣 著 2009 新・証券投資論Ⅱ実務編日本経済新聞社

    Zip証券アナリスト受験対策室 編/佐野 三郎 著 2014 2015証券アナリスト第一次レベル 合格最短テキスト 証券分析とポートフォリオ・マネジメント

    証券アナリストジャーナル 2006.2 西尾 公宏・中野 誠 株式評価モデルの比較分析-残余利益モデル・DCFモデル・経済付加価値モデル-

  • 参考文献(データ) YAHOO JAPAN ファイナンス

    http://finance.yahoo.co.jp/

    日本経済新聞 マーケット 企業

    http://www.nikkei.com/markets/kigyo/

    TOYOTA IRライブラリー

    http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/

    日産 投資家の皆さまへ

    http://www.nissan-global.com/JP/IR/

    HONDA IR資料室

    http://www.honda.co.jp/investors/library/

    三菱自動車 IRライブラリー

    http://www.mitsubishi-motors.com/jp/investors/library/

    http://finance.yahoo.co.jp/http://www.nikkei.com/markets/kigyo/http://www.toyota.co.jp/jpn/investors/library/http://www.nissan-global.com/JP/IR/http://www.honda.co.jp/investors/library/http://www.mitsubishi-motors.com/jp/investors/library/

  • 今後のスケジュール

    1月末日を締め切り日として、論文の執筆を開始する

    最終発表に向けて、今回の中間発表で指摘を受けた部分を中心に、本スライドを修正する

  • 質疑応答

  • ご清聴ありがとうございました