済生会中和病院 事業継続計画(bcp) · 1...

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済生会中和病院 事業継続計画(BCP) 概要版 EMIS(広域災害救急医療情報システム) https://www.wds.emis.go.jp/ 機関コード 1100500000 パスワード ●●●●●● 平成31(2019)年 1月28日制定 平成31年(2019)年3月31日 第1回修正

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済生会中和病院

事業継続計画(BCP)

概要版

EMIS(広域災害救急医療情報システム)

https://www.wds.emis.go.jp/

機関コード 1100500000

パスワード ●●●●●●

平成31(2019)年 1月28日制定

平成31年(2019)年3月31日 第1回修正

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第1章 事業継続計画の基本的な考え方

1 事業継続計画(BCP)策定の目的と方針

(1) 策定の目的と基本方針

済生会中和病院は、阪神淡路大震災後、災害拠点病院に指定され、現在 DMAT

隊を有し、来るべきあらゆる災害に備えているところであり、「地域の医療と福祉

を支える済生会」の基本理念のもと、施薬救療の精神を忘れることなく、平常時の

みならず、災害を含むあらゆる危機を想定し、病院職員一丸となってこれらの危機

を乗り越えることが使命である。

済生会中和病院の事業継続計画(以下「本計画」という。)は、奈良県直下地震

等の大規模災害時においても災害拠点病院としての役割を果たすことができるよ

うに、予め想定した条件をもとに対応を検討し、訓練等を行うことで、発災時にお

いても業務を中断することなく、復旧に向けた取組みを実践することを目的とする。

[基本方針]

① 災害拠点病院として、必要な医療及び救護活動を寸断なく実施し、入院患者や

傷病者の命を守る。

② 災害・事故の発生の可能性及び発生した際の影響を事前の対策によって最小化

し、患者・職員の人命を守る。

③ 組織・経営としての継続性を担保し、地域に信頼される病院として、また職員

にとって働き甲斐のある職場としてあり続ける。

(2) 平常時のBCPの策定・管理体制

済生会中和病院においては、PDCAサイクルを機能させるとともに、平常時か

ら災害に備えるため、図1のとおり災害対策委員会内にBCP等検討部会を設置し、

当部会が本計画の策定や見直し、必要物品の整備や計画の進捗管理を行う。

■災害対策委員会の役割

● 本計画の整備に関すること。(BCPの作成、改訂、管理)

● 職員の災害対応訓練、教育、啓発に関すること。

● 対外的な対応に関すること。(DMAT 関連、関係会議、対外的な訓練等)

● ロジスティックスに関すること。(物品、医薬品、燃料、通信等の確保)

● 連絡体制の整備等に関すること。(EMIS、防災無線、衛星通信、院内無線等)

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図1 平時の災害準備体制(危機管理体制、BCP策定・管理体制)

院長

院長補佐・副院長

看護部長・事務部長

災害対策委員会

BCP等検討部会

診療部門

管理・医事 会計その他

(3) 災害対策本部体制

① 災害対策本部の設置

発災時における事業継続の本部組織として、院長は、下記の基準に従い、災害

対策本部を設置する。

夜間・休日等、院長、院長補佐、副院長、事務部長等の幹部職員が不在のとき

は、当直医師は、携帯電話その他の手段によりこれら幹部職員の指示を仰ぎ、幹

部職員が登院するまでの間、暫定的に災害対策本部を統括する。

■済生会中和病院 災害対策本部設置基準

● 桜井市内において震度5強以上を観測する地震が発生した場合

● 多数の死傷者の発生、主要道路の通行障害の発生、大和川、寺川等の破堤に伴

う浸水の発生等、地域の被害が大きい場合

● 奈良県及び桜井市に災害対策本部が設置された場合

● 停電や断水、多数の負傷者の発生により通常の運営が困難な場合その他病院の

被害が大きい場合

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② 災害対策本部の組織

災害対策本部の組織編成は、次のとおりとし、対応に当たる。

■災害対策本部の体制

● 災害対策本部長(以下単に「本部長」という。)及び副本部長の下に、図2の

とおり部門及び班を設ける。

● 部門長は、副本部長が兼務し、1つ以上の班を統括する。

● 各班は、班長と班員で構成する。

図2 災害対策本部体制図

トリアージ 放射線科

外来診療班

検査・薬剤管理班

薬剤科

検査科

院内患者集積場所

受付

赤エリア

黄エリア

緑エリア

黒エリア

院内搬送係

診療支援班

手術室

透析室

内視鏡室

診療指揮部門

人的資源調整係

(院外)搬送調整

部門

院外搬送調整班

病棟管理部門

病棟管理班

A病棟

B病棟

C病棟

重症室

資源物流班

広報・マスコミ担当

院内警備

家族対応

帰宅困難者対応

ボランティア対応

凡例:

災害対策本部長(病院長)副本部長(院長補佐・副院長・看護部長・事務部長)

医療ニーズ係

ロジスティクス調整係

記録係連絡係

建物

エレベーター

飲料水・貯水

電気・自家発

ガス・医療ガス

医療資器材管理

IT管理

食糧・リネン管理

ロジスティック部門

総務班

情報収集分析

部門 係 班担当

(メンバー)

職員管理班

受援チーム管理班

施設管理班

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③ 災害対策本部の活動

ア 災害対策本部会議の運営

・ 災害対策本部は、院内での情報共有や災害対策本部としての判断及び決定

を行うため、適宜会議を開催する。

・ 対策本部会議には、本部長、副本部長及び各班長が出席する。

・ 対策本部会議の進行は、診療指揮部門長が行う。

・ 総務・情報班は、対策本部会議の議事録を作成する。

イ 災害対策本部の判断事項

災害対策本部の主な判断・決定事項は、次のとおりとする。ただし、急を要

する場合は、災害対策本部会議の開催を経ずに、本部長又は副本部長が判断す

るものとする。

■災害対策本部の判断事項

● 災害対策本部の設置と解散

● トリアージ班等、増設する業務部門の設置(院内の医療体制(スタッフ、資

機材等)に係る充足度や外部の被害程度により判断)

● 奈良県、桜井市災害対策本部、地区医師会等との調整による

・ DMAT 等の災害医療支援チームの派遣・受入れ

・ 要員、物資等の支援要請

・ 患者の外部転送、受入れ等

④ 災害対策本部の設置場所

災害対策本部の設置場所は、次のとおりとする。

本部長及び副本部長は、本部事務局とともに、原則として次の本部設置場所に

おいて活動する。

⑤ 災害レベルの想定と当院の被災レベルによる対応

当院での災害レベルを次のとおり設定する。ただし、災害レベルは、災害の種

類や時間的な経過など様々な条件により、変動するものとする。

災害レベルの決定は、各部門における人的被害、建物災害及びライフラインに

係るアセスメント(第1(迅速)アセスメントという。発災後30分以内に災害

対策本部に提出)及び医療資源の被災状況に係るアセスメント(第2(詳細)ア

セスメントという。第1アセスメント終了後60分以内に災害対策本部に提出)

により、災害対策本部で行う。

災害対策本部

設置場所

南館1階リハビリテーション室

⇒南館使用不能時は、放射線治療棟2階研修室

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⑥ 職員参集ルール

当院の職員は、奈良県内において震度5強以上の地震が発生した場合、余震及

び家族の安全及び安否を確認した上で、次に掲げる参集ルールに従い、自主的に

病院へ参集するものとする。

■災害時職員参集ルール

● 県内震度5強以上の地震が発生した場合は、職員は自主的に参集すること。

● 当院から徒歩、自転車等により30分以内に居住する職員は、速やかに参集す

ること。

● 常勤・非常勤を問わず、全職員が参集すること。

⑦ 職員及び職員家族の安否確認と参集可否の連絡

当院では、職員及びその家族の安全が、医療継続の要であることから、次に掲

げる「安否確認システム」を運用して、職員の安否確認を行うとともに、職員の

参集状況予測を行うものとする。

■職員安否確認システム

奈良県内において震度5強以上の地震が発生した場合

1 済生会中和病院災害対策本部から一斉にメール配信を行う。

2 各職員は、次の事項を返信する。

① 職員の安否

② 参集可能時間(見込み)

3 災害対策本部は、職員からの返信状況を集計し、職員の参集可能人員予測を

行う。

◆ 勤務時間内における職員家族の安否確認

職員は、勤務時間内に発災した場合には、非常時優先業務に従事するものと

する。職員は、こうした場合においても安心して職務に専念できるよう、日頃

から家族間において非常時の連絡方法(災害伝言ダイヤル、災害用伝言板等)

を確認しておく必要がある。

⑧ EMIS(Emergency Medical Information System:広域災害救急医療情報シ

ステム)への入力(アドレス:https://www.wds.emis.go.jp/)

大規模災害が発生した場合、当院は、被害状況等に関する院内情報を迅速に収

集し、EMIS に入力する(第一報(緊急時入力)の入力目標:30分以内)。

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2 対象とする災害と被害想定

(1) 対象とする災害

本計画の前提とする災害は、平成30年3月奈良県防災会議「奈良県地域防災計

画(地震編)」における被害想定(第2次奈良県地震被害想定調査報告(平成16

年10月公表)に基づく被害想定)のうち、奈良県内に甚大な人的・物的被害をも

たらす奈良盆地東縁断層帯地震(震度6強)とする。

■対象とする大規模地震と震度、被害想定等

対象とする大規模地震

と震度

奈良盆地東縁断層帯地震(内陸型)

想定マグニチュード7.5

季節、時刻等の想定 内陸型による被害想定のうち、重傷者が最も多く発生す

ると想定される 『午後7時』冬の休日

人的被害

死者数 負傷者数 重傷者数

232人 744人 186人

(出典)桜井市地域防災計画(平成28年3月)。ただし、重傷者数は、平成28年

熊本地震、平成23年東日本大震災及び平成7年阪神淡路大震災における負傷

者数に占める重傷者数の割合を平均した値である25%により算定

(2) 地域の被害想定

(1)において前提とした災害により、地域のライフライン等の主な被害状況の想

定を次のとおりとする、

■ライフライン等の停止(又は復旧)期間の想定

電力 上水 下水 都市ガス 電話

(固定・携帯)

3日 10日 10日 14日 3日

※ 平成28年熊本地震におけるライフライン復旧率(およそ95%復旧までの所要

日数)を使用

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(3) 病院の施設等の被害想定

① 建物・施設の被害想定

■想定される被害状況

病院建物

本館

いずれの建物についても、昭和 56 年以降の建物であ

り、耐震対策が施されている。一部、壁等の非構造

体に被害が発生する恐れがあるが、使用可能。

南館

放射線治療棟

東館

看護師宿舎

機械・装置 未固定の設備のほとんどが移動、転倒する。

医療機器・備品等 未固定の医療機器等のほとんどが転倒し、散乱する。

② ライフライン等の資源の現状

③ 参集可能な職員の予測

職員の参集人数予測は、発災後、職員が自宅から参集すると仮定して行った。

実際には、準夜勤の時間帯に職員等130名が勤務している。

■職員参集予測

職員数

発災当日

徒歩90分以内

発災3日目~

1週間

職員参集率(注) - 30% 80%

職員参集数:合計 535名 161名 428名

医師 62名 18名 50名

外科系 32名 8名 25名

外科系以外 30名 10名 25名

看護師 270名 81名 216名

看護助手 44名 13名 35名

コメディカル 93名 28名 74名

医療技術部助手 5名 2名 4名

事務 61名 19名 49名

(注)職員参集率は、熊本地震発生当日(本震:平成28年4月16日1時25分発生)

の熊本赤十字病院の職員参集率(51%)を踏まえて仮定した数値である(参照:熊

本地震2016 熊本赤十字病院の活動記録-大震災の教訓と未来への提言-)。

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3 想定される医療需要

(1) 医療需要の推移の想定

災害時は、時間の経過とともに変化する医療需要に対し、迅速に対応することが重要で

ある。主な医療需要は、次のとおりである。

全体 概要

発災直後 (~6時間)

フェーズ1 超急性期

(~72時間)

フェーズ2 急性期

(~1週間)

フェーズ3 要急性期

(~2週間乃至1

カ月)

フェーズ4 慢性期

(~3カ月)

フェーズ5 中長期

(3カ月~)

(医療ニーズ)

傷病者等の状況

(リソース供給)

医療資源の状況

傷病者が広域な範囲で同時多発し、医療需要が

短期間で拡大

避難者等の慢性疾患、公衆衛生への対応ニーズが広域な

範囲で拡大

倒壊・火災等

の被災現場で

救出救助活動

が順次開始

救助された外

傷系の傷病者

への対応ニー

ズが徐々に拡

大、継続

救出救助活動

が徐々に収

束、外傷系の

患者は激減

避難者の減少

とともに医療

救護所の規模

が徐々に縮小

医療救護所は

ほぼ閉鎖

避難生活の長

期化による慢

性疾患、公衆

衛生、メンタ

ルヘルスへの

対応

応急住宅等や

在宅の被災者

の慢性疾患、

メンタルヘル

ス等への対応

人工透析患者、人工呼吸器を要す

る患者等への対応ニーズが増加

主に軽症者が自力で病

院、医療救護所に殺到

避難所等の医療救護所への巡回ニ

ーズが徐々に拡大

地域(局所単位)の自

律的な活動が中心

県内全域の広域的な活動体制が構築。全国、海外から応援

チームが集結

病院、医療救

護所で医療ス

タッフが不足

自衛隊、日赤

等による医療

支援開始

他県から応援

の DMAT 等

が参集

病院はライフ

ライン機能低

下等により医

療提供に制約

交通・通信の

途絶も

他県からの応援医療チームが

徐々に参集

他県からの応

援医療チーム

が徐々に撤退

被災地域の災害拠点病

院等の病床の臨時拡大

がピークに

病院のライフライン機

能が徐々に回復

地域の医療機

関、薬局等が

徐々に再開

地域の医療機

関等による平

常診療が中心

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(2) 来院する重傷者数の想定

本計画の前提とする奈良盆地東縁断層帯地震(内陸型)による被害想定の重症者

数を基本に、奈良県東和保健医療圏における重症者が災害拠点病院である当院に運

ばれてくるものとして、次のとおり想定した。

■来院する重傷者数

奈良県地域防災計画(地震編)で想定されて

いる重傷者数 6,253人

当院に来院が予想される重傷者数【予測】

上記の重症者数/奈良県の災害拠点病院数

(7病院)

893人

(注)「重傷者」とは、「災害のため負傷し、医師の治療を受け、又は受ける必要のある者の

うち、1月以上の治療を要する見込みのもの」をいう。(出典)「災害の被害認定基準につ

いて」(平成13年6月28日内閣府政策統括官(防災担当)通知)

第2章 行動計画

1 非常時優先業務の目標開始時間等

災害時における医療需要の想定(第1章3)に基づき、済生会中和病院として、優

先的に対応が必要な継続すべき通常業務及び災害時に発生する災害応急業務(これら

を総称して、以下「災害時優先業務」という。)並びにそれぞれの災害時優先業務に

係る目標開始時間等の行動計画は、次のページから17ページまでに定める「BCP

行動計画」のとおりとする。

2 各部門の非常時優先業務の目標開始時間等(作業手順)

前記1病院全体からみた非常時優先業務に係る目標開始時間等の行動計画に従い、

各部門が実施する業務の目標開始時間等の作業手順については、次のページから17

ページまでに定める「BCP行動計画」の備考欄に定める手順書ページのとおりとす

る。各部門は、これらの作業手順書に基づき、災害時における病院機能が円滑に維持

できるよう努めるものとする。

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社会福祉法人恩賜財団済生会中和病院 BCP行動計画

区分 番号

担当部門

・班等 業務名 業務内容

行動計画

発生直後 超急性期 急性期 亜急性期 以降

直後 30 分 1 時間

2 時間

3 時間

6 時間

12時間 ~

72時間

5日 ~ 7日

14 日~

情報

1 ロジスティック部門

情報収集体制の構築 発災後直ちに、院内被災状況、院内患者状況、職員の安否状況、診療提供能力等に係る情報の集約及び外部報告先の確認を行う。

1 時間以内

2 全部門・各部署 院内患者状況の確認 (1 次アセスメント)

地震の場合、揺れが収まるまでは、自分自身の「身の安全」を確保した上で、入院、外来患者等院内の患者状況を確認し、災害対策本部へ報告する。

30 分以内

3 全部門・各部署 建物被災状況の確認 (1 次アセスメント)

建物被害の状況、電気、水道及びガスの供給・設備の破損状況、エレベーター等の運転状況並びに什器等備品の状況の確認を行う。

30 分以内

4 全部門・各部署 職員安否状況の確認 (1 次アセスメント)

地震の場合、揺れが収まるまでは、自分自身の「身の安全」を確保した上で、院内で勤務している職員に被害がでていないかどうかの確認を行う。

30 分以内

5 全部門・各部署 診療提供能力の確認 (2次アセスメント)

入院患者の安否確認後、医療ガス、医薬品及び医療資機材の状況並びにレントゲン・CT、血液生化学などの検査機器並びに電子カルテの状況について確認を行い、稼働の可否について判断する。

30 分以降

6 災害対策本部 (ロジスティック部門)

外部通信手段の確認 一般電話や携帯電話が不通となることに備え、災害時優先電話、衛星携帯電話及び防災無線の動作確認を実施し、非常時における通信手段を確保する。

30 分以内

7 災害対策本部 (ロジスティック部門)

内部通信手段の確認 院内PHS等の使用ができなくなることを想定し、トランシーバー・情報機器を必要箇所に貸出するとともに、必要に応じて伝令を行う。また、館内放送による情報提供を実施する。

1 時間以内

8 DMAT隊員 EMISへの入力 発災後、直後情報として、倒壊状況、ライフライン・サプライ状況、患者受診状況、職員状況等の緊急時入力について、入力できる項目から随時入力する。(1 次アセスメント(緊急時入力):30 分以内)

30 分以内

〇 以降、随時更新

9 災害対策本部 (ロジスティック部門)

外部への連絡 ・情報提供

院内被災状況、院内患者状況、診療提供能力等に係る情報を自治体他関係機関に連絡、情報を提供する。

〇 30分(1 次アセスメント)以降 随時発信

体制

1 災害対策本部 災害対策本部の設置 災害時において、迅速に判断を行い、意思命令を伝達するため、災害対策本部を設置し、災害対策医療活動を統括する。

1 時間以内

2 災害対策本部 院内における体制の構築

災害対応マニュアルに定められた緊急時の院内体制を構築し、役割分担の指示を行う。

2時間以内

3 災害対策本部 職員への参集指示 大量に来院又は搬送される傷病者を処置するため、携帯電話等を活用した安否確認システムにより、対応可能な職員を迅速かつ大量に確保する。

1時間以降

4 災害対策本部 通常診療から災害医療への切替

患者情報、職員参集状況、医療資機材等の状況から、通常医療を縮小し、災害医療体制への切替を行う。(1次方針の決定)

1時間以降

5 災害対策本部 受入態勢整備の指示 近隣の被災状況等から、トリアージスペースの確保や廊下などを活用した臨時病床の確保を指示し、患者の受入態勢の円滑な整備を図る。 (2次方針の決定)

1時間以降

6 外来診療班 病棟管理班

避難路・搬送路の確保 院内の被災状況等及びトリアージ実施場所や搬送スペースの設置等院内の状況を踏まえ、入院患者や外来患者を安全に避難させるための避難路及び搬送経路を確保する。(2次方針決定後)

2 時間以降

7 災害対策本部 院内体制整備の指示 院内の人的資源を効果的に配置し、参集してくる職員への役割分担を行うなど、活動基盤の整備を行う。(2次方針決定後)

2時間以降

8 災害対策本部 (ロジスティック部門)

関係行政機関との連

他病院の状況等周辺被災状況を把握するとともに、院内被災状況、患者受入体制、一般外来の状況等当院の状況を報告し、行政との連携を確保する。(2次方針決定後)

1時間以内第1報、3日間程度適宜更新

9 災害対策本部 (ロジスティック部門)

医療チーム・ボランティアの派遣要請・受入準備

災害時の対応が長期間に及ぶ場合には、現有スタッフの活動には体力的な限界があるので、これをカバーするために支援を行うことのできる応援者の協力を積極的に仰ぐ。

2時間以降(ボランティアの派遣要請・受入

準備は2日目以降)

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区分 番号

担当部門

・班等 業務名 業務内容

行動計画

発生直後 超急性期 急性期 亜急性期 以降

直後 30 分 1 時間

2 時間

3 時間

6 時間

12時間 ~

72時間

5日 ~ 7日

14 日~

診療

1 病棟管理部門 診療指揮部門

院内在院患者(赤)のバイタルサイン安定化のための治療

入院中又は診療・治療中の患者(赤)のバイタルサインの安定化を図る。

〇 1 次アセスメント又は 2 次アセスメント時~

2 診療指揮部門 病棟管理部門

病状を変化させないための治療 (2 次方針・赤)

診療・治療を中止した場合に症状が悪化する恐れのある患者について ・在院患者一覧より優先順位を決めて治療方針を定める。 ・慢性疾患患者の病状を悪化させないための治療を継続する。

〇 3時間~

3 病棟管理部門 意思疎通の取れない患者へのケア (2 次方針・黄)

視力障害者、聴力障害者、認知症患者等の意思疎通に困難が伴う患者について、バイタルの確認を行い、病態の見守りを行う。

〇 3時間~

4 全部門 医療の質(内容)の変更(2 次方針)

優先順位だけではなく、診療・治療を行う内容についても制限を行い、 できるかぎり多くの患者が受診できるようにする(現在行っている治療について中止できるものは中止し、災害体制へと変更する)。

〇 〇 1時間~ 発災後、 2時間~

(1 次方針) (2 次方針)

5 診療指揮部門 トリアージ(START)の実施

トリアージを円滑に実施する。 〇 〇

発災後、2時間以内に開始 (動線の確保後)

6 外来診療班 最優先治療群(赤)及び待機的治療群(黄)の診療(外来)

最優先治療群(赤)及び待機的治療群(黄)について、診療を実施する。

〇 〇 (赤)2時間~ (黄) 3時間~

7 外来診療班 院内にて対応が可能な患者の診療(緑)

緑タッグに相当する患者の診療・処置を行うとともに、黄色・赤色区分に変更になった患者をエリアに移送する。

〇 3時間~

8 災害対策本部・医事課

来院(受入)患者の情報整理

トリアージに係る患者一覧を作成し、外部用掲示板への貼り出しを行う

〇 2時間後~

9 院外搬送調整部門

受入患者の外部後方搬送・誘導

トリアージ後搬送可能な患者を選定し、安全なルートを見極めて搬送・誘導する。

〇 2時間後~

10 院外搬送調整部門

入院患者の他院への搬送

搬送可能患者を、安全・安心をはかり搬送する。 (後方搬送:赤2時間~、黄・緑3時間~)

〇 (赤)2時間~、(黄・緑)3時間~

医薬品・ライフライン等及びその他附属業務

1 診療指揮部門 ロジスティック部門

医療器材・医薬品等の調達

必要な医療器材•医薬品について、必要な供給を行う。

〇 発災後、2時間~

2 ロジスティック部門

院内・構内設備の点検 建物、院内設備等の点検を行い、必要に応じて応急対応を行うとともに、専門業者による対応が必要な場合は、依頼する。 (2次アセスメント後)

1時間~

3 ロジスティック部門 病棟管理部門

バックアップの供給 ライフラインが途絶した場合、非常用発電機による電力供給など代替手段による供給を行うとともに、院内の衛生環境保全対策を講じる。

〇 1時間~

4 ロジスティック部門

被災状況下でのエネルギー管理

非常用発電機による電力供給等限られたエネルギーを適切に利用するため、施設管理課等においてエネルギーの管理を行う。

〇 1時間~

5 ロジスティック部門

備蓄燃料の調達 燃料の備蓄状況や被災状況を確認し、必要であれば取引業者へ連絡し、燃料等を調達する。

〇 2時間~

6 ロジスティック部門、エレベーター業者(委託)

エレベーターの管理 エレベーターの運転状況を確認し、停止している場合には、至急運転が可能なよう専門業者による点検・安全確認を行う。 (エレベーター使用制限:60分~)

1時間~

7 ロジスティック部門

サプライルートの確保

食品等の備蓄状況を確認し、必要であれば納入業者へ連絡し、調達するとともに、建物、機器等の被害状況に併せて必要物品等の調達を行う。食事の提供は、職員に対しても行う。 (優先順位:①食・衛生 ②機器 ③建物、医薬品)

〇 3時間~、24時間以降炊き出し

(食事の提供は、患者、職員等)

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区分 番号

担当部門

・班等 業務名 業務内容

行動計画

発生直後 超急性期 急性期 亜急性期 以降

直後 30 分 1 時間

2 時間

3 時間

6 時間

12時間 ~

72時間

5日 ~ 7日

14 日~

医薬品・ライフライン等及

その他附属業務

8 ロジスティック部門

院内における帰宅困難者への対応

交通機関の運行停止により帰宅手段が閉ざされた患者、職員等について、院内に待機させる。

6時間~

ロジスティック部門(資源物流班IT管理、総務班院内警備)

院内セキュリティの

確保

院内が混乱した状態であっても、院内への出入りや貴重品の持ち出しを防止するための警戒を行う。

6時間以内に確認

10 警備員室、事務部

駐車場の交通整理 車両により来院した患者の整理を行い、救急車等の優先車両の誘導を行う。

〇 3時間~

11 外来診療班 (黒エリア)

遺体の確認 遺体の確認を行い、院内での保管や近隣安置所への遺体の搬送を実施する。

〇 12時間~

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3 必要資源の現状と事業継続上の課題

前記1及び2に定める非常時優先業務を遂行するための必要資源の現状について、

人、物、場所、ライフライン等の観点から洗い出すとともに、これらの現状を踏まえ、

非常時優先業務を継続するための課題及びその対策について取りまとめる。

BCPを管理する災害対策委員会等は、これらの対策について、その進捗等を管理

するものとする。

(1) 災害に備えた事前対策の実施項目及び実施スケジュール

非常時における円滑な事業継続に資するため、平常時から実施しておくべき事前

対策の実施項目並びに今後当院において実施しなければ事前対策及びその実施ス

ケジュールを次のとおり定める。これらの事前対策は、毎年度更新するものとする。

なお、大規模な投資を伴うなど、事前対策及び代替手段がともに存在しない、又

は対策に時間を要する課題については除くものとし、これらの課題については、(2)

今後の検討課題一覧表に掲げる。

事前対策実施項目及びスケジュール表

(2) 今後の検討課題等

現状では、大規模な投資を伴うなど、実施に経営判断等を必要とする課題は、次

のとおりである。今後、災害対策委員会、管理会議等において審議を実施し、課題

解決のための具体策を検討するものとする。

今後の検討課題一覧表

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第 3章 今後の取組み

1 事業継続マネジメント(BCM)の推進

この計画の基本方針にあるように、災害時にも医療を継続するためには、日頃から

この計画を管理・運用する事業マネジメント(BCM:Business Continuity

Management)を推進していく必要がある。当院は、災害対策委員会を中心に、以下

のPDCAサイクルを通じて、この計画及びこの計画の遂行体制の持続的改善に取り

組む。

(1) 計画の策定(PLAN)

この計画で定めた非常時優先業務を確実に遂行するため、各部署は、必要に応じ

て適宜災害対応マニュアル、アクションカード等を整備する。

(2) 研修と訓練(DO)

職員全員が災害時に的確な対応が採れるように、この計画の趣旨に基づいて、災

害対策委員会及び各部署は、継続的にトリアージ研修及び各種訓練を実施する。

(3) 点検と検証(CHECK)

この計画の適切な運用を実現するため、研修や訓練を踏まえ、点検及び検証を行

う。災害対策委員会及び各部署は、年1回以上、研修や訓練の実施状況及び対策の

進捗状況を確認するとともに、マニュアルの点検・検証を行う。

(4) 見直し(ACTION)

上記(3)の検証結果や、この計画の策定根拠としている諸計画(「奈良県地域防災

計画」等をいう。)が修正された場合、及び事前対策を進めること(施設の耐震性

の向上等)によってこの計画の前提条件が変更になった場合には、年 1回以上、定

期にこの計画の見直しを行う。

2 教育・訓練等

(1) 教育

BCPは、病院全体において策定されたものであり、災害時に職員個々の行動を

規定した災害対応マニュアルとは性格が異なるものである。

済生会中和病院として、どのような対応を行うか全体像を日常的な教育を通して

全職員に周知する。

(2) 訓練

BCPに記載した業務について、災害時に実際に対応が可能かどうか、病院の被

害想定を踏まえた訓練によって検証を行う必要がある。

訓練は、済生会中和病院単独ではなく、近隣医療機関や各関係機関も含めた訓練

の実施に努めるものとする。