家庭基礎の効果的な授業展開の研究 · シニアシミュレーションを実施...

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家- 1 1 家庭基礎の効果的な授業展開の研究 千葉県立○○○高等学校 ○○ ○○(家庭科) はじめに 本校の生徒は生活環境に恵まれており,自分の日常生活についてあまり意識せずに過ごす生徒 が多い。学力はあるが,生活に関わる知識・技術は身に付いていない。家庭科の授業を通して, 生活に必要な基礎的・基本的な知識・技術を習得させるとともに,生活上の課題を認識させるこ とが重要であり,実習や体験学習は欠かせないと考える。 しかし,本校の生徒が履修する家庭基礎(2単位)では,各領域で扱う内容の範囲や程度につ いて,家庭総合の内容を簡略化したり,教師がやや一方的に講義をする傾向があるなど,時には 生徒の主体的な学びからかけ離れた授業も行っていた。このような問題点を改善するには,指導 内容を精選し,年間指導計画を見直す必要がある。 まず,注目したのが住生活領域の指導である。住居は「家庭生活の器」とも言われており,住 生活領域は,全ての領域,様々な生活の場面と関連付けて指導しやすい。そこで,本研究では住 生活の領域を軸に,消費生活や高齢者の領域を取り入れながら,効果的な授業展開を試みること とした。 また,この領域については,1年間の学習のまとめとして位置づけ,生徒が生涯を見通した自 己の生活について考え,主体的にこれからの生活を設計できるように授業改善を目指したい。 研究計画 (1)本校生徒の状況 (2)本校生徒の意識調査 アンケート調査とその結果 考察 (3)指導内容の検討・計画 (4)指導内容の実践 (5)学習後の意識調査 (6)考察 (7)今後の課題 研究内容 (1)本校生徒の状況 本校は,平成25年度に創立37年目を迎えた。平成25年度現在, 普通科25クラス(1学 年9クラス・2学年8クラス・3学年8クラス)を設置している。卒業後の進路希望に応じて, 2年次から英語・文系・理系の3つのコース及び類型を設けており,オーストラリアへの語学研 修旅行や高大連携等を行っている。 本校付近には,JR・私鉄を含め多くの路線が通っているので,入学した生徒は県内外16の 区市町村,約100校もの中学校から進学して来る。部活動の加入率は70%を超えており,生 徒会行事も盛んである。進路状況は90%が進学,就職(公務員含む)が2~3%である。授業 態度はまじめで,熱心に取り組む生徒が多いが,受け身の生徒が多い印象である。

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家- 1 - 1

家庭基礎の効果的な授業展開の研究

千葉県立○○○高等学校 ○○ ○○(家庭科)

1 はじめに

本校の生徒は生活環境に恵まれており,自分の日常生活についてあまり意識せずに過ごす生徒

が多い。学力はあるが,生活に関わる知識・技術は身に付いていない。家庭科の授業を通して,

生活に必要な基礎的・基本的な知識・技術を習得させるとともに,生活上の課題を認識させるこ

とが重要であり,実習や体験学習は欠かせないと考える。

しかし,本校の生徒が履修する家庭基礎(2単位)では,各領域で扱う内容の範囲や程度につ

いて,家庭総合の内容を簡略化したり,教師がやや一方的に講義をする傾向があるなど,時には

生徒の主体的な学びからかけ離れた授業も行っていた。このような問題点を改善するには,指導

内容を精選し,年間指導計画を見直す必要がある。

まず,注目したのが住生活領域の指導である。住居は「家庭生活の器」とも言われており,住

生活領域は,全ての領域,様々な生活の場面と関連付けて指導しやすい。そこで,本研究では住

生活の領域を軸に,消費生活や高齢者の領域を取り入れながら,効果的な授業展開を試みること

とした。

また,この領域については,1年間の学習のまとめとして位置づけ,生徒が生涯を見通した自

己の生活について考え,主体的にこれからの生活を設計できるように授業改善を目指したい。

2 研究計画

(1)本校生徒の状況

(2)本校生徒の意識調査

ア アンケート調査とその結果

イ 考察

(3)指導内容の検討・計画

(4)指導内容の実践

(5)学習後の意識調査

(6)考察

(7)今後の課題

3 研究内容

(1)本校生徒の状況

本校は,平成25年度に創立37年目を迎えた。平成25年度現在, 普通科25クラス(1学

年9クラス・2学年8クラス・3学年8クラス)を設置している。卒業後の進路希望に応じて,

2年次から英語・文系・理系の3つのコース及び類型を設けており,オーストラリアへの語学研

修旅行や高大連携等を行っている。

本校付近には,JR・私鉄を含め多くの路線が通っているので,入学した生徒は県内外16の

区市町村,約100校もの中学校から進学して来る。部活動の加入率は70%を超えており,生

徒会行事も盛んである。進路状況は90%が進学,就職(公務員含む)が2~3%である。授業

態度はまじめで,熱心に取り組む生徒が多いが,受け身の生徒が多い印象である。

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(2)本校生徒の意識調査

ア アンケート調査とその結果 実施者:2年生 326名(平成24年度)

実施日:年度最初の授業時間

Q1 家庭科は好きですか

は い 63% ・調理実習と被服実習ができる・楽しい・生活の基本が学べる。

・物づくりが好き・友達と仲良くできる・今までテストがなかったから

いいえ 37% ・不器用だから・難しい・中学で作品ができなかったから・めんどくさい

Q2 中学の家庭科でどの分野の学習をしてきましたか(複数回答)

Q3 中学までの家庭科で記憶に残る授業は何ですか

家庭・保育 ・保育園・幼稚園訪問・地域との関わり・ボランティア・自分の年表づくり

食生活 ・調理実習・栄養の種類 栄養を考える 栄養バランス

衣生活 ・被服実習(絵本作り,おもちゃ作り含む)

住生活 ・住居のイメージをシールで家具配置(インテリアコーディネイト)

消費・環境 ・エコについて・悪徳商法について・ゴミの分類について調べた

Q4 高校の家庭科で学んでみたい分野は何ですか(複数回答)

Q5 高校の家庭科の学習に期待することは何ですか

・調理実習・被服実習をいっぱいやりたい。

・中学では実習ばかりで教科書内容に触れていなかったので高校の家庭科に期待している。

・家庭科の授業を通してたくさんの知識を身につけたい。

イ 考察

生徒は,実習を伴った食生活や衣生活の授業が印象に残っていると回答しているが,苦手意識

をもつ生徒もいる。「中学校の家庭科の授業を生活に生かしているか」との問いには,42%の

生徒が「はい」と答えており,主に「料理」と「ごみの分別」をあげていた。生徒は,家庭科の

授業は今後の生活に役立ち,大切な教科だと考えている。実習以外にも,もっと幅広く生活に関

わる内容を学びたいと期待する生徒も多いことがわかった。

18%30%

7%67%

30%27%

26%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

家族

保育

高齢者

食生活

衣生活

住生活

消費生活単位:%

43%94%

87%34%

20%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

家庭・保育

食生活

衣生活

住生活

消費・環境

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(3)指導内容の検討・計画

* 年間指導計画(1・2学期)

評価の観点

月 学習内容 学習のねらい 関 思 技 知

心 考 能 識

4 ・家庭科の学び方 ・家庭科で何を学び,どのような学習活動をするのか確認する。 ○ ○

・ホームプロジェクトの意味と進め方について理解する。

[家族・保育]

1 自分を見つめる ・自分自身を客観的にとらえるとともに,生涯を見通した人の一生につ ○ ○

いて考える。 グループ内発表

・男女共同参画社会の中で自分らしさを発揮し,男女が協力して生きて ○ ○ ○

いける社会について考える。

2 パートナーと出会う ・結婚について日本の現状を理解し,家族・家庭の役割・意義について ○ ○ ○ ○

考える。 夫婦別姓についてのディスカッション 視聴覚教材

3 家族ってなんだろう ・現在の家族・家庭が抱える問題について理解を深め,家族や地域との ○ ○ ○

かかわりの大切さを理解する。

4 子どもとかかわる ・子どもが育つ力と発達段階を理解する。 視聴覚教材 ○ ○ ○

・乳幼児にとって親・家族や周囲の人々の関わりの大切さを理解する。 ○ ○ ○

・子どもの生活(食生活・衣生活・遊び)について理解する。 ○ ○ ○ ○

グループ内絵本読み聞かせ 離乳食試食ビュッフェ

5 ・親の役割や意義を理解し,自分が将来どのようにかかわることができ ○ ○

るか考える。

6 [衣生活]

1 なぜ衣服を着るのか ・衣服の起源,衣服の機能や役割について理解する ○ ○

2 衣服は何からできて ・衣服の素材の種類,繊維の種類と特徴,性能について理解し,用途に ○ ○ ○

いるのか 応じた素材の選択について理解する。

7 修学旅行に適した服装をグループで話し合う

3 衣服製作(カフェエプロン) ・製作を通して基礎的な縫製技術を身につける。 視聴覚教材 ○ ○ ○

・まつり縫い実技テスト 被服実習 期末考査

●夏休みの課題 夏季休業中(希望者のみ参加)

「食事日記」 ・キャリア教育(進路部)幼稚園インターンシップ

・ボランティア(生徒指導部)保育園実習

9 ・ボタンつけ実技テスト

4 健康的で快適な衣生 ・衣服材料の特徴を理解し,表示の意味を理解するとともに,被服や環 ○ ○ ○

活をつくる 境に配慮した洗濯・保管方法を理解する。

5 衣生活と資源・環境 ・消費生活と資源や環境とのかかわりを理解し,環境負荷の少ない衣生 ○ ○ ○ ○

活について考える。自分の衣服調査 (繊維名・原産国・死蔵衣服等)

死蔵衣服の扱いについてグループで話し合う

10 [食生活]

1 食生活を見つめる ・「食事日記」から,自分の食生活の問題点を考える。 ○ ○ ○

2 食品の選び方と安全 ・食品衛生など,消費者として必要な知識を身につける。 視聴覚教材 ○ ○ ○

3 栄養と食品の関わり ・栄養素や食品についての基礎的な知識を身につける。 ○ ○

4 調理実習 ・調理技術を身につけるとともに,環境負荷の少ない食生活を考えて, ○ ○ ○ ○

和食・洋食・中華 実践する。 調理実習(3回)

11 5 食生活のデザイン ・食事摂取基準・食品群別摂取量などを用いて,バランスのとれた食事 ○ ○ ○ ○

計画を作成する。

12 実習メニューの栄養的問題点をグループで話し合う

6 食文化について ・お正月料理を中心に,日本の食文化について理解する。 ○ ○ ○

●冬休みの課題リポート

「我が家のお雑煮」 期末考査

評価規準項目:【関心】…関心・意欲・態度 【思考】…思考・判断・表現

【技能】…技能 【知識】…知識・理解

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(3学期)

○ 学習内容 ♦ ねらい 評価規準

月 関心・意欲・態度 思考・判断・表現 技能 知識・理解

[住生活・高齢者・消費生活]

1 1 人と住まいのかかわり (3時間) ・住まいの役割 ・気候や風土に ・平面図を読み ・様々な住宅

(ワークシートNo1~3) や住空間に関心 応じた世界各地 とることができ 様式について

○「住まい」とは何か をもち,学習に 域の住居の特徴 る。 文化的側面か

♦住まいの機能について理解する。 取り組んでい や,変遷につい ら理解してい

○平面図に見る暮らしと住まい【実践例①】 る。 て考え,まとめ る。

○平面図を読み取ろう ている。

♦平面図から住まいと家族・生活を考える。2 健康的で安全な住まいの環境(3時間) ・安全性,保健 ・日照,採光, ・住まいの現状 ・安全・快適

(ワークシートNo4~6) 性,利便性,快 換気,遮音等に を踏まえ,環境 かつ健康的な

LHR・総合の時間に車椅子体験 適性,持続可能 配慮し,健康的 に配慮した住居 生活の基盤と

シニアシミュレーションを実施 性等の面から, な住居について や,防災対策等 しての住居に

○快適な室内環境 よりよい住環境 考え,まとめて について調べ, ついて理解し

♦快適な室内環境の条件を確認する。 について考えて いる。 レポートにまと ている。

○安全に配慮した室内環境1(防災教育) いる。 めている。

♦ 災害の実態と安全対策を理解する。2 ○安全に配慮した室内環境2 ・高齢者や障害 ・家庭内事故や ・高齢者の心

(乳幼児と高齢者の家庭内事故と安全対策) 者にも配慮した 防災など,安全 身の特徴や生

♦幼児や高齢者に多い家庭内事故について考え,バリアフリー住 な住環境の課題 活について理

自宅の安全対策について確認する。 宅や地域の住環 について考えを 解している。

♦ バリアフリーやユニバーサルデザインについ 境等について関 深め,まとめて

て理解する。 心をもち,学習 いる。

○住環境の役割 に取り組んでい

♦住環境整備の重要性を理解する。 る。

3 賃貸住宅の選択【実践例②】(2時間) ・自分の住生活 ・具体的事例の ・一人暮らしに ・自立を考え

(ワークシートNo7・電卓) や住空間に関心 シミュレーショ 必要な経費の見 て一人暮らし

○一人暮らしをしてみよう をもち,学習に ンを通して,家 込み額を計算す の住空間や,

♦家計収支について理解する。 取り組んでい 計の管理につい るために,情報 物件に関する

♦ 賃貸物件の広告を参考に,「契約」について理 る。 て考え,まとめ を収集し,整理 基礎的知識を

解する。 ている。 している。 身に付けてい

る。

4 ライフイベントとお金【実践例③】(2時間) ・高齢社会の現 ・経済計画とリ ・生活設計の実 ・高齢期の特

(ワークシートNo8・参考資料) 状と課題につい スク管理の必要 現のために必要 徴と生活及び

○生活設計してみよう て関心をもち, 性について考え な情報を収集, 高齢社会の現

♦ 生涯のライフイベントを考えながら,生活設 高齢者を肯定的 ている。 整理することが 状と課題につ

計とリスクについて考える。 に捉え,高齢期 できる。 いて理解して

3 ○高齢者になる の生活について いる。

♦ 高齢社会の現状を理解するとともに,高齢者 考えようとして

の住まいについて考える。 いる。

5 住宅を購入するには【実践例④】(2時間) ・住まいと経済 ・自分の将来の ・住宅購入のた ・住宅に関す

(ワークシートNo9~10・参考資料・電卓) の計画について 住まいについて めに必要な情報 る法律などの

○マンションを購入してみよう 関心をもち,意 考え,まとめて を収集,整理し 基礎的知識を

♦住宅広告を読み取る。 欲的に取り組ん いる。 ている。 身に付けると

♦ 住宅に関する法律やローン,クレジットの基 でいる。 ともに,経済

本的な事項を理解する。 計画の重要性

について理解

している。

期末考査

6 まとめの課題

「夢のマイホーム」リポート ・・・【実践例⑤】

*ホームプロジェクトは随時提出(全員)

・・・体験的授業形 ・・・家庭科授業以外 ・・・宿題・課題

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(4)指導内容の実践

住生活の学習をベースに高齢者,消費生活,生活設計に関する内容を取り入れ,生活を総合的

に考えさせる授業とした。住居の選択は遠い将来のこととして捉えているせいか,住生活領域の

学習は今まで身近に感じていないようだった。そこで,「あなたならどんな選択をするか」とい

ったシミュレーション的な学習を通して,自分の人生で何が重要であるかを考えさせた。

2学期まではグループワークを多く取り入れた授業を展開したが,3学期は個人ワークを中心

に自分の将来をじっくり考えさせた。

【実践例①】平面図に見る暮らしと住まい(1時間)

《目標》

平面図を読み,日本の住宅の変遷について理解する。また,家族や住まいに対する価値観・考

え方の変化を読み取り,住まいと家族・生活について考える。

《授業の流れ》

時 学習活動 指導上の留意点

導 ・ワークシートの平面図を読み取る。 ・平面図で使用される記号の読み方を説明をする。また,

入 ・それぞれの平面図がどの時代のものかを 設計図についても触れる。

5 考え,ワークシートに記入する。 ・平面図から,家族の暮らしなどを読み取ることを告げる。

・答え合わせをしながら,時代ごとの家の ・平面図をもとに,江戸時代から現代の代表的な住まいの

特徴について整理する。 特徴を理解させる。

・明治時代の夏目漱石邸に現在の自分の家 ・シミュレーションによる生活動線を記入させ,気づいた

展 族と住んでみたらどうなるか。動線を引 ことを発表させる。田の字型住居の特徴を整理し,現代

開 き,現代の住まいに関する価値観や家族 の住まい方と比較させる。

4 0 との関係について考える。 ・明治民法や家制度に触れながら,家族観・生活様式の変

分 ①7Kの間取りの部屋割りをしてみる。 化と住まいの変化との関連性について考えさせる。

②玄関から奥の間に行くための動線を書

いてみる。

・平面図を読み,生活様式や家族について ・戦後の住宅の変化と生活様式の変化を確認する。

の価値観等を考える。 (食寝分離・就寝分離,床座・椅子座など)

・日本の住居の変遷等について理解する。

ま ・住宅の変化の様子から,日本の家族の形 ・間取りは,生活様式や家族観等とともに変化しているこ

と や考え方,生活文化の変化等について整 とを確認させる。

め 理し,住居観と家族観は影響しあってい

5 ることを確認する。

《生徒の様子から》

生徒は真剣にシミュレーションに取り組んでいた。①では部屋数が多いので,家族全員に個室

を確保している。②では動線を書いていくと,自分の考える家のイメージから外れてしまい,「ど

うやって行くの?通路(廊下)がないから行けない」などの声が上がった。伝統的な間取りの「田

の字型住居」は,今の家族構成では生活しにくいと感じ,その理由も考えることができた。家族

の在り方や住まい方は,時代によって異なることを平面図から読み取っていた。

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【実践例②】賃貸住宅の選択(2時間)

《目標》

一人暮らしのシミュレーションを通して,家計収支の構成や消費行動の意思決定及びその重要

性について理解するとともに,契約についての基礎的な知識を身につける。

《授業の流れ》

時 学習活動 指導上の留意点

導 ・ワークシートの給与明細書を読み取る。 ・設定を大学卒業後の初任給とし,生徒がイメージしや

入 ・わからない名称等をチェックする。 すいようにする。

10 ・設定された収入から生活状況をイメージする。・給与明細書の項目を説明しながら,家計収支について分 触れていく。

・家計収支の構成について教科書で確認する。 ・家計収支の構成について説明する。

・非消費支出,実収入と手取りの違いを説明する。

・就職して一人暮らしをする自分の生活をイメ ・働いて得た収入をどのように使うか考えさせる。また,

展 ージし,家計収支の表を完成させる。 生活するためにどのようなことにお金がかかり,どれ

開 だけ必要なのか,問いかける。

70 ・自分がイメージした生活に合わせて,一人暮 ・広告から情報をどのように読み取るか,広告に書かれ

分 らしの賃貸物件を選ぶ。 た言葉等を説明し,基礎的な知識を理解させる。

・賃貸住宅を契約するのに必要な事項を理解す ・契約の意味を確認させる。

る。

・選んだ物件を契約する際に必要な費用を算出 ・契約時のお金をどのように準備するのか考えさせる。

する。

・住宅選択を終えて再度,家計収支の消費支出

を考える。

ま ・賃貸住宅を選択するために必要な基礎知識と ・各自がイメージする一人暮らしは,経済と住居のバラ

と 契約をする責任について理解する。 ンスが取れていたか確認させる。

め ・生活することの収支について経済計画の必要 ・契約時の「署名・捺印」の重要性について理解させる。

10 性を理解する。

《ワークシート》

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家- 1 - 7

《生徒の様子から》

生徒は,給与明細書から実収入と手取りには差があることを知り,生活するには予想以上に多

くのお金がかかることを実感したようである。「早く一人暮らしをしたいと考えていたが,経済

的に無理」など,多くの生徒が賃貸住宅の契約に必要な金額の大きさに驚いていた。また,契約

時の署名・捺印の重みも感じ取れたようである。一人暮らしに興味をもつ生徒達だが,住まいの

選択に必要な知識を身に付け,住まいを確保し,生活することの大変さも感じたようである。

【実践例③】ライフイベントとお金(2時間)

《目標》

ライフプランの立案を通して,経済計画の重要性を理解するとともに,リスクとその回避につ

いて理解する。また,日本の高齢社会の状況・課題を把握し,自分が高齢者になった時にどのよ

うな生活を望むかを考える。

《授業の流れ》

時 学習活動 指導上の留意点

導 ・自分のライフイベント(結婚,マイホーム, ・1学期の家族領域の復習から入り,ライフイベントに

入 子ども,退職など)について,それぞれの予 ついてイメージしやすいようにする。

10 定年齢をワークシートに書きこむ。

・ライフイベントには,相応の出費を伴うこと ・マネープランも含めたライフプランの必要性を理解さ

を確認する。 せる。

展 ・日本の高齢社会の状況を教科書で調べ,ワー ・高齢社会の現状や生活費について説明する。

開 クシートにまとめる。 ・住生活関連の支出の特徴を説明する。。

70 ・自分が高齢者になった時にどのような生活, ・生徒は50年後の自分をイメージしにくいが,マネー

分 住まい方をしたいか考える。 プランの重要性を踏まえて考えさせる。

・人生にはリスクも起こり得ることを知り,そ ・リスクについては事例をあげ,その回避方法や関連の

の回避について考える。 金融商品について説明する。

ま ・自己の生活を振り返るとともに,1学期に実 ・これからの人生の立案を通して課題を発見し,自分が

と 施した自立度チェックを再度行う。 これから取り組むべきことを考えさせる。

め ・将来の家庭生活や職業生活を考える。

10分

《ワークシート》

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《生徒の様子から》

最初に各ライフイベントの年齢を考えさせると,生徒はとても若くして結婚・子育てし,住宅

を購入するイメージをもつ傾向にある。しかし,ライフイベントには高額の出費を伴うことを知

ると,仕事を持って経済的に自立することの意味を実感し,将来の生活について計画の立て直し

をするようになる。就労収入がなくなる高齢期の生活を学ぶことで,若い時から生涯を見通すこ

との重要性に気づくことができる。また,住まいは,ライフステージによって変化することを確

認している。

【実践例④】住宅を購入するには(2時間)

《目標》

住宅購入のシミュレーションを通して,住まいに関する法律や契約の基礎的事項を理解すると

ともに,経済計画の重要性を理解する。また,住宅販売広告を読み取ることができる。

《授業の流れ》

時 学習活動 指導上の留意点

導 ・設定した年収・年齢で,マンションを購入 ・設定は世帯年収600万円・35歳とする。

入 することをイメージする。 ・用語などを確認させ,広告を読み取りやすくする。

10 ・住宅販売広告に重要な情報が含まれている分 ことを確認する。

・広告から,住宅の購入に必要な情報を読み ・広告に掲載されている,建築に関する基本的な法律用

取り確認する。 語等を説明をする。

展 ・住宅ローン返済の模擬体験をする。 ・ローンやクレジットの仕組みを説明をする。多重債務

開 等についても触れるようにする。

7 0 ・借入金額と返済期間によって,返済総額に差が出るこ

分 とを確認させる。

・資金計画に必要な事項を理解する。 ・住宅取得に伴うローンの支払い以外に,住むための準

備費用や維持管理にもお金がかかることを確認させる。

ま ・住宅を購入する際には,生涯を見通し,長 ・これまでの学習を生かして,住まいや経済生活につい

と 期的視野で経済計画を立てる必要性がある て気づいたことをまとめさせ,自分の将来について考

め ことを確認する。 えさせる。

10 ・住まいの選択と人生設計はかかわりがある分 ことを確認する。

・自分の将来について考える。

《生徒の感想(抜粋)》

・広告の小さな文字の中に大切な情報がたくさんあることに驚いた。この授業で広告に書いてある専門的な

言葉の意味もわかったし,将来に生かしていけると思った。広告を見るのが楽しくなった。

・家があるのは当たり前ではないことがわかった。親も住宅ローンを払っているので凄いと思う。自分はで

きるのかな?と少し不安になった。

・ローンはとても多くの利子を支払うことになるので,自分が家を購入する時は,なるべく頭金を貯めて,

短期間で返済できるように頑張りたいと思った。

《生徒の様子から》

35歳・世帯収入600万円,4000万円台のマンションを購入する設定でシミュレーショ

ンをおこなう過程で,広告の物件概要には重要な情報が含まれていることを確認するとともに,

どのような仕組みで,長期に渡り多額のローンを組むのかを理解する。その結果,多くの生徒が

生涯を見通し,生活設計と経済計画を立てることの重要性に気づくことができた。

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【実践例⑤】「私の住みたい家~夢のマイホーム~」を描いてみよう(課題)

《目標》

「家庭基礎」のまとめとして,自分のこれからの生活設計を考えるとともに,マイホームの契

約をする頃の自分をイメージして住まいのあり方を考えることができる。

《課題について》

<ワークシートの項目について>

◎将来のマイホームを賃貸 or購入する時の年齢は何歳ですか。◎その時の家族構成はどうなっていますか。

◎あなたはどのような仕事をして,どのような家庭をつくり,どのような生活をしていいますか。

高校卒業以降のライフプランを下記のキーワードを入れて書いてください。

・職業について・・・何をやってるのかな

・結婚について・・・パートナーについて

・結婚・家族のかたち(拡大・核家族,法律婚・事実婚など)

◎あなたの理想の住まいは,どのような住環境ですか。

◎理想の住まいの平面図と部屋の使い方を書いてみよう。(平面図は広告を利用してもOK)

◎この間取りにした理由を書いてみよう。

◎あなたが高齢者になった時の,住まい方はどうなっているでしょうか。

◎この課題を終えての感想を書いてください。

<その他>

・課題については3学期の初めの授業で説明し,住宅販売の広告等を集めておくように指示しておく。

・提出は,年度末考査最終日を締切とする。

《評価規準》

○生涯を見通して,家族の生活の場としての住居について考えている。(関心・意欲・態度)

○家族の暮らしを考えて住まい方を工夫し,レポートにまとめている。(思考・判断・表現)

《生徒の課題レポート(一部抜粋)》

Aさん(女子)

32歳のマイホーム

家族は夫,子供2人

+ 猫2匹

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《生徒の記述より ~Cさん(女子)32歳のマイホーム~》

◎あなたはどのような仕事をして,どのような家庭をつくり,どんな生活をしているかな?

管理栄養士になって,社員食堂で働いている。皆でいると安心して心が安らぐような仲の良い家庭をつ

くり,家族の健康を考えて,食事が楽しいと思えるような空間を創造していく。この年齢で子供がいたら,

まだ幼いだろうから保育園に通わせて,育児と仕事を両立して忙しい生活を送っている。

(できるならば,育児休暇をしっかり取って,子供との時間を大切にしたい。)

◎あなたの理想の住まいは,どのような住環境ですか?

理想の住宅は,対面式のカウンターキッチン,和室,バルコニーがある住宅。子どもの様子が見られて,

急に来客者が泊まることになっても対応できる家がいいと思った。また,子どものことを考えると,小中

高校が近くにあり,大きな公園があるような住環境がいいと思った。

老後のことを考えると,1階に生活に必要な設備が集まっていて,段差の少ないバリアフリーの造りも

重要だと思う。また,互いのプライバシーを尊重できる住空間は大切だと思う。

《生徒の感想(抜粋)》

・家の間取り図を見るだけで,こんなに想像できるなんて思ってもいなかった。

・自分が買いたい家を想像して,そこで生活しているのを考えたら,すごくわくわくしてきました。

・将来が楽しみになってきた。夢を実現させたい。これをモチベーションに頑張ってみよう。

・今まで考えたことなかったが,こうやって住まいや家族のことを考えてみると遠い未来ではないのだと実

感しました。

・「家」についてまじめに考えたことがなくて,この学習を通して「家」があることの大切さと,親のありが

たみを感じたし,自分が親になったらやらなければいけないことや責任も感じることができた。

・「住みたい家」というテーマだったけど,家の造りだけでなく,家族構成にあった家や周りの環境など関係

してくることがたくさんあって奥が深いな~と思った。

・家族を持つと自分だけの家ではなくなるので,そのあたりもしっかり考えて家を選びたい。将来の事を考

える良い経験になった。

・理想の大きい家を考えたが,土地が広すぎると税金も高いし,家が大きいと電気などの光熱費もかかるの

で,もっと考えなければならないと感じた。

・家を買うのは本当に大変なことだと思うけど,頑張って仕事して,夫婦でお金を貯めて,おじいちゃん・

おばあちゃんになっても安心して住める家づくりをしたいと思いました。

この課題は宿題としたが,提出状況はとても良かった。新聞の折り込み広告だけでなくインタ

ーネット等も利用して多くの物件を見比べ,自分の将来と重ね合わせたようである。生徒は10

年・20年後の自分を想像できないのではないかと心配していたが,平面図から将来の家族や暮

らし,物件の環境等を考え,とても熱心にこの課題に取り組んでいた。

Bさん(女子)

37歳のマイホーム

家族は自分の両親,

夫,子ども3人

拡大家族

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家- 1 - 11

(5)学習後の意識調査 対象者:2年生(326名)実施日:3月

Q 1 記憶に残った授業は何ですか(数の多かったもの ※太文字は3学期の授業内容)

・家族構成 ・家族の大切さ ・夫婦別姓について

・妊娠・出産について ・幼児のアニミズムや視野 ・離乳食ビュッフェ(市販離乳食の試食)

・乳幼児の成長について ・赤ちゃんとスキンシップ・コミュニケーションついて

・カフェエプロンづくり(まつり縫いテスト・ボタン付けテスト)

・衣服材料 ・衣類の洗濯について ・自分の衣服について(衣服表示・死蔵衣服)

・食物カロリー ・食品衛生学 ・栄養素について 食生活日記(夏休み課題)

・調理実習(調理学・エコクッキング・きゅうりの半月テスト)

・平面図・間取りを読む・動線を引く ・住宅の変遷と生活の変化 ・住宅広告(住宅を選ぶ)

・理想の我が家を書いた ・住環境(内・外) ・住まいの安全(防災・我が家チェック)

・経済・ローンについて ・高齢者について考える(ユニバーサルデザイン・バリアフリー)

・住居に関わるお金と契約

Q2 高校家庭科の授業を受けて,生活の中で意識や行動の変化はありましたか

「いいえ」の生徒の半数は,中学校から生活を意識し

てきたので,特に変わらないというコメントであった。

Q3 「はい」と答えた人はどのような変化がありましたか(主に3学期の授業関連内容抜粋)

・家族に何かしてあげようと思うようになった。 ・家庭科の授業でやったことを家で意識し,実践した。

・家庭科の授業内容がきっかけで親と会話が多くなった。 ・家族が仲良くなった。

・親の行動をよく見るようになり,将来のためにいろいろ知識を増やそうと思った。

・小さな妹にとって危険がないか住環境の見直しをした。 ・親の大変さを知った。

・高齢者に対する意識が変わった ・バリアフリーとか住環境に目がいくようになった。

・住まいに関心が高まった ・住宅の広告が読めるようになり楽しみができた。

・将来のことを具体的に考えるようになった。(頑張ろうと思うようになった。)

・身の回りの暮らしやすさなどを考えるようになった。

・自立することを意識するようになった。 ・自分でできることはやるようになった。

・料理にしても住まいについても親に感謝しなければいけないと思うようになった。

・自分ができないことや知らないことがたくさんあることがわかり,日々の生活から積極的に吸収しようと

思うようになった。

・契約書など,よく目を通すようになった。 ・お金の価値について意識するようになった。

・無知でいることが許される時期は終わったのだ!!と悟った。

(6)考察

生徒は,住まいに関する知識が必要になるのはかなり先のこととして捉えているので,住生活

領域の学習は,生徒の興味・関心が低いと感じていた。しかし,住生活領域を他の領域と合わせ

て題材を構成し,1年間のまとめとして3学期に実践したことで,生徒の興味・関心を高めるこ

とができた。生徒は住居があってこそ当たり前に生活できることに気づき,住居について考える

ことで,今後の生活設計もイメージしやすくなったからだと考える。

現在の自分の生活から,来年の自分,社会人の自分,結婚して新しい家族をつくり,子育てや

介護に忙しい時期を経て,高齢者になった自分をイメージさせると,生徒は夢中になり,熱心に

取り組むことができた。家はあるのが当たり前と思っていた生徒は,今まで住まいについて考え

たことがなく,高齢者の領域とともにあまり関心は高くない。具体的な場面を想定させ,「自分

だったら?」と考えることを繰り返すうちに自然と学習意欲が高まっていく様子が見てとれた。

はい

69%

いいえ

31%

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家- 1 - 12

4月最初の授業,「自分の将来を考える」場面では,将来についてイメージできない生徒が多

くいたが,まとめとして「夢のマイホームを考える」課題を出したところ,生徒は自分の進路や

将来の生活を真剣に考えるとともに,手本となる人物が近くにいることに気づき,身近にいる大

切な家族や親への感謝の思いを素直に表現していた。また,生活は受け身ではなく,自ら考えて

判断し,行動していく必要があることに気づいてくれた。

3年生の選択授業にも変化が表れた。「楽しそうだから」という理由で選ぶのではなく,自分

の進路等を考えた上で,家庭科の専門科目を選択するようになり,授業レベルも上がってきてい

る。27年度から家庭科の選択科目を2科目増設することになり,家庭基礎を発展させた学習が

可能となった。

(7)今後の課題

本研究では,自分の生活を振り返らせ,授業の導入として活用するため,宿題も多く出したが,

宿題をやってこない生徒が多い場合,授業計画に大きなずれが起きることもあった。また,提出

はされたが,内容として物足りないものもあった。授業時間内にもう少し時間をとってアドバイ

スを与えられれば,生徒のレポートも充実し,学習効果が高まると感じることが多かった。今後

は,生徒の課題を掲示したり,生徒が相互評価できるようにしたり,より自発的・効果的な学習

に発展させたい。

住生活と消費生活の領域は関連性が高いので,ストーリー性のある授業計画を立てて実践した

が,「4 ライフイベントとお金」と「5 住宅を購入するには」は,順序を入れ替えた方が,

生徒はイメージしやすく理解しやすかったと考える。授業の流れは重要であり,次年度は再検討

して実践する予定である。

4 おわりに

家庭科教員専任一人の場合,実習の企画・準備・後片付けなど,授業を展開する上で時間的に

苦しい状況もある。本研究の実践にあたり,学年や分掌の理解・協力が得られたことは大変あり

がたかった。家庭科では,人生や暮らしについてさまざまな角度から学ぶことで,確実に生徒の

生きる力を培う。他教科の教員とも情報を共有し,連携を図ることは,家庭科教育の充実はもち

ろんのこと,教育現場として大切なことだと改めて感じることができた。

まだ生活経験の少ない生徒に,伝えなければならないことはたくさんある。家庭科の授業を通

して,生徒が自分を見つめ,今の生活や将来について考え,自らたくさんの「気づき」を得る授

業を目指し,今後も工夫していきたい。

最後になりましたが,ご指導・ご助言いただいた多くの先生方,相談に乗ってくださった研究

員の方々にこの場をお借りして感謝申し上げます。