水封式真空ポンプ 安全上のご注意 取扱説明書水封式真空ポンプ...
TRANSCRIPT
水封式真空ポンプ安全上のご注意
取扱説明書
この度は当社の真空ポンプをお選びいただき誠にありがとうございます。この安全上のご注意及び取扱説明書には、本製品を正しく末永く、かつ安全にご活用いただくための諸要が記されております。設置、運転前に必ずご一読ください。なお、本説明書は検査証を兼ねておりますので、ご購入後はすぐに21頁の検査事項をご確認ください。
SATO VAC INC.
1
安全上のご注意
1. はじめに
1) ポンプのご使用 (据付、運転、点検、保守等 )前に、必ずこの 「安全上のご注意 」と 「取扱説明書 」及びモータの取扱説明書などの付属書類をすべてよく読んで、ポンプを正しくお使いください。 取扱い及び安全に関する指示や情報などすべて十分理解してからご使用ください。不明な点は 当社までお問い合せください。 2)これらの説明書は、ポンプをお使いになる方がいつでも見られるところに必ず保管してくださ い。もし破損したり、紛失したりした場合は、当社にお求めいただくなどして、常に手元にご 用意ください。 3)ポンプ本体にも警告ラベルが貼ってありますので、指示に従ってください。 ラベルは取りはずさないでください。また、汚れたりはがれそうになった場合は修復して、常 によく見えるように整備してください。 破損したり紛失した場合は当社までお求めください。
2. 製品の保証について
1)本商品の保証期間は納入後1年間といたします。 2)正常なご使用状態において、万一、保証期間内に製造上の欠陥に基づく故障が発生した場合、 当社の責任において無償で部品の手直しもしくは取換えを行います。 3)ただし、つぎの項目につきましては保証外といたします。 ① 自然災害、風水害、火災等による故障の場合。 ② 取扱説明書によらない誤った使用方法や取扱い上の不注意、あるいは特殊な使用条件によっ て発生する故障の場合。 ③ 当社または当社が指定する業者以外の手による修理、手直しに起因する故障の場合。 ④ お買上げ後の保守、管理に起因する故障又は損傷の場合。
3. 注意事項の危険レベル
この説明書では、安全上の注意事項について、危険のレベルを次のように区分けして書いてあ ります。いずれも大変重要な内容ですので必ず守ってください。
取り扱いを誤った場合に危険な状況が起こることがあり、死亡又は重傷を受ける可能性が考えられる場合。
取り扱いを誤った場合に危険な状況が起こることがあり、中程度または軽傷を負う可能性が考えられる場合、及び物的損害だけが発生する可能性が考えられる場合。
なお、 レベルの注意事項でも、状況によっては重大な結果に結びつくこと
があります。
2
4. ご注意事項
1)全 般
● このポンプユニットを爆発性雰囲気で使用する場合は、その種類に対応した防爆対 策が必要です。製品には基準に基づいた必要な対策処置が行われているか必ず確認 してください。● 有毒ガス、可燃性ガスなど特殊なガスの真空排気には適切な安全対策が必要です。 必要な処置や対策をせずに運転すると、爆発やけが、あるいは中毒などの恐れがあ り危険です。● 溶剤などを水の代わりに封液として使用する場合、その種類に応じて適切な安全対 策が必要です。必要な処理や対策をせずに運転すると、火災や爆発、あるいはけが などの恐れがあり危険です。● ポンプを長期にわたって安全にお使いいただくには、日常的によく点検し、給脂な どの保守整備を十分行っていただくことが必要です。● 故障、損傷したポンプ及びモータは運転しないでください。事故やけがの原因にな ります。原因を調査して処置し、正常な状態でお使いください。
● 屋外や、水滴のかかる場所、酸性やアルカリ性ガスに触れる場所、ホコリなどの多 い場所など特殊な環境に設置する場合は , それに適した仕様になっていることが必 要です。設置前に確認してください。● ポンプは、通常の一般的な使用条件で、5,000 ~10,000時間運転ごとにポンプ 内部の分解点検調査を行い、損傷した部品や標準消耗品を交換してください。 ( 保守管理の不備に起因する損傷や故障は当社の責任範囲外です。)● 腐食性のガスや凝縮性・凝固性のガス、あるいは堅い固形物を含むガスを吸引する 場合、また 4.7 × 104Pa(350Torr) 以上の高圧運転など、水封式真空ポンプを特 殊な使用条件でお使いになる場合は、それに起因するポンプの損傷や故障が起こる ことがあり、使用条件に応じた対策が必要です。また、特殊な保守が必要になるこ ともあります。 ( 特殊な使用条件によって発生する故障や保守は当社の責任範囲外です。)
3
2)運 搬、据 付
● ポンプの荷おろし、運搬、据付などの作業は、ポンプが落下、転倒などすると危険 です。作業は熟練者が行ってください。● ポンプは、水平・平坦で共振などが起きない十分な強度のある基礎上に、または同 様のフレーム上に、据付固定用のボルトを用いてしっかり固定してください。
● これらの作業は、パレットを利用してフォークリフトで運搬したり、ホイストクレー ンで吊り下げるなど、最も適切な方法で安全に十分注意して行ってください。 ポンプは不用意に手で持ち上げたりしないで、適切な器具を用いるなど、「 重さ 」 を考慮して作業してください。● ポンプを吊り上げる場合、取扱説明書やカタログでポンプの質量を確認して、吊り 具の定格荷重以上の質量を吊らないようにしてください。 また、吊り上げ時の安定性を考慮して、吊りボルトなどポンプの適切な部分を吊っ てください。● ポンプには、真空ゲージなどこわれやすい部分もあります。物を当てたり強い衝撃 を与えたりしないように、ていねいに作業してください。● ポンプは、ほこりや湿気の少ない、風通しのよい場所に設置してください。● モータをお客様が取り付けられる場合は、取扱説明書に従って軸芯調整を十分行っ てください。またベルト駆動の場合、スリップするとベルト焼損やポンプ停止の原 因になりますので、ベルト張り強度に注意してください。
● 配管作業は専門知識のある熟練者が行ってください。● 必ず元電源を切って作業してください。● 吸気口には真空弁を設け、安全のため、ポンプ停止前及び停止中には必ず閉めるよ うにしてください。封水や空気の逆流で装置が損傷したり、事故が発生する原因に なります。
3)配 管
4
● 配管の接続部やポンプに異常な荷重がかからないように、適切なサポートを設け支 持してください。● ポンプと吸気配管の接続部には、ポンプの振動の伝播を小さくするように、フレキ シブルジョイントを設けてください。排気側も配管を設ける場合には同様の処置を してください。● 排気口からは、吸引したガスなどとともに封液の蒸気やミストが排出されます。排 気物に応じて必要な場合は排気配管を行い、ガス処理設備やダクト設備へ接続して ください。
4)配 線
● 必ず元電源を切って作業してください。感電の恐れがあり大変危険です。● 配線作業は、電気の専門技能者が電気設備基準に従って行ってください。● 電動機容量に応じた適切な配線材料をお使いください。● 電動機容量に応じた適切な過負荷保護装置を必ず設けてください。 また、漏電遮断器などの保護装置も併用されるようお勧めします。● モータの端子箱内の結線図またはモータ取扱説明書に従って配線してください。● アース用端子は必ず配線接地してください。● 配線後は、端子箱カバーなどを必ずもとの位置に取り付けてください。● 配線後、ポンプが指示通りの回転方向になっているか確認してください。回転方向 確認のための通電時間は、ごく短時間スイッチを ON/OFF して確認してください。 もし逆転で運転を続けると、ポンプや装置が破損することがあり危険です。 ※モータの回転方向が逆の場合は、3相入力のうち 2相を入れ換えて、回転方向を正 しく合わせてください。
5
5) 運 転
● ポンプを運転するとき、排気口や排気配管は絶対に閉めたり、ふさがったりしない ようにしてください。排気ラインが閉塞したり、排気抵抗が大きな状態でポンプを 運転すると、ポンプや装置を破損することがあります。● ポンプの運転前に必ず、回転方向に誤りがないか確かめてください。逆転で運転す ると、ポンプや装置が破損する場合もあり危険です。● 回転部の安全カバーやベルト点検窓、あるいは電気機器の端子箱カバーなどは、必 ず取り付けてから運転してください。● 安全カバーのすきまや開口部から、指や物など絶対に入れないでください。● ポンプに異常な音や振動及び温度などが発生した場合は、運転を停止してください。● 停電した場合は、必ずただちに電源スイッチを切り、給水も停止してください。
● ポンプを運転するときは冷却水を必ず供給してください。給水しないで運転すると、 ポンプや封水が高温になり、ポンプが損傷することがあります。● ポンプの周囲には可燃物やその他の物を置かないでください。火災や事故の原因に なります。● 運転中、モータはかなり高温になることもあります。素手で触れないでください。 やけどの恐れがあります。● ポンプやモータなど機器には、乗ったりもたれたりしないでください。
6) 保 守、点 検、整 備
● 保守、点検、整備は必ずポンプを停め元電源を切って行ってください。● ポンプの保守、点検、整備は専門知識をもった技能者が行ってください。● ベルトの点検は必ずポンプを停止し、元電源を切って行ってください。点検後、安 全カバーをもとの位置に取り付けてから運転してください。● 有害 ( 毒 ) 物や可燃物を吸引したり、ポンプ内で生成したりする場合、グランドパッ キンの調整やフィルタの掃除は、適切な安全処置を行ったうえで作業してください。
6
● ベルトは、運転開始 30 時間運転後と、そのあと 1,500 時間運転毎に、ゆるみが ないか点検してください。スリップすると、ベルトが焼損したりポンプ停止による 事故の原因になります。● 絶縁抵抗測定の際は端子に触れないでください。感電の恐れがあります。
7) 分 解、点 検、修 理
● ポンプの分解、点検、修理はその知識と技能を持った専門家が行ってください。※お客様の手による製品の修理や改造によって生じたトラブルは当社の責任範囲外で す。● 作業は必ず元電源を切って行ってください。● 分解に際してポンプが有害物を吸引したり、内部で生成したりしていないか必ず確 認してください。● もしポンプ内部に有害物が存在する場合は、ポンプ内の N2ガスパージや洗浄処理 など、適切な除害処理を行ってください。また、作業者は、手袋、マスク、保護メ ガネ、保護衣など適切な防護処置を行い、作業場所は十分な換気を行ってください。 かつ、作業に際して安全対策は十分か検討し、問題があれば安全が確保できるまで 作業しないでください。● 封液に溶剤などを用いている場合、分解時、ポンプ内に残留する封液が流出するの で、適切な回収処置と作業者の防護対策を行い、換気のよい作業場で行ってくださ い。
● 作業は作業性がよく風通しのよい場所で行ってください。● ポンプの分解点検調査の際、オイルシール・スリーブ・軸受・グランドパッキン・ メカニカルシール・ガスケットなど標準消耗品は交換してください。また、他の部 品も損傷がないかよく点検して、問題のあるものは交換してください。
7
8) 廃 棄
● ポンプやポンプ部品を廃棄する場合は、内部の封液を抜いて、産業廃棄物として国 や地方の法規や基準に従い処分してください。有害物に汚染されたポンプや封液は、 安全上特に注意して処理してください。
8
取扱説明書
1 段水封式真空ポンプとは
円形またはまゆ形断面のシリンダ内に封水を入れ、円形シリンダの場合はその中心から偏心して( 偏心形 )、まゆ形シリンダの場合はその中心に ( 対称形 ) 取り付けられた羽根車によって回転を与えますと、水は遠心力によりシリンダ内壁に沿ってほぼ一様の厚さのリング状になります。この封水リングの内壁と羽根車の羽根によって囲まれた空洞の容積が、回転位置によって変化することを利用して、側壁または羽根車の内側に設けられた吸・排気口を通して排気作用を行うものです。SB-10 型ポンプは偏心形サイドポート式 1段水封式ポンプです。図 1に示すように、円形シリンダ内に偏心して取り付けられた羽根車の回転により、側壁に設けられた吸排気口を通して排気を行う形式のもので、大気圧から 8×103Pa までの運転に適したポンプです。これ以上の真空度および比較的高真空での作業には、当社の 2段ポンプシリーズをお使いください。
水封式ポンプを保管または運転中止するときは、次の点にご注意ください。1. 荷造り状態で保管する場合 屋内の乾燥した場所に保管してください。当社で出荷する際、特別な仕様を除いて水 溶性防錆剤を投入しておりますが、防錆効果は 1ヶ月以内です。長期保管は避けてく ださい。2. ポンプを運転中止して、保管する場合 封水のままでは、錆のため 1週間程度で回転不能になりますので、長期保管される場 合は当社の販売店・営業所へご相談ください。※ 納入後、ポンプの錆による回転不良の時は、保証の限りではありませんのでご注意く ださい。
保 管
9
仕 様(封水温度 15℃のとき)
(図 1)作動原理図
1. 据 付
ポンプは電動機直結形で、鋼板製ベースに取り付けて発送します。水平な床面に置くだけで運転できますが、基礎面やフレームに固定する場合はつぎの点にご注意ください。1)ポンプの分解・点検に便利な場所であること。とくにポンプの後側 ( 電動機の反対側 ) はあけ ておいてください。2)排水・排気には屋外流出に適した場所であること。3)付近に発熱する機材のないこと。
形 式最大排気速度L/min
50Hz(60Hz)
回転数min‒1
50Hz(60Hz)
到達圧力Pa
駆動電動機kW
吸気口径(mm)
給水量L/min
SB-10 100(120) 2900(3500) 20 40.4単相100/200V6.7×103
10
2. 電気配線
1) 電動機容量に適した配線材料をお使いください。2)ヒューズは電動機の配線基準に合ったもの、またモータブレーカはポンプの電動機の容量に合っ たものを用いてください。3)電動機焼損防止のためマグネットスイッチなどをお使いください。4)100V/200V の単相電源へ接続してください。
3. 配 管
1)発送時に取り付けた吸・排気口その他のカバーを取外してください。2)多少の粉塵を吸込んでも問題ありませんが、吸気側配管は洩れ試験済みの内面の清浄なものを お使いください。3)吸気管は、口径を大きく長さは短くして、配管抵抗を小さくしてください。4)ポンプは通常逆止弁つきですが、吸気管には必ず真空弁を設けてください。5)排気・排水管は 25 ㎜以上の太目のものを用い、できるだけ短くして排水溝へ流してください。6)給水管は 3/8B とし、衛生上上水道への直結は避けてください。7)上水道水をお使いの場合は、2m高さ以上のヘッドタンクで加圧給水してください。
4. 始 動
始動はつぎの順序で行ってください。1)ポンプへの給水弁を開き、排気・排水管からの排水開始を確認してください。2)真空配管各部の蓋栓などの確認ののち、吸気弁を閉じます。3)周囲の安全確認ののちスイッチを入れます。4)正規回転になったのち、吸気弁を開いてください。5)凍結する恐れがある場合 イ)吸気側を開放するかまたはリークポートを開いて、給水バルブを閉じてから、数秒間運転 して本体内部の水をできるだけ排出させてください。 ロ)本体の低部についているプラグを取外して、排出させてください。 ハ)始動時は、凍結したまま起動させると内部を傷めますので、手回しして確認してください。 ただし、このポンプには確認する箇所がありませんので、電動機の後側のキャップを取外 して、主軸にM6の六角ボルトを取り付けて、手回しをして確認してください。
5. 運転中の注意
1)ポンプの到達圧力および排気速度は、封水温度によって変化します。給水温度はできるだけ低 くしてください。また、給水量が少なすぎると排気性能が低下します。2)始動直後、吸気弁を開くまではかなり騒音が高くなりますが、これは異常音ではありません。3)断水の際は、カジリ・焼き付きを起こしますので、ただちにポンプを停止してください。
11
6. 停 止
1) ポンプ停止の際 ( 停電時を含む )、逆止弁により吸気側への急激な逆流は防止されますが、停止 前に必ず吸気弁を閉じてください。2) 粉塵や腐食性ガスを吸引する場合や給水にスラリーの多い場合は、ポンプ停止後も給水弁を開 いて、ポンプ内を洗浄してください。3) 洗浄不要の場合は、節水のため、停止後ただちに給水弁を閉じてください。
7. 軸封部の保守
1) グリースの補給はグリースカップを回して行ってください ( 運転中は補給しないでください )。 100 時間で半回転から一回転くらい、カップが重く感じる時は補給しないでください。2) 水漏れが多くなった場合は、オイルシールを取替えてください。
8. 分解修理
1) 吸気弁全閉で運転するとかなり騒音が高くなりますが、吸気弁を開いてガスを吸入させても異 常音が消えない場合は、異物吸込み又は内部部品破損によるものと考えられますので、ただち にポンプを停止し、カバーを取外して内部を点検してください。2) 給水に石灰質の多い ( 硬水 ) 場合および吸気気体中に粉塵などの多い場合は、その度合いに応 じて、6ヶ月~ 1年ごとに分解修理を行う必要があります。以上の説明で不充分な点につきましては、部品リスト・構造図・分解組立要領などをお送りしますので、どうぞお申し付けください。
9. ポンプの診断と早期手当
日常起こりやすい故障とその原因ならびに手当を、つぎに示します。ポンプが万一故障を起こした場合は、付表をご参照のうえ速やかに修理を行ってください。貴社で修理不可能な場合は、必ず銘板に記した「製造番号」とともに、当社までご連絡ください。
異常音がする
故障の状態 故障を起す原因 処 置
キャビテーション
異物混入
インペラの破損電動機との軸心ずれ
吸気口からリークさせて止まる場合は異常音でない。中間真空室からリークさせる。ケーシング内の封水を抜き手回しで確認、オーバーホール同上同心度、平行度などの再確認。調整
起動しない(電流過大)
異物固着(サビを含む)
インペラの接触軸受の焼付き補給水過多電動機の故障
電源、配線の不備
手回しで確認し、軽く回ればモータのON・OFFをくり返す。重ければオーバーホール。同上同上自動調整弁を点検する。電動機を単独で回転させてチェックする。修理または交換電圧、電流値を調査し、電動機単独で回転させてみる。
12
SB-10 型構造図
故障の状態 故障を起す原因 処 置
異常な温度上昇
補給水が高温、流量不足軸受の異常
流量と水温をチェックする。補給水増加グリースの量を多少減らす、分解点検し部品交換
装置との関連性から調査する。
真空度不良
その他
補給水が高温、流量不足軸封部からの洩れ循環水量の不足真空計不良吸気側の洩れ逆流防止弁の故障内部部品の磨耗
流量と水温をチェックする。補給水増加分解点検し、部品交換。封水配管の閉塞などチェックする他のポンプで真空計をチェックする。比較校正吸気弁を閉じて到達圧力を測定する。分解点検し、部品交換。オーバーホール(専門工場)
※故障、修理依頼などのご連絡の際は、必ず銘板に記した製造番号をお知らせください。
13
2 段水封式真空ポンプとは
円形またはまゆ形断面のシリンダ内に封水を入れ、円形シリンダの場合はその中心から偏心して (偏心形 )、まゆ形シリンダの場合はその中心に ( 対称形 ) 取り付けられた羽根車によって回転を与えますと、水は遠心力によりシリンダ内壁に沿ってほぼ一様の厚さのリング状になります。この封水リングの内壁と羽根車の羽根によって囲まれた空洞の容積が回転位置によって変化することを利用して、側壁または羽根車の内側に設けられた吸・排気口を通して排気作用を行うものです。SB-25,50,100,150,200,300,600 形ポンプは偏心形サイドポート式 2 段水封式真空ポンプです。図 2 に示すように、円形シリンダ内に偏心して取付けられた羽根車の回転により、側壁に設けられた吸排気口を通して排気を行う形式のもので、2 段式であるため特に 3 ×103 ~ 3 ×104Pa での運転に適したポンプです。しかし、封水の蒸気圧以上の真空度は得られませんので、8×102 ~ 6 ×103Pa での操業には空気エゼクタ付ポンプをお使いください。
(図 2)作動原理図
14
仕 様(封水温度 15℃のとき)
形 式最大排気速度L/min
50Hz(60Hz)
到達圧力Pa
空気エゼクタ付
到達圧力Pa
回転数min‒1
50Hz(60Hz)
駆動電動機kW
吸気口径(逆止弁口径)
mm
給水量L/min
SB-25
SB-50
SB-100S
SB-150S
SB-200
SB-300S
SB-600
2900(3500)
2900(3500)
1450(1750)
1450(1750)
1450(1750)
1450(1750)
1000(1000)
370(450)
700(850)
1250(1500)
2100(2500)
2500(3000)
4600(5500)
10,000(10,000)
25
25
40
50
50
50
80
6
8
10
12
16
35
80
2P/1.5
2P/2.2
4P/3.7
4P/5.5
4P/7.5
4P/15
4P/30
2×103
2×103
2×103
2×103
2×103
2×103
2×103
8×102
8×102
8×102
8×102
8×102
8×102
8×102
1. 据 付
通常、ポンプは鋳鉄製または鋼板製の共通ベッドに取付けて発送します。つぎの点にご注意のうえ、通常、ポンプは鋳鉄製または鋼板製の共通ベッドに取付けて発送します。つぎの点にご注意のうえ、水平かつ平坦な基礎面または充分強固なフレームに固定してください。1) ポンプの分解・点検に便利な場所であること。2) 排水処理、排気ガスの屋外放出に適した場所であること。3) 貴社で電動機を取付けられる場合は、直結型はポンプ軸と電動機軸の角度誤差・平行誤差 ( 偏3) 貴社で電動機を取付けられる場合は、直結型はポンプ軸と電動機軸の角度誤差・平行誤差 ( 偏 心 ) をできるだけ小さく、またベルト掛けのときは、ベルト車を平行に、またベルトのねじれ 心 ) をできるだけ小さく、またベルト掛けのときは、ベルト車を平行に、またベルトのねじれ のないよう注意して行う。4) 共通ベッドにひずみを起こさないよう、ベッドの下にライナ (シムプレート )を入れて調整する。4) 共通ベッドにひずみを起こさないよう、ベッドの下にライナ (シムプレート )を入れて調整する。5) 直結型の場合、ベッド固定後に軸継手部で軸芯の調整を行う。(図 3)6) 調整は電動機側で行ってください。
2. 電気配線
1) 電動機容量に適した配線材料をお使いくださ い。2) ヒューズは電動機の配線基準に合ったもの、ま たモータブレーカはポンプの電動機の容量に 合ったものを用いてください。3) 電動機焼損防止のため、マグネットスイッチ などをお使いください。4) ポンプの回転方向は、駆動側から見て右回転 ( 時計方向 ) です。電動機単独で調べるか、またはポンプと連結後はできるだけ短時間に行ってください。
(図 3)
15
3. 配 管 ( 図 5)
1) 発送時取付けた吸排気口その他のカバーを取外してください。2) 多少の粉塵を吸込んでも問題ありませんが、吸気側配管は洩れ試験済みの内面の清浄なものを 使ってください。3) 吸気管は口径を大きく距離を短くして、配管抵抗を小さくしてください。4) 接続フランジは真空装置用フランジ (JIS B2290) を採用し、ガスケットは合成ゴム製の角リ ングまたは Oリングを使ってください。5) ポンプは通常逆止弁つきですが、吸気側には必ず真空弁を設けてください。6) セパレータタンクからの排水管はできるだけ短くして、排水溝に排水してください。7) タンクへの給水管は、原則としてつぎのものを使用してください。
(図 4)
SB-25
SB-50
SB-100S
SB-150S
3/8B以上
3/8B以上
1/2B以上
1/2B以上
SB-200
SB-300S
SB-600
3/4B以上
1B以上
1 1/2B以上
8) 軸封部からの漏水は、図のように軸封部底部より配管を行い排水してください。( 図 4)9) 水封式ポンプへの給水管は、逆流防止のため、上水道および飲料水の配管に直結しないでくだ さい。給水側に貯水槽を設け、上水道および飲料水をこの水槽に落込む方式とし、断水時の逆 流を防止してください。10) 接ガス部がステンレス製およびチタニウム製のポンプの場合は、給水管に Y形ストレーナを設け、また吸気管の内面のスケールなどに注意し、できればストレーナを設けてください。11) 排気口より水が噴き出ることがあります。排気抵抗にならぬよう、排水管を設けてください。
(図 5)
16
4. 始 動
始動はつぎの順序で行ってください。1) ポンプ給水口より給水を開始してください。2) 軸継手またはベルト車を手回しして、軽く回るかどうか確認する。 長時間の停止後も行ってください。内部の錆付きのひどい時は回転しませんので、カップリン グのボス部にパイプレンチをかけて、モータ側から見て反時計方向に回してください。錆付き のまま起動させると電動機を傷めることがあります。3) 真空配管各部の蓋栓などの確認の後、吸気弁を閉じます。4) 回転部分付近の安全確認の後、スイッチを入れます。5) 正規回転になった後、給水量を調整し吸気弁を開いてください。6) 凍結する恐れがある場合。 イ)吸気側を開放するかまたはリークポートを開いて、給水バルブを閉じてから数秒間運転して、 本体内部の水をできるだけ排出させてください。 ロ)水タンクのドレンプラグを開いて排水させてください。 ハ)本体 ( 高圧側すなわち吐出側 ) の下部についているプラグまたは盲蓋を取外し、軸継手また はベルト車を手回しして、本体内部の水をできるだけ排出させてください。( この部分に排 水バルブを取付けると便利です ) 二)始動時は、凍結したまま起動させると内部を傷めますので、手回しして確認してください。
5. 運転中の注意
1) ポンプの到達圧力および排気速度は、封水温度によって変化します。 始動後 10 分前後にタンク内の水温を測定し、給水温度との差が大きい場合は給水量を増加し てください。2) 始動直後吸気弁を開くまでは、かなり騒音が高くなります。 6×103Pa以下の比較的到達圧力に近い圧力で連続運転される(吸込みガスが少ない)場合は、 ケーシング側面の自動リーク弁の蓋をとり、ネジを左へ回して開度を大きくすることにより騒 音が小さくなります。(SB-10,SB-25,SB-50 は除く )3) 断水の際、カジリ、焼き付きを起こしますので直ちに停止してください。4) 5.3 × 104Pa 以上の高圧で連続運転する場合は、ポンプの給水能力を補うため、タンクのヘッ ドを 2~ 3m高くするか又は加圧給水を行う必要があります。( 図 6)5) ベルトは使用当初はかなり伸びますので、張り具合を点検してください。両ベルト車の中間部 を片手で押さえて 15 ㎜程度ベルトが下がる程度とします。(SB-600)6) グリースの補給は、グリースカップを回して行ってください ( 運転中は補給しないでください )。 100 時間で半回転から一回転位、カップが重く感じる時は補給しないでください。7) 真空計のメートルコックの取扱いは、コックを全開せず、わずかに開いて測定してください。 また不必要な時はコックを閉めておいてください。 急激な動作・停止は計器を狂わし、寿命が短くなります。 (SB-10,SB-25,SB-50 は除く )
17
6. 停 止
1) ポンプ停止の際 ( 停電時を含む )、逆止弁により吸気側への急激な逆流は防止されますが、停止 前に必ず吸気弁を閉じてください。2) 粉塵や腐蝕性ガスを吸引する場合や封水にスラリーの多い場合は、ポンプ停止後、ケーシング 下部の排水栓 ( またはバルブ ) から内部の汚水を排出し、吸気口から給水してポンプ内を洗浄し てください。3) 停止後も給水弁を開いておけばポンプ内は洗浄されます。4) 洗浄不要の場合は、停止後ただちに給水弁を閉じてください。5) 凍結する恐れがある場合は、始動の項を参照してください。
(図 6)
8) 給水回路のポンプと水タンクの間にある給 水弁を開閉することにより適当量の給水を 行い、給水過剰による軸馬力の調整ができ るようになっています。 (SB-100S ~ SB-600)9) 冷却水温が 10℃以下の場合、ポンプ本体 の吸気口付近にて氷結現象が現れ、能力が 低下する場合がありますので注意してくだ さい。
7. 軸封部の保守
グランドパッキン方式1) グランドパッキンは、長時間使用した後は摩耗して、特に停止時の水漏れがひどくなります。 軽く増締めするか又は新品と交換してください。その際、水漏れを完全に止めようとしてパッ キンを締めすぎると、異常な発熱をし駆動動力が増加します。停止時の多少の水漏れは性能へ の影響はありません。2) パッキンを締めすぎた時はポンプを停止し、パッキンをいったん取出して軽く締めます。3) パッキン押えがナット式のものは、締め込み後セットボルトにてナットを固定してください。
8. 分解修理
1) 運転中、到達圧力付近ではかなり騒音が高くなりますが、吸気側圧力 1.3 × 104Pa 以上でも 異常音の消えない場合は、異物吸込み又は内部部品破損によるものと考えられますので、ただ ちにポンプを停止し分解検査を行ってください。2) 給水に石灰質の多い ( 硬水 ) 場合および吸入気体中に粉塵などの多い場合は、その度合いに応 じて 6ヶ月~ 1年ごとに分解修理を行う必要があります。
18
9. 空気エゼクタ ( オプション品 ) この空気エゼクタは、ポンプ吸気口に取り付け大 気を導入するだけで、8 ×102Pa 程度までの真 空を得ることができます。この時、ポンプ吸気口 での圧力は 8 × 103 ~ 1.3 ×104Pa になりま すので、ポンプの騒音が低下し、また駆動動力は ほとんど変化しません。取付け及び運転について はつぎの点に注意してください。(図 7) 1) 大容量の装置に使用し、特に排気時間が問題 になる場合にはバイパス回路を設けてくださ い。( 図 8) 2) 手動運転の場合、ポンプの吸気側圧力が 5× 103 ~ 7 ×103Pa になった時、大気導入弁 を開いてください。 3) 自動運転の場合、真空スイッチと大気導入用 電磁弁の働きにより自動的に行われます。な おこの場合真空スイッチの作動圧力を定期的 に点検してください。 4) 吸入気体中の粉塵やミストがノズル・ディ フューザ内部などに付着しますと性能が低下 しますので、定期的に分解掃除してください。 5) エゼクタを作動させた時、吸気側圧力がポン プ単独の時よりも悪化する場合は、つぎの原 因が考えられます。 a) エゼクタの大気導入配管の抵抗による作 動空気量不足。 b) エゼクタ内部の異物付着。 c) ポンプへの給水不足による封水温度上 昇。 d) ポンプの摩耗、軸封部からの洩れなどに よる性能低下。 e) 水蒸気を吸入する場合で、ポンプへの給 水温度が低い場合 ( ポンプがコンデンサ としても働くため、単独での排気速度が 大きいため )。 6) 吸気ガス中に水蒸気を多量に含んでいる場合 で、駆動ガス(大気)温度が氷点近くの場合は、 空気エゼクタ内で氷結現象が現れ、能力低下 を起こすことがありますので注意してくださ い。結氷防止については当社までご相談くだ さい。
(図 8)
(図 7)空気エゼクタ原理図
以上の説明で不充分な点につきましては、部品リスト、構造図、分解組立要領などをお送りしますので、どうぞお申し付けください。
19
10. ポンプの診断と早期手当
日常起こりやすい故障とその原因ならびに手当法をつぎに示します。ポンプが万一故障を起こした場合は、付表をご参照の上すみやかに修理を行ってください。貴社で修理不可能な場合は、必ず銘板に記した「製造番号」とともに、当社までご連絡ください。
異常音がする
故障の状態 故障を起す原因 処 置
キャビテーション
異物混入
インペラの破損電動機との軸心ずれ
起動しない(電流過大)
異物固着(サビを含む)
インペラの接触軸受の焼付きグランドパッキンの締め過ぎ補給水過多ベルトのスリップ電動機の故障
電源、配線の不備
異常な温度上昇
補給水が高温、流量不足グランドパッキンの締め過ぎ(グランド部)軸受の異常
吸気口からリークさせて止まる場合は異常音でない。中間真空室からリークさせる。ケーシング内の封水を抜き手回しで確認、オーバーホール同上同心度、平行度などの再確認。調整
手回しで確認し、軽く回ればモータのON・OFFをくり返す。重ければオーバーホール。同上同上同上給水弁を調整し、水量を適当に減少させる。ベルトの張りを調整する。電動機を単独で回転させてチェックする。修理または交換電圧、電流値を調査し、電動機単独で回転させてみる。
流量と水温をチェックする。補給水増加パッキン押えをゆるめるか、できればパッキンを入れ直す。グリースの量を多少減らす、分解点検し部品交換
装置との関連性から調査する。
真空度不良
その他
給水が高温、流量不足軸封部からの洩れ
循環水量の不足真空計不良吸気側の洩れ逆流防止弁の故障内部部品の磨耗
流量と水温をチェックする。補給水増加パッキンの増締め、グランドへの給脂チェックオイルシールの場合は分解点検し、部品交換封水配管の閉塞などチェックする他のポンプで真空計をチェックする。比較校正吸気弁を閉じて到達圧力を測定する。分解点検し、部品交換。オーバーホール(専門工場)
※故障、修理依頼などのご連絡の際は、必ず銘板に記した製造番号をお知らせください。
20
封液を循環使用する使用例(1)大型貯液槽 ( プール ) 気液分離槽から流出した封液を大形槽
(2)冷却塔 ( クーリングタワー ) 気液分離槽から流出した封液を、大形の 貯液槽と併用して強制冷却するもので、 送液ポンプが必要である。有害なガスの 排気については(1)と同様の注意が必 要である。封液が水で、比較的大形のポ ンプに適している。
(3)ファンクーラー 封液がフィンチューブ内を通過する間に 外部から強制空冷する方式で、循環回路 を密閉形にできるため、有害物質の排気 に適している。ファンクーラーの構造上、 循環量の多いものは不適当である。
(4)水冷形熱交換機 多管式又はプレート形の熱交換器で封液 を冷却するもので、回路を密閉形にでき るため、(3)と同様有害物質の排気に適 しており、最も用途の広い一般的な方式 である。
用 途水封式ポンプを用いた排気系はあらゆる方面に使用されていますが、とりわけ下記の用途において利点が顕著になります。(1)真空乾燥 ( 食品の乾燥、食品の濃縮、油脂、ペニシリン、各種ワクチン )(2)真空含浸 ( コンデンサ、トランス、モータ、ケーブル、木材、鋳物 )(3)真空蒸溜 ( 合成樹脂原料、高級アルコール、各種エステル、可塑剤、脂肪酸 )(4)真空鋳造 ( 鉄鋼、非鉄金属等 )(5)繊維工業 ( 人絹、その他各種繊維類 )(6)製紙工業(7)その他真空化学工業一般
(プール)に入れ、自然空冷するもので す。気液分離槽と兼用形も可能である。 液面を大気に開放するため、有害なガス、 蒸気の出るものは不適当で節水を目的と した小形ポンプ、とくに断続運転に有効 です。
21
標準保証条件
当社は、お引渡しに際しまして、設計上、材料上、製造上、欠陥がないことを保証いたします。またさらに、お引渡し後 1ヶ年間、そのような欠陥がないことを保証し、万一、保証期間中に欠陥が発見されました場合、当社はその欠陥部品の手直しか、修理または取換えを無償でいたします。ただし、上記の保証はこのような製品の取扱説明書およびその他の取扱い指示に従って、正規に使用された場合にのみ適用するものとし、さらに以下の故障には、適用を除外させていただきます。
(1) 買主の不適当な取扱い、使用、保管に起因する故障(2) 当社以外の手による修理、改造に起因する故障(3) 火災、水害、地震、落雷、その他不可抗力に起因する故障(4) 当社技術員によって、本商品の使用条件に合わないため発生した故障と判断された場合
なお、本保証条件に基づく当社の補償責任の範囲は、欠陥部品の手直し、修理または取換え(補償処理)のみに限定するものとし、二次的に発生する損失の補償はいたしません。また、補償処置の総額はその製品の契約価格内とし、補償処置にもかかわらず保証期間はお引渡し後 1ヶ年間に限ります。また、性能に影響のない、ささいな契約仕様条件からの逸脱は、本保証条件に基づく欠陥とはみなさないものといたします。本保証条件は、ゴム部品等あらゆる自然損耗する部品ならびに消耗部品には適用いたしません。また、本保証条件を適用する旨を明示しない製品ならびに海外で使用される製品にも適用いたしません。
検 査 合 格 証ACCEPTANCE TAG
年 月 日
製 品 名NAME
製造番号SERIAL NO.
検 査 員INSPECTOR
〒354-0041 埼玉県入間郡三芳町藤久保1036佐藤真空株式会社
販売店•代理店
ご注文のお申込み•お問合せは
SBN001-200 FEB. 2012