看護教育におけるシミュレーション教育の研究 ·...

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はじめに 20 世紀後半、医学や医療技術は急速に進歩し、新しい診断法や治療法が次々に開発されてい る。この最新で高度な医薬品・医療機器や、さまざまな医療職種により、医師や看護師をはじ めとする医療従事者が行う手技や業務は複雑になり、多様化してきている。その結果、手技や 業務は複雑化し、同一時間帯に多種類の業務をこなし多重な課題をこなさなければならない状 況が増えている。このような状況から医療者のヒューマンエラーが医療事故につながっている ことは否めない。そのため、近年医療系の教育において、シミュレーション教育が注目されて きている。 1999 12 月アメリカが公表した「人は誰でも間違える--より安全な医療システムを目指し 看護教育におけるシミュレーション教育の研究 --ファシリテーターの役割とその活用について-- 〔抄 録〕 近年の看護教育の実習の場は、医療の高度化、患者の高齢化・重症化、平均在院日 数の短縮などにより、看護師になるための学習途上にある学生が行う臨地実習は難し くなってきている。 シミュレーション教育の魅力は、患者への負担がなく、繰り返しの学習が可能であ り、実際の看護実践の場面をシミュレーションで学習者に実感させる学習方法にある。 今回、医療事故防止のシミュレーション演習における授業場面(医療事故演習体験 後のグループリフレクション)で、学習者と看護教員との間にどのような相互作用が みられたか、 18 グループを IC レコーダに録音し、逐語録におこし分析した。授業を 構成する因子として発話を中心に、データを概観し関わり方に特徴のみられる3教員 に焦点を当てた。 3教員のリフレクション場面での発話、および文脈の意味内容を比較検討の結果、 ファシリテーター役割の看護教員のあり方によって、学生の学びに違いがあることが 示唆された。 キーワード:シミュレーション教育、ファシリテーター、リフレクション、発語、看護教員 佛教大学大学院紀要 教育学研究科篇 43 号( 2015 年3月) --19--

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Page 1: 看護教育におけるシミュレーション教育の研究 · 玉井は、この教材を活用し転倒転落シミュレーションリフレクション体験演習におけ

はじめに

20世紀後半、医学や医療技術は急速に進歩し、新しい診断法や治療法が次々に開発されてい

る。この最新で高度な医薬品・医療機器や、さまざまな医療職種により、医師や看護師をはじ

めとする医療従事者が行う手技や業務は複雑になり、多様化してきている。その結果、手技や

業務は複雑化し、同一時間帯に多種類の業務をこなし多重な課題をこなさなければならない状

況が増えている。このような状況から医療者のヒューマンエラーが医療事故につながっている

ことは否めない。そのため、近年医療系の教育において、シミュレーション教育が注目されて

きている。

1999年12月アメリカが公表した「人は誰でも間違える--より安全な医療システムを目指し

看護教育におけるシミュレーション教育の研究--ファシリテーターの役割とその活用について--

玉 井 和 子〔抄 録〕

近年の看護教育の実習の場は、医療の高度化、患者の高齢化・重症化、平均在院日

数の短縮などにより、看護師になるための学習途上にある学生が行う臨地実習は難し

くなってきている。

シミュレーション教育の魅力は、患者への負担がなく、繰り返しの学習が可能であ

り、実際の看護実践の場面をシミュレーションで学習者に実感させる学習方法にある。

今回、医療事故防止のシミュレーション演習における授業場面(医療事故演習体験

後のグループリフレクション)で、学習者と看護教員との間にどのような相互作用が

みられたか、18グループを ICレコーダに録音し、逐語録におこし分析した。授業を

構成する因子として発話を中心に、データを概観し関わり方に特徴のみられる3教員

に焦点を当てた。

3教員のリフレクション場面での発話、および文脈の意味内容を比較検討の結果、

ファシリテーター役割の看護教員のあり方によって、学生の学びに違いがあることが

示唆された。

キーワード:シミュレーション教育、ファシリテーター、リフレクション、発語、看護教員

佛教大学大学院紀要 教育学研究科篇 第43号(2015年3月)

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Page 2: 看護教育におけるシミュレーション教育の研究 · 玉井は、この教材を活用し転倒転落シミュレーションリフレクション体験演習におけ

て」(米国医療の質委員会)報告は世界中に激しい衝撃を与えた。

このレポート(2000年出版)では、コロラド・ユタ両州とニューヨーク州ではそれぞれ入院

患者の2.9%と3.7%が何らかの被害に遭遇しそのうち8.8%と13.6%が死亡し、その半分以上

が医療ミスと関連していたと報告されている。医療過誤による死亡者数は交通事故死、乳癌に

よる死亡率を抜いて死亡順位8位に相当するという衝撃的な調査結果を初めて公表した1。

このレポートの発刊をきっかけに、アメリカでは医療者養成のあり方が見直され、医療安全

の確保を目的として、職能訓練として医療界では新しい学習法といえる「シミュレーション医

療教育」を導入した。そして、このシミュレーション教育は、まずアメリカ、欧州、続いて日

本に急速に普及しつつある。

医療におけるシミュレーション教育の魅力は、患者への負担がなく、繰り返しの学習が可能

なことにある。従来型の方法より、臨床での実践を学習者に実感させることができる有効な学

習方法であるといえる。

日本では、1999年に発生した「横浜市立大学における手術患者取り違い事故」が報道される

まで、医療事故について人々が十分認識していたとはいえない。この重大な事故の発生以来、

わが国も急速な医療安全対策が急速に進んだ。

また、看護教育における臨地実習の場も、医療の進歩に伴って、医療は高度化、患者の高齢

化・重症化、平均在院日数の短縮などにより、複雑化してきている。看護学生が行う臨地実習

は非常に難しくなってきている。日本でも実践力を養う一つの効果的な方法として、シミュ

レーション教育を積極的に取り組むようになってきた。

平成14年度丸山らは模擬患者(Simulated Patient の略以後 SPと表す)を活用した看護学生

にとって効果的な看護・医療事故防止のシミュレーション教材を用いた教育方法を開発し報告

した2。玉井は、この教材を活用し転倒転落シミュレーションリフレクション体験演習におけ

る授業研究を取り組み演習での看護教員のリフレクションの重要性を検証した3。また、学生

の体験を学びに結びつける体験学習において、看護教員によるファシリテーターの役割は大き

いことが示唆された。

教授する側と学習者における「発話」は、どのような指導法を用いる場合にも必ず発生する。

授業中の教員の発話をカテゴリー化することによって、授業全体の流れの効果や特有のパター

ンなどを明確にすることが可能となる。

今回、本研究では、玉井の先行研究をふまえ、シミュレーション教育における授業場面(転

倒転落の医療事故演習体験後のグループリフレクション)で、教授する側と学習者との間にど

のような授業過程がみられたか、看護教員のファシリテーターの役割について研究に取り組

んだ。

グループリフレクション場面(18グループ)を ICレコーダに録音し、逐語録におこし発話

を分析した。データ(18グループ)を概観し関わり方の傾向に特徴のみられる3教員に焦点を

当てた。概観した教員の関わり方の傾向は、受容的な傾向、指摘する傾向、一方的な傾向がみ

看護教育におけるシミュレーション教育の研究(玉井 和子)

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られた。学習者の学びを促すファシリテーターの役割を明確にし、より良い授業につなげるた

めのファシリテーターの活用について検討する。

第1章 看護教育におけるシミュレーション教育の方法

第1節 看護教育におけるシミュレーション教育について

シミュレーション(Simulation、模擬)を活用した教育は、学生が実際に経験することので

きない状況での学習を可能にすることができることから、さまざまな領域の教育や訓練の目的

で広く用いられている4。

シミュレーション教育の効果は、具象と抽象の間をつなぐことによって得られる。Edgar

Dale は視聴覚メディアの内容を具象から抽象まで11段階に分け「経験の円錐」と名づけて図

示している5。

看護教育においても、学生同士が患者役、看護師役に分かれて「教える=学ぶ」経験を体験

するロールプレイを取り入れたシミュレーションや、患者を設定し事例検討等、シミュレー

ション教育が多く取り入れられている6。

また、これまで学生の看護実践力を育んでいく現場は、著しい変化が生じている。学生は実

習期間中に一人の患者とじっくり向き合い看護実践を行っていくことが少なくなってきている。

そのため、卒業時に習得すべき実践力と臨床現場が求める実践力のギャップは大きな課題とさ

れている。

その転換として、今日では知識偏重型の教育から学習者中心の学習スタイルが推奨され、そ

の一つの方法として、より一層シミュレーション教育が取り組まれるようになってきた。

シミュレーション教育の利点は過ちを犯しても患者へのリスクを与えず、安全な環境で学習

できることである。失敗が許される学習環境下で、思考方法や判断、問題解決を学ぶことがで

きるのである。安全な看護を提供するために、現実に近い状況でシミュレーションを行い、失

敗の振り返りから、学ぶことができる。失敗が許されない臨床であるからこそ、本番(実際の

患者への対応)に向けて実践力をつけることができる。何よりも訓練をしたことにより、自信

を持って仕事に臨めるようになることもメリットと考える。シミュレーション教育では体験で

の学びを次の行動に生かすことに意味がある。

看護教育におけるシミュレーションのタイプとして、実際の臨床状況の重要な要素・局面を

再現するという点で、再現性・忠実性は重要である。この再現性・忠実性が低いのは、ケース

スタディやロールプレイ、最も高いのはフルスケールシミュレーションである。教員はそれぞ

れの方法の特徴をふまえて、学生の学習進度に合わせ、どのようにするかを考える必要がある。

実際の患者を受け持ったことがない初学者に、最初から臨場感のある環境のもとで忠実性・再

現性のあるモデルHPS(Human Patient Simulation)を用いてフルスケールシミュレーション

を行っても、その状況を経験したことがなければ、その状況にあった行動は難しい。初学者に、

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まず、対象の気持ちが理解できるようにロールプレイを取り入れる。また、疾患や病態の理解

が進み、何らかの病状のある患者の看護について学び始めた学生には、アセスメントの判断能

力を強化するためケーススタディにおいて実施する。

シミュレーション教育によって、学生は、設定された状況と関わるプロセスで、自分の持っ

ている能力を総動員し、思考のみならず行動も伴う統合学習につなげることができるのである。

表1は再現性・忠実性から見た看護教育におけるシミュレーションの特徴を整理したものであ

る7。

第2節 模擬患者を用いたシミュレーションの教育方法

1 SPを活用したシミュレーション教材の設定

SP を活用したシミュレーション教材は、看護学生を対象に、授業(演習)であっても臨地

実習のようなリアリティーのある学習環境を提供する。学生のレディネスにあわせた具体的な

事故要因や事故発生過程を設定する。

SPを用いる効果として、本田らは、「看護基礎教育では、コミュニケーション技術演習に多

く活用され、①リアリティーのある体験ができること、②日常とは異なる学習環境によって、

現実を実感できること、③主体的な学習環境を引き出すことができること、④模擬という状況

によって、安全性、再現性、反復性を有する学習環境を意図的に作ることが可能であること」

と報告している8。

看護学生に対するシミュレーションの条件は、①発生頻度の高い事故であること、②看護医

療事故として代表性があること、③現実感を伴うこと、④再現性が高いこと、⑤「自分で判断

する」「自分の行為を選択する」など看護師の関与の度合いが高いこと、⑥患者との相互性が

存在すること、ただし看護学生は、看護師としての学習途中であることから、⑦学生のレディ

ネス(看護に対する基礎知識・技術の獲得状況、実習の経験状況など)に合致していることが

求められる。

事故の捉え方においては、自分も事故を起こす可能性があるという認識と、予測であり、少

しの変化にも気づけることにある。

「転倒・転落」のシミュレーションモデルは、看護学生のレディネスに合わせて患者の設定

条件や事故発生過程を設定する。シナリオは、患者がトイレに歩行する援助場面とする。患者

の設定条件については、細かな情報は思考を整理する上で混乱を招くため、疾病、症状、治療

処置については単純化する。

2 SPとシミュレーション演習後のリフレクション

シミュレーション体験後のリフレクションの目的は、ヒヤリ・ハットしたことや事故の体験

を振り返ることによって、事故予防に向けて行動変容を導くことにある。

リフレクションする内容としては、事故を体験したことに対する感情を吐露し、事故要因に

看護教育におけるシミュレーション教育の研究(玉井 和子)

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表1 看護教育におけるシミュレーションの特徴

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関する認識を深める。そして、体験したことによって変化した内面を自覚し事故予防行動につ

なげることをねらいとしている。

看護学生は学習途中であり、何をどのように振り返れば意味あることとなり得るのか、看護

学生自身がわからない状態と考えられる。このため具体的に一つ一つの看護学生の行動、感情、

考えを掘り起し、事故予防との関連が自覚化できるようにリフレクションすることが重要であ

る。丸山らは、次の7つの視点を挙げている。

①事故を体験した直後の感情表出を促す。

②事故を起こしたという事実を自覚(確認)しその時の感情の表出を促す。

③事故を起こした事実の受け止め方を明らかにする。

④事故の原因を看護学生自らが明らかにしていく(設定した事故要因について一つ一つ確認

する)。

⑤事故が起きないようにするために今後の自分の行動はどうあったらよいかが考えられる。

⑥事故体験した看護学生に生じつつある内面の変化を意識させる。

⑦事故の体験を看護学生自身が意味づける9。

リフレクションの進行はファシリテーター役割の教員が行う。

リフレクションでは、シミュレーションによる事故体験を受けとめ、その上で、何とか事故

防止ができるようになりたいという学生の認識につなげていくことが重要となる。

さらに、学生が自分自身について振り返るためには、自分の感情を遠慮せずに表出し、自分

と対面するように促すことが必要となる。シミュレーション演習の体験者の感情を受け止め、

思いや思考を丁寧に掘り起し、それぞれの状況にどのように対処したかを明らかにしていくこ

とが求められる。

第3節 シミュレーション教育におけるファシリテーターの役割

体験を体験学習にするには、そこに、ファシリテーションが必要である。白金は、体験から

いかに「学び」が得られるかは、ファシリテーターの力量にかかっているといっても過言では

ないと述べている10。

ファシリテーションとは自分自身で考え、学び、気づき、創造すること等を促進していく働

きを意味し、その役割を担う人がファシリテーター(促進者)である。また、片田はシミュ

レーション教育では、「教育者は学生にチャレンジャーの気持ちを持たせること、よりよいファ

シリテーター(導く人)となるよう努力する必要がある」と述べており、シミュレーション教

育における看護教員の役割の重要性を指摘している11。

また、授業の分析として授業の記録に基づき、授業における一つ一つの事実の持つ意味を明

らかにしていく。授業中における教員の発話をカテゴリー化することによって、授業全体の流

れの効果や特有のパターンなどを明確にすることができる。

本研究では、医療事故を体験する模擬患者を活用した転倒転落のシミュレーション教材にお

看護教育におけるシミュレーション教育の研究(玉井 和子)

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けるリフレクション場面での学習者と教授する側との間にどのような展開があり、どのような

相互作用がみられたかについて検証する。医療事故体験後のグループリフレクション場面(18

グループ)を ICレコーダに記録し、逐語録におこし発話内容を分析し、看護教員のファシリ

テーター役割の傾向の特徴を明らかにする。さらに、看護教員のファシリテーターの活用につ

いて検討する。

第2章 研究方法と結果

第1節 研究方法

演習は模擬患者を活用した「転倒・転落」の医療事故を体験するシミュレーション・リフレ

クションを実施する。事故を体験するというシミュレーションによって、学生は事故の場面に

遭遇する中で、課題解決に向け主体的に考え行動するという機会が与えられる。リフレクショ

ンでは、自分の傾向を知ることができる、グループメンバーと体験の共有をする中で演習を通

して自己教育力を育むことが期待される。

学生にはシミュレーションの内容は患者に事故が起こる可能性が仕組まれているシミュレー

ション演習であることを全体に事前に説明する。さらに、実施中すぐ途中でもやめることがで

きることも十分に説明する。

シミュレーションは3場面、一人ずつ約10分間、学生を配置して実施する。

ファシリテーター役の看護教員にはシミュレーション内容のオリエンテーションと、演習後

のグループリフレクションガイドを活用して説明。

リフレクションはグループで4から5人、約30分間、シミュレーション場面を担当したファ

シリテーター役割の教員が同席する。

1)研究対象:看護教員8名 学生86名

2)研究期間:平成25年2月19日(火)~20日(水)

3)研究方法:模擬患者参加型のシミュレーション医療事故体験後のグループリフレクショ

ン場面(18グループ)を ICレコーダに録音逐語録におこし分析した。8教

員が18グループを対応した。18グループを概観すると、その傾向は大きく3

つのタイプに分けられた。(概観した教員の関わり方の傾向:受容的な傾向、

指摘する傾向、一方的な傾向)。今回、各タイプの代表としてA、B、Cの

3教員を取り上げ詳しく分析を試みた。

4)分析方法:教員、学生の全会話を発話単位ごとに発話応答に着目し、教員と学生との関

わりを分析した。グループリフレクションでのファシリテーター役割の教員

の「肯定、問いかけ、発問、確認、説明など」の働きかけを発話カテゴリー

とした。発話カテゴリーは、先行研究の西之園晴夫12を参考に修正し、教員

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の関わりに沿う発話カテゴリーモデルを想定し定義した(表2)。

表2 教師の発話カテゴリーモデル

本研究では、教員の発話を上記のカテゴリーモデルを用いて分析を行った。そして、今回は

教員の発話傾向を量的に分析し、その発話の特徴から文脈の意味内容を質的に分析することを

試みた。発話カテゴリーに当てはめる際には、教員の発話が学習者にどのような働きかけを持

つかによって分類した。

分類の際には、研究協力者を1名依頼し一致する発話カテゴリーをあてはめることとした。

5)倫理的配慮:研究の概要、匿名性の保証、プライバシーの保持、協力の有無が業務に無

関係であること、得られたデータは研究目的以外には使用しないことを口頭と文書で伝

え同意を得た。

第2節 研究結果

リフレクション場面におけるA、B、Cの3教員と学生とのやりとりから、教員はファシリ

テーターの役割をどのようにしているのかを、発話カテゴリーの傾向、導入から1番目の学生

との発語数の比較、さらに教員(発話)の文脈の意味内容の3つの視点で結果を捉えた。

1.発話カテゴリー分類による傾向の違いについて

分析対象とした、A、B、Cの3教員のリフレクション場面における発話カテゴリ-を分類

した(表3、図1)。

A、B、Cの3教員の発話カテゴリーの分類の結果、表3のような3教員の傾向が示された。

A教員は、肯定(22%)、問いかけ(16%)、発問(15%)、説明(10%)の順で発話全体の約

6割を占めていた。

B教員は、評価(16%)、問いかけ(14%)、確認(14%)、感想(13%)の順で発話全体の

約6割弱を占めていた。C教員は、発問(16%)、肯定(15%)、説明(13%)、指摘(16%)で

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発話全体の約6割を占めていた。

A教員は評価、確認,感想、指摘は上位(4つ)まで入っておらず、肯定、問いかけが多

い。また、B教員は肯定、発問が上位(4つ)まで入らず、評価、が一番多い。C教員は、問

いかけ、確認は上位(4つ)まで入らず、肯定も多いが、加えて説明、指摘が多い。

表3 3教員の発話カテゴリー分類

図1 3教員の発話カテゴリー傾向の違い

2.教員と導入から1番目の学生との発語数の比較について

A、B、Cの3教員リフレクション時間は30分間と設定したが、実際の時間は、A教員(32分

間)、B教員(42分間)、C教員(35分)と少しずつ所要時間の差がみられたため、3教員に共

通したリフレクション場面の導入部分(学生一人に問いかけた応答場面)を取り出して、学生

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とのリフレクション場面での発語数をカウントし比較した。

教員と学生の発語数の比較は、教員/学生と比較するとA教員の場合は学生に対して約7

割の発語数、さらにB教員の場合も学生に対して約8割の発語数であり、教員の発語数の方

が学生より少ない。しかしC教員の場合はほぼ2割ほど学生より教員の発語数の方が多かっ

た(表4)。

表4 教員と学生との発語数の比較(導入から1番目の学生とのかかわり)

3.発話(教員)の文脈の意味内容について

リフレクションにおける学生との応答場面での、教員から見た発話の文脈の意味内容を読み

取り八つに分類した。

この分類は、「思いを受け止めて承認している部分、問いかけて考えさせている部分、建設

的な意見をのべている部分、具体的に問題点を指摘している部分、学生の言葉を解説している

部分、実習の改善に結びつく部分、対処をほめている部分、意図的揺さぶりをしている部分」

である。

3教員のリフレクションでの学生との応答場面の発話(教員)の文脈の意味内容は表5の通

りである。3教員の比較は図2である。

A教員は、「思いを受け止めて承認している部分」が30%、「問いかけて考えさせている部

分」が30%であった。B教員は「具体的に問題を指摘している部分」が36%、「学生の言葉を

表5 3教員の文脈の意味内容の分析

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指摘している部分」が16%であった。C教員は「問いかけて考えさせている部分」が33%、「具

体的に問題点を指摘している部分」が31%であった。

第3章 考察と結語及び今後の課題と展望

第1節 考察

リフレクション場面におけるA、B、Cの3教員はファシリテーターの役割をどのようにし

ているのか、発話カテゴリー分類による傾向の違い、教員と導入から1番目の学生との比較、

リフレクション場面での応答を発話(教員)から見た文脈の意味内容の分析を3つ視点で考察

した。

1.発話カテゴリー分類による違い

表3に示すようにA教員の発話カテゴリーでは、「肯定、問いかけ、発問、確認、説明」と

上位にあり、3教員の中では「肯定」が一番多く「指摘」「評価」は少ない。A教員の場合は

相手の意思を尊重し合い対話を求める発話カテゴリーは双方向性があることが示唆された。

しかし、B教員は「評価」「問いかけ」「確認」「説明」が上位(4つ)にあり、しかも「評

価」は3教員の中では一番多い。学生との関わりで評価しながら関わる傾向が推察された。

C教員は「肯定」「発問」「説明」「指摘」が上位(4つ)にあり、学生は教員から「指摘」さ

れる中で、リフレクション場面では双方向性のやりとりに困難が生じていたことが示唆された。

2.教員と導入から1番目の学生との比較

3教員において共通したリフレクション場面の導入部分(学生一人に問いかけた応答場面)

図2 3教員の文脈の意味内容の分析の比較

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を取り出し比較した。表4より、発語数を検討すると、A教員 B教員の場合は、それぞれ学

生/教員の発語の比較では1.39、1.26と学生の発語数が多い。しかしC教員の場合、発語(学

生/教員)の比較では、0.8であり教員の語りが多い。このことから、C教員の場合、学生は

発話しにくかったことが推察される。

さらに、学生と教員とのやりとりを学生に着目して検討した。[以下( )は、一番目の学

生に関わる部分でのデータ数]

A教員は学生とやりとりの中で、呼びかけ、問いかける教員の関わりに、学生は返答(2)

応答(3)しながら反応している。そして学生のメタ認知(1)、自己モニタリング(3)が

導き出されていた。

ファシリテーターであるA教員は、最初「だいぶ動揺しましたね」と、まず学生の思いを

受け止めている、問いかけをする相手の学生には、まず学生の名前を呼び「○さんですね」と

確認の声かけをして、リフレクションを始めている。その後のやり取りでは、「うんうん」

「ふーんそっか」と、相槌をうちながら、リフレクションをすすめている。模擬ではあるが事

故を体験した学生の感情、事故要因に関する認識、変化した内面について、学生の自己モニタ

リング、メタ認知機能を導き出していた。学生にとって、A教員の呼びかけに呼応する双方

向性の対話が、学習者の学びを促していったと考える。

しかし、B教員の場合は、学生は、教員とのやりとりの中で、返答(2)、応答(4)しな

がら自己モニタリング(5)しているが、メタ認知(0)が導きだせていない。

B教員の場合は、まず学生を肯定しリフレクションに入るのではなく、「お疲れ様でした」

の後に、すぐ「楽しかった?」と、問いかけをしている。シミュレーションではあるが、学生

のショッキングな体験を、「楽しかった?」と、真逆の「問いかけ」をして、意図的な揺さぶ

りをしていると考える。ここでの学生は、「ひどいですよ、あれは、びっくりしました」(笑い)

と、学生との関係性はできていることが示唆されている。しかし、学生との関係性ができてい

ない場合は、学生の思いを十分引き出すのは難しいと考える。

さらに、B教員の場合は学生に対し「いっぱい、怪我させたん?」(笑)という表現もあり、

比喩的に問いかけているが、マイナスなイメージの質問となっている。学生は「はい」と答え

ているが、リフレクションで様々な思いや感情を吐露しにくかったことが推察される。その後

のやりとりの中で、事故を振り返り、自分の行動の経験の意味づけをするメタ認知まで、発展

した学びにつながるような関わりが望ましいと考える。

ファシリテーター役割の教員は、学生が体験を素直に吐露できるようなリフレクションの、

最初の導入でのねぎらいの声かけの重要性が示唆された。さらに、意図的に、否定的な問いで

ある「~させた」というような、強制的な表現は威圧感を与え、学習者の学びを阻害すると考

えられ、メタ認知まで導きだせる学びにつながらないと考える。否定的で指示的な表現は避け、

意欲を引きだすかかわりが重要である。

また、C教員の場合は学生は教員とのやりとりの中で、返答(2)しながら、学生は自己モ

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ニタリング(5)、メタ認知(4)を導き出せている。しかし、このことは、双方向というよ

り、一方向で反省を促していることが考えられる。

C教員は、学生に問いかける時、学生を肯定するのではなく、自分の感想を述べ評価して発

問している。「私ね、~はよくなかったと思うよ。だから、これから~」のように、一文が長

い。学生は、その後の返答で、自分の行動を自己モニタリングして、「複雑でどうしようとい

う焦りと…ありました。」と複雑な思いを吐露している。C教員の場合「肯定、評価、説明、

発問」と、長い発話のため、学生も返答しずらい様子がうかがえる。このようなやりとりは、

一方的であり、学生の自己モニタリング、メタ認知は引き出せているが、双方向性のある対話

で学習者の学びを促す学びの構築にはつながらないことが示唆された。

3.教員と学生の応答の文脈の意味内容の検討

リフレクション場面での応答の文脈の意味内容の分析から、ファシリテーター役割をしてい

る3教員のそれぞれの傾向が現れていることといえる。

A教員の場合は、ファシリテーターとして「思いを受け止めて承認している部分」と「問

いかけて考えさせている部分」が、ほぼ同じ割合で全体の60%抽出された。すなわち、学生の

思いを承認しながら、学生に問いかけて考えさせている。リフレクションの中で、学生と教員

との双方向性があったことが考えられる。

双方向の相互作用の中で、学生は自分の考えを深め、メタ認知機能を働かせ自己モニタリン

グしている。A教員は関係性を尊重した受容した対応をして対話を重視していると推察で

きる。

B教員の場合は、ファシリテーターとして「具体的な問題点を指摘している部分」が全体の

36%抽出されているのが特徴である。「学生の言葉を解説している部分」16%、「問いかけて考

えさせている部分」15%を合わせると全体の約31%を占めている。B教員は具体的な問題を指

摘している部分が多く、そのあと学生の言葉の解説、問いかけ、指摘と、教員主導で対応して

いることが示唆された。教師主導は自己モニタリングはできるが、客観的に自分を把握すると

いうメタ認知機能の思考は発展しにくいということが示唆された。

C教員の場合は、ファシリテーターとして「問いかけて考えさせている部分」が33%と、「具

体的な問題点を指摘している部分」が31%抽出されている。C教員は、学生に問いかけ考えさ

せているが、同様に問題点も指摘もしており、成果や結果を尊重しており、教員主導の一方的

な関わりをしている。この場合、リフレクション場面での双方向性の発展的な学びにつながり

にくいと考える。

リフレクション場面におけるファシリテーター役割の教員の関わり方によって、学生の学び

に違いがあることが示唆された。

佛教大学大学院紀要 教育学研究科篇 第43号(2015年3月)

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第2節 結語及び今後の課題と展望

体験を意味ある経験とした学びにつなげるには、体験後のリフレクションは重要である。

ファシリテーター役割の看護教員の関わりは学生の学びに影響すると考えられる。本研究で

ファシリテーター役割には以下6点が示唆された。

1.まずねぎらいの言葉をかけ、リフレクションを進めていく。

2.呼びかけ、応えるという呼応しやすい双方向の関係をつくる。

3.学習者の主体性を尊重したリフレクションを心掛ける。

4.否定的な表現は避け、肯定的な表現で学生を受け止める。

5.体験後のネガティブな気持ちを読み取り、学生ができたことを言語化して伝える。

6.学生の行った看護ケアについて、一方的に誤りと決めつけて批判的に終始することは

慎む。

また、今後の課題として以下7点を展望しながら、さらに学生の学びを促す看護教員のファ

シリテーター役割の検討を重ねていく必要がある。

1.自分の気持ちを表出しやすい環境を作り出していく必要がある。

2.模擬ではあるが学生が医療事故を体験することに対して、学生の行動をよく観察する。

3.参加者間の自由な意見の交換ができるように促していく。

4.操作的な言動を慎み、学生の考えを引出し、学生を支援する。

5.具体的な事例として、1)学生の学びを引き出すファシリテーター教員モデル 2)引き

出しにくい教員モデルを資料で提示する。

6.学習者の知識を引き出したり、思考するヒントを与えたり、学習者の行為を意味づけ解

説する。

7.終了後は、リフレクション場面での学生との関わりを、話し合う時間を持つ。

以上のことをふまえ、ファシリテーター役割の教員は教育的な関わりを努力していく必要が

ある。

終わりに

授業の展開において、授業をどのように進めるか、コミュニケーションが軸となる。瞬時に

行われる教師の意思決定によって、授業の方向が決定されていく。

近年の看護教育において、教育現場が直面している問題の一つは臨床現場を取り巻く環境の

変化である。これまで学生の実践能力を育成してきた臨床現場では、著しい変化が生じ、学生

は臨地実習での実践の機会が非常に少なくなってきた。

しかしながら教育方法が見直され、看護師の実践能力を養う効果的な方法として、積極的に

シミュレーション教育が取り組まれるようになってきた。学生は安全な看護を提供するために、

現実に近い状況でシミュレーションを行い、失敗の振り返りから、学ぶことが求められている。

看護教育におけるシミュレーション教育の研究(玉井 和子)

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このシミュレーション教育の実施には学習者の気づきや発見を促すリフレクションにおける

ファシリテーターの役割の働きが重要となる。

本研究では、授業を構成するコミュニケーションの大きな因子として発話に焦点をあてるこ

とを試みファシリテーターの役割の重要性を明らかにした。3教員のみに対する分析の検討で

あること、さらにリフレクション場面での学生の反応について十分に検討できていないため、

本研究の限界があると考える。今後さらにファシリテーター役割の効果の研究が必要である。

授業展開に応じて授業を認知しながら、授業の瞬間に起きている出来事を丁寧に扱うことが

重要であり、その一つが教員の発話での関わりと考える。ファシリテーターの役割を活用した

医療安全教育では、教員は自らの教授行動に目を向け、自分の授業を振り返り授業方略を見直

す機会を持ちながら授業の質を高めていくことが望まれる。

〔注〕

1 L.コーン、J.コリガン、M.ドナルドソン・米国医療の質委員会/医学研究所、編著 医学ジャーナリスト協会訳(2000)『人は誰でも間違える--より安全な医療システムを目指して』、日本評論社

2 丸山美知子他(2003)『看護・医療における事故防止のための教育方法開発に関する研究(平成14年度)報告書』厚生労働省看護研修研究センター玉井和子(2005)「看護教員が捉えた初学者の“失敗したくない私”から考える事故予防行動--転倒・転落シミュレーション・リフレクションン体験演習から--」平成17年度厚生労働省研修研究センター研修卒業論文

3 玉井和子(2010)「看護基礎教育における医療安全教育の開発に関する研究--授業(演習)におけるリフレクションのあり方の検討--」佛教大学卒業論文

4 藤岡完治・野村明美(2000)『わかる授業を創る看護教育技法3シミュレーション・体験学習』医学書院、pp1-11

5 Edgar Dale、西本三十二訳(1957)『デールの視聴覚教育』日本放送出版会、pp.32-476 大滝純司、阿部幸恵(2012)『シミュレータを活用した看護実習指導』日本看護協会出版会、pp.27 小西美和子(2013)「学生の学びをつないでいくためのシミュレーション教育の位置づけ」『看護教育』Vol.54、No.5、pp.356

8 本田芳香他(2001)「患者導入による学習の有用性」東京女子医科大学看護学部紀要、第4巻、pp.33-389 注2再掲10 白金聡美(2004)「体験学習におけるファシリテーションに関する一考察」平成15年度長期研修教員

報告書『山口教育研修所』、pp.43-5611 片田裕子他「(2007)看護領域のおけるシミュレーション教育の必要性」、『富山大学看護学会誌』第

6巻2号、pp.6512 西之園晴夫(1988)『授業技術講座1授業をつくる』ぎょうせい、pp128

〔参考文献〕

・西岡正子(2000)『生涯学習の創造--アンドラゴジーの視点から--』ナカニシヤ出版・丸山美知子他(2001)『看護・医療における事故防止のための教育方法開発に関する研究(平成12年度)報告書』厚生労働省看護研修研究センター

佛教大学大学院紀要 教育学研究科篇 第43号(2015年3月)

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Page 16: 看護教育におけるシミュレーション教育の研究 · 玉井は、この教材を活用し転倒転落シミュレーションリフレクション体験演習におけ

・佐伯 胖(1995)『「学ぶ」ということの意味』岩波書店・浅田匡、生田孝至、藤岡完治(1998)『成長する教師』金子書房・鹿毛雅治,那須正裕(編)(1997)『学ぶこと教えること』金子書房・梶田正巳(2004)『授業の知』有斐閣・加藤幸次(1977)『授業研究の新課題5授業のパターン分析』・川口史恵・秋光恵子(2011)「道徳授業における発話カテゴリーの作成」学校教育学研究、第23巻、pp.17-26・岸 俊行・野嶋栄一郎(2006)「学校国語科授業における教師発語・児童発語に基づく授業実践の構造分析」教育心理学研究、第54巻,pp.322-333

・中野民夫(2003)『ファシリテーション--革命参加型の場づくりの技法--』岩波書店・佐藤 学(2000)『授業を変える学校が変わる』小学館・ジョン・M.ケラー(著)、鈴木克明(翻訳)(2010)『学習意欲をデザインする--ARCSモデルによるインストラクショナルデザイン』、北大路書房

・社団法人日本看護協会『2005年新卒看護職員の入植後早期離職防止対策報告書』、2006年3月発行・社団法人日本看護協会:2004年新卒看護職員早期離職等実態調査、2005年3月発行

(たまい かずこ 教育学研究科生涯教育専攻修士課程修了)

(指導教員:西岡正子教授)2014年9月30日受理

看護教育におけるシミュレーション教育の研究(玉井 和子)

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