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と畜場におけるHACCPによる衛生管理
厚生労働省 関東信越厚生局健康福祉部 食品衛生課
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「と畜場における衛生管理の高度化に,向けた研修会」平成27年10月14日(水)
さいたま新都心合同庁舎2号館5階共用大会議室
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HACCP(ハサップ)とは
原材料の受入れから最終製品までの各工程ごとに、
① 微生物、化学物質、金属の混入などの潜在的な危害要因を分析・特定(危害要因の分析:
Hazard Analysis)した上で、
② 危害の発生防止につながる特に重要な工程(重要管理点:Critical Control Point)を継続
的に監視・記録する工程管理のシステム。
これまでの抜取検査に比べ、より効果的に問題のある製品の出荷を未然に防ぐことが可能
となるとともに、原因の追及を容易にすることが可能。
* FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)により、HACCP適用のガイドラインが示されている。
HACCP方式
従来方式
工程例
原
料
入荷
保管
加熱
冷却
包装
出荷
継続的な監視・記録
抜取検査
温度の管理 異物の検出
※CCPの例
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「HACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point)システムとその適用のため
のガイドライン」 (Codex委員会において、1993年採択、1997年、2003年改訂)
≪HACCPシステムの7原則と手順≫
手順 1 HACCPチームの編成手順 2 製品の特徴の確認手順 3 製品の使用方法の確認手順 4 製造工程一覧図の作成手順 5 製造工程一覧図の現場での確認手順 6 (原則 1) 危害要因の分析・特定手順 7 (原則 2) 重要管理点の決定手順 8 (原則 3) 管理基準の設定手順 9 (原則 4) 重要管理点をモニタリングするシステムの設定手順10 (原則 5) 管理基準から逸脱した時に取るべき改善措置の設定手順11 (原則 6) HACCPが効果的に機能していることの検証手順の設定手順12 (原則 7) 文書化及び記録保管の設定
HACCPシステムの7原則と手順
危害要因分析と
CCPの決定
HACCP入門のための手引書
【と畜・食肉処理編】
<一例>
トリミング工程の次に「枝肉検査工程」を
設けて、この工程をCCPとすると良い。
※ トリミング対象必須:糞便・消化管内容物・乳汁
食肉の輸出入(公衆衛生関係)食肉の輸出入(公衆衛生関係)
○ と殺・解体・脱羽・内臓摘出・分割・細切等の処理又は製造が、我が国と同等以上の基準に基づき、衛生的に行われていること
○ 輸出国政府の発行する衛生事項が記載された証明書の添付
日本 相手国
二国間交渉
輸出国における食肉処理に関する衛生水準の同等性評価
食品衛生法第9条
輸入可能
○ 相手国の求める衛生要件への合致
○ 衛生証明書の発給
○ 査察の実施 等
輸出可能
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SPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)
SPS協定(衛生植物検疫措置の適用に関する協定)
• 国際貿易に対する障壁にならないことを条件に、WTO加盟国が人の健康と生命に係る保護措置をとる権利を確保
• 加盟国は、食品の安全性に係る措置を、上記目的を達するために必要な限度において科学的原則に基づき適用する。例:HACCP、残留物質モニタリング
• 食品の安全性に係る措置が異なっていても、適切な保護のレベルが達成される場合は、同等のものと認められなければならない。→ 例:食肉検査員の取扱い
日本:地方自治体の獣医師米国:国の獣医師及び非獣医の検査員 38
輸出解禁までの流れ輸出解禁までの流れ
書簡等による解禁要請(農林水産省)
相手国当局からの質問票の送付(動物衛生及び食品衛生)
相手国当局の現地調査(食肉処理施設、農場等)
具体的な輸出条件の交渉(動物衛生及び食品衛生)
二国間合意・輸出解禁39
食肉(牛肉)の輸出実態食肉(牛肉)の輸出実態
二国間合意を締結して衛生証明書を要求する国(米国、EU、
香港、マカオ等)
二国間合意に基づく衛生証明書を要求しない国(カンボ
ジア等)
二国間合意締結のため交渉中の国(オーストラリア、
中国等)
輸出可能 輸出不可
平成27年3月現在http://www.maff.go.jp/aqs/hou/require/index.html 40
輸出に対する口蹄疫の影響
• 平成22年4月20日に宮崎県において口蹄疫の疑似患畜の一例目を確認
• 偶蹄類由来の食肉の衛生証明書の発給停止(自粛)(平成22年4月20日付け事務連絡)
• 食肉輸出の再開
H22.4:香港(牛肉) H24.4:カナダ(牛肉)
H22.5:香港(豚肉) H24.8:米国(牛肉)
マカオ(牛肉)
• 輸出再開は各国との個別協議
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輸出の留意点• 輸出条件は国によって異なり、衛生要件を求
められた場合はその取扱いについて各自治体食品衛生主管部(局)へ通知している。
• 必要に応じて相手国の査察を受ける。(過去の査察状況)
米国:1回/年 タイ:1回/2年 シンガポール:新規施設認定時
(平成24年度以降査察を実施した国)
牛肉:シンガポール、メキシコ、米国、フィリピン
豚肉:シンガポール
• 相手国の輸出条件を満たさない食肉を輸出した場合、当該施設のみならず日本全体の輸出が停止する場合がある。
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食肉の輸出要件等(厚労省査察を要する国)
輸出先国 畜種 施設数 主な輸出要件施設等認定者
衛生証明書管理者施設等の主な
登録要件
米国 牛肉 9施設認定衛生証明書の添付
厚生労働省 HACCP導入
カナダ 牛肉 7施設認定衛生証明書の添付
厚生労働省 HACCP導入
香港
牛肉 10施設認定衛生証明書の添付
厚生労働省 HACCP導入
豚肉 95 施設選定衛生証明書の添付
都道府県等 -鶏肉 67
※ この他に、農林水産省の管轄する家畜衛生要件がある。http://www.maff.go.jp/aqs/hou/exguuteirui2.html
平成27年3月現在43
食肉の輸出要件等(厚労省査察を要する国)
輸出先国 畜種 施設数 主な輸出要件施設等認定者
衛生証明書管理者施設等の主な
登録要件
シンガポール
牛肉 10
施設認定 シンガポール政府
HACCP導入衛生証明書の添付 都道府県等
豚肉 4
施設認定 シンガポール政府
HACCP導入衛生証明書の添付 都道府県等
残飯を給与されていないこと
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EU 牛肉 3
施設認定 厚生労働省
HACCP導入
衛生証明書の添付都道府県等及び
動物検疫所
※ この他に、農林水産省の管轄する家畜衛生要件がある。平成27年3月現在44
(株)群馬県食肉卸売市場G-1(米・加・HK・SG・EU)
(株)ミヤチク高崎工場M-1 (米・加・HK・SG)
南九州畜産興業(株)末吉とちく場K-1 (米・HK・SG)
(株)阿久根食肉流通センターK-3 (米・加・HK・SG・EU)
●
●●
●
・ピッシングを行っていない、SRM除去・HACCPによる衛生管理・指名検査員による衛生証明書の発給 等
●
(株)ミヤチク都農工場M-2 (米・HK・SG)
●
(株)岩手畜産流通センターI-1 (米・加・HK・SG)
(株)JAかごしま南薩工場K-4 (米・加・HK・SG)
サンキョーミート(株)有明ミート工場K-2 (米・加・HK・SG・EU)
●
●飛騨食肉センターGI-1(HK・EU)
●
日本からの牛肉の輸出(対米・対加・対香港・対シンガポール・対EU)
(平成27年5月14日現在)
(株)熊本畜産流通センターKU-2 (米・加・HK・SG)
●
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対米輸出食肉施設認定重要点1対米輸出食肉施設認定重要点1
• と畜場等は、対米輸出食肉の種類以外の家畜をとさつ・解体及び分割する施設完全に区画されていること。
• 食肉処理場はと畜場に併設され、とさつ・解体から分割までが一貫して行われること。
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対米輸出食肉施設認定重要点2対米輸出食肉施設認定重要点2
• 食品由来の疾患の原因となる病原微生物の削減を目的として、HACCPを導入すること。
• 衛生に関する標準作業手順書を文書化し、処理の手順、その実施責任を明確化し、より確実な衛生管理を実施すること。
= ゼロトレランス(糞便・消化管内容物・乳汁)の実行
• 病原微生物の主要な汚染経路である糞便汚染に関する処理工程管理が適切であるか検証するために、糞便汚染の優れた指標である大腸菌の検査を実施すること。
• 生体搬入からと畜までの間、動物福祉に配慮すること。47
認定の要件及び認定後の事務(食肉衛生検査所)認定の要件及び認定後の事務(食肉衛生検査所)
• 厚生労働省が、あらかじめ都道府県知事等の推薦を受けて対米輸出食肉を検査する検査員として指名したと畜検査員(指名検査員)により、獣畜及び食肉についての検査
• 指名検査員よると畜場等の衛生管理衛生の適正な実施の確認• 指名検査員によるSSOP、HACCPシステムの検証• サルモネラ検査の実施• 残留物質に関するモニタリングの実施(月1回)• 食肉衛生検査証明書の発行• 検査結果及び輸出実績の厚労省への報告(月1回)
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対香港輸出食肉施設認定追加要件対香港輸出食肉施設認定追加要件
• 30か月齢超の牛由来の牛肉を輸出するために必要な体制(区分管理マニュアルなど)が整備されていること。
対EU輸出食肉施設認定追加要件対EU輸出食肉施設認定追加要件
• より厳しい動物福祉要件を順守すること。• 施設は、 工程管理が適切であるか検証するために、一般生菌数、腸内細菌科菌群及びサルモネラ属菌の検査を実施すること。• より多くの検査項目、検体について残留物質モニタリング検査を実施すること。
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対シンガポール輸出食肉対シンガポール輸出食肉
• シンガポール政府(AVA)が施設を認定する。→施設は、管轄自治体、厚生労働省を経由して、AVA
へ必要書類(英語)を提出。AVAが書類審査及び必要に応じて現地調査を実施し、施設を認定。
• 地方厚生局は牛肉輸出施設に対し、月1回査察を実施する。• 以前は30か月齢未満の牛肉しか輸出できなかったが、平成26年3月28日付けで要領が改正され、月齢制限が撤廃された。また、月齢によるナイフの使い分けも不要となった。• 牛肉については、家畜保健衛生所による出生証明書の添付が不要となった。
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認定後の事務等認定後の事務等
• 厚生労働省(厚生局)による月1回の査察(と畜場等及び食肉衛生検査所)
• FSIS(米国農務省食品安全検査局)による査察(概ね年1回)
使用器具や各作業工程の衛生管理状況をチェック51