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飯塚 留美/武田 まゆみ/深澤 香代子 [著]

L T E W o r l d T r e n d s 2 0 1 1

世界のLTE最新動向2011[ サービス/料金体系/キャリア動向/周波数利用/標準化 ]

インプレスR&D インターネットメディア総合研究所[ 新産業技術レポートシリーズ ]

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Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 3

はじめに

本年(2010 年)の 12 月 24 日、クリスマスイブに、いよいよ日本の第 1 位携帯電話事業者である

NTT ドコモが、国内初の歴史的な LTE サービス「Xi」(クロッシィ)を開始します。

次世代移動通信システム「LTE」(Long Term Evolution)は、事実上のグローバルな標準方式とし

て、すでに世界の各移動通信(携帯電話)事業者が導入に向けた取り組みを始めています。例えば、

直近では 2010 年 12 月 5 日に、米国第 1 位の携帯電話事業者ベライゾンワイヤレスが、LTE 商用サー

ビスを開始するなど、すでに 10 カ国もの国で、サービスが開始されています。

下り最大数十 Mbps の高速化や低遅延のデータ通信を実現する LTE の登場によって、モバイル市場

は世界的に大きな転換期を迎えます。かつて、固定ブロードバンドの浸透とともに PC ベースのイン

ターネット環境がコモディティ化したのと同じ現象が、モバイルの領域でも起ころうとしているので

す。いわゆる、モバイル・クラウド時代の到来です。

すでに、モバイル・クラウドに向かう動機づけはできています。iPhone に代表される PC 並みの高

性能 CPU と大容量メモリーを搭載したスマートフォンによって、私たちはさまざまなアプリをダウン

ロードして、リッチな映像コンテンツや高機能なサービスを体験しています。LTE によって通信回線

のボトルネックが解消され、今後はモバイル・クライドを介して、スマートフォン・アプリ並みの、

あるいはより高度なサービスが受けられるようになります。そうなると、端末の環境も大きく変化し

ます。利用者はユーザー体験を重視するようになり、TPO に応じて最適な専用端末を使い分けるよう

になるかもしれません。携帯電話機のみならず、ノート PC やタブレット PC、電子書籍、さらにはデ

ジタル・カメラやゲーム機、テレビなど、身の回りのさまざまな機器に LTE の通信機能が組み込まれ

る可能性があります。

もちろん一足飛びでそのような世界が実現されるとは考えられません。各移動通信事業者が当初提

供する LTE サービスはいずれも、PC 用のデータ通信サービスに限定されるため、利用者には WiMAX

などの高速データ通信サービスとの違いが見えにくいと思います。しかし、LTE の技術が段階的に実

装されることによって、他の方式では実現できない、まったく新しいモバイル・アプリケーションの

創出が期待されます。LTE はその名称の通り、Long Term Evolution ―進化しつづける存在― だから

です。私たちはその入り口に立ったばかりです。

本書では、サービス当初には見えづらい LTE の真の姿を理解していただくために、「なぜ LTE なの

か」「LTE とは何なのか」「どのような取り組みがされているのか」「利用者にどのような恩恵をもたら

すのか」、さらに LTE の次に来る第 4 世代(4G)の LTE-Advanced に至るまで、さまざまな観点から LTE

を詳説しています。

まず第 1 章では、携帯電話事業者が直面している経営課題を中心に、LTE の推進要因を考察してい

ます。

続く第 2 章では、日本の携帯電話 4 社(NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・モバイル)の LTE

導入までのロードマップやビジネス戦略を紹介しています。日本では 2010 年に NTT ドコモがサービ

4 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

ス開始しますが、他の事業者については、保有する周波数や既存設備の整備状況などから、2012 年以

降のサービス開始になる見通しです。

第 3 章では、世界の LTE サービスの最新動向を、料金体系を含めて紹介しています。海外では、大

手携帯電話事業者の動き以外にも、新規参入事業者が早期に LTE サービスを開始し、既存の通信事業

者と差別化を図る動きも見られます。また、ローエンドユーザーに対するプリペイド型データ通信サ

ービスとしてや、MVNO へのデータ回線卸事業として LTE を提供する例もあります。

第 4 章では、日本を含む世界の周波数割当の最新動向を紹介しています。モバイルブロードバンド

の進展は、高速大容量のデータ通信を全国規模で可能とする無線周波数をいかに獲得できるかが重要

です。規制当局にとっても、いかに周波数を再編して新たな需要に応えていくかが重要な政策課題で

す。加えて、世界標準である LTE では、周波数帯の国際協調も必要になっています。

第 5 章では、LTE を技術的な観点から解説しています。3G まで林立していた移動通信システムが、

LTE に収束する動機となっている高速伝送や低遅延など LTE の技術要素を解説するとともに、次世代

となる 4G「LTE-Advanced」の最新の標準化動向についても紹介しています。

第 6 章では、LTE の設備機器ベンダーの動きを詳説するとともに、携帯電話事業者の間で広がって

いる設備共用やアウトソーシングの動きについても紹介しています。また、LTE の特殊なビジネスモ

デルとして、通信事業者向け卸売専業の米 LightSquared(ライトスクェアード)を紹介しています。

最後に第 7 章では、LTE を利用するサービスイメージや、LTE が産業や社会に与える影響について

考察しています。

LTE を技術やビジネス、サービスなどさまざまな観点から、最近の情報を盛り込んだ本書が、LTE

の実体をとらえ、今後の新しいビジネスを創出するためのガイドとしてお役に立てることを願ってい

ます。

最後に、本書を執筆するに当たり、日本エリクソン株式会社 最高技術責任者(CTO)の藤岡雅宣

氏、アマツ株式会社 取締役 Chief Creative Officer の澤紫臣氏、その他多くの方に多大なご協力

をいただきましたことを、心から感謝を申し上げます。また、記念すべき LTE 元年に本書を執筆する

機会を与えていただくとともに、執筆にあたってさまざまなご示唆をいただいた株式会社インプレス

R&D インターネットメディア総合研究所 所長の三橋昭和氏、副編集長の威能契氏にも深くお礼を

申し上げます。

2010 年 12 月吉日

著者を代表して 武田まゆみ

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 5

目次

世界の LTE 最新動向 2011

はじめに ........................................................................ 3

第 1章 LTE登場の背景 ........................................................... 9

1.1 高速化・低遅延を実現するLTEサービスの登場 ................................. 10

1.2 なぜLTEなのか? ........................................................... 11

1.2.1 携帯電話事業者が直面している経営課題 ................................. 11

1.2.2 急増するトラフィックへの対応

―データトラフィックより制御トラフィックが問題― .............................. 16

1.3 競争力のある定額料金プランと通信環境に応じた適正料金の設定に向けて ........ 20

1.4 LTEによる付加価値の創造 ................................................... 22

第 2章 日本における携帯電話事業者のLTE最新動向 ................................ 27

2.1 日本の携帯電話事業者のLTEへの移行プロセス ................................. 28

2.2 NTTドコモの戦略 ........................................................... 31

2.2.1 業界初のLTE商用サービス「Xi」(クロッシィ) ........................... 31

2.2.2 NTTドコモのLTEシステム展開の特徴 ..................................... 33

2.2.3 NTTドコモの今後の導入計画 ............................................ 36

2.2.4 日本発「LTE端末開発プラットフォーム」を世界に発信 .................... 37

2.2.5 サービスイメージは、まず動画体験から ................................. 38

2.3 イー・モバイルの戦略 ...................................................... 39

2.3.1 国内最速のDC-HSDPA対応データ通信サービス「EMOBILE G4」 ............... 39

2.3.2 LTEより少額の追加投資で人口カバー率 75.2%を計画 ..................... 40

2.4 ソフトバンクの戦略 ........................................................ 43

2.4.1 LTEは実証実験フェーズ ................................................ 43

2.4.2 現行の 3Gシステムの強化が急務 ........................................ 44

2.4.3 2010年 2月、1.5GHz帯でDC-HSPA導入を予定 ............................. 46

2.4.4 海外携帯電話事業者と足並みを揃えてLTEへ移行 .......................... 46

2.4.5 TD-LTEの可能性 ....................................................... 47

2.5 KDDIの戦略 ................................................................ 48

2.5.1 LTEの商用サービスは 2012年から ....................................... 48

2.5.2 サービス当初から端末は携帯電話機中心、音声は 3G網を利用 .............. 50

2.5.3 LTEとモバイルWiMAXの両方に投資 ....................................... 51

6 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

2.5.4 LTE移行期間は「EVDOマルチキャリア」でトラフィック増に対応 ............ 54

2.5.5 マルチデバイス・マルチネットワークの実現に向けて ..................... 55

第 3章 世界のLTE最新動向 ...................................................... 59

3.1 世界のLTEの導入状況 ....................................................... 60

3.2 LTEに収斂する世界のモバイル市場 ........................................... 62

3.3 LTE商用サービス開始国の動向 ............................................... 64

3.3.1 スウェーデンおよびノルウェー ......................................... 66

3.3.2 ウズベキスタン ....................................................... 66

3.3.3 ポーランド ........................................................... 67

3.3.4 米国 ................................................................. 67

3.3.5 その他の国でのLTE導入に向けた取り組み ................................ 68

3.4 TD-LTEの動向 .............................................................. 82

3.4.1 TD-LTEに関する中国とインドを中心とした動き ........................... 82

3.4.2 TD-LTEに対する中国の取り組み ......................................... 84

3.5 TDDバンドをめぐるWiMAXとLTEの攻防 ......................................... 87

3.6 LTE公共安全システムの動向 ................................................. 88

3.6.1 米国における 700MHz帯の再編 .......................................... 89

3.6.2 国家ブロードバンド計画の公共安全無線ブロードバンドに関する勧告 ....... 90

3.6.3 州・地方自治体等における公共安全無線ブロードバンド網の構築 ........... 92

3.7 LTEサービスの料金体系 ..................................................... 93

3.7.1 テリアソネラ(スウェーデン) ......................................... 93

3.7.2 Tele2スウェーデン/Telenorスウェーデン .............................. 95

3.7.3 米国メトロPCS ........................................................ 96

3.7.4 ドイツVodafone Germany ............................................... 97

3.7.5 米国ベライゾンワイヤレス ............................................. 98

第 4章 モバイルブロードバンドの周波数割当をめぐる世界動向 .................... 101

4.1 新たな無線周波数の創出 ................................................... 102

4.2 周波数割当の世界動向 ..................................................... 106

4.3 アナログ跡地の再編 ....................................................... 110

4.4 GSM900の 3G利用 .......................................................... 114

4.5 450MHz帯のLTE利用 ........................................................ 117

4.6 2.6GHz帯の周波数割当 ..................................................... 118

4.7 オークション市場へのベンダーの参入 ....................................... 122

4.8 公共セクターの周波数再編 ................................................. 123

4.9 日本における周波数割当の最新動向 ......................................... 123

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 7

4.9.1 注目される 700/900MHz帯の割当て計画 ................................. 125

4.9.2 「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討WG」最終取りまとめ .. 126

第 5章 LTEの技術トレンドと最新の標準化動向 ................................... 133

5.1 LTEまでの移行の流れ ...................................................... 134

5.1.1 3G以降の移動通信システムの変遷 ...................................... 135

5.1.2 ITU-Rと 3GPPの役割および両者の関係 .................................. 138

5.2 3G(IMT-2000)から 4G(IMT-Advanced)への展開 ............................ 140

5.3 LTE/LTE-Advanceへ向けた具体的な進化・発展 ............................... 143

5.3.1 3GPPが標準化の対象とする移動通信システムの 3つの領域 ................ 143

5.3.2 無線アクセス・ネットワークと 3つの多元接続方式 ...................... 144

5.4 3.9Gの移動通信システム(LTE)のアーキテクチャとその仕様 .................. 148

5.4.1 3.9G移動通信システム(LTE)の構成 ................................... 149

5.4.2 LTEの性能要件とユーザー端末分類 ..................................... 150

5.5 LTE技術の特徴:3つの進化を中心に ........................................ 152

5.6 LTE技術 3つの進化<その 1>:高速化への進化 .............................. 154

5.6.1 LTEの高速化への進化①:多元接続方式 ................................. 154

5.6.2 LTEの高速化への進化②:周波数帯域の拡大/OFDMA ....................... 155

5.6.3 LTEの高速化への進化③:高次変調方式(多値変調方式) ................. 157

5.6.4 LTEの高速化への進化④:MIMO(複数のアンテナを利用する技術) ......... 157

5.6.5 LTEの高速化への進化⑤:LTE端末の低消費電力化 ........................ 158

5.6.6 LTEの高速化への進化⑥:キャリア・アグリゲーション技術 ............... 159

5.7 LTE技術 3つの進化<その 2>:コア・ネットワークの進化 ..................... 159

5.8 LTE技術 3つの進化<その 3>:外部ネットワークとの親和性 ................... 162

5.9 LTEでの音声サービス:CSFBとVoLTE ......................................... 164

5.9.1 2Gまたは 3Gと連携させる音声サービス ................................. 165

5.9.2 IMSを用いた音声サービス(VoIPサービス) ............................. 166

5.10 LTEにおける低遅延の実現:片道 5msを実現 .................................. 167

5.10.1 3GPPの各システムにおける遅延時間 .................................... 167

5.10.2 ユーザー端末とLTE基地局間の送信時間間隔の改善とHARQ ................. 168

5.10.3 各ノードにおける伝送処理時間 ........................................ 170

5.11 3GPPではLTEからLTE-Advancedへ ............................................ 170

5.11.1 高速化に向けた 4G「LTE-Advanced」の検討内容 ......................... 170

5.11.2 LTE-Advanced技術①:キャリア・アグリゲーション ...................... 174

5.11.3 LTE-Advanced技術②:マルチアンテナ技術(8×8MIMO技術) .............. 175

5.11.4 LTE-Advanced技術③:セル間協調送受信技術(CoMP) ..................... 175

5.11.5 LTE-Advanced技術④:SON(自動ネットワーク構成技術) ................. 176

8 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

5.11.6 LTE-Advanced技術⑤:レイヤ 3リレー技術 .............................. 177

5.11.7 LTE-Advanced技術⑥:Home eNodeB技術(LTEフェムトセル) .............. 178

第 6章 LTE関連市場における世界のベンダーの最新動向 ........................... 181

6.1 LTE関連機器市場をめぐるベンダー間競争 .................................... 182

6.2 ベンダーの事業展開概況 ................................................... 185

6.2.1 ファーウェイ(華為技術) ............................................ 185

6.2.2 ZTE(中興通訊) ..................................................... 185

6.2.3 エリクソン .......................................................... 187

6.2.4 ノキアシーメンスネットワークス(NSN) ............................... 190

6.2.5 モトローラ .......................................................... 195

6.2.6 アルカテル・ルーセント .............................................. 197

6.2.7 日本ベンダー ........................................................ 199

6.3 ネットワークの共用とアウトソーシングの動き ............................... 201

6.4 LightSquaredに見る特殊なLTEのビジネスモデル .............................. 204

6.4.1 ビジネスモデルの課題 ................................................ 205

6.4.2 モバイルキャリア間のインフラ設備共用化における新たな選択肢 .......... 207

第 7章 LTEで広がるサービス ................................................... 209

7.1 LTEとクラウド、端末の進化によるダイナミズム .............................. 210

7.2 動画を中心とする大容量消費型アプリケーションの発展 ....................... 213

7.2.1 世界に先行している日本の携帯電話のリッチコンテンツ化 ................ 213

7.2.2 ソーシャルネットワークにおけるモバイルアクセスの増加 ................ 215

7.2.3 オンラインゲームにおける高度化 ...................................... 216

7.2.4 本格化するユニファイドコミュニケーション ............................ 217

7.3 携帯端末から車載端末へと利用用途が拡大 ................................... 218

7.3.1 LTEの高度交通システムへの利用 ....................................... 218

7.3.2 LTEを搭載した「LTE Connected Car」 .................................. 219

7.3.3 グーグル、KDDI、NTTドコモの車載端末向けアプリケーション ............. 222

7.4 有望視される公共、医療分野へのLTEの応用 .................................. 224

7.4.1 救急医療支援情報流通システム「GEMITS」 .............................. 225

7.5 M2M、LTE、クラウドを結ぶエコシステム ..................................... 226

7.6 ワイヤレスでつながる社会の功罪 ........................................... 229

7.6.1 マスメディアの公益性と商業性 ........................................ 229

7.6.2 ネット社会の公共性 .................................................. 230

7.6.3 プライバシー ........................................................ 231

索引 ...................................................................... 233

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 9

第1章

LTE登場の背景

1.1 高速化・低遅延を実現する LTEサービスの登場 ................................ 10

1.2 なぜ LTEなのか? .......................................................... 11

1.2.1 携帯電話事業者が直面している経営課題 ................................. 11

1.2.2 急増するトラフィックへの対応

―データトラフィックより制御トラフィックが問題― .............................. 16

1.3 競争力のある定額料金プランと通信環境に応じた適正料金の設定に向けて ........ 20

1.4 LTEによる付加価値の創造 .................................................. 22

第 1 章 LTE登場の背景

10 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

2010 年は、「次世代モバイルブロードバンドネットワーク」が本格的にスタートした年である。

その「本命」と目されるのが、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる移動通信システム(携帯

電話方式)である。

今やデータトラフィックの増大による収益性悪化と通信容量不足は、携帯電話事業者にとって

世界共通の課題となっている。こうしたなか、携帯電話事業者の間では、既存の通信設備を LTE

に移行する機運が高まっている。では、なぜ LTE なのか。

本章では、LTE の技術的要素がどのように携帯電話事業者の抱えている経営課題を解決するの

か、LTE の導入によって利用者はどのような恩恵を享受できるのか、LTE の推進要因について考

察する。

1.1 高速化・低遅延を実現するLTEサービスの登場

LTE は、NTT ドコモやソフトバンクモバイルなどが採用している 3G 移動通信システム「W-CDMA(注

1)」の高速データ通信規格「HSPA」(注 2)(3.5G)をさらに進化させたもので、国内では「3.9G」とし

て位置づけられている。

光ファイバ並みの高速化や低遅延(注 3)を実現し、エンドユーザーの最大伝送速度(実効速度)やセ

クター容量を大幅に改善する LTE の登場によって、‘Broadband on Go’(「いつでも」「どこでも」「ど

のデバイスからも」ブロードバンドにつながる環境)が可能になると期待されている。

(注 1)W-CDMA:Wideband-CDMA、日本とヨーロッパが共同提案した第 3世代(3G)の移動通信システ

ム。CDMAは Code Division Multiple Access(符号分割多元接続)の略語。

(注 2)HSPA:High Speed Packet Access、高速パケットアクセス。HSDPA(High Speed Downlink Packet

Access、高速下りパケットアクセス)と HSUPA(High Speed Uplink Packet Access、高速上りパケッ

トアクセス)を総称して HSPAと言う。

(注 3)低遅延:端末から基地局(あるいは基地局から端末)に届くまでの片道のデータ転送時間を

遅延時間と言う。LTEの場合は 5msと HSPA の場合(20ms)の 4分の 1の低遅延を実現している。詳細

は第 5章を参照。〕

すでに、2009 年 12 月には、世界に先駆けて北欧のテリアソネラ(本社:スウェーデン・ストック

ホルム)がスウェーデンのストックホルムとノルウェーのオスロで、世界初となる商用 LTE サービス

を開始している。その後、2010 年に入り、7 月にはウズベキスタンで、9 月にはポーランドでもサー

ビスが開始されている。

これらはいずれもデータ通信サービスに限定されたものであるが、米メトロ PCS(本社:テキサス

州リチャードソン)では 2010 年 9 月、ラスベガスとダラスで LTE 初となる音声サービスも含めた商

用サービスを開始している。このほか米国では、2010 年末に向けて、ベライゾンワイヤレス(本社:

ニュージャージー州バスキングリッジ)も全米 38 都市でサービスを開始した。

第 1 章 LTE登場の背景

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 11

一方、日本では NTT ドコモが 2010 年 12 月 24 日よりサービスを開始する。

3Gや 3.5Gでは、W-CDMA/HSPAやCDMA2000/EV-DOなど携帯電話事業者によって採用している通信方式

が異なっているが、3.9Gでは、すでに 46 カ国 113 事業者がLTEを採用する方向に動いている(2010

年 10 月時点)1

それでは、なぜ、世界の携帯電話事業者が一様に LTE の導入に向かうのだろうか。それは、現在の

携帯電話事業者が直面している課題に関係する。事業者が LTE を推進する要因としては、大きく「通

信コストの低減」と「新たな付加価値サービスの提供」の 2 つが挙げられる。

。またLTEは、事実上グローバルな標準方式になるという意味でも注目されている。

この標準方式については、後出の第 5 章に譲る。

1.2 なぜLTEなのか?

1.2.1 携帯電話事業者が直面している経営課題

本来、携帯電話事業者がトラフィックで収入を稼ぐためには、通信コストを上回る収益を確保する

必要がある。しかし、トラフィックが音声中心からデータ通信中心へと移行するに従って、トラフィ

ックの増加に収入の増加が伴わなくなってきた(図 1-1 参照)。そのため、携帯電話事業者が収益を

確保していくためには、大幅なコストダウンが喫緊の課題となっている。

ところが、現状をみると、

(1)パケット定額制の導入

(2)W-CDMA から HSPA や CDMA2000 から EV-DO へのバージョンアップによる通信速度の向上

(3)動画を中心とするコンテンツやアプリケーションの拡充

(4)スマートフォンの登場とそれによるインターネットアクセスの増加

の要因等によって、データトラフィックは指数関数的に急増している(後出の 1.2.2 項を参照)。

実際、NTT ドコモでは、パケット定額制開始以前の 2003 年 9 月から、年率 1.6 倍のペースでユーザ

ー1 人当たりのデータトラフィック量が増加しており、2009 年 9 月時点までの 6 年間で約 15 倍にも

伸びている(図 1-2 参照)。さらに 2012 年 9 月までの 9 年間では、2003 年 9 月時点に比べて 60 倍を超

えるトラフィック量になることが予想されている。同様に、KDDI でもユーザー1 人当たりのデータト

ラフィック量は、2009 年 3 月時点で 0.5kbps であったが、2016 年 3 月にはその 8 倍にあたる 4.1kbps

(ITU-R レポート M.20023 の予測値)を上回る勢いで伸びると予想している(図 1-3 参照)。

1 http://www.gsacom.com/downloads/pdf/GSA_Information_Paper_Evolution_to_LTE_261010.php4

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 27

第2章

日本における携帯電話事業者のLTE最新動向

2.1 日本の携帯電話事業者の LTEへの移行プロセス ................................ 28

2.2 NTTドコモの戦略 .......................................................... 31

2.2.1 業界初の LTE商用サービス「Xi」(クロッシィ) .......................... 31

2.2.2 NTTドコモの LTEシステム展開の特徴 ................................... 33

2.2.3 NTTドコモの今後の導入計画 ........................................... 36

2.2.4 日本発「LTE端末開発プラットフォーム」を世界に発信 ................... 37

2.2.5 サービスイメージは、まず動画体験から ................................. 38

2.3 イー・モバイルの戦略 ...................................................... 39

2.3.1 国内最速の DC-HSDPA対応データ通信サービス「EMOBILE G4」 .............. 39

2.3.2 LTEより少額の追加投資で人口カバー率 75.2%を計画 ..................... 40

2.4 ソフトバンクの戦略 ........................................................ 43

2.4.1 LTEは実証実験フェーズ ............................................... 43

2.4.2 現行の 3Gシステムの強化が急務 ........................................ 44

2.4.3 2010年 2月、1.5GHz帯で DC-HSPA導入を予定 ............................ 46

2.4.4 海外携帯電話事業者と足並みを揃えて LTEへ移行 ......................... 46

2.4.5 TD-LTEの可能性 ...................................................... 47

2.5 KDDIの戦略 ............................................................... 48

2.5.1 LTEの商用サービスは 2012年から ...................................... 48

2.5.2 サービス当初から端末は携帯電話機中心、音声は 3G網を利用 .............. 50

2.5.3 LTEとモバイル WiMAXの両方に投資 ..................................... 51

2.5.4 LTE移行期間は「EVDOマルチキャリア」によりトラフィック増に対応 ....... 54

2.5.5 マルチデバイス・マルチネットワークの実現に向けて ..................... 55

第 2 章 日本における携帯電話事業者の LTE最新動向

28 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

日本では NTT ドコモが 2010 年 12 月 24 日より国内初となる LTE サービス「Xi」を開始する。

また NTT ドコモ以外の KDDI やソフトバンク、イー・モバイルも将来的に LTE を導入する意向を

示しているが、保有する周波数や既存設備の整備状況などにより、サービス開始時期や設備投資

計画は各社ごとに異なっている。

本章では、日本の携帯電話 4 社(NTT ドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・モバイル)におけ

る LTE 導入までのロードマップ、および将来に向けたビジネス戦略について紹介する。

2.1 日本の携帯電話事業者のLTEへの移行プロセス

世界の携帯電話事業者における LTE への移行プロセスは、現在サービスを提供している携帯電話方

式の違いによって、

(1)W-CDMA/HSPA からの移行

(2)CDMA2000 からの移行

(3)WiMAX からの移行

の 3 つに大別される。日本の携帯電話各社の LTE 導入戦略を見ることは、これらの多様な移行プロセ

スを縮図的に知ることができるという意味で参考になる。

(1)NTT ドコモは W-CDMA/HSPA から直接 LTE へと移行する。

(2)イー・モバイルは HSPA から HSPA+(64QAM、MIMO なし)、DC-HSDPA を経て、LTE へと移行す

る計画である。

(3)ソフトバンクは W-CDMA/HSPA から DC-HSDPA へのアップグレードを経て LTE へ移行すると見ら

れる。同社はウィルコムの会社申請適用による再建過程で、次世代 PHS である XGP(eXtended

Global Platform)事業を引き継ぐことになっているが、XGP の後継である XGP2 が TD-LTE と

ほぼ同じ仕様であることから、将来的には TD-LTE(TDD 方式の LTE)も視野に入れていると憶

測されている。

(4)KDDI は CDMA2000/EVDO マルチキャリアから LTE への移行を計画している。さらに、同社は傘

下に WiMAX 事業者である UQ コミュニケーションズをもっているため、WiMAX を含めた事業戦

略を検討している。

上記の携帯電話各社の動きからは、単に 3.9G に向けた移行プロセスのトレンドだけでなく、3.9G

に向けた各社それぞれの戦略を読み取ることができる(詳細は後述)。

(1)これまで、①高機能サービスと一体化した携帯電話機の販売戦略、②公式サイトと課金プラッ

トフォームによるコンテンツのワンストップ・サービス戦略、の 2 つを軸に垂直統合型ビジネ

第 2 章 日本における携帯電話事業者の LTE最新動向

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 29

スモデルで日本の高度な携帯電話市場を牽引してきた NTT ドコモは、3.9G でも、インフラ戦

略とサービス戦略を連携させるため、4G への移行を念頭に LTE の構築を急いでいる。

(2)次々に先進的なデータ通信サービスを提供しているイー・モバイルや、端末・アプリケーショ

ンの分野でアップルの iPhone を販売の主力製品として位置づけるソフトバンクは、既存の移

動通信システムへの影響も少ないこともあり、ローコストで迅速にサービス展開が可能な

DC-HSDPA の導入を進める。

(3)固定網を移動通信網の両方をもち、CATV 事業者(J:COM:ジュピター・テレコム、および JCN:

ジャパンケーブルネット)にも資本参加している KDDI は、それらの複数のアクセス手段と、

それに対応する多種多様なサービスを用意している。さらに、それらをシームレスに接続する

共通基盤「FMBC」(Fixed Mobile Broadcasting Convergence、固定/モバイル/放送を一体

化したサービス)を構築することを目指し、さらに移動通信分野でもモバイル WiMAX と LTE

の両方に投資することを決めた。

図 2-1 に、携帯電話 4 社の LTE までの移行プロセスを示す。

図 2-1 携帯電話事業者 4 社の LTEまでの移行プロセス

〔出所:各種資料をもとに筆者作成〕

ちなみに、総務省が 2008 年 12 月に公表した情報通信審議会における「第 3 世代移動通信システム

(IMT-2000)の高度化のための技術的方策」の答申では、3.9G までのシナリオを図 2-2 の通りとして

いる。

W-CDMA

W-CDMA

CDMA20001x EV-DO

HSDPA

HSDPA

HSPA HSPA+ DC-HSPA

LTE

LTE

LTE

LTE

DC-HSPA

1x EV-DORev.A

EVDOマルチキャリア

NTTドコモ

イー・モバイル

ソフトバンク

KDDI

2001.10 2008.4 2010.12

2002.12 2011.2(予定)

2010.122007.3

2006.10

2009.7

2003.11 2006.11 2010.112012.12(予定)

3G 3.5G 3.9G

MVNO

UQコミュニケーションズ

モバイルWiMAX80.2.16e

2009.7

MVNO

2010.6

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 59

第3章

世界のLTE最新動向

3.1 世界の LTEの導入状況 ...................................................... 60

3.2 LTEに収斂する世界のモバイル市場 .......................................... 62

3.3 LTE商用サービス開始国の動向 .............................................. 64

3.3.1 スウェーデンおよびノルウェー ......................................... 66

3.3.2 ウズベキスタン ....................................................... 66

3.3.3 ポーランド ........................................................... 67

3.3.4 米国................................................................. 67

3.3.5 その他の国での LTE導入に向けた取り組み ............................... 68

3.4 TD-LTEの動向 ............................................................. 82

3.4.1 TD-LTEに関する中国とインドを中心とした動き .......................... 82

3.4.2 TD-LTEに対する中国の取り組み ........................................ 84

3.5 TDDバンドをめぐる WiMAXと LTEの攻防 ...................................... 87

3.6 LTE公共安全システムの動向 ................................................ 88

3.6.1 米国における 700MHz帯の再編 .......................................... 89

3.6.2 国家ブロードバンド計画の公共安全無線ブロードバンドに関する勧告 ....... 90

3.6.3 州・地方自治体等における公共安全無線ブロードバンド網の構築 ........... 92

3.7 LTEサービスの料金体系 .................................................... 93

3.7.1 テリアソネラ(スウェーデン) ......................................... 93

3.7.2 Tele2スウェーデン/Telenorスウェーデン .............................. 95

3.7.3 米国メトロ PCS ....................................................... 96

3.7.4 ドイツ Vodafone Germany .............................................. 97

3.7.5 米国ベライゾンワイヤレス ............................................. 98

第 3 章 世界の LTE 最新動向

60 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

2010 年 11 月末現在、世界 9 つの国と地域(スウェーデン、ノルウェー、ウズベキスタン、ポ

ーランド、米国、ドイツ、オーストリア、香港、フィンランド)において、LTE(Long Term Evolution)

商用サービスが開始されている。LTE 導入を図る背景には、データ通信需要の急増に対して、低

コストで回線容量の拡充を図りたいとする携帯電話事業者のねらいがある。また、LTE 商用サー

ビスを開始した事業者のなかには、新規参入事業者も含まれ、既存の大手通信事業者との差別化

を図るために LTE を早期に導入したケースも見られる。さらに、LTE 導入の目的としては、ルー

ラル(農村部、山岳部、過疎地)地域における固定ブロードバンドの代替え手段として、ローエ

ンドユーザーに対するプリペイド型のデータ通信サービスとして、また MVNO へのデータ回線卸

事業として LTE を提供しているケースもある。

本章では、これら世界の LTE サービスの最新動向について、料金体系も含めて解説する。

世界に先駆けて開始された LTE サービスは、事業者によって使用する周波数が異なっており、規模

の経済を活かせる周波数帯を見い出しながら、マルチバンド対応のチップセットを供給し、安価な LTE

対応端末をどのように調達するかが課題となっている。LTE 対応端末は、現状では、サムスン電子(以

下、サムスン)製の携帯電話端末が 1 機種存在するものの、USB モデムが主流となっており、2G や 3G

に対応した複数モード対応の端末が中心となっている。また、タブレット PC ブームの到来により、

コネクタ経由で USB モデムを使って、LTE を利用するケースも想定される。2011 年以降には、LTE 対

応の携帯電話端末や、スマートフォンが段階的に投入されると見られている。

現在、商用化されたLTEサービスは、すべてFDD(Frequency Division Duplex、周波数分割複信)16

方式によるものであるが、中国が推進するTDD(Time Division Duplex、時分割複信)17

なお、米国では公共安全機関(警察、消防、救急等)が使用する無線ブロードバンド網として、700MHz

帯を利用した LTE が導入される見通しで、公共安全分野での LTE の活用が期待されている。

方式によるLTE

サービスにも注目が集まっており、世界の大手ベンダーによる開発競争も進んでいる。TD-LTEは中国

とインドが 2 大潜在市場として捉えられているが、TD-LTE対応端末の早期開発や、対WiMAXとの市場

競争といった課題を抱えている。

3.1 世界のLTEの導入状況

iPhone人気に代表されるように、スマートフォンによるアプリケーションの利用が普及し始めてい

る。そのため、データトラフィックが急速に拡大し、各携帯電話事業者は回線容量をいかに確保する

16 無線通信において同時送受信(デュプレックス通信)を実現する方式のひとつで、通信経路の周波数帯を半分に分割

して、送信と受信を同時に行う方式。 17 1 つの周波数帯を時間軸で細かく分割して送信と受信を高速に切り替えて同時送受信を行う方式。

第 3 章 世界の LTE 最新動向

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 61

かが急務となっている。携帯電話事業者がLTEを推進する大きな理由は、回線容量の拡充を低コスト

で実現することにあり、新たなビジネスモデルが明確に存在するわけではないと言われる。18LTEは、

IPベースのフラットなアーキテクチャ、少ない運用コスト、セルフコンフィグレーション(自動設定)19、

セルフオプティマイゼーション(自動最適化)20、基地局資産の再利用性といった技術的優位性によ

り、EDGE(Enhanced Data rates for GSM Evolution)21

世界で最初にLTEの商用化を実現したのはスウェーデンのテリアソネラで、2009 年 12 月 15 日にス

ウェーデンとノルウェーで商用サービスを開始した。GSA(Global mobile Suppliers Association)

の調査によれば、2010 年 10 月現在、世界 46 カ国の 113 の携帯電話事業者が、LTEの導入を表明して

いる。2010 年 12 月にサービス開始したNTTドコモ、ベライゾンワイヤレスなどを含めて、2012 年末

までにサービスを開始する携帯電話事業者は、少なくとも 55 事業者となっている

や 3Gよりも、1Mbps当たりのコストが相対的

に安いとされる。そのため、費用対効果のあるフラットレートな料金体系を導入することが可能とも

見られている。

22

LTEへの移行・導入のきっかけをつくったのは、CDMAを採用している米国のベライゾンワイヤレス

が、2007 年 11 月にLTEの導入を正式に発表

。LTE対応機器は

現状では、データ通信専用のUSBドングルが中心であるが、2010 年 9 月にはLTE携帯電話端末が登場し、

2011 年半ばまでにはLTEスマートフォンが市場投入されると見られている。

23

LTE に直接移行するか、あるいは既存の W-CDMA のインフラを活用して HSPA+を導入するかは、各

携帯キャリアのインフラ戦略によるところが大きいと見られるが、両方を導入すると表明している携

帯電話事業者も少なくない。

したことによる。これにより、第 2 世代としてCDMAを採

用していた陣営による、GSM、W-CDMA、LTEへの置き換えが加速し、これを受けてGSM陣営によるLTEへ

の移行にも拍車がかった。ベライゾンワイヤレスは、音声としてのCDMA2000 1xは 2018~2020 年頃ま

でサービスを維持するものの、LTEの導入に伴って、データ通信としてのCDMA2000 EV-DOはそれより

も前に廃止すると見られている。そのため、CDMA(音声)とLTE(データ)のデュアルモード端末が、

一定期間存続することになると見られる。

また、LTE の普及拡大のスピード如何によっては、3G(W-CDMA/HSPA)を導入せずに、LTE へ一足飛

びする事業者も登場することも予想される。実際、現状で 2G のみしか導入していない事業者では、

いわゆる“3G 飛ばし”と称される GSM から LTE へとネットワークを高度化するケースも登場している

(図 3-1)。

18 3G Wireless Broadbad, Cost saving and capacity will drive LTE deployments, March 24, 2010 19 ネットワークの構築、試用運転およびパラメータ設定の自動化に必要な機能が具備されており、ネットワーク中の各

装置が自律的に作動、OSS(Operation Support System)へのセットアップ、認証、接続のほか、隣接セルとのパラメー

タ連携や交換も自動で行われる。 20 各基地局から収集したデータ等を元に、ネットワークパラメータのチューニングを即座に行い、ネットワーク品質を

向上させる。主な機能として、隣接セルとの間でのハンドオーバーの調整やトラフィックの負荷分散などがある。 21 GSM(Global System for Mobile Communications)のパケットデータ通信規格である GPRS(General Packet Radio Service)

を拡張したパケット通信規格。デジタル変調方式に八位相偏移変調(8PSK)を使用し、最大スループットは 473.6kbps。 22 http://www.gsacom.com/news/gsa_309.php4 23 http://news.vzw.com/news/2007/11/pr2007-11-29.html

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 101

第4章

モバイルブロードバンドの周波数割当をめぐる

世界動向

4.1 新たな無線周波数の創出 ................................................... 102

4.2 周波数割当の世界動向 ..................................................... 106

4.3 アナログ跡地の再編 ....................................................... 110

4.4 GSM900の 3G利用 ......................................................... 114

4.5 450MHz帯の LTE利用 ...................................................... 117

4.6 2.6GHz帯の周波数割当 .................................................... 118

4.7 オークション市場へのベンダーの参入 ....................................... 122

4.8 公共セクターの周波数再編 ................................................. 123

4.9 日本における周波数割当の最新動向 ......................................... 123

4.9.1 注目される 700/900MHz帯の割当て計画 ................................. 124

4.9.2 「ワイヤレスブロードバンド実現のための周波数検討 WG」最終取りまとめ.. 126

第 4 章 モバイルブロードバンドの周波数割当をめぐる世界動向

102 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

世界的なスマートフォンブームにより、データ通信需要が急速に拡大するにつれて、また、携

帯電話普及率が飽和状態になるなかで、世界の携帯電話事業者は 3G や 4G への移行に向けた取組

みを積極的に進めている。それに伴って、各国政府は、将来の無線需要に備えた周波数確保に向

けた新たな取組みに着手しており、米国、スウェーデン、英国では、向こう 10 年以内に 500MHz

幅以上の周波数を確保するために、民間セクターのみならず、公共セクターの周波数再編も進め

ている。また、急速に変化する無線市場に対応するため、既存の周波数の柔軟な利用を認め、技

術やサービスを限定せずに、周波数を割当てる動きも高まっている。

本章では、諸外国において進展している周波数割当状況について、地上デジタル放送のデジタ

ル化によって開放される周波数(700MHz 帯および 800MHz 帯)の再編や、900MHz 帯の 3G 利用、

また 450MHz 帯における LTE 利用や、2.6GHz 帯の周波数割当状況等について、国内の動向をあわ

せて概観する。

4.1 新たな無線周波数の創出

3.9G や 4G への移行によるモバイルブロードバンドの進展は、高速で大容量のデータ通信を全国規

模で可能とする無線周波数を、いかに獲得できるかという問題と密接に絡んでいる。4G の世界では 1

事業者あたり少なくとも 40MHz 幅以上は必要になると見られ、規制当局としてもいかに周波数を再編

して新たな無線需要に応えていくかが重要な政策課題となっている。

米国では、連邦通信委員会(FCC)が、2010 年 3 月 16日に、国家ブロードバンド計画「Connecting

America:The National Broadband PLAN」(NBP)60

を発表したが、このなかで「米国は、世界最速か

つ世界で最も規模の大きな無線ネットワークを所有し、モバイル・イノベーションで世界一となるべ

き」等の 6 つの目標を掲げており、モバイルブロードバンドの重要性が強調されている。そのため、

国家ブロードバンド計画では、今後 10 年以内に、500MHz幅の新たな周波数を商用のモバイルブロー

ドバンド用に割り当てるとし、500MHz幅の創出にあたっては、民間利用の周波数だけでなく、連邦政

府利用の周波数(後述)からも、周波数が調達されることになっている。また、500MHz幅のうち 300MHz

幅については、今後 5 年以内に、225MHz~3.7GHzの間から、新たに利用可能とすることが勧告されて

いる(表 4-1)。

60 http://www.broadband.gov/download-plan/

第 4 章 モバイルブロードバンドの周波数割当をめぐる世界動向

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 103

表 4-1 米国で今後 5年以内にモバイルブロードバンド用に新たに開放される予定の帯域と周波数量

対象となる帯域 帯域幅 FCCによる措置

地上ブロードバン

ド向けに利用可能

となる最大帯域幅

の合計

2.3GHzワイヤレス通信

サービス(WCS)帯

2305-2320MHz/

2345-2360MHz

2010年命令 20MHz

700MHz帯 Dブロック免

許 758-763/788-793MHz

2010年命令

2011年オークション 10MHz

高度無線サービス

(AWS-2/3)帯

AWS-2帯 Hブロック:

1915-1920MHz/1995-2000MHz

AWS-2帯 Jブロック:

2020-2025MHz/2175-2180MHz

AWS-3帯:2155-2175MHz

2010年命令

2011年オークション

60MHz61

移動衛星周波数(MSS)

L帯:1525-1559MHz、

1626.5-1660.5MHz

S帯:2000-2020MHz、

2180-2200MHz

Big LEO帯:1610-1626.5MHz、

2483.5-2500MHz

2010年命令(L 帯、Big LEO

帯)

2011年命令(S帯) 90MHz62

放送 TV帯

2011年命令

2012/13年オークション

2015年帯域移行

120MHz

合計 最大 300MHz

〔出所:Connecting America: The National Broadband PLAN - Chapter 5: Spectrum,Recommendation 5.8、

http://www.broadband.gov/pLAN/5-spectrum〕

NBPが勧告している、2015 年までに 300MHz幅を追加分配する方針に関連し、2010 年 5 月には、これ

まで衛星デジタルラジオ放送(Satellite Digital Audio Radio Service:SDARS)の地上ギャップフ

ィラーとの混信問題のために利用が進んでいなかった、無線通信サービス(Wireless Communications

Service:WCS)63について、共用条件を変更する命令(Order)が発出され、これによって新たに 25MHz

幅が開放されるとしている。64

その後、2010 年 7 月には、移動衛星サービス(Mobile Satellite Services:MSS)の 90MHz幅の利

用促進に向けて、MSS向けの地上基地局(ancillary terrestrial component:ATC)

65

61 1.7GHz帯で連邦政府機関向けに割り当てられている 20MHz幅(例えば、1755-1785MHz帯)も含む。

の免許条件を緩

和し、高度無線サービス(Advanced Wireless Services:AWS)に隣接するS帯については、衛星回線

62 内訳は、L帯で 40MHz幅、S 帯で 40MHz 幅、Big LEO帯で 10MHz幅。 63 個人や企業に固定、移動、電波探知または衛星通信を提供するために使用されるもので、2305-2320 MHz/2345-2360 MHz

が分配されている。 64 http://hraunfoss.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/FCC-10-82A1.pdf 65 衛星信号が到達しないエリアに設置される地上基地局のこと。

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 133

第5章

LTEの技術トレンドと最新の標準化動向

5.1 LTEまでの移行の流れ ..................................................... 134

5.1.1 3G以降の移動通信システムの変遷 ..................................... 135

5.1.2 ITU-Rと 3GPPの役割および両者の関係 ................................. 138

5.2 3G(IMT-2000)から 4G(IMT-Advanced)への展開 ............................ 140

5.3 LTE/LTE-Advanceへ向けた具体的な進化・発展 .............................. 143

5.3.1 3GPPが標準化の対象とする移動通信システムの 3つの領域 ............... 143

5.3.2 無線アクセス・ネットワークと 3つの多元接続方式 ...................... 144

5.4 3.9Gの移動通信システム(LTE)のアーキテクチャとその仕様 .................. 148

5.4.1 3.9G移動通信システム(LTE)の構成 .................................. 149

5.4.2 LTEの性能要件とユーザー端末分類 .................................... 150

5.5 LTE技術の特徴:3つの進化を中心に ........................................ 152

5.6 LTE技術 3つの進化<その 1>:高速化への進化 .............................. 154

5.6.1 LTEの高速化への進化①:多元接続方式 ................................ 154

5.6.2 LTEの高速化への進化②:周波数帯域の拡大/OFDMA ...................... 155

5.6.3 LTEの高速化への進化③:高次変調方式(多値変調方式) ................ 157

5.6.4 LTEの高速化への進化④:MIMO(複数のアンテナを利用する技術) ........ 157

5.6.5 LTEの高速化への進化⑤:LTE端末の低消費電力化 ....................... 158

5.6.6 LTEの高速化への進化⑥:キャリア・アグリゲーション技術 .............. 159

5.7 LTE技術 3つの進化<その 2>:コア・ネットワークの進化 .................... 159

5.8 LTE技術 3つの進化<その 3>:外部ネットワークとの親和性 .................. 162

5.9 LTEでの音声サービス:CSFBと VoLTE ....................................... 164

5.9.1 2Gまたは 3Gと連携させる音声サービス ................................ 165

5.9.2 IMSを用いた音声サービス(VoIPサービス) ............................ 166

5.10 LTEにおける低遅延の実現:片道 5msを実現 ................................. 167

5.10.1 3GPPの各システムにおける遅延時間 ................................... 167

5.10.2 ユーザー端末と LTE基地局間の送信時間間隔の改善と HARQ ............... 168

5.10.3 各ノードにおける伝送処理時間 ........................................ 170

5.11 3GPPでは LTEから LTE-Advancedへ ......................................... 170

5.11.1 高速化に向けた 4G「LTE-Advanced」の検討内容 ......................... 170

5.11.2 LTE-Advanced技術①:キャリア・アグリゲーション ..................... 174

5.11.3 LTE-Advanced技術②:マルチアンテナ技術(8×8MIMO技術) ............. 175

5.11.4 LTE-Advanced技術③:セル間協調送受信技術(CoMP) .................... 175

5.11.5 LTE-Advanced技術④:SON(自動ネットワーク構成技術) ................ 176

5.11.6 LTE-Advanced技術⑤:レイヤ 3リレー技術 ............................. 177

5.11.7 LTE-Advanced技術⑥:Home eNodeB技術(LTEフェムトセル) ............ 178

第 5 章 LTEの技術トレンドと最新の標準化動向

134 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

日本でも NTT ドコモが 2010 年 12 月から LTE サービス「Xi」の提供を開始するところから、LTE

への関心が高まっているが、すでに、先進的な通信事業者によって、世界中で続々と LTE の商用

サービスが開始されている。すなわち、第 2 世代(2G)や第 3 世代(3G)の移動通信システムと

いった既存の移動通信システムを、周波数利用効率が高く、モバイル環境での高速データ通信サ

ービスを実現する第 3.9 世代(3.9G)移動通信システム「LTE」(Long Term Evolution)への移

行が始まったのである。

本章では、3.9G の移動通信システム(LTE)の登場の背景を紹介しつつ、従来の移動通信シス

テムと LTE の違いを説明しながら、高速な伝送速度(最大下り 300Mbps)と低遅延(片道 5ms)

な無線通信サービス品質を実現する LTE 技術を紹介する。これらに加えて、LTE 環境において、

インターネット上のアプリケーションやサービスなどの多様なサービスの提供を容易にするた

めに、進化・発展させた IP ベースのコア・ネットワーク「EPC」(Evolved Packet Core)も紹介

する。

LTE は、さらに第 4 世代(4G)移動通信システムの要求条件を満たす LTE-Advanced へと進化・

発展し続けており、その標準化も大詰めを迎えている。本章では、この LTE-Advanced の最新動

向についても触れる。

(注)本文中、「LTE」という用語について、「3.9Gの総称である LTE」と、「無線アクセス・ネットワ

ークを意味する狭義の意味での LTE」が登場しているが、全般的には、「3.9Gの総称である LTE」を意

識して解説している。

5.1 LTEまでの移行の流れ

これまで解説してきたように、移動通信システムの技術は、データ通信における伝送速度の高速化

やユーザー収容数(利用できる端末数)を増やすために、システムの大容量化を目指して進化してき

た。近年のスマートフォンの普及やモバイルアプリケーションの拡がりと、私たちの日常生活の中へ

の浸透は、通信キャリアが高速データ通信技術やユーザー収容能力が高いシステム導入の強い動機と

なっており、3.5G の HSPA+や 3.9G の LTE へと移行の促進力となっている。

ここで、ユーザー収容能力が高いとは、1 セルおよび 1 基地局内で多くのユーザーが通信できる無

線通信システムであるということである。(注 1)1 セル内および 1 基地局内で利用できる周波数は帯域

などの制約によって有限であるが、周波数利用効率がよい無線通信システムの場合は、より多くのユ

ーザーが基地局と通信ができるようになる。このため、都市部のように人口密度の高いエリアでも

利用者がつながらないというような不便さを軽減できる。

〔(注 1)例えば、単純に計算すると、LTEで下り最大 300Mbpsの伝送速度の場合、1人が利用すれば、

300Mbps を利用可能であり、300 人が同時に利用すれば 1 人当たり 1Mbps(=300Mbps÷300 人)とな

る。〕

第 5 章 LTEの技術トレンドと最新の標準化動向

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 135

5.1.1 3G以降の移動通信システムの変遷

図 5-1 に、3G 以降の移動通信システムの変遷とシステムの概要を示す。図 5-1 に示すように、実に

多彩なシステムが標準化され、普及してきていることがわかる。このため、今後、移動通信システム

をどのように移行していくのか、その移行のプロセスは、キャリアやベンダーなどのビジネス戦略と

強く関係してくることになる。通信キャリアにとっては、複数の移行プロセスが選択肢として存在し、

モバイルアプリケーションやユーザーの利用動向に応じたり、他(国)の通信キャリアの移行の動向

を踏まえながら、新しいシステムの導入を決定することになる。

複数の移行プロセスが存在したとしても、図 5-1 に示すように、最終的には、順次、周波数利用効

率が高い LTE 方式や 4G である IMT-Advanced(LTE-Advanced や 802.16m、後述)のシステムへと移行

し、収斂していくものと考えられている。

また、図 5-1 左側に示すように、現在に至るまで(1G、2G は省略している)に、複数の異なるシス

テムの標準化団体(3GPP、3GPP2、IEEE 等)が存在しているが、標準化を実現するうえでは、各国の

周波数戦略や技術戦略や装置ベンダー、チップベンダーのビジネス戦略が深くかかわっている。

移動通信システムにおいて、最も重要な標準化団体は ITU(注 2)である。とくに、ITU の中の無線通

信の標準化を担当する ITU-R(注 3)は、世界の無線周波数の割当てや調整なども行う重要な国際標準化

機関である。

〔(注 2)ITU:International Telecommunication Union、国際電気通信連合(192カ国が加盟。2010

年 12月現在〕

〔(注 3)ITU-R:International Telecommunication Union Radiocommunication Sector、国際電気通

信連合‐無線通信部門〕

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 181

第6章

LTE関連市場における世界のベンダーの最新

動向

6.1 LTE関連機器市場をめぐるベンダー間競争 ................................... 182

6.2 ベンダーの事業展開概況 ................................................... 185

6.2.1 ファーウェイ(華為技術) ............................................ 185

6.2.2 ZTE(中興通訊) ..................................................... 185

6.2.3 エリクソン .......................................................... 187

6.2.4 ノキアシーメンスネットワークス(NSN) ............................... 190

6.2.5 モトローラ .......................................................... 195

6.2.6 アルカテル・ルーセント .............................................. 197

6.2.7 日本ベンダー ........................................................ 199

6.3 ネットワークの共用とアウトソーシングの動き ............................... 201

6.4 LightSquaredに見る特殊な LTEのビジネスモデル ............................ 204

6.4.1 ビジネスモデルの課題 ................................................ 205

6.4.2 モバイルキャリア間のインフラ設備共用化における新たな選択肢 .......... 207

第 6 章 LTE関連市場における世界のベンダーの最新動向

182 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

世界の無線通信機器市場は、エリクソンとノキアシーメンスネットワークス(NSN、以下、ノ

キア・シーメンス)の 2 大ベンダーによって市場の半数以上が占められているが、近年、華為技

術(以下、ファーウェイ)と中興通訊(以下、ZTE、ゼットティーイー)の中国ベンダーの台頭

が目覚しく、特に LTE 関連機器調達では、北欧諸国や東欧諸国で実績を上げている。その一方で、

アルカテル・ルーセントは欧州市場においてシェアを下げているものの、米国の 2 大キャリアで

ある AT&T(エーティアンドティ)および Verizon Wirelss(ベライゾンワイヤレス)と、LTE 関

連機器調達契約に成功している。

一方、国内市場では、NEC、富士通、日立製作所、パナソニックモバイルなどが、NTT ドコモや

KDDI から、LTE 関連機器ベンダーとして選定されている。海外進出を図っている日本ベンダーの

ひとつとして NEC が挙げられるが、スペインのテレフォニカやシンガポールのシングテルと、LTE

のトライアルを進めているものの、LTE 商用網構築の受注までには至っていない。

LTE 商用サービスは、2011 年に入り、欧米主要国で本格的な導入が進むと見込まれることから、

LTE 機器調達をめぐる欧州勢、中国勢、韓国勢のベンダー間競争は一層激しくなることが予想さ

れるが、世界の携帯電話事業者が要望する、設備投資や運用コストの削減、2G や 3G をサポート

した LTE 対応製品、電力効率の向上やカバレッジの極大化などに対して、いかに応えていくかが

重要になってくると見られる。

本章では、こうしたベンダー間の競争について、日米欧の最新動向を見ていく。

6.1 LTE関連機器市場をめぐるベンダー間競争

近年、世界の無線通信機器市場で急速に市場を拡大しているのが、中国ベンダーである。特に欧州

市場では、ファーウェイや ZTE の進出が目立ち、LTE 網の構築では、欧州ベンダーが先を越された格

好となっている。ファーウェイは、2009 年に北欧諸国のモバイルキャリアを中心に、LTE 関連機器の

契約を獲得し、市場拡大を図っているが、ZTE も、2010 年 8 月に締結されたハンガリーの Telenor

Hungary(テレノールハンガリー)との契約を契機に、欧州の LTE 市場に食い込んでいこうと攻勢を

かけている。表 6-1 に、LTE 関連機器の主な規約状況を示す。

表 6-1 LTE関連機器の調達をめぐる主な契約状況(2010年 11月現在)

国 事業者(原語)

〔日本語〕 ベンダー 契約時期 調達設備

米国 Verizon Woreless

〔ベライゾンワイヤレス〕

アルカテル・ル

ーセント

2010年11月 3G通信網拡張、4G/LTE

通信網構築等

米国 Cellular South

〔セルラーサウス〕

サムスン電子 2010年11月 無線基地局設備等

第 6 章 LTE関連市場における世界のベンダーの最新動向

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 183

国 事業者(原語)

〔日本語〕 ベンダー 契約時期 調達設備

米国 MetroPCS

〔メトロピーシーエス〕

サムスン電子 2010年 9月 無線基地局設備等

ハンガリー Telenor Hungary

〔テレノールハンガリー〕

ZTE 2010年 8月 無線アクセス、EPC

ドイツ Vodafone Germany〔ボーダ

フォンジャーマニー〕

ファーウェイ 2010年 7月 無線基地局設備等

米国 LightSquared

〔ライトスクェアード〕

ノキア・シーメ

ンス

2010年 7月 無線アクセス、EPC

カナダ Shaw Communications〔シャ

ウコミュニケーションズ〕

ノキア・シーメ

ンス

2010年 6月 無線アクセス、EPC

イタリア Wind

〔ウィンド〕

ファーウェイ 2010年 6月 HSPA+/LTE無線アク

セス等

南アフリカ Cell C

〔セルシー〕

ノキア・シーメ

ンス

2010年 5月 無線アクセス、EPC

インドネシア Indosat

〔インドサット〕

エリクソン 2010年 5月 HSPA+/LTE無線アク

セス等

米国 AT&T Mobility〔エーティー

アンドティーモビリティ〕

アルカテル・ル

ーセント

2010年 2月 無線アクセス、EPC

米国 AT&T Mobility〔エーティー

アンドティーモビリティ〕

エリクソン 2010年 2月 無線アクセス、EPC

サウジアラビア Zain Kuwait

〔ザインクウェート〕

モトローラ 2010年 2月 無線アクセス等

ノルウェー Netcom〔ネットコム〕 エリクソン 2010年 1月 無線アクセス、EPC

スウェーデン TeliaSonera

〔テリアソネラ〕

エリクソン 2010年 1月 無線アクセス、EPC

ノルウェー Netcom

〔ネットコム〕

ノキア・シーメ

ンス

2010年 1月 無線アクセス

スウェーデン TeliaSonera

〔テリアソネラ〕

ノキア・シーメ

ンス

2010年 1月 無線アクセス

スウェーデン Net4Mobility

〔ネットフォーモビリティ〕

ファーウェイ 2009年12月 基幹網等

ノルウェー Telenor Mobil

〔テレノールモビル〕

ファーウェイ 2009年11月 無線アクセス等

ベルギー Belgacom Mobile

〔ベルガコムモバイル〕

ファーウェイ 2009年11月 基幹網等

バーレーン Zain Bahrain

〔ザインバーレーン〕

ノキア・シーメ

ンス

2009年10月 基幹網等

ポーランド CenterNet〔センターネット〕 ファーウェイ 2009年 無線アクセス、EPC

注:EPC(Evolved Packet Core)はコア・ネットワーク装置で、LTE 端末の位置登録や着信時の端末

呼び出し処理、無線基地局間ハンドオーバーといったモビリティ管理、2G/3G と LTE システムのユー

ザー・データ処理(パケット通信データや音声データ等)、また EPC と外部ネットワーク(インター

ネット等)とのインタフェースを受け持つ機能等で構成されいる。

〔出所:各種資料をもとに筆者作成〕

こうした中国ベンダーの台頭によって、欧州市場でシェアを低下させているのが、アルカテル・ル

ーセントである。同社は、エリクソンやノキア・シーメンスとの競争に加えて、中国勢との競争にも

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 209

第7章

LTEで広がるサービス

7.1 LTEとクラウド、端末の進化によるダイナミズム ............................. 210

7.2 動画を中心とする大容量消費型アプリケーションの発展 ....................... 213

7.2.1 世界に先行している日本の携帯電話のリッチコンテンツ化 ................ 213

7.2.2 ソーシャルネットワークにおけるモバイルアクセスの増加 ................ 215

7.2.3 オンラインゲームにおける高度化 ...................................... 216

7.2.4 本格化するユニファイドコミュニケーション ............................ 217

7.3 携帯端末から車載端末へと利用用途が拡大 ................................... 218

7.3.1 LTEの高度交通システムへの利用 ...................................... 218

7.3.2 LTEを搭載した「LTE Connected Car」 ................................. 219

7.3.3 グーグル、KDDI、NTTドコモの車載端末向けアプリケーション ............ 222

7.4 有望視される公共、医療分野への LTEの応用 ................................. 224

7.4.1 救急医療支援情報流通システム「GEMITS」 .............................. 225

7.5 M2M、LTE、クラウドを結ぶエコシステム ..................................... 227

7.6 ワイヤレスでつながる社会の功罪 ........................................... 229

7.6.1 マスメディアの公益性と商業性 ........................................ 229

7.6.2 ネット社会の公共性 .................................................. 230

7.6.3 プライバシー ........................................................ 231

第 7 章 LTEで広がるサービス

210 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

第 1 章から第 6 章までの LTE にかかわるさまざまな動向をみてきたが、LTE では、オール IP

化によって、携帯電話網や固定電話網、テレビ放送などの多様なネットワークと融合し、シーム

レスな接続環境が実現可能となる。それに伴い、利用者の環境に合ったネットワークやデバイス

を活用した、さまざまなサービスの創出も期待できる。移動体通信の進化において、3G まではあ

くまでも携帯電話機向けのサービスが中心であったが、LTE では、あらゆるアプリケーションが

ネットワークを超えて多様なデバイスに結びついていくという新たな付加価値サービスが創造

されようとしている。ここでは、LTE を利用するサービスイメージや、LTE が産業や社会に与え

る影響について考察する。

7.1 LTEとクラウド、端末の進化によるダイナミズム

近年、ICT の分野では、LTE サービスの登場を前に、さまざまな変化が起こっている。とりわけ、

クラウドコンピューティングのコモディティ化と、端末の進化は、ICT 業界を変革する大きなトレン

ドとなっている。

クラウドは、インターネット経由でソフトウェアやサービスを利用する仕組みである。近年では、

仮想化などの技術の発展により、開発者は、低コストで大規模かつスケーラブルなシステムを構築す

ることが容易になった。これにより、利用者側も、自前でソフトを購入したり、システムを構築した

りするよりも低コストでサービスを利用できるようになってきている。

図 7-1 画像編集ツール「Picasa Web Albums」を使った例

〔出所:筆者作成〕

第 7 章 LTEで広がるサービス

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 211

私たちにとって最も身近なクラウドの存在といえば、グーグルであろう。同社のサービスを利用す

れば、PCのメモリなど気にすることなく、メールや文書、写真、動画などの膨大な情報(コンテンツ)

をサーバに蓄積し、利用できる。最近では、これらのコンテンツを単にアップロードするだけでなく、

写真や動画をオンラインで簡単に加工できるツールも充実し、写真や動画の編集を楽しみながら、そ

れらを他人と共有することも可能になっている(図 7-1 参照)。162

現在、利用者は主にPC経由で固定

ブロード回線を介してこれらのサービスを利用している。しかし、外で撮影した写真や動画をその場

で加工し、リアルタイムに仲間と共有したいというニーズは早晩急増するに違いない。

すでに前述のようなユーザーニーズに応え得るデバイスが登場している。特に、アップルの iPhone

やグーグルの Android 搭載端末をはじめとするスマートフォンや、アップルの iPad に代表されるタ

ブレット PC は、PC 並みの高性能 CPU や大容量メモリと高精細ディスプレイを搭載しながら、PC には

ないモビリティを可能とした点で、注目されている。これらはまた、タッチパネル操作などの優れた

ユーザーインタフェース(UI)を具備し、高い簡便性とクオリティで、多彩なメディアコンテンツを

閲覧することを可能にした。アップルやグーグルはインターネット接続を前提に、これらの端末を開

発しており、こうした端末が普及するに従って、アプリケーションをクラウド上で利用するスタイル

が広まってきた。

このように、モバイルに対する新たなニーズが顕在化してきたなかで、LTE が登場してきた意味は

大きい。なぜならば、FTTH や xDSL などの固定ブロードバンド回線を使って屋内からクラウドへアク

セスする場合に比べ、屋外からアクセスする場合、現行の携帯電話回線では、必ずしも屋内のネット

ワーク環境と同様の快適さは得られないからである。しかし、回線が LTE に置き換わり、FTTH 並みの

最大伝送速度とデータ伝送遅延が可能になれば、利用者は回線や端末を意識することなく、インター

ネット上のアプリケーションやサービスが利用できるようになる。かつて、PC ベースのインターネッ

ト利用が、固定ブロードバンド回線の浸透によって、爆発的に拡大したのと同じことが、LTE の普及

拡大とともにモバイルの領域でも起ころうとしている。

このように携帯電話回線の高速化・低遅延化により、通信のボトルネックが解消されると、これま

で端末側の機能に依存していたアプリケーションやサービスは、端末側とネットワーク側で処理分散

が可能となる。ネットワーク上のクラウドで、高度な機能を実装できるため、アプリケーションやサ

ービスの幅が広がると共に、よりリッチでパーソナライズされたサービスの高度化が期待できる。端

末側はリッチなウェブアプリケーションのプラットフォームとしての機能やマルチメディア要素が

実装されているHTML5163

162 グーグルは 2010 年 3 月、画像編集ウェブ・アプリケーションサイトの米 Picnik を買収。同年 7 月、グーグルのオン

ライン写真共有サイト「Picasa Web Albums」に Picnik の画像編集ツールを統合したことを発表した。

に対応したブラウザさえ搭載されていれば、高度なサービスが受けられるこ

http://googlephotos.blogspot.com/2010/07/picasa-web-albums-goes-on-picnik.html)

163 HTML5 とはホームページを記述するために開発された HTML(Hyper Text Markup Language)の最新版で、Web 標準化

団体である W3Cで 2012年 3月に正式勧告としてリリースされる予定。Web アプリケーション開発向け機能を兼ね備え、

API などとともに Webサービスの重要な技術となっている。

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 233

索引

アルファベット索引

記号・数字

004Z ..................................... 46

005HW .................................... 46

007Z ..................................... 46

1.7GHz帯 ............................... 129

2×2MIMO ............................ 33, 158 2G ..................................... 145

2.3GHz帯 ................................ 84

2.5GHz帯 ............................... 129

2.6GHz帯オークションの落札結果 ......... 119

2.6GHz帯の周波数割当 ................... 118

3G ..................................... 145

3G/4Gの周波数割当の実施状況 ........... 107

3Gフェムトセル ......................... 173

3G飛ばし ................................ 67

3.5G .................................... 145

3.9G .................................... 146

3GPP ............................... 138, 139

3GPP LTE リリース 8の性能要件 ........... 151

3GPP2 ................................... 139

3GPPs ................................... 138

3GPPのリリース 6以降の標準化内容 ....... 179

4×4MIMO ................................ 158 4G ..................................... 146

8×8MIMO ................................ 171 8PSK .................................... 147

16QAM ................................... 147

64QAM ................................... 147

450MHz帯の LTE利用 ..................... 117

700MHz帯の割当て方針 ................... 127

700/900MHz帯の割当て計画 ............... 125

800MHz帯 ................................ 48

900MHz帯の割当て方針 ................... 127

900MHz帯の再編案 ....................... 127

Aero2 .................................... 64

App Store ................................ 44

AR(Augmented Reality) .............. 24, 39

ARIB .................................... 139

ARPU ..................................... 22

ASN ..................................... 161

AT&T ..................................... 13

AT&Tモビリティ ......................... 68

ATC .................................... 103

ATIS ................................... 139

AWF ............................... 112, 126

AWS ................................. 64, 67

BayWEB .................................. 94

BeeTV .................................. 213

BEM .................................... 122

BMW Assist ............................. 220

Bouygues Telecom ....................... 197

BPSK ................................... 147

BT ...................................... 64

BTOP .................................... 93

C-plane ........................... 142, 172

CC(Component Carrier) ................ 174

CCSA ................................... 139

CCTV .................................... 89

CDMA ................................... 144

CDMA 1X WIN ......................... 48, 52

CDMA450 ................................ 118

CDMA2000 ............................... 137

CDMA方式と OFDMA方式の違い ............ 155

Cell C ................................. 191

CenterNet .......................... 64, 208

CEPT .................................... 85

CIS ..................................... 66

Clearwire ............................... 87

CN ..................................... 143

CoCar .................................. 219

CoCarX ................................. 219

CoMP .............................. 171, 176

CSCF ................................... 161

CSFB ................................... 166

CSL ..................................... 64

DATA01 .................................. 52

DATA02 .................................. 52

DATA03 .................................. 52

索引

234 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

DATA04 .................................. 52

DC-HSPA ................................ 146

Deutsche Telekom ........................ 98

DFT .................................... 155

DFTS-OFDM .............................. 159

Diallog ................................ 117

Dual-Radio ............................. 166

e-ヘルス ............................... 226

E911 ................................... 224

E398 .................................... 96

eCall .................................. 218

ECO-LTE ................................. 43

EDGE ............................... 61, 145

EMOBILE G4 .............................. 39

eNodeB ............................ 153, 161

EPC .......................... 150, 153, 160

EPS .................................... 150

ERIC .................................... 92

ETC .................................... 218

ETSI ................................... 139

EUMETSAT ............................... 105

E-UTRA ................................. 150

E-UTRAN ................................ 150

EV-DO Rev.A ............................. 48

EVDOマルチキャリア ..................... 54

Evolved EDGE ........................... 145

F-06C ................................... 37

FCC ................................ 90, 130

FDD ............................ 57, 60, 141

FLMTS .................................. 140

FMBC .................................... 29

FMC .................................... 163

FPU .................................... 126

G-BOOK ................................. 220

G-Mobile ............................... 117

GEMITS ................................. 225

GGSN ................................... 153

Global Holding .......................... 85

Golf Touran ............................ 221

Google マップナビ ...................... 222

GPRS ................................... 145

GSA ................................. 46, 61

GSM .................................... 145

GSM900帯域 ............................ 115

GSM指令 ............................... 114

GSMA ................................... 167

GT-B3730 ............................ 94, 96

Harbinger ............................... 68

HARQ ................................... 169

Home eNodeB ....................... 172, 179

HSDPA ................................... 10

HSPA ............................... 10, 145

HSPA+ ............................. 31, 146

HSUPA ................................... 10

E398 .................................... 96

IDFT ................................... 155

IEEE ................................... 138

IEEE 802.16-2004 ....................... 138

IEEE 802.16e-2005 ...................... 138

IMS ...................... 35, 153, 162, 164

IMT .................................... 141

IMT-2000 ............................... 140

IMT-2000の 6 つの無線インタフェース ..... 140

IMT-Advanced ...................... 135, 141

IMT-Advancedの要求条件 ................. 171

IMTシステム ............................ 141

IS-95 .................................. 137

ITS .................................... 218

ITU .................................... 135

ITU-R .................................. 135

J:COM ................................... 29

JCN ..................................... 29

JIL ..................................... 47

Kalmia .................................. 94

KDDIの LTEの投資計画 .................... 49

KDDIの LTE展開計画 ...................... 49

KDDIの戦略 .............................. 48

LightSquared ....................... 68, 204

LISMO Video ............................ 213

LTE ................................ 10, 146

LTE Connected Car ...................... 219

LTE、LTE-Advanced ...................... 137

LTE-Advanced ................. 146, 170, 175

LTE-PF .................................. 37

LTE商用サービスの導入状況 ............... 65

LTEで広がるサービス .................... 209

LTEとクラウド .......................... 210

LTEとモバイル WiMAX ..................... 51

LTEフェムトセル ................... 173, 178

索引

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 235

LTEへの移行プロセス ..................... 28

LTE技術の特徴 .......................... 152

LTE商用サービス「Xi」 ................... 31

LTE端末の低消費電力化 .................. 158

LTE用半導体チップセット ................. 37

M.1457 ............................. 140, 141

M-WAG .................................... 89

M1 ...................................... 63

M2M ..................................... 226

MBMS .................................... 179

MBNL .................................... 202

MCA ..................................... 126

MDM8220 .............................. 41, 47

MDM9200 .................................. 96

MDM9600 .................................. 50

MediaTek ................................. 37

MetroPCS ............................. 64, 67

MGW ..................................... 161

MIEM .................................... 112

MIMO .................................... 157

MME ........................... 150, 153, 161

Mobyland ............................ 64, 208

Movilnet(CANTV) ........................ 63

MRFC .................................... 161

MSS ..................................... 103

MVNO .................................... 204

NBP ........................ 15, 92, 102, 124

NEC ..................................... 200

Net4Mobility .................... 63, 96, 202

ng Connect Program ...................... 197

NodeB ................................... 153

NPRM .................................... 104

NSN ................................. 66, 190

NTIA .................................... 104

NTTドコモの LTEシステム展開の特徴 ....... 33

NTTドコモの LTE料金プラン ............... 21

NTTドコモの戦略 ......................... 31

O2 ...................................... 13

OEM ...................................... 88

OFDM ..................................... 57

OFDMA ................................... 144

OFDMA TDD WMAN .......................... 140

One Voice Initiative .................... 167

OnStar .................................. 220

P-GW .............................. 150, 153

P4 ...................................... 67

PMR ..................................... 90

Polkomtel ............................... 67

PSBL .................................... 91

PTK ..................................... 67

PTS .................................... 105

QoS ..................................... 22

QPSK ................................... 147

RA-2000 ................................ 140

RAN .................................... 143

RNC .................................... 153

Rogers Communications .................. 188

RRC-06 ................................. 129

S-GW .............................. 150, 153

SA ..................................... 143

SAE .................................... 150

SAE-GW ............................ 150, 161

Samsung Craft SCH-900 ................... 97

Samsung GT-B3730 ........................ 94

SC-FDMA ............................ 57, 158

SDARS .................................. 103

SDK ..................................... 44

SDO ............................... 138, 139

Sequans ................................. 84

SGSN .............................. 153, 161

Shaw Communications .................... 191

Single-Radio ........................... 166

SIP ................................ 51, 162

SkyLink ................................ 117

SkyTerra ............................... 205

SMS ..................................... 35

SNS .................................... 215

SoftBank 005HW .......................... 46

SoftBank 007Z ........................... 46

SON ............................... 172, 177

SQN3010 ................................. 84

SR-VCC ................................. 166

SU-MIMO ................................ 175

T-Mobile USA ............................ 68

TCNZ .................................... 63

TCO ..................................... 14

索引

236 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

TD-LTE .............................. 28, 47

TD-LTEに対する中国の取り組み ........... 85

TD-LTEの周波数帯 ....................... 84

TD-LTEの動向 ........................... 83

TD-LTE試験網 ........................... 85

TDD ............................ 57, 60, 141

TDDバンド .............................. 88

TDMA ................................... 144

TD-SCDMA ............................... 137

Tele2 ....................... 20, 63, 94, 96

TeleAid ................................ 220

Telefonica O2 ........................... 98

Telemobil .............................. 117

Telenor ............................. 94, 96

Telstra ................................. 63

TETRA ................................... 90

TIA .................................... 139

Triatel ................................ 117

TTA .................................... 139

TTC .................................... 139

TTI .................................... 169

Tulip Telecom ........................... 85

TVWS .................................... 64

U-plane ........................... 142, 172

Ufon ................................... 117

ULTRA SPEED ............................. 46

UQ WiMAX ................................ 51

UTRAN ............................. 150, 153

Verizon Wireless ........................ 63

VHA .................................... 202

VICS ................................... 218

Vivo .................................... 63

Vodafone Germany ............ 20, 64, 94, 98

VoIPサービス ........................... 166

VoLTE .............................. 35, 166

W-CDMA ............................. 10, 145

W-CDMA、HSPA、DC-HSPA .................. 137

WAPECS ................................. 122

WCS .................................... 103

WiMAX 2(IEEE 802.16m) ................ 138

WiMAX(IEEE 802.16-2009) .............. 138

WiMAXと LTEの攻防 ....................... 88

WiMAXフォーラム ........................ 138

WIN HIGH SPEED ......................... 137

WINデータ通信端末 ....................... 52

WirelessMAN-Advanced ................... 138

WP5D .............................. 141, 171

WRC-07 ................................. 129

XGP ................................. 28, 57

XGP2 .................................... 28

Xi(クロッシィ) ........................ 31

Zain ................................... 195

ZTE ........................... 66, 182, 185

ZTEの製品別収入 ........................ 186

ZTEの地域別収入 ........................ 187

索引

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 237

日本語索引

アウトソーシング ........................ 201

アナログ跡地 ............................ 110

アナログ跡地の周波数再編①:米国 ........ 130

アナログ跡地の周波数再編②:欧州 ........ 130

アナログ跡地の周波数再編③:日本 ........ 131

アナログ跡地の周波数再編状況 ............ 113

アルカテル・ルーセント ............. 197, 198

アルバリオン ............................. 89

アルミア ................................. 94

アンペアバンド ........................... 89

イー・モバイルの戦略 ..................... 39

移動通信システムの変遷 .................. 136

インターナビ ............................ 220

インド ................................... 85

エアロツー ............................... 64

英国における移動通信用周波数の割当て状況 117

エムティーエス ........................... 66

エリクソン .................... 187, 189, 190

オーバーレイ ............................. 33

オプタス ................................. 13

オンラインゲーム ........................ 216

カーウイングス .......................... 220

回線交換システム ........................ 164

拡散符号 ................................ 154

カバレッジ .......................... 66, 173

勧告 .................................... 138

基本周波数帯域幅 ........................ 174

キャリア ................................ 158

キャリア・アグリゲーション .... 159, 171, 174

クラウド ................................ 210

クリアワイヤ ............................. 87

グローバルホールディング ................. 85

コア・ネットワーク ..................... 159

国際ローミング .......................... 62

固定 WiMAX ............................. 138

ザイン ................................. 195

サブキャリア ........................... 155

シークアンス ............................ 84

ジーモバイル ........................... 117

自動ネットワーク構成技術 ............... 176

シャウコミュニケーションズ ............. 191

周波数リソース ......................... 177

周波数利用効率 .......................... 14

周波数割当の世界動向 ................... 106

ジョイント・イノベーション・ラボ ........ 47

ジョイント・プロセッシング ............. 176

シングル無線 ........................... 166

シンボル ............................... 147

スカイテラ ............................. 205

スカイリンク ........................... 117

スペクトラム ........................... 156

スマートグリッド ....................... 227

制御信号トラフィック .................... 18

セルエッジ ........................ 141, 171

セル間協調送受信技術 .............. 171, 176

セルシー ............................... 191

センターネット ..................... 64, 208

ソーシャルネットワーク ................. 215

ソーシャルメディアサービス ............. 215

ソフトバンクの戦略 ...................... 43

第 2世代 ............................... 145

第 3世代 ............................... 145

第 3.5世代 ............................. 145

第 3.9世代 ............................. 146

第 4世代 ............................... 146

索引

238 世界の LTE最新動向 2011 Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa

タイムスロット .......................... 54

ダイレクト・トンネル ................... 159

多元接続方式 ........................... 145

ダムパイプ .............................. 22

タレス .................................. 90

遅延時間 ............................... 167

チャイナモバイル ................ 47, 62, 85

チャネル ............................... 159

中国の 3G/4G 用の周波数帯割当 .......... 110

チューリップテレコム .................... 85

直交 ................................... 155

ディアログ ............................. 117

低遅延 ............................. 10, 172

適応変調方式 ...................... 147, 148

デュアル無線 ........................... 166

テリアソネラ ................ 10, 61, 66, 94

テリアソネラの新 LTE料金プラン .......... 21

テレツー ................................ 94

テレノール ..................... 63, 94, 182

テレフォニカオーツー .................... 98

テレマティクス .................... 218, 219

テレモビル ............................. 117

伝送処理リソース ....................... 177

ドイツテレコム ...................... 64, 98

トリラテル ............................. 117

日本における周波数割当の最新動向 ....... 123

日本の主な LTEベンダーの事業展開動向 ... 200

日本の携帯電話・PHS用等の周波数 ....... 124

ノキア・シーメンスの主な事業概況 .. 192, 194

ノキアシーメンスネットワークス ..... 66, 190

ハービンジャー .......................... 68

パケットロス ........................... 168

バックホール回線 ....................... 177

ハッチソン .............................. 63

パナソニックモバイル ................... 201

ハンドオーバー ......................... 177

バンドクラス 8 ......................... 127

ピーティーケー・センターテル ............ 67

ピーティーシー .......................... 67

ピーフォー .............................. 67

ビーム・フォーミング ................... 171

光張り出し型基地局 ...................... 34

光張出型基地局の LTE対応 ................ 35

ピコセル ............................... 173

日立製作所 ............................. 201

モバイルビデオブロギング ............... 215

ファーウェイ .................. 66, 182, 185

ファーウェイ製の USBモデム .............. 97

ブイグテレコム ......................... 197

フェムトセル ........................... 173

輻輳 ................................... 170

富士通 ................................. 201

プライバシー ........................... 231

フラット・アーキテクチャ ............... 160

ブロックエッジマスク ................... 122

ベアラ ................................. 162

米国における 700MHz帯周波数のバンドプラン 91

ページング .............................. 50

ベトナムモバイル ........................ 63

ベライゾンワイヤレス ....... 10, 61, 99, 188

変調/復調処理の仕組み .................. 157

ボーダフォンジャーマニー ............ 64, 98

ポルコムテル ............................ 67

ホワイトスペース ................... 64, 127

マイクロセル ........................... 173

マクロセル ............................. 173

マルチアンテナ技術 ................ 174, 175

マルチキャリア・オペレーション ......... 159

マルチパス ............................. 158

マルチメディア・リソース機能 ........... 162

無線アクセス技術 ....................... 149

無線資源 ............................... 144

メディア・ゲートウェイ ................. 162

メトロ PCS ................... 10, 94, 97, 98

索引

Ⓒ 2010 R.Iizuka, M.Takeda, K.Fukasawa 世界の LTE最新動向 2011 239

モトローラ .......................... 90, 195

モトローラ顧客上位 20社 ................. 191

モトローラの事業別収入 .................. 196

モビィランド ........................ 64, 208

ユーザー収容数 .......................... 134

ユーザー端末分類(カテゴリー) .......... 151

ユーフォン .............................. 117

ユニファイドコミュニケーション .......... 217

ライトスクェアード ............. 68, 192, 204

ライフログ .............................. 231

ラウンドトリップ ........................ 167

リッチコンテンツ ....................... 213

リリース 5 ............................. 179

リリース 6 ............................. 180

リリース 7 ............................. 180

リリース 8 ............................. 180

リリース 9 ............................. 180

リリース 10 ............................ 180

リリース 11 ............................ 180

リンク・アダプテーション ............... 147

レイヤ 3リレー技術 ........... 172, 173, 177

ロジャースコミュニケーションズ ......... 188

◎ 世界の LTE最新動向2011[サービス /料金体系 /キャリア動向 /周波数利用 /標準化]

[執筆]

飯塚 留美(いいづか るみ) 財団法人マルチメディア振興センター

海外の ICT分野における制度・政策にかかわる調査研究に従事。最近のテーマは、諸外国の電波政策や周波数再編動向、モバイルブロードバンドの海外動向など。主な調査レポートに、「米国の連邦周波数戦略計画に見る電波利用ニーズの方向性」(『ITUジャーナル』(財)日本 ITU協会、October 2010, Vol.40 No.10)、「スマートフォンとLTEが牽引する世界のモバイルブロードバンド市場」(『ICT World Review』(財)マルチメディア振興センター、August/September 2010 Vol.3 No.3)、「海外事業者とサービスの動向」(『インターネット白書2010』(株)インプレスジャパン)などがある。2003年より九州大学大学院比較社会文化学府客員助教授(~ 2006年 3月)、2008年より駿河台大学メディア情報学部/文化情報学部非常勤講師。

武田 まゆみ(たけだ まゆみ) 株式会社情報通信総合研究所

情報系システムの設計・構築業務を経て情報通信総合研究所に勤務。近年は、無線系の新規事業領域における調査研究ならびにコンサルティン

グ業務に従事している。最近の主なテーマは、通信事業者の投資戦略分析および、スマートフォン、電子書籍等の情報家電、M2M(Machine to Machine)などを取り巻く市場環境分析、ビジネスモデル分析、戦略立案など。著書に『モバイル産業論 その発展と競争政策』(東京大学出版、共著)、『InfoComモバイル通信ニューズレター』『InfoCom Review』(情報通信総合研究所、共著)、『情報通信データブック』『情報通信アウトルック』(NTT出版、共著)、『ケータイ白書2011』(インプレスジャパン、共著)などがある。他に、日経コミュニケーション、ITPro、エコノミスト、電気興業新聞など業界紙、企業広報誌などに執筆多数。

深澤 香代子(ふかさわ かよこ) 株式会社情報通信総合研究所

第 2世代および第 3世代移動通信システム開発に従事した後、次世代移動通信サービスの研究開発を経て、アクティブRFIDタグと携帯電話を連携させたサービス開発企画などに従事。2010年より株式会社情報通信総合研究所に勤務。マーケティング・ソリューション研究グループにて、M2M(Machine to Machine)ビジネスの構造分析や、海外の通信事業者の規制に絡んだガバナンス調査などを幅広く調査業務に従事。

[プロデュース]

インプレスR&D インターネットメディア総合研究所

インプレスグループのシンクタンク部門として2004年に発足。2007年4月に、設立時の名称「インターネット生活研究所」から現在の「インターネットメディア総合研究所」へ改称。インターネットに代表される情報通信(TELECOM)、デジタル技術(TECHNOLOGY)、メディア(MEDIA)の 3つの分野に関する理解と経験をもとに、いまインターネットが起こそうとしている産業の変革に注目し、調査・研究およびプロフェッショナル向けクロスメディア出版の企画・編集・プロデュースを行っている。メディアカンパニーとしての情報の吸収力、取材の機動力を生かし、さらには

メディアを使った定量調査手法と分析を加えて今後の市場の方向性を探り、調査報告書の発行、カスタム調査、コンサルティング、セミナー企画・

主催、調査データ販売などを行っている。

STAFF

◎AD/装丁 岡田 章志◎本文DTP制作 一島 宏 ◎編集 インターネットメディア総合研究所 威能 契 [ [email protected]

世界のLTE最新動向2011サービス/料金体系 /キャリア動向 /周波数利用 /標準化

2010年12月20日 初版発行

著 者 飯塚 留美/武田 まゆみ/深澤 香代子発行人 井芹 昌信編集人 三橋 昭和発 行 株式会社インプレスR&D [ An Impress Group Company ]

インターネットメディア総合研究所

〒102-0075 東京都千代田区三番町20 http://www.impressRD.jp/ [email protected]発 売 株式会社インプレスコミュニケーションズ [ An Impress Group Company ]

〒102-0075 東京都千代田区三番町20

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印刷 大日本印刷株式会社

©2010 Rumi Iizuka, Mayumi Takeda, Kayoko FukasawaPrinted in Japan

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