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COMSOL Multiphysics®による 化学工学の輸送現象解析 橋口真宜 、米大海 .第1技術部部長、2.第1技術部課長 計測エンジニアリングシステム株式会社 COMSOL Multiphysics® 日本総代理 東京都千代田区内神田1-9-5 SF内神田ビル5F http://www.kesco.co.jp/ https://www.comsol.jp/ Finite-Element Analysis of Transport Phenomena in Chemical Engineering by COMSOL Multiphysics® 1

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COMSOL Multiphysics®による化学工学の輸送現象解析

橋口真宜1、米大海2

1.第1技術部部長、2.第1技術部課長

計測エンジニアリングシステム株式会社COMSOL Multiphysics® 日本総代理

東京都千代田区内神田1-9-5 SF内神田ビル5Fhttp://www.kesco.co.jp/https://www.comsol.jp/

Finite-Element Analysis of Transport Phenomena in Chemical Engineering by COMSOL Multiphysics®

1

化学工学における輸送現象

https://www.kagakudojin.co.jp/book/b184777.html

流体力学

伝熱工学

化学種輸送

2

化学工学における輸送現象

Understanding Transport Phenomena Concepts in Chemical Engineering with COMSOL Multiphysics® Erick S. Vasquez* Department of Chemical and Materials Engineering, University of Dayton, Dayton, OH, USA

米国の大学での輸送現象教育への取り組みの例

3

反応工学から輸送現象へ

化学反応式の設定

例:メタンの燃焼反応

53種類の化学種、325個の素反応

集中系のモデル構築可

例:HCCIエンジン

回分反応器連続槽型反応器(CSTR)半回分反応器管型反応流(プラグ流)

空間0次元 空間依存モデル

手入力、CHEMKINからの読み込みも可

空間依存モデル生成ボタンで作成!

(前回の内容) (今回の内容)

4

反応工学

今回の輸送現象に利用する反応工学部分の説明

5

触媒反応によるメタンガスの熱分解

メタンガスの熱分解による水素ガス と炭化水素 (固相)の生成を考える→ + 2= − /(1 + )= exp (20.492 − 104200)

= exp (163200 − 22.426)= 5.088 · 10 exp (− 91200)= 2.31 · 10 ( )

Ni/Al O触媒

6

理想バッチモデル等温状態、定容状態、完全混合状態でのメタン分解== → + 2

= −1 = +1 = +2= − /(1 + )= −

= += +2

= −= exp (135600 − 32.007)触媒活量a

化学反応式、量論係数、化学種質量

= 8.324 · 10 圧力の算出= ( + )(固相触媒 はカウントしない)

理想気体の混合気体

反応系(負) 生成系(正)

7

設定概要触媒活量aに関する特別な設定の紹介

= −反応速度を0にすることも簡単に行える。

8

反応速度定数の温度依存性

850K=577degC

0.0073= exp (20.492 − 104200)

反応速度定数kの温度依存性

COMSOLは式を定義し、その様子をプロットして確認できる

9

計算結果:濃度、混合気圧力

1 21→ + 2

21混合気圧力

定温度850K=577degCでの計算結果 t=0~4000s

= ( + )

10

空間依存モデル

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基礎事項化学種質量保存則

希釈種輸送高濃度種輸送

運動量の式流体方程式

非多孔質中Navier-Stokes方程式

多孔質中Brinkmann方程式

エネルギーの式伝熱方程式

伝熱方程式流体中固体中

多孔質中の伝熱方程式ポロシティによる流体、固体の混合特性

12

希釈種輸送

モル濃度を利用する。

大量の溶液があり、その中の微量な化学種の拡散を解析する。

フィックの拡散係数

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高濃度種輸送質量分率 で解析する。

= 1計算上、どれか1つを拘束種として選択し、残りの(N − 1)個の化学種を計算する。

= 1 −

マクスウェル・ステファン拡散行列

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伝熱(多孔質中)

= 0 流体= 1 固体

, がポロシティによる混合特性(eff)で表現されることになる。

流体、固体の熱伝導率、比熱を用意する必要がある。

粘性散逸

熱分散

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流体力学非多孔質媒質中: Navier-Stokes方程式

多孔質媒質中: Brinkmann方程式

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PDEによるフィジックス表現

空間の各点 における反応式

分布ODEを利用

従属変数: 例えばpor

時間に関する1階の微分方程式: = 0, = 1ソース項: に内容を記述する。反応項を記述できる。

他のインターフェースの変数も利用できる。

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スタディ計算内容の変更が容易。どのような計算を行ったのか記録に残せる。

スタディ1 スタディ2

この部分を計算から除外したことがわかる

18

結果

Ctrl+FCtrl+スペース

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解析条件

Ni/Al O触媒

固体触媒表面での炭化水素の分解

炭化水素の触媒表面への吸着ポロシティが変化し、触媒活性と気体流れに影響する

流路に多孔質触媒があるモデル = −= .

ポロシティの変化

多孔質透水係数の変化

= 0.4

= 850K = 577degCで保持1.5 /chem.Qtot*por

(chem.Rw_CH4+chem.Rw_H2)*por

発熱

質量ソース

多孔質内流動

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温度分布の時間変化

= 400 = 2000

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質量分率 , の時間変化= 2000 = 4000 メタン メタン

水素 = 400 水素 = 800

ほぼ0になる。

= 1 −

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ポロシティ分布の時間変化

= 400

= 4000

= −

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実演による設定の詳細説明

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事例:Carbon Deposition in Heterogeneous Catalysis

資料ダウンロード:https://www.comsol.jp/model/carbon-deposition-in-heterogeneous-catalysis-1968

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COMSOL MultiphysicsでのFEMの手順

各種定義:パラメタ、変数、関数、演算子など

準備:空間次元、物理、スタディ を決める

形状作成

物理設定

メッシュ生成

結果の表示

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材料設定

スタディ設定と計算

0次元の反応工学計算

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モデルの立ち上げ1.立ち上げ方法:モデルウィザード>空間次元選択の0D>フィジックス選択の反応工学>追加>スタディ>スタディ選択の時間依存>完了

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モデルの立ち上げ

マウス、キーボードの利用方法マウス右クリック:コンテクストメニュー表示マウス左クリック:選択キーボードによる数値や式入力

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モデル作成の操作概要ジオメトリ(0Dの場合はなし)や材料物

性、物理設定、メッシュなどの中に、D(デフォルト設定)で足りないものを追加する。

立ち上げ確認:導入された0次元反応工学モデルの初期設定

反応工学の設定2.化学反応の設定

「反応工学」を右クリックし、「反応」を追加。「CH4=>C+2H2」を入力し、適用。

「反応工学」の下に、三つの化学種ノードが自動作成:CH4, C, H2。

3.化学種の追加

「反応工学」を右クリックし、「化学種」を追加。「化学種名」を「a」、適用。

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パラメータの設定4.「root>グローバル定義>パラメーター」から以下を入力

注:大文字小文字は区別する。単位を付ける場合は[ ]で囲む。m2ではなく、m^2とする。1e-9は4×10^(-9)の意味。COMSOLはSI単位で計算を行う。[ ]の内容を自動的にSIに変換する。

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定義:変数の設定5.「root>コンポーネント1>定義」を右クリックし、「変数」を追加、以下を入力

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反応工学の設定:続き6.反応工学>CH4=>C+2H2反応ノード>反応速度をユーザ定義にし、以下を入力:re.c_a*k[kg*m^2/(s^2*mol)]*(p_CH4/1[Pa]-(p_H2/1[Pa])^2/Kp)/(1+kH*sqrt(p_H2/1[Pa]))^2

7.反応工学右クリック、「追加ソース」。「追加反応速度式」の「a」を以下にする:-ka*re.r_1^2*re.c_C*re.c_a

8.反応工学>初期値に、以下を入力:

9.反応工学設定:

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計算の設定と実行10.スタディ1>ステップ1:時間依存、時間を「range(0,400,4000)」、計算

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11.「スタディ1>ソルバーコンフィギュレーション>解1」を右クリック、「解>コピー」を選択。「解1 - コピー1」のラベルを「With catalyst deactivation」にする。

結果処理

12.1Dプロットグループによるグラフ化「結果>濃度」の1Dプロットグループ設定、ラベルとタイトルを「Catalyst activity」

にし、データセットをコピー解「With catalyst deactivation」にする。「結果> Catalyst activity >グローバル 1 」のy軸データを「 comp1.re.c_a 」にする。

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条件変更:触媒濃度/活量固定13.反応工学>Species: a、「化学種濃度/活量」セクション、「濃度/活量を固定」を選択

14.スタディ1、計算後、「スタディ1>ソルバーコンフィギュレーション>解1」を右クリック、「解>コピー」を選択。「解1 - コピー1」のラベルを「Constant catalyst activity」にする。

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結果処理15.1Dプロットグループによる結果比較

「結果>濃度」の1Dプロットグループ設定、ラベルとタイトルを「Concentration comparison」にする。

「結果> Catalyst activity >グローバル 1 」を複製し、以下のようにラベル、ラインマーカ―、レジェンドを設定。

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空間依存モデル計算ーー化学種輸送、流れ、伝熱への拡張

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空間依存モデルの作成16.反応工学>Species: C、「化学種濃度/活量」セクション、「濃度/活量を固定」を選択

17.反応工学を右クリック、「空間依存モデル生成」を選択、右のように設定。作成後、コンポーネント2が生成。

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定義:変数の設定18.「root>コンポーネント2>定義」を右クリックし、「変数」を追加、以下を入力

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ジオメトリ作成19.「root>コンポーネント2>ジオメトリ」を右クリック、シーケンス挿入。

以下のファイルをダブルクリックし、ジオメトリの「全作成」を選択。C:¥Program Files¥COMSOL¥COMSOL53a¥Multiphysics¥applications¥Chemical_Reaction_Engineering_Module¥Reactors_with_Porous_Catalysts中の「 carbon_deposition.mph 」

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ODEの追加20.「root>コンポーネント2」を右クリック、フィジックス追加。

画面右から、「数学>ODE/DAEインタフェース>ドメインODE/DAE」をダブルクリック。ODE/DAEインタフェースを以下のように設定。

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ODEの追加21.「Porosity Change>分布 ODE 1」の「ソース項」を「-k_por*por*chem.r_1*M_C/rho_soot」

22.「Porosity Change>初期値 1」のpor初期値を「por0」

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化学の設定23.コンポーネント 2>化学1

24.化学1>Species: CH4

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化学の設定25.化学1>Species: H2

26.化学1>Species: C

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化学の設定27.化学1>Species: a

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高濃度種輸送の設定28.高濃度種輸送に、流入、流出、多孔質媒体輸送特性を追加、以下のように設定

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伝熱(多孔質媒体)の設定29.伝熱(多孔質媒体)に、温度、流出、流体を追加、以下のように設定

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層流の設定30.層流に、流体および基質特性、流入口、流出口、質量源を追加、以下のように設定

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スタディ2の設定31.スタディ2>ステップ1:定常、層流のみ計算

32.スタディ2右クリック、「スタディステップ>時間依存>時間依存」を追加、以下のように設定

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スタディ2の設定31.スタディ2を右クリック、デイフォルトソルバー表示、以下のように設定後、計算

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多孔質ペレット触媒の取り扱い反応性ペレットベッドにおけるマルチスケールの取り込み

二重ポロシティモデル

= [0,1]:ペレット半径N:ベッドの単位体積中のペレットの数

球状ペレットの場合

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マルチスケールへの取り組み

球状ペレットの場合

, ( )

( , )

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多孔質媒体中の希釈種輸送多孔質媒体内の希釈種輸送

反応性ペレットベッドのある場合

初期値0の中へ入口から100を流入させたのちの中心軸上変化

速度分布は疑似放物型を与えた。

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Ver.5.3aのハイライトcomsol.jp

製品概要製品仕様一覧

クリック

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化学反応工学モジュール他

熱力学特性パッケージによる冷却液の特性計算とエンジン冷却液への適用

http://www.kesco.co.jp/comsol/faq/HeatTransferVol53a.pdf熱力学パッケージの操作例: COMSOLをつかいこなそう

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ご清聴ありがとうございました。

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