人材育成のための...

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1 教育エンジニアリング研究所 第2回ITビジネスフォーラム『人づくりの革新』 人材育成のための アフォーダンス・デザイン ~OffJT・OJT連携に必要な学習環境~ 2014104株式会社教育エンジニアリング研究所 代表取締役 木村 利明 (株式会社アイボス 代表取締役会長) slowhand@eelab.jp slowhand@iboss.co.jp

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Page 1: 人材育成のための アフォーダンス・デザインºº材育成のためのアフォーダンス...アフォーダンス・デザイン① 「学習環境」グランドデザイン

1教育エンジニアリング研究所

第2回ITビジネスフォーラム『人づくりの革新』

人材育成のための

アフォーダンス・デザイン~OffJT・OJT連携に必要な学習環境~

2014年10月4日

株式会社教育エンジニアリング研究所代表取締役 木村 利明

(株式会社アイボス 代表取締役会長)

[email protected] [email protected]

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2教育エンジニアリング研究所

弊社の主な研修実績

新人研修

エンタプライズ・Web系TISA様(34日間)、CMCs様(43日間)、日本ソフト開発様(20日間)etc.

組込み系TMC様(10+20日間)、TTDC様(10+20日間)、HIENG様(31日間)etc.

中堅技術者研修

TMC様(8日間)、HIENG様(8日間)、TISA様(6日間)、メルコ様(6日間)、パナソニックITS様(8日間)、TOKAI-COM様(3日間)etc.

PM/PL研修

OKI様(8日間)、HIENG様(6日間)、日立ICS様(8日間)、メルコ様(6日間)、TISA様(6日間)、ソフィックス様(2日間)、日立INS様(2日間)etc.

講師養成講座

日立IA様(2日間)、TTDC様(3+3日間)、日立AD様(1日間)etc.

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3教育エンジニアリング研究所

弊社の教育の特徴①

教えない教育(Facilitative Learning)

学習者自ら学ぶように仕向けていく(学習への動機づけ)

1.実践的な『ケース・スタディ』方式2.(『学習転移』モデルではなく)『経験学習』モデル3.(『知識積上げ』型ではなく)『課題追求(問題解決)』型

求められる人材(熟達者)像の変化に対応

定型化熟達者(Routine Expert)⇒適応的熟達者(Adaptive Expert)

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4教育エンジニアリング研究所

弊社の教育の特徴②

学習者の『変容度』を評価する参考:カークパトリックの研修「4段階評価」

①研修満足度 ②学習到達度 ③行動変容度 ④成果達成度

・次回受講研修の決定

・次回研修講師への引継ぎ

・研修内容のブラッシュアップ

研修

・成長実感

・今後の課題の認識

・学習に対する動機付け

学習者

・学習効果の確認

・OJTへの活用

・育成計画の見直し

職場

アセスメントによる連携

事前アセスメント

学習者評価

研修アンケート

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5教育エンジニアリング研究所

「人材育成」上の課題①-1

従来型の受託開発から脱却し、提案型受託開発やその他のサービス事業にシフトする傾向はあるが、 。これは、従来型開発以外の事業を行う ことが大きな要因と考えられるが、現状では、そういった人材の育成に関して、 企業が多く占めている。

■重要になるビジネスシフトに向けた人材育成

<IT人材白書2014(IPA)>

昔から「提案型SE」という言葉はよく使われてきたが、実際問題、なかなかそういう人材は見当たらない。今や、そうした人材にはどういった資質・能力・コンピテンシー(行動特性)が必要なのか・・・ということさえ、分からなくなってしまっている(検討すらできない)のかもしれない。

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6教育エンジニアリング研究所

「人材育成」上の課題①-2

■「IT融合人材」の育成に向けて

2013年、ITの活用によりイノベーションを創出し新事業・新サービスを生み出す人材を「IT融合人材」と位置付け、育成のあり方について議論された。そこでは、 とともに組織の

とされた。そして、この「実践的学習の場」では、多様な専門性や価値観をもつ人材によるダイアログと

を提言している。

<IT人材白書2014(IPA)>

:本来は、OJTがその役割を果たすはずだが・・・。:ひょっとして、今それなりの地位にいる人たちが「人材育成」

のジャマをしている可能性はないだろうか?

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7教育エンジニアリング研究所

「人材育成」上の課題②-1

■国際的にも通用・リードする実践的かつ高度なIT人材の育成

「日本再興戦略」では、「世界最高水準のIT社会」が掲げられ、産業競争力の源泉となる とされている。この実現のためには、早期段階から基礎力を備え、高等教育段階における発展的な学びにつなげるとともに、

である。

<2013.12.20「創造的IT人材育成方針」IT総合戦略本部>

の育成・発掘が必要である・・・としている。方針は正しい、かつ国家の(業界にとっても) 。

だが、実際にはそうした人材は育っていない。のだ・・・。

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8教育エンジニアリング研究所

「人材育成」上の課題②-2

■1万人調査で分かったITエンジニアの実態

・半数がエントリレベル(プロ未満)・学歴の差異がない(情報系も無関係)・教育機関は

機能していない?

<「最終学歴別に見たスキルレベル」日経コンピュータ2007>

別の調査でも、ITSSレベル6・7(企業内外に影響力を持つプロフェッショナル)は1~2%しかおらず、 。(2009年:0.9%)

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9教育エンジニアリング研究所

「人材育成」への提言①

■キャリア開発の課題

IPCF2010(IPA)エデュケーション委員会発表資料より引用

モデルキャリアを示すだけでは人は育たない。 やなどが必要。

ITエンジニアが激しい環境変化と役割の高度化の中で、継続的に成長し続けるためには、

が必須。

■学習環境の課題

◆IT人材の学習時間確保ができていない◆育成する側の◆教育ニーズの把握ができていない◆計画的なジョブアサインができていない◆経験による◆研修受講の

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「人材育成」への提言②IPCF2010(IPA)エデュケーション委員会

発表資料より引用

■OJTの課題

◆学習デザインのないOJT◆ OJT◆指導する側の技量に左右される◆技術の変化が激しく、トレーナとトレーニの関係が作りにくい◆OJTという名の

■成長の機会

が個人の成長には効果的である。後ろ向きに嫌々仕事に取り組むよりも、

取り組んだほうが、自分にとっても周りにとっても良いばかりか、そこで 。

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11教育エンジニアリング研究所

「人材育成」への提言③IPCF2010(IPA)エデュケーション委員会

発表資料より引用

■教えない教育

教えない教育とは◆ 。しかし、 。◆教えることは、学習者の考える権利を奪うことになる。◆教えれば教えるほど、学習者に学習性無力感を与えてしまう。

教えない教育の実践のためには◆学習設計法、教授法の整備・ などの学びを支援する技術・ 、コミュニケーション技術などの教授法・コーチング、メンタリング技法

◆・ し「自ら学ばせる」ための教育技術力(上記の学習設計法、教授法)を備えたエデュケーション職の育成・職種全般に渡るプロフェッショナル貢献「後進の育成」への応用

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12教育エンジニアリング研究所

「人材育成」への提言④IPCF2010(IPA)エデュケーション委員会

発表資料より引用

■WPL(ワークプレイスラーニング)

◆社会人の“学び”は、その70%が現場での経験による。(①指導側の意欲&スキル&時間が成立条件 ②指導側の経験が活かせることが前提)

◆経験が学習になるには、コルブの「学習サイクル」を応用する。(具体的な経験⇒省察⇒概念化⇒試行(≒「経験学習モデル」))

いつでも、どこでも“学び”の場として機能する環境

「研修のデザイン」から「経験のデザイン」へ、 配慮

人材育成サイドの果たすべき役割の変化

研修のデザイン

教える内容を確認して、研修を設計し、教材を開発し、研修を実施する。

経験のデザイン

現場を知り、現場と連携し、現場での学びのあり方を考える。(OffJTとOJTの連携。現場での経験を通した学びや成長を促す環境づくりを支援するコンサル的役割)

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13教育エンジニアリング研究所

アフォーダンス

アフォーダンスは (与える、もたらす、する余地がある)からの造語である。(心理学者ジェームズ・J・ギブソンが生態心理学の基底的概念として定義した)

その本来の意味は「動物と物の間に存在する行為についての関係性そのもの」であり、 のことである。

動物が生きるための三欲は、「食欲」「性欲」そして である。いかなる動物も自分の遺伝子たちをより生き延びやすくするような知識をそれぞれに「学習」し、生存確率を高めている。

(「遺伝子の不都合な真実」安藤寿康著:ちくま新書)

当然、人間にも本能的に が備わっているはずである。押し付け的な教育がそれを減退させる。学習者は「教えられて」育つのではなく、与えられた学習環境の中で育つのである。育成側は、 する必要がある。

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アフォーダンス・デザイン①

「学習環境」グランドデザイン

1.育成すべき人材像を明らかにする(建前でなく)。⇒人材像により、育成方法・到達目標が変わる。

2.学習(≠教育)に関する知見を共有する。⇒育成関係者の知的コンセンサスを得ることが必須。

3.OffJTとOJTを連携させる。⇒教育担当者と現場との協力体制が人材育成の鍵。

基本理念

学習者が一人前のプロになっていく上で、学習は仕事のなかの日常的行為に埋め込まれたものであり、そこには<学習VS.仕事><個人VS.組織>という概念は存在しない。

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アフォーダンス・デザイン②

育成すべき人材像(到達目標)

(合意のための)検討項目

■プログラマなのかSEなのか?■スペシャリストなのかジェネラリストなのか、それとも?■エンジニアなのかマネージャなのか、それとも?■キャリアモデルとスキルレベル(その前にスキルマップ)

■何をもって「即戦力」とするか、「即戦力」が目標で良いのか?■アジャイル開発者?■コンピテンシー(行動特性)として何を要求するのか? などなど・・・

「定型化熟達者」なのか「適応的熟達者」なのか?

最も重要な検討(決定)項目

決まった手続きを、早く、正確に、自動的に行える人

(工業社会型)VS.

変化しうる状況の中で、一定の手続きがない課題に対して、柔軟に、確実に対処できる人

(情報社会型)

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アフォーダンス・デザイン③

「学習」に関する知見

■学習のメカニズム(行動主義⇒認知主義⇒状況主義)

■学習モデル(学習転移モデル、経験学習モデル、批判的学習モデルなど)

■『認知的』徒弟制(←徒弟制)、『熟達』の三原則■変容的学習論(学習は「自らの“ものの見方”を変容させていくこと」である)

■行動科学(動機付け理論)→『目標管理』、自己決定理論(SDT)

■成長実感と自己効力感■コンピテンシー(資質特性と行動特性)■記憶の仕組み(精緻化/エピソード記憶、結晶性能力と知識、心像)

■成人学習学(アンドラゴジー)と物語の学習理論■協調学習とグループ・ダイナミックス(PBL) など

現状、「教育」と「学習」の違いさえ分かっていない人が大勢いる

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アフォーダンス・デザイン④

OffJTとOJTの連携

アセスメント(事前・事後)を媒介にして、OffJTとOJTの連携を図る。

OffJTでは学習者のスキル習得度合だけでなく、学習者の学習姿勢や行動特性も評価する。

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ご清聴ありがとうございました

教育エンジニアリング研究所木村 利明