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豚流行性下痢(PED)について 宮崎大学 産業動物防疫リサーチセンター 防疫戦略部門 末吉益雄 e-mail : クリック はじめに 豚流行性下痢(PED)は豚の伝染病です。牛や人には伝染しません。 1970 年代から 1980 年代にかけてヨーロッパあるいは日本の豚に原因不明の伝染性下痢症が発生・流行した。 それらの下痢便中にコロナウイルス様粒子が発見されたが、豚伝染性胃腸炎(TGE)ウイルスではなかった。それは新しいウイ ルスに分類され、PED ウイルスと名付けられた。 Ⅰ. 病原体 PED ウイルスはコロナウイルス科に属するが、同科の TGE ウイルスとは抗原的および遺伝学的に異なる。PED ウイルス粒子 の直径は 95~190nm(平均 130nm)である。形態は多形性で、表面に長さ 18~23nm のスパイクを保有している。核酸は、1 本 鎖 RNA で、N 蛋白(MW58kDa)、M 蛋白(MW20-32kDa)および S 蛋白(MW85-135kDa)の 3 種のウイルス構成蛋白からなる。pH5 ~9(4℃)で安定であり、凍結・融解の繰り返しでも比較的安定である。60℃・30 分で不活化されるが、TGE ウイルスとは異なり 52℃ではかなり安定である。エーテル、クロロホルムで不活化される。 PED ウイルスの血清型は単一である。TGE ウイルスあるいは豚血球凝集性脳脊髄炎ウイルスの豚由来のコロナウイルスを はじめ牛、犬、猫およびトリ由来のコロナウイルスとは蛍光抗体法で交差しない。 PED ウイルスの分離・培養は一般的に困難である。当初、ウイルスは下痢発症豚の小腸内容物を子豚に経口投与して継代 されていた。豚胎仔や新生子豚の腸管あるいは気管組織が器官培養として試みられたが、ウイルスの培養はできなかった。 その後、種々の株化細胞が試みられた結果、トリプシン添加培養液で培養したアフリカミドリザルの腎細胞(Vero 細胞)を用い

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豚流行性下痢(PED)について

宮崎大学

産業動物防疫リサーチセンター

防疫戦略部門

末吉益雄

e-mail : クリック

はじめに

豚流行性下痢(PED)は豚の伝染病です。牛や人には伝染しません。

1970 年代から 1980 年代にかけてヨーロッパあるいは日本の豚に原因不明の伝染性下痢症が発生・流行した。

それらの下痢便中にコロナウイルス様粒子が発見されたが、豚伝染性胃腸炎(TGE)ウイルスではなかった。それは新しいウイ

ルスに分類され、PED ウイルスと名付けられた。

Ⅰ. 病原体

PEDウイルスはコロナウイルス科に属するが、同科の TGEウイルスとは抗原的および遺伝学的に異なる。PEDウイルス粒子

の直径は 95~190nm(平均 130nm)である。形態は多形性で、表面に長さ 18~23nm のスパイクを保有している。核酸は、1 本

鎖 RNA で、N 蛋白(MW58kDa)、M 蛋白(MW20-32kDa)および S 蛋白(MW85-135kDa)の 3 種のウイルス構成蛋白からなる。pH5

~9(4℃)で安定であり、凍結・融解の繰り返しでも比較的安定である。60℃・30 分で不活化されるが、TGE ウイルスとは異なり

52℃ではかなり安定である。エーテル、クロロホルムで不活化される。

PED ウイルスの血清型は単一である。TGE ウイルスあるいは豚血球凝集性脳脊髄炎ウイルスの豚由来のコロナウイルスを

はじめ牛、犬、猫およびトリ由来のコロナウイルスとは蛍光抗体法で交差しない。

PED ウイルスの分離・培養は一般的に困難である。当初、ウイルスは下痢発症豚の小腸内容物を子豚に経口投与して継代

されていた。豚胎仔や新生子豚の腸管あるいは気管組織が器官培養として試みられたが、ウイルスの培養はできなかった。

その後、種々の株化細胞が試みられた結果、トリプシン添加培養液で培養したアフリカミドリザルの腎細胞(Vero 細胞)を用い

Page 2: e-mailvet/hygine/HP/PED review(2014.1.19)Sueyoshi.pdf · ることによって、ついにそのウイルスの分離・培養に成功した。 日本国内では、1988 年に、桑原らが豚の集団下痢の事例からコロナウイルスを豚で継代することに成功し、1992

ることによって、ついにそのウイルスの分離・培養に成功した。

日本国内では、1988 年に、桑原らが豚の集団下痢の事例からコロナウイルスを豚で継代することに成功し、1992 年には、

Kusanagi らが、組織培養でのウイルス培養に成功した。その後、1993 年の北海道と 1994 年と 1996 年の鹿児島県の症例から

も分離された。

津田らは、1994 年の分離株(NK94P6 株)がヨーロッパで最初に分離された PED ウイルスの CV777 株と抗原的に同一性状であ

ることを確認した。PED ウイルスは、細胞培養での分離・培養には特殊な条件が必要である。

Ⅱ. 発生

1. 海外における発生

PED は当初、流行性ウイルス性下痢(EVD)と呼ばれ、発生形態の違いから 1 型と 2 型に区別されていた。EVD1 型は哺乳豚

以外の豚で下痢がみられ、EVD2 型は全日齢の豚で発症した。ヨーロッパにおいて、1971 年から EVD1 型が、1976 年から

EVD2 型が発生した。1980 年代になって、EVD1 型と EVD2 型は同じコロナウイルスが原因であることが分かり、新たに PED と

いう病名が提唱された。

1970~1980 年代 1990 年代

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ベルギー、フランスあるいはドイツでは、母豚および子豚が急性下痢を呈し、子豚が死に至るような PED の発生は殆どない。

それは PED ウイルスが常在化したためと考えられている。豚へのワクチンの予防接種はされておらず、ワクチンの開発もされ

ていない。日本では、1996 年発生・流行当時、ワクチンは承認されていなかったが、その後、速やかに承認され、現在、使用さ

れている。また、届出伝染病にも指定された。1990 年代、日本と同時期に PED が発生・流行し、その被害の大きかった韓国で

は、ワクチンが開発され、予防接種が実施されている。

2013 年 4 月に、米国で初めて PED が発生し、19 州、1,373 件の流行が続いている(2013 年 12 月 4 日現在)。その流行は疫

学調査から、家畜集合施設や出荷場所に立ち入った豚の運搬車両を介した汚染が指摘されている。

2. 日本における発生

1980 年代初め、腸内容物中にコロナウイルス粒子が検出された豚の TGE 様の集団下痢事例が報告された。これらの疾病

は、当時、「死なない TGE」とも称され、当時、ヨーロッパで流行していた PED の可能性があるとされた。

このような PED 様疾病は、同時期に、北海道、岩手県、宮城県、千葉県、徳島県、香川県および鹿児島県で報告された。北海

道では、15 戸の豚 3,532 頭に下痢が発生した。岩手県では、5 戸の豚 4,593 頭中 2,756 頭(60%)に下痢がみられ、うち哺乳豚

が 179 頭死亡した。また、2,500 頭の飼養農家では、約 1 週間の短期間内にほぼ全頭(約 100%)が発病し、子豚 400 頭中 80

頭(20%)が死亡した。千葉県では、1 戸の豚 203 頭中 202 頭(99.5%)が発病し、哺乳豚 76 頭中母豚と同時に発症した 1 腹 10

頭(13.2%)が死亡した。

PED 様疾病は、1980 年代初めから 10 年余り報告されていなかった。しかし、1993 年に再び北海道でその発生が報告され

た。5,152 頭を飼養する一貫経営農場で、全日齢の豚 2,075 頭(40.3%)に下痢がみられ、うち発病哺乳豚 702 頭中 158 頭

(22.5%)、発病育成豚 298 頭中 12 頭(4%)が死亡した。1994 年、三重県で 545 頭の哺乳豚が死亡し、鹿児島県では数千頭以

上の哺乳豚が死亡した。発生農場はすべて一貫経営で、母豚数は数十~数千頭で、発生期間は 2~10 ヶ月間であった。発病

したのは 2~10 日齢の哺乳豚と母豚であり、下痢、脱水あるいは死亡を呈したのは哺乳豚のみであった。致死率は 30~65%と

農場によってばらつきがあった。母豚では泌乳減少あるいは停止が主症状で、食欲不振、発熱、嘔吐が散見されたが、下痢

は認められなかった。嘔吐は哺乳豚でも散見された。1996 年 1~8 月には、北海道、岩手県、宮城県、秋田県、福島県、三重

県、熊本県、宮崎県および鹿児島県で発生しており、全国での発生数は総計 9 道県 102 戸、発病頭数約 8 万頭、死亡頭数約

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4 万頭に及んだ。鹿児島県の事例では、嘔吐および下痢が哺乳豚と母豚でしばしば認められ、下痢症状は肥育豚あるいは種

雄豚でも散見された。脱水症状あるいは死亡は哺乳豚のみであった。母豚の泌乳減少あるいは停止はしばしば認められた。

肥育豚では嘔吐も散見された。

2013 年 9 月 2 日~16 日に沖縄県の 1 農場(種雄豚 6 頭、繁殖母豚 80 頭、哺乳豚 155 頭、子豚 250 頭)で発生が確認され

た。発生頭数は哺乳豚 155 頭で、 うち約 75 頭死亡した。症状として、9 月 2 日~4 日に母豚の 2 頭に嘔吐および下痢が認め

られ、その後、哺乳豚に嘔吐および黄色(水様性)下痢が発生し、9 月 16 日までに哺乳豚約 50 頭が死亡した。その他、食欲不

振もみられた。10 月 1 日に免疫組織化学検査にて豚流行性下痢と診断された。剖検所見では、胃の膨満、小腸壁のひ薄化が

みられた。対策として、消毒(車両、畜舎、分娩豚房毎の手指消毒)等および母豚へのワクチン接種が実施された。周辺農場

および関連農場に異常はない。疫学調査として、ウイルス遺伝子の解析から、過去の国内分離株とは異なり、2013 年米国お

よび近年アジア諸国で流行している新たにグループに属する株と近縁であった。

2013 年 11 月、茨城県において、 2 件発生した。1 例目は、豚 1665 頭(種豚 15 頭、母豚 150 頭、子豚 1500 頭)飼養農場で、

種豚 2 頭、母豚 21 頭、子豚 165 頭(うち死亡頭数 約 131 頭)が発症した。経緯として、11 月 9 日、農場において嘔吐および下

痢を示す母豚が確認され、発症母豚由来哺乳豚で、生後 2 日以降に嘔吐および下痢、死亡確認がみられた。11 月 11 日、家

畜保健衛生所に通報、立入検査、病性鑑定が実施され、11 月 18 日、免疫組織化学検査で陽性となり、豚流行性下痢と診断さ

れた。臨床症状は、下痢、嘔吐、食欲不振、母豚の泌乳停止、哺乳豚の低体温がみられた。剖検所見としては、胃の膨満、未

消化凝固乳滞留、小腸における壁のひ薄化および未消化物を多く含む黄色水様性腸内容物の充満、大腸における壁のひ薄

化および緑黄色内容物の充満がみられた。ウイルス学的検査では、空回腸および結腸内容物の PCR で、PED ウイルス遺伝

子が検出された。遺伝子解析(動物衛生研究所)では、2013 年 9 月発生の沖縄県で分離された株と遺伝学的に完全に一致し

ないもののごく近縁であり、1980 年代および 1990 年代の国内分離株とは明確に区分され、近年米国およびアジア諸国で流行

している株と近縁であることが判明した。防疫措置として、消毒(車両、畜舎、手指消毒)の実施、母豚へのワクチン接種実施、

飼養衛生管理基準の徹底がされた。感染経路等の疫学調査は実施中である。周辺農場には異常ない。

2 例目は、母豚 200 頭一貫経営農場で、種豚 4 頭、母豚 34 頭、子豚 180 頭(うち死亡頭数約 103 頭)が発症した。11 月下旬

から分娩舎で哺乳豚に下痢がみられた。遺伝子解析では、茨城県 1 例目および沖縄県分離された株と近縁であった。

その後、現時点(2014 年 1 月 19 日現在)で、鹿児島で 69 件、宮崎県で 13 件が報告され、その拡大が危惧されている。

Ⅲ. 疫学

1.ウイルスの浸潤

PED は、1971 年にイギリスでその初発が報告された。1982 年にはベルギー、ドイツ、フランス、オランダ、ブルガリア、イギリ

スおよび台湾でその抗体が検出されている。スウェーデン、北アイルランド、アメリカ、オーストラリアおよびハンガリーでは陰

性であった。1987 年にはスイス、1994 年には韓国でその浸潤が認められている。ベルギーにおいて、その後の調査で、1971

年にはすでに PED ウイルスに対する抗体が豚血清中に検出されており、1992年においても、導入後下痢の認められた肥育豚

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の殆どはその抗体を有していた。アメリカ(オハイオ州、ミズーリ州、カンザス州およびミネソタ州)およびオーストリアは 1990 年

の調査でも陰性であった。

日本では、1 都 1 道 17 県の 1977 年から 1992 年までの豚血清の PED ウイルス抗体調査で、1 道 12 県にその陽性が認めら

れている。また、1992 年から 1993 年の 53 農場 487 頭の保存血清の調査から 22 農場(41.5%)、57 頭(11.7%)から PED ウイル

スに対する中和抗体が確認されている。よって、日本でもすでに 1977 年から大流行前の 1993 年までに、PED ウイルスは国内

に少なからず侵潤していたことが明らかとなった。

2.過去の検査材料における PED ウイルス抗原の検出

1980 年代の PED 様疾病は PED であったのであろうか。宮城県の西らは 1980 年代当時に病性鑑定依頼のあった下痢発症

豚検体について、PED ウイルス抗原の検出を試みた。抗原検出方法としては、酵素抗体法の一つであるストレプトアビジン・ビ

オチン(SAB)法が用いられた。その結果、それらの豚の腸管にその特異抗原が認められ、PED と診断された。すなわち、当時

PED の流行は確かに存在していたことが明らかとなった。

3.PED の発生形態

PED の発生時期は 1 月から 5 月に集中するが、年間を通じて散発的発生がみられる。下痢あるいは子豚の死亡を伴う発生

持続期間は数日間~数ヶ月間と幅がある。また、継続的分娩と数頭の母豚を毎月購入していたことが原因とみられる半年~1

年間に及ぶ PED ウイルス持続感染例も一貫経営農場で調査・報告されている。全日齢の豚が発病する。発病率は 100%となる

こともあり、致死率は哺乳豚で 0~100%(平均 50%)であるが、一般に日齢が進むと致死率は低くなる。また、哺乳豚に下痢が認

められなくても、母豚の泌乳低下あるいは泌乳停止により、子豚は衰弱死する場合がある。

日本における過去のPED発生事例における共通点は、哺乳豚の下痢と死亡、母豚の食欲低下、発熱、泌乳減少あるいは停

止である。相違点としては、哺乳豚以外、すなわち育成豚、肥育豚および繁殖豚に下痢が見られるか否かである。1994 年発

生事例では、下痢および死亡したのは哺乳豚のみであった。1996 年の発生を含む多くの事例では、死亡したのは哺乳豚のみ

であったが、下痢は日齢に関係なく認められた。殆どの事例は、先述の EVD2 型に含まれる。一方、 EVD1 型に近い事例とし

て、日齢、性別に関係なく下痢が認められ、その伝染性は 2~3 日以内に同居豚が下痢発症するという甚急性なのにも関わら

ず、新生豚あるいは哺乳豚での死亡事故がないものもあった。

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4.TGE との比較

PED の致死率は TGE のそれよりも低いとされる。しかし、清浄地あるいは免疫力が低下している豚群に PED ウイルスが侵入

した場合の流行型と、PED が過去に発生して PED ウイルスがすでに存在している常在型とではその発生形態が異なる。また、

豚呼吸器コロナウイルス(PRCV)が浸潤した農場では TGE の発生形態あるいはその病型は不定型のようであり、その場合、さ

らに、PED と TGE との鑑別は困難となる。

Ⅳ. 臨床症状

哺乳豚では嘔吐あるいは下痢の症状がみられる。

0~10 日齢の新生子豚が感染すると、しばしば黄色水様性の下痢を呈し、重篤な場合、脱水症状を呈し、死亡する。下痢便に

は未消化凝固物が含まれる。育成豚、肥育豚および繁殖豚にも嘔吐あるいは水様性下痢が認められるが、1 週間程度で回復

し、死亡することはない。母豚の場合、上記症状以外に食欲減退、発熱、泌乳量の減少あるいは泌乳停止が認められる。

1970~1980 年代のヨーロッパでは、哺乳豚で無症状経過を辿る例あるいは PED ウイルス感染肥育豚に腹痛症状がみられ、

ストレス高感受性豚の場合、背筋の壊死を伴って突然死亡することがあった。これらの病型の発生は日本国内では報告され

ていない。

Ⅴ. 病理

1. 病変

肉眼病変は胃と腸に限局している。

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小腸の腸壁は菲薄化し、重篤の場合、未消化凝集塊を含んだ水様性の腸内容物が腸管外部から透けてみえる。また、しばし

ば胃は未消化凝固物が滞留して膨満する。

実体顕微鏡写真。正常な空腸粘膜。 実体顕微鏡写真。下痢発症子豚の空腸粘膜。絨毛

が著明に萎縮している。

腹腔の肉眼写真。腸管壁は非薄化し、内容物が透けて観察される。

組織病変の特徴は、小腸絨毛の萎縮である(写真 5)。絨毛の長さと陰窩の深さの比率は 3:1~1:1 であり、その病変は TGE

病変に類似し、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色標本での鑑別はできない。実験感染豚ではその比率は 0.2:1 に達する場合

がある。萎縮した絨毛を被う粘膜上皮細胞は、立方化、扁平化あるいは空胞化が認められ、一部、変性・壊死に陥る。粘膜固

有層にはリンパ球の浸潤が認められ、一部、うっ血および水腫も認められる。それらの病変は、空腸および回腸において最も

著明であるが、十二指腸でも認められる。盲腸および結腸においては、表層の粘膜上皮細胞の空胞化が認められるが、その

他著変は認められない。

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透過型電子顕微鏡で、感染豚の小腸の絨毛を被う吸収上皮細胞を観察すると、その中に電子密度の高い直径 70~140nm

のウイルス粒子が多数認められる。とくに、細胞表面の微絨毛の配列が不規則で、細胞質の糸粒体および小胞体の腫脹の認

められた変性の強い細胞の空胞内には長さ約 20nm のスパイクを表面に持つ直径 100~140nm の円型、楕円形あるいはソラ

マメ状を呈するコロナウイルス様粒子が観察される。

透過電子顕微鏡写真。下痢発症子豚の空腸粘膜上皮細胞。腫脹した小胞体内にスパイクを保有した円型~楕円形を呈す

るウイルス様粒子(矢印)が観察される。

2. 病理発生

(1) ウイルスの増殖部位

感染豚の糞便中に排泄されたウイルスは経口的に豚体内に侵入し、蛋白分解酵素あるいは酸の影響を回避し、十二指腸に

達する。十二指腸に達したウイルスは粘膜上皮細胞に侵入し、とくに、絨毛を被う吸収上皮細胞内で増殖する。ウイルスは空

腸の下部で最も増殖し、ついで回腸、空腸中部、空腸上部で増殖する。PED ウイルスは小腸粘膜に広く侵襲する。大腸には小

腸ほど悪影響を及ぼさないが、TGE ウイルスとは異なり、PED ウイルスは盲腸および結腸等の大腸粘膜でも増殖する。

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PED ウイルス抗原は細胞質に限局し、細胞核内には認められない。抗原陽性細胞と陰性細胞の境界は明瞭であり、絨毛を不

連続的に被う。抗原陽性細胞は、一部、陰窩の上皮細胞、回腸の粘膜固有層およびパイエル氏板にも認められるが、腸管以

外では検出されない。PED ウイルス抗原陽性細胞数は、絨毛萎縮の程度が軽度の豚の方が重度の豚の方より多い。

(2) ウイルス感染による腸の変化

PED ウイルスが主として侵入・増殖する吸収上皮細胞は、栄養・水分などを吸収する腸の内腔表面を被っている細胞であ

る。その細胞形態は正常であれば丈の高い円柱状であるが、PED ウイルスが感染するとそれらの細胞は立方化あるいは扁平

化し、しばしば多数の空胞が細胞内に形成される。また、微絨毛が短く、疎らとなるため、吸収上皮細胞の吸収表面積は著しく

小さくなる。さらに、それらの細胞は死に陥り、粘膜から剥離し、管腔に脱落する。その結果、絨毛が著しく短くなり、個々の細

胞の吸収機能障害に加えて、細胞表面の吸収表面積はさらに小さくなる。

(3) 日齢による感受性の相違

筆者らの 1~7 日齢の豚の実験感染では、接種 24 時間後から水様性下痢が認められ、その腸管粘膜に PED ウイルス抗原

が検出された。2~3 カ月齢実験感染豚では、接種後 4 週間、臨床症状は認められず、剖検においても肉眼病変は認められな

かった。 PED ウイルス抗原は 10 頭中 1 頭の腸管に検出された。

新生子豚を使用した実験感染では、 Debouck らの実験感染と同様、接種 24 時間後に下痢を誘発させることができた。彼ら

は、絨毛の長さと陰窩の深さの比率が 2.3:1~1.5:1 であったと報告しているが、筆者らの実験感染例では 0.2:1 の症例もあ

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り、その病変は TGE の病変と同様で重度であった。また、Pensaert らの離乳豚を使用した実験感染では、下痢が高率に誘発

できたのに対して、筆者らの試験ではウイルス抗原は認めたものの、下痢は誘発されなかった。ヨーロッパで報告されている

肥育豚における腹痛を伴った大腸粘膜への重度感染は再現されなかった。

Ⅵ. 診断

1. 電子顕微鏡(TEM)観察

下痢便あるいは腸内容物を部分精製し、ネガティブ染色した後、TEM で観察する。材料には、ウイルス量の多い下痢発症初

期の空腸内容物が最も適切である。長さ約 20nm のスパイクを保有した直径約 130nm の特徴的なコロナウイルス粒子が検出

される。

感染豚の腸管粘膜の上皮細胞内にもコロナウイルス粒子が観察されるが、未成熟ウイルス粒子あるいはスパイクが脱落し

た成熟ウイルス粒子の場合、コロナウイルスとは判定できない。また、スパイクが保持されていても TGEウイルスとの鑑別はで

きない。

TGE ウイルスとの鑑別法として、免疫電顕法がある。検査材料に PED 免疫血清を混合し、ウイルスに PED 特異抗体を付着

させて粒子の凝集を起こさせる方法であり、迅速診断が可能である。

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2. 免疫組織化学的診断

蛍光抗体法で感染豚小腸のウイルス抗原を検出する方法は、迅速性、特異性の観点から診断法として有用である。

下痢発症子豚の空腸粘膜。吸収上皮細胞内の PED ウイルス抗原に反応して蛍光がみられる。IFA 法。

また、ストレプトアビジン・ビオチン(SAB)法など免疫組織化学的染色も有用である。PED の検査には、空腸下部が適切な採材

部位である。現場での採材時、空腸下部を採取できずに、空腸の中央部あるいは上部を採取する可能性がある。その場合抗

原の検出率は低下する。よって、そのような場合には、開腹後容易に発見できる盲腸をまず探し出し、その盲腸と直接連絡し

ている小腸末端の回腸を採材部位として推奨する。また、適切な採材感染時期としては、死亡後よりも下痢発症生存時の方

が、そして下痢の激しい時期より感染初期の方が適切である。

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下痢発症子豚の空腸粘膜。吸収上皮細胞の細胞質内には茶褐色に染め出される PED ウイ

ルス抗原が認められる。SAB 法。

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死亡豚の腸管粘膜は融解・剝離がみられ、また、抗原検出されない場合がある。

3. ウイルスの分離・培養

トリプシン添加培養液で培養した Vero 細胞を使用して、PED ウイルスを分離・培養する。ウイルス感染 Vero 細胞には、空胞

化およびシンシチウム形成が CPE として認められる。しかし、一般に野外材料からのウイルスの分離・培養は条件設定が困難

であり、診断法としては現在まだ有用ではない。長尾らは、PED ウイルスの分離・培養には39℃の培養温度条件が重要である

としている。

4. ウイルス遺伝子の検出

糞便中のウイルス遺伝子を検出する方法として、その遺伝子断片を増幅させて検出する PCR 法が試みられている。

5. 血清学的診断

中和試験および間接蛍光抗体法がある。これらには、発病期と回復期のペア血清が必要であり、後血清の採取時期として

は下痢発症後 4 週間前後が適当である。

Ⅶ. 予防と対策

PED の予防で最も重要なことは、衛生管理を徹底し、ウイルスの侵入を防止すること、さらに病気が発生した場合にその拡

大を防ぐことである。

1. 農場バイオセキュリティの強化

Page 14: e-mailvet/hygine/HP/PED review(2014.1.19)Sueyoshi.pdf · ることによって、ついにそのウイルスの分離・培養に成功した。 日本国内では、1988 年に、桑原らが豚の集団下痢の事例からコロナウイルスを豚で継代することに成功し、1992

農場出入口に踏み込み消毒槽を常設し、車輌、人の出入りを制限する。車輌、衣類、畜舎、器具・機材の消毒を徹底する。

害虫・害獣を駆除する。肥育豚舎、分娩豚舎間の人および用具の移動を極力禁止する。

2. オールイン・オールアウト

発病豚が認められた豚舎は、空舎期間を設け、洗浄・消毒した後、新たに清浄豚を導入する。

3. 隔離対策の強化

(1) 分娩舎の隔離

分娩舎を地理的、時間的あるいは物理的に隔離する。農場から離れた場所に分娩舎を確保する。あるいは、分娩舎を 2 カ所

に分け、一方を分娩母豚と哺乳豚用の豚舎とし、他方を空舎にして繰り返し徹底消毒する。また、管理作業手順も完全に分

け、直接の接触がないようにする。同一分娩舎での継続分娩を避け、感染哺乳豚の下痢便による伝播を断ち切る。

(2) 導入豚の隔離

導入豚は、隔離施設で 2~4 週間の着地検疫期間を設ける。その際、導入先農場での PED の発生の有無あるいは導入豚の

PED ウイルス抗体の保有状況を確認する。

(3) 分娩計画の変更・中断

分娩計画を変更あるいは中断する。すなわち、授精作業を一時的に中止、あるいは、分娩誘発によって分娩予定を繰り上

げ、分娩の継続を止める。また、早期離乳を実施し、分娩舎に余裕、すなわち空舎期間を作る。ウイルス感受性子豚の常時生

産で、継続的ウイルス感染で下痢が長期間、群として持続することを断ち切る。

4. 馴致

1996 年の国内アウトブレイクでは、下痢発症子豚の腸管ミンチを母豚に給与する、いわゆる「自家ワクチン」による馴致が関

与した。この馴致方法は、種々の疾病の感染を人為的に拡げる恐れがあり推奨できない。

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下記は 1994~1996 年の対策事例

5. ワクチネーション

日本では、ワクチンが開発され、現場で応用されている。ワクチネーションは乳汁免疫を基盤とした受動免疫法であり、妊娠

母豚への筋肉内注射の 2 回接種が行われている。

Ⅷ. おわりに

2013 年 4 月に、米国で初めて PED が発生し、19 州、1,373 件の流行が続いている(2013 年 12 月 4 日現在)。その流行は疫

学調査から、家畜集合施設や出荷場所に立ち入った豚の運搬車両を介した汚染が指摘されている。

2013 年 12 月現在、PED ワクチン国内在庫が十分ではない。口蹄疫同様、今、ワクチン未使用でも発生を予防するために

PED ウイルス侵入阻止の努力が必要である。PED は糞口感染であり、排泄物の除去、消毒の徹底と、持ち出しを遮断すれ

ば、止められる伝染病である。

Ⅸ. 参考資料

1. Chang, K. et al. Kor. J. Vet. Res. 33:249-254(1993).

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PED 研究業績 一覧

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木義久. 1994 年に流行した哺乳豚下痢の病原病理学的検討. 日本豚病研究会会報. 27:12-16(1995).

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6. 末吉益雄. 豚流行性下痢(PED)病原病理学的診断法とその問題点. 鹿児島県家畜疾病診断研究会会報. 53:13-18(1996).

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成果情報. 10: 1-2 (1997).

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[解説]

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119 回日本獣医学会講演要旨集. p. 121(1995).

2. 岩下幸二、前野郁子、西田浩二、渡辺学、山崎嘉都夫、牧内浩幸、大薗浩之、末吉益雄、津田知幸、中澤宗生. 豚の流行

性下痢. 2. 豚流行性下痢の発生状況とその防除対策. 第 119 回日本獣医学会講演要旨集. p. 121(1995).

3. 末吉益雄、山崎嘉都夫、津田知幸、吉田和生、中澤宗生、長岡健朗、佐藤邦彦、南哲郎、岩下幸二、渡辺学、森晶昭、鈴

木義久. 豚の流行性下痢. 3. 病理学的・微生物学的検討. 第 119 回日本獣医学会講演要旨集、p. 121(1995).

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10. Nagao K., Takase K., Sueyoshi M., Ginnaga A. Protective effect of an attenuated PED virus starin that produces low levels

of neutralizing antibodies against PEDThe proceeding of IPVS., 2004.