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高知県過疎地域自立促進方針 (平成22年度~平成27年度) 平 成 22 年 8 月

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高知県過疎地域自立促進方針

(平成22年度~平成27年度)

平 成 22 年 8 月

高     知     県

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目   次   

は じ め に

Ⅰ 基本的な事項 1 過疎地域の現状と課題  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 2 過疎地域の自立促進の基本的な方向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7   3 広域的な経済社会生活圏の整備の計画等との関連 ・・・・・・・・・・・・・16

  Ⅱ 産業の振興   ~「高知県産業振興計画」を中心とした取組を進めます~

1 産業振興の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 2 農林水産業の振興 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 3 地場産業の振興 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 4 企業の誘致対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 5 起業の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31 6 商業の振興 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・33 7 観光の振興 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34

  Ⅲ 交通通信体系の整備、情報化及び地域間交流の促進 1 交通通信体系の整備、情報化及び地域間交流の促進の方針 ・・・・・・・・・36 2 国道、県道及び市町村道の整備等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 3 農道、林道の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・37 4 生活を守る交通確保対策及び物流の仕組みづくり ・・・・・・・・・・・・・37 5 電気通信施設の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 6 情報化の推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・38 7 地域間交流の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39 8 移住の促進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39

  Ⅳ 生活環境の整備 1 生活環境整備の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 2 簡易水道、汚水処理施設の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40 3 消防防災及び救急搬送体制等の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・40  4 森林などの公益的機能を維持するための保全活動 ・・・・・・・・・・・・・41   5 暮らしに身近な生活環境の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・41   6 安全・安心で快適な居住環境の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42

  Ⅴ 高齢者等の保健及び福祉の向上並びに増進 ~「日本一の健康長寿県構想」を中心とした取組を進めます~

1 高齢者等の保健及び福祉の向上並びに増進の方針 ・・ ・・・・・・・・・・43

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2 生涯を通じた県民の健康づくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・44   3 ともに支え合う地域づくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・44   4 高齢者が安心して暮らせる地域づくりの推進  ・・・・・・・・・・・・・・44   5 障害者が生き生きと暮らせる地域づくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・46

6 次代を担う子ども達を守り育てる環境づくりの推進 ・・・・・・・・・・・・47

Ⅵ 医療の確保 ~「日本一の健康長寿県構想」を中心とした取組を進めます~

1 医療確保の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48   2 医師確保対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49 3 連携による医療体制の確保対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・49   4 救急医療対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50

  Ⅶ 教育の振興    ~高知県教育振興基本計画を中心とした取組を進めます~

1 教育振興の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51   2 明るい未来を担う人づくり ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52

3 家庭や地域の教育力の向上 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・534 教育の質の向上と教育環境の整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・54

  Ⅷ 地域文化の振興等 1 地域文化振興等の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57   2 地域文化活動を支える人材育成及び情報収集、発信等の仕組みづくり ・・・・57   3 地域文化の振興等に係る施設の整備等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・57   4 文化施設、文化財等を活用したソフト施策の推進 ・・・・・・・・・・・・・57

  Ⅸ 集落の整備 1 集落整備の方針 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・58 2 一人一人の生活を守る仕組みづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・58   3 住民力により集落を支える仕組みづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・58   4 集落の活性化につなげる仕組みづくりの推進 ・・・・・・・・・・・・・・・59   5 集落の再編整備 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・59

 Ⅹ その他地域の自立促進に関し必要な事項

   1 自然エネルギーの利用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60   2 鳥獣被害対策 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・60

別 表

1 過疎地域対策緊急措置法による事業実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・61 2 過疎地域振興特別措置法による事業実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・・62 3 過疎地域活性化特別措置法による事業実績 ・・・・・・・・・・・・・・・・63

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4 過疎地域自立促進特別措置法による21年度までの実績と整備目標等 ・・・・64は  じ  め  に    

1 策定の趣旨

 

   昭和45年の「過疎地域対策緊急措置法」の制定以来、過疎立法がこれまで4次にわたり時限

立法として制定されてきました。今回、平成22年4月に施行された「過疎地域自立促進特別措

置法の一部を改正する法律」は、現行法の拡充延長という形をとるものであり、その内容を踏襲

しつつ、過疎地域自立促進特別措置法(以下「過疎法」といいます。)の失効期限の延長と過疎

地域の要件の追加及び過疎対策の充実を図るものとなっています。

特に、今回の改正では、過疎地域自立促進のための特別措置として、 過疎対策事業債の適用が、

「住民が将来にわたり安全に安心して暮らすことができる地域社会の実現を図るためのソフト事

業」にも拡充されました。

今回の過疎債のソフト事業への適用拡大により、地域の新たな課題への対応をはじめ、現在あ

る施設や資源を活用した幅広い事業での過疎債の活用が可能となったことで、それぞれの市町村

が、地域のニーズに応じた振興策や自立に向けた取組を独自で進めることができる千載一遇のチ

ャンスとなりました。

また、同時に、過疎法が延長されました6年間に、地域の実情に合った効果的な取組が展開で

きるか否かが、今後の過疎地域の命運を大きく左右することになることから、ソフト対策を含め

た過疎対策の推進に当たっては、地域の実情を踏まえながら、その成果・効果が将来にわたり持

続・拡大し、過疎対策の課題解決に寄与するとともに、地域の自立促進に向けての仕組みを革新

していくような取組となることが求められています。

こうしたことから、過疎地域の自立促進に向け、地域の住民自身が、地域の将来に展望と「誇

り」、「自信」を持ちながら、安全・安心な暮らしが持続できるよう、国、県、市町村が一体と

なって総合的かつ計画的に取り組んでいきます。

   

この自立促進方針は、高知県過疎地域自立促進計画及び市町村過疎地域自立促進計画の策定の

ための指針として位置付けます。

   

2 計画期間

   平成22年4月1日~平成28年3月31日(6年間)

3 対象地域

   平成22年4月1日に須崎市が新たに過疎市町村(過疎法第2条第1項)に、香美市が過疎地

域とみなされる市町村(同法第33条第1項)から過疎市町村(同法第2条第1項)に、また、

黒潮町が過疎地域とみなされる区域を有する市町村(同法第33条第2項)から過疎市町村(同

法第2条第1項)となったことから、この自立促進方針の対象地域を過疎法による対象地域(2

8市町村:8市、16町、4村。うち、過疎地域とみなされる区域を有する市町:3市1町)と

します。

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また、過疎地域の自立促進を図るうえで一体として整備すべき地域(中心都市とその周辺地域、

水系を同じくする地域等)にも留意します。

高知県過疎地域エリア区分市町村図

高知県過疎地域エリア区分   過疎地域の市町村の現状

安芸広域市町村圏内の過疎地域

 [室戸市、安芸市、東洋町、奈半利

過疎地域の

市町村名

面積 ㎞2 人 口 過疎地域の

市町村名

面積 ㎞2 人 口

高幡広域市町村圏

嶺北広域市町村圏

高吾北広域市町村圏

幡多広域市町村圏

高知中央広域市町村圏

仁淀川広域市町村圏

安芸広域市町村圏

過疎市町村

過疎地域と見なされる区域(法第33条第2項)

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町、

田野町、安田町、北川 村、馬路村]

高知中央広域市町村圏内の過疎地域

 [高知市(旧鏡村、旧土佐山村の区域)、香南市(旧赤岡町、旧夜須町の区

域)、香美市]

嶺北広域市町村圏内過疎地域

 [本山町、大豊町、土佐町、大川 村]

仁淀川 広域市町村圏内の過疎地域

[い の 町 (旧本 川 村 、旧吾北村 の区

域)]

高吾北広域市町村圏内の過疎地域 

 [仁淀川 町、越知町]

高幡広域市町村圏内の過疎地域

 [須崎市、中土佐町、梼原町、津野

町、四万十町]

幡多広域市町村圏内の過疎地域

 [土佐清水市、四万十市(旧西土佐村

の区域)、大月町、三原村、黒潮町]

高知市(旧鏡村、旧土

佐山村の区域)室戸市

安芸市

須崎市

土佐清水市

四万十市(旧西土佐村

の区域)香南市(旧赤岡町、旧

夜須町の区域)香美市

東洋町

奈半利町

田野町

安田町

北川 村

馬路村

119.28

248.25

317.34

135.46

266.52

248.00

40.72

537.95

74.09

28.32

6.56

53.03

196.18

165.52

2,696

17,490

20,348

26,039

17,281

3,571

7,456

30,257

3,386

3,727

3,236

3,297

1,478

1,170

本山町

大豊町

土佐町

大川 村

いの町(旧本 川 村、旧

吾北村の区域)

仁淀川 町

中土佐町

越知町

梼原町

津野町

四万十町

大月町

三原村

黒潮町

134.21

314.94

212.11

95.28

370.13

332.96

193.19

111.58

236.51

198.22

642.06

103.04

85.35

188.38

4,374

5,492

4,632

538

3,691

7,347

8,320

6,952

4,625

6,862

20,527

6,437

1,808

13,437

過疎 計 5,655.18 236,474

非過疎計 1,449.83 559,818

 県 計 7,105.01 796,292

※平成 17 年 10 月 1 日現在の人口・面積を平成 22 年 4 月 1 日時点の過疎地域エリア区分で計上。

ただし、一部過疎地域の面積は合併前の直近の調査結果による。

(人口:国勢調査 面積:国土地理院)

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高知県過疎地域自立促進方針

Ⅰ 基本的な事項 1 過疎地域の現状と課題  (1)過疎地域の現状

    ア 概況

    (ア)過疎地域自立促進特別措置法に基づく過疎地域は、県内34市町村のうち28市町村

(8市、16町、4村。うち、過疎地域とみなされる区域を有する市町:3市、1町)、

となっています。

    (イ)平成17年10月1日現在の過疎地域の全県に占める割合は、面積で 79.5%、人口で

29.6%となっています。

   

    イ 人口の動向

    (ア)過疎地域の人口は、昭和35年の 355千人をピークに減少を続け、平成17年には

178千人となっています。

    (イ)県内においては高知市への一極集中の状態が続いており、また、過疎地域の市町村に

おいても、役場など町の機能が集積している地域への集中が見られ、周辺の地域ほど

人口の減少や高齢化が著しくなっています。

    (ウ)平成17年の過疎地域の高齢者比率は、35.8%と過去最も高く、一方、若年者比率は、

10.4%と過去最も低い状況になっています。

1

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(単位:人)

昭和 35 年 昭和 40 年 昭和 45 年 昭和 50 年 昭和 55 年 昭和 60 年 平成2年 平成7年 平成 12 年 平成 17 年

旧高知市の区域 200,817 222,791 248,121 280,962 300,822 312,241 317,069 321,999 330,654 330,788非過疎地域 298,157 281,794 270,511 276,767 287,300 294,945 290,630 290,162 291,327 286,741過疎地域 355,621 308,129 268,250 250,668 243,153 232,598 217,335 204,543 191,968 178,763

全   県 854,595 812,714 786,882 808,397 831,275 839,784 825,034 816,704 813,949 796,292※暦年のデータを比較するため、過疎地域の人口は平成 17 年時点の過疎地域エリア区分で計上。非過疎地域は、旧高知市の区域以外

の非過疎地域(一部過疎地域市町村の非過疎地域を含む)の計 (国勢調査)

  

県内過疎地域の市町村人口減少率      (単位:%)

区分

高   い 低   い

H 17/S 35 H 17/S 55 H 17/S 35 H 17/S 55

1 大川 村   86.9いの町  42.3

(旧本川 村・旧吾北村)須崎市   21.0 香美市  10.7

2 北川 村 75.4 大豊町   41.6 香美市  30.2高知市  15.5

(旧鏡村・旧土佐山村)

3 大豊町 69.9 大川 村  40.6香南市  31.3

(旧赤岡町・旧夜須町)

香南市  16.5(旧赤岡町・旧夜須町)

4いの町   67.9

(旧本川 村・旧吾北村)仁淀川 町  37.1 黒潮町  31.5 黒潮町  16.6

5 馬路村 65.8 室戸市  33.0 安芸市  33.0 三原村  17.6※平成 17 年 10 月 1 日現在の人口を基に平成 22 年 4 月 1 日時点の過疎地域エリア区分で算出 (国勢調査)

2

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                              (単位:%)

昭和 35 年 昭和 40 年 昭和 45 年 昭和 50 年 昭和 55 年 昭和 60 年 平成2年 平成7年 平成 12 年 平成 17 年

非過疎地域 23.6 24.7 24.6 22.8 19.5 18.0 18.4 18.9 18.9 16.5過疎地域 20.1 18.5 17.2 16.8 15.4 13.4 12.3 11.9 11.9 10.4

全   県 22.2 22.4 22.1 20.9 18.3 16.8 16.8 17.2 17.2 15.2※暦年のデータを比較するため、過疎地域の数値は平成 17 年時点の過疎地域エリア区分で算出 (国勢調査)

(単位:%)

昭和 35 年 昭和 40 年 昭和 45 年 昭和 50 年 昭和 55 年 昭和 60 年 平成2年 平成7年 平成 12 年 平成 17 年

非過疎地域 8.2 9.4 10.4 10.9 11.8 13.0 15.3 18.3 20.9 23.1過疎地域 8.9 11.2 13.6 15.2 16.4 18.5 22.5 27.4 32.2 35.8

全   県 8.5 10.1 11.4 12.2 13.1 14.5 17.2 20.6 23.6 25.9※暦年のデータを比較するため、過疎地域の数値は平成 17 年時点の過疎地域エリア区分で算出 (国勢調査)

  過疎地域の高齢者比率上位%      過疎地域の若年者比率下位%

1 大豊町 50.76 1 仁淀川 町 7.002 仁淀川 町 46.21 2 大豊町 7.07

3いの町(旧本川 村・旧吾北

村) 44.543

いの町(旧本川 村・旧吾北

村 7.994 大川 村 43.68 4 土佐町 8.705 土佐町 40.57 5 三原村 9.02

※平成 17 年 10 月 1 日現在の人口を基に平成 22 年 4 月 1 日時点の過疎地域エリア区分で算出 (国勢調査)

3

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   ウ 財政状況

     過疎地域の財政力指数の平均は、非過疎地域に比べて低い水準にあります。

   

平成3年 平成5年 平成7年 平成9年 平成 11 年 平成 13 年 平成 15 年 平成 17 年 平成 19 年 平成 21 年

非過疎平均 0.34 0.34 0.35 0.36 0.35 0.35 0.37 0.36 0.38 0.37過疎平均 0.17 0.16 0.16 0.17 0.16 0.16 0.18 0.18 0.23 0.23

県 平 均 0.22 0.22 0.22 0.23 0.22 0.22 0.24 0.24 0.26 0.26※暦年のデータを比較するため、過疎地域の数値は平成 17 年時点の過疎地域エリア区分で算出。

ただし、一部過疎地域のみの指数は算出できないことから、平成 19 年以降は一部過疎地域を含む市町村については全域を過疎

地域とみなして算出しているため、過疎地域の指数の平均が上昇している。 (地方交付税の状況:3か年平均指数)

エ 公共施設の状況

    〔道路整備〕

     (ア)過疎地域の国道、県道の改良状況は、非過疎地域と比べ、改良率で国道については

9.8ポイント、県道については 22.4ポイントの格差があります。

     (イ)過疎地域の市町村道の整備は、改良状況、舗装状況とも改善されつつありますが、

非過疎地域との格差は依然としてあります。

    〔上下水道〕

     (ア)過疎地域の上水道の普及率は、非過疎地域に近づいてきましたが、まだ格差が残っ

4

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ています。

(イ)過疎地域の下水道の普及率は 15.1%で、非過疎地域の普及率 35.9%とかなりの格

差が見られます。(平成21年3月31日現在)

  国道、県道、市町村道の整備状況

実 延 長 ㎞現    況

改良済 ㎞ 改良率 %

国  道非過疎地域  129.2  116.5 90.2過疎地域  523.0  420.2 80.4

県  道非過疎地域  866.4  563.6 65.1過疎地域 1,264.4  539.8 42.7

市町村道非過疎地域 5,107.2 2,414.2 47.3過疎地域 5,463.9 1,999.8 36.6

      (高知県の道路状況:平成21年4月1日現在)

  市町村道整備の推移         (単位:%)

平成 12 年 平成 15 年 平成 18 年 平成 21 年

改良率 舗装率 改良率 舗装率 改良率 舗装率 改良率 舗装率

非過疎平均 42.3 84.0 44.4 84.7 45.5 85.0 47.3 87.3過疎平均 32.6 71.0 33.5 74.3 34.4 74.5 36.6 74.6県平均 37.5 77.7 38.9 79.4 39.8 79.6 41.8 80.7

      (高知県の道路状況)

 水道普及状況

昭和 63 年 平成5年 平成 10 年 平成 15 年 平成 20 年

施設数 非過疎地域 147 143 134 129 94

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過疎地域 361 364 388 397 371

全 県 508 507 522 526 465

給水人口

(千人)

非過疎地域 533 551 566 574 546

過疎地域 187 177 174 169 177

全 県 720 728 740 743 723

普及率

 (%)

非過疎地域 87.6 90.8 92.2 92.6 93.9

過疎地域 83.8 86.1 89.2 90.4 90.6

全 県 86.6 89.6 91.1 92.1 93.1

          (高知県の水道)

オ 過疎対策事業の成果

昭和45年、昭和55年、平成2年、平成12年の4次にわたる過疎立法に基づき、過疎

対策を計画的、総合的に推進してきた結果、別表(P61~P68)のとおり、公共施設の

整備など一定の成果を上げてきました。

  (2)過疎地域の課題   

本県では、これまでの40年余りにわたり総合的な過疎対策事業を実施し、過疎地域にお

ける生活環境の整備や産業の振興など一定の成果を上げてきました。

しかしながら、こうした取組にも関わらず、過疎地域では人口減少と少子・高齢化が予想

をはるかに超えるスピードで進んでいます。今後も人口減少(平成27年推計:平成22年

対比約7%の減)、高齢化の著しい進展(平成27年推計:約39%)が予測され、過疎地

域の集落をいかに維持・再生していくのかが大きな課題となります。

現在、路線バスなどの廃止による生活交通の維持や生活物資・生活用水確保といった問題

が起きているほか、耕作放棄地の増加、森林の荒廃、鳥獣被害の拡大、地域医療を担う医師

の不足など、生活・生産基盤の弱体化が進み、多くの集落が消滅の危機に瀕するなど、極め

て深刻な状況にあります。

また、就労については、過疎地域の基幹産業である第1次産業の不振に加え、第2次産業

では、建設業のウエイトが大きく公共事業に依存した状況が見られることから、第3次産業

も含めた多様な就労の場の創出や新分野への進出が必要となっています。

このような、生活基盤や就労の問題だけではなく、人口減少と少子・高齢化による地域コ

ミュニティ活動の衰退や担い手不足などが、過疎地域の自立を促進するうえで大きな課題と

なっています。

6

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多くの課題を抱える過疎地域ですが、情報化の進展により、インターネットでの情報発信

や特産品の販売など地方での起業のチャンスの増大、国民のニーズの多様化による少量多品

目の生産物や安心・安全志向の高まりによる国内産農林水産物への評価の高まりなど、過疎

地域にとってビジネスチャンスとなる動きも出てきています。

また、近年、「農ある暮らし」や「いなか暮らし」といったライフスタイルを楽しみなが

ら地域住民と交流するクラインガルテンの整備や、田舎暮らしを望む県外からの移住希望者

への情報提供など、積極的に移住や交流を推進する動きも活発になってきました。

さらに、各集落では、集落営農や地域の見守りなどの新たな仕組みづくり、伝統文化の後

継者育成、都市住民との交流など、住民自らが発案して実行し、地域を元気にしようという

動きが続々と生まれてきています。

様々な課題を抱えながら、ビジネスや地域の元気づくりといったチャンスを生かしていく

ため、その仕組みづくりや人材育成など、今後の過疎地域の自立促進にはまだまだ高いハー

ドルが存在しています。今、過疎地域の課題を県全体の課題として捉え、その解決に向けて、

県と市町村が一体となって取り組む時が来ています。

過疎地域の人口等の推計    (単位:人,%)

平成 22 年 平成 27 年

H27/H22

増減率

平成 27 年

高齢者比率

旧高知市の区域 344,791 348,107 +0.96 26.09非過疎地域 231,530 227,703 -1.65 30.45過疎地域 222,432 206,778 -7.04 39.18

全   県 798,753 782,588 -2.02 30.82※過疎地域の数値は平成 22 年時点の過疎地域エリア区分で算出。非過疎地域は、旧高知市の区域以外の非過疎地域(一部過疎地域市

町村の非過疎地域を含む)の計 (国立社会保障・人口問題研究所「日本の市区町村別将来推計人口」)

2 過疎地域の自立促進の基本的な方向  (1)基本的な方向

過疎地域は、豊かな自然や歴史・文化を有する地域であり、都市に対して食糧・水資源の

供給や、自然環境の保全と癒しの場を提供するとともに、森林による地球温暖化の防止に貢

献するなどの多面的な機能を担う国民共有の財産とも言え、このような財産である過疎地域

は、国民の心のより所となる美しい国土と豊かな環境として未来に引き継ぐべき地域である

と考えます。

これまで過疎地域が担ってきた国土の保全や水源のかん養、食糧の供給などの重要な機能

の維持に加え、森林資源などを活用した新たな循環型エネルギー対策の担い手としても、過

疎地域の公益的役割はますます大きくなっていますが、このような役割は、地域に人が住み、

生活の営みが続くことにより、その機能が十分発揮できるものと考えます。

本県では、中山間地域の総合対策の柱である「産業をつくる」「生活を守る」を基本に過

疎対策を推進しており、地域で一定の収入を得ながら、安心して住み続けることができる仕

組みづくりを目指しています。

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今回策定する過疎地域自立促進方針においては、①産業の振興、②交通通信体系の整備、

情報化及び地域間交流の促進、③生活環境の整備、④高齢者等の保健及び福祉の向上並びに

増進、⑤医療の確保、⑥教育の振興、⑦地域文化の振興等、⑧集落の整備、⑨その他地域の

自立促進に関し必要な事項の9つの項目を柱とするとともに、本県が掲げる「5つの基本政

策」の視点を持ち、過疎地域の実情や新たな動きに対応するための取組の推進を図ります。

「5つの基本政策」

・ 経済の活性化(産業振興と雇用創出)

・ インフラの充実と有効活用

・ 教育の充実と子育て支援

・ 県民の安全・安心の確保に向けた地域の防犯、防災の基礎づくり

・ 日本一の健康長寿県づくり

特に、中山間地域の総合対策の柱の一つである「産業をつくる」については、県民が一

丸となって同じ方向に力を合わせて進む旗印として、生産から流通・販売までを見通し、

高知県の経済を根本から元気にするためのトータルプランである高知県産業振興計画を実

行していくとともに、地域で新たな取組が生まれ育つ環境づくりを推進します。

さらに、「生活を守る」については、日本一の健康長寿県構想を掲げ、県民が健やかで

心豊かに、支え合いながら生き生きと暮らせる県づくりを目指し、県民誰もが住み慣れた

地域で安心して暮らせる高知型福祉の実現を目指した取組を進めるとともに、過疎地域の

住民生活に必要な水の確保や日常の買い物、生活交通手段の確保など、生活に密着したイ

ンフラの整備やしくみづくりを支援し、産業づくりと生活を守る取組を両面から進めます

     

また、過疎地域が県内面積の約8割を占める本県にとっては、過疎地域の自立促進は県

全体の根幹に関わる事項であり、過疎地域自立促進方針と県の各種計画との整合性や関係

機関等との連携を図り、過疎地域の自立促進に向けた取組を推進していきます。

  (2)各広域エリア別の現状及び具体的な施策展開

過疎地域の自立促進を効果的かつ円滑に進めていくためには、県内各地域の特性と実態に

即した施策展開が必要となります。

このため、日常生活圏や、都市部との連携などを考慮のうえ、広域市町村圏(7圏域)ご

との過疎地域、あるいは、定住自立圏構想などの広域連携に取り組む過疎地域を一つの広域

エリアとし、様々な自立促進方策に取り組みます。

    ア 安芸広域市町村圏内の過疎地域

     (室戸市、安芸市、東洋町、奈半利町、田野町、安田町、北川 村、馬路村【2市4町2

村】)

      この圏域は、県の東部に位置し、長い海岸線を有するなど、山、海、 川 の恵まれた自然

を生かし、古くから農林水産業を中心に発展してきました。その中でも、特に水産業が盛

んで、漁業等の従事者の占める割合が高いのが特徴となっています。

近年、水産業をはじめとした第1次産業の衰退とともに、人口の流出が一層進み、平成

7年から平成17年の10年間では、県内の広域エリアの中でも、人口減少が著しい地域

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の一つとなっており、圏域を構成する2市4町3村のうち、芸西村を除くすべての市町村

が過疎地域となっています。

      こうした状況を打開するためには、若者の定着に向け、地域の持つ特徴を生かした産業 、

生活全般の見直しに努めるとともに、新たに地域に住む人々がそれぞれのライフスタイル

に合わせた充実した生活を営むことができる圏域を形成する必要があります。

      このため、圏域の市町村が連携を図りながら、圏域内の課題を解決し、圏域の一体的か

つ効果的な振興策を図るとともに、広域交通や情報ネットワークの構築、人材づくり、産

業振興といった広域活動を展開しています。

      さらに、この圏域には、自然、歴史、文化遺産など、魅力ある多くの地域資源を有する

ことから、地域の浮揚のための高い潜在力があります。日本一の生産量を誇るナスやユズ

をはじめ、キンメダイ、シラス、魚梁瀬杉、土佐備長炭、室戸海洋深層水などの地域資源

や、歴史文化を色濃く残した町並みや、「モネの庭」のような新しいコンセプトの施設に

加えて、新たな動きとして「魚梁瀬森林鉄道遺産」や「室戸ジオパーク」といった地域資

源が存在することから、地域資源の磨き上げや積極的なPRに取り組んでいます。

      また、プロ野球キャンプは地域に賑わいをもたらしていますし、高速道路等の交通網の

整備により関西圏との時間距離が縮まったことなどから、サーフィンなどの海洋レジャー

も定着しています。

     こうしたことを踏まえ、次の事項を中心に地域の自立促進を図ります。

     【重点事項】

     (ア)平野部における施設園芸や中山間地域におけるユズ栽培などを中心とした農業、豊

かな森林資源を生かした林業・木材産業、釣り漁業や定置網漁業などを主体とした沿

岸漁業などの第1次産業の振興を集落等の機能を生かしながら図ります。

     (イ)地域の強みである農作物、魚介類、木材等の1次産品や室戸海洋深層水を活用した

加工品の開発など、新たな産業の振興を図ります。

     (ウ)魚梁瀬森林鉄道遺産、室戸ジオパーク、町並みなどの地域資源の磨き上げと観光ガ

イドの育成など、観光の受入態勢を強化し、広域連携を推進することで、交流人口の

拡大に取り組みます。

     (エ)山、海、 川 などの自然景観、田園や町並みなどの風景を保全するとともに、高度成

熟社会における文化、教育環境について、圏域住民が共通して利用できるサービス機

能と、より水準の高い文化や情報に接する機会を創設します。

     (オ)大規模災害に備え、沿岸部では、自主防災活動や津波避難対策の充実を図り、また

山間部では、孤立地域対策や消防団を中心とした自主防災力を整備し、災害に強い地

域づくりを進めます。

    イ 高知中央広域市町村圏内の過疎地域

     (高知市[旧鏡村、旧土佐山村]、香南市[旧赤岡町、旧夜須町]、香美市【3市】)

      この圏域は、県の中東部に位置し、本県の産業・経済・文化などが集中した県都の高知

市を中心とした地域です。鏡川 の上流域に位置する高知市の北部や、物部川 の上中流域に

位置する香美市の全域、東部の海岸沿いに位置する香南市の南部が過疎地域となっていま

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す。

高知市は、平成の大合併により、都市部を中心とした圏域の中核機能をはじめ、田園地

帯と中山間地域を併せ持つ、バランスのとれた都市となりました。市の人口は、近年、ほ

ぼ横ばいに推移しており、平成17年の国勢調査では、348,990 人(旧春野町の人口

15,506 人を含む)で、県全体の 4割を占めています。しかしながら、過疎地域にあたる

北部の山間地域では、市内の中心部への人口流出もさらに進み、昭和35年から平成17

年の約半世紀で人口が半減している状況です。

物部川 の下流域に位置する香南市は、高知市近隣に位置し開発が進んだことから、高知

市や隣接する南国市等への通勤者の増加などにより、人口はほぼ横ばいに推移しています

が、上流域に位置する香美市の山間地域では、林業の不振に伴い、人口減少が激しく、人

口推計では、今後、人口が半数近くまで減少することが予想されます。

こうした状況の中、域外への流出を防ぎ、圏域への人の流れを生み出していくためには 、

将来を見据えた魅力的なまちづくりを持続していくとともに、圏域内の市が連携、協力の

もと、それぞれの持つ個性と特徴ある地域資源をフルに活用し、活力あふれる個性的な圏

域づくりが必要となっています。

そのため、平成21年9月に高知市が中心市宣言を行い、圏域内の3市と連携し、医療

ネットワークの体制整備、新規観光産業の創出、地域公共交通の利便性向上、人材育成な

ど定住自立圏構想の実現に向けた取組も検討されています。

こうしたことを踏まえ、次の事項を中心に地域の自立促進を図ります。

     

     【重点事項】

     (ア)歴史と伝統ある地場産業の振興を進めるとともに、豊かな自然素材、食材を生かし

た高付加価値化、ブランド化などによる1.5次産業の振興、歴史資源と食、安らぎ

と癒しの自然環境を活用した観光産業の推進を図ります。

     (イ)県の中枢機能や人口が集中している高知市、南国市と隣接する地理的優位性を活か

して、直販向け野菜や施設園芸を中心とした農林業の振興を図ります。

     (ウ)圏域内の医療ネットワークの体制整備や地域福祉の相互利用、地域公共交通の連携 、

文化施設やスポーツ施設の広域的な活動を通じて、地域の住民の生活機能の強化のた

めの取組を進めます。

(エ)下水道や河 川 、道路などの生活基盤の整備を図り、都市との近接性を生かす住宅や

若者向けの住宅、宅地整備など定住環境づくりを進めます。

     (オ)多自然居住地域の創造や地域間交流の拡大に向け、山、海、 川 など身近な自然環境

の積極的な活用を促進し、魅力的な地域形成を図ります。

     (カ)南海地震に伴う、高知市を中心とする県中央部での地盤沈降による長期浸水への対

策をはじめ、沿岸部では、自主防災活動や津波避難対策等の充実を図り、また、山間

部の過疎地域では、孤立地域対策や消防団を中心とした自主防災力を整備し、災害に

強い地域づくりを進めます。

    ウ 嶺北広域市町村圏内の過疎地域

     (本山町、大豊町、土佐町、大川 村【3町1村】)

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この圏域は、県北部の県境に位置し、地域の北部には四国山地が連なり、周囲を急峻な

山々に囲まれた吉野川源 流域に広がる地域です。

総面積のうち、森林面積が約 88%を占める一方、農業用面積は、1.7%、宅地面積は、

わずか 0.5%と、典型的な山村地域であり、こうした森林資源などの自然環境を活用して、

林業や畜産業などの第1次産業が盛んです。

また、本県はもとより徳島県や香川 県の水源地域となっており、県境を越えた瀬戸内側

との交流や吉野川 上下流域での交流が活発に行われています。

圏域を構成する3町1村のすべてが、過疎地域の指定を受けており、その人口の減少傾

向は、他の地域に比較しても著しく、平成7年から平成17年の 10 年間では、16.2%の

減少となっており、県内7つの広域圏の中でも、2番目に人口減少率が高い圏域となって

います。

基幹産業である農林業では、「れいほく八菜」などの環境保全型農業の推進や、木材の

高付加価値化のための森林認証(SGEC)の取得など、地域の特徴を生かした先進的な取

組が進められていますが、過疎化や少子高齢化の煽りを受け、全体としては、就業者の高

齢化及び後継者不足などが大きな課題となっており、このことが第1次産業の衰退に繋が

っています。

こうしたことから、豊かな自然環境や地域資源など、地域が共有してきた財産を新たな

視点でとらえ、“れいほくブランド”として、広域的に組み合わせ、“環境”をキーワードに

した産業づくりや雇用の場づくりなどに、圏域の自治体が一体となった取組も始まってい

ます。

特に、観光交流の分野では、吉野川 の水源地域における豊富な地域資源を横断的に活用

して、森林レクリエーション施設や体験交流施設などを通じた地域間交流を進めるととも

に、ラフティングなどの新たなレジャーも定着しつつあります。

     こうしたことを踏まえ、次の事項を中心に地域の自立促進を図ります。

     【重点事項】

     (ア)嶺北材の増産及び販路拡大に向けて、地域の共通した資源である森林の保全を図る

とともに、「森の工場」などの供給基地として整備を進めます。

(イ)「れいほくブランド」の確立を目指し、四国の中央部に位置する立地特性と自然環

境を生かした農・畜・林産物の生産や流通体制の整備を図ります。

(ウ)広域連携による観光情報の一元化や観光ルートの確立など、広域観光の仕組みづく

りを進めることにより、瀬戸内側などとの交流を促進します。

     (エ)吉野川 の源流域と下流域との共生を目指し、地域間交流を促進するとともに、流域

の連携により水源地域の保全を図ります。

(オ)子ども、高齢者、障害者等が、安全に、安心して、快適に生活することのできる地

域社会の仕組みづくりに住民、団体等と連携して取り組みます。

(カ)都市から嶺北地域に移り住むことを希望するUJIターンの方が移住・定住しやす

い環境づくりに取り組みます。

(キ)農業・畜産業・林業の担い手の育成・確保などに取組、持続可能な産業の展開を図

ります。

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     (ク)地域住民の生活に欠くことのできない移動や外出の手段や生活物資の確保などに取

り組みます。

(ケ)大規模災害に備え、孤立地域対策や消防団を中心とした自主防災力の充実を図り、

災害に強い地域づくりを進めます。

    エ  仁淀川 広域市町村圏内の過疎地域

     (いの町[旧本川 村、旧吾北村] 【1町】)

      この圏域は、県の中部に位置し、 仁 淀 川下 流を中心として、和紙などの紙産業や施設園

芸が産業の基盤となっています。また、高知市に隣接した地域であることから、社会生活

や経済活動など、あらゆる面で高知市と密接な関係を有しています。この中で、過疎地域

は、いの町の北部に位置する旧本川 村、旧吾北村のみとなっています。

      この圏域は、古くは、製紙原料などの山林資源を下流に搬出することで栄えてきました

が、近年、ハウス園芸などの農業や、森林資源を生かした観光レクリエーション施設の整

備による交流人口の拡大にも力を入れています。

      当該圏域における近年の人口減少の傾向は、他の圏域に比べて、比較的に緩やかに推移

しているものの、過疎地域となっている北部地域の人口減少は著しく、昭和40年から平

成17年の間には 48.5%、平成7年から平成17年の10年間でも、減少率が 14.5%と

なっており、県内でも過疎化が進行しているエリアとなっています。

      こうした状況のもと、当地域では、清流「 仁 淀 川 」を共有する近隣の「 高吾北広域市町

村圏」の自治体とも一体となって、 仁 淀 川 をテーマに、 仁 淀 川 流域の保全や流域圏の活性

化など、広域的な取組をスタートしています。

      これを契機にして、山、海、 川 の恵まれた自然環境の土佐和紙に代表される伝統文化な

ど、地域の資源や特色を生かしながら、下流域の市街地から上流域の山岳地域までの流域

全体で多様な展開を推進しています。

     こうしたことを踏まえ、次の事項を中心に地域の自立促進を図ります。

     

     【重点事項】

(ア)高地の冷涼な気候を利用した夏・秋期の園芸農業など、地域の特徴を生かした多様

な農業の展開を図ります。

(イ)「森の工場」を核として事業体や担い手の育成に取り組み、間伐の面的な拡大を目

指すとともに、加工流通体制を整備し、消費者ニーズに対応した商品づくりや流通コ

ストの低減に取り組みます。

     (ウ)県境という地の利を生かした瀬戸内側との交流を一層促進します。

     (エ) 仁 淀 川 などの自然資源や地理的条件を生かした体験メニューづくりに取り組み、体

験型観光を推進するとともに、流域観光の情報発信等を実施するための広域観光の組

織化を図ります。

(オ)大規模災害に備え、孤立地域対策や消防団を中心とした自主防災力の充実を図り、

災害に強い地域づくりを進めます。

    オ 高吾北広域市町村圏内の過疎地域

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     (仁淀川 町、越知町【2町】)

      この圏域は、県の中西部の 仁 淀 川 上中流域に位置し、流域の平坦地では、野菜、花卉、

果樹の農業が営まれており、また、山間部では、豊富な森林資源を活用した林業や、立地

条件を生かしたお茶の生産が盛んに行われています。

      この圏域の過疎地域は、佐川 町を除く、 仁 淀 川 上流域の山間部に位置する 仁 淀 川 町、越

知町となっており、杉、ヒノキを中心とする優良材の供給地や、良質茶としてブランド化

を進めている「 仁淀川 流域茶」の産地となっています。

      人口減少率は、県内の過疎地域の平均を上回っている状況であり、第1次産業の担い手

不足や、地域の活力の低下などの深刻な課題に直面しています。

      こうしたことから、広域内の自治体が相互に協力し、地域資源の見直しや森林資源の保

全、育成の活動など、圏域の連携による取組を始めています。

      また、圏域の一体的な振興を図るための広域ソフト事業を推進することを目的とした

「高吾北広域市町村圏計画(ふるさと市町村圏計画)」を策定し、佐川 町を含めた3町が

連携しながら、人づくり、産業づくり、文化づくりなど幅広い分野にわたるソフト施策を

計画的かつ効果的に推進するとともに、住民と行政の協働、NPO 組織の育成を進めていま

す。

      また、清流「 仁 淀 川 」を共有する近隣の「 仁 淀 川 広域市町村圏」の自治体とも一体とな

って、 仁 淀 川 をテーマに、 仁 淀 川 流域の保全や流域圏の活性化など、広域的な取組に発展

しています。

     こうしたことを踏まえ、次の事項を中心に地域の自立促進を図ります。

     【重点事項】

     (ア)基幹品目の生産性及び品質の向上、高付加価値化によるブランドの立ち上げ、薬用

作物の産地の拡大など、地域の特徴を生かした多様な取組により、基幹産業である農

林業の振興を図ります。

(イ)文化資源や自然環境など地域資源を生かした水と緑の空間づくりを推進するととも

に、他の地域との交流を推進します。

(ウ)シルバー関連産業や商工業など、地域に根ざした産業の振興を図り、自然と共生し

た産業の構築を図ります。

(エ)観光情報発信基地の整備、地場産品の活用による新商品の開発及び物産販売の促進

により観光産業の推進を図ります。

     (オ)仁 淀川 やジオパークなどの自然資源や地理的条件を生かした体験メニューづくりに

取り組み、体験型観光を推進するとともに、流域観光の情報発信等を実施するための

広域観光の組織化を図ります。

(カ)大規模災害に備え、孤立地域対策や消防団を中心とした自主防災力の充実を図り、

災害に強い地域づくりを進めます。

    カ 高幡広域市町村圏内の過疎地域

     (須崎市、中土佐町、梼原町、津野町、四万十町【1市、4町】)

      この圏域は、県の中西部にあり、そのほとんどが山間部に位置し、圏域の総面積のうち、

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森林面積は、86.9%を占めています。

こうした森林資源をはじめとする山、海、 川 の恵まれた自然と、それに育まれた様々な

地域資源を活用して、山間地域では高幡ヒノキ等を生かした林業、四万十川 、新荘 川 流域

に広がる平坦地では施設園芸などの農業、また、海岸部では近海漁業や養殖業などの水産

業など、第1次産業を中心にこれまで発展してきました。

この圏域には、最後の清流四万十川 や、四国カルスト、横浪半島、太平洋などの恵まれ

た自然環境を有しているとともに、それぞれの地域には、神楽などの歴史・伝統文化など

も数多く残っています。このため、自然環境や文化等の資源を有効に活用し、他の地域と

積極的な交流活動や、特産品づくりなどの活発な地域おこし活動を展開しています。

しかしながら、年々、高齢化が進展する中、地域の基幹産業である農林水産業そのもの

の衰退、製造業や建設業などの不振による就労の場の減少により、若年層をはじめとした

人口の流出が進んでいます。

このような状況のもと、今回の過疎法改正により、平成22年4月に須崎市が新たに過

疎地域に追加指定され、圏域のすべてのエリアが過疎地域となりました。

今後、こうした過疎化の進展に歯止めをかけるためには、担い手づくりによる基幹産業

である農林水産業の振興はもとより、様々な地域資源を最大限に活用しながら、付加価値

を持たせた加工品の開発、自然や文化等との資源を連携させた観光ルートの開発など、圏

域が一体となった戦略的な取組を進めることが必要となっています。

    

     こうしたことを踏まえ、次の事項を中心に地域の自立促進を図ります。

     【重点事項】

     (ア)地域産物を活用した1.5次産業の振興に取り組むとともに、「道の駅」等を活用

した土産品の開発、販売などを行います。

(イ)それぞれの地域のビジネス拠点組織を中心に、農業や水産業、商業などの複数の分

野が連携した多角的なビジネスや地産外商ビジネスを展開し、地域の再生に取り組み

ます。

     (ウ)子どもや高齢者、障害者など、すべての人にやさしく、安心して豊かに生活できる

環境づくりを進めます。

     (エ)高速道路など圏域内の道路交通体系や通信ネットワークを活用して、圏域内外の交

流活動を活性化させます。

(オ)四国カルスト、四万十川 などの自然環境や伝統文化の保全に努めるとともに、こう

した地域資源を有効活用することにより、滞在型・体験型の観光を推進します。

(カ)大規模災害に備え、沿岸部では、自主防災活動や津波避難対策の充実を図り、また

山間部では、孤立地域対策や消防団を中心とした自主防災力を整備し、災害に強い地

域づくりを進めます。

    キ 幡多広域市町村圏内の過疎地域

     (土佐清水市、四万十市[旧西土佐村]、大月町、三原村、黒潮町 【2市2町1村】)

      この圏域は、本県で最も西に位置するエリアで、日本最後の清流で知られる四万十川 、

足摺宇和海国立公園内の足摺岬や大堂海岸、県内唯一の有人離島である沖の島の海岸景観

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など、豊かな自然が多く残されています。

また、四国で最も温暖な気候や黒潮の恵みを受けた地域資源を有効に活用し、山間部で

の施設園芸などの農業、海岸部での漁業といった第1次産業が主要な産業となっています。

しかしながら、若者の流出や高齢化による後継者不足、景気の低迷等による公共事業の

大幅な削減での就労の場の減少などによって、この圏域からの人口流出に歯止めがかから

ない状況が続いており、今回の過疎法改正で、黒潮町の全域が過疎地域に指定されたこと

により、四万十市の中心部である旧中村市と宿毛市を除く圏域すべてが過疎地域となりま

した。

人口推計によると、2030 年には、現在の8割程度まで人口が減少し、高齢化率も約4

0%になると予想されるなど、今後とも厳しい状況が続くことから、若者の定住や雇用の

拡大などに向けた取組を進めるとともに、誰もが安心して生活することができる自立した

地域の仕組みづくりを進めていくことが必要となっています。

こうしたことから、「高知県西南地域拠点都市地域計画」を策定し、地域の特性を生か

しながら、高いポテンシャルを有する四万十市、宿毛市、土佐清水市を中心に、その周辺

町村も含め、圏域が一体となって、高知県西南拠点都市における若者定住の核となる

「職」「住」「遊」「学」の総合的な生活空間の形成を目指して取り組んでいます。

また、平成21年度から四万十市及び宿毛市を中心とした、「定住自立圏」を形成し、

地域医療ネットワークの充実、広域観光の推進、図書館ネットワークの構築、地域公共交

通の充実等の取組も進められています。

さらに、四万十川 や足摺宇和海国立公園など、全国的にも知名度が高い自然環境を活用

して、体験型観光が盛んに行われており、広域連携による教育旅行の誘致活動や、観光ガ

イドなど、住民参加による地域活動も見られます。

     こうしたことを踏まえ、次の事項を中心に地域の自立促進を図ります。

     【重点事項】

     (ア)第1次産業の振興を図りながら、四万十川 の自然や海洋性の地域資源を生かした交

流を促進し、都市部の四万十市(旧中村市の区域)、宿毛市、土佐清水市が機能分担し

ながら、特色のある圏域づくりを促進します。

(イ)情報ネットワークの推進により、第1次産業や観光産業を活性化するとともに、新

たな情報系産業の振興を図ります。

(ウ)漁港の整備や競争力のある養殖業の育成に努めるとともに、水産物の付加価値向上

のため、鮮度保持施設・機器などの整備を促進します。

(エ)法人化した広域観光組織を中心として、豊かな自然環境や地域資源を生かした魅力

ある観光地づくりを行い、自然体験型の教育旅行や観光客の誘致を図り、滞在型・体

験型観光を推進します。

     (オ)大規模災害に備え、沿岸部では、自主防災活動や津波避難対策の充実を図り、また

山間部では、孤立地域対策や消防団を中心とした自主防災力を整備し、災害に強い地

域づくりを進めます。

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S 40 S 50 S 55 S 60 H 2 H 7 H 12H 1

人口減少率

H17/S40 H17/S50 H17/S60 H17/H7

安芸 84,769 74,236 73,149 71,332 66,743 62,459 58,200 54,132 36.14 27.08 24.11 13.33

高知

中央31,756 24,513 23,089 22,446 21,141 20,241 19,384 18,227 42.60 25.64 18.80 9.95

嶺北 36,804 26,408 24,707 22,206 20,401 18,782 17,398 15,725 57.27 40.45 29.19 16.18

仁淀川 7,413 5,203 4,684 4,523 4,093 3,705 3,358 3,002 48.48 33.05 25.09 14.49

高吾北 27,755 21,359 20,724 19,087 17,752 16,722 15,600 14,299 59.50 42.30 33.63 18.97

高幡 65,718 52,880 51,653 49,757 47,098 44,954 42,684 40,334 38.63 23.73 18.94 10.28

幡多 53,914 46,069 45,147 43,247 40,107 37,680 35,344 33,044 38.71 28.27 23.59 12.30

計308,12

9

250,66

8

243,15

3

232,59

8

217,33

5204,543 191,968 178,76

341.98 28.69 23.15 12.60

   (国勢調査)

 3 広域的な経済社会生活圏の整備の計画等との関連

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過疎対策事業を効率的かつ円滑に実施するため、過疎地域自立促進方針の策定に当たっては 、

県の産業振興計画(産業成長戦略、地域アクションプラン)、日本一の健康長寿県構想、教育

振興基本計画や、その他の諸計画と整合性を図るとともに、広域行政圏計画など広域的な計画

にも配慮し、過疎地域の位置付け、地域間の機能分担を明確にし、地域の特性を生かした計画

内容とします。

Ⅱ 産業の振興

 1 産業振興の方針

  ○足下を固め、活力ある県外市場に打って出ます。(1)地産地消の徹底

      地元で作ったものを、地元で消費する“地産地消”を徹底して、地域産業の力を強めてい

きます。

   (2)地産外商の推進

さらに、商品の強みを磨き上げ、県外・海外に向け、本県の魅力を余すことなく売り出

し、地産外商を強力に推進していきます。

○ 産業間連携を強化します。    (1)産業間の連携による高付加価値化の推進

他の地域との競争に打ち勝つため、それぞれの地域での農林水産業と加工業、機械製造

業など、産業どうしの結び付きを強め、より価値の高い、魅力あるものづくりを進めます。

(2)食品加工の推進

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本県には、全国トップクラスと言われる「食」をはじめ、四万十川 や土佐湾といった「美しい自然」、四国八十八ヶ所や幕末の志士などの「歴史、文化」、よさこい祭りやお接待に代表される「人々の活気」、「おもてなしの心」など、全国に誇れる資源が数多く存在します。 こうした『食』、『自然と歴史』、『人』といった本県の「強み」となる資源を最大限に生かしながら、「所得の向上」と「雇用の創出」に向けた取組を進めることにより、過疎地域で一定の収入を得ながら安心して生活していくことができる仕組みづくりを目指します。

「高知県産業振興計画」を中心として、生産から流通・販売までを見通し、高知県の経済を根本から元気にする取組を推進します。

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    過疎地域の基幹産業である農林水産業の強みを生かすため、農商工連携などにより、食

品加工分野を伸ばす取組を進めます。

(3)すそ野の広い観光産業の戦略的展開

過疎地域の資源を活用した滞在型・体験型観光を戦略的に展開するなど、多くの産業が

うるおい、即効性のある観光を積極的に進めます。

  ○ 足腰を強め、新分野へ挑戦します。 (1)担い手の育成、確保への支援

      過疎地域の強みである農林水産業の生産地の力や、地元の事業者の経営基盤を強めると

ともに、UJIターンの促進など、担い手の確保に向けた取組を進めます。

      また、地域、産業界、行政、教育界の連携の仕組み、人材供給体制の確立により、地域

や産業界が求める人材の育成と確保に努めるとともに「働く場の確保・創出」、「円滑な

就業の促進」や「労働環境の改善」に取り組みます。

   (2)中山間地域の産業づくりの推進 

過疎地域における様々な取組の芽を「小さなビジネス」や「拠点ビジネス(多角的複合

型ビジネス)」に繋げることで、所得を安定させ、中山間地域で安心して暮らせるような

環境づくりを進めます。

(3)新産業の創出

食品、天然素材、環境、健康福祉など、今後、成長が見込まれる分野において、それぞ

れの地域の独自性と、ものづくりの技術と素材の良さを生かしながら、全国にも通用する

産業を新たに創っていきます。

 

   こうした基本的な方向性をもとに、農林水産業の振興、地場産業の振興、企業の誘致対策、起

業の促進、商業の振興、観光の振興、といったそれぞれの施策に取り組みます。

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 2 農林水産業の振興                  ◆農業・農村の振興      

  施策展開の方向

  (1)高知ブランドの再構築

   (流通・販売体制の強化)

    ア 量販店での継続した取引につなげる取組や業務加工需要への取引拡大と販路開拓など、

消費流通構造の変化に対応でき消費地から評価されるよう、生産から流通・販売までの一

元的支援体制の構築を進めます。

    イ 産地側と実需者側の多様なニーズに対応できる販売体制を構築するとともに、より効率

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農業・農村振興の視点 過疎・高齢化の進行により農業者の減少が進むとともに、農地面積や農業生産額などが継続的に減少するなど、食料供給力が弱まっています。また、農産物価格が低迷し、農業所得が減少しています。 特に、中山間地域の多い本県の農業・農村の情勢はさらに厳しさを増しています。 こうした環境の変化に対応するため、本県農業の強みを活かし、農家所得の向上と持続可能な、活力ある農業・農村づくりを目指します。

 (1)消費地に信頼され、高品質な農畜産物を安定的に供給できる産地を目指して、農業者・農業団体・行政が一体となって高知ブランドの再構築に取り組みます。

 (2)農業者、農業団体等が信頼関係で結ばれる産地のまとまりの再構築を図ります。(3)消費者の食に対する安全・安心と環境に対するニーズに応えるため、環境保全型農

業を推進し、選ばれる産地づくりに取り組みます。 (4)高齢化等により、担い手が減少している中山間地域において、認定農業者や新規就

農者、集落営農組織など、意欲と能力のある多様な担い手を育成・確保するとともに 、基盤整備と農地の集積を促進します。

 (5)地域で採れた野菜等を学校給食に継続して取り入れられるよう、生産者と給食関係者のネットワークの構築や地域の特色を生かした地産地消やグリーン・ツーリズムの推進など、新たな取組による農業、農村の支援を展開します。

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的な集出荷の仕組みづくりに取り組みます。

  (2)産地のまとまりの再構築

   (まとまりのある園芸産地の再構築)

    ア 生産者がお互いに「学び教えあう場」を設け、篤農家の優れた生産技術を他の生産者に

伝えることのできる仕組みづくりに取り組みます。

イ 野菜の有望品目の導入・産地づくりを推進するとともに、水稲後作の農地の有効利用に

取り組みます。

ウ 花卉の新品目の試験栽培、モデル栽培、実証販売に取り組み、花卉産地の強化に取り組

みます。

  (3)選ばれる産地づくり

   (環境保全型農業の普及推進)

    ア 天敵を利用したIPM技術と本県の豊かな自然を活用した自然エネルギーの利用及び有

機農業などの技術確立と普及を進めることで、地域の特性を生かした持続可能な農業を推

進します。

イ 環境保全型農業の取組を消費地に理解していただけるよう、流通関係者と産地との交流

会の開催や、高知の環境に配慮して生産された農産物を活用した新メニューの開発等によ

り、新しい需要や販路の開拓を図り、高知県の安全な農産物として有利販売へつなげます。

(特色ある品目の振興)

      ユズやブンタン等の特産果樹や米、茶、畜産といった地域特性を生かした農畜産物の生

産から流通・販売体制を強化し、技術力・経営力の向上などに向けた取組を推進します。

  (4)多様な担い手の育成・確保

   (集落営農の推進)

    ア 作業の受委託や農業機械等の共同利用などを行う集落営農を推進することで、効率的な

生産体制の確立や農地の有効利用を図り、地域の活性化につなげていきます。

    イ 収益性の高い園芸品目等を導入し、集落が一体となって営農活動を行う「こうち型集落

営農」を推進します。

   (6次産業化の推進)

      農業者による生産から加工、流通、販売の一体化や、農業と第2次産業、第3次産業の

融合等により、地域ビジネスの新たな展開を促す「6次産業化」を推進します。

(意欲と能力のある担い手の育成)

    ア 認定農業者を中心に、女性や高齢者などを含めた、意欲と能力のある多様な担い手を育

成・確保します。

    イ 新規就農に必要な農地や施設などの情報提供や技術研修を実施することなどにより、新

規就農者の確保・育成に努めます。また、就農後のフォローアップなどの支援活動の充実

を図ります。

    ウ 中山間地域等直接支払制度などの積極的な活用を通じて、耕作放棄地の発生の防止を図

るとともに、小規模な農家や高齢農家などが持続的に農業生産を続けていけるような体制

づくりを進めます。

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    エ 耕作放棄地の再生利用を推進するため、所有者の意向を把握するとともに、空きハウス

などの情報を収集し、規模拡大農家等への情報提供を行うなど、新たな担い手とのマッチ

ングを支援します。

オ 地域資源を生かした農村地域の活性化や農業の振興などに意欲的、挑戦的な人材を育成

します。

カ 地域の女性や高齢者が作った野菜等を学校給食に取り入れるために、現状や課題を共有

し、発注量と受注量のバランスに応じた規模できめ細かく、具体的な取組が進むよう、情

報交換の場を設定します。

   (基盤整備と農地集積の促進)

    ア 地形条件や営農形態の特性を踏まえながら、園芸農業の振興、農地集積に直結するほ場

整備などを推進します。

    イ 地域農業の中核を担う農業者に農地を集積するとともに、地域全体での農地の有効活用

を促進します。

    ウ 老朽化した基幹的農業水利施設の維持補修等を計画的に行い、機能回復を図ります。

  (5)新たな取組による農業、農村の支援を展開

   (地産地消の持続的発展とグリーン・ツーリズムの推進)

    ア 直販所の販売形態の充実・強化や、県内の地域特産物のファンづくりと将来の消費拡大

を目指して、食農教育を実施するなど、地産地消を定着させる仕組みづくりに取り組みま

す。

    イ 集落がひとまとまりとなって生産、加工、販売までを手がけ、集落を丸ごと情報発信す

る仕組みをつくるなど、地域の資源を活用したグリーン・ツーリズムの県内各地域への浸

透・定着に向けた取組を進めていきます。

    ウ 高知県の基幹11品目を使った学校給食用の献立メニューの開発と、それを使った学校

給食の実施を推進します。

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  ◆林業の振興                  

施策展開の方向    (1)林業・木材産業の再生

   (原木生産の集約化・効率化)

    ア 森の工場の整備

施業地を集約化する効率的な生産システムにより、計画的に木材を生産する「森の工

場」を整備します。

イ 事業体の育成

低価格でも収益を確保できる、競争力を持った林業事業体を育成します。

ウ 担い手の育成

     (ア)効率的な生産システムに対応できる担い手を育成・確保します。

     (イ)自伐林家等による生産活動を促進し、所得の向上を目指します。

   (加工の共同化・効率化・高付加価値化)

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林業振興の視点木材価格が大幅に低下し、厳しい経営環境にある林業・木材産業界ではありますが、国際

的な木材需給の状況や、地球温暖化の防止などに対する森林への関心の高まりなどを好機と捉え、「林業・木材産業の再生」、「木質バイオマス利用の拡大」、「森のものの活用」、「健全な森づくり」の4つの戦略の柱に基づき、官民協働による推進体制を強化して、「豊かな森林資源を活用した所得の向上と雇用の創出」を目指すことで、地域経済に貢献します。

 (1)国際的な木材需給の状況や、地球温暖化の防止などに対する森林への関心、木材という自然素材に対して安全・安心といった面での関心の高まりを背景に、林業・木材産業の再生に取り組みます。

 (2)原油価格の変動や地球温暖化対策への対応として、木質バイオマス燃料へのニーズが高まっており、木質バイオマス利用の拡大に取り組みます。

 (3)食の安全・安心や、自然への関心が高まっており、森のものの活用に取り組みます。

 (4)水源かん養や災害防止など、森林のもつ公益的機能が注目され、特に近年 CO2吸収源対策としての森林整備が求められているため、健全な森づくりに取り組みます。

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    ア 製材工場等の体制の整備

      共同化や大型加工施設の設置により、生産量の拡大を図ります。

イ 製品の品質の向上

      乾燥機などの導入の促進により高品質化を図ります。

   (原木及び製品の流通の効率化・共同化)

    ア 原木の流通体制の整備

伐採現場から製材工場へと原木の流通を短絡化するとともに安定供給を図ります。

イ 製品の流通体制の整備

産地・消費地間の大ロット輸送と、消費地での配送を効率的に行える体制をつくります。

   (販売力の強化)

    ア 販売力の強化

     (ア)安全・安心で環境に配慮した産地として消費地にアピールしていきます。

     (イ)地産地消及び地産外商を推進し、木造住宅はもとより、県産材をあらゆるところで

積極的に使用していきます。

  (2)木質バイオマス利用の拡大

      森林資源の新たな用途としてエネルギー利用の拡大に取り組みます。

  (3) 森のものの活用

    ア 森の資源の活用(炭やシイタケなどの特用林産物の活用)

      地域のあらゆる資源を多彩に組み合わせることで付加価値を高め、中山間地域での所得

の向上を図ります。

イ 都市との交流の促進 (間伐体験や森の散策など、森林そのものを活用)

      森林資源を活用し、森林・林業体験や森林セラピーなどエコツーリズムを推進し、都市

との交流人口を拡大します。

  (4)健全な森づくり

      森林の適正な管理

森林所有者の管理意識の醸成と森林情報の把握に努め、間伐など必要な施業の実施と、

新たにオフセット・クレジットの創出を積極的に推進し、適正に管理ができる仕組みづく

りに取り組みます。

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  ◆水産業の振興                  

  

  施策展開の方向性

  (1)漁業者の収入増加

   (生産量、品揃えの確保、漁獲物の安定確保)

    ア 漁獲の増加に貢献する黒潮牧場(浮魚礁)を整備するとともに、かつお一本釣漁業用の

活餌供給技術の習得と施設整備を進めます。

イ 沈設型魚礁の利用促進及び磯焼け対策を実施するとともに、沈設型魚礁の再整備及び藻

場の有効利用を検討し、燃油高騰や就業者の高齢化を考慮した漁場の整備を進めます。

ウ 燃油高騰に強い漁業経営の確立に努めます。

エ 県外漁船等の違反操業の集中取締や地域防犯組織の設立・活動を支援するとともに、紛

争の解消と規制緩和を推進し、就業者の減少・高齢化を踏まえた漁業秩序の確立による資

源の確保と効率的漁獲を図ります。

オ 大型種苗の集中放流とその効果を検証し、コスト計算に基づく効果的な栽培漁業を推進

します。

カ 幅広い世代からの新規就業を促進し、漁業の担い手を確保します。

   (高品質な生産物の確保[鮮魚の商品化])    ア 鮮度保持・衛生管理・規格選別に対する漁業者や市場関係者の意識・行動の変革を図り

ます。

イ 高度衛生管理に対応した市場施設の整備を促進するとともに、拠点市場への重点投資及

び必要性の高い市場への鮮度保持・衛生管理施設の更新などを支援し、高品質な生産物の

確保を図ります。

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水産業振興の視点  魚価の低迷による漁業経営の圧迫や漁業就業者の減少・高齢化など、本県水産業の厳しい状況を打開し、漁業者とその家族が将来にわたって漁村で生活していけるよう、所得の向上と雇用の場の確保に取り組みます。

 (1)水産物の量や品揃え、品質の確保、付加価値向上販売により産地価格を向上し、漁業者の収入を増やします。

 (2)燃油や漁業資材等の供給価格の低減や、燃油・資材等の使用量や労働力の低減など経営の合理化を進め、漁業費用の削減を進めます。

 (3)水産加工の1.5次産業化を進めるとともに、海洋資源を活用した滞在型・体験型観光を推進し、漁村における雇用の場を確保します。

 (4)河 川資源 の増強や冬季における河 川 の利活用、県外への情報発信などを進め、全国から人を呼び中山間地域に賑わいを取り戻します。

 (5)水揚げ・流通の拠点となる漁港の整備や漁村における南海地震対策など、安全で活力ある漁村づくりを進めます。

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   (産地市場での競争性の向上)

    ア 市場統合に向けた関係者との協議の場づくりやハード整備を行うことで、分散化した市

場の集約を図ります。

イ 既存の仲買人との信頼関係を構築し、運営リスクの管理や市場ルールの統一と販売力を

有する新たな仲買人の誘致を推進することにより、産地市場のオープン化を図ります。

ウ 高知県漁協の入札担当職員を育成し、漁協自らが入札に参加するなど、流通販売事業に

関する取組を強化します。

   (養殖生産物の流通・販売の強化)

      養殖生産の安定に向けた漁場環境調査や魚病対策を継続するとともに、養殖生産者グル

ープの育成と、養殖生産物の流通・販売の強化を進めます。

   (土佐の魚の消費拡大)

    ア 量販店、鮮魚店、飲食店、中央卸売市場、漁協等と連携したPR活動等を通じて、県内

における県産水産物の消費拡大を進めます。

イ 産地と消費地市場関係者との交流会や商談会情報の提供を通じて、県外における消費拡

大を進めます。

 

  (2)漁業費用の削減

   (県1漁協による漁業費用の削減)

    ア 県漁連の事業承継による中間マージンの圧縮を進めます。

イ 県漁協の経営基盤の強化と経営の合理化を支援し、事業コストの削減を進めます。

ウ ニーズ調査に基づくサービス改善と人材育成を図り、漁協利用の拡大を進めます。

エ 漁業の構造改善に資する取組や漁業金融制度の見直しによる漁業者の資金調達を支援し

ます。

オ 養殖生産者グループの育成を図り、生産性の向上に向けた漁業費用の削減を図ります。

カ 組合員に対する経営指導体制の整備や、養殖共済の加入を推進し、経営の近代化を進め

ます。

  (3)水産加工の1.5次産業化と滞在型・体験型観光を推進

   (水産加工の産業化 [1.5次産業化])    ア 零細な加工業者の意識と行動を経営的視点に誘導するとともに、商品開発から販売まで

の取組を総合的に支援します。

イ 前処理加工・冷凍保管の事業化を推進し、消費者や業務筋のニーズへの対応を図ります。

   (滞在型・体験型観光の誘客)

      漁村・地域での受入体制の強化、受入基盤の整備を行うとともに、全県的な情報の一元

化、共同販売体制の構築を行い、滞在型・体験型観光機能づくりを進めます。

  (4)中山間地域に賑わいを取り戻すための資源豊かな河川 づくり

ア 種苗放流や産卵場造成などの人工的対策による資源増殖を行うとともに、自然再生産に

よる資源増殖に繋がる取組を進め、河川資源 の増強を図ります。

    イ アマゴ釣り場を冬季に設けることで、冬季における河 川 の利活用を進め、誘客資源とし

て活用します。

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    ウ 関係機関との連携による県外への情報発信や、誘客受け入れ態勢の整備を行い、全国か

ら人を呼ぶことで中山間地域に賑わいを取り戻します。

  (5)生産流通基盤の整備と安全で活力ある漁村の形成

    ア 水揚げ・流通や避難の拠点となる漁港の効率的かつ効果的な整備を推進するとともに、

漁港施設の長寿命化対策を実施します。

    イ 南海地震に備えるための、漁村における避難路・避難広場等の整備や、地域の創造力を

生かした活力ある漁村づくりに取り組みます。

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 3 地場産業の振興        

  施策展開の方向

  (1)地域の顔となる特産品づくり

   (商品・製品の強化)

    ア 成長が期待され潜在力のある分野や企業に重点的な支援を行い、地域の強みや地域資源

などを活用した新しい産業の振興を促進します。

イ 第1次産業の付加価値を高める機械や、作業の省力化・効率化を図る機械を県内で製造

する取組を推進し、ものづくり企業の技術力の強化を図ります。

ウ 地域の歴史と伝統に根ざした資源や技術を活用して製作される製品について、規格やデ

ザインの改良等により、現代のニーズにマッチした新しい伝統産業として再生を図ります。

   (販路の開拓)

  ア インターネットを活用した企業情報の発信や、商談会の開催、展示会への出展支援の取

組を行うことで、販路の開拓を支援します。

イ 深層水マーケットの底上げに向けた他の取水地との連携や、観光・物産事業者との連携

を図り、海洋深層水のブランド力を高めることによって販路開拓を進めます。

  (2)経営力の強化

    ア 情報ネットワークの有効活用による経営戦略を構築することで経営の近代化を推進しま

す。

 イ 道路や港湾などの基盤整備の進捗に伴い、広域的な視点に立った管理・流通施設や福利施

設の共同化による合理的経営の促進を図ります。

    ウ 国際化の流れを踏まえ、海外の産地との国際競争を視野に入れた生産体制確立を推進し

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地場産業振興の視点 (1)農山漁村の特色ある資源や技術を活用し、基幹産業である農林水産業と他の産業との

組合わせにより、地域産物の付加価値を高め、地域の顔となる特産品づくりを進めます。

 (2)経費節減等の合理化を進め、更に先端技術の導入、異業種間交流、販売マーケティングの戦略や地域ブランドの形成等により、過疎地域における事業者の経営力を強化し 、地域の活力と発展力を高めます。

 (3)地域の取組を成功に導き、地域自体が力をつけていくため、地域の産業を支える中核的な人材を育成、確保します。

 (4)農商工連携など産業間連携をはじめ、企業間の協力や地域間の連携により、地場産業と地域文化等をセットでPRするなど、地域における様々な形態の連携の仕組みづくりを進めます。

 (5)地域の産業の足元を固めるため、地域のものは地域で消費する“地産地消”の取組を強化します。

 (6)高知のものを磨き上げ、首都圏や近畿圏などの消費地や、より大きな市場に売り出していくための取組を積極的に進めていきます。

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ます。

エ 事業化に当たっての支援や新商品の販路開拓を支援します。

  (3)産業人材の育成と確保

    ア 大学との共同研究の促進や公的試験研究機関の活用等、産学官の連携を一層進めること

により、技術力の向上を図ります。

    イ 伝統的な「技」、職人技術を積極的にPRし、後継者の育成を図ります。

    ウ 学校と産業界、企業の連携強化による企業実習や企業研修を実施します。

エ しごと体験枠の拡充やキャリアカウンセラーの増員などジョブカフェの機能を充実しま

す。

オ 高等技術学校での在職者訓練や企業自らが行う研修会への講師の派遣を進めます。

カ 県内出身の県外大学生への県内企業に関する情報提供の強化により即戦力となる人材の

確保に努めます。

キ 「高知しごとネット」による求人求職情報の円滑な提供を行います。

ク 座学に加えて実践を組み合わせた研修等、人材育成の場の充実を図ります。

  (4)他産業との連携の強化

    ア 基幹産業である農林水産業と他の産業との業種間交流を促進し、一層の連携を深めるこ

とで、より付加価値の高い、魅力あるものづくりを進め、新しい産業展開を図ります。

イ 商工会や農業協同組合、森林組合を中心とした、地域での産業おこし等への取組を支援

します。

(5)県外、海外への販路開拓、販売拡大の促進

    ア 首都圏新アンテナショップ「まるごと高知」におけるテストマーケティング等を通じて

収集した消費者ニーズ等を踏まえて商品の磨き上げを行うとともに、業務筋を対象とする

外商活動を基軸とした県産品の販路開拓と販売拡大を促進します。

    イ 高知が強みを持つ農水産物について、生産から加工、流通、販売までの一貫した外商加

速化戦略を構築し、実践します。

    ウ 生産管理の高度化に向けた支援体制を強化し、外商活動に必要な高度な衛生管理の普及

に向けて、集合研修や専門家による個別指導等を実施します。

  (6)地産地消の推進

    ア 量販店等と連携して実施するキャンペーン等を通じて、地産地消に対する意識を高める

取組を進めていきます。

    イ 直販所と消費者・量販店等の交流機会の拡大のための取組を進めていきます。

ウ 住宅や施設等への県産材の活用や学校等への木製品の導入など、木材に関する地産地消

を推進します。

エ 学校給食の地産地消日本一を目指し、地場産品の給食への利用促進の取組を進めるとと

もに、関係者による食材の安定的な供給体制の構築を図っていきます。

    オ 加工や機械設備の製造など付加価値を高める工程を県内で行う、いわゆる“ものづくりの

地産地消”を進めることにより、県内産業の力を強化します。

28

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 4 企業の誘致対策        

  施策展開の方向   

  (1)誘致環境の整備促進

     企業立地の受け皿となる工業団地等、立地基盤や助成制度の整備など市町村の誘致体制の

充実を促進します。

  (2)積極的な誘致活動の展開

   (地域資源などを生かした誘致活動の推進)

     地域資源などを生かした市町村の誘致活動を促進・支援するとともに、県としても県外事

務所との連携を強化し、積極的な企業訪問活動などを展開していくことによって、企業誘致

の推進を図っていきます。

   (6次産業化の推進)

     企業立地の推進に努め、地域の各種団体が立地企業の生産技術や販売ルートを活用できる

仕組みづくりを行うことにより、地域資源の高度利用を促進し、地域の富を高めていきます。

  (3)立地後の支援(転出、撤退予防)

     立地した企業に、人材確保支援や技術研修などの細やかなアフターケア対策の実施に加え

継続的な投資を促進しやすい環境づくりに取り組み、地方の一工場でなく、主力生産拠点と

して、本社からも高い評価を受けることのできるような「強い工場」づくりに努めます。

29

企業誘致の視点 過疎地域の経済活力を高め、新たな就労の場を創出していくためには、企業を受け入れる風土づくりが重要であることから、こうした風土を醸成するため、市町村と連携して、企業誘致や立地後の支援体制の整備に取り組みます。  (1)工業団地等、企業立地基盤などの誘致環境の整備を促進します。 (2)地域資源などを生かした積極的な誘致活動を展開します。 (3)企業の転出、撤退の予防対策を一層充実していきます。

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 5 起業の促進          

 

 

  施策展開の方向

  (1)起業化支援

    ア シーズ段階から実用化に至るまでの研究開発を産学官の連携のもとに推進し、多様な業

種において、起業を推進します。

   イ 異業種交流などの人的ネットワークづくりの場やホームページ、広報誌を通じて情報の

提供に努めます。

    ウ 事業の基礎となる特許の流通を促進し、技術力をもとにした事業化の支援に努めます。

  (2)新たな産業づくり

ア 産学官連携の仕組みづくりを行い、食品分野などの共同研究を推進するとともに、大学

の研究成果と企業のニーズのマッチングを促進します。

イ まんがに代表される県内に潜在するコンテンツを発掘するとともに、それらをビジネス

につなげていく仕組みづくりを支援します。

    ウ 健康福祉分野のニーズや市場情報、専門家の助言等による具体的なプランづくりを進め

る場の提供や、複合的な福祉サービスの提供を支援します。

  (3)新事業展開の促進

    ア 小さなビジネスから拠点ビジネスへの成長や、新分野や新事業への進出を支援します。

イ 建設業の新分野進出に係る様々な課題を解決するため、地域での支援体制を構築します。

ウ 建設業の新分野進出を促進する環境づくりを推進します。

  (4)新たな人材の育成・確保

    ア 座学に加えて実践を組み合わせた研修等、人材育成の場の充実を図ります。

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起業促進の視点 (1)地理的ハンディキャップからくる時間距離の制約や、マンパワーの活用の非効率などの

諸問題を克服するため、情報産業の育成やテレワークの推進に努めるとともに、地域の強みとなる「自然」や「歴史・文化」といった地域資源を生かした活用をしつつ、自然と調和した産業の振興をはじめ、多様な業種において、コミュニティビジネスなど、過疎地域の特徴を生かした起業化を推進します。

 (2)第1次産業との融合化の促進など、食品分野等での異業種交流や共同研究を進めるともに、今後、成長が期待できる分野での産学官連携を進めることで、新たな分野への進出や新製品の開発を支援していきます。

 (3)小さなビジネスから新事業への展開や、建設業の新分野進出を推し進め、過疎地域における若者等の働く場の確保につなげていきます。

 (4)過疎地域における産業振興の取組を継続していくためには、地域の取組を中核となって推進していく人材の存在が欠かせないことから、今後の地域産業を創造・リードする新たな人材の育成・確保に取り組みます。

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    イ 地域産業の担い手や専門的なノウハウを持った中核人材の確保に取り組みます。

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 6 商業の振興          

  施策展開の方向

  (1)経営改善の支援

    ア 魅力ある個店づくりや外貨の獲得に重点を置いた経営改善の指導に取り組みます。

イ 経営改善に取り組む商業者に対し、経営内容の診断・指導のための専門家を派遣するな

どの支援に取り組みます。

 

  (2)アンテナショップ等の活用の推進

      地域外への販路を拡大するため、アンテナショップや産直ショップの設置を支援します。

  (3)インターネット等の活用の推進

      e-コマースやITに関する知識を商業者に習得してもらうセミナーの開催など、インタ

ーネットを活用したe-コマースの展開を支援します。

  (4)商店街の振興等

  ア 商工業者等が地域住民の需要に応じた取組を行うことを支援します。

イ 商店街の振興のため、新しく商売を始めたい人のために空き店舗活用を支援します。

ウ 観光との連携による地域の商業の活性化を推進します。

   

   

 7 観光の振興     

32

商業振興の視点 地域経済に貢献する商業の活性化や地域生活者の視点に立った商業機能の維持に必要な支援に取り組みます。

 (1)魅力ある個店づくりに向けた経営改善のための指導を行います。 (2)アンテナショップなどの設置を支援し、地産地消、地産外商を推進します。 (3)情報通信技術の進展に対応するため、インターネット等を活用した商業者等の

取組を推進します。 (4)商店街の振興や中心市街地の活性化を図る取組を支援します。   

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  施策展開の方向

  (1)観光資源の発掘と磨き上げ

    ア 過疎地域にある自然、歴史、文化といった優れた観光資源を生かすため、新たな観光資

源の発掘や継続的な磨き上げを推進します。

    イ 広域ブロック(県東部・中央部・西部)ごとに一泊以上滞在できる観光エリアをつくり

あげるため、観光客のニーズに対応し、それぞれの地域の特性を生かした広域観光周遊ル

ートづくりを行うとともに、広域観光を推進する組織の立ち上げや組織強化を進めます。

    ウ 入込客が減少する時期に、「南国高知」の強みや魅力を生かし、「食」、「花」、「ま

ちあるき」などをテーマにした観光客の誘致に取り組みます。

    エ 旅行の動機付けとなるイベント等を企画し、ポスト「龍馬博」を見据えた取組を推進し

ます。

  (2)人材の育成

    ア 観光資源の魅力を直接観光客に伝える観光ガイドやインストラクターの育成を図るとと

もに、各地域で活動している観光ガイド組織の強化とネットワーク化を進めます。

    イ 民間のアドバイザーを活用して、観光 PR の戦略づくりや受入態勢の整備を行います。

    ウ 観光客が安らぎを得られるような「おもてなしの心」の浸透と滞在型・体験型観光の気

運づくりを図るため、観光産業従事者等への研修、講演会等を開催し、地域住民の意識の

向上に努めます。

  (3)受入態勢の整備

    ア 航空機やJRなどで来県される観光客の利便性を図るため、周遊バスの運行など、県内

の観光地を結ぶ交通手段の確保に努めます。

    イ 観光客が快適な旅行を楽しむため、観光施設の整備や観光案内板や誘導標識の設置など

33

観光振興の視点 近年の観光は、『観る観光』から『体験する観光』へ、また、団体旅行から個人・グループ旅行への形態の変化や観光客のニーズの多様化が進み、自然、歴史や伝統文化、新鮮な山海の幸などの「食」への嗜好といった、過疎地域の優れた素材を観光客の誘致につなげる機会が広がりを見せており、地域活性化の切り札となることが期待されています。このため、過疎地域にあるこれらの素材を、観光商品として観光客に提供できるレベルに高

める取組として、自然・歴史・文化などの観光資源の発掘と磨き上げ、観光ガイドやインストラクターなどの人材育成、受入態勢の整備、観光PRやプロモーション活動の強化、他の産業分野との連携を行い、滞在型・体験型観光の取組を推進します。特に、「龍馬伝」の放送や「土佐・龍馬であい博」の開催で、全国から多くの観光客が来

県している効果を持続させるため、認知度がさらに高まった坂本龍馬を今後も本県のPRに生かしつつ、その他全国に誇れる「土佐の歴史」をフルに活用した観光PRやプロモーション活動を実施するなど、「ポスト龍馬博」の取組を推進します。

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を進めるとともに、外国人観光客にも対応できる観光案内板等やパンフレットの多言語化

に努めます。

    ウ 観光振興を進めるための施設整備等については、自然環境や景観に十分配慮するととも

に、観光客に対して、高知のすばらしい自然環境を次世代に引き継いでいくことの大切さ

を理解していただくことにも努めます。

  (4)観光PRやプロモーション活動の強化

    ア インターネット等による効果的な情報提供に努めるとともに、マスメディアを有効に活

用し、都市部を含め全国からの誘客を図るための情報を継続的に発信します。

    イ 過疎地域の豊かな地域資源を活用した旅行商品化を行い、旅行エージェントに対する営

業活動を強化します。

    ウ 過疎地域の豊かな自然環境等を生かし、ロケーション撮影の誘致を推進します。

    エ 東アジアをターゲットにした外国人観光客の誘致に向けた取組を強化します。

  (5)他の産業分野との連携

    ア 首都圏新アンテナショップにおいて、物販や飲食と連携しながら、観光情報の発信を行

います。

    イ 観光と連動した過疎地域の特色ある特産品や食の情報発信を行うとともに、グリーンツ

ーリズム、ブルーツーリズム、森林セラピー、間伐体験など、山・ 川 ・海の自然をフィー

ルドとした教育旅行の受入を行うなど、第1次産業や商工業等との情報共有と連携を推進

します。

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Ⅲ 交通通信体系の整備、情報化及び地域間交流の促進

   

 1 交通通信体系の整備、情報化及び地域間交流の促進の方針  (1)広域連携の視点に立った道路交通網の整備を図るとともに、自然環境を生かし、木の香る

道づくりの推進など自然に優しい道路整備に取り組み、過疎地域の自立促進を図ります。

  (2)農道、林道については、国道、県道、市町村道等との関連に十分配慮した整備を促進しま

す。

  (3)過疎地域における住民の生活に密着した公共交通機関の維持と、その利便性の向上を図る

ため、情報端末を主要施設に設置し、利用者の要望によって運行するデマンドバスなど、情

報通信技術を利用した交通システムの整備を進めます。

  (4)電気通信施設の整備及び情報化の推進については、過疎地域の産業振興や利便性の高い生

活環境の実現、住民サービスの維持、向上などを図るため、地域の実情に応じて、必要な整

備と継続的な運用を進めます。

  (5)交流人口の拡大は、過疎地域の活力に結びつくと同時に、経済波及効果をもたらす場面で

もあることから、地域独自の自然、歴史、文化などを活用し、地域間交流を促進します。

  (6)移住相談窓口の充実、地域での受入体制づくりの支援、地域情報の発信などの取組を行い 、

高知県への移住を促進します。

 2 国道、県道及び市町村道の整備等  (1)国道及び県道の整備及び維持管理について           

   ア 国道及び県道は、地域間交流の促進と地域生活の快適性や安全性の向上を目指して、次

の方針を基本として整備に取り組みます。

    ・交通安全を確保する道路整備の推進

   ・すぐよくわかる情報化の推進

     ・地域産業の活性化を支援する道路整備の推進

     ・観光振興を支援する道路整備の推進

     ・災害に強い道路ネットワーク等の整備の推進

    イ 「道路橋の長寿命化修繕計画」に基づき、効率的・効果的な道路橋の維持管理に取り組

みます。

  (2)市町村道の整備及び維持管理について

    ア 市町村道のうち、集落と集落又は公共施設、過疎地域とその他の地域を結ぶ市町村道に

重点を置き、県代行事業の活用などにより、総合的かつ効率的な整備等を進めます。

    イ 建設後一定以上の年月が経過した高齢化橋梁の安全性や信頼性を確保するため、橋梁点

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道路交通網の整備や生活交通の手段の確保など、過疎地域の生活基盤整備に努めるとともに、電気通信施設の整備や情報化の推進による過疎地域の自立促進に向けた新たな可能性を広げていきます。 また、自然、歴史、文化などをテーマにした地域間交流やUIJターンなどの移住を促進

し、地域の元気づくりと産業の担い手づくりを推進します。

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検を実施し、日常的な維持管理を徹底します。また、維持管理コストの縮減を図るため、

長寿命化修繕計画を策定するとともに、予防・保全的な修繕工事を実施します。

  (3)整備目標について

    ア 過疎地域の国道については、改良率 82.6%、県道については、改良率 43.7%を整備目

標(平成27年度)とし、整備を進めます。

イ 高速道路など広域的な幹線道路網の早期整備を促進します。

ウ 交通事故の縮減を図るため、事故多発地点の整備を重点的に行います。

 3 農道、林道の整備      (1)農道の整備について

      農業生産の効率化、農産物流通の合理化及び農村の生活環境改善を目的として、他の道

路整備事業などと連携を図りながら計画的に整備します。

 

  (2)林道の整備について

    ア 森林の適正な管理、効率的な森林施業、就労環境の改善を図るため、計画的に林道の整

備を行います。

イ 生活道として利用される森林管理道については早期供用を目指し重点的な整備を行いま

す。

 4 生活を守る交通確保対策及び物流の仕組みづくり    (1)公共交通の維持・確保

    ア 高齢化の進む過疎地域での日常生活や地域の活性化等を支える交通手段を確保するため、

鉄道、バス路線、フェリー航路及び離島航路等の維持・確保を図ります。

    イ 限られた予算の中で、効率的な運行を行うため、従前の仕組みにとらわれることなく、

新たな発想により、地域の実態にあった次のような運行方法などの導入を図ります。

     ・デマンド型乗合タクシーやデマンドバスの採用

     ・行政、住民、事業者等の協力による様々な運行形態

     ・スクールバスへの一般客の混乗

     ・役場への申請書、広報誌等を備えたバスの運行

     ・自転車も乗せることのできるバスの運行

     ・観光地を通る生活バス路線の設定

     ・一人暮らしの高齢者の見守りなど福祉的な視点を付加したバスの運行

     ・単にバスを待つだけでない多機能型バス停の設置

     ・ハイブリッドなど新しい技術を取り入れた車両の導入  など

  (2)物流の仕組みづくり

      過疎地域での物流手段の確保は、地域住民の生活の維持、福祉の向上や地域の活性化等

を図るためにも必要不可欠であり、次のような地域の実情に応じた物流方法等の検討を行

い、その具体化を図ります。

     ・地域住民が農産物等を自ら出荷することが難しい地域では、生産者各戸へのきめ細やか

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な集荷や直販所等に出荷する庭先集荷の仕組みづくり、また、住民ニーズに沿った新た

なサービスとして見守り機能や買い物代行等を付加

     ・物販だけでなく公共料金の納付、預金の出し入れ、クリーニング、また宅配便受け付け

などのサービスも提供する「移動コンビニ」の実施

     ・各種配達の運転手が戸口で住民に商品カタログを見せて、代理で注文を行うことにより、

高齢者が気軽に買い物できるようにサポート

    ・過疎地などの商業拠点が少ない地域において、郵便、新聞配達や牛乳配達等の既存の物

流網を「共同配送」することで物流網の維持コストの引き下げ

    ・物流のみではなく、人の輸送も併せて行うことのできる制度の検討・実施 など

 5 電気通信施設の整備            (1)地域間の情報格差は、過疎化を一段と助長する原因となることから、ブロードバンドや携

帯電話のサービスエリア拡大など、地域のニーズに対応した電気通信施設の整備に関する取

組を進めます。この取組に関しては、電気通信事業者による対応を基本とし、公的関与の必

要性を判断しながら地域間格差の解消に向けて進めます。

  (2)テレビ放送については、受信できる地域とできない地域では、日常生活そのものに大きな

格差が生じてくることから、国、市町村及び放送事業者等と連携を取りながら、地上デジタ

ル放送に対応した難視聴対策への取組を進めます。

 6 情報化の推進               (1)情報化により、保健、医療、福祉、教育の分野などにおけるサービスの多様化や高度化を

図り、住民サービスの向上につながる取組を進めます。

  (2)ICTネットワークの活用による診療支援や情報の共有を行い、医療機能の地域偏在に対

応した医療連携体制の構築を図ります。

  (3)豊かな自然や文化等を生かした地域独自の魅力や個性ある取組等について積極的な情報発

信を行い、都市部との交流を促進するなど、情報化による地域の活性化を図ります。

  (4)テレワークやICTを活用した特産品の販売など、本県が抱える地理的なハンディキャッ

プを克服した就業や起業につながる取組を進め、雇用の創出と産業の振興を図ります。

  (5)行政の情報化を進め、ホームページなどにより県民への情報提供を積極的に行い、事業を

広く県民に周知することにより、官民協働の取組を進めます。

  (6)県民の経済活動や日常生活において、情報通信機器を活用する場面が今後さらに増加する

と見込まれることから、県民の情報リテラシー向上に関する取組を進めます。

  (7)その他、情報通信技術を活用しながら、地域の活性化や住民サービスの維持、向上につな

がる取組を進めます。

 7 地域間交流の促進             (1)温泉等を核とした交流・滞在施設や、各地域で取り組まれている多様なイベント、あるい

は、姉妹都市縁組みなどの国際交流等を通じて、様々な交流を進めます。また、都市住民の

多様なライフスタイルの実現等の要請に応えていくため、地域の特性を生かしたグリーンツ

ーリズムやブルーツーリズムなどの体験型余暇活動を促進し、地域間交流の拡大を図ります。

  (2)吉野川 や物部川 流域などで取り組まれている上下流連携・地域間交流を促進し、流域住民

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を含め、広く一般県民を対象として、自然保護や水源のかん養等に対する意識の醸成・向上

に努めます。

  (3)神楽など地域固有の伝統文化の保存・振興を図るとともに、神祭などを通じて共通の伝統

文化を持つ県内外の地域との交流を促進し、個性ある地域づくりを推進します。

  (4)余暇活動に対する都市住民の多様なニーズに応える情報を、首都圏新アンテナショップな

どを活用して発信し、過疎地域と都市との交流を促進します。

  (5)過疎地域相互、また、過疎地域と都市との情報ネットワークの整備などにより、情報発信

機能の強化を行い、地域のイメージアップを図るとともに、空家や廃校など現在使用されて

いない建物の有効活用等による交流の場の整備に努めます。

  (6)「農ある暮らし」や「いなか暮らし」といったライフスタイルを楽しみながら地域住民と

交流する機会の創設を進め、過疎地域と都市との交流を推進します。

 8 移住の促進        (1)UJIターンを促進するため、移住コンシェルジュを設置し、市町村との連携のもと、き

め細かな移住希望者への支援を行います。また、地域での受入体制づくりを支援します。

  (2)廃校や公共施設、空き民家を活用した中長期滞在可能な施設整備を支援します。

  (3)移住促進に積極的な地域・団体の掘り起こしと育成を行い、それらの地域や団体と連携し

て移住希望者を受け入れていく仕組みづくりを行います。

  (4)都市居住者へ農業体験の拠点を提供し、地域と継続的な交流をしてもらい、移住や新規就

農へと結びつけていくため、滞在型市民農園(クラインガルテン)の整備を支援します。

  (5)移住や長期滞在につなげていくため、移住促進のPR活動として、地域の魅力や生活関連

情報等を効果的に発信する取組を進めます。

Ⅳ 生活環境の整備  

 1 生活環境整備の方針

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県内の過疎地域では、都市部と比べて水道施設等の普及や消防防災・救急搬送体制等、及び住環境の整備が十分ではない地域があることに加え、特に南海地震発生時には、地域の孤立をはじめ、甚大な被害を受けるおそれがあることから、住民が安全・安心かつ快適に暮らせるよう、ソフト・ハード両面において、地域の特性に配慮し、計画的な生活環境の整備を進めます。

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  (1)地域の特性に配慮した水道施設の整備を推進し、安全・安心な生活用水の安定確保を図る

とともに、公共下水道等集合処理や浄化槽の設置などによるトイレの水洗化により、都市的

生活指向に対応した施設の整備を推進します。

  (2)過疎化、高齢化が著しい地域の特性を踏まえ、日常的な、また南海地震に対応した消防救

急並びに防災体制施設の整備を推進します。

  (3)水源のかん養、自然災害対策、景観の保全など、森林などの公益的機能を維持するための

保全活動を、県民や関係機関とともに推進します。

(4)ゴミの分別やリサイクルなど、暮らしに身近な生活環境の整備に関する取組を推進します。

  (5)公的住宅の整備、住宅の耐震化、景観に配慮したまちづくりなど、安全・安心で快適な居

住環境の整備を推進します。

 2 簡易水道、汚水処理施設の整備            (1)簡易水道等の整備

   ア 過疎地域における水源の確保及び水資源の有効利用の観点から、計画的に整備を進め、

普及率の向上を図ります。

   イ 中山間地域等における水道未普及地域を対象に簡易水道等の整備を促進します。

    ウ 老朽化等により、機能が低下した施設等の更新や改良による整備を促進します。

   (2)汚水処理施設の整備

    ア 汚水処理については「高知県全県域生活排水処理構想」に基づき効率的・計画的に集合

処理(公共下水道、農業集落排水施設、漁業集落排水施設等)や個別処理(浄化槽)を実

施し、公共用水域の水質保全、生活環境改善を図ります。

    イ 下水汚泥の再資源化に取り組むことにより、適正処理の確保に努めます。

    ウ 公共下水道事業については、地域及び市町村の実情に応じて県による代行制度の活用を

図っていきます。

    エ 公共下水道等の導入が難しい地域においては、浄化槽の普及を推進します。

  3 消防防災及び救急搬送体制等の整備           (1)消防・防災体制

    ア 広域消防体制の整備と消防施設設備の近代化を推進し、過疎地域の実情に応じた消防力

の充実を図ります。

    イ 消防防災ヘリコプターの活用を図ることにより、迅速かつ的確な消防・防災活動を推進

します。

ウ 南海地震をはじめとするあらゆる災害による被害を軽減するため、避難路、避難場所、

防災拠点、津波避難ビル等を整備するとともに、災害時要援護者施設の耐震化、山間部等

でのヘリコプター緊急離着陸場の整備など孤立対策を推進します。

エ 過疎化や高齢化など、地域の特性を踏まえた消防団の充実強化や自主防災組織の設立、

活性化を促進するとともに、両組織の連携の下での各種防災訓練の実施や消防学校での教

育訓練による団員等の資質の向上を図るなど、地域防災力の向上に努めます。

    オ 各市町村における災害時要援護者の把握・情報共有等を円滑に行うため、行政・事業

者・地域関係者で組織する市町村災害時要援護者連絡協議会(仮称)の設置・運営支援を行

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います。

    カ 災害時の避難所での避難生活に支障のある方を対象とした福祉避難所を市町村が開設・

運営するためのマニュアルを作成します。

    キ 災害発生時に市町村において早急に福祉避難所の立ち上げができるよう、福祉避難所と

して利用可能な社会福祉施設を把握し、市町村に情報提供します。

  (2)救急搬送体制

    ア 高規格救急自動車の導入や高度救命用資機材の整備を推進するほか、救急救命士の計画

的な養成、救急隊員に対する教育訓練の充実を図り、救急業務の高度化を図ります。

    イ 救急患者の救命率の向上を図るため、高知医療センターと連携した消防防災ヘリコプタ

ーやドクターヘリの有効活用及びヘリポートの整備促進を図ります。

   ウ 傷病者等の救命効果を高めるため、救急隊が到着するまでに住民等による適切な応急手

当が実施されるよう、応急手当の普及・啓発活動を推進します。   (3)情報収集伝達体制の整備  

   ア 安全・安心な暮らしの確保を図るため、各地域と市町村とを結ぶ市町村防災行政無線な

どの防災情報伝達システムの整備を推進します。

   イ 県、市町村及び防災関係機関を結ぶ県防災行政無線システム及び県総合防災情報システ

ムによる的確な防災情報の収集、伝達、共有に努めるとともに、県民への情報提供の充実

を図っていきます。

 4 森林などの公益的機能を維持するための保全活動  (1)森林組合など林業事業体との連携した活動を強化し、里山保全の整備に取り組みます。

  (2)森林の持つ役割などの重要性を情報発信していくことや、県民一人一人が森林を守る活動

に参加し、また自ら行動することによって山を守り育て次代へと引き継いでいくための活動

を支援します。

 5 暮らしに身近な生活環境の整備  (1)「清潔で美しい高知県をつくる条例」に基づき、美観の保持及び回復に向けて県民が一体

となった取組を進めるとともに、河 川 や大気など環境監視の継続、県民への情報提供などを

通じて、生活環境の保全に努めます。

  (2)土砂災害など自然災害から人命や財産を守るため、土砂災害防止工事等のハード対策と併

せて、土砂災害に関する情報の伝達や警戒避難に必要な情報の周知など警戒避難体制等のソ

フト対策を充実させていきます。

  (3)波浪・高潮による越波被害から人命や財産を守る海岸保全施設を整備し、地震に強く津波

から安全に避難できる防災機能の充実を図ります。

  (4)台風や集中豪雨などによる洪水被害や高潮被害から人命や財産を守るため、河 川改 修を推

進するとともに、土砂の堆積や草木の繁茂状況を調査しながら、治水上支障のないよう、適

切な管理に努めます。

  (5)一般廃棄物処理について広域的な取組を進め、減量・再資源化に努めるとともに、高度処

理が可能な施設整備を図ります。

40

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 6 安全・安心で快適な居住環境の整備  (1)高齢者や子育て世帯などが安全で安心に生活できるよう、公的住宅の整備や住宅の耐震化、

バリアフリー化などを推進します。

  (2)住んでいてよかったと思うことができる快適な居住環境を整備するため、歴史的な町並み

の保存・修景や定住促進のための分譲住宅団地の造成などを推進します。

  (3)暮らしの中で地球温暖化対策に貢献するため、環境負荷の少ない住宅の普及を促進します。

Ⅴ 高齢者等の保健及び福祉の向上並びに増進

   

 1 高齢者等の保健及び福祉の向上並びに増進の方針

41

少子高齢化の一層の進行により、人口の自然減や高齢化は全国より先行してる状況であり、また、年齢階層別の過剰死亡の状況を見てみると、乳児と働き盛りの死亡率が高い状態となっています。このため、生涯を通じた県民の健康づくりを支援するとともに、全国に比較して悪い周産期と乳児の死亡率や壮年期の死亡率の改善を重点的に推進します。

また、特に、人口が減少している中山間地域においては、地域での支え合いの力が弱まってきているうえ、多様なニーズがありながらも必要なサービスが提供されにくい実態があります。このため、子どもから高齢者、障害者などすべての県民が、住み慣れた地域で安心して、ともに支え合いながら生き生きと暮らせる地域づくりを推進するとともに、本県の中山間地域等の実情に即した、新しい福祉の形を地域地域で作り上げていく「高知型福祉」の実現を目指した取組を進めます。

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  (1)生涯を通じた県民の健康づくり

   ア 県民自らが健康づくりに取り組むための仕組みづくりを推進します。

    イ 周産期と乳児期を安心・安全に過ごせる環境づくりや壮年期の健康づくりを推進し、乳

児の死亡率や壮年期の死亡率の改善に重点的に取り組みます。

  (2)ともに支え合う地域づくり

      県民誰もが安心して暮らせる支え合いのしくみの再構築を進めます。

  (3)高齢者が安心して暮らせる地域づくり

      高齢者の保健福祉の向上と市町村の介護保険事業計画の達成を支援するため作成した

「高知県高齢者保健福祉計画、介護保険事業支援計画」を着実に推進します。

  (4)障害者が生き生きと暮らせる地域づくり

      ノーマライゼーションを基本理念として、障害のある人もない人も、互いに尊重し、理

解し、助け合いながら自己実現できる共生社会の実現を目指し、今後の障害のある人に対

する取組の基本的な方向を定めた「高知県障害者計画」を推進します。

  (5)次代を担う子ども達を守り育てる環境づくり

    ア 児童が心身ともに健やかに育成される権利を保障するとともに、そのための環境づくり

に努めます。

    イ 次代を担う子どもを生み育てやすい環境をつくり、子育てを地域社会全体で支援してい

く体制を整えます。

 2 生涯を通じた県民の健康づくりの推進   (1)安全・安心な出産環境づくりの推進

    ア 妊婦の母体管理の徹底を図るため、妊婦健康診査の受診促進や重要性等についての指導

など、妊婦の適切な母体管理を支援します。

イ 妊婦に対する周囲の理解の促進するため、妊婦健康診査が受けやすいような職場の環境

づくりを支援します。

    ウ 乳幼児医療費の支援など、乳幼児の疾病の早期発見、早期治療の促進を図ります。

  (2)働き盛りの健康づくりの推進

    ア 死亡原因の1位であるがんを早期に発見し、治療に繋げるため、がん検診の受診促進を

図ります。

    イ 心疾患や脳血管疾患の兆候に早期に気付き、予防するため、特定健康診査の受診促進を

42

「日本一の健康長寿県構想」を中心として、こどもから高齢者、障害者まですべての県民が健やかで心豊かに生き生きと暮らせる地域づくりを推進します。

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図ります。

  (3)「よさこい健康プラン21」の推進

    ア 「よさこい健康プラン21」(第2期高知県健康増進計画)の推進の6つの柱(運動、

栄養・食生活、たばこ対策、歯の健康、こころの健康、特定健診・特定保健指導)ごとに

県民の健康づくりを支援します。

    イ 県民一人一人が自らの健康状態を十分に把握し、生活習慣病などの予防に取り組むよう

促すため、健康づくりの意義や重要性に関する啓発を積極的に推進します。

 3 ともに支え合う地域づくりの推進  (1)地域福祉推進の指針となる県の「地域福祉支援計画」を策定するとともに、市町村の地域

福祉計画、市町村社会福祉協議会の地域福祉活動計画の策定と実践活動の支援を行います。

  (2)小規模でありながら必要なサービスを提供し、ふれあうことのできる小規模多機能支援拠

点「あったかふれあいセンター」を全市町村に整備し、地域コミュニティの再生強化に取り

組みます。

  (3)地域での見守りや支え合いの再構築を図るため、民生・児童委員活動の充実に取り組みま

す。

  (4)自殺の増加の要因となっている中高年層に重点をおいて、うつ病対策などの取組を進めま

す。また、悩みを抱えている人を相談窓口につなげる取組を強化するため、自殺予防情報セ

ンターを中心としたネットワークを構築します。

 4 高齢者が安心して暮らせる地域づくりの推進   (1)高齢者保健福祉施策とその推進

    ア 誰もが暮らしやすい社会環境づくりの推進

      県民一人一人が高齢者の問題に関心を持ち、社会全体で高齢者を支えることのできる豊

かで活力ある社会づくりの実現を目指し、高齢者に対する理解の促進や高齢者の人権擁護

に向けた取組、高齢者の就労・雇用環境の整備、高齢者に配慮した住みよいまちづくり、

地域で高齢者を支え合うしくみづくり、介護知識の普及・啓発、交通や消費者保護、防災

等の安全対策を推進します。

    イ 世代や健康状態に応じた保健福祉対策の推進

      健康でいきいきとした高齢期が迎えられるよう、壮年期からの生活習慣病の予防、生涯

学習やスポーツ・レクリエーション等の生きがいづくりを進めるとともに、元気な高齢者

が地域の担い手として、見守りやボランティア等の支え合い活動へ積極的に参加できる環

境づくりを推進します。

    ウ 地域ケア体制整備の推進

      本県では多くの方が、医療や介護が必要な状態になっても自宅や住まいで生活したいと

いう願いを持っていることから、在宅医療、在宅介護の充実や連携の強化、見守り活動等、

高齢者の日常を支えるしくみづくり、介護を行う家族が病気になったときのための緊急用

ショートステイ、高齢者の住まいの確保とバリアフリー対策、認知症対策の充実といった

地域ケアの体制づくりを推進します。

    エ 認知症高齢者対策の推進

43

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高齢化の急速な進行に伴い、今後、認知症高齢者が増加していくことが予想されること

から、認知症に関する正しい知識の普及・啓発、認知症予防活動の推進、認知症高齢者を

介護する家族への支援や相談体制の確立、認知症高齢者に対する在宅ケア及び施設ケアの

充実、認知症高齢者を支援する人材の育成等を行います。

   オ 介護サービスの質の確保・向上

近年の介護サービス量の急増に伴い、サービスの質に対する利用者の要求が高まってい

ることから、事業者又は市町村が取り組むサービスの質の向上への支援を行うとともに、

福祉・介護人材の養成・確保、介護に従事する職員の資質向上を推進します。

カ 介護予防・生活支援・高齢者保健対策の推進

高齢者の健康の保持や生活をしていくうえで必要な援助を行う地域包括支援センターに

対する支援を強化します。また、効果的な介護予防プログラムを開発・普及するとともに、

地域のリーダーを養成し、住民主体の運動機能向上などの介護予防のしくみづくりや、加

齢に伴う生活機能の低下予防、寝たきり予防対策等を推進します。

    キ 保健福祉サービスの推進

高齢者が本人や家族のニーズ、地域特性や生活環境に合わせて、住み慣れた地域で安心

して健康的に生活できるよう、保健福祉サービスの充実、介護保険サービスやその他各種

保健福祉サービスへの民間活力の導入、福祉サービス情報の総合的な情報提供と高齢者の

悩みごと又は家族の介護相談等に応じるための相談体制の充実を図り、併せて第 2期高知

県健康増進計画(よさこい健康プラン21)に基づき高齢者の健康に関する取組を進めま

す。

  (2)介護保険対象サービス基盤の整備等

    ア 居宅サービス

高齢者が介護を要する状態になってもできる限り住み慣れた住まいや地域で生活が継続

できるよう、居宅介護サービスの充実を目指していきます。その際、中山間地域などの条

件不利地域においても必要なサービスが提供されるよう、介護サービス事業の確保に取り

組みます。

   イ 地域密着型サービス

地域密着型サービスの事業者の参入が進んでいない状況のなか、24時間 365 日の安心

を確保するため、中山間地域におけるサービスの確保をはじめ、増加が見込まれる認知症

高齢者の適切なサービスを確保するため、地域密着型サービスの定着を図るとともに、市

町村において地域のニーズに応じて必要なサービスが整備されるよう取り組みます。

 また、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)及び地域密着型介護老人福祉施設 、

地域密着型特定施設入居者生活介護といった施設・居住系サービスについては、その市町

村にとって真に必要と認められるものについて、当該市町村の判断を踏まえて整備します。

    ウ 施設サービス

      今後の要介護認定者の増加を踏まえ、必要性が認められる広域型の特別養護老人ホーム

を新設するとともに、療養病床の再編成方針に応じて、医療機関の意向や各圏域の資源の

状況を勘案しながら、現在の療養病床から入院患者の方々の状態にふさわしいサービスが

提供できる施設への計画的な転換を促進していきます。

44

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 5 障害者が生き生きと暮らせる地域づくりの推進  (1)地域で支え合う仕組みづくり

      ボランティアの養成と組織化・ネットワーク化を進め、ボランティア活動を支える基盤

づくりを推進します。また、社会貢献活動を行うNPOを育成支援し、地域住民の福祉活

動を促進します。

  (2)暮らしを支える保健・医療・福祉の充実

   ア 障害のある人それぞれのニーズに応じて、福祉、保健、医療、教育、就業支援等のサー

ビスやその他の社会資源の利用を継続的に支援していく障害者ケアマネジメントを推進し

ます。

    イ 障害の種別、程度等に応じた在宅サービスが提供できるよう、ホームヘルプサービス、

デイサービス、ショートステイ等を充実します。

    ウ 地域生活を支援するため、グループホームやケアホーム、通所型施設などを整備拡充し

ます。特に、日常生活を支援するサービス事業所のない中山間地域において、重点的にサ

ービス拠点の整備を進めます。

  (3)社会的自立・参加の促進

    ア 障害のある人が、社会的に自立できるよう、一般就労に向けた相談や訓練を行うととも

に、障害の内容や程度に応じた身近な福祉的就労の場を充実します。

    イ 社会参加を促進するため、文化活動やレクリエーション活動等の支援を行うほか、IT

講習の開催や点字、手話、要約筆記等のボランティア養成を行い、障害のある人のコミュ

ニケーション手段を充実します。

  (4)ひとにやさしいまちづくりと災害への備え

   ア 「高知県ひとにやさしいまちづくり条例」に基づく、公共的な施設のバリアフリー化と

ともに、交通関連施設のバリアフリー化を進めます。

   イ 災害時に障害のある人を地域で支える仕組みづくりとともに、避難路の整備や避難場所

の確保などの応急対策を進めます。

 6 次代を担う子ども達を守り育てる環境づくりの推進  (1)児童の保健については、母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進を図るため、

「高知県次世代育成支援行動計画」を推進します。

  (2)地域の実情にあった保育所の配置と整備を行うとともに、「高知県次世代育成支援行動計

画」に基づく保育サービスの充実に努めます。

  (3)地域の子育て支援に取り組むとともに、保育所等の子育て支援機能を高めていきます。

  (4)児童の健全育成のため、家庭、学校、地域社会、行政の連携による良好な環境づくりを進

めます。

(5)子どもが心豊かに健やかに育つことを目的とした「高知県こども条例」に基づく取組を進

めます。

  (6)独身者の出会いの場の提供や地域のお世話焼きのしくみづくりなど、未婚化・晩婚化対策

を推進します。

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Ⅵ 医療の確保               

  

 1 医療確保の方針

  (1)医師の確保

    ア 平成22年2月に設立した「高知医療再生機構」を核に、大学、医師会、医療関係者、

46

県内の医療環境を取り巻く現状を見ると、医療機関が高知市とその周辺に集中するなど、都市部と中山間地域では医療提供体制に大きな差があり、また、広い県土での過疎化の進展により、全国と比べて、無医地区が多い状況です。さらに、医師の3つの編在(若手医師の減少・地域の偏在・診療科の偏在)により、特定の診療科や県中央部以外の地域で医師が不足しています。このため、県民誰もが、地域で安心して医療を受けられる環境づくりに取り組むとともに、医師の確保を始めとした医療提供体制の整備を重点的に進めます。

「日本一の健康長寿県構想」を中心として、県民誰もが地域で安心して医療を受けられる環境づくりに取り組みます。

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県、市町村の連携による抜本的な医師確保対策を推進します。

    イ 過疎地域の医療機関においては、現従事医師の高齢化に加え若手医師の専門医指向等に

よる後継者不足の実態があり、医師の確保が重要な課題であることから、自治医科大学に

おけるへき地勤務医師の養成・確保とともに、各医科大学等との連携による医師確保対策

を推進します。

  (2)連携による医療体制の確保

    ア 病期に応じた医療連携体制の構築

     (ア)医療機関や医師の地域偏在に対応し、限りある医療資源を有効に活用するため、医

療機関相互の連携体制を構築するとともに、広域的な高度医療の確保を図ります。

(イ)日常的な健康づくりの支援から、一般的な疾病や外傷に対する治療、必要に応じて

専門的な医療機関との連携などを行うプライマリ・ケアの充実に向けた取組を行うと

ともに、各2次保健医療圏において、医療機関相互の機能分担や機能連携を促進する

ことにより、患者の状況に応じた、切れ目のない医療提供体制の整備を図ります。

    イ 在宅医療の推進

       医療が必要となったときも住み慣れた地域で安心して暮らせるよう、患者やその家族

が在宅医療を望む場合に在宅での療養を選択できる環境の整備に取り組みます。

    ウ へき地医療の確保

       へき地医療の確保・充実のため、へき地診療所等の設置・設備の整備、研修体制や、

へき地医療拠点病院からの代診・応援医師の派遣など後方支援体制の確立に取り組みま

す。

  (3)救急医療体制の整備

   ア 救急医療体制の機能を維持するため、救急医療を担う医師の確保に取り組みます。

    イ 救急医療に係る医療連携体制の構築のため、診療所と病院並びに消防機関との連携体制

の強化を図るとともに、こうち医療ネット(高知県救急医療・広域災害情報システム)に

よるリアルタイムの救急医療情報の提供を行います。

ウ 適正な救急医療の受診について、県民の理解を深める啓発を行います。

エ 迅速な医師の現場派遣と救急搬送体制を強化するため、ドクターヘリの導入を進めます。

 2 医師確保対策  (1)本県では若手医師の減少や中央部以外での医師の減少、また、産婦人科等の特定診療科の

医師の減少が課題となっています。

     そのため、医師養成奨学貸付金や特定科目臨床研修奨励金を設けて、医学生や研修医の修

学・研修などを支援するとともに、高知医療再生機構を核として大学や医師会、行政機関等

の関係者が一体となりながら、特に若手医師が県内で勤務しながら、学会の専門医資格等の

取得やキャリア形成を図ることができる魅力のある環境づくりに取り組みます。

  (2)へき地の医師が地理的ハンディを克服し、意欲を持って勤務を続けられるように、高知県

へき地医療支援機構の調整による、へき地診療所への代診医の派遣を行い、へき地医師の休

暇の確保や学会等への参加の機会の確保を図ります。

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 3 連携による医療体制の確保対策  (1)医療連携の仕組みづくり

      がんや脳卒中など疾病別や、地域ごとに、病期に応じた保健・医療・福祉の連携の仕組

みづくりに取り組みます。

  (2)在宅医療の推進

      地域に根差した保健・医療・福祉のネットワークの強化や、在宅医療を担う医療者の確

保と資質の向上などにより、在宅医療を支える環境を整備します。

 

  (3)へき地医療の確保

    ア 本県の過疎地域においては、18市町村45地区(平成21年10月現在)の無医地区

が存在しています。これらの地域への新たな医療機関の設置は、医師の確保や運営面で極

めて困難な状況であることから、無医地区へのへき地医療拠点病院や市町村による巡回診

療の実施や宿毛市沖の島への歯科診療班派遣による離島の歯科診療の実施を行います。

    イ へき地診療所及びへき地医療拠点病院の間をネットワークで結び遠隔画像伝送システム

やテレビ会議の実施、情報共有等を行うへき地医療情報ネットワークの整備を進めるとと

もに、医療機器の購入や施設整備に対する支援にも取り組みます。

  (4)特定診療科に係る医療の確保

   ア 医療へのアクセスの確保対策

      過疎地域の診療所における特定診療科の設置については、眼科、耳鼻咽喉科等を中心に

高齢化に伴う有病率の高さからニーズは高いものの、人口が少ないことなどにより運営が

極めて困難な状況にあります。このため、へき地医療拠点病院や大学病院等からの医師の

派遣あるいは、巡回診療等によりその確保に努めます。

    イ 診療科の偏在への対策

      地域連携クリニカルパスの普及を通じて、居住する地域を超えて患者情報の共有を促進

することなどを通じ、特定診療科にかかる医療の確保に努めます。

    ウ 診療科ごとの対策

     (ア)産科医の確保のため、医療機関が行う処遇改善の取組を支援します。

     (イ)平日夜間急患センター、小児二次輪番病院に対する支援を行い、小児の救急医療体

制の維持を図ります。

     (ウ)地域の医師等の協力により、小児医療提供体制を維持する仕組みづくりを支援しま

す。

  (5)地域における医療提供体制の強化

    ア 市町村、医療機関、医師会等が一体となって取り組む地域の医療再生の取組を支援しま

す。

    イ 住民に身近な地域での包括ケアシステムの構築を支援します。

 4 救急医療対策  (1)適切な受診の啓発と急病時の支援

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   ア 一般診療と救急診療の違いなどの周知、小児救急医療体制の仕組みの周知など、県民に

対する適正受診の啓発を行います。

   イ 高知県救急医療情報センターの電話案内により、県民にリアルタイムの救急医療情報を

提供します。

    ウ 小児の急病に対する県民の不安感に対応するため、急病対応ガイドブックの作成や電話

相談(こうちこども救急ダイヤル、通称#8000)を実施します。

  (2)休日や夜間の医療体制の維持

    ア 救急医療体制を維持・確保するため、救急医療を担う医師の確保及び救急医療機関に勤

務する医師の支援、救急医療機関の機能維持への支援を行います。

    イ 病院搬送までの救急処置を適確なものとするため、診療所と病院並びに消防機関との連

携を促進するとともに、医師、看護師、救急救命士等を対象とした研修を実施し、病院前

救護体制や初期診療の体制を強化します。     ウ こうち医療ネット(高知県救急医療・広域災害情報システム)により、救急隊員等にリ

アルタイムの救急医療情報を提供します。

  (3)ドクターヘリの導入等

    ア 救急患者の救命率の向上や後遺障害の軽減を図るため、ドクターヘリの導入と、消防防

災ヘリコプターの連携による早期救命治療体制を充実するとともに、県内全域でその機能

を十分に発揮できるよう、飛行場外離着陸場の確保を図ります。

    イ ドクターカーでの医師の現場派遣による救命処置の早期開始を推進します。

Ⅶ 教育の振興

 

 1 教育振興の方針

49

高知県は、南国の恵まれた自然環境やその中で育まれた県民の豊かな感性のもと、本県ならではの社会経済状況や教育環境をつくりあげてきました。しかしながら、本県はそのよさを十分に生かしきれず、少子高齢化の進行や産業活動の低迷が続くなど、厳しい情勢にあるとともに、教育においては、学力や体力、生活面で大きな課題を抱えています。このため、平成20年7月に策定した「学力向上・いじめ問題等対策計画」に掲げる学校・学級改革や放課後改革など5つの改革と体力づくりを着実に実行するとともに、中長期的な計画である「高知県教育振興基本計画」(平成21年9月策定)に基づき、乳幼児期の教育や学校教育の充実、自ら学ぶ学習も含めた生涯学習の推進など、高知県の教育振興に向けて総合的かつ計画的に取組を進めることにより、高知県の確かな将来を築いていきます。

「高知県教育振興基本計画」や教育版「地域アクションプラン」を中心に、高知県における教育振興や、地域の教育課題を解決するための取組を進めます。

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  (1)基本的な教育理念(目指すべき人間像)

    ア 郷土を愛し世界にはばたく、心豊かでたくましく創造性に満ちた子どもたちの育成

変化の激しいこれからの時代においては、郷土の先人達の活躍に見られるように、我が

国や郷土に対する誇りや愛情を持ち、高知県だけでなく日本、あるいは世界の状況を見据

えながら、自らの置かれた立場を考え、高い志を持って行動できる人間の育成が求められ

ます。

      また、個人の人格形成の基盤となる規範意識や他人を思いやる心など豊かな人間性を育み 、

本県の強みでもある豊かな感性を一層伸ばしていくことが必要です。

      土佐の教育改革で掲げてきた「郷土を愛し世界にはばたく、心豊かでたくましく創造性

に満ちた子どもたちの育成」という基本理念は、まさにこのような考えを表したものであ

ることから、引き続き継承していきます。

    イ 学ぶ目的や意義を自覚し、自ら学ぶ力をもった人間の育成

      子どもたちが、これからの社会を生き抜いていくためには、基礎となる学力をしっかり

と身につけながら、その力を活用して、生涯を通じてさらに自ら学び、自己実現を図って

いくことが必要です。

      また、社会人となって様々な場面で立ちはだかる壁を乗り越えるためには、自ら学び成

長する力を持つことが大切です。

      このため、学ぶことの目的や意義をしっかりと持って、自ら学ぶことのできる自立した

人間を育成していくことが何よりも重要であると考えます。

  (2)教育振興の方向性

    ア 将来の基礎となる力を確実に育成する教育の実現

      まずは、基礎的な学力や体力が定着していない子どもが多いことなどの課題を克服し、

子どもたちに一定の教育水準を保証しなければなりません。この基礎的な力が育成される

ことにより、その力を活用して、子どもたちはさらに自らの可能性を伸ばすことができま

す。

      このため、現状を真正面から受け止め、その中から課題と対策を明らかにし、明確な目

的と目標を持ち、教育の質を一層高めていくとともに、子どもたち一人一人に将来を生き

ぬく力を確実に育むため、組織的かつ継続的に教育成果を検証し、教育実践の改善に取り

組むPDCAサイクルを確立し、実行していきます。

    イ 「強み」をさらに生かし、伸ばす教育の実現

      環境教育や食育など、高知県の「強み」を生かした取組が県内にはいくつか存在します。

こうした取組は、県内のみならず、全国的にも先進的なものであり、今後の世界的な環境

問題への対応や地産地消の流れにも沿ったものであり、本県の教育課題を解決するために

も、大いに活用していきます。

      また、自然環境を生かした「自然科学」や「ものづくり」に関する教育、豊かな感性を

育む「読書活動」、一人一人の可能性を引き出す「キャリア教育」などでも、本県の「強

み」を生かした取組を行っていきます。

    ウ 教育による社会変革の実現

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      県民誰もが幸せで安心して暮らしていける高知県にしていくためには、子どもたちを取

り巻く教育課題のみならず、全国の中でも極めて厳しい現状にある社会や経済などの諸課

題も、教育によって解決する気概を持って取り組まなければなりません。

      このため、土佐の教育改革で推進した教育的な風土づくりをさらに高め、県民、教育現

場、教育行政が信頼関係を築きながら教育による社会変革の実現に取り組んでいきます。

 2 明るい未来を担う人づくり   (1)心身ともに健やかで「夢」と「希望」にあふれた土佐人の育成

    ア 心の教育

     (ア)子どもの「夢」や「希望」を実現するキャリア教育を推進し、子どもの学習に対す

る興味関心や意欲を育てます。

     (イ)道徳をはじめ学校教育活動全体を通した心の教育の充実を図るとともに、児童生徒

の感性を高め情操を育む教育を推進します。

     (ウ)児童生徒の心の状態を客観的に把握できるアンケート調査の実施・分析を充実し、

学級経営の質を高めていきます。

     (エ)中1ギャップの解消のため、小中連携を推進して課題解決を図ります。

     (オ)発達段階に応じ、人権の意義、内容等について理解し、「自分の大切さとともに他

の人の大切さを認めること」ができる児童生徒を育てるため、連続性のある人権教育

を推進します。

    イ 健康と体育

     (ア)体を使った遊びの機会を増やすとともにその内容を充実させます。

     (イ)体育の授業の充実と運動習慣の定着を図るため、「全国体力・運動能力、運動習慣

等調査」の結果から高知県における課題を明確にし、体力向上に向けた総合的な計画

を作成し、実践します。

     (ウ)運動やスポーツの素晴らしさや夢を持つことの大切さを知らせ、児童生徒が自ら将

来の夢を持ち、夢に向かって頑張ろうとする気持ちを育みます。

     (エ)学校における組織的・継続的な健康教育、学校給食の普及充実、食育などを推進します。

     (オ)学校における文化活動を充実させます。

  (2)生涯を通し学ぶ喜びに満ちた教育的な風土づくりの推進

    ア 県立図書館による市町村への支援機能の整備・充実を進めます。

イ 学校と公立図書館等の連携を強化し、協力体制の整備・充実を進めます。

ウ 就学や就労などを促進する総合的な若者支援体制の充実を図ります。

    エ 社会全体で教育に取り組む仕組みづくりや仕掛けを行い、その成果を地域社会に還元で

きる取組を進めます。

オ 地域のスポーツ環境をさらに充実させます。

カ 地域の身近な学びの場である公民館活動の活性化を図ります。

  (3)高知県の強みを生かし、伸ばす取組の推進

    ア 「高知県子ども読書活動推進計画」を確実に実施し、読書活動の推進や読書環境の充実

を図ります。

51

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イ 県立学校の成果をあげた独自の取組を引き続き支援します。

    ウ 農業・林業・水産業など、高知県の強みや特色を生かした専門高校の取組を一層周知し 、

必要に応じ、充実を図ります。

エ 高知県の強みや特色を生かした授業づくりを進めます。

 3 家庭や地域の教育力の向上   (1)教育の原点である家庭の教育力の向上

    ア 厳しい状況にある家庭を側面的に支援する施策を充実することで、どのような家庭状況

であっても一定の教育を受けられる取組を進めます。

    イ よりよい親子関係を構築し、親の子育て力を高めることで、子どもたちの生きる力の基

礎となる人格形成の基礎を培います。

ウ 学校と家庭とのパートナーシップの強化を図り、PTA等との連携による基本的な生活

習慣の確立と生活リズムの向上を推進します。

エ 宿題や家庭学習をしっかりと行うことができる対策を充実します。

  (2)乳幼児期における親の役割の重要性を認識し、確かな「子育て力」の育成

    ア 親が子どもの心の安全基地となり、よりよい親子関係が構築できるよう支援します。

イ 乳幼児期の親の子育て力を高めることで、子どもたちの生きる力のベースとなる人格形

成の基礎を培います。

  (3)放課後や週末に積極的に学校にかかわるなど地域全体で教育を支える取組の推進

    ア ボランティアによる学校図書館(室)の運営や部活動の指導、学校周辺の見守り活動な

ど、地域社会全体で学校を支える仕組みづくりを推進します。

    イ 学習やスポーツ、文化活動等の支援を行い、すべての子どもたちに健やかで豊かな放課

後を保障します。

ウ 地域の抱える教育課題を学校・家庭・地域で共有し、協働する取組を進めます。

 4 教育の質の向上と教育環境の整備   (1)将来の基礎となる力を確実に身につける学校教育の推進

    ア 幼児教育

     (ア)幼児教育の重要性に対する理解の促進を図ります。

(イ)どこにいても質の高い保育・教育を受けることのできるよう、保育士・幼稚園教員

の資質・専門性の向上を図るとともに、就学前の子どもを一体的に捉えるための環境

を整えます。

(ウ)保護者の就労の有無にかかわらず子どもを受け入れることができ、幼稚園教育要領

に沿った教育等を行う認定こども園への円滑な移行を促進します。

    イ 義務教育

     (ア)各学校における学力向上に向けた具体的な取組である学校改善プランを着実に実行しま

す。

(イ)家庭学習を定着させるため、授業と関連づけた宿題や、予習・授業・復習のサイク

ルが自然に成り立つような授業づくりを行います。

52

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(ウ)算数・数学においては、学習内容の小さなまとまり(単元)ごとに確実な定着を図

り、該当学年において身につけるべき学力を保証する取組を進めます。

(エ)県全体の教育レベルを引き上げるため、高知県を先導する取組を行う学校を積極的

に支援します。

    ウ 高校教育

     (ア)高校生の基礎学力の定着と進路希望の実現のため、各学校の生徒の実態に応じ、系

統的な学力向上対策を実施します。

(イ)中学生が自ら努力することで、目指す高等学校に入学することができるよう、県立

高等学校の入学者選抜制度や通学区域の見直しを実行し、フォローアップを行います。

(ウ)経済界や労働関係機関との連携を図り、県内企業を知る取組や、高校生が社会人と

なる際に必要なスキルアップを図ります。

    エ 特別支援教育     (ア)知的障害特別支援学校の児童生徒数の増加等に対応するため再編計画を進めます。

(イ)発達障害を含めた障害の理解や基本的な手立ての理解を促進します。

(ウ)特別支援教育学校コーディネーターや特別支援学級担当教員、特別支援学校教員な

ど特別支援教育に携わる教職員の専門性を高めます。

(エ)特別支援教育地域コーディネーターを活用し、学校支援のための地域ネットワーク

を充実させます。

    オ 高等教育(大学等)     (ア)県内の大学には積極的に地域に貢献する取組を求めます。

(イ)教員免許更新制を円滑にかつ効果的に実施するため、連携体制をこれまで以上に進

めます。

     (ウ)大学における教員の養成、県教育委員会における採用、教育センターや学校におけ

る研修、大学院への派遣研修等において、より具体的で実践的・効果的な連携を進め

ます。

(エ)高大連携等の取組を引き続き推進するとともに、教員の交流を深めます。

    カ 教育の連続性の確保

     (ア)一人一人の子どものよりよい発達や学びの連続性の確保のために、保・幼・小の子

どもの交流や教職員の相互理解を図るとともに、年間指導計画の中に連携を位置づけ

ていきます。

(イ)中1ギャップの解消のため、小中連携を通じて課題解決を図ります。(再掲) 

(ウ)中高一貫教育を推進するとともに、今後、通学区域の見直しに伴い、中高連携教育

を地域の実態に応じて一層充実させていきます。

(エ)高大連携等の取組を引き続き推進するとともに、必要に応じ、教員の交流を深めます。

(オ)子どもの「夢」や「希望」を実現するためのキャリア教育を推進し、子どもの学習

に対する興味関心や意欲を育てます。(再掲)

  (2)教職員として日々研さんし、互いに高め合う取組の推進

    ア 教職員の採用・研修等

     (ア)今後、新規採用者の増加が見込まれることから、より良い教員が採用されるシステ

ムの構築に引き続き取り組むとともに、質の高い受審者を増加させる必要があります。

53

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(イ)障害者の雇用を推進するため、学校における職員の障害者法定雇用率の実現を目指

します。

(ウ)教育研究団体とも連携しながら、教員が行う教科研究や児童生徒が興味を持って学

べる授業づくりを積極的に支援し、教育効果のあがるモデル的な手法を提供します。

(エ)教職員の意欲的な取組や成果を適正に評価し、日々助言・指導する仕組みづくりを

進めます。

    イ 指導力の育成と表彰

     (ア)教科指導に優れ、専門性を備えた地域のミドルリーダーを広域的な観点から育成し

ます。

(イ)教員のICT活用能力を、まずは全国水準を目指して高めていきます。

(ウ)学力向上や児童生徒理解に対する研修を実践につなげていきます。

(エ)意欲的で優れた取組や実践を行った教職員を積極的に表彰します。

  (3)校長等のリーダーシップのもと意欲と活力に満ちた組織的な学校づくりの推進

    ア 教育課題の解決や先導的な取組を進める学校に新たな職(副校長、主幹教諭及び指導教

諭)を配置し、組織的な取組を強化し、学校教育の質を向上させます。

イ 学校組織におけるPDCAサイクルの確立とOJTの強化を図るため、組織マネジメン

トに重点を置いた各種の研修を実施します。

ウ 人事評価制度等を活用し、校長が学校経営ビジョンに基づき、部下とベクトルを共有で

きる仕組みづくりを行います。

エ PDCAサイクルやOJTが日常的に実践される学校づくりや組織的な学校事務を進め

るとともに業務の効率化・精選を図り、教職員の多忙感を解消します。

オ 学校評価などを通して、自律的な学校運営の改善と地域に信頼される学校づくりを進め

ます。その際、校長会等における取組を支援します。

  (4)学びの拠点である教育機関の整備 充実・    ア 学校教育施設・設備の整備

     (ア)地域の特色ある学校づくりと生徒数の減少を踏まえた規模や配置の適正化を図る観

点と地域性も配慮した観点から、県立高等学校の再編計画を進めます。一方で、知的

障害者特別支援学校の児童生徒数の増加に対応し再編計画を進めます。

(イ)市町村への経費の補助も行いながら、保育所・学校施設の耐震診断と耐震化を早急に

進めます。

(ウ)教育効果の観点から、市町村の学校再編を支援します。

(エ)市町村における情報機器の整備を促進します。

(オ)その他へき地学校への遠距離通学児童・生徒の通学用に利用されるスクールバスの

整備など過疎地域における教育環境整備を図ります。

    イ 社会教育施設・設備の整備と教育委員会の体制強化

(ア)県立図書館の整備を早急に検討し、その整備の着手に努めます。

(イ)市町村教育委員会事務局体制を強化する広域的な取組を推進します。

(ウ)県教育委員会の機能を強化するため、事務局職員の研修体制を強化するとともに、

教育センターの研究機能を強化します。

54

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(エ)県立図書館の整備や教育センターの機能強化と併せて、生涯学習を推進するための

機能や施設の在り方も検討します。

Ⅷ 地域文化の振興等

 1 地域文化振興等の方針  (1)地域に残された貴重な伝統芸能、文化財、歴史的景観、生活文化などの文化資産を保存、

継承し、後世に伝えていくとともに、新たな発掘や活用を行うことにより、地域文化の振興

を図ります。

(2)それらの文化資産を地域の強みとして生かすことで、地域の自立促進に資する個性ある文

化活動の環境づくりを目指すとともに、まちづくりや観光振興にも寄与させます。

2 地域文化活動を支える人材育成及び情報収集、発信等の仕組みづくり  (1)地域に残された貴重な伝統文化や芸能、生活文化を大切にし、新たな地域文化の創造や発

展を進めるため、その保存、振興に努めるとともに、地域の人材育成や地域特性を生かした

55

県民一人一人に楽しさや感動や精神的な安らぎ、生きる喜びをもたらす芸術文化を振興し、暮らしの中に根づかせることにより、交流の場の拡大や個性豊かな街づくりにつなげ、社会全体の活力を高めます。

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文化活動を促進します。

(2)それぞれの地域の持つ特色、歴史や風土、自然環境など種々の地域資源に文化の視点から

新たな光をあてて価値を高めるとともに、地域づくりを進めるため、文化情報の積極的な発

信を行うことなどにより、個性ある地域文化の振興を図ります。

3 地域文化の振興等に係る施設の整備等     地域の自立促進に資する個性ある文化活動の推進を図るため、地域の特色を生かした文化

施設の整備を図るとともに、既存施設の有効利用や広域的な連携による施設運営に努めます。

 4 文化施設、文化財等を活用したソフト施策の推進  (1)人材の育成や生活・文化水準の向上、地域産業の振興を図るため、都市との交流機会の拡

大や外国文化との出会いの促進など、新しい刺激や発想を地域に生かせるよう、交流の場や

機会の創出に努めます。

(2)個性的な地域づくりや交流の核としての活用に努めるため、各地域に存在している国、県、

市町村等の指定文化財に加え、登録文化財の活用や、明治維新後の建造物など、文化財とし

て価値を帯び始めている新たな地域の文化遺産の活用などに努めます。

(3)文化施設等について、地域の実情、特性に応じた整備を進め、それぞれの機能を生かした

気軽に芸術文化を楽しむことができる環境づくりを進めます。

56

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Ⅸ 集落の整備            

 1 集落整備の方針  (1)地域内で食料品等の生活物資の確保や通院や買い物等の移動手段の確保、日常生活に欠か

せない生活用水の確保など、住民一人一人の日常生活を支える仕組みづくりを支援します。

  (2)集落の暮らしを守る取組を進めるとともに、住民みんなで集落を支え合える仕組みづくり

や、集落の活性化につながる仕組みづくりなど、集落の維持や新たな活動につながる取組を

支援していきます。

(3)集落の生活を守り、支えるための生活環境施設の整備について支援します。

2 一人一人の生活を守る仕組みづくりの推進  (1)安心して地域内で食料品等の生活物資を確保できるように、それぞれの地域の実情に応じ

た、より効率的な仕組みや体制を構築するため、既存の移動販売等を継続するための取組や

移動販売等を補完する住民同士の支え合いの仕組みづくりを支援します。

  (2)高齢化が進んだことで、水源の管理が困難、水源の枯渇や施設の老朽化で、施設を再整備

する必要に直面している集落において、地域の実情やニーズに応じた給水施設整備と、地域

で維持管理する仕組みづくりを支援します。

  (3)バス路線の廃止など交通空白地域に暮らす高齢者等の通院や買い物など、多様なニーズに

対応する移動手段を確保するために、住民等との協働による移送サービスの仕組みづくりを

含めた地域内交通のネットワークの構築に向けた取組を進めていきます。 

 3 住民力により集落を支える仕組みづくりの推進  (1)NPOや企業等と地域が互いに連携しながら、地域づくりを実践していくための拠点・体

制づくりを進めるとともに、知的、人的な資源を有する大学を活用した、地域のコミュニテ

ィの再生や活性化に向けた取組を支援します。

  (2)地域でのコミュニティ活動の維持が困難な集落では、近隣の集落等との連携により、互い

が助け合い、支え合うことで、地域のコミュニティが維持できる仕組みづくりを支援します。

  (3)若年層の転出等により、地域の共同作業やコミュニティ活動などの取組を進める人材が不

足しており、集落の維持、再生に向け、強いリーダーシップを持ち、地域住民をリードして

いくことができる指導者を地域内で育成していきます。

  (4)地域の資源や強みを再認識し、それらを最大限に活用していくためには、集落の内発的な

力だけではなく、集落対策を外部からも支援していく体制づくりを進めるため、集落支援員

や地域おこし協力隊など外部人材を活用しながら、地域のあるべき姿について、地域の住民

57

集落は自治組織の基本単位であり、それぞれの規模や状況に応じてその維持や活性化につながる取組を行うことが地域全体の活力創出につながると考えます。

そのため、地域で暮らす住民が、引き続き、生まれ育った地域で安心して暮らし続けることができる「持続可能な仕組みづくり」を進めるとともに、こうした仕組みづくりが円滑に進むような生活基盤の整備を一体的に推進します。

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とともに協議し、行動、実践できる仕組みを構築します。

  (5)地域の元気応援団として県職員を県内各地に配置し、集落の構想づくりや集落が自ら主体

となる活動を支援します。

 4 集落の活性化につなげる仕組みづくりの推進  (1)中山間地域等直接支払制度を活用することにより、集落機能の維持、強化に取り組み、併

せて補完施策としてソフト、ハード両面にわたる支援を行います。

  (2)産業づくりにつながる地域密着型の小さなビジネスを推進するため、経営ノウハウやビジ

ネスに係る知識の習得などにより、地域で核となって活躍できる産業人材の育成を支援しま

す。

  (3)地域の住民やグループ等の事業体を支援するため、地域のニーズに応じて、組織づくりは

もとより生産や流通、販売に至るまで、きめ細やかに支援するための有識者や専門家を確保

するなど人的なサポート体制を構築します。

 5 集落の再編整備  (1)集落人口の減少、高齢化の進展等により、基礎的条件が著しく低下した集落にあっては、

地域住民の意向があれば、過疎地域集落等整備事業等の国庫補助事業などを活用し、基幹集

落を中心とした再編整備を図り、住民の居住環境の整備に努めます。

  (2)集落移転の跡地の保全又は活用については、土地条件等を慎重に調査し、その特性に応じ

た土地の保全や利用を図ります。

  (3)基幹集落を中心に、若者等のニーズに即した魅力ある就労の場、快適な居住環境などの定

住機能の整備を図ります。

  (4)基幹集落を拠点とした交通ネットワーク体系や生活道等の公共施設の整備、また、地域コ

ミュニティの醸成の場等多様な機能を持つ集会施設の整備など、高齢者の生き生きとした活

動の場や、地域住民が安全で快適、かつ心豊かに生活できる空間の形成を図ります。

Ⅹ その他地域の自立促進に関し必要な事項

 1 自然エネルギーの利用

58

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  (1)それぞれの地域の自然条件や特色を生かした自然エネルギーの導入を進め、地域の自立促

進に寄与します。

  (2)特に、本県では、全国トップクラスの日照時間や森林率、年間降水量があり、こうした優

位性を生かし、公共施設への太陽光発電の導入による電力利用や木質バイオマスによる熱利

用、中小河川 等の落差を利用した小水力発電などによりエネルギーの地産地消を進めます。

また、こうした取組を促進するため、自然エネルギーを導入する地域住民に対する支援など

も行います。

  (3)自然エネルギーの導入促進により、地域で発電した電力を都市部での温室効果ガス排出量

取引へ活用するなどにより、エネルギーの地産外商への取組を行い、地球温暖化対策に加え、

産業振興や地域振興、中山間対策にも貢献します。

 2 鳥獣被害対策  (1)有害鳥獣の防除対策を実施し、農林作物への被害の軽減や地域住民が安心して生活できる

環境の保全に取り組みます。

(2)奨励(捕獲報償金)による捕獲や委託による捕獲を実施し、有害鳥獣の駆除を推進します。

  (3)防護柵設置等の助成により、有害鳥獣による被害の未然防止を図ります。

別 表1 過疎地域対策緊急措置法  (1)高知県過疎地域振興計画(県事業主体分)        (単位:百万円、%)

59

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前   期

(S 45~S 49)

後   期

(S 50~S 54)合      計

計 画 実 績 計 画 実 績 計 画 実 績 構成比 達成率

基幹的 な 市 町

村 道 等 の 整 備 288 382 619 616 907 998 0.7 110.0

医 療 の 確 保 3,203 3,078 6,145 6,279 9,348 9,357 6.1 100.1都 道 府 県 道

等 の 整 備 39,979 42,426 73,022 82,192 113,001 124,618 81.3 110.3

農 林 水 産 業

等 の 整 備 5,920 6,559 11,019 11,701 16,939 18,260 11.9 107.8

そ の 他 7 2 - - 7 2 0.0 28.6

計 49,397 52,447 98,805 100,788 140,202 153,235 100 109.3

(注)計画額は、ローリング後の額とした。

 (2)市町村過疎地域振興計画        (単位:百万円、%)

前   期

(S 45~S 49)

後   期

(S 50~S 54)合      計

計 画 実 績 計 画 実 績 計 画 実 績 構成比 達成率

交 通 通 信 体 系

の 整 備 22,124 18,486 44,904 42,724 67,028 61,210 39.2 91.3

教 育 文 化 施 設

の 整 備 10,792 9,393 22,802 19,436 33,594 28,829 18.5 85.8

生活環境施設等厚

生 施 設 の 整 備

及 び 医 療 の 確 保

10,319 8,452 31,667 24,263 41,986 32,715 21.0 77.9

産 業 振 興 の た め

の 施 設 の 整 備 10,508 8,351 21,748 20,833 32,256 29,184 18.7 90.5

集 落 の 整 備 384 328 1,294 600 1,678 928 0.6 55.3

そ の 他 342 387 2,769 2,664 3,111 3,051 2.0 98.1

計 54,469 45,397 125,184 110,520 179,653 155,917 100 86.8

(注)計画額は、ローリング後の額とした。

60

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2 過疎地域振興特別措置法  (1)高知県過疎地域振興計画(県事業主体分)

     (単位:百万円、%)前   期

(S 55~S 59)

後   期

(S 60~H1)合      計

計 画 実 績 計 画 実 績 計 画 実 績 構成比 達成率

交 通 通 信 体 系

の 整 備 62,938 62,457 83,389 86,091 146,327 148,548 79.8 101.5

医 療 の 確 保 2,638 2,601 2,296 2,272 4,934 4,873 2.6 98.8

産 業 の 振 興 12,453 12,152 20,405 20,498 32,858 32,650 17.6 99.4

計 78,029 77,210 106,090 108,861 184,119 186,071 100 101.1(注)計画額は、ローリング後の額とした。

(2)市町村過疎地域振興計画        (単位:百万円、%)

前   期

(S 55~S 59)

後   期

(S 60~H1)合      計

計 画 実 績 計 画 実 績 計 画 実 績 構成比 達成率

交 通 通 信 体 系

の 整 備 60,080 61,333 56,043 55,020 116,123 116,353 45.1 100.2

教 育 文 化 施 設

の 整 備 26,660 24,527 9,647 9,236 36,307 33,763 13.1 93.0

生 活 環 境 施 設 等

厚生 施 設 の 整 備 28,162 27,430 21,180 16,316 49,342 43,746 17.0 88.7

医 療 施 設 の

整 備 1,642 1,646 1,326 1,309 2,968 2,955 1.1 99.6

産 業 振 興 の た め

の 施 設 の 整 備 30,391 32,231 22,185 21,774 52,576 54,005 20.9 102.7

集 落 の 整 備 2,015 1,051 3,025 3,113 5,040 4,164 1.6 82.6

そ の 他 1,591 2,188 1,391 975 2,982 3,163 1.2 106.1

計 150,541 150,406 114,797 107,743 265,338 258,149 100 97.3(注)計画額は、ローリング後の額とした。

61

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3 過疎地域活性化特別措置法  (1)高知県過疎地域活性化計画(県事業主体分)

     (単位:百万円、%)

前   期

(H2~H6)

後   期

(H7~H 11)合      計

計 画 実 績 計 画 実 績 計 画 実 績 構成比 達成率

産 業 の 振 興 65,990 63,940 70,017 70,107 136,007 134,047 26.2 98.6

交 通 通 信 体 系

の 整 備142,577 143,950 160,468 163,516 303,045 307,466 60.0 101.5

生 活 環 境

の 整 備 - - 1,906 1,729 1,906 1,729 0.3 90.7

高 齢 者 の 福 祉

そ の 他 の 福 祉 の

増 進

- - - - - - - -

医 療 の 確 保 3,092 3,081 945 912 4,037 3,993 0.8 98.9

教 育 文 化

の 振 興 83 53 381 339 464 392 0.1 84.5

集 落 の 整 備 - - - - - - - -

そ の 他 538 2,308 55,539 62,299 56,077 64,607 12.6 115.2

計 212,280 213,332 289,256 298,902 501,536 512,234 100 102.1

(注)計画額は、ローリング後の額とした。

 (2)市町村過疎地域活性化計画     (単位:百万円、%)

前   期

(H2~H6)

後   期

(H7~H 11)合      計

計 画 実 績 計 画 実 績 計 画 実 績 構成比 達成率

産 業 の 振 興 49,016 50,691 64,541 57,188 113,557 107,879 27.3 95.0交 通 通 信 体 系

の 整 備 67,573 71,218 85,175 79,440 152,748 150,658 38.1 98.6

生 活 環 境

の 整 備 24,075 22,359 47,074 38,952 71,149 61,311 15.5 86.2

高 齢 者 の 福 祉 そ

の 他 の 福 祉 の 増

9,518 8,525 21,449 18,250 30,967 26,775 6.8 86.5

62

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医 療 の 確 保 2,654 2,326 6,773 4,416 9,427 6,742 1.7 71.5教 育 文 化

の 振 興 13,154 12,092 24,857 19,320 38,011 31,412 7.9 82.6

集 落 の 整 備 327 267 2,701 2,262 3,028 2,529 0.6 83.5

そ の 他 6,619 5,687 4,177 2,812 10,796 8,499 2.1 78.7

計 172,936 173,165 256,747 222,640 429,683 395,805 100 92.1(注)計画額は、ローリング後の額とした。

4 過疎地域自立促進特別措置法による平成 21 年度までの実績と整備目標等 (1)国道、県道及び市町村道の整備

実延長

(km)

整備目標

(平成 21 年度

末)

現    況 目 標

達成率

(%)

整備目標

(平成 27 年度

末)

改良済

(km)改良率

(%)改良済

(km)改良率

(%)改良済

(km)改良率

(%)国

全  県 652.2 544.9 83.4 536.7 82.3 98.5 551.1 84.5

過疎地域 523.0 413.6 79.7 420.2 80.4 101.6 432.0 82.6

全  県 2,130.81,054.

650.1

1,103.4

51.8 104.61,125.

152.8

過疎地域 1,264.4 483.3 40.6 539.8 42.7 111.7 552.5 43.7

市町

村道

全  県 10,571.1 - -4,414.

041.8 - - -

過疎地域 5,463.9 - -1,999.

836.6 -   -   -

(注)1 高知県の道路状況による(平成21年4月1日現在)

2 国道については、知事管理分のみ

3 自転車道を除く(県道)

 (2)農 道

整備目標

(平成21年度末)現 況 目標達成率(%)

整備目標

(平成27年度末)

改 良 済 舗 装 済 改 良 済 舗 装 済 改良済 舗装済 改 良 済 舗 装 済

延長

(km)延長

(km)延長

(km)延長

(km)(%) (%)

延長

(km)延長

(km)全  県 1,655.4 693.5 1,694.7 717.9 102.4 103.5 1,715.1 723.1

過疎地域 817.7 435.7 860.5 451.5 105.2 103.6 876.4 455.6

63

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(注) 平成22年4月1日現在

 (3)林 道

整 備 目 標

(平成 21 年度末) km現況

km目標達成率

(%)

整 備 目 標

(平成 27 年度末) km

全   県 2,472 2,415 97.7 2,515過疎地域民有林道 2,222 2,231 100.4 2,393

(注) 平成21年3月31日現在

 (4)児童福祉施設

整備目標

(平成21年度末)現    況 目標達成率(%)

整備目標

(平成27年度末)過疎

地域全県

過疎

地域全県

過疎

地域全県

過疎

地域全県

保育所

施設数 95 292 98 261 103.2 89.4 - -

収容人員

(人)4,638 22,563 6,305 22,020 135.9 97.6 - -

へき地

保育所

施設数 10 12 5 6 50.0 50.0 - -

収容人員

(人) 305 370 158 193 51.8 52.2 - -

児童館 施設数 8 31 10 31 125.0 100.0 10 31

児童

遊園施設数 13 43 14 41 107.7 95.3 14 41

(注) 平成22年4月1日現在 

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 (5)老人福祉施設

整備目標

(平成21年度末)現    況

目標達成率

(%)整備目標

(平成27年度末)過疎

地域全県

過疎

地域全県

過疎

地域全県

過疎

地域全県

養護

老人ホーム

施設数 6   10   6   10 100.0 100.0   6   10入所人員

(人) 400  735 400  735 100.0 100.0 400  735

特別養護

老人ホーム

施設数 24 52 24 52 100.0 100.0 25 57入所人員

(人) 1,400 3,468 1,400 3,436 100.0 99.1 1,429 3,785

軽費

老人ホーム

施設数 5 19 6 20 120.0 105.3 8 22入所人員

(人) 219 1,120 269 1,148 122.8 102.5 327 1,206

老人福祉

センター施設数   10  24   8 23 80.0 95.8   8  23

(注) 平成22年4月1日現在 

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 (6) 上水道等

整備目標

(平成 21 年度末)現    況 目標達成率(%)

整備目標

(平成 27 年度末)過疎地域 全県 過疎地域 全県 過疎地域 全県 過疎地域 全県

上水道

施設数 5 24 6 20 120.0 83.3 8 20給水人口

(千人) 44 553 61 572 138.6 103.4 89 572

簡易水道

施設数 210 269 207 244 98.6 90.7 213 244給水人口

(千人)112 175 109 139 97.3 79.4 113 140

専用水道

施設数 3 24 1 19 33.3 79.2 1 19給水人口

(千人) 1 4 0 4 0 100.0 0 4

小  計

施設数 218 317 214 283 98.2 89.3 222 283給水人口

(千人)157 732 170 715 108.3 97.7 202 716

普及率

(%)86.4 91.8 87.0 92.0 100.7 100.2 88.0 92.2

飲料水

供給施設

施設数 179 209 157 182 87.7 87.1 168 190給水人口

(千人) 9 11 7 8 77.8 72.7 8 9

合  計

施設数 397 526 371 465 93.5 88.4 390 473給水人口

(千人)166 743 177 723 106.6 97.3 210 725

普及率

(%)91.4 93.0 90.6 93.1 99.1 100.1 91.3 93.3

(注) 平成21年3月31日現在 

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(7) し尿、ごみ処理施設

整備目標

(平成 2 1年度末)現況 目標達成率(%)

施設数1日

処理能力施設数

1日

処理能力施設数

1日

処理能力

し尿

処理施設

全県 19 1,301kl 19 1,160kl 100.0 89.2過疎

地域14 589kl 14 511kl 100.0 86.8

ごみ

処理施設

全県 12 1,440t 28 1,483t 233.3 103.0過疎

地域12 1,440t 21 703t 175.0 48.8

(注)1 平成20年3月31日現在   

(注)2 施設数はほぼ充足状態にあり、今後は質的な検討がメインとなるため、量的な整備目標は

設定されていない。

 (8) 無医地区等

現    況

無医地区数

(H 21.10.31)全  県 18市町村 45地区 7,353人

過疎地域 17市町村 42地区 6,600人

病院・診療所数

(H 22.3.31)全  県 病院 138 一般診療所 601 歯科診療所 368

過疎地域 病院 33 一般診療所 168 歯科診療所 43

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