健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1...

12
健康保険組合、健保連 今後の課題 年度の活動と 2016

Upload: others

Post on 18-Jul-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

健康保険組合、健保連

今後の課題年度の活動と2016

Page 2: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

1

 健康保険組合に加入の皆さまには、平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。 健康保険組合は、事業主と加入者が連携し、自主・自立の精神で運営を行うなかで、民間の創意工夫をもとに加入者の健康保持・増進、疾病予防に取り組んできました。最近では特定健康診査(特定健診)や診療報酬明細書(レセプト)などのデータを活用し、より効果的な保健事業を実施するデータヘルス計画にも着手するなど、その活動はさらに広がりをみせており、世界に誇るわが国の国民皆保険制度の「けん引役」として、重要な役割を果たしてきております。 しかしながら、この健康保険組合が今、危機的な状況に陥っています。2017 年度全組合の平均保険料率は 10 年連続で上昇し、被保険者 1 人当たりの保険料は10 年間で約 10 万円増えるなど、事業主と加入者の皆さまの負担が、年々増大しております。これは、高額薬剤の保険収載や高齢化の進展などによる医療費の増加もありますが、高齢者医療への拠出金負担の大幅な増加が主な要因であることは明白です。

 このため健康保険組合連合会では、高齢者医療の負担構造改革、医療費の適正化に資する施策の推進など、大胆な改革を実行し、国民が真に安心・納得できる医療保険制度の構築をめざし、活動してまいります。 皆さまにおかれましては、今後とも一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

 2017 年 6 月

健康保険組合連合会

 会長 大塚 陸毅

健康保険組合に加入の皆さまへ

Page 3: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

2

 健康保険組合の直近の状況を見ると、2017年度の平均保険料率は9.168%で、10年連続して上昇しています。被保険者1人当たりの保険料負担額は、10年間で 98,978 円増加しています。 この理由は高齢者医療費に対する拠出金が年々増えているからです。拠出金負担のため、保険料率を2017年度に引き上げた健康保険組合は、214組合にのぼります。 14年度、15年度は経常黒字に転じましたが、この要因は、保険料率の引き上げによる増収と、過去の拠出金の精算による過払い分の戻りによるものです。拠出金の増加傾向には変化はなく、実質的には厳しい財政状況が今後も続くと見込まれます。

最近の健康保険組合の状況を教えて下さい。

1人当たりの保険料負担額は、10年間で98,978円増加

1人当たりの年間保険料負担および平均保険料率の推移

経常収支状況と保険料率引き上げ組合数の推移

(円)510,000

490,000

470,000

450,000

430,000

410,000

390,000

370,000

0

(億円)8,000

6,000

4,000

2,000

0

-2,000

-4,000

-6,000

-8,000

 (組合数)800

600

400

200

0

-200

-400

-600

-800

(%)9.5

9.0

8.5

8.0

7.5

7.0

0.0

○10年間で1人当たり保険料負担は 98,978 円の増加(25.80%)

1人当たり保険料負担 保険料率2007

7.308 7.380 7.450

7.672

7.987

8.343

8.6748.882

9.035 9.100 9.168

383,612 386,038 376,476392,473

416,983

439,660461,598

475,503484,342 479,276 482,590

08 09 10 11 12 13 14 15 16 17年度

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17年度経常収支差引額 料率引き上げ組合数

600

109212 228

417

570 609 565

387313

190 214

6341,278

-3,189

-5,234-4,156 -3,497

-2,973

-1,154 -1,372

-3,060

(注1)2007~14年度までは決算、15年度は決算見込、16年度は予算、17年度は予算早期集計の数値。(注2)保険料率引き上げ組合数は、2007~15年度までは前年度決算、16年度は 15年度決算見込との比較。    17年度は予算データ報告組合(1,375組合)と 16年度予算との比較である。

Q

A

健康保険組合についてのQ&AⅠ

Page 4: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

3

 健康保険組合から高齢者医療費への拠出金は、後期高齢者医療制度への支援金と前期高齢者医療への納付金があります。 直近10年間の推移を見てみると、標準報酬月額と標準賞与額は横ばい、あるいは減少している一方で、加入者の医療費などに充てる法定給付費は約1.2 倍の伸び、高齢者医療費への拠出金は約1.5 倍の大きな伸びを示しています。この負担増が組合財政に大きな影響を与えています。 2017 年度予算早期集計によると、健康保険組合全体の保険料収入の44.54%が高齢者医療費への拠出金に充てられています。 なかでも、拠出金の占める割合が 50%以上となっている健康保険組合は 331組合もあり、保険料の半分以上が加入者以外の費用に使われることは、保険制度の意義を揺るがす大きな問題であるといえます。

Q

A

健康保険組合からの高齢者医療費への負担状況は、どうなっているのでしょうか。

保険料のうち50%以上の負担をしている健康保険組合は331組合

1人当たり月額、賞与額、法定給付費および拠出金の推移

保険料収入に対する拠出金の割合別組合数

150.0

140.0

130.0

120.0

110.0

100.0

90.0

80.0

50%以上の組合は331組合(24.1%)

支援金・納付金等

60%~70%66組合(4.8%)

70%以上12組合(0.9%)

40%未満390組合(28.4%)

40%~50%654組合(47.6%)

50%~60%253組合(18.4%)

(注1)2007~14年度までは決算、15年度は決算見込、16年度は予算、17年度は予算早期集計の数値である。(注2)2007年度を「100」とした被保険者1人当たりの伸び率の推移である。

法定給付費

平均標準報酬月額

平均標準賞与額

100.0 99.998.0 97.5 98.0 98.3 98.9

99.5 99.4 99.6100.0

116.3

101.3

97.6

84.887.8 90.2 90.4

94.4 95.790.8 90.788.7

104.4108.9

111.7 113.3 114.1 115.4118.4

122.4 124.0

116.5 114.7

124.9

136.0

142.1 141.5 140.5 139.3

146.0

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17年度

(注)2017年度予算データ報告組合   1,375組合の数値である。

Page 5: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

4

 財政的に厳しい健康保険組合ですが、加入者に対する健康づくりや疾病予防といった「保健事業」をより充実強化するため、全ての健康保険組合では「データヘルス計画」を作成し、それをもとに取り組んでいます。 データヘルスは、健保組合が持つ加入者の疾病・診療情報や健診情報などのデータにもとづいた保健事業計画を作成し、PDCAサイクルで効率的・効果的な保健事業を実践する取り組みです。この取り組みにより、健康づくり、疾病予防、重症化予防など多様な保健事業を実施します。 国としても健康寿命の延伸に向けた国民的な取り組みを重要な政策の柱と位置付けており、健康保険組合としても、これまで以上に充実した保健事業の展開に努力しています。

Q

A

今後の健康づくりなどの取り組みを教えて下さい。

データヘルスなど事業主との緊密な連携で優位性を発揮

健康保険組合

データの分析

データヘルス計画策定

Plan(計画)

Act(改善) Check(評価)

Do(実施)

PDCAサイクルによる事業展開

レセプトデータ 特定健診データ

健康課題の分析保健事業の企画 保健事業の実施

保健事業の修正 保健事業の検証

医療費適正化

健康度・健康意識の向上

Page 6: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

5

健康保険組合・健保連の主張

高齢者医療費の負担構造改革1○2017年度の保険料収入に占める高齢者医療費の負担割合は約 45%ですが、2025年度には 50%を超えると見込まれます。保険制度の仕組みの下で、保険料の半分以上を組合加入者以外のために使用することは不合理であるといえます。

○拠出金の負担率に上限を設定するなどの改革を行い、上限を超えた部分については、全て国費で負担するよう求めています。

※�現行制度では、一部、拠出金の上限を設定していますが、国費の投入はわずかで、上限を超えた部分を全ての保険者間で再按分し、負担しています。

 健康保険組合からの高齢者医療費への拠出金負担は、もはや限界に達しています。2017年度では約3.5兆円の拠出金負担は、2025年度にはさらに1兆円程度増えると見込まれています。また国民医療費全体の約60%を高齢者医療費が占めると予測されています。高齢者医療費を国民全体でどのように負担するかということが、世界に誇るわが国の国民皆保険制度を維持する上で最大の課題です。以下の改革に取り組む必要があると考えます。

86

361

533

354 382

492462

359

267 258331

0

100

200

300

400

500

600

2007 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17年度

(組合)

(注)2007~14年度までは決算、15年度は決算見込、16年度は予算、17年度は   予算早期集計の数値。

保険料収入に占める拠出金の割合が50%以上の組合数

Page 7: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

6

医療費の適正化2○国民医療費は、2015年度現在約 42兆円ですが、2025年には 50兆円をはるかに超えると見込まれ、この約 60%は高齢者医療費です。少子高齢化による人口減少が進むなか、現役世代の負担を少しでも軽減するため、限られた医療資源を効率的に活用し、医療費の適正化を進める必要があります。○現在各都道府県では、「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」に分けられている医療機関の病床について、2025年時点での必要病床数について検討しています。健康保険組合は保険者代表としてこの検討に参画し、地域の実情を踏まえ、機能に応じた病床の再編、在宅医療の強化など、効率的・効果的な医療提供体制へ見直すよう求めています。

○医薬品は、高額医薬品への対応や後発医薬品の促進などを実施するとともに、軽度の疾病の処方薬については、保険給付の範囲を見直すよう求めています。

※厚生労働省の公表数値(2017年5月10日 地域医療構想に関するワーキンググループ) を単純集計したもの。

35.4 28.4

13.9 37.5

58.440.1

17.0 13.0

2016年度 2025年度

高度急性期

病床機能報告124.8 必要病床数

119.1

急性期

回復期

慢性期

高齢化の進展によって、現在の急性期中心の医療から、リハビリや在宅復帰、社会生活への参加を目指す回復期中心の医療機能に転換するなどの取り組みが求められます。

(万床)

機能別病床数のイメージ

Page 8: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

7

健康保険組合全国大会の開催1  全国の健康保険組合関係者など3,500人を集め「平成28年度健康保険組合全国大会」を開催しました。大会では「改革の早期実現!次世代へ安心・納得の確保を!」を副呼称に、①高齢者医療費の負担構造改革の早期実現、②皆保険の堅持に向けた健保組合の維持・発展、③実効ある医療費適正化対策の確実な実施、④現役世代が納得できる介護保険制度の実現─をスローガンに掲げ、健保組合・健保連の主張を内外にアピールしました。

2016年度の健康保険組合・健保連の活動Ⅲ

Page 9: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

8

健康経営優良法人330法人を初認定2  健康経営に優れた企業・団体を表彰する「健康経営アワード2017」が開催され、今回初めてとなる「健康経営優良法人」に 330法人が認定されました。さらに 3回目となる「健康経営銘柄」には経済産業省と東京証券取引所が共同で、24社を選定しました。事業主の健康経営に対する認識が広がり、健康保険組合とともに従業員への健康づくりに取り組む企業が増えています。

健康保険組合の取り組みを表彰3  従業員の生活習慣病予防や健康管理に関し、事業主などと連携して優れた成果をあげた健康保険組合が政府から表彰されました。このうち「体力つくり優秀組織表彰」の文部科学大臣賞をヤクルト健康保険組合が、「体力つくり国民会議議長賞」をボッシュ健康保険組合がそれぞれ受賞しました。このほか「健康寿命をのばそう!アワード」の厚生労働省大臣優秀賞に内田洋行健康保険組合が、厚生労働省保険局長優良賞にヤマトグループ健康保険組合が選定され、それぞれ表彰されています。

Page 10: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

9

●2017年度の健康保険組合予算は3,060億円の経常赤字。赤字組合は全組合の7割を超える1,015組合●平均保険料率は9.168%で、10年連続の引き上げ。10年間で1人当たり保険料負担は98,978円の増加

Ⅳ 2017年度健康保険組合予算 ハイライト

2017年度予算(早期集計推計)①

組合数 1,398

被保険者数(人) 16,433,739

被扶養者数(人) 13,149,706

平均標準報酬月額(円) 368,588

平均標準賞与額(円) 1,066,532

平均保険料率(%) 9.168

経常収入総額(億円) 80,479

 保険料収入(億円) 79,308

 その他(億円) 1,171

経常支出総額(億円) 83,538

 保険給付費(億円) 42,126

 支援金・納付金等(億円) 35,323

 その他(億円) 6,089

経常収支差引額(億円) ▲3,060

被保険者数

■ �被保険者数は短時間労働者の適用拡大の満年度化などにより 36.9 万人(前年度比2.99%)大幅増加。

保険料収入

■被保険者数の増加により保険料収入は2,311億円(前年度比3.00%)増加。

保険給付費

■ �保険給付費は被保険者数の伸び率を上 回 る 1,428 億 円( 前 年 度 比3.51%)増加。

経常収支差引額

■ �健保組合全体の経常収支差引額は、▲ 3,060 億 円 で、 前 年 度 よ り�1,688 億円の悪化。

Page 11: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

10

●保険給付費は前年度比3.51%、高齢者医療費に対する拠出金は同7.23%と大幅な伸び●拠出金の保険料収入に占める割合は44.54%、同割合が50%以上の組合は331組合

2016年度予算②

増減数①-②

1,399 ▲ 1

16,065,188 368,551

13,273,588 ▲ 123,882

367,937 651

1,067,666 ▲ 1,134

9.100 0.068

78,158 2,321

76,997 2,311

1,161 10

79,530 4,008

40,698 1,428

32,941 2,382

5,891 198

▲ 1,372 ▲ 1,688

経常支出総額

■ �支援金・納付金等の負担が保険給付費に迫る厳しい状況にあるが、加入者の健康づくりのための保健事業費を確保。

支援金・納付金等

■ �高齢者医療への拠出金は 3兆 5,323 億円で、後期高齢者支援金などの全面総報酬割導入の影響により、2,382億円(前年度比7.23%)の大幅増。

※�この資料は、2017年度予算データの報告があった組合(1,375組合)の数値を基に、2017年4月1日現在存在する1,398組合ベースの2017年度予算状況を推計し、前年度予算と比較した結果をまとめたもの。

保健事業費3,915億円(4.7%)

その他2,175億円(2.6%)

保険給付費42,126億円(50.4%)

支援金・納付金等35,323億円(42.3%)

Page 12: 健康保険組合、健保連 20162016 年度の活動と 1 健康保険組合に加入の皆さまには、平 素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申 し上げます。

〒107-8558 東京都港区南青山 1 丁目 24 番 4 号 2017 年 6月作成