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越境する宗教とその可能性 消費社会から高度消費社会の誕生 鈴木繁夫 名古屋大学・名誉教授

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  • 越境する宗教とその可能性

    消費社会から高度消費社会の誕生

    鈴木繁夫名古屋大学・名誉教授

  • 宗教>社会>政治>経済

    • 「経済の背後に政治あり、政治の背後に社会あり、社会の背後に道徳あり、道徳の背後に、宗教あり。宗教は始めにして経済は終わりなり。宗教の結果はついに経済において顕わる。隆興しかり、敗滅またしかり」(内村鑑三)

  • 生活有用性よりイメージ性による効用

    • 価値はなぜ生まれるか?(1)簡単に手に入らない、距離があるから

    • 「客体そのものの成立と、それが主体によって欲求されることは相関概念なのである」(ジンメル)

    プレゼンタープレゼンテーションのノート●欲望は他者との関係の下でのみ生ずる社会的行為である。欲望は物を消費するのではなくて、社会関係やそれについての観念または表象を消費する●ボールディングは、モノには「物的特性」-「イメージ特性」があるとした。この場合、「物的特性」はそのモノのもっている機能上の、あるいは素材上の特性である。これに対して「イメージ特性」は社会的に共有されるそのモノのイメージだ。

  • Gucciプロモーション

    • https://www.youtube.com/watch?v=6npzfGfGKYM

  • 生活有用性よりイメージ性による効用

    • 価値はなぜ生まれるか?

    (2)他人を模倣したいという欲望• 「欲望の三角形」(ルネ・ジラール)

    プレゼンタープレゼンテーションのノート●欲望は他者との関係の下でのみ生ずる社会的行為である。欲望は物を消費するのではなくて、社会関係やそれについての観念または表象を消費する●ボールディングは、モノには「物的特性」-「イメージ特性」があるとした。この場合、「物的特性」はそのモノのもっている機能上の、あるいは素材上の特性である。これに対して「イメージ特性」は社会的に共有されるそのモノのイメージだ。

  • 欲望の媒介者

  • 19世紀までの資本主義

    宗教<社会<政治<経済

    価値

    • 物の効用• 他人の模倣

    • 欲望の醸成外爆発

    • 大地域間の交易• 贅沢品の流通

    • 新開地への踏み込み

    帝国主義

  • フォーディズム Fordism

    • 労働者賃金を積極的にアップ

    大量生産

    生産性上昇

    賃金上昇需要増加

    大量消費

    プレゼンタープレゼンテーションのノートFordism, named after Henry Ford, is a notion of a modern economic and social system based on an industrialized and standardized form of mass production. The concept is used in various social theories and management studiesabout production and related socio-economic phenomena.[1] It is also related to the idea of mass consumption and changes of working condition of workers over time. 

  • シミュラークル(にせもの)

    • モノの消費によるアイデンティティーの獲得

  • 20世紀後大衆消費・グローバル資本主義

    宗教<社会<政治<経済

    価値

    • 物の効用• 他人の模倣

    • 欲望の醸成

    外爆発

    • 大地域間の交易

    • 贅沢品の流通

    • 新開地への踏み込み

    内爆発

    • マーケッティング

    • イメージとしての物

    • 大衆の心への踏み込み

  • 生活世界の四大基盤

    経済

    資本・資源

    制度

    政治統治権力

    政体

    社会共同体

    (民族・血縁・地縁)

    伝統的しきたり

    宗教

    教派

    (聖的共同体)

    教理・儀礼

    人種無視

    身分解消化脆弱化

    貧富差別

    拡大 1

  • 生活世界の四大基盤

    経済

    資本・資源

    制度

    政治統治権力

    政体

    社会共同体

    (民族・血縁・地縁)

    伝統的しきたり

    宗教

    教派

    (聖的共同体)

    教理・儀礼

    人種無視

    身分解消化脆弱化

    貧富差別拡大 1

    「衒示的消費」ヴェブレン

    プレゼンタープレゼンテーションのノートヴェブレン「衒示的消費Conspicuous Consumption

    自分のステイタスが上がったような気分を味わうために、見せびらかしてきな消費を多くの人が競い合ってするようになる

  • 「他者の欲求」を生きる社会

    安定

    •他人が欲しがるモノを自分も欲しがる

    視界不透明

    •バブル崩壊→同調圧力はがれる

  • ナルシズム

    • かつてのナルシズム:– 自分にのみ関心 +他人・社会への無関心

    プレゼンタープレゼンテーションのノートクリストファー・ラッシュは一九七九年に 『ナルシシズムの時代』

  • 今のナルシズム

    • 自分にのみ関心+(1)他人・社会からの認知を期待

    (2)孤立化することへの恐怖

    (3)すぐに飽和する好奇心>強烈な欲望

    プレゼンタープレゼンテーションのノートクリストファー・ラッシュは一九七九年に 『ナルシシズムの時代』

  • 貴族と大衆

    • 貴族– 「自分に多くを要求し、自分の上に困難と義務を背負いこむ人」

    • 大衆– 「自分になんら特別な要求をしない人」 「慢心した坊ちゃん」

    – 生き方「ふまじめと冗談」,「閉鎖性と不従順さ」オルテガ『大衆の反逆』

    プレゼンタープレゼンテーションのノートオルテガ(寺田和夫訳)『大衆の反逆』(中公クラシックス、2002年)19-20

  • グローバル資本主義

    • たえず移動・逃走する– 過去・伝統・風土から決別

    • 「目的を持たない膨張」→欲求不満の宙吊り

    安息の欠如経済 政治

    社会宗教

    プレゼンタープレゼンテーションのノートジョン・トムリンソンは 『文化帝国主義』とい-本の中で、まさに、この「終-のない発展」あるいは「目的をもたぬ膨張」が、近代社会(と-わけ西洋近代社会)の生みだした:

    Wikiの説明では、メディアによる洗脳はそれほど強度がないと指摘している。John Tomlinson provides a critique of cultural imperialism theory and reveals major problems in the way in which the idea of cultural, as opposed to economic or political, imperialism is formulated. In his book Cultural Imperialism: A Critical Introduction, he delves into the much debated “media imperialism” theory. Summarizing research on the Third World’s reception of American television shows, he challenges the cultural imperialism argument, conveying his doubts about the degree to which US shows in developing nations actually carry US values and improve the profits of US companies. Tomlinson suggests that cultural imperialism is growing in some respects, but local transformation and interpretations of imported media products propose that cultural diversification is not at an end in global society.[33] He explains that one of the fundamental conceptual mistakes of cultural imperialism is to take for granted that the distribution of cultural goods can be considered as cultural dominance. He thus supports his argument highly criticizing the concept that Americanization is occurring through global overflow of American television products. He points to a myriad of examples of television networks who have managed to dominate their domestic markets and that domestic programs generally top the ratings. He also doubts the concept that cultural agents are passive receivers of information. He states that movement between cultural/geographical areas always involves translation, mutation, adaptation, and the creation of hybridity.

  • シジュポス

    二度にわたる神への裏切り

    (1)死を飼いならす(2) 永遠の生を得る

    プレゼンタープレゼンテーションのノートシーシュポスの抵抗ゼウスは、シーシュポスをタルタロスに連行するようタナトスに命じた(その理由として、告げ口の恨みと、テューローの件と二つがあったと考えられる。また、ゼウスの命を受けたのは、タナトスではなくハーデースだという異説もある)。しかし、シーシュポスは、言葉巧みにタナトスが持ってきた手錠の 使い方を教えてくれと頼み、これにまんまと引っかかったタナトスが自分の手で実演してみせると、いきなり手錠に鍵をかけてしまった。タナトスは、死の神で あると同時に死の概念そのものであった。そのため、彼がシーシュポスの家から出られなくなると、首を切られた者も八つ裂きに処された者も、誰も死ぬことが できなくなった。このことで一番困ったのは、アレースである。自分の権利を侵されそうになったアレースは、タナトスを助け出し、シーシュポスを捕らえた。その間、シーシュポスは、妻のメロペーに、決して自分の葬式を出してはならないと言い含めておいた。冥府に連れてこられたシーシュポスは、ペルセポネーに葬式が済んでいないことを訴え、自分を省みない妻に復讐するために三日間だけ生き返らせてくれと頼んだ。冥府から戻ったシーシュポスは、ペルセポネーとの約束を反故にしてこの世に居座った。やむなくヘルメースがシーシュポスを力ずくで連れ戻した。シーシュポスの岩シーシュポスは神々を二度までも欺いた罰として、タルタロスで巨大な岩を山頂まで上げるよう命じられた(この岩はゼウスが姿を変えたときのものと同じ大きさといわれる)。シーシュポスがあと少しで山頂に届くというところまで岩を押し上げると、岩はその重みで底まで転がり落ちてしまい、この苦行が永遠に繰り返される。このことから「シーシュポスの岩(英:the stone of Sisyphus)」「Sisyphean labor」の語は、日本での「賽の河原」同様に「(果てしない)徒労」を意味する(この「シーシュポスの岩」については、タンタロスにも似た話が伝えられている)。シーシュポスの末路を恥じたメロペーは、夜空に輝く星の姉妹から離れ自らの姿を隠したという。これは、紀元前2000年の終わり頃、おうし座のプレアデス星団の星が一つ見えなくなった事実を示しているともいわれる。

  • 安息欠如の牢獄

    • 「進歩とは、すでにわれわれの踏んでいるのと同じ道をただ永久に前進することだということを意味していた。このような道とは、むしろ、われわれを解放してくれないはてしない牢獄である。」

    オルテガ『大衆の反逆』

    プレゼンタープレゼンテーションのノートオルテガ(寺田和夫訳)『大衆の反逆』(中公クラシックス、2002年)32

  • グローバル資本主義

    • 社会・宗教からの反発 + 政治からの制約

    経済 政治

    社会宗教

  • 「<生きる意味>が見えない」という病

    安全• 衣食住が保証される

    安心• 病・老・死・苦が身近でなくなる

    自己非決定

    • 主体的に自己開拓していく意欲の減退

    犠牲者意識• 病・老・死・苦に襲われる

    加害者• 病・老・死・苦を自ら招く

  • 「他者の欲求」を生きる社会

    安定

    • 他人が欲しがるモノを自分も欲しがる

    視界不透明• バブル崩壊→同調圧力はがれる

    自己決定• 主体的に自己開拓していく意欲

    犠牲者意識

    • 意欲を湧かせる動機は?• 犠牲者意識から自由になるには?

  • 経済

    賃上げ抑制による雇用確保

    政治

    NPO・NGOへの権限と資金移

    社会

    合意形成の重視, 問題の制御

    宗教

  • 消えつつある宗教

  • 参考文献

    • Baudrillard, J. (2015) 消費社会の神話と構造. 今村仁司 塚原史訳. 紀伊國屋書店.

    • 星野克美. (1984) 消費人類学: 欲望を解く記号. 東洋経済新報社

    • Girard, R. (1971) 欲望の現象学.古田幸男訳. 法政大学出版局.

  • • これ以降のスライドは授業とは関係ありません。

  • • ●• 「われらの時代は、すべての過去の時代よりも豊かであるという奇妙なうぬぼれに

    • よって、いやそれどころか、過去全体を無視し、古典的、規範的な時代を認めず、自分が、すべての過去の時代よりもすぐれ、過去に還元されない、新しい生であるとみなしていることによって、特徴づけられるのだ(46-47頁)

    プレゼンタープレゼンテーションのノートオルテガ(寺田和夫訳)『大衆の反逆』(中公クラシックス、2002年)23【西部のいう進歩主義史観】

    越境する宗教とその可能性宗教>社会>政治>経済生活有用性よりイメージ性による効用Gucciプロモーション生活有用性よりイメージ性による効用スライド番号 6スライド番号 7欲望の媒介者19世紀までの資本主義�フォーディズム Fordismシミュラークル(にせもの)�20世紀後�大衆消費・グローバル資本主義�生活世界の四大基盤生活世界の四大基盤「他者の欲求」を生きる社会ナルシズム今のナルシズム貴族と大衆グローバル資本主義シジュポス安息欠如の牢獄グローバル資本主義「<生きる意味>が見えない」という病「他者の欲求」を生きる社会スライド番号 25スライド番号 26消えつつある宗教参考文献スライド番号 29スライド番号 30