防爆に関する法規と規格 - kirikuzudoiec / jis c 60079-10:2008...
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2つの防爆規格
1:(昭44)労働省告示第16号
電気機械器具防爆構造規格(略称:構造規格)
2:(昭63)労働省告示第18号・施工通達(基発208)
電気機械器具防爆構造規格における可燃性ガ
ス又は引火性の物の蒸気に係る防爆構造の規格に適合する電気機械器具と同等以上の防爆性能を有するものの技術的基準(略称:技術的基準)
技術的基準の改正
・(平8)に技術的基準をIEC規格準拠に改正
・(平22)基発0824:「工場電気設備防爆指針(国際規格に整合した技術指針2008)」
(略称:国際整合技術的基準2008)
規格としては、 ・「構造規格」 ・「国際整合技術的基準2008」 が並立している。どちらかを満たしていればよい。
防爆規格を使う法的根拠(1)
労働安全衛生法(抜粋および記述変更)
第20条:事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。 (二 爆発性の物、発火性の物、引火性の物等による危険)
第42条:機械等で、危険な場所において使用するものは、厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければ、譲渡し、貸与し、設置してはならない。
第44条:第42条の機械等のうち、別表第4に掲げる機械等で政令で定める物を
製造し、又は輸入した者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の登録を受けた者(以下「登録型式検定機関」という。)が行う当該機械等の型式についての検定(以下「型式検定」)を受けなければならない。
防爆規格を使う法的根拠(2)
労働安全衛生規則(抜粋および記述変更)
第261条:事業者は、引火性の物の蒸気、可燃性ガス又は可燃性の粉じんが存
在して爆発又は火災が生ずるおそれのある場所については、当該蒸気、ガス又は粉じんによる爆発又は火災を防止するため、通風、換気、除じん等の措置を講じなければならない。
第280条:事業者は第261条の場所のうち、同条の措置を講じても、なお、引火
性の物の蒸気又は可燃性ガスが爆発の危険のある濃度に達する恐れのある箇所において電気機械器具を使用するときは、当該蒸気又はガスに対しその種類及び爆発の危険のある濃度に達するおそれに応じた防爆性能を有する防爆構造電気機械器具でなければ、使用してはならない。
型式検定の行政的な扱い
「施行通達 基発第208号 昭和63年4月1日」 内の記述
(労働省労働基準局長 名で 都道府県労働基準局長 宛てとなっている)
(略)特に防爆構造電気機械器具の型式検定等に係る取扱いについては、下記1に示すとおりとすることとしたので、下記2の事項に留意のうえ、その運用に遺憾のないようにされたい。なお、防爆構造電気機械器具の型式検定代行機関(注:産業安全技術協会TIISのこと)に対しては別紙1により、それぞれ通知したので申し添える。
型式検定は産業安全技術協会(TIIS)が 実質的に独占している業務
型式登録された全ての製品のリストが下記URLのPDFに記載されている http://www.tiis.or.jp/examination/goukaku/g_boubaku.pdf
型式検定と防爆規格の実際
左の2冊を読むこと
「国際整合技術指針2008」
「型式検定の手引き」
ついでにJIS規格も読む
・JIS C 60079-0:2008
・JIS C 60079-1:2008
・JIS C 60079-2:2008
・JIS C 60079-10:2008
・JIS C 60079-11:2004
だいたいこの2冊を読めば雰囲気はつかめる。JIS規格で復習する感じ。型式
検定を実際に受検する場合はそこからさらに専門家に相談しに行くというステップが必要。
型式検定をしてもらう必要はない
一般に型式検定をしてもらう必要はない
・通常は型式検定されたコンポーネントを使う
・コンポーネントの施工を正しく行えばよい
・ゆえに型式検定受検は部品メーカーのお仕事
例外
・内圧防爆システムを自分で構成し受検する場合 実際はIDEC(和泉電気)のような内圧防爆システムのインテグレーションをしているコンポーネントメーカーに頼むのがスムーズだが、諸事情ある場合。。。
型式検定の知識がなぜ必要か
型式検定を受検しないのにそれらの知識が必要な理由は何か?
→ 型式検定を通った防爆コンポーネントがどうい
う考え方で作られているか知らないとそれらを組み合わせて使うときに正しく使えない
→ どうすれば防爆性能を実現し危険区域で安全に電気機械器具を使用できるのかわかる
防爆構造の種類 (ここでの「構造」は「構造規格」と異なるレイヤの言葉なので注意)
・耐圧防爆構造(IEC/JIS C 60079-1)
・内圧防爆構造(IEC/JIS C 60079-2)
・安全増防爆構造(IEC/JIS C 60079-7)
・油入防爆構造(IEC/JIS C 60079-6)
・本質安全防爆構造(IEC/JIS C 60079-11)
・樹脂充てん防爆構造(IEC/JIS C 60079-18)
・非点火防爆構造(IEC/JIS C 60079-15)
実務上は赤色の4種類しか使わない
各構造のコンポーネントの使い方
↓非危険区域
↑危険区域
安全増防爆 モーター
ポンプ
耐圧防爆 モーター
ポンプ
本質安全防爆センサ
本質安全防爆バリアアンプ
耐圧防爆 センサ
耐圧防爆 センサ
耐圧防爆 インバータ
耐圧防爆 コントロールボックス
一般用 電気制御機器
※組合せ検定品 ※組合せ検定品
よく使うコンポーネントメーカー
・IDEC:耐圧防爆コントロールボックス、本質安全防爆スイッチバリア、ボタン等
・IDEC:内圧防爆システムインテグレーション(納期1年程度)
・三菱電機:モーター、インバータ、タッチパネル、
・中村電機製作所(佐賀県):検定試験対応設備、独自製品の開発サポート等
・長野計器:耐圧防爆圧力センサ、本質安全防爆圧力センサ
・岡崎製作所:耐圧防爆温度センサ、本質安全防爆温度センサ
・横河電機:防爆SIer、本質安全防爆バリアアンプ
・azbil(旧山武):防爆バルブシステム、耐圧防爆圧力センサ
・オーバル:耐圧防爆流量センサ、本質安全防爆流量センサ、パージディテクタ
・各種バルブメーカー:LSや電空ポジショナを組み込んだ各種空動弁
・日立バルブ:電動防爆ボール/バタフライバルブ
・CKD/SMC:耐圧防爆電磁弁
・遠藤工業:スリップリング
・富士電機:モーター、インバータ、他にも細々と
耐圧防爆配線施工例
耐圧防爆 モーター XF-NECA2
0.75kW
防爆フィッテング
三桂KXBG22
耐圧防爆 中継箱
防爆フィッテング
三桂KXBG22
三桂KIV22
配線用フレキシブルチューブ
防爆フィッテング
三桂KXBG22
↓非危険区域
↑危険区域 電線管
三桂KIV22
配線用フレキシブルチューブ
耐圧防爆専用 インバータ FR-B3-750 VCT(4c x 5.5sq)
シール施工が必要
本質安全防爆配線施工例
本質安全防爆 圧力センサ
KJ16-793 ケーブルクランプ
キャプコンOA-W 1606
裸配線(+配線保護ダクト等)
MVVS(4c x 0.5sq)
防爆フィッテング 三桂KXBG22
↓非危険区域
↑危険区域 電線管
三桂KIV22
配線用フレキシブルチューブ
本質安全防爆 バリアアンプ
MTL-5541 MVVS(4c x 0.5sq) シール施工が必要
施工については専門家に相談を
・防爆施工の経験者は世の中に多い
→ でもそれがSafeかどうか知らない人が多い
→ Safeな防爆の考え方は常に変化している
→ 継続して学習している専門家に相談を
・専門家=防爆コンポーネントメーカーの営業さん
→ 売り物だから詳しい
→ SIerもやってるコンポーネント屋さんは強い
→ 各種業界団体の検討委員会参加企業も強い
→ 危険物プラントの企業も施工ノウハウを持っている
危険場所の見分け方
実は防爆構造の電気機械器具を使わなくても……
労働安全衛生規則で引用した第261条と第280条をあわせて見てみると、
「通風、換気、除じん等の措置を講じても可燃性ガス等が爆発の危険のある濃度に達する恐れのある箇所において電気機械器具を使用するときは……」
となる。
IEC / JIS C 60079-10:2008 爆発性雰囲気で使用する機械器具-第10部:危険区域の分類
その場所が本当に危険区域かどうか、規格書に基づいて判断する。 ・もしかしたら換気が十分で防爆機器でなくてもよいかもしれない。 ・換気設備に投資したほうがトータルコストも低く、安全かもしれない。 ・可燃性ガス→防爆、と短絡的に思い込まないこと。