自家用電気工作物に関する 最近の関係法令、電気事...

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自家用電気工作物に関する 最近の関係法令、電気事故等について 平成24年度自家用電気工作物設置者 及び電気主任技術者セミナー 説明資料 1 関東東北産業保安監督部

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Page 1: 自家用電気工作物に関する 最近の関係法令、電気事 …...自家用電気工作物に関する 最近の関係法令、電気事故等について 平成24年度自家用電気工作物設置者

自家用電気工作物に関する近の関係法令、電気事故等について

平成24年度自家用電気工作物設置者

及び電気主任技術者セミナー 説明資料

1

平 成 2 5 年 2 月関東東北産業保安監督部電 力 安 全 課

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目 次

第1章 自家用電気工作物の電気保安規制

第2章 自家用電気工作物の電気主任技術者

第3章 自家用電気工作物(関東地域)の平成23年度電気事故

第4章 自家用電気工作物(関東地域)の平成23年度立入検査

第5章 自家用電気工作物における不適切な事例

第6章 その他

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第1章 自家用電気工作物の電気保安規制

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1-1 電気工作物の分類

H22年度末自家用電気工作物設置件数約25万件(関東) / 82万件(全国) = 30% 4

発電所

変電所

配電用変電所

電気事業の用に供するもの

発電所

1,807 ヶ所

〈送

電線

路〉

〈送

電線

路〉

〈配

電線

路〉

50 万V級

27 万V級

6万 V級

6000 V級

100 V/200V

送電

配電

発電所

大工場

自家発

〈配

電線

路〉

低圧 /約 8,348 万軒

電気事業の用に供さないもの

自家用電気工作物

変電所数

6,554 ヶ所

送電線路及び配電線路亘長

94,124 km

柱上変圧器

小出力発電設備

( 送電線路及び配電線路 )

〈配電線路 〉

自家発

100 V/200V

住宅、商店、小工場

工場、ビルディング

一般用電気工作物事業用電気工作物

発電所

変電所

配電用変電所

電気事業の用に供するもの

発電所

1,464 ヶ所

〈送

電線

路〉

〈送

電線

路〉

〈配

電線

路〉

50 万V級

27 万V級

50 万V級

27 万V級

6万 V級

6000 V級

100 V/200V

送電

配電

発電所

大工場

自家発

〈配

電線

路〉

低圧 /約 万軒

電気事業の用に供さないもの

自家用電気工作物

変電所数

6,686 ヶ所

電線路亘長(架空)86,933km(地中)14,543km

柱上変圧器

小出力発電設備

配電線路亘長(架空)398万km(地中)7万km

〈配電線路 〉

自家発自家発

100 V/200V

住宅、商店、小工場

工場、ビルディング

一般用電気工作物事業用電気工作物

(平成23年版電気事業便覧及び生産と電気2012年1月号より)

3,177ヶ所

特別高圧 9,315軒

高圧 約77万軒

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1-2 電気保安体系

5

一般用電気工作物

電気供給者による補完

国の直接監督  

技術基準適合調査義務[第57条](小出力発電設備を除く)

技術基準の適合命令,国の立入検査 [第56条,第107条]

(電気工事士法:電気工事士による工事義務)

(電気工事業法:工事業者の登録,届出義務)

(電気用品安全法:適合機械器具,材料の使用義務)

(自家用電気工作物)

(電気事業の用に供する電気工作物)

事業用電気工作物

自主保安体制

技術基準の適合維持義務 [第39条]

保安規程の作成,届出,遵守 [第42条]

主任技術者の選任,届出,外部委託 [第43条]

法定事業者検査

使用前自主検査[第50条の2]

溶接事業者検査[第52条]

定期事業者検査[第55条]国が自主保安を補完

安全管理審査

使用前安全管理審査[第50条の2]

溶接安全管理審査[第52条]

定期安全管理審査[第55条]

工事計画の認可,届出[第47条,第48条](認可は実質原子力発電所のみ)

自家用電気工作物の使用開始届出 [第53条]

使用前検査・定期検査[第49条,第54条](原子力発電所のみ)

事故,その他の報告義務 [第106条]

立入検査 [第107条]

技術基準適合命令,保安規程改善命令 [第40条,第42条]

電気工事士法により,自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)は,第一種電気工事士等による工事義務

電気工事業法により,自家用電気工作物(最大電力500kW未満の需要設備)の工事を行う工事業者の登録,届出,通知義務

電気用品安全法により,適合機械器具,材料の使用義務

国の直接監督

電 

気 

工 

作 

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1-3 電気保安関係法令の適用イメージ

一般用電気工作物 事業用電気工作物自家用電気工作物 ※ 自家用電気工作物 電気事業用電気工作物

600V以下で受電小出力発電設備

600Vを超える電圧で受電500kw未満の需要設備

発電所、変電所、送配電線路、500kw以上の需要設備

電気事業法 電気供給者に対する一般電気工作物調査義務(小出力発電設備は除く)

-工事計画届(受電電圧1万V以上の需要設備の新設・受電用遮断器の取替など)使用前自主検査の実施、定期自主検査の実施安全管理審査の受審

保安規程届電気主任技術者選任電気事故報告技術基準維持義務

電気工事士法

電気工事士でなければ電気工事をしてはならない。

第1種電気工事士でなければ、自家用電気工作物の工事をしてはならない。

-電気工事士は、電気設備技術基準を遵守しなければならない。

電気工事業法

工事店に主任電気工事士を置かなければならない

自家用電気工作物の工事のみを営む場合は、国(県)に通知しなければならない。

-工事店を登録しなければならない。(の場合を除く)電気工事士でない者に電気工事を行わせてはならない。電気工事士に違法電気用品を使用させてはならない。

電気用品安全法

電気工事士は、所定の表示のない電気用品を使用してはならない。

自家用電気工作物設置者および電気事業者は、所定の表示のない電気用品を使用してはならない。

電気用品の製造又は輸入事業者(届出事業者)は、粗悪な電気用品を製造・輸入、販売してはならない。届出事業者は、電気用品が電気用品技術基準に適合することを確認しなければならない。届出事業者及び販売事業者は、所定の表示が付された電気用品でなければ販売してはならない。

6電気工事士講習テキストを参考に作成※電気事業法と電気工事士法における「自家用電気工作物」の定義の違いに注意

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1-4 自家用電気工作物とは

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電気事業法第38条4項

この法律において「自家用電気工作物」とは、電気事業のように供する電気工作物及び一般用電気工作物以外の電気工作物をいう。

具体的には?・他の者(電力会社等)から600Vを超える電圧で受電している・構外にわたる電線路を有している・構内に小出力発電設備以外の発電設備が設置されている

【小出力発電設備とは】出力50kW未満の太陽電池発電設備出力20kW未満の風力発電設備出力20kW未満及び 大使用水量が1m3/s未満の水力発電設備(ダムを伴うものを除く。)出力10kW未満の内燃力を原動力とする火力発電設備出力10kW未満の燃料電池発電設備(固体高分子型又は固体酸化物型のものであって、燃料・改質系統設備の 高使用圧力が0.1MPa(液体燃料を通ずる部分にあっては、1.0MPa)未満のものに限る。)

・火薬類取締法に規定する火薬類を製造する事業場に設置されている・鉱山保安法施行規則の適用を受ける鉱山のうち、同令に規定する石炭鉱に設置 されている

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1-5 自家用電気工作物に係る保安規制

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設置者は、自らが自己責任のもとに電気の保安を確保する義務があり、電気事業法の規定により次のことを行う必要がある。

※主任技術者のうち、電気主任技術者は全ての事業用電気工作物について選任しなければならないが、加えて、一定の水力発電所についてはダム水路主任技術者を、一定の火力発電所についてはボイラー・タービン主任技術者を選任する必要がある。

※このほか、電気事故が発生した場合は事故報告、廃止した場合は廃止報告、受電電圧1万V以上の需要設備、ばい煙発生施設等を設置する場合は工事計画の事前届出等を行う必要がある。

条文 義務 概要

139条

技術基準適合維持設置者は、事業用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持する

242条

保安規程の制定、届出、遵守

設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために保安規程を定め、経済産業大臣に届け出ること。また、設置者及びその従業者は、保安規程を守る

343条

主任技術者の選任、届出

設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるために主任技術者を選任し、経済産業大臣に届け出る

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1-6 保安規程

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1 保安規程の役割(1)設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、

保安を一体的に確保することが必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規程を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用等の開始前に、経済産業大臣に届け出なければならない。(電気事業法第42条第1項)

(2)設置者及びその従業者は、保安規程を守らなければならない。(同条第4項)

2 保安規程に定めるべき事項(1)保安規程には次の事項について定める必要がある。(施行規則第50条第3項)

①電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。②電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。③電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。④電気工作物の運転又は操作に関すること。⑤発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。⑥災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。⑦電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。⑧電気工作物の法定事業者検査に係る実施体制及び記録の保存に関すること。⑨その他事業用工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項。

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1-7 電気主任技術者

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1.事業用電気工作物の設置者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、電気主任技術者を選任し、その旨を経済産大臣に届け出なければならない。

(電気事業法第43条第1項、3項)

2. 電気主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。

(同条第4項)

3. 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、電気主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

(同条第5項)

事業用電気工作物の保安を確保するために設置者が定めるルールが保安規程であり、そのルールに則って保安の監督の業務を行う者が電気主任技術者である。

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1-8 使用前自主検査と安全管理審査

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電気事業法第50条の2

第48条第1項の規定による届出(工事計画届)をして設置又は変更の工事をする事業用電気工作物であって、経済産業省令で定めるものを設置する者は、経済産業省令で定めるところによりその使用開始前に、当該事業電気工作物について自主検査を行い、その結果を記録し、これを保存しなければならない。

2 使用目自主検査においては、その事業用電気工作物が次の各号のいずれにも適合していることを確認しなければならない。

一 その工事が第48条第1項の規定による届けをした工事の計画に従って行われたものであること。

二 第39条第1項の経済産業省令で定める技術基準に適合するものであること。

3 使用前自主検査を行う事業用電気工作物を設置する者は、使用前自主検査の実施に係る体制について、経済産業省令で定める時期に・・・審査を受けなければならない。

4 前項の審査は、事業電気工作物の安全管理を旨として、使用前自主検査に係る組織、検査の方法、工程の管理その他経済産業省令で定める事項について行う。

※使用前自主検査の方法については、「電気事業法施行規則第73条の4に定める使用前自主検査の方法の解釈」(平成24年11月30日付け20121122商局第3号)に規定されている。

※安全管理審査の実施要領については、「使用前・定期安全管理審査実施要領(内規)」平成24年9月19日付け20120919商局第67号)に規定されている。

※上記内規は当部の電気保安のホームページよりご覧なれます。

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第2章 自家用電気工作物の電気主任技術者

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2-1 電気主任技術者の免状の種類と監督範囲

免状の種類 保安監督することができる範囲

第1種電気主任技術者免状

事業用電気工作物の工事、維持運用

第2種電気主任技術者免状

電圧17万V未満の事業用電気工作物の工事維持運用

第3種電気主任技術者免状

電圧5万V未満の事業用電気工作物(出力5千kW以上の発電所を除く)の工事維持運用

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2-2 自家用電気工作物に係る主任技術者の選任形態

自家用電気工作物の電気主任技術者の選任形態は、事業場単位で次の4種類に区分

選任形態 主な条件

需要設備の 大電力

100kW未満100kW以上500kW未満

500kW以上2000kW未満

2000kW以上

専任電気主任技術者免状

選任許可

第1種電気工事士又は認定校卒

× ×

第2種電気工事士等

× × ×

兼任電気主任技術者免状

×

外部委託承認

保安業務委託

14※外部委託については、電圧7千V以下で受電するものに限る※発電所、配電所等は、それぞれの選任形態により設備規模の上限が異なる

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「選任届出」とは、原則として、自家用電気工作物である事業場に、そこに常時勤務している電気主任技術者免状の有資格者を選任する形態。

監督する事業場が掛け持ちの事業場ではないため、「専任」ともいう。

選任の手続き設置者は、選任後に遅滞なく「主任技術者選任又は解任届出書」を提出。

選任の時期事業場新設の場合 工事計画の策定に関与するときまでに人事異動等の場合 前任者の解任と同時に設置者変更の場合 譲り受けたと同時に

必要な資格必要な免状の種別は、概ね次のとおり。

第3種電気主任技術者免状・・・6kV受電、22kV受電第2種電気主任技術者免状・・・66kV受電、 154kV受電第1種電気主任技術者免状・・・275kV受電

15

2-3 選任届出(電験有資格者を1事業場に)

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「選任許可」とは、自家用電気工作物である事業場に、そこに常時勤務している電気主任技術者免状を有していない者を選任することの許可を受けた形態。

選任の手続き設置者は、「主任技術者選任許可申請書」を提出。

選任の時期事業場新設の場合 工事計画の策定に関与するときまでに人事異動等の場合 前任者の解任と同時に設置者変更の場合 譲り受けたと同時に

許可条件必要な資格は、概ね次のとおり。

第2種電気工事士免状等・・・・・・・・・・・ 大電力100kW未満第1種電気工事士免状、電験認定校卒業等・・・ 大電力500kW未満

標準処理期間申請書を受理してから2週間

16

2-4 選任許可(免状がない者を1事業場に)

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「兼任承認」とは、自家用電気工作物である事業場に、すでに別の事業場に選任している電気主任技術者免状の有資格者を兼任させることの承認を受けた形態。

選任の手続き設置者は、「主任技術者兼任承認申請書」を提出。

選任の時期事業場新設の場合 工事計画の策定に関与するときまでに人事異動等の場合 前任者の解任と同時に設置者変更の場合 譲り受けたと同時に

承認条件・兼任しようとする事業場の 大電力が2,000kW未満・到達時間が2時間以内・兼任しようとする事業場の数が5カ所以内 等

標準処理期間申請書を受理してから2週間

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2-5 兼任承認(電験有資格者を複数事業場に)

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「外部委託承認」とは、中小規模の自家用電気工作物である事業場に、保安管理業務を所定の条件を満たす外部の法人(電気保安法人)又は個人(電気管理技術者)に委託して、自らの役員や従業員等から電気主任技術者を選任をしないことの承認を受けた形態。

選任の手続き設置者は委託契約を締結し、「保安管理業務外部委託承認申請書」を提出。

選任の時期(=契約開始日)事業場新設の場合 工事計画の策定に関与するときまでに委託先変更の場合 前委託先の解約と同時に設置者変更の場合 譲り受けたと同時に

外部委託承認を受けることができる事業場・電圧7,000V以下で受電する需要設備・出力1,000kW未満の発電所・電圧600V以下の配電線路を管理する事業場

標準処理期間申請書を受理してから2週間

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2-6 外部委託承認(委託して選任しない事業場)

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第3章 自家用電気工作物(関東地域)の平成23年度電気事故

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過去10年間の電気事故件数の推移種別

年度感電・アーク等による死傷

電気火災 主要電気工作物の破損

波及事故 計

平成 14 33(33) 20 15 161 229

平成 15 39(40) 29 9 139 216

平成 16 17(18) 4 14 162 197

平成 17 20(21) 4 14 127 165

平成 18 31(34) 3 10 140 182

平成 19 22(25) 3 18 129 171

平成 20 30(31) 2 15 166 213

平成 21 19(19) 2 17 110 148

平成 22 27(29) 2 36 148 208

平成 23 18(19) 1 26 111 155

(注)1.発電所における事故件数も含む。2.表の数字は事故件数であって、( )内は被害者数である。3.件数は、発生日ベースであり、電気関係報告規則に基づき報告されたもの。以降同じ。4.1件の事故が複数の種別にまたがる場合、計は1件で計上。5.平成16年以降の感電・アーク等による死傷は入院加療を伴うもの、電気火災は建物の床面積の半焼(20%)

以上を伴うものに報告対象が限定されるなど、電気関係報告規則が改正されたため、統計的連続性はない。

3-1.管内自家用電気工作物における電気事故件数の推移

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3-2.平成23年度の電気事故について

平成23年度の電気事故件数

事故の種類

供給支障

事故発生場所

感電死傷

電気工作物の破損等(アーク

等)による死傷

電気火災 主要電気工作物の破損

波及事故

事故総件数

有 無 有 無 有 無 有 無 有 有 無 計

発電所 1 23 24 24

変電所

架空送電線路特高配電線路

高圧配電線路

需要設備

引込線等 3 1 90 90 4 94

受変電設備 7 5 1 1 20 21 13 34

負荷設備 2 1 3 3

合計 13 5 1 1 25 110 111 44 155

波及事故のうち、引込線等で発生した事故81%人身事故のうち、受変電設備で

発生した事故約67%

うち死亡事故2件発生

全体の約71%

(注)「供給支障」欄の「有」は波及事故を伴う事故である。

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原 因 製 施 保 自 過 風 氷 地 水 山 ・ 塩 作過 公 ・ 無 火 樹 鳥 そ物 電 化 震 自 他 燃 そ 不 合作 工 守 然 ・ ・ 業失 衆過 断 木 獣 の接 気 学 料不 不 不 劣 負 雷 崩雪 ちガ 者 の失 伐 接 接 他触 腐 腐 不 の

完 完 完 化 の 故 木 触 触 の 食 食 良

被 害 箇 所 全 全 全 荷 雨 雪 震 害 れ崩 りス 意 災 他 動 社 社 他 明 計

支  持  物 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2

が  い  し 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2

電     線 0 0 0 2 0 3 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6

接  続  部 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

開  閉  器 0 1 2 5 0 0 0 15 0 0 0 0 6 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 30

ケ ー ブ ル 0 0 2 39 0 0 0 2 1 0 0 0 4 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 48

ケーブルヘッド 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

開  閉  器 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1

変  圧  器 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

開  閉  器 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 5 0 0 0 0 0 0 0 0 0 7

断  路  器 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2

遮  断  器 0 0 1 2 0 1 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 6

電力用コンデンサ 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

避  雷  器 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

計器用変圧器 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 2

変  流  器 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

が  い  し 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0

導 体(電 線) 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

そ  の  他 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

0 1 7 49 0 7 0 20 1 0 0 1 14 0 0 1 0 7 0 0 0 0 0 0 0 1 1 110

需 要 設 備

合  計

架空引込線等

地中線引

込等

平成23年度の波及事故の被害箇所と原因3-3.波及事故

(注)波及事故以外の事故で供給支障を併発した事故については本表に計上していない。

PAS・引込ケーブルが全体の約71%

自然劣化が全体の約45%

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23

自然劣化によるもの 計49件※自然劣化とは、製作、施工等に特に欠陥がなかったにもか

かわらず、電気工作物の材質、機構等に劣化を生じたもの

(内訳)地中引込ケーブル 39件

上記以外 10件

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故(自然劣化)

全体の約80%

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24

事故点

事故点 錆水の付着 雨水の溜まり

内部状況(バリア付) 内部状況(バリア外し)

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故例(自然劣化)

<事例1>

PAS内部で地絡故障が発生し、波及事故に至った。なお、当該PASは敷設後19年経過し、内部のケースと底蓋間のパッキンが経年劣化によって気密異常に至った要因等により、雨水が浸入したと推定。

<事例2>

敷設後20年経過した引込ケーブルに水トリーが発生し絶縁破壊を起こし、波及事故に至った。なお、年次点検の際に絶縁抵抗値の異常は確認出来なかった。しかしながら、当該ケーブルは古くなっていたことから、更新の必要性について主任技術者からビル管理会社に連絡していたものの、設置者には伝わっていなかった。

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25

波及事故(自然劣化)における引き込ケーブル・G付PAS等の製造年数3-3.波及事故

0

5

10

15

20

25

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46

波及事故件数

製造年数

引き込みケーブル

G付PAS

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26

自然劣化による波及事故の防止対策

設備管理台帳

製造会社 型式 製造年月

製作所 ABC-DEF 1998.1.

高圧ケーブル

H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25

10000 10000 10000 2000

10000

5000

[MΩ]

H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18

10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000

設備管理台帳

設備管理台帳設備の更新設置者に設備が劣化していることを理解させ、早急に

更新することが必要です。

PAS

・年次点検等において、設備の劣化状態を確認することが困難なことから、

・設置後15~20年経過した場合は更新

※PASを設置する場合は、設置者に15年~20年後更新の必要性についてしっかり理解させる。

ケーブル

・年次点検において、劣化状態を確認

E端子設置方式:5000Vメガーによる測定(注意:10000MΩ未満)

G端子設置方式:5000Vメガーによる測定(注意:5000MΩ未満)

・設備管理台帳を作成

・水トリー防止ケーブル(E-E方式)の採用

3-3.波及事故

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27

雷によるもの 計20件※雷とは、直撃雷又は誘導雷によるもの

(内訳)PAS 15件上記以外 5件

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故(雷)

全体の約75%

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28

アークが噴出してパッキンがめくれている

アークが飛んだ痕跡

アークが碍子の付け根から噴出している。

平成23年度の波及事故例(雷)3-3.波及事故

<事例1>

落雷の影響により、敷設後10年経過したPASが焼損し波及事故に至った。事故の状況から、直撃雷で絶縁破壊し、内部短絡に至ったと推測される。

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29

作業者の過失によるもの 計14件※作業者(自社又は自社の工事請負者の命をうけて作業に従事している者をいう。)の過失によるもの

(内訳)PAS 6件地中引込ケーブル 4件その他 4件

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故(作業者の過失)

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30

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故例(作業者の過失)<事例1>

当該事業所が停電したが、雷の影響によるSO

Gの誤動作と管理技術者が判断し、管理人に投入するように指示。その後PASを投入した後に波及事故に至った。

※SOGの動作は正常で、ケーブルの絶縁不良によるものであった。

<事例2>給水管埋設工事に伴い、地面を掘削していた際に

バックホーにより、埋設されていた高圧引込ケーブルを破損させ波及事故に至った。

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31

保守不完全によるもの 計7件※保守不完全とは、巡視、点検、手入れ等の保守の不完全によるもの

(内訳)地中引込ケーブル 2件PAS 2件上記以外 3件

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故(保守不完全)

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32

VCBの裏側の様子

内部には煤が付着している。

<事例1>誘導雷の影響で、構内ケーブルが短絡

焼損。SOGの動作不良も重なり、波及事故に至る。なお、当該PASは製造後14年経過していることと、直近の年次点検にてSOGの動作不良が指摘されていたにも関わらず、改修がなされていなかった。

3-3.波及事故

<事例2>VCB一次側の埃等の付着や高湿度状

態の影響により線間短絡が発生し、波及事故に至った。なお、直前の年次点検では、当該VCBの経年劣化が指摘されていたところ。

平成23年度の波及事故例(保守不完全)

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33

鳥獣接触によるもの 計7件※ねこ、ねずみ、へび、又は鳥獣の接触、営巣等によるもの

(内訳)LBS 5件その他 2件

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故(鳥獣接触)

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34

ネズミが接触

LBSの裏側真下にネズミの死骸が確認された。

キュービクル内低圧幹線ケーブル立上り部の一部に隙間があった。

ケーブルダクト内の開口部の様子でここからキュービクル内にネズミが侵入したと推測。

3-3.波及事故

<事例1>屋外キュービクル内にネズミが侵入し、LBS一次側のR相~S相間に接触し相間短

絡し、波及事故に至る。

平成23年度の波及事故例(鳥獣接触)

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35

風雨によるもの 計7件※雨、風又は暴風雨によるものをいい、風のために飛来した樹木片等の接触によるものを含む。

(内訳)支持物 2件電線 3件上記以外 2件

3-3.波及事故

平成23年度の波及事故(風雨)

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36

腐食した溶接部分腐食した溶接部分

腐食した溶接部分

接触部

<事例1>9月に発生した台風15号の影響により、架空引止め用架台が倒壊しているのを確認した。倒壊によ

り、高圧架空線が架台に接触し地絡して、波及事故に至った。なお、当該架台の溶接部が経年劣化により腐食して強度が弱くなったところに強風が加わり、倒壊したと推定される。

平成23年度の波及事故例(風雨)3-3.波及事故

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37

波及事故は、事故点となった需要家のみならず、その配電線に接続されている住宅、ビル、工場、病院、交通機関等を含む広い範囲を停電させ、多大な被害を与えます。

電気主任技術者等は、自家用電気工作物設置者に対して、波及事故の影響の大きさを啓発されるともに、波及事故の防止対策に必要な指示又は助言をされますようお願いします。

防止対策にあたっては、次の(1)から(6)を参考にして下さい。

3-3.波及事故

波及事故に対する防止対策(まとめ)

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38

高圧気中負荷開閉器

高圧CVケーブル

高圧真空遮断器

高圧交流負荷開閉器

変圧器 高圧進相コンデンサ

その他の高圧機器

更新推奨値

15~20 20~25 20~25 20~25 25~30 20~25 25~30

<高圧設備の各機器の更新推奨時期(単位:年)>

<地中線で受電する場合>

・高経年設備については、早急に更新をお願いします。

・受電点に設置することをお願いします。<架空線で受電する場合>

3-3.波及事故

波及事故に対する防止対策例①~G付PAS、UGSの取付~

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39

・地中埋設等、水の影響を受ける恐れのある施設に敷設する場合には、E-Eタイプの選定。

3-3.波及事故

波及事故に対する防止対策例②~高圧ケーブルの更新と選定~

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40

避雷器の有無と位置

避雷器あり 避雷器なし 合計

PAS内蔵 外付け(直近)

電気室内

平成20年度 1 0 13 39 53

平成21年度 1 0 1 16 18

平成22年度 1 3 14 22 40

平成23年度 1 1 4 14 20

合計 4 4 32 91 131

割合(%) 3.1 3.1 24.4 69.5

<雷による波及事故があった事業場の避雷器の設置状況>

・外付けの場合、地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器の負荷側直近に「避雷器」の設置。・避雷器内蔵型地絡継電装置付き高圧交流負荷開閉器も有効。

3-3.波及事故

波及事故に対する防止対策例③ ~避雷器の設置~

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41

<雨の侵入対策例>

・キュービクル前面の換気口に防噴流対策板や水平水切板を設置。・下駄基礎で設置されている場合は、遮風板等を設置。

3-3.波及事故

波及事故に対する防止対策例④ ~風雨の侵入対策~

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42

・小動物の侵入する恐れのある穴・隙間はシール材やパンチングメタル等で塞ぐ。

・LBS等の高圧充電部には、絶縁バリアや防護カバーの取付。

3-3.波及事故

波及事故に対する防止対策例⑤ ~小動物の侵入対策~

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43

・高圧ケーブルの埋設されている場所には、

標柱・標石の設置

・高圧ケーブル埋設上部には、ケーブル標識

シートを敷設

※(電気設備の技術基準の解釈)第120条第2項

地中電線路を管路式により施設する場合は、次の各号によること。一 (略)二 高圧又は特別高圧の地中電線路には、次の表示を施すこと。ただし、需要場所に施設する

高圧地中電線路であって、その長さが15m以下のものにあってはこの限りでない。イ 物件の名称、管理者名及び電圧(需要場所に施設する場合にあっては、物件の名称及び管理者名を除く。)を表示すること。

ロ おおむね2mの間隔で表示すること。ただし、他人が立ち入らない場所又は当該電線路の位置が十分に認知できる場合は、この限りでない。

(電気設備の技術基準の解釈の解説(抜粋))電力ケーブルが埋設されていることについて掘削作業者の注意を喚起する措置として、高圧又は

特別高圧の地中電線路には、埋設表示を施す必要があることを示している。ただし、需要場所に施設する長さが15m以下の高圧地中電線路については、例外として除外した。

・電気管理技術者等は月次点検の問診の際、設置者に対し工事の有無を確認してください。電気管理技術者等は、高圧ケーブル近傍で掘削工事等の作業がある場合は、打合せを十分に行い、立会いをしてください。

ケーブル

危険注意この下に高圧電力ケーブルあり

ケーブル標識シート

標柱又は標石

3-3.波及事故

波及事故に対する防止対策例⑥ ~ケーブルの埋設位置の表示~

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コンプレッサー内モーターの様子 固定子巻線の様子

<事例1>

パッケージ型コンプレッサー内のモーターに綿埃等が堆積して通気性が悪くなっていたことと経年劣化も伴い、熱により固定子巻線の絶縁体が溶けてレアショートを起こし、埃等に引火し工場が全焼したと推定される。なお、当該コンプレッサーは1996年製で製造後約15年が経過していた。

平成23年度の電気火災事故例3-4.電気火災事故

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45

感電死傷事故及び電気工作物の破壊等(アーク等)による死傷事故

計18件

(内訳)月次・年次点検中 4件電気設備における工事・作業中 9件上記以外 5件

3-5.感電・アーク等による死傷事故

平成23年度の感電・アーク等による死傷事故

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46

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計

平成18年度 4 3 4 2 7 3 2 0 0 0 1 5 31

平成19年度 3 2 3 3 5 3 1 1 0 0 1 0 22

平成20年度 0 5 9 4 0 1 2 1 1 2 2 3 30

平成21年度 0 3 5 2 2 3 0 2 0 2 0 0 19

平成22年度 2 1 3 6 5 3 3 4 0 0 0 0 27

平成23年度 1 0 1 2 1 1 2 4 4 1 1 0 18

合計 10 14 25 19 20 14 10 12 5 5 5 8 147

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 合計

平成18年度 0 0 0 0 2 0 0 0 0 0 0 0 2

平成19年度 1 0 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 2

平成20年度 0 0 2 2 0 0 1 0 0 1 0 0 6

平成21年度 0 0 1 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1

平成22年度 0 0 1 1 1 1 1 0 0 0 0 0 5

平成23年度 0 0 0 0 0 1 0 0 0 1 0 0 2

合計 1 0 4 3 4 2 2 0 0 2 0 0 18

<月別感電による死亡事故件数>

<月別感電・アーク等による死傷事故件数>

3-5.感電・アーク等による死傷事故

月別感電・アーク等による死傷事故件数

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47

使用電圧 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 計

低圧

100V死亡 1 1 2負傷 1 1 2 4

200V死亡 2 1 3 1 5 12負傷 8 4 5 1 4 3 25

その他死亡

負傷 2 1 1 4 3 11

高圧死亡 3 1 4負傷 15 14 18 15 13 6 81

特別高圧死亡

負傷 3 1 2 2 8

合計死亡 2 2 6 1 5 2 18負傷 29 20 24 18 22 16 129

全体の約37%が低圧で発生!100Vでも死亡事故が報告されている!!

3-5.感電・アーク等による死傷事故

感電等死傷事故の電圧別発生件数①

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48

13

79

2

14

9

1514

21

1513

7

31

02

02

0

5

10

15

20

25

18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度

低圧

高圧

特別高圧

3-5.感電・アーク等による死傷事故

感電等死傷事故の電圧別発生件数②

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49

被 害 者

被害箇所主任技術者等

電気関係作業者電気関係作業者

以外公衆 合計

電気保守作業員

電気工事関係その他作業員

一般従業員等

架空引込線等

支 持 物 0 0 0 0 0 0が い し 0 0 0 0 0 0電 線 0 0 0 5 2 7接 続 部 0 0 0 1 0 1開 閉 器 0 0 0 0 0 0

地中線

引込等

ケ ー ブ ル 0 0 0 0 0 0ケーブルヘッド 0 0 0 0 0 0開 閉 器 0 1 0 0 0 1

変 圧 器 4 1 2 2 0 9開 閉 器 7 3 3 5 0 18断 路 器 5 6 8 1 0 20遮 断 器 1 7 0 1 0 9

電力用コンデンサ 0 2 1 0 0 3避 雷 器 1 0 1 0 0 2計器用変圧器 2 1 5 2 0 10変 流 器 0 1 0 1 0 2が い し 0 0 0 0 0 0

導 体(電 線) 1 5 14 6 0 26負荷設備 2 4 10 20 0 36

そ の 他 3 3 5 2 0 13合 計 26 34 49 46 2 157

3-5.感電・アーク等による死傷事故

感電等による被害者と被害箇所①(平成18~23年度)

(注)本表は被災者数を計上したもので、1つの事故で複数の被災者が発生した事故もあるため事故件数とは異なる。

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50

17%

22%

31%

29%

1%

主任技術者等

1:主任技術者等とは、主任技術者及び電気保安法人の保安業務担当者及び電気管理技術者を指す。

2:電気関係作業者以外の作業者には、製造部門の工員や事務員等を含む。

4% 1% 1%

6%

11%

13%

6%

2%1%

6%

1%

17%

23% 8%

開閉器(需要設備)

断路器(需要設備)

変流器(需要設備)

被災者の多くが主任技術者や電気関係作業者である。

約4割が負荷設備や導体(電線)で発生。低圧の負荷設備における死亡事故も報告。

電気関係作業者以

電気工事関係

電気保守作業員

(1)感電被災者の区分

公衆電線(架空引込線等) 接続部(架空引込線等)

開閉器(引込線等)

変圧器(需要設備)

遮断器(需要設備)

電力用コンデンサ(需要設備)

計器用変圧器(需要設備)

避雷器(需要設備)

導体(電線)(需要設備)

負荷設備(需要設備)

(2)被害箇所の区分

感電等による被害者と被害箇所②(平成18~23年度)3-5.感電・アーク等による死傷事故

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51

平成24年1月(年次点検中の感電事故)

受電電圧:6.6kV 受電電力:36kW業 種:地方公務(発電所) 選任形態:選任

事故発生電気工作物:引込盤(6.6kV)被災者:主任技術者、41歳、男性、第1種電気工事士、電気保安経験年数17年感電死亡【電撃症】

当該発電所における精密検査を5日間に亘り実施中であった。事故が発生した受変電設備においては、精密検査実施期間2日目から電力会社からの受電を停止し、点検を開始する予定であった。所内電源は非常用発電機(EG)により確保し、本来ならば停電時に自動起動するはずであったが、起動しなかったため、手動操作で起動した。その際に、受注業者が原因調査を行ったが、原因調査に追われるがあまり、予定されていた高圧充電箇所の引込盤、主変圧器盤の点検等を実施しない状態で復電を行った。なお、実施出来なかった予備電源室内の清掃および高圧充電部の点検を翌日(事故当日)において、目視点検として実施するべく予定変更した。事故当日において、現場作業員より、引込盤内部におけるネズミの死骸及びアース線のはずれの報告を受け、被災者(電気主任技術者)が現地確認を行い、写真を撮影した。その後、被災者は、引込盤内部のネズミの死骸を掃除機を使い清掃しようとしたところドンという音とともに停電し、他の作業員が確認したところ、被災者が座り込むように倒れていた。事故の目撃者がいないが、被災者が引込盤内部を掃除機で清掃しようとしたところ、充電部に接触し感電したと思われる。(作業者服装:作業帽、つなぎ、カッパ、軽作業用手袋、安全靴)

③高圧充電部の近接作業となると認識しながら、絶縁用保護具を装備していなかった。④受注業者が高圧充電部の作業日程を変更し、点検方法を目視点検のみに変更したが目視点検の作業範囲が明確でなかった。また、高圧充電部の作業員が日替わりで変更になるなど、点検に関する作業計画が+分でなかった。また、発注者へ協議、報告が行われていなかった。④目視点検のみ実施することとなっていたが、高圧受電部の近接作業を行った。⑥作業の慣れからくる危険作業への予知及び認識の甘さがあった。

①③高圧充電中の作業は、原則行わず、停電時に行う。もし、行う場合は、絶縁用保護具を装備し、責任者が立ち会いのもと行う。加えて、受注業者には、検電補助器具を装備するよう指導する。②高圧充電部があるキュービクルには、注意喚起掲示物を設置する。④作業計画作成について、点検箇所の事前調査を十分行った上で、工程を作成し、停電必要日の設定、作業工程に沿った危険筒所の把握、安全対策、装備の計画を立案協議するよう指導する。④作業計画に変更が生じた場合は、速やかに報告するよう指導し、報告があった場合には、協議を行ない計画の見直しを行う。

3-5.感電・アーク等による死傷事故

事例1(年次点検中の事故)※「事故原因」及び「再発防止対策」欄の後掲の「再発防止対策6項目」に対応。

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52

清掃箇所

ネズミ死骸箇所

事例1(年次点検中の事故)3-5.感電・アーク等による死傷事故

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平成23年9月(工事中の感電事故)

受電電圧:6.6kV 受電電力:1,750kW業種等:貸ビル業 主任技術者選任形態:外部委託

事故発生電気工作物:非常照明用配線(IV線)(100V)被災者:電気関係作業者、20歳、男性、資格無し、電気保安経験年数1年4ヶ月感電死亡【作業者の両手に電撃痕】

作業者も含め前夜から各フロアに分かれて複数名で工事を実施していた。その後、被災者と他の作業員の2名で店舗1Fバックヤードの非常照明用配管・通線・器具取付工事を行っていた。午前3時50分頃、他の作業員は被災者がそろそろIV線の被覆を剥く頃と思い、ブレーカーの位置を確認するため作業場を離れた。別の作業者が作業場から少し出たところで、唸る様な声が聞こえたので、作業場に戻ったところ、被災者がはしご上で意識の無い状態でもたれかかっていた。救命活動の後、救急車で病院に搬送されたが、5時5分に死亡が確認された。IV線は電源側のみ被覆が剥げていて、そこの箇所に触れ感電したものと推定。(被災者の服装:作業服上下・ヘルメット・スニーカー式安全靴・安全帯・腰道具※手袋の着用については不明)

②はしご上の作業で足下に十分な作業床が確保されていなかった。④作業責任者が当該回路のブレーカーを開放後作業することを指示していたが、指示を無視して作業を行った。⑥活線作業に対する認識が薄かった。

②作業するために必要な作業床を確保する。③感電の恐れのある作業では、保護手袋を装着し検電してから作業するよう徹底させる。④停電作業手順書を作成し、ブレーカーを開放し、検電器を使用してから作業するよう徹底させる。⑥請負業者を含む作業関係者に対する安全作業の周知徹底を図るとともに、作業員に対し活線作業禁止の教育をする。また、同様に作業に従事する者に対しては、指揮系統、指示事項の重要性を教育する。

3-5.感電・アーク等による死傷事故

事例2(電気機器の工事・作業中の事故)※「事故原因」及び「再発防止対策」欄の後掲の「再発防止対策6項目」に対応。

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事例2(電気機器の工事・作業中の事故)3-5.感電・アーク等による死傷事故

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平成23年12月

受電電圧:6.6kV 受電電力:605kW業 種:娯楽業 選任形態:外部委託

事故発生電気工作物:サブキュービクル内連絡ケーブル(6KV)被災者:作業者、31歳、男性、1級電気工事施工管理技士、電気保安経験年数9年

感電負傷【両手熱傷2度】

店舗の内装変更に伴う電気工事の調査のために3名で来店し、被災者はキュービクル内の状況調査と写真撮影を開始。15時46分、被災者はサブキュービクルの高圧側扉を開け、キュービクル内部の写真撮影中に右手が高圧ケーブルの端末充電部に接近し感電した。事故時、同行者Aはメインキュービクル側におり、同行者Bは事務室にいた。同行者Aが異変を感じ、周囲を見回し、被災者の感電を知った。被災者によると、デジタルカメラを素手で持ち、ゴム底靴を履いて撮影していた。

②アクリル製の防護板が外されていた。④電気工事会社はキュービクルの鍵を使用するときは電気管理技術者に連絡する必要を認識していたが、目視調査と写真撮影であることから、危険性はないと判断し、連絡しなかった。

②防護板を外して点検したときは、終了時に必ず再取付をする。④キュービクル内が危険であることを周知するとともに、鍵を使用するときは必ず電気管理技術者に連絡するよう周知する。

事例3(その他の事故)3-5.感電・アーク等による死傷事故

※「事故原因」及び「再発防止対策」欄の後掲の「再発防止対策6項目」に対応。

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3-5.感電・アーク等による死傷事故

事例3(その他の事故)

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① 点検又は工事に必要な停電時間は十分か。・ 大限、充電部近接作業が生じないような十分な停電時間をとった上での作業計画と実施。

② 設備側の安全対策は万全か。・断路器と遮断器のインターロック、又は充電表示器の設置。人が触れる恐れのある充電部の防護対策(アクリル板カバー等)。

・停電部と充電部に物理的隔壁、または、充電範囲を示す注意標識、作業区域図と充電範囲の掲示。

③ 作業者側の安全対策は万全か。・電気用ヘルメット、電気用長安全靴等の絶縁用保護具の着用。絶縁防具、リストアラーム等の使用着用。高所作業は安全帯の使用。

・作業前の確実な検電の実施等。

④ 設備管理、作業管理は万全か。・電気室の鍵の管理。

・事前打合せによる作業者全員の作業内容の理解。作業者相互間の綿密な連絡・連携の方法と手段の確保。

・充電部近接作業時の単独作業の禁止。予定外作業の禁止、不測の事態発生時の対応方法の周知。

⑤ マニュアル類は万全か。・作業マニュアル、手順書、チェックリスト等により安全確保が図れるようになっている。

・分かりやすいマニュアル類となっている。

⑥ 安全教育・訓練が行われ、安全意識が浸透しているか。・作業者の安全防具の着用、検電の実施、予定外作業の禁止、など、作業安全が身に付いているか

・点検マニュアル・手順書による訓練が行われ作業の理解が行きとどいているか。

・事故時の対応についてマニュアル・手順書等が作成され、これを元に教育・訓練がされており、かつマニュアル・手順書等の有効性についても検証されているか。

電気関係報告規則により報告された感電・アーク等による死傷事故の再発防止対策を次の6項目に整理しました。点検又は工事にあたり事前に6項目の確認を行い、感電・アーク等による死傷事故防止に努めて下さい。

3-5.感電・アーク等による死傷事故

感電・アーク等による死傷事故防止対策

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ヒューマンエラーを要因とするものが多くを占めています。ヒューマンエラーを防止するための12のステップを整理しましたので、安全作業の向上や安全教育に活用し、人身事故防止を徹底して下さい。(河野龍太郎先生の講演を参考に作成)

① 知る(例)なぜ危険か理解する。感電とは何か、アークとは何か。危険の原理を知る。

② やめる(なくす)(例)危険そのものの行為をやめる。停電し工事や点検を行い感電する危険をなくす。

③ できないようにする(例)遮断器と断路器のインターロック。スイッチに誤操作防止用カバーの取り付け。

④ 分かりやすくする(例)電気室の点検作業時等に充電表示器を使用する。充電範囲にフェンスや標識を設置。

⑤ やりやすくする(例)点検スペースの確保。しっかりした足場、適切な照度の確保。

⑥ 知覚能力を持たせる(例)視力・聴力などの身体能力チェック。ベストの身体状態の維持。深酒、睡眠不足はしない。

⑦ 認知。危険の予測をさせる。(例)事故事例の収集・共有しデータベースを整備。TBM-KYの励行。

⑧ 安全を優先させる(例)「安全第一」という企業トップからのメッセージ。安全上できないことは「できない」という。

⑨ できる能力を持たせる(例)知識・技能の修得・維持のための教育訓練プログラム。身体能力・知識・技能チェック。

⑩ 自分で気づかせる(例)安全防具等の着装チェック。指差呼称の励行。チェックリスト(暗記しない)による検出。

⑪ 検出する(例)継電器の事故診断機能。配線ミスのないように配線を色別する。

⑫ 備える(例)感電を予測して、人工呼吸、速やかな医療機関への搬送等、緊急体制の構築。保険。

3-5.感電・アーク等による死傷事故

ヒューマンエラー防止の12のステップ

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(参考)電気事故アンケート調査結果について

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平成23年度に電気事故報告を行った設置者に対しアンケート調査を実施しました。昨年度に発生した波及事故110件のうち65件の設置者から回答を頂きました。アンケート結果及び主な意見を紹介します。※項目によっては未回答もあります。

Q1.電気事故後に保安に対する意識の変化はありましたか?保安に対して意識するようになった 58件(89%)特に変化はない 4件(6%)その他 3件(5%)

事故後、多くの方が保安に対して意識するようになりました。

Q2.事故後、対策をしておけばよかったと後悔した事はありますか?はい 42件(65%)

・避雷器を設置しておけば良かった。・自身の電気設備に対して過信があった。・PAS、UGSを設置しておけば良かった。・点検記録の所見をきちんとフォローしておけば良かった。・主任技術者と十分に意思疎通を図っておくべきだった。・主任技術者からの指摘事項に対してもっと早く対応すべきだった。・主任技術者から波及事故防止対策を施すよう何度も言われていたが、対策をとらなかった。・高圧ケーブルの取替について、定期点検で指摘された時点で、速やかに改修すべきだった。・点検の指摘事項について、本社も交えきちんと対応すべきだった。・高圧設備について計画的に更新を行い、耐久年数以内にしておくべきだった。・PASを投入する際に主任技術者に連絡をすべきだった。・掘削工事を行う際、事前に埋設管に位置等についてきちんと打合せを行い事前確認を行うべきだった。・不測の事態に供えた対応策をきちんと協議しておくべきだった。・緊急時の連絡体制が不十分だった。・近隣住民に迷惑をかけて申し訳ないと思う。いいえ 20件(31%)

機器の取付、更新の話があった場合は計画的に設備改善を行って下さい。

(参考)電気事故アンケート調査結果について

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Q3.事故後に改善した事はありますか?

はい 51件(78%)

・主任技術者と連携を密に取るようにした。

・掘削工事に際して、関係者間において、事前に打合せ等を密に行うようにした。

・設備の操作手順書の見直し及び操作キーの管理運用システムの構築を行った。

・避雷器を設置した。

・小動物侵入対策を実施した。

・VT、LA内蔵型PASを設置した。

・緊急時のマニュアルや連絡体制を見直した。

・高圧引き込みケーブルをE-Eタイプに更新した。

・高圧受変電設備を全て改修した。

・緊急時における各電気設備の使用方法の確認を行った。

・事故について他事業所に水平展開を行うとともに会社内にて勉強会を開催して再発防止を図った。

・キュービクルに主任技術者の緊急電話番号を表示した。

・高圧設備の管理台帳を作成した。

・他事業所も含め、老朽化した電気設備の更新行った。

・事故を契機に主任技術者の重要性を認識した。今後は定期点検等の指摘事項に対して真摯に対応するようにする。

いいえ 11件(17%)

事故により、突然停電となり、出費を要することになります。できるだけ、計画的に設備改修を行って下さい。

(参考)電気事故アンケート調査結果について

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Q4.事故が発生する以前に、事故の予知は可能でしたか?

はい 8件(12%)

・定期点検で指摘を受けていたため、設備不良箇所についての認識はあった。・定期点検で設備更新を推奨されていたため、予知は可能だった。・定期点検結果について主任技術者の指導に対して素直に従うべきだった。・主任技術者の適切な判断指示があれば予知は可能と考える。・ネズミの侵入対策について、点検時に防護柵を施したが、絶対と言うのは難しいので、不安はありました。・キュービクル天井のスリットに対して小動物侵入の可能性について管理技術者から言われていた。

いいえ 55件(85%)

・年次点検のケーブルの絶縁抵抗測定値は良好で予知は全く不可能でした。

設備の不良は停電・感電事故の原因になる可能性があります。放置せず、まずは設備改修の検討を行って下さい。また、掘削工事を行う場合は主任技術者に相談して下さい。

Q5.事故発生時の緊急連絡体制は有効でしたか?

はい 54件(83%) いいえ 8件(12%)

・緊急連絡体制が確立されていなかった。

・保安規程の内容を理解していなかったため、主任技術者への連絡が遅れた。・緊急時においては、自分で勝手に判断せずすぐに主任技術者に連絡するように指導されていたのにしなかった。・時間外、特に深夜帯の連絡網が構築されていなかった。・保安法人に夜間緊急連絡先を伝えていなかった。

速やかな連絡が停電時間を短くします。定期的な緊急連絡先の見直しを行って下さい。

(参考)電気事故アンケート調査結果について

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Q6.事故後、類似の事故を防ぐために行った行動・工夫・変化はありますか?はい 39件(66%)

・UGSの操作禁止札を貼り付け、誤操作を防ぐようにした。・PAS、UGSを設置した。・高圧ケーブルの点検を強化するようになった。・他事業所も含め、PASの設置状況を調査して未設置事業所についてはPASを設置する。・管理技術者や工事会社のデータを確認するだけでなく、コミュニケーションを密にするようにした。・他事業所も含め、社内で避雷器の設置について予算化を図る。・雷情報について注意するようになった。・事故事例について、他事業所に水平展開を行った。・老朽化した電気設備に対して計画的に早期改修を計画している。・ケーブルの地中埋設箇所に表示を施した。・定期点検の結果について、設置者側としても詳細に現況等を確認することにした。・他事業所に対して、波及事故防止策の調査、検討を要請した。・緊急時の連絡体制を再検討した。・保安規程を遵守するとともに、設備更新等については今後早め早めの対応を心がけたい。・各電気設備の設置経過年数を調査し、更新を順次行っている。・主任技術者の指摘事項を一覧表にまとめ、緊急性の高いものから優先順位づけをし、電気工事店に回収依頼した。・営繕担当に受電設備の改善すべき箇所の一覧表の作成を指示して、順次改善することとした。・社内で連絡体制の見直しを行うとともに、緊急時に主任技術者へ連絡を行うよう徹底する。・定期点検の報告書の内容を十分に確認するようになった。・小動物の侵入防止対策を実施。・キュービクルの鍵の管理徹底するようにする。

いいえ 20件(31%)

大半の方が事故後に様々な防止対策を行っています。日頃の対策で、事故を未然に防ぎましょう。

(参考)電気事故アンケート調査結果について

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Q7.事故後、会社の操業に影響はありましたか?はい 23件(35%)

・電気の復旧に半日を要したため、テナント業務に支障が生じた。

・操業停止により自社製品の納期が遅延した。

・停電の影響で保冷商品を処理せざるを得なくなった。

・当日の業務が停止した。

・3日間に亘り、場内機械、倉庫が使用できなかったため休業した。

・当社ビルの電話交換機に影響が出た。

・近隣ビルの冷蔵庫、パソコンサーバーに影響を与えてしまった。

・電気機器の一部が故障してしまった。

・停電したため、営業ができなかた。

・施設の営業が中止になった。

・停電普及に半日以上要し、その間の全業務が停止した。

・近隣への謝罪、クレーム対応、補償に追われた。

いいえ 38件(58%)

波及事故により平均650軒が108分(平成23年度)が停電となります。近隣への停電は事故箇所を切り離すことにより解消しますが、自らの設備は改修工事が必要となるケースがほとんどであり停電時間に長時間を要します。会社操業停止のリスクを軽減するため計画的に設備更新をして下さい。

(参考)電気事故アンケート調査結果について

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Q8.事故に関して間接的なものも含めて損害額を教えてください。

500万円以上 1件500万円未満~300万円以上 3件

300万円未満~100万円以上 27件100万円未満 19件

設備の改修内容によって費用は異なりますが、仮設ケーブルのレンタル費用・緊急工事の費用等により、通常よりも費用が高くなります。

Q9.事故に関する近隣・外部からの苦情等はありましたか?はい 13件(20%)

・停電の影響で近隣宅で使用していたパソコン等が故障した。・停電の間、近隣店舗の営業できなくなった。・停電の影響により近隣宅のビデオデッキが壊れた。・停電の影響によりパソコン作業ができなくなった。・近隣の他ビルより損が賠償請求あり。・近隣のスーパーの売り上げがダウンしたため、当初は金銭的な請求を求められたが、示談成立。・事故当時、近隣で営業中の店舗があり、それらのインターネット関連の機械が壊れたので。賠償を求められた。

いいえ 47件(72%)近隣を停電させてしまった場合に様々な苦情が寄せられます。波及事故の被害者の操業停止費用が1千万円を超える事例もあります。病院・交通機関を停電させてしまった場合は人命に関わる可能性もあります。

(参考)電気事故アンケート調査結果について

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Q10.今回の事故に関して意見・感想等がありましたらお聞かせ下さい。• 主任技術者の指摘事項を直ちに改修することにより、電気事故防止に繋がることがわかりました。

• 地域周辺の皆様、関係各位に多大なご迷惑をお掛けし、今後同様の事故が発生しないように防止対策を図りたい。

• 電気事故の恐さと法の整備が遅れているのでは。部品の耐久性及び検査方法に問題があるのではないでしょうか。

• 波及事故を起こしてしまったが、人災が無かったのが不幸中の幸いでした。今後は、他社の事故事例等を勉強し、設備の安全強化につなげていきます。

• 定期点検実施後1ヶ月も経たず、製品自体も2005年2月製造のものであったので正直驚いています。メーカーの原因分析に期待しています。

• 近隣住民に迷惑をかけたことを深く反省しております。

• 天災で仕方ない部分もあるが防災の意識が少し甘かった。

• 今後、同様の事故が発生しないように設備面および緊急連絡体制等の対策について努めていかなければならないと改めて感じた。

• 落雷事故の重大さを痛感しました。

• 電気設備には寿命があることがよくわかりました。

• 主任技術者の能力を評価する方法があれば知りたい。

• 同じ事故を起こさぬよう設備改修に努める。

• 設備の予防保全的な考え方について意識するようになった。

• 波及事故についての予知が難しいと感じた。

• 機器が老朽化していなくても、今回のような事故が起こることがあるので、今後注意していきたい。

• 今回の事故により多くの方々にご迷惑をお掛けした事を深く反省し、今後はこのようなことがないように対策をとり工事を発注していきたいと考えます。

• 災害等が関連する事故対策は難しいと思われるが、今回の経験により改めて電気設備を見直すいい機会となりました。今後も主任技術者と連携を蜜にして古い設備を早めに交換するなど、より安全な電機設備の保守に努めていきたいと思います。

• 保安法人の方が復旧に協力して頂き素早い対応で助かりました。

(参考)電気事故アンケート調査結果について

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第4章 自家用電気工作物(関東地域)の平成23年度立入検査

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4-1 立入検査の検査項目

• 電気主任技術者の執務状況

• 保安規程の遵守状況

• 技術基準への適合状況

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4-2 立入検査対象(平成23年度)

電気事故の報告があった事業場

経年劣化のおそれがある電気工作物を有する事業場

社会的に影響が大きいと認められる電気工作物を有する事業場

その他保安の確保が適切でないおそれのある事業場

(合計19事業場に対して実施)

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4-3 電気主任技術者の執務状況

• 執務が不十分なもの・該当無し

• 主任技術者の変更を要するもの・該当無し

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4-4 保安規程の遵守状況

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選任形態

不良事項

専任

兼任兼務

許可

外部委託

統括

その他

合計

電気工作物の保守状況不良 1 1

図面等の整備不良 1 1

合計 1 0 0 1 2

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4-5 電気工作物の施設状況

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選任形態

件数区分

専任

兼任兼務

許可

外部委託

統括

その他

合計

指摘事項なし 1 10 11

要改善事項1~2件 1 7 8

合計 2 17 19

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4-6 主な不良事項

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不良事項及び検討事項電技条数

(電技解釈条数)件数

受変電設備

高圧受配電設備の出入口に立入禁止の表示がない23

(38)1

接地工事施工方法が不適切11

(17~19)1

通気孔、ケーブル貫通部等から小動物侵入の可能性あり 基準外 1

不良事項及び検討事項電技条数

(電技解釈条数)件数

負荷設備

電路の絶縁抵抗値が基準値を満たしていない5,58

(14、15)4

低圧屋内配線にビニルコードを使用56,57(146)

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4-7 まとめ

• 平成23年度は、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、例年より実施件数が大幅に少なくなった。

• 19の事業場に立入検査を行った結果、指摘事項がなかった事業場は11事業場であり、残りの8事業場については、以下の指摘事項があった。

1)電気主任技術者の執務状況

自家用電気工作物設置者は、自らの電気工作物の保安を確保するため電気主任技術者を選任し、選任された電気主任技術者は電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督を職務として行うこととなっている。立入検査の結果、主任技術者の執務が不十分と認められたものは無かった。

2)保安規程の遵守状況

保安規程は、自家用電気工作物設置者が電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するために自ら作成するもので、これを遵守することは、自主保安体制を確立する上で大変重要なものである。立入検査の結果、保安規程を遵守していなかった事業場は2事業場あった。

3)電気工作物の施設状況

電気工作物の施設状況について、電気設備の技術基準に適合していると認められない事項や保安上改善等の検討が必要な事項があった事業場は8事業場あった。

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第5章 自家用電気工作物における不適切な事例

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保安管理業務に係る年次点検の未実施について

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電気保安法人が電気事業法施行規則第52条第2項の規定に基づき保安管理業務を受託する事業場の一部において、保安規程及び委託契約に基づく年次点検が未実施であることを確認したため、以下の対応を行いました。

当該電気保安法人に対して・部長名による注意文書の発出・設置者と調整の上、速やかに年次点検を実施するとともに再発防止のための更なる取

組を要請

他の電気保安法人及び電気管理技術者に対して年次点検を適切に行っているか確認を行うとともに未実施の事業場があった場合に

は速やかに実施するよう当部ホームページで注意喚起

年次点検の未実施は、設置者にあっては保安規程遵守義務違反(電気事業法第42条第1項)に、受託者である電気保安法人・電気管理技術者にあっては職務誠実義務違反(電気事業法施行規則第53条第3項)に該当するものであり、年次点検が実施されない場合は、同規則第53条第5項の規定により、外部委託承認の取消しがあり得ることをご認識ください。

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保安管理業務の不履行について

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電気保安法人が受託している複数の事業場において、保安業務担当者が保安規程及び委託契約に基づく月次点検、年次点検を長期間、行っていなかったにもかかわらず、当該保安業務担当者が点検を実施したものと当該電気保安法人に偽って報告していたことを確認したため、以下の対応を行いました。

当該電気保安法人に対して部長名による厳重注意文書の発出

当該保安業務担当者に対して電気事業法第44条第4項の規定に基づく電気主任技術者免状の返納命令の発動

当該設置者に対して今後、点検の記録等について確認するよう口頭により注意

保安規程及び委託契約に基づく月次点検、年次点検の未実施は、受託者である電気保安法人・電気管理技術者にあっては職務誠実義務違反(電気事業法施行規則第53条第3項)に該当するものであり、同規則第53条第5項の規定により、外部委託承認の取消しが、また、保安業務従事者・電気管理技術者にあっては、電気事業法第44条第4項の規定により免状返納命令があり得ることをご認識ください。

なお、設置者にあっては保安規程遵守義務違反(電気事業法第42条第1項)に該当することをご認識ください。

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主任技術者の不適切な選任について

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管理会社が保安の監督に係る業務を受託している複数の事業場 (「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」 1.(1)② の規定により受託者の従業員を主任技術者として選任している事業場) において、主任技術者を当該事業場に常時勤務させておらず、主任技

術者を月1~2回程度当該事業場に赴かせ主任技術者としての職務を行わせていたことを確認したため、以下の対応を行いました。

当該管理会社に対して部長名による厳重注意文書の発出

当該設置者に対して口頭による注意

保安の監督に係る業務を委託し、受託者から主任技術者を選任している場合であっても、設置者は、自らが自己責任のもとに電気の保安を確保する義務があります。

上記のような主任技術者の不適切な選任は、設置者にあっては主任技術者選任義務違反(電気事業法第43条第1項)に該当することをご認識ください。

また、主任技術者にあっては、保安の監督の職務を誠実に行っていない場合、電気事業法第44条第4項の規定により免状返納命令があり得ることをご認識ください。

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第6章 その他

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平成24年9月19日より原子力発電工作物に関する安全規制が経済産業省と原子力規制委員会の共管となったこと、原子力安全・保安院の一部が商務流通保安グループに組織替えされること、また、PCB特別措置法における運用との整合性を図るなど、実効的な制度の運用を一層図る観点から、「ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を使用する電気工作物の使用及び廃止の状況の把握並びに適正な管理に関する標準実施要領(内規)」」が改正されました。

主な改正点としては、従前では家電製品に組み込まれたPCB機器、蛍光灯安定器絶縁油については、本報告制度の対象外でしたが、本改正ではポリ塩化ビフェニルの量が試料1kgにつき0.5mg以下である絶縁油を使用する電気工作物についても報告の対象外となりました。その他、詳細については、当部ホームページをご確認下さい。

6-1 PCB届出制度

(1)使用中及び廃止時に係るPCB含有電気工作物の届出制度使用及び廃止の状況を、経済産業省が所管します。関東東北産業保安監督部の関係ホームページ

http://www.safety-kanto.meti.go.jp/denki/pcb/20040706index.htm(2)廃止後のPCB含有電気工作物の取扱い

保管及び処分(収集運搬)は、環境省が所管します。環境省の関係ホームページ

http://www.env.go.jp/recycle/poly/index.html

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平成24年6月29日、経済産業省は、太陽電池発電設備に施設するケーブルの規定

や電気自動車から住宅等への電力供給の規定等につき、「電気設備の技術基準の解

釈」の改正を行いました。

経済産業省の関係ホームページhttp://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2012/06/240629-1.html

6-2 電気設備の技術基準に関する改正について

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平成24年3月30日、経済産業省は「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の改正

を行いました。

主な変更点は、従来は派遣社員や業務委託契約による主任技術者の選任を電気主任

技術者のみ認められていましたが、今回の改正によりダム水路主任技術者及びボイ

ラー・タービン主任技術者についても認められることになりました。

また、主任技術者の兼任についても、従来は親子関係にある会社間での兼任は電気

主任技術者のみ認められていましたが、今回の改正によりダム水路主任技術者及びボ

イラー・タービン主任技術者についても認められることになりました。

経済産業省の関係ホームページhttp://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2012/04/240402-1.html

6-3 「主任技術者制度の解釈及び運用(内規)」の改正について

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平成24年11月30日、経済産業省は、「電気事業法施行規則第73条の4に定める使用前自主検査の方法の解釈」の改正を行いました。

今回の改正は、「電力設備に関する技術基準を定める省令」に電力設備から発生する磁界に関する規制を導入したことに伴い、本解釈の6.変電所及び7.送電線路について、磁束密度測定の検査項目を追加するものです。

経済産業省の関係ホームページhttp://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2012/11/241130-3.html

6-4 電気事業法施行規則「第73条の4の解釈」の改正について

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(1)太陽電池発電設備に関する改正

平成24年6月29日、経済産業省は、太陽電池発電設備に係る工事計画の届出等対

象範囲について、「出力五百キロワット以上」から「出力二千キロワット以上」とする規制

緩和を行うため、「電気事業法施行規則」の改正を行いました。

経済産業省の関係ホームページhttp://www.meti.go.jp/policy/safety_security/industrial_safety/oshirase/2012/06/240629-3.html

6-5 発電設備関係の主な改正情報(平成24年末現在)

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6-6 電気保安功労者表彰制度

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表彰年度 工場等電気工事業者

の営業所主任技術者 電気工事士 永年勤続者

平成18年度 - 1 8 5 7

平成19年度 - 1 8 5 5

平成20年度 1 4 9 4 6

平成21年度 1 1 8 6 5

平成22年度 2 1 12 8 3

平成23年度 1 3 12 8 6

平成24年度 - 3 8 8 6

経済産業省関東東北産業保安監督部は、電気保安において永年にわたり保安の確保に努め、その功績が極めて顕著である事業者、個人に対する関東東北産業保安監督部長表彰式を実施しております。本表彰は、電気保安業務に携わっている者の保安意識の高揚を図り、電気保安のより一層の推進を図ることを目的として実施するものです。なお、本表彰については、従前は原子力安全保安院長表彰として実施しておりましたが、組織改編に伴い、平成24年度からは、関東東北産業保安監督部長表彰として実施しております。

<過去の表彰者数>

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ご清聴ありがとうございました。

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関東東北産業保安監督部電 力 安 全 課