新調理システムにおける品質と衛生管理に ついて58 連載講座...

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58 連載講座 エレクトロヒート 厨房の衛生管理 連載講座 第6回 はじめに 日本では、HACCP 概念に則った衛生管理手法を導 入しているとの言葉が良く聞かれますが、具体的な衛 生管理システムが明確にされていません。 今まで、日本に紹介されている、HACCP システム は、食品メーカーなどの大型食品工場での衛生管理シ ステムであり、リテールレベルの弁当工場・病院・老 人ホーム・ホテル・学校給食・社員食堂・スーパーマー ケット・家から出られない人のための給食サービス・ レストラン(チェーン店、ファーストフード、又はフ ランスレストランのようにフルサービスをする施設) 等の施設では、HACCP の衛生管理システムは、導入 しにくいのが現状であり、HACCP 概念に則った衛生 管理システムを導入しているなどと言う言葉がつかわ れていた。 今回英国より「より安全な食品より良いビジネス (SFBB)」と言われるより具体的な衛生管理システム で HACCP(危害分析必須管理点)原則に基づいてい るが、この中では「HACCP」や「ハザード(危害要因)」 の言葉は使われていない(専門用語はすべて避けた) ものが翻訳され、日本に紹介された。リテールレベル の施設で、簡単で具体的な衛生管理システム導入がで きる。「より安全な食品より良いビジネス(SFBB)」 について紹介する。 より安全な食品より良いビジネス(SFBB) SFBB は、どんな小売ビジネスにおいても 4 つの主 要な潜在的危険をコントロールすることに集中され、 使いやすいものです。これらは、4 つの C と M と D からなる。 ◆ Cross-contamination(交差汚染) ◆ Cleaning(クリーニング) ◆ Chilling(冷却) ◆ Cooking(クッキング) ◆Management(マネジメント(管理)) ◆ Diary(日誌) M と D はシステムをモニターし、記録し、その方 法を詳述する食品の安全の管理に関するセクション である。これは、どんな小売ビジネスにでも合うよ うに設計されている。 HACCPに代わるSFBBのうちChilling(冷却)の「解 凍」と、Diary(日誌)を例に説明する。 SFBB の安全手法パックのご紹介 「ケータリング業者向け『より安全な食品、より良 いビジネス』」へようこそ このパックは誰のため? このパックはレストラン、カフェおよびテイクア ウェー(持帰り)店などの小規模の事業用です。 実用的で使いやすいことを目標にして、ケータリン グ業界の協力のもと、(英国)食品基準庁(FSA)に より作成されました。 法規を守るために、このパックはどのように支援して くれるのですか? 2006 年 1 月に導入された法規は、喫食に安全な食 品の販売のためにはすべての作業が安全に実施されて いることを示し、また、これらが文書化されなければ ならない、と定めている。 このパックは、HACCP(危害分析必須管理点)原 新調理システムにおける品質と衛生管理に ついて ~より安全な食品より良いビジネス(SFBB)のご紹介~(最終回) 加 藤 和 悦  (かとう かずえつ)有限会社カエツカンパニー 取締役社長 現在は厨房環境の変化が著しい時代である。厨房機器の変化、調理システムの変化、これらの変化に 対応するためには、ソフトが必要であるが、ハードが先行し、ソフトはついていってないのが現状である。 今回は、新調理システムのソフトの部分を取り上げ、品質と衛生管理についてシリーズで詳しく説明する。

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Page 1: 新調理システムにおける品質と衛生管理に ついて58 連載講座 エレクトロヒート 連載講座 厨房の衛生管理 第6回 はじめに 日本では、HACCP概念に則った衛生管理手法を導

58 連載講座 エレクトロヒート

厨房の衛生管理連載講座 第 6回

はじめに

 日本では、HACCP 概念に則った衛生管理手法を導入しているとの言葉が良く聞かれますが、具体的な衛生管理システムが明確にされていません。 今まで、日本に紹介されている、HACCP システムは、食品メーカーなどの大型食品工場での衛生管理システムであり、リテールレベルの弁当工場・病院・老人ホーム・ホテル・学校給食・社員食堂・スーパーマーケット・家から出られない人のための給食サービス・レストラン(チェーン店、ファーストフード、又はフランスレストランのようにフルサービスをする施設)等の施設では、HACCP の衛生管理システムは、導入しにくいのが現状であり、HACCP 概念に則った衛生管理システムを導入しているなどと言う言葉がつかわれていた。 今回英国より「より安全な食品より良いビジネス(SFBB)」と言われるより具体的な衛生管理システムでHACCP(危害分析必須管理点)原則に基づいているが、この中では「HACCP」や「ハザード(危害要因)」の言葉は使われていない(専門用語はすべて避けた)ものが翻訳され、日本に紹介された。リテールレベルの施設で、簡単で具体的な衛生管理システム導入ができる。「より安全な食品より良いビジネス(SFBB)」について紹介する。

より安全な食品より良いビジネス(SFBB)

 SFBBは、どんな小売ビジネスにおいても 4つの主

要な潜在的危険をコントロールすることに集中され、使いやすいものです。これらは、4つの CとMと Dからなる。 ◆Cross-contamination(交差汚染) ◆Cleaning(クリーニング) ◆Chilling(冷却) ◆Cooking(クッキング) ◆Management(マネジメント(管理)) ◆Diary(日誌)・�Mと Dはシステムをモニターし、記録し、その方法を詳述する食品の安全の管理に関するセクションである。これは、どんな小売ビジネスにでも合うように設計されている。 HACCPに代わるSFBBのうちChilling(冷却)の「解凍」と、Diary(日誌)を例に説明する。SFBBの安全手法パックのご紹介 「ケータリング業者向け『より安全な食品、より良いビジネス』」へようこそこのパックは誰のため? このパックはレストラン、カフェおよびテイクアウェー(持帰り)店などの小規模の事業用です。 実用的で使いやすいことを目標にして、ケータリング業界の協力のもと、(英国)食品基準庁(FSA)により作成されました。法規を守るために、このパックはどのように支援してくれるのですか? 2006 年 1 月に導入された法規は、喫食に安全な食品の販売のためにはすべての作業が安全に実施されていることを示し、また、これらが文書化されなければならない、と定めている。 このパックは、HACCP(危害分析必須管理点)原

新調理システムにおける品質と衛生管理について~より安全な食品より良いビジネス(SFBB)のご紹介~(最終回)加 藤 和 悦 (かとう かずえつ)有限会社カエツカンパニー 取締役社長

 現在は厨房環境の変化が著しい時代である。厨房機器の変化、調理システムの変化、これらの変化に対応するためには、ソフトが必要であるが、ハードが先行し、ソフトはついていってないのが現状である。今回は、新調理システムのソフトの部分を取り上げ、品質と衛生管理についてシリーズで詳しく説明する。