豆乳を原料とした植物性クリームの...

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豆乳を原料とした植物性クリームの 社会実装 太子食品工業株式会社 革新的技術創造促進事業<事業化促進> 平成2728年度

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Page 1: 豆乳を原料とした植物性クリームの 社会実装...豆乳エマルションの粒子径制御法の検討 豆乳 遠心分離 従来法: 浮上画分として クリームが得られる

豆乳を原料とした植物性クリームの社会実装

太子食品工業株式会社

革新的技術創造促進事業<事業化促進>平成27~28年度

Page 2: 豆乳を原料とした植物性クリームの 社会実装...豆乳エマルションの粒子径制御法の検討 豆乳 遠心分離 従来法: 浮上画分として クリームが得られる

目次

1. 研究開発の背景

2. シーズ状況

3. 事業化への課題と成果(抜粋)

4. 普及のための取り組み

5. その他:成果発表等

2/18

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研究開発の背景

宮城県の大豆作付面積(H27)

11,100 ha (全国第2位)代表的品種

「ミヤギシロメ」

被災地の大豆を被災地で加工して被災した食料基地の再生を牽引する

研究開発の背景 3/18

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品質向上コスト削減

沈降分離豆乳クリームの開発復興庁・農林水産省・食料生産地域再生のための先端技術展開事業

被災地における農産物加工技術の実証研究(平成24-26年度)

製品優位性の付与開発

植物性クリームの社会実装

豆乳製品新市場の創出

事業化の壁

3/17研究開発の背景 4/18

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0

1

2

3

4

5

5.5 5.7 5.9 6.1 6.3 6.5 6.7

pH

粘稠

性係

数 μ

[P

a・sn

]0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

流動

性指

数 n

豆乳の脂質含有凝集物を沈降分離する技術

「平成24-26年度 復興庁・農林水産省 食料生産地域再生のための先端技術展開事業」の成果特許第5970029号

脂質が安定なエマルションを形成

している豆乳をpH調整で不安定化

することにより、工業用遠心分離機

で沈降画分に大部分の脂質を凝

集物として分離、回収できた。豆乳

のpHが低下するに従い粘性係数

が上昇したことから、豆乳中での凝

集体の生成を粘性係数のモニタリ

ングで把握できることがわかった。

凝集体生成

シーズ状況 5/18

流動曲線の解析には、Herschel-Bulkleyの式 を用いた。ここで、τ はずり応力、τ0は降伏値、μは粘稠性係数、γ はずり速度、nは流動性指数である。

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豆乳エマルションの粒子径制御法の検討

豆乳

遠心分離

従来法:浮上画分として

クリームが得られる

しかし、従来法は研究用

実験設備では実現できるが実機では不可能。

工業用遠心分離機で豆乳クリームを製造を可能にする粒子径制御法が見出された

豆乳クリーム

シーズ状況 6/18

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0

2

4

6

5.6 5.8 6.0 6.2 6.4 6.6 6.8pH

粘稠

性係

数 μ

[ P

a・sn

]

7

分散質:オレオシン被覆オイルボディ

分散媒:タンパク質粒子が分散したタンパク質溶液

豆乳コロイド分散系

オイルボディ

アスコルビン酸添加豆乳コロイドの粘性挙動

事業化への課題と成果 7/18

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拡張Krieger-Dougherty式

ηd : 豆乳の見かけ粘度 / pH調整前見かけ粘度

C :水素イオン濃度 [ M ]

・pHの低下(水素イオン濃度上昇)に伴い、種々のタンパク質の

荷電状態が変わり、かさ高い凝集体が生成

・高pH領域では、凝集体のかさ高さが

水素イオン濃度に比例すると仮定し、KD式を拡張

hc : 凝集体のかさ高さ

Kc : 巨大凝集体の充填状態

・・・高pH領域

・・・低pH領域

ηd =1+2.5・hc・Cηd =(1-Kc・hc・C)^(-2.5/Kc)

8

事業化への課題と成果 8/18

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豆乳(25℃)pH6.7前後

pH調整豆乳pH5.6~6.2

010

2030

4050

5.5 6 6.5 7pH

見か

け粘

度 [

mPa

・s ]

pH調整剤

パラメータ hc、Kcを算出

- 豆乳6種類

- pH調整剤:乳酸、リンゴ酸、塩酸、アスコルビン酸、クエン酸、フィチン酸 9

0

2

4

6

8

10

0 5 10 15 20 25

hydrogen ion concentration [ ×107 mol/L ]

ηr見

かけ

粘度

/pH

調整

前粘

水素イオン濃度 [ ×107 M ]

◆:実測値ー:予測値

粘度測定(コーンプレート型粘度計

せん断速度191.5 s-1 )

事業化への課題と成果 9/18

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y = 714.15 x-1.06

R2 = 0.97

05

1015202530

0 100 200 300

hc [ ×103 M-1 ]

Kc

10

pH低下による凝集形成系におけるパラメータhcとKcの関係

● hcとKcで負の相関関係が認められた。

● pH調整剤の種類によらず、同一の曲線上にプロットされた。

得られた相関関係から、hcが分かれば

凝固過程が予測できる。

事業化への課題と成果 10/18

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他製品との差異の明確化

問題点一般への認知度が低い

風味と物性を活かした用途開発が不充分

前年度取組み:川下業者・一般消費者聞き取りより

豆乳クリームのメリット

豆乳風味つけ易い

アレルゲンフリー素材

すっきりした風味

しっとりなめらか食感に

ヘルシーイメージ向上

13/17事業化への課題と成果 11/18

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乳製品

アイスクリーム

ソフトクリーム

普通牛乳

生乳

脱脂乳

ホイップ生クリーム

チェダーチーズ

生クリーム

有塩バター

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

0.0 20.0 40.0 60.0 80.0 100.0

脂質含量(%)

固形

分含

量(%

アイスクリーム(高脂肪)

乳製品と豆乳製品のマッピング(固形分含量/脂質含量)

豆乳製品

低脂肪豆乳

酵素処理豆乳クリーム

高脂肪豆乳

絹ごし豆腐

豆乳

充てん豆腐調製豆乳

木綿豆腐

沈降分離豆乳クリーム

豆腐よう湯葉

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

30.0

35.0

40.0

45.0

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0脂質含量(%)

固形

分含

量(%

)「豆乳加工製品」というジャンルが確立しつつある

12/18

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普及のための取り組み

提案先:お菓子の家 A社様(青森県八戸市)使用例:チーズケーキメリット:豆乳風味が強い

13/18

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提案先:B社様(宮城県名取市)使用例:かまぼこメリット:宮城県産素材、分散性がよい、色がよい

普及のための取り組み 14/18

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普及のための取り組み

提案先:富谷市(平成28年10月10日 市制施行)使用例:豆乳スイーツメリット:ご当地スイーツとしてのアピール

試作品を持ち寄っての情報交換会

15/18

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普及のための取り組み

平成28年11月12、13日とみや国際スイーツ博覧会(初開催)来場者:29,600人(2日間)

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新規販路開拓に向けて

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濃厚感やヘルシーなイメージを押し出したプレミアム食品素材

乳製品をはじめ卵や小麦の代替となるアレルギー

フリー食品素材

川下業者自社 パティシエ料理研究家

和洋菓子・パン・アイスクリーム・水産・畜産練り製品・麺類・調味製品等

普及のための取り組み 17/18

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1.研究成果発表

2. アウトリーチ

平成28年8月4・5日 日本食品工学会一般講演平成28年8月25・26・27日 日本食品科学工学会一般講演

東北大学 藤井教授のご指導のもと実施した。

17/17

平成28年11月12・13日 とみや国際スイーツ博覧会

その他 18/18

本研究は農研機構生研センター「革新的技術創造促進事業(事業化促進)」の支援を受けて実施された。