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滋賀県竜王町 「地域連携サポートプラン」 平成31年3月 国土交通省 近畿運輸局 近畿運輸局滋賀運輸支局

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Page 1: 滋賀県竜王町 「地域連携サポートプラン」 - MLIT滋賀県竜王町 「地域連携サポートプラン」 提 案 書 平成31年3月 国土交通省 近畿運輸局

滋賀県竜王町 「地域連携サポートプラン」

提 案 書

平 成 31年 3月

国 土 交 通 省

近 畿 運 輸 局

近 畿 運 輸 局 滋 賀 運 輸 支 局

Page 2: 滋賀県竜王町 「地域連携サポートプラン」 - MLIT滋賀県竜王町 「地域連携サポートプラン」 提 案 書 平成31年3月 国土交通省 近畿運輸局

近畿運輸局滋賀県竜王町の概要、公共交通に関する主な取組

町 の 概 要

公共交通等に関する計画及び取組み

人 口:12千世帯数:4,300面 積:44.55㎢

近江八幡駅●

● 野洲駅

篠原駅

● 三雲駅

○竜王町は、滋賀県の東南部湖東平野に位置し、東に雪野山、西に鏡山という2つの山に囲まれており、この山々に竜神が祀られていたことから「竜王山」と呼ばれ、町名の由来になっている。総面積の30%を占める水田からは良質な近江米が生産されており、農業のまちとして知られているほか、畜産関係では近江牛発祥の地として全国的にも高い知名度を誇っている。また、埋蔵文化財や史跡、社寺など、歴史的遺産が豊富に存在するまちとしても名を馳せている。○町の構造としては、32からなる自治区が田畑などを挟み点在しており、中心市街地が未発達な分散ネットワーク型の町となっている。○町内には、名神高速道路竜王ICがあり、ICを核とした交通網整備による工業・商業の活性化に取り組んでおり、ダイハツ工業(株)滋賀工場を始めとする事業所が立地するほか、滋賀竜王工業団地、竜王町山面工業団地への企業立地も進んでいる。また、竜王IC近くには平成22年に「三井アウトレットパーク滋賀竜王」が開業し、年間来場者数は約700万人にのぼる。○人口は、平成7年に13,650人とピークを迎えるが、その後減少傾向となり、平成31年1月に12,101人となっている。高齢者人口は農地部を中心に増加傾向にあり、高齢化率は約27%となっていることから、子育て世代に向けた支援策等積極的に取り組んでいる。

◆基本方針・計画・体制

H16 竜王町公共交通対策協議会 設置

H18 竜王町福祉有償運送運営協議会 設置

H23 第五次竜王町総合計画(平成23年度~平成32年度)

H26 竜王町都市計画マスタープラン(平成24年度~平成32年度)

◆取組み

H4 町内循環バスの運行開始(乗客数の伸び悩みにより平成10年9月末で廃止)

H17 JRバス(近江八幡駅~三雲駅)廃止に伴う代替運行の開始(八幡竜王線)

H24 「竜王町デマンドタクシー」の社会実験

H30 「通学定期利用促進プロジェクト」竜王町公共交通利用促進社会実験事業

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近畿運輸局滋賀県竜王町における公共交通の現状と課題

公共交通を取り巻く現状

課題

〇竜王町は、滋賀県唯一の鉄道駅のない自治体で、近江鉄道㈱の路線バスが計5路線運行しているが、収支状況は厳しく、3路線が国の地域間幹線系統、1路線が市町村の単独補助による路線となっている。〇アウトレット、工業団地等まとまった需要があるため、バスの持続的運営には恵まれた環境。他方、町域は平坦かつ32の小集落が点在しており、役場周辺の拠点地区はあるものの、イオン、総合病院などは近江八幡市内にあるため、町内移動だけに特化した路線定期運行のコミュニティバスの効率的運行には不向きな地勢。〇過去に町内循環バス(H4~10)、デマンドタクシー(H24)の実証運行を行ったが、利用僅少で本格実施に移行できず。デマンドタクシー運行後に検証を行ったが、その後は再度のニーズ調査は行われていない。また、タクシー自体の利用も低調。〇平成30年9月にはコンパクトシティ化検討懇話会を立ち上げ、運輸局もオブザーバー参加。〇路線バス、スクールバス、通学定期券補助、夜間特別タクシー等バス対策に約6,000万円(30年度予算)が投じられており、今後も増加する可能性がある。〇スクールバス(3両)の有効活用について、可能性の検討が求められている。〇5路線ある路線バスは、町内移動を第一とした運行体系ではなく、その情報提供も十分とは言えない。〇「路線バス通学定期利用促進プロジェクト」は、子育て世代の満足度も高く、路線バスの生産性向上施策として、他地域への波及も期待される。〇公共交通に対する役場・住民の意識向上、醸成の余地はある。〇路線バス、タクシーともに乗務員不足が懸案。〇年間約700万人のアウトレット買物客の地元観光への取り込みが課題。〇国宝のある苗村神社をはじめ、道の駅2カ所、温泉施設、農業体験、ハイキングコースなど自然と歴史を満喫できる観光スポットが町域に点在している。

① 竜王町にふさわしい多様なニーズに対応できる移動手段、公共交通のあり方② 公共交通の利便性・生産性向上施策と、利用促進につながる取組の推進③ 観光客の取込みによる賑わい創出

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竜王町バス路線図

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近畿運輸局課題① (滋賀県竜王町)

課題① 竜王町にふさわしい多様なニーズに対応できる移動手段、公共交通のあり方

アクセス情報を充実させることが有効である。

〇竜王町は、滋賀県唯一の鉄道駅のない自治体・最寄駅は、JR琵琶湖線篠原駅(新快速通過駅)だがバスアクセスなし。・近江鉄道㈱の路線バスが近江八幡駅から4路線、野洲駅から1路線運行。(計90往復)

アウトレットへの買物や町内大規模事業所(東洋電機製造等)への通勤が主たる利用。・竜王ダイハツ前までJR草津線三雲駅から湖南市コミュニティバス「めぐるくん」も運行。

⇒JR駅など町外を結ぶバスはある程度整備されているが、地元住民の輸送が主ではない。

〇コンパクトシティ化に向けた政策に取り組んでいるが、通勤・通学をはじめ、イオン等総合スーパー、総合病院などは近江八幡市内にあるので、生活行動が町内で完結しない。〇デマンドタクシー(H24)の実証運行後の事後検証、タクシー事業者へのヒアリング結果は次のとおり。

・デマンドタクシーは1日1.8人程度の利用で、意見聴取では事前予約、利用可能箇所等について意見あり。・タクシーの利用自体が低調(町域発着の運行は1日数回程度。タクシーの利用が非日常的との認識。)

○子育て世帯支援目的に「子育て応援軽自動車購入助成事業」も実施。⇒自家用車での移動が容易で、巡回型路線定期運行やデマンドタクシー等の手段が定着しない。

〇地勢を考えると、まずは路線バスを最大限活用することが現実的だが、町内移動手段として考えた場合、不十分な点がある。

・岡屋線・・・5路線のうち唯一、役場のある拠点地区(フレンドタウン)へ乗り入れているが全便ではない。(日中2時間以上空白の時間帯あり)・八幡アウトレット線・・・拠点地区から約500m離れた地区を通過する路線がある。・美松台、鏡地区から直接拠点地区にアクセスできない(アウトレットで乗換を要する。)・八幡竜王線・・・拠点地区を経由せず(約1.5km離れている)。高齢者定期券(1乗車100円)利用不可。

⇒短期的な対策として路線バスを町内移動手段として有効活用するには改善すべき点が複数ある。

〇デマンドタクシー運行後に検証を行ったが、その後は再度のニーズ調査は行われていない。〇平成30年9月にはコンパクトシティ検討懇話会を立ち上げ、運輸局もオブザーバー参加。⇒手段にとらわれず、住民ニーズの再調査を行った上で、中長期的には、路線バスの集約とそれに合わせた町内移動手段の確保など、コンパクトなまちづくりと連携した交通体系への見直しが求められる。

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「竜王町総合庁舎北口」バス停

竜王町役場・タウンセンターまで約600m、徒歩10分

H24デマンドタクシー実験チラシ

「三井アウトレットパーク」バス停

上屋・ベンチ・風防・ミストあり

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近畿運輸局課題② (滋賀県竜王町)

課題② 利便性・生産性向上施策と、公共交通の利用促進につながる取組の推進

〇路線バス、スクールバス、通学定期券補助、夜間特別タクシー等バス対策に約6,000万円(30年度予算)が投じられており、今後も増加する可能性がある。〇スクールバス(3両)の有効活用について、可能性の検討が求められている。〇5路線ある路線バスは、町内移動を第一とした運行計画ではなく、その情報提供も十分とは言えない。

〇5路線ある路線バスは、町内移動を第一とした運行計画ではなく、その情報提供も十分とは言えない。タクシーも「特別な乗り物」と認識されている傾向がある。

近江八幡野 洲

タウン

センター

竜王

工業団地 ダイハツ

美松台

アウトレット

竜王町路線バス運行系統図

・工場従業員の通勤、アウトレットへの買い物客が主たる旅客層。・5路線のうち、役場付近の拠点(フレンドタウン)へアクセスするのは1路線(岡屋線)の一部便。・例えば公共交通マップがないため、比較的近い位置を運行する他の路線の存在などに気づきにくく、不便と感じる一因となっている。・運賃体系も過去の経緯から路線毎に異なりわかりにくい。⇒経路見直し・情報提供充実等で路線バスを町内移動に有効活用できる余地はある。(同時に住民側の公共交通への意識改善も必要)⇒また、さらなる町内移動充実にはタクシーの活用も考えられるが、実現には、町民にとって気軽な乗り物であるとの意識転換が必要。

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夜間特別便(相乗りタクシー)のりば(近江八幡駅南口)

〇「路線バス通学定期利用促進プロジェクト」は、住民の満足度も高く、路線バスの生産性向上施策として、他地域への波及も期待される。・平成30年度から、近江鉄道㈱、近江タクシー㈱と連携した「竜王町公共交通利用促進社会実験事業」として実証的に開始。・町内在住学生のバス通学定期を役場が半額補助(例:近江八幡~小口(役場付近)通学6ヶ月✕年間2回 20万円⇒10万円補助)・夜間特別便(相乗りタクシー)町内在住通学定期所有者対象

21時・22時発で運行。(路線バス最終はおよそ19~20時台)⇒平成30年度通学定期券購入者が2倍に。相乗りタクシーもほぼ毎日稼働。⇒子育て世代の住民からは高評価(駅との送迎負担、定期代の負担軽減)。⇒路線バスの輸送効率向上にも繋がり、国が求める地域間幹線系統の生産性向上の取組として県の計画にも掲載。

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近畿運輸局課題② (滋賀県竜王町)

課題② 利便性・生産性向上施策と、公共交通の利用促進につながる取組の推進

〇「路線バス通学定期利用促進プロジェクト」は、住民の満足度も高く、路線バスの生産性向上施策として、他地域への波及も期待される。〇公共交通に対する役場・住民の意識向上、醸成の余地はある。

〇公共交通に対する役場・住民・事業所の意識向上、醸成。・町内には大規模事業所が複数立地しているが、役場も一体になって一層の公共交通利用促進を働きかけることも必要。近江鉄道㈱も企業向け2WAY定期券を導入。(平成30年4月末 73枚発売)・子どもの頃から公共交通に親しみ・考える教育を実施(竜王町のまちづくりを考え、行政に提案する「コミュニティデザイン」の授業を実施。平成30年度には竜王西小学校で小学生向けバスの乗り方教室を実施(10/1))。・「コンパクトシティ化構想検討懇話会」には町民WGが設けられ、町民27名が参画。⇒滋賀県はエコ通勤に積極的(エコ通勤優良事業所47事業所)⇒住民が公共交通に対する理解を深める機会を作り、主体的に参加する取組が必要。

竜王西小学校6年生の「コミュニティデザイン」提案”Let’s GO!ドラゴンバス!”

りゅうおうきらりんニュースより

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スクールバス(路線バス貸切)※イメージ

〇スクールバス(3両)の有効活用の可能性の検討が求められている。・町内1小学校、2幼稚園の登下校に町がスクールバスを運行。・バス事業者に委託し、路線バスタイプ車両3両を貸切運行。・スクールバスのコースは、バス空白地区も含め、町内全域を網羅的に運行しており、学校・幼稚園は町のほぼ中心に立地。⇒スクールバスの活用、あるいは路線バスによる混乗通学など少子化をふまえた検討が必要。

(※限られた空き時間、混乗に対する保護者の理解などの問題はある)

〇竜王町のバス予算は、30年度総額6千万円強で、28年度から約2,500万円増加している。・路線バス運行損・・・利用減、路線延長による費用増・通学定期利用促進プロジェクト・・・30年4月から取組開始⇒人口減少の中、サービス維持のために一定の費用負担はやむを得ないところではあるが、負担増が続けば、費用対効果の検証や有効活用の検討が求められることになる。

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

70,000

平成28年度予算 平成29年度予算 平成30年度予算

竜王町 バス関係予算推移

通学定期補助、夜間相乗りタクシー 八幡竜王線・岡屋線の運行委託補助金

通学バス業務委託料ほか

平成30年度は通学支援プロジェク

ト開始もあり、6千万円を超える

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近畿運輸局課題③ (滋賀県竜王町)

課題③ 観光客の取込みによる賑わい創出(大型商業施設来場客の回遊・滞在拡大等)

竜王町HPより

⇒アウトレットだけでなく、自然・食・歴史など魅力的なスポットが点在するが、バスでアクセスしにくい場所も多く、また、現行路線バスでの周遊観光は難しい。

⇒関係者が協力し、観光客の需要に応じた周遊バスや既存路線バスのモデルコース整備に取り組む余地あり。

◯竜王町は大型商業施設(アウトレットモール)等の影響もあり、平成28年には小売吸引力指数が3.0を超えるなど、広域からの消費活動の取り込みに成功している。アウトレットモールへは年700万人が訪れるなど、町への来訪者は多いが、その多くが町内の他のスポットには滞在することなく通過している状況にある。・町内には宿泊施設が少なく、観光客は日帰りが主体であり、長時間の滞在を考慮した着地型観光施策が行いにくい状況にある。・町は米所・酒所でもあり、田畑が広がる風景は都会にはない魅力がある。ちなみに、「第19回米・食味分析鑑定コンクール:国際大会」の都道府県代表お米選手権において、町内から出品の「近江米(にこまる)」が金賞を受賞している。・近江牛発祥の地として売り出し中であり、「竜王町スキヤキプロジェクト」として町ではアピール活動を行っている。・道の駅「アグリパーク竜王」では田植え体験や稲刈り体験、果物狩りなど体験型の観光施設を併設。また、田園資料館として古民家も設置しており、昭和初期の竜王町で見られた懐かしい日常風景が再現されている。・一方、これらの観光スポットへのアクセスは自家用車が主体。

竜王町HPより

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近畿運輸局課題①に対する提案(滋賀県竜王町)

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地域公共交通網形成計画のイメージ

地域にとって望ましい公共交通ネットワークのすがたを明らかにし、まちづくりなどの関連分野と連携しつつ、面的なネットワークの形成に係る事業を記載

○竜王町地域公共交通網形成計画の策定・コンパクトシティ化検討懇話会での議論をふまえたバス路線の集約とタウンセンターの拠点化、タウンセンター起点の町内交通の整備等の中長期的対策と、既存のバス網や、タクシー・自転車等も活用した短期的対策を、体系的に整理する必要がある。

・地域公共交通会議を地域公共交通の活性化と再生に関する法律に基づく法定協議会に改組し、公共交通に関する住民・関係者のニーズや意見を汲み取った上で、まちづくりの方針と一体となった交通計画を検討し、教育・福祉・観光等のセクションとも連携した地域公共交通網形成計画の策定に取り組むことが望ましい。

また、竜王町には鉄道駅が存在せず、路線バスも全て隣接市(近江八幡市、野洲市)の鉄道駅が起点となるため、計画策定に当たっては、両市の交通計画と調和がとれた内容にすることが求められる。

・国の支援制度である地域公共交通確保維持改善事業の調査事業(計画策定事業、計画推進事業)や、地域内フィーダー系統補助等の活用も念頭に、計画的かつ持続可能な事業の実施を検討頂きたい。

国土交通省資料より

H30.9.28第1回竜王町コンパクトシティ化検討懇話会資料より

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近畿運輸局課題②に対する提案(滋賀県竜王町)

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○既存路線バスの活用・既に町内5路線、1日合計90往復運行している近江鉄道の路線バスについて、来訪者や町内事業所従業員の通勤手段とするだけでなく、町民の移動手段として最大限有効活用する。・利用者数等の目標値を設定した上で、事後検証を行い、更なる改善に取り組む(PDCAサイクル)ことが求められる。

【具体例】①情報提供の充実

⇒町内のバスマップ、時刻表、JRとの乗り継ぎ情報、バスの利用方法やお得な制度、特にバスロケーションシステムのスマホ・携帯での利用方法、タクシーの利用方法など、公共交通の基本的な情報をまとめた冊子・パンフレットを作成し、全戸配布、公共施設や集客施設に配架するとともに、竜王町の公式ホームページにも「公共交通」コーナーを設けてわかりやすく掲載する。

近江鉄道HPより現行の竜王町バス運行経路図(近畿運輸局資料)・スペースの限られた停留所掲出用のデフォルメされた運行系統図だけでなく、最寄り駅付近も含めて地図ベースで、公共交通関係の幅広い情報を盛り込むなど実用的なものが望ましい。

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近畿運輸局課題②に対する提案(滋賀県竜王町)

②町内バス路線の再編について検討

a.岡屋線(地域間幹線系統)のタウンセンターへの乗り入れ拡充

⇒昼間帯、全便をタウンセンターに乗り入れる。

b.八幡アウトレット線(地域間幹線系統)のタウン

センターへの乗り入れ

⇒昼間帯、全便をタウンセンター経由に変更する。

c.三井アウトレットパークでの乗り継ぎ

⇒野洲アウトレット線沿線(鏡・美松台地区)からは、

アウトレットで八幡アウトレット線に乗り継ぐことで

タウンセンターへのアクセスを可能とする。

また、八幡アウトレット線沿線から野洲駅へのアクセ

スも可能となる。

その際、乗継割引の導入等による乗継抵抗軽減を図る。

※ただし利用が増えなければかえって収支が悪化する懸念

もあるため、沿線住民の公共交通に関する意識改善、

利用促進のための取組がセットで実施されるべきである。

(例)タウンセンター商業施設のバス利用者に対する還元

③わかりやすく、利用しやすい運賃の導入など

⇒町内5路線の運賃は、運行の経緯等から下記のようなわかりにくい点があるため、路線の再編と合わせて見直

しを検討することが望ましい。

a. 近江八幡駅と役場とその周辺地区の間の運賃が経路によって異なる。

b. 高齢者向けフリー定期券が八幡竜王線で利用できない。

⇒ICカード導入に向けて、関係者間で協議を進めることが望まれる。利便性向上、乗降時間短縮、ODデータ・

運行データ活用による事業計画見直しなど、多くのメリットが見込まれる。

9

野洲駅

岡屋南

ダイハツ

アウトレット

竜王町路線バス運行系統図(昼間帯) 再編(例)

C

a

野洲アウトレット線

岡屋線

八幡竜王線

八幡アウトレット線

八幡村田線美松台b

既存路線バスを再編することで

タウンセンターまでのアクセス

を確保できる地域

アウトレットで

乗り継ぎ

昼間帯乗入

昼間帯乗入

タウン

センター

松が丘

近江八幡駅

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近畿運輸局課題②に対する提案(滋賀県竜王町)

④停留所整備の検討

⇒停留所の整備

・バス事業者、行政が整備、維持するだけでなく、路線バス停留所は地域の拠点であることから、路線バスの

利用促進に積極的に取り組む自治会・地域が行う、停留所上屋・待合所の掃除・維持管理などに支援する制

度を構築する。

・協力の得られるコンビニエンスストア・スーパーを待合所・停留所として活用する取組を検討する。

⇒停留所付近に駐輪場等の整備

・バスの利便性を向上させるため、停留所隣接地に駐輪場を整備する。(守山市に先行事例)

○公共交通としてのタクシーのさらなる活用

・町内移動は需要量が小さく多方面に渡るため、タクシーの活用も有効と考えられるが、本町では現行のタクシー

は「特別な乗り物」と認識されているとの意見もあり、例えば、「黒塗りセダン」ではなく、デイサービスや身内

の送迎のような車両外観・乗務員のスタイルを試験的に導入する等、タクシー事業者と協調して、まずタクシーが

住民にとってもっと身近な乗り物になるよう工夫・検討する必要がある。

・夜間相乗りタクシーは、高校生及び保護者に好評であるため継続することが望ましい。また、高校生が気軽に利

用できるネット予約(無断キャンセルに留意)の導入などの利便性向上策も考えられる。

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一定区画の公共の場所を、市民がわが子のように愛情をもって育て(清掃美化を行い)、行政がこれを支援する制度。一部地域ではアドプト・プログラムと表記している。(アダプト (Adopt) とは英語で「○○を養子にする」の意味。) 安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン より

https://www.city.moriyama.lg.jp/chiikishinko/chiikikoutsu_2.html(守山市HP「BTS(自転車駐輪場)システムについて

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近畿運輸局課題②に対する提案(滋賀県竜王町)

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スクールバス路線図例路線バス空白地域も運行

※これらの詳細については四国運輸局による「スクールバスと路線バスの役割分担による効率的・効果的なバスネットワークの形成に関する調査業務報告書」を参照されたい。http://wwwtb.mlit.go.jp/shikoku/bunya/koukyou/index.html

○スクールバスの有効活用の検討・町内小学校・幼稚園の通学・通園バスは、乗合バス型車両を貸し切ってバス空白地域も含めて町域一円で運行しており、既に安全運行の仕組みも調っているため、空き時間帯を町内移動に活用することは有効と考えられる。

ただし、生活交通として活用するのに検証が必要な課題は次のとおり。①空き時間帯が少ない(下記図参照)②春・夏・冬の長期休暇期間は原則運休している③変則的な登下校対応の存在(警報発令時、短縮授業期間、入学式等

諸行事)④登下校便に混乗する場合も含め、教育委員会、学校、保護者、地域住民、運行事業者の合意形成

なお、④に関しては児童・生徒以外の一般住民は会員制・予約制、車内着席位置の分離、ドライブレコーダー(車内外)等の導入事例もあるため、先行事例を参考に、丁寧に合意形成を行う必要がある。

スクールバス基本ダイヤ例空き時間(赤枠)は午前1時間、午後1時間

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近畿運輸局課題②に対する提案(滋賀県竜王町)

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○対象者を絞った、モビリティ・マネジメントの実施・町内路線バスを持続可能にするため、バス利用の重要性について住民に理解を求める。

【具体例】①バスマップ配布の際は、役場が自治会などに出向き、合わせて公共交通に関する住民へのPRを行う。

②町広報誌や、竜王町が年一回配布する「竜王町くらし便利帳」に公共交通に関する情報を掲載する。

③小学生向けバス乗り方教室の継続、拡充。④高齢者向けとして、免許返納の呼びかけと合わせ、バス・タクシーの利用方法(公共交通を使う生活パターンのモデル提示)を周知する。⑤バスマップ完成記念に「バスに乗ってスタンプラリー」の開催(枚方市などで先行事例)。 竜王町暮らしの便利帳

・企業立地が進む中、進出する企業にエコ通勤への取組を呼びかける。また、企業立地に伴う転入者への公共交通情報提供を行う。

国土交通省ではエコ通勤優良事業所認証も行っているため、取得に向けて取り組んでいただきたい。

進む企業立地(左)竜王工業団地(右)山面工業団地

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近畿運輸局課題③に対する提案(滋賀県竜王町)

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○関係者が連携した来訪者のアクセス向上(観光周遊バス等)と情報発信・観光スポット・集客施設が点在している地勢に鑑み、交通事業者、観光協会等と連携し、まずは観光コンテンツの発信や、ニーズ調査に取り組むことが不可欠。なお、平成31年3月に限定運行する「竜王町周遊バス」の実績や利用者の満足度を調査し、事業継続可能性やニーズとのマッチングについて関係者間で検証していただきたい。・利便性向上策として、周遊バスには沿線の観光資源に関する情報を案内するボランティアガイドが添乗する等し、来訪者に対する町の見所情報を提供し、バスで観光することに付加価値を付けること等も考えられる。・町HPだけでなく、町内の観光施設のHPでも公共交通でのアクセス情報を掲載する等の情報提供改善の取組が必要。・JR「駅長おすすめ駅プラン」、大手民鉄の駅別ハイキングコース等、鉄道と地域の観光資源を組み合わせた集客は広く行われており、竜王町においても地域の観光資源を路線バスを活用して巡るモデルコースを造成することで、昼間帯や土日祝の利用促進につなげる。・公共交通や集客施設の多言語化・フリーWi-Fiの導入など、すべての来訪者が円滑に移動できる環境整備を行う。

苗村神社西本殿(国宝)※「綾戸北」バス停から約500m 道の駅竜王かがみの里

※「竜王かがみの里」バス停すぐ周辺には、源義経元服の地や古今集にも詠われた鏡山、聖徳太子や伝教大師ゆかり

の古刹などもあり、いにしえの息吹を感じられる

竜王町周遊バスH31.3.23、24、30、31運行

竜王町・近江鉄道ジョイント企画

※1日2,000円で近江鉄道・バス全線乗り放題

近江鉄道HPより

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近畿運輸局協定締結から提案に至るまでの間の成果(滋賀県竜王町)

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1. 平成30年 7月 5日 町内バス路線の確認並びに竜王町との意見交換2. 平成30年 7月19日 地域連携サポートプランの協定及び町内の各地域・施設等の現地確認3. 平成30年 9月 6日 竜王町との意見交換及び現地確認4. 平成30年 9月28日 第1回竜王町コンパクトシティ化検討懇話会にて意見交換5. 平成30年10月24日 町内を運行するバス・タクシー事業者と意見交換し、現状の課題等を確認6. 平成30年11月 7日 第2回竜王町コンパクトシティ化検討懇話会にて意見交換7. 平成30年12月19日 第3回竜王町コンパクトシティ化検討懇話会にて意見交換8. 平成30年12月25日 提案に向けた竜王町との意見交換及び現地確認9. 平成31年 2月18日 第4回竜王町コンパクトシティ化検討懇話会にて意見交換10.平成31年 2月26日 地域連携サポートプラン課題研究会を実施11.平成31年 3月13日 課題研究会をふまえ、提案に向けた竜王町との意見交換12.平成31年 3月18日 地域連携サポートプランの提案書交付

コンパクトシティ構想検討懇話会の模様竜王町役場での意見交換竜王町内の現地調査