鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車...78 鹿児島市交通局...

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2008 - 3「車両技術 235 号」 73 1.はじめに 鹿児島市の路面電車は、1928(昭和3)年の開業以来、 鹿児島市交通局 7000 形超低床式路面電車 ※国 くに なが まさ ひろ ※※田 じま たつ 写真1 外観 要旨 鹿児島市交通局では、バリアフリー時代に先駆けて、2002 年に国産初となる超低床電車 1000 形を導入し、現在ユー トラムの愛称で9編成を運用している。 このたび、2005 年に策定した LRT 整備計画に基づき、人と環境にやさしい公共交通サービスの提供と輸送力の増強 とを図るために、連接式超低床電車 7000 形「ユートラムⅡ」を2編成導入した。7000 形は、バリアフリー対応とワン マン運転での輸送力増強とを両立するとともに、都市のシンボルとしてのデザイン性も考慮した従来の国内 LRV には ないざん(斬)新な車両である。(編集部注:1000形電車は、本誌224号-2002年参照) ※ 鹿児島市交通局 電車事業課 ※※アルナ車両㈱ 営業・技術部 写真2 室内 写真3 軌道敷の緑化

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  • 2008 - 3「車両技術235号」 73

    1.はじめに鹿児島市の路面電車は、1928(昭和3)年の開業以来、

    鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車

    ※国くに

    永なが

    政まさ

    博ひろ

    ※※田た

    島じま

    辰たつ

    哉や

    写真1 外観

    要旨

    鹿児島市交通局では、バリアフリー時代に先駆けて、2002年に国産初となる超低床電車1000形を導入し、現在ユー

    トラムの愛称で9編成を運用している。

    このたび、2005年に策定したLRT整備計画に基づき、人と環境にやさしい公共交通サービスの提供と輸送力の増強

    とを図るために、連接式超低床電車7000形「ユートラムⅡ」を2編成導入した。7000形は、バリアフリー対応とワン

    マン運転での輸送力増強とを両立するとともに、都市のシンボルとしてのデザイン性も考慮した従来の国内LRVには

    ないざん(斬)新な車両である。(編集部注:1000形電車は、本誌224号-2002年参照)

    ※ 鹿児島市交通局 電車事業課

    ※※アルナ車両㈱ 営業・技術部

    写真2 室内 写真3 軌道敷の緑化

  • 鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車74

    会社・車両形式�

    使用線区�

    基本編成�

    用途�

    車体製作会社�

    台車製作会社�

    主回路装置製作会社�

     �

     �

     �

     �

     �

    個別の車種形式�

    車種記号(略号)�

    空車質量(t)�

    運転整備質量(t)�

    定員(人)�

    うち座席定員(人)�

    特記事項�

    軌間(㎜)�

    許容軸重(kN)�

    電気方式�

    製造初年�

    1次製作両数�

    車両技術�

    1 435�

     �

    DC600 V�

    2007�

    2編成�

    235

    C�

     �

     �

    31�

    8�

    A

    E�

    25.5/編成�

     �

    16�

    8�

    D�

     �

     �

    31�

    8�

    B

    車両性能�

    電気駆動系主要設備�

    最高運転速度(㎞/h)�

    加速度(m/s2)�

    減速度�

    (m/s2)�

    ユニット当りの定格出力(kW)�

    定格速度(㎞/h)�

    ユニット当りの引張力(kN)�

    動力伝達方式�

    ブレーキ制御方式�

    制御回路電圧(V)�

    こう配条件�

    抑速制御�

    車軸配置�

    運転保安装置�

    列車無線�

    非常時運転条件�

    40�

    0.83 (3.0 ㎞/h/s)�

    1.3 (4.6 ㎞/h/s)�

    1.4 (5.0 ㎞/h/s)�

    60 ×3個=180�

     �

     �

    平行カルダン方式�

    電気指令式電気機械ブレーキ�

    DC100 �

    40 ‰�

     �

    MM-TT-TM

    シングルアームパンタグラフ�

    ばね上昇電気下降式�

    RG6001-A-M�

    IGBT-VVVFインバータ制御�

    1C3M制御�

     �

     �

     �

    TDK6309-A �

    三相かご形誘導電動機�

    60 kW�

    1 615

    常用�

    非常�

    形式・質量�

    方式�

    形式・質量�

    形式・質量�

    定格容量(kVA)�

    形式・質量�

    形式・質量�

    VVVF:VVVF制御装置 BT:蓄電池 APS:補助電源装置�

    ;駆動軸� ;付随軸�

    主電動機�

    �集電装置�

    �制御装置�

    制御方式�

    主変圧器�

    主整流器�

    主変換装置�

    主回路標�

    準限流値�

    形式・質量�

    方式�

    1時間定格�

    回転数(�-1)�

    連続定格�

    力行(A)�

    ブレーキ(A)�

    鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車�

    鹿児島市交通局 市内線・谷山線�

    A車+C車+E車+D車+B車 5車体連接�

    都市内交通�

    アルナ車両㈱�

    住友金属工業㈱�

    東洋電機製造㈱�

    A�

    BT

    B�

    BT

    VVVF�

    C E

    APS�

    D�

    BT

    表1 鹿児島市交通局 7000形LRV 車両諸元

  • 2008 - 3「車両技術235号」 75

    車体の構造・主要寸法�

    車体特性・構造及び主要設備�

    その他の主要設備�

    構体材料/構造�

    車両の前面形状�

    運転室 �

    長さ(㎜)�

    連結面間距離(㎜)�

    心皿間距離(㎜)�

    車体幅(㎜) �

    高さ�

    (㎜)�

    床面高さ(㎜)�

    鋼製�

    非貫通�

    両運転台�

    18 000�

    -�

    7 500�

    2 450�

    3 299�

    3 740(パンタ折畳み)�

    380(乗降口部330)�

    相当曲げ剛性(MN㎡)�

    相当ねじり剛性(MN㎡/rad)�

    曲げ固有振動数(Hz)�

    ねじり固有振動数(Hz)�

    内装材�

    側窓構造�

    妻引戸�

    �側扉�

    戸閉装置�

    �腰掛方式�

    車体連結�

    装置�

    空調換気�

    システム�

    �車内主要�

    設備�

    アルミ、FRP�

    上部引違い式�

    なし�

    片引戸:幅1 000 ㎜、両引戸:幅1 200 ㎜�

    2�

    SED-17SL,SED-17W�

    電気式(戸閉保安、戸挟み防止付)�

    長手�

    連結棒�

    なし�

    ユニットクーラ�

    腰掛下シーズ線ヒータ�

    自然換気�

    -�

    40 W×8、90 W×14�

    車いすスペース、固定ベルト、乗

    降用スロープ、専用降車押ボタン�

    なし�

    なし�

    その他の主要設備�

    補助電源�

    装置�

    蓄電池�

    空調装置�

    暖房装置�

    �空気圧縮�

    機�

    空気タンク�

    �前照灯�

    尾灯�

    標識灯�

    INV148-C0�

    三相インバータ方式�

    40�

    鉛蓄電池�

    24 V:50、100 V:120�

    RPU4021�

    14.5×2台/編成�

    4.4/編成�

    なし�

    �なし��

    HID�

    LED

    主制御器内に内蔵�

    R2149-A-M�

    EMA電動ばねブレーキ�

    形式・質量�

    方式�

    容量(kVA)�

    種類・質量�

    容量(Ah)�

    形式/方式/質量�

    容量(kW)�

    容量(kW)�

    形式・質量�

    圧縮機容量�

    電動機方式�

    元空気タンク�

    供給空気タンク�

    台     車�

    �形式�

    �支持装置��

    �けん引装置�

    ばね方式�

    軸距(㎜)�

    ばね�

    定数�

    (N/㎜)�

    台車最大長さ(㎜)�

    車輪径(㎜)�

    基礎ブレ�

    ーキ�

    ブレーキ倍率�

    �制輪子��

    ブレーキシリ�

    ンダ・個数�

    駆動方式�

    歯車比(減速比)�

    継手�

    軸受�

    質量�

    (㎏)�

    SS01A、SS06�

    SS07�

    金属ばねダイレクトマウン

    ト式�

    シェブロンゴムばね式�

    ボルスタアンカ�

    コイルばね�

    1 600�

    530�

    1 618�

    2 362�

    M台車:660、T台車:610�

    �EMA電動ばねブレーキ��

    1�

    �鋳鉄��

    4�

    4�

    平行カルダン式�

    6.53�

    WN継手�

    円筒ころ軸受�

    A車:4 700、B車:4 200�

    3 000

    M台車�

    T台車�

    �車体��

    軸箱�

    まくらばね�

    コイルばね�

    防振ゴム�

    M台車�

    T台車�

    M台車�

    T台車�

    M台車�

    T台車�

    M台車�

    T台車�

    ブレーキ�

    ブレーキチョッパ�

    ブレーキ抵抗器�

    ブレーキ装置�

    形式・質量�

    形式・質量�

    形式・質量�

    屋根上面�

    屋根取付品上面�

    構造�

    片側数�

    形式・質量�

    方式�

    先頭車�

    中間車�

    冷房方式�

    暖房方式�

    換気方式�

    配風方式�

    照明方式�

    移動制約者�

    設備�

    便所�

    汚物処理�

    主幹制御器(質量)�

    速度計装置�

    車両情報制�

    御システム�

    非常通報装置�

    行先表示�

    器�

    車内案内表示�

    列車情報装置�

    �放送��

    車両間連�

    結�

    右手ワンハンドル式�

    電気式速度計�

    なし�

    なし�

    あり�

    LED式�

    LED式�

    LED式、液晶式�

    -�

    あり�

    あり�

    -�

    -�

    モニタ装置�

    モニタ表示器�

    前面�

    側面�

    車内向け�

    車外向け�

    電気系�

    空気管系�

    軸ばね� 総合�

    1 618

  • 鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車76

    図1 形式図

  • 2008 - 3「車両技術235号」 77

    図2 屋根上機器配置

  • 鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車78

    市内の基幹交通として長年にわたり多くの皆様に愛され利

    用されてきている。近年、高齢化や環境問題への対応の観

    点から、路面電車は、人と環境にやさしい交通機関として

    見直されている。

    鹿児島市交通局では、昭和30年代前半に製造した500形

    車両の更新として、2002年以来、国産初の超低床電車1000

    形を9編成導入してきた。2006年度からは、輸送力を増強

    した連接式超低床電車7000形を2編成導入するとともに、

    出力の大きいモータを搭載した新形車両の増加による架線

    電圧降下対策として架線電圧補償システムを設置した。

    また、本市では、都市景観美化やヒートアイランド対策

    として、市電軌道敷の緑化並びにライトアップ整備などの

    施策を推進している。

    2.編成及び主要諸元全長18 000 ㎜、全幅2 450 ㎜、A-C-E-D-B車5車体で構

    成する、客室100 %低床車両である。

    両先頭のA、B車は、運転台のみの短車体で駆動台車を装

    備している。中間E車も短車体で付随台車を装備している

    が、低床構造の客室となっている。C、D車は、台車がなく

    前後のA-E(E-B)車にフローティング支持された低床構造

    の客室である。

    機器、部品は、操作性・保守性・経済性を考慮し、でき

    る限り1000形車両との共通化を図っている。

    主要諸元を表1に、車両編成図を図1に、屋根上機器配

    置を図2に示す。

    3.外観先頭形状は、今までの国内LRVにはない流線形デザイン

    とした。カラーリングは、シルキーホワイトをベースにし

    て、サニーイエローのラインを全長にレイアウトした。肩

    部のグラデーションストライプは南国の朝日が昇るイメー

    ジをデザインしている。

    4.車両性能最高運転速度は40 ㎞/h、運転操作性を考慮し加減速度は

    1000形と合わせている。また、営業線の最小曲線半径25 m、

    最急勾配40 ‰に対し、十分な余裕をもった設計としている。

    性能曲線を図3に示す。

    5.車体構造車体は、鋼製溶接組立構造で、前頭部のライトカバー、

    バンパ及び屋根おおいはFRP製である。

    連接部のうちA-C、C-E、D-B間はヨーイング方向のみ回

    転し、E-D間は縦曲線に対応できるようヨーイング方向と

    ピッチング方向とに回転する構造としている。また、車体

    の動揺を抑制するため車体間ヨーダンパを取り付けている。

    乗降口高さはレール面上330 ㎜、客室床高さは380 ㎜で、

    中間台車上の床面高さ480 ㎜との間を緩やかなスロープで

    つなぎ、客室は全く段差のない100 %低床構造としている。

    乗降口は片側2箇所で、先頭の降車口は開口1 000 ㎜、後

    方の乗車口は開口1 200 ㎜とした。

    ワンマン運転時には、乗客が後方の入口から前方の出口

    までスムーズに移動できる必要があるので、通路幅が最小

    となるE車の台車上でも幅950 ㎜を確保するようにその部

    分の座席レイアウトを工夫した。

    6.台車台車は、車体荷重をコイルのまくらばねで直接支持する

    ボルスタレス台車である。前後方向の駆動・ブレーキ力は、

    車体と台車間に取付けたけん引棒(ボルスタアンカに相当)

    で伝達する。

    A、B車の駆動台車は、従来車と同様に、車輪径660 ㎜、

    並行カルダンWN継手駆動方式で、軸箱、軸ばねなどを含

    め、1000形車両との部品及びメンテナンス方法の共通化を

    図っている。A車の台車は2軸駆動、B車の台車は1軸駆動

    である。

    E車の台車は、車軸付き低床付随台車で、車輪径を610 ㎜

    としている。

    基礎ブレーキ装置は、1000形で初めて実用化した電動ば

    ねブレーキ装置とし、エアレス化を図っている。

    電動台車、付随台車の組立図を図4、5に示す。

    7.制御装置・補助電源装置制御装置は、1000形と同じIGBT素子VVVFインバータ

    制御方式を採用し、部品及びメンテナンス方法の共通化を

    図っている。1000形が1制御器2モータ制御であるのに対

    し、7000形は1制御器3モータ制御としている。電気ブレ

    ーキも1000形と同じ回生/発電ブレンディング方式を採用

    写真4 屋根上機器配置(左側がB車、右側がA車)

    写真5 低床付随台車

  • 2008 - 3「車両技術235号」 79

    図3 性能曲線

    カ行

    回生

  • 鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車80

    図4 電動台車

    番号�

    1� 2� 3� 4� 5� 6� 7

    名  称�

    輪軸組立(M軸)�

    台車枠組立(MM台車)�

    まくらばね部組立�

    けん引棒組立�

    中心ピン組立�

    上下動ダンパ組立(R)�

    上下動ダンパ組立(L)�

    番号�

    8� 9� 10�

    11�

    12�

    13�

    14

    名  称�

    左右動ダンパ組立�

    軸箱支持装置組立�

    電動機駆動装置取付�

    電動機駆動装置取付�

    電気ばねブレーキ取付�

    ブレーキ配線(MM)�

    社標及び銘板�

  • 2008 - 3「車両技術235号」 81

    図5 付随台車

    番号�

    1� 2� 3� 4� 5� 6� 7� 8

    名  称�

    輪軸組立(T軸)�

    輪軸組立(T軸)�

    台車枠組立(TT台車)�

    まくらばね部組立�

    EGMロードセンサ取付�

    けん引棒組立�

    中心ピン組立�

    上下動ダンパ組立(R)�

    番号�

    9� 10�

    11�

    12�

    13�

    14�

    15�

    16

    名  称�

    上下動ダンパ組立(L)�

    左右動ダンパ組立�

    軸箱支持装置組立�

    軸箱支持装置組立(接地用)�

    電気ばねブレーキ取付�

    ブレーキ配線(TT)�

    社標及び銘板�

    軸端接地取付�

  • 鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車82

    図6 主回路つなぎ

  • 2008 - 3「車両技術235号」 83

    図7 運転室機器配置

    写真5 運転台

    断面A-A

    断面B-B

  • 鹿児島市交通局 7000形超低床式路面電車84

    しているが、地上側に回生電力を蓄電する架線電圧補償シ

    ステムを設置したので、より効率良く電力回生が行え、更

    なる省エネルギー化が図れるようになった。

    補助電源装置も、1000形と同じIGBT素子静止形インバ

    ータで、容量は40 kVA、出力電圧はAC200 V、DC100 V

    及びDC24 Vである。

    両装置とも低床化のため、屋根上に設置している。

    主回路つなぎを図6に示す。

    8.ブレーキ装置踏面ブレーキタイプの電動ばねブレーキ装置を用いた応

    荷重付電気指令式電気機械式ブレーキシステムを1000形に

    引き続いて採用し、戸閉機及びパンタグラフのエアレス化

    と合わせて車両の空気関係機器をなくした。

    常用・非常ブレーキは、装置内のモータでブレーキシュ

    を押付けて作用させ、保安ブレーキは、装置内蔵のばねを

    解放して作用させる。また、低速時の1Nブレーキ力を制

    御し、鋳鉄制輪子特有の停止間際のショックを緩和するよ

    うにしている。

    9.運転室運転室機器配置を図7に示す。

    基本的に1000形と同じレイアウト、操作方法としている。

    前方の視界は、車体前面形状を流線形とし、大形一枚窓を

    採用することで1000形より向上した。後方の安全監視用に

    電動収納式バックミラーを装備しているが、車体長が既存

    車より長いので車外モニタカメラも併用して安全性を向上

    している。

    10.客室設備ワンマン運転を基本とするが、多客時にはツーマン運転

    にも対応できるような車内レイアウト及び設備としている。

    インテリアは“やすらぎの空間”をコンセプトに、柔ら

    かで落ち着きのあるデザインとしている。照明には蛍光灯

    とダウンライトを使い、木目柄の天井と合わせてやさしい

    空間を演出している。客室窓は、戸袋部以外を上部引違い

    窓とし、フリーストップ式ロールカーテンを設けた。

    バリアフリー対応として、C、D車に車いすスペースをそ

    れぞれ2台分確保し、車いす乗降用スロープ、固定ベルト、

    専用降車押ボタンを設けている。

    ICカードは、既に電車・バス共通システムを全電車に装

    備していたので、この車両にも同じものを設備した。

    冷房装置は、屋根上集中式14.5 kWをC、D車の屋上に各

    1台装備している。車外正面及び側面の行先表示は、LED

    方式とすることによって視認性、表示の多様性、メンテナ

    ンス性の向上を図っている。

    客室内には、次駅案内表示などを行うLED式表示器を客

    室妻面の2箇所に、広告表示等を行う15インチ液晶ディス

    プレイを客室妻面の2箇所に、それぞれ設けている。

    11.おわりに7000形電車の導入と同時に、国内では初めての本格的な

    芝生軌道とそのライトアップ事業を開始し、好評を博して

    いる。芝生軌道は、鹿児島中央駅前から鹿児島駅前までの

    約2.8 ㎞が2007年度中に完成する。景観の向上だけでなく、

    ヒートアイランド現象の緩和、騒音・振動の減少にも役立

    っている。

    また、2007年2月に導入した架線電圧補償システムは、

    高容量の蓄電池を利用した省エネシステムで、ラッシュ時

    の急激な電圧低下を防止し、定時運行などに効果を発揮し

    ている。

    2007年度、7000形をさらに2編成導入したので、超低床

    電車の合計は13編成となり、総車両数に対する割合は約25

    %となった。ざん新なデザインのユートラムⅡが、ライト

    アップされたグリーンの芝生の上を滑るように走る様は、

    今まで国内の路面電車にはなかった景色である。これらの

    施策によって、バリアフリーの推進だけでなく、中心市街

    地の活性化、人と環境にやさしい魅力ある街づくり、そし

    て全国に誇れる観光資源として、路面電車が寄与していく

    ものと期待している。