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受注者からみた建設生産システムの課題について ~適正価格での受注と品質の確保を目指して~ (一社)全国建設業協会 技術顧問 田 上 澄 雄

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受注者からみた建設生産システムの課題について ~適正価格での受注と品質の確保を目指して~

(一社)全国建設業協会

技術顧問 田 上 澄 雄

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受注者からみた建設生産システムの課題について~適正価格での受注と品質の確保を目指して~

⼀般社団法⼈ 全国建設業協会技術顧問 ⽥上 澄雄

平成24年8⽉9⽇

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全国建設業協会とは全国建設業協会とは

一般社団法人全国建設業協会(通称:全建、National General Contractors Association of Japan)は、47都道府県に亘って約2万社の建設業者が、各都道府県の地域ごとにそれぞれ建設業団体を組織し、これらの地域建設業団体が全建の会員を構成しています。つまり各都道府県建設業協会が結集して構成する全国的組織が全建です。

全国建設業協会の会員は、47都道府県建設業協会で構成全国建設業協会の会員は、47都道府県建設業協会で構成

本会傘下の47都道府県協会会員企業は、主として土木一式工事業および建築一式工事業を営む建設企業で構成され、施工高・技術力等が国際的水準においても高位にある大企業から、中堅・中小企業層にわたる建設業界の代表的建設企業を網羅しております。

建設業界を代表する大手から中堅・中小までの建設企業で構成建設業界を代表する大手から中堅・中小までの建設企業で構成

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会員企業数及び倒産状況会員企業数及び倒産状況

注1)会員数:毎年6月末での集計注2)倒産件数:毎年1月~12月の集計

・会員企業の倒産は一日1社を超すペースで推移し、会員企業数は2万社を割る勢いである。また、地方の有力・協会役員会社の倒産が目立っている。

・平成20年(1~12月)の累計は580件で、平成7年の調査開始以来、 多であった平成14年(449件)を上回り、過去 悪であった。以降は国土交通省の倒産対策や20年度の補正予算の効果により減少傾向したが、今年度は東北の震災影響を受け、再び、倒産増加が懸念されている。

平成7年

平成8年

平成9年

平成10年

平成11年

平成12年

平成13年

平成14年

平成15年

平成16年

平成17年

平成18年

平成19年

平成20年

平成21年

平成22年

平成23年

会員数 33,335 33,247 33,276 32,951 32,790 32,363 31,675 30,587 29,530 28,467 27,579 26,079 24,603 23,195 21,675 21,015 20,439

倒産数 75 103 146 217 198 276 353 449 359 298 315 378 434 580 316 251 198

3

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・一般競争入札の導入

・入札契約適正化法施行

・一般競争入札の運用範囲拡大・低入札の急増

・一般競争入札の拡大・公共工事品質確保法施行

平成13年度より新基準に移行(従来の平均値から異常値を除去)

・リーマンショック

・政権交代

データ出所:財務省、東日本建設業保証

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収益性の推移収益性の推移

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国土交通省では、「適正価格での契約の推進」、「採算性悪化要因の排除」、「費用の適正な支払いの徹底」等、入口(入札契約段階)から出口(工事目的物の引渡し)を通じ、適正価格で工事が施工されるよう、三者会議、ワンデーレスポンス、設計変更ガイドライン等、様々な施策を推進。

しかし、一部の現場にはこれら諸施策が浸透していないとの意見がある。

これら諸施策が現場において適切に運用されているかどうかについて、実態把握を行うとともに、その実態を把握した上で、改善策等を検討し必要に応じて国土交通省に改善等の意見を申し入れることにより、会員傘下企業の収益性の向上に役立てようというもの。

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アンケート調査について①アンケート調査について①

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アンケート調査について②アンケート調査について②

2009年調査 2011年フォローアップ調査

(1)実施時期 平成21年7月中旬 ~ 8月中旬 平成23年6月

(2)調査対象工事 国土交通省直轄工事(土木工事)

直近に完成した工事で、できるだけ変更項目(内容)が多く、仮設や施工方法等について変更を行った工事

回答企業は以下の順で工事を選定1.平成22年度中に受注・竣

工した工事2.平成22年度中に受注し、

平成23年度に竣工または施工中の工事

3.平成21年度に受注した工事

(3)回答者 上記対象工事の現場責任者(現場代理人、主任技術者等)

(4)回答数 436件 329件

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今回

前回

86.4%

66.4%

6.2%

13.1%

7.4%

20.5%三者会議

今回

前回

83.0%

57.8%

9.9%

16.1%7.1%

26.1%工事書類作成

マニュアル

今回

前回

76.3%

57.9%

16.5%

19.9%

7.2%

22.2%設 計 変 更

ガイドライン(案)

今回

前回

81.5%

69.3%

12.7%

15.8%5.9%

14.9%設計図書の照査

ガイドライン(案)

ワンデーレスポンス今回

前回

98.8%

94.1%

0.6%

3.2%

0.6%

2.7%

今回

前回

79.9%

58.3%

17.0%

22.2%3.1%

19.5%工事一時中止に係る

ガイドライン(案)

今回

前回

63.2%

26.7%

16.5%

17.9%

20.2%

55.4%設計変更審査会

7

国土交通省が打ち出している各諸施策の周知度国土交通省が打ち出している各諸施策の周知度(受注者側の周知度)(受注者側の周知度)

国土交通省が打ち出している諸施策について、【知っている】と回答した割合は、前回調査と比較していずれも大幅に増加しており、かなり浸透してきている。

但し、「設計変更審査会」については、【知っている】と回答した割合が63.2%にとどまっている。

知っている 聞いたことはあるが内容は知らない 知らない

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設計図書の照査ガイドライン(案)について設計図書の照査ガイドライン(案)について

約86%が【知っている】と回答。前回調査と比較して20%ポイント増加。

「開催され大きな効果があった」との回答が48%あったが、「開催されたがあまり効果がなかった」との回答も約15%あった。

81.5%

69.3%

12.7%

15.8%

5.9%

14.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

受注者側の周知度

知っている 聞いたことはあるが内容は知らない 知らない

76.6%

64.9%

14.7%

21.2%

5.6%

10.8%

3.0%

3.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

ガイドラインの運用状況

ガイドラインに沿っていた責任の範囲が不明確であった責任の範囲が不明確な上、過度な照査を求められたその他

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三者会議について三者会議について

86.4%

66.4%

6.2%

13.1%

7.4%

20.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

受注者側の周知度

知っている 聞いたことはあるが内容は知らない 知らない

48.0%

36.9%

15.6%

22.8%

36.4%

40.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

三者会議の運用状況

開催され大きな効果があった

開催されたがあまり効果がなかった

開催されなかった

約86%が【知っている】と回答。前回調査と比較して20%ポイント増加。

「開催され大きな効果があった」との回答が48%あったが、「開催されたがあまり効果がなかった」との回答も約15%あった。

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ワンデーレスポンスについてワンデーレスポンスについて

98.8%

94.1%

0.6%

3.2%

0.6%

2.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

受注者側の周知度

知っている 聞いたことはあるが内容は知らない 知らない

58.6%

54.3%

21.3%

23.1%

10.1%

9.8%

10.1%

12.8%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

効果がなかった要因

発注者が回答するまでに時間がかかった

発注者から過大な資料請求があった

いわゆる「逆ワンレス」を求められた

その他

37.4%

28.2%

44.9%

50.5%

17.7%

21.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

ワンデーレスポンスの実施状況

適切に実施され大きな効果があった

実施されたがあまり効果がなかった

実施されなかった

前回・今回調査ともに90%以上が【知っている】と回答。

「実施され大きな効果があった」との回答は37%で「あまり効果がなかった」との回答が約45%。

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工事書類作成マニュアルについて工事書類作成マニュアルについて

83.0%

57.8%

9.9%

16.1%

7.1%

26.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

受注者側の周知度

知っている

聞いたことはあるが内容は知らない

知らない

51.6%

42.7%

47.1%

51.6%

1.3%

5.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

マニュアルの運用状況

マニュアルに基づいていた

概ねマニュアルに基づいていた

マニュアルに基づいていなかった

83%が【知っている】と回答。前回調査から25.2%ポイント増加。

「マニュアルに基づいていた」「概ねマニュアルに基づいていた」との回答が約99%。

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工事一時中止に係るガイドラインについて工事一時中止に係るガイドラインについて

79.9%

58.3%

17.0%

22.2%

3.1%

19.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

受注者側の周知度

知っている

聞いたことはあるが内容は知らない

知らない

76.3%

66.9%

23.7%

33.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

ガイドラインの運用状況①(工事一時中止の措置)

適切に工事一時中止の措置が取られた

工事一時中止の措置は取られなかった

23.3%

25.6%

16.7%

16.3%

60.0%

58.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

ガイドラインの運用状況②(請負金額変更手続き)

適切に請負金額増額の変更手続きが取られた

費用は増加したが、増額変更手続きは行われなかった

工事一時中止に伴う費用の増加はなかった

※請負者の責任によらない事由により工事が施工できない事態が発生した場合

※工事一時中止の措置がとられた場合

約80%が【知っている】と回答。前回調査から21.6%ポイント増加。

「工事一時中止の措置はとられなかった」が約24%、「費用の増加はなかった」が60%。

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設計変更ガイドラインについて設計変更ガイドラインについて

76.3%

57.9%

16.5%

19.9%

7.2%

22.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

受注者側の周知度

知っている

聞いたことはあるが内容は知らない

知らない

80.4%

72.6%

9.3%

11.4%

10.3%

16.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

ガイドラインの運用状況

ガイドラインに基づいて実施された

ガイドラインに基づいていなかった

わからない

約76%が【知っている】と回答。前回調査から18.4%ポイント増加。

「ガイドラインに基づいて実施された」との回答が約80%。

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設計変更審査会について設計変更審査会について

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63.2%

26.7%

16.5%

17.9%

20.2%

55.4%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

受注者側の周知度

知っている

聞いたことはあるが内容は知らない

知らない

52.6%

57.9%

47.4%

42.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

設計変更審査会の実施状況

開催された 開催されなかった

約63%が【知っている】と回答。前回調査から36.5%ポイント増加。

「開催されなかった」との回答が約47%。

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45.0%

38.1%

33.0%

35.3%

22.0%

26.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

収益の状況

当初予定していた利益を確保できた

当初予定していた利益を下回ったが、赤字には至らなかった

利益を確保できず赤字となった

26.2%

33.7%

15.9%

15.4%

57.9%

50.9%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

今回

前回

当初の利益を確保できなかった要因

発注者側の対応に問題があった

請負者(自社)の対応に問題があった

その他

収益の状況収益の状況

15

45%が「予定していた利益を確保できた」と回答。前回調査から6.9%ポイント増加。「予定していた利益を下回った」「赤字となった」との回答も55%。

「発注者側の対応に問題があった」との回答が約26%。前回調査より下回った。

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各施策等に関する意見①各施策等に関する意見①

発注者側の担当者により考え方が違うようなことのないようにしてもらいたい。発注者側にも発注段階で照査を行ってもらい、受注後に施工側も照査することでダブルチェックをするようにすればよいと思う。照査を行うに当り設計事務所などに対しても、もう少し責任を負ってもらいたい。ガイドラインを文章からフローチャートや表を活用し明示すれば、個人差による差がなくなると思う。照査ガイドライン通りの運用であり、特に問題なし。設計照査で挙げた疑問点が、会議の場ですぐに解決された。変更積算時の考え方を三者が同時に確認できる。請負者からの質問に対して、設計担当者から直接回答がもらえる。別途指示や後日回答が多く、そのまま無回答になって請負者発議の協議になるケースが多かった。三者会議に設計会社が不参加であったため、設計者の考え方などが明確にならなかった。

設計図書の照査ガイドライン(案)

三者会議

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各施策等に関する意見②各施策等に関する意見②

変更の多い工事であったが、適切に実施されたので工事がストップすることがなく工程確保に効果があった。ASPも活用してたため、発注者からの返答が即座にあった。承諾や提出等の書類は実施されたが、変更を伴う協議書類等は実際の日付とは異なった形で処理され、形だけのワンデーレスポンスに局契約のため、重要な協議事項に関しては事務所に決定権が無く、一つの協議に数ヶ月を要した。又、再々資料の追加を求められた。主任監督員の権限をもう少し与えてもよいのではないか。工事書類の作成及び業務時間を減らすには、マニュアルの一覧表より「提示」を削除し、作成するかしないかで区分しなければ作成書類は減電子納品になってきているが、紙提出の書類はなかなか減らない。「工事書類作成マニュアル」の活用講習会を行い、周知レベルを(発注者・受注者共に)等しくすると共に、レベルアップを図る必要がある。出張所単位等のローカルルールを作らず、統一してほしい。監督員、検査官、補助員等で認識の違いが見受けられる。補助書類(検査時に見せるもの)の扱いが一律でない。完成検査の内容もある程度マニュアル化されていないと、結果的に検査に備えて別の書類を作成しなければならない。

工事書類作成マニュアル

ワンデーレスポンス

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各施策等に関する意見③各施策等に関する意見③

一時中止の判断基準を明確にして、たとえば、主任監督員の判断で現場状況を把握して速やかに処置できるようにできればと思う。勉強会を開き、発注者および受注者で合同で勉強し理解していくべき。工事一時中止ではなく工事一部一時中止で工期を延長するため経費等の増額ができないので考慮していただきたい。ガイドラインとは別に、本格的な資料がなくても状況写真等を用いてまず打合わせをしてもらえるようなことが必要。変更協議は出張所(監督職員)と行っていたが、 終的な変更決定・協議の回答などは事務所担当者の権限で行われていたため、ガイドラインのようなスムーズな協議の処理が行われていなかった。変更事例をもっと増やしわかりやすくすることで、壁の高さを下げる必要があると思う。(業者にも変更事例をわかるようにしていただく)設計変更で認められた工種は、大部分であったが、一部却下された工種があった。

設計図書の照査ガイドラインと設計変更ガイドラインは統合すべき。

設計変更に伴う設計図面・設計数量は、発注者側の業務。適切に実施してもらいたい。担当者に理解してもらう為の資料作成が負担となった。現場の確認をされれば変更も簡単になると思われる。

設計変更ガイドライン(案)

工事一時中止に係るガイドライン(案)

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各施策等に関する意見各施策等に関する意見④④

軽微なものは主任監督員の判断で行えればよりスムーズに行われる。

設計照査の段階である程度「設計変更審査会」の日程を定めればよいのでは?変更が生じた場合、受注者は変更協議書(図面・計算書等)を提出するが、変更審査会の開催までに時間がかかりすぎる。また、全ての変更協議を一括開催とする場合があるが、開催頻度を増やし対応してもらいたい。資料等不足であれば、追加を求めてもよいから「やったものは変更」して欲しい。審査会の対象となる変更内容の基準を明確にすべき。審査会に等級をつけて軽微な変更内容に対しては少人数での審査を可能にするなど審査の機動性を上げるべき。今回の工事では大幅な仮設計画の変更であったため、監督員からの助言もあり審査会の開催がスムーズに行われ変更協議を成立することができた。

近では発注者側も審査会の開催を前向きにとらえ積極的に開催し協議の場をもつことができている。

設計変更審査会

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利益を確保できなかった要因利益を確保できなかった要因

設計変更で承認されない事項が数件あった。工事の一部一時中止に伴う手待ち。当初発注と全く違う工種を指示され、当初工種の落札比率が反映されるため新工種では、施工手間と材料費が合わなかった。設計変更に対する協議の回答が長期間得られず、施工を先行した結果、請負者に不利な設計変更となった。工事の内容、施工場所が変更となり、範囲がとても広がったため、諸経費が増大した。施工数量が少なくコストのかかる工種が設計変更により増工し、発注者側の単価と自社側の単価に大きく差が生じたため。交通誘導員の実績が、設計数量より上回ったため。工期末まで作業が発生したため、設計変更に反映できなかった数量が多かった。地元要望による補修・変更も多かった。工事工期厳守のための人員増による労務管理にムダがあった。部材の購入にあたり、物価調査会や物価本にある金額で購入できないものが多々あるため。交通誘導員の単価の違い。震災による復旧費用(請負者負担)が大きかった。工事受注後、当初工事費の2倍程度設計変更となったが、新規工種・残土処分費等を含めて全て落札率をかけられたため赤字工事となった。土砂等運搬先の変更が非常に多く発生(運搬先: 当初 4箇所 、 変更 16箇所)し、その運搬調整とユニットプライス型積算方式に伴う詳細な変更が認められなかった。

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◆技術提案内容・評価方法の閉塞感

◆真の競争性確保の問題

◆品質向上に寄与していない総合評価制度

◆技術者偏重主義が生む弊害

◆上限拘束制度がもたらす問題

◆建設業界の二者構造による弊害

課題

◆予定価格のあり方(予定価格を標準価格へ)

◆総合的なダンピング対策の強化

◆総合評価方式(標準型以下)の受注者選定のあり方

◆地域の実情に即した入札契約制度のあり方

◆技術者制度のあり方

◆総合評価方式(標準型以上)の受注者選定のあり方

提案

○第三者機関活用による三者構造の構築

入札契約制度に関する課題と提案入札契約制度に関する課題と提案

21

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国土交通省では総合評価方式を施行したが、不透明性や評価に差がつかない等の指摘がなされている。また、「技術と経営に優れた建設企業」が生抜ける結果を醸し出しているのか、本来の品確法の趣旨である建設物の品質向上に繋がっているか等、検証すべき時期に来ている。

加えて、受発注者共に「入口」(入札・契約)に対する労力・コストの投資ウエイトが増大し、施工に投資する労力・コストが急激に縮小する傾向にある。その結果、現場力の低下が生産性の低下を招き、「良いものを適切な価格でタイムリーに提供する力」が失われつつあることが懸念される。

全国建設業協会 総合企画委員会および総合企画検討ワーキンググル-プでは、入札・契約制度についての課題を整理し、これを解消するための提案をまとめた。

22

入札契約制度に関する課題と提案入札契約制度に関する課題と提案についてについて

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・技術提案が上位評価を受けた上で、予定価格や低入札調査価格(予定価格)の分析の精緻によって、受注者を決定する制度に変化している。

・総合評価方式の拡大により、受注者の技術提案内容、発注者の評価方法が標準化(レベル化)の傾向にある。発注者:透明性・公平性のある評価基準や評価方法の策定が困難。受注者:技術提案内容に“差”がつきにくい。

・総合評価方式による入札の拡大に伴い、受・発注者双方の入札に伴うコスト・事務量の負担は激増している。発注者:1件あたりの入札参加企業が多く、審査件数も比例して増加。受注者:入札案件毎に技術提案書を作成するため、費用、労力が必要。

結果

課題:技術提案の先行きの閉塞感課題:技術提案の先行きの閉塞感~提案内容・評価方法の標準化~~提案内容・評価方法の標準化~

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・技術提案に費やす労力を建設技術の向上・開発に注ぐべき。これにより、・工事目的物の品質向上が図れる。

・社会資本の適切な維持管理が可能となる。・国際競争力を強化できる。

・必要以上に入札参加企業を募り技術提案を求めるものの、落札者以外の多くの提案が採用されていない。

・発注者も、多くの提案の評価に係る行政コストがかさむ。

・近年、社会的には入札参加企業が多いほど競争性は担保されるという考えが主流である。そのため、

・1件あたりの入札参加企業数は20~30社と多い。・企業は技術提案書作成に多大な労力を費やすことになるが、多くの企業は非落札者となる。

従って

課題:多くの提案が不採用となる課題:多くの提案が不採用となる現在の入札契約制度現在の入札契約制度

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・品質確保の目的から乖離して、企業選別の手段としての評価項目を設定している。

・技術提案に求める評価項目が、工事目的物の品質向上と必ずしも一致していない ケースが多いためである。

○ 品質低下を招くと予測される過度な工期短縮○ 品質とは関係のない雇用関係や団体保険の加入状況

いわば

・技術提案により現場で生産した建設物の品質向上の有無について明確に示されていない。

課題:現場の品質向上につながらない課題:現場の品質向上につながらない現在の総合評価制度現在の総合評価制度

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・受注者は、技術者の確保に労力を掛けている。

・経験豊富な技術者を重宝するため、若手技術者の代替わりが進まない状況が生じている。

・公告から契約までの長期化により、「監理技術者の塩漬け」が顕在化している。

・発注者が、入札参加資格要件や企業評価として、監理技術者の経歴に過度なウエイトを置く傾向にある。

課題:技術者重視主義が生む弊害課題:技術者重視主義が生む弊害

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・予定価格は真の技術力を評価する仕組みの構築を阻害している。

・予定価格の持つ意味を再考する時期に来ている。

・設計変更の恒常化

・予定価格に対する国民の誤った理解(落札率の一人歩き)。

・技術提案を求めていながら、予定価格を上限とする矛盾。

課題:変革する入札・契約制度に課題:変革する入札・契約制度に対応できない上限拘束制度対応できない上限拘束制度

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・品質確保の観点からも、発注者・受注者の協調関係を築くために第三者を加えた新たな構造変換が必要である。

【二者構造の弊害】・閉塞した二者構造により国民に発信すべき情報は伝わり難い。・依然として受・発注者間の片務性が解消されない旧態の関係。・利害関係の調整や不当な癒着を監視する中立的組織の不在。・二者構造では、公共工事を国民目線の立場を取り入れた関係が構築できない。・地方自治体に対するアドバイザー的存在が不在。

従って

課題:多くの弊害をもたらしている課題:多くの弊害をもたらしている建設業界の二者構造建設業界の二者構造

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○総合評価方式の技術提案を求める案件については、自由な発想や仕様の向上によるV/M(評価値※)の向上を目指すために、予定価格に幅を持たせた標準価格制度に移行する。

※評価値=価格当りの工事品質を表す指標

○標準価格制度の設計内容は従来の予定価格の上下一定範囲内の入札価格は有効とし、提案による価値を価格で除したV/M値によって、落札者を決定する方法とする。

○この場合、過度な提案によるいわゆる“技術ダンピング”や低入調査付近に応札価格が集中することを防止するために、V/M値に上限値を設定する。

〔問題点〕○会計法の改正等、法的な変更措置が必要。○様々な発注者や国民への更なるアカウンタビリティーが必要となる。

(1)予定価格のあり方(1)予定価格のあり方(予定価格を標準価格へ)(予定価格を標準価格へ)【【直轄工事直轄工事】】

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◆二段階審査方式(多段階審査方式)を導入し、初段階で入札参加者を3~5社に絞込み、後段階で技術提案や見積りを提出する等によって受発注者双方の負担を軽減。

〔今後の課題〕○ヒアリング等による絞込みの過程での透明性の確保や恣意性の排除

と適切な絞込みが求められるため、発注者の一定水準以上の技術能力が必要。

○初段階における絞込みで、選定される企業が偏る傾向にあるとの懸念が指摘されている。

○各モデルケースの一長一短を把握した上で、試行工事で検証すべき。○WTO案件については更に検討が必要。○地方公共団体においても工事案件によっては、二段階審査方式に

ついて検討。

(2)総合評価方式(2)総合評価方式((標準型以上標準型以上))の受注者の受注者選定のあり方選定のあり方【【直轄工事直轄工事】】

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○技術的な工夫の余地が比較的少ない工事については、技術提案、施工計画を求めず施工実績等の評価項目によって企業の施工能力を評価する。

○工事内容毎に発注者の施策意図を反映させるために、工事を技術重視型、地域性重視型、価格重視型の3分類に分け、それぞれの評価項目のウエイト付けを異なるように設定する。

○評価項目については、以下の3項目とする。▸ 技術力…企業の工事実績・成績、配置予定技術者の工事実績等▸ 社会性…社会保険支払の有無、建設業退職金共済制度への加入の有無▸ 地域性…防災協定、災害活動実績、地域内の拠点の有無等

○評価項目、評価方法および配分比率を予め公表する。

〔問題点〕○発注者は工事を3つの類型のうちどの類型を適用するか検討する際に恣意性が入らないように注意する必要がある。

○価格を逆転して落札した場合の説明。

(3)総合評価方式(標準型以下)の(3)総合評価方式(標準型以下)の受注者選定のあり方受注者選定のあり方

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◆中央官庁、旧公団系、及び自治体の入札制度については国土交通省の施工体制確認モデルを導入するよう建設業協会からの働きかけを行う。

○中央官庁、旧公団系、地方公共団体に「公共工事の入札及び契約の適正化を図るための措置に関する指針」の周知徹底を行い、入札・契約制度の適正化を図る。

◆施工体制確認型の導入が難しい場合は、建設業法に則った下請け見積もりの厳格な調査及び、施工中、竣工後の確認調査を徹底する。

◆下請け業者については社会保険等の加入状況も調査、不備があれば失格とする措置を講じる。

○併せて低入札調査後のダンピング受注においても、当該発注者はその工事が竣工するまで入札に低入札業者の参加を認めない等の措置も行なう。

○以上の措置は官民協力して、国民からの理解を得るための対策を講じるべき。そのためには建設業界自らが襟を正し、国民から信頼される業界になる必要がある。

〔問題点〕○ダンピング対策が十分でない発注者の理解促進。○建設業界内全体でのガバナンスと理解が必要。

(4)総合的なダンピング対策の強化(4)総合的なダンピング対策の強化【【中央・自治体工事中央・自治体工事】】

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○工事規模や内容及び地域の実情に即した入札契約制度を実施するために以下に示す類型から選択する。(下表の区分(工事金額等)は各自治体で判断)

○いずれの場合も予定価格や低入札調査価格の事前公表の禁止及び施工体制確認型の導入を必須として、安易なくじ引き入札やダンピング入札を排除する。

○都道府県建設業審議会を設置し、各地域の実情に応じた建設業の改善に関する重要事項の調査・審議を行う。

〔問題点〕○〔地域維持型工事〕等への国民の理解促進。

規 模 入札・契約方式 適用

大規模工事(WTO) 一般競争方式+総合評価方式 施工体制確認型・標準価格

中規模工事 一般競争方式+簡易型総合評価方式 施工体制確認型・予定価格

小規模工事 指名・公募型指名競争入札 低制限価格・予定価格

地域維持型工事地域維持型JV、地域建設業の協同組合等との

公募型指名競争入札・プロポーザル方式+随意契約低制限価格・予定価格

(5)地域の実情に即した入札契約制度のあり方(5)地域の実情に即した入札契約制度のあり方【【自治体工事自治体工事】】

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○監理技術者補助制度の導入(下図イメージ参照)

○事前申請の補助監理技術者は、届出によって監理技術者を交代し、工事終了後には当該工事を通した監理技術者としてCORINS登録を可能とするシステム。

○工事当初の監理技術者は交代後、工事竣工まで補助監理技術者として専任することが条件。

○業界全体にて次世代の人材育成を促進する環境を構築。

▼工事公告 ▼申請 ▼入札契約 ▼工事進捗(30~50%) ▼工事竣工 ▼工事登録

A氏(監理技術者)

B氏(補助管理技術者)

監理技術者 補助監理技術者

補助監理技術者 監理技術者 監理技術者として登録

〔問題点〕◆監理技術者のデータベース公開(発注者・受注者への情報公開)の範囲は

慎重な議論が必要

(6)技術者制度のあり方(6)技術者制度のあり方【【直轄・自治体制度直轄・自治体制度】】

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〔短期〕

○現在資格認定している“公共工事品質確保技術者”を国土交通省が積極的に拡充、活用し、地方自治体にまで波及するような方策を推進するべき。

○以上のような資格者(民間や官庁OB)を活用し、第三者機関としての役割を拡充し、社会的な認知度を高める。

○また民間の技術力を活かすCM工事の拡充に向け、CMRの育成や中立性の認知度向上のため、国家試験制度を創設し、将来の三者構造のモデルとする。

〔長期〕

○短期提言にて生まれた第三者機関を育成し、 終的には諸外国で普及している甲乙丙の三者構造への変換を図る。

〔問題点〕

○第三者機関に関わる経費の拠出。

○天下り先との誤解に応えるためのアカウンタビリティーが必要。○第三者として活動する資格者の透明性、公平性、公正性を確保するための

方策。

(7)第三者機関活用による三者構造の構築(7)第三者機関活用による三者構造の構築【【直轄・自治体制度直轄・自治体制度】】

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ご清聴ありがとうございました

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