近位選択的迷走神経切断術に関する実験的研究 -...
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日消外会誌9(4):496~ 506,1976年
近位選択的迷走神経切断術に関する実験的研究
京都府立医科大学第2外科教室 (主任 t橋本 勇 教授)
芳 竹 敏 郎
SELECTIVE PROXIMAL VACOTOMY一 AN EXPERIMENTAL STUDY
ToshitPo YOSHrrAKE
2nd.Dcp.oF Surgery,Kyoto Prd Univ.oFヽ 在cdicinc,Kyo的
(Director: Pron lsamu Hashimoto)
近位迷切術のみでは,胃 液胃酸分泌の減少は見られたものの,血 中ガス トリン値は逆に増加し,幽 門成
形術を併設することによつて,血 中ガス トリン値の上昇が抑制されることが証明された。また幽門洞枝を
幽門輪枝を含めて切断した場合には,胃 液胃酸分泌ともに増加し,同 時に血中ガス トリン値も上昇する.
この場合にも幽門成形術の併設によつて,両 者の減少が認められた。さらにこの場合,幽 門洞部および幽
門輪の迷走神経支配を断つことで,著 明なdiStensionが認められたが,幽 門成形によるdraittgeでこの状
態を解消できるという結果は,迷 走神経幽門洞枝がガス トリン分泌を抑制するものでないことを証明して
ヽヽる。
さらに予め近位選迷切術を施行して後,幽 門成形術を併設すると,胃 液胃酸分泌および血中ガス トリン
値の低下が認められることが判明した。この事実も幽門洞部に神経支配が残存していても,drainageを付
加すると,ガ ス トリン値の低下が認められるという証明で,壁 細胞領域がdenerVate されているとはい
え,近 位選迷切術にとつて,幽 門成形術は合目的な方法であるという確証を与えたものである。
籍 言
消化性潰瘍の外科的治療は,従 来からの広範囲胃切除
術に代つて保存的手術が施行されるようになつてきた.
とくに迷走神経切断術 (以下迷切術)が 注目されるとこ
ろである。この迷切術も歴史を振返えると,3つ の段階
を経てきている。すなわち,最 初にこの術式を行つたの
は,1911年 Exnerりでぁり, Tabes doぉalisの息者に疼
痛除去の目的で行われたが,潰 瘍手術 に用いたのは,
Latattet,Bircherぉょび BOrChersらで あ るといわれて
いる。これらの術式は迷走神経幹枝 を切断する全幹迷
走神経切断術 (幹迷切術,コマ)で あつた。Dragstedt&
Ottns2)(1943)は ,十 二指腸潰瘍患者 に この術式を用
いるとともに,一 連 の 胃液分泌 に関する研究を発表し
ている。下痢 を はじめとする POSt Vagotomy syndrome
が考慮 され るようになりFrankssonりぉよび JackSOn4)
(1948)らにより,胃 に入る迷走神経枝のみを切断する
選択的迷走神経切断術 (選迷切術,SV)が 行われた。そ
してこれら迷切術は,さ らに胃切除術あるいは drainage
術が付加 され るようになつ た。 GrifF■th&HarkinsD
(1957)の 実験的研究に続いて,1960年 H。1le。は迷切
術に伴う胃停滞 を な くするため,胃 枝の中でも,壁 細
胞領域に入る校のみを切断し,幽 門洞部 に入る枝 (N.
Latattet)を温存 させる近位選択的迷走神経切断術 (近
位選迷切術,SPV)を 施行し現在 に至 つ ている。この
時 H01leら は,幽 門洞部 の diStensionを防止す る 目
的で,幽 門成形術 を併行しているが,そ の後 Amdrupの
(1970),」OIInstonめ(1970)ら は,幽 門狭窄のない限り
幽門成形術を加えていない。 ・
これら迷切術の変遷をみると,い ずれも減酸効果を期
待していることに変わ りがないのが,患 者にとつて手術
の危険性はもちろん,手 術後の機能脱落障害,な らびに
愁訴を最小限に留めようとする工夫がなされてきた。関
連する臨床的,実 験的成績も数多くみる事ができる。そ
して主として討議されるのは,迷 走神経と胃液分泌であ
1976年7月
り,胃 の運動機能 で あり,Vagal release Of Gastrinで
ある。胃液分泌ならびに胃の運動 に関する研究は IVy,
Paviovぉょび CannOnら を先駆者として始められたが,一方,消 化管ホルモンである Castrinについては,1905
年 Edkinsりによる発見以来, 1959年 に始まるCregoリ
&Tracy10 1'の 精製分離,構 造式 の決定,お よび化学
合成の成功,そ して MCCuiganlり13)(1967),BerSOn&
Yalowlつ(1970)に よる Radioimnunoassay法の確立な
ど,そ の進歩は著しい。またわれわれの教室でも,小 玉
らlD 10は
早くよりこの研究に着手し,二 重抗体法による
Castrinの RIAを 可能にしてきたが,最 近 Charcoal法
による Kitの 発売を見るに至 り,一 層容易に測定がで
きるようになつた。
今回著者はこの近位選迷切術に着目し,実 験犬を用い
て胃酸分泌と血中 Gastrin値の関連から,温 存される迷
走神経幽門洞枝の働きと,近 位選迷切術に併設される幽
門成形の有用性について検討を加えた。
実験材料および方法
1. 実 験動物
体重 8~ 15にの雑種成熟犬12頭についての成績を報告
する.
2.実 験犬の作成
実験犬すべてに Heidenhain胃嚢を作成し,mucOCut‐
a■6ous isttlaの型で胃液採取を行つた。そして幽門成
形を併設する場合には,Heineke‐Mikulicz法 に順じて
図 1 実 験方法
=辞
101(497)
4~ 5飢の縦切開を加えた。
3.実 験群の分類 (図1)
実験動物は以下に述べる3群 に分類して検索した。さ
らに 1群および2群はそれぞれ幽門成形の有無により2
種類作成した.
第 1群 :1)Heidenhain胃 襲を作成し,こ れを対照と
して実験を行つた後,近 位選迷切術を施行した群,お よ
び,ii)Heidenhain胃襲作成時幽門成形を併設して同実
験を行つた群.
第 2群 :i)Heidenhain胃 襲を作成し,こ れを対照と
して実験を行つた後,迷 走神経幽門洞枝を切断した群,
おょび,ii)HCidethain胃襲作成時幽門成形を併設して
同実験を行つた群.
第3群 :HCidenhain胃襲作成時,近 位選迷切術 を行
つてこれを対照とし,後 幽門成形を付加した群.
4.胃 液採取と採血
各実験犬は術後10~14日の回復期間をおいてから,24
時間絶食させた後,空 腹時 Castrin値測定のための採血
を行つた。その後試験食 (Dog Food 50~60gr,Clycine
O.4g/kg,牛乳 200ml)を投与し,以 後経時的に15分,30
分,45分 ,60分 ,90分 , 120分と採血 を行 い,同 時に
Hcidenhain胃襲から分泌される胃液 を30分間隔 で2時
間採取した。これら一連の検査は全て定時に開始し,原
貝1的に日を変えて2回施行した.
Dog Foodに は CaineS MCalを使用したが,そ の組成
中には蛋白23%,脂 肪 7%,Ca l%が 含右されている。
5.胃 液測定
採取した胃液の計量を行つた後,mpher_Michaelis法
にしたがい,1/50N NaOHで 滴定して遊離塩酸量を求
めた。さらにぷメーターを用いてIH値の測定も併せ行つ
た。
6.Cattdn測 定
採血した血液は,血 清分離した後,-20℃ で凍結保存
し,CIS Castrin Radiofmmunoassay Kitを用いて測定
した.な お測定に際し,Lotの 違いによる誤差をさける
ために同一犬のSamPleは 同一 Kitで 測定した。
この Castrin RIA Kitによる測定法 の概略 は表 1に
示 すとおり,4℃ ,20時 間 の incubation後,Dextraぃ
coated CharcoalでFと Bを分離している。 この方法に
より,Castrin Kitは25~800pg/mlの間で良好な標準曲
線が得られ,こ の間での測定値は感度ならびに再現性に
すぐれていた。また従来からの二重抗体法と比較しても
高い相関性が得られた。
趨趨趨曲曲
▲μO断ひ
▲芹ぐ断移
近位田途切 ( S P V ) 群
1盟く『
迷 走 神 経
幽P,洞技切断辞
1品:b)
III群
ふ趨…中
102(498)
1)
2)
3)
5)
6)
,)
3〕
表 l Cas↓ rin RadioimmunOassay Kit 総 Gastrin量
術後 (SPV後 )
遊離塩酸量
胃液分泌畳
ii)幽門成形を伴う群
術前 (対照)
遊離塩酸量
胃液分泌量
空腹時 Gastrin値
最大分泌時G値
総 Gastrin量
術後 (SPV後 )
遊雄塩酸量
近位選択的迷走神経切断術に関する実験的研究 日消外会誌 9巻 4号
0.5ing/2h
l.632mEq/2h
li.伊n1/2h
各実験犬の経時的な血中 Gastrin値を測定して,空 腹
時,最 大分泌時,お よび刺激後 2時 間 の総血中 Gastrin
量を選び出して比較検討した。
実験成機
1.第 1群 (表2,図 2)
i)幽 門成形を伴わない群 (n=3,ExP=5)
術前 (対照)
遊離塩酸量 1.858mEq/2h
胃液分泌量 15.Om1/2h
空腹時 Castrin値 27.7Pg/ml
最大分泌時G値 110。 lpg/ml
図 2 Selective Proximal VagotOmy
空腹時 Gastdn値 49.7Pg/mI
最大分泌時G値 150.7pg/ml
総 Castrin量 0.68ng/2h
図2は第 1群の各実験犬の成績を示している。経時的
な推移をグラフで見ると図3の如 くで,胃 酸分泌と血中
Castrin値が比較的よく相関している.
図3 近 位選切群の血清ガストリン値および胃酸分泌
幽門成形 (―)
Veronal B,ff● r てPH C.2‐ 3.6〕
Standard Solutio■ (SHCう or sanPlo
J〔チトは験食レ
(■‐2, ExP=4)
19142mEq/2h
10.6mv2h
35.Opg/ml
108.lPg/mI
O。46ng/2h
l.046mEq/2h
胃液分泌量 8.7m1/2h
空腹時 Gastrin値 37.6Pg/1111
最大分泌時C値 104.6Pg/ml
総 Gastrin量 0.47ng/2h
図4は酸分泌量ならびに血中 Castrin値を経時的に見
たものである。
ili)第1群の小括
この群 では Heidenhain冒襲作成犬 に壁細胞領域を
denervateする近位選迷切術が施行された。幽門成形の
ない群では,胃 襲からの酸分泌で12.2%,胃 液量で23.3
%の 減少が見られたが,一 頭の犬で著明な減少を認めた
ため,値 が若千低値となつている.血 中 Gastrin値では
逆に空腹時で79%,最 大分泌時で37%,総 Castrin豊で
蒙
[ h町か ぃ
表 2 近 位選択的迷走神経切断群
PY[ORCPLASiY(― )
PRE-0,E POSF‐ OPE
P Y t O R C P L A S I V ( 4 )
F R , O P = P o s 「- O P E
6ASIRIC 」UicE
AcID OUIPU平
VOLUHE
PLAS■A SASTR:N
BASAL 6.
PEAR 6,
HE「 OUTPuT
圃 い け 即 岨
趨 脚 卯 ‐0・‐ 闘
郎 8.7 苑 晰 W
把 ‐0・6 加 蜘 附
1976年7月
図 4 近 位選迷切群の血清ガストツン値および胃酸
分泌 幽 門成形 (+)
0
33%の 増加となつている。
一方幽門成形を併設した群では胃襲からの胃液分泌は
前者 と類似し,酸 分泌 で8%,胃 液量で17.9%減 少し
た。しかし血中 Castrh値 は前者と異なり対照と比較し
てほとんど変化が見られなかつた。
この実験群では Heidenhain胃 襲からの胃液分泌と血
中 Gastrin値との間に軽度の逆の関係を示したが,幽 門
成形術を併設した事により,血 中 Gastrin値の上昇を抑
えている事がわかる.
2.第 2群 (表3,図 5)
図5 迷 走神経幽門洞枝切断術
103(499)
i)幽 門成形を伴わない群 (■=2,ExP=4)
術前 (対照)
遊離塩酸量 |
目液分泌量
空腹時 Castrin値
最大分泌時G値
総 Gastljin量
術後 (幽門洞枝切断後)
遊離塩酸量
胃液分泌量
遊離塩酸量
胃液分泌量
0,330mEげ2h
4,2m1/2h
空腹時 Castrin値 35,3pg/ml
最大分泌時G値 204.lPg/ml
総 Gastrin量 0.83ng/2h
図5は 第 2群 の各実験犬 の成績 を表示したものであ
り,幽門成形のない群で,酸分泌畳ならびに血中 Castrh
値を経時的に見たものが図6で ある。
図 6 迷 走神経幽F弓洞枝切断群の血清ガス リン値
および胃酸分泌 Ftl門成形 (―)
= こ 工 _ “
fi)幽門成形を伴う群 (・=2,ExP=4)
術前 (対照)
遊離塩酸量 0,813mEq/2h
胃液分泌畳 9.5m1/2h
空腹時 Casdn値 43.OPg/ml
最大分泌時G値 136.OPg/ml
総 Castin量 0.57ng/2h
術後 (幽門洞枝切断後)
2.091mEq/2h
19,3mv2h
39。3Pg/ml
128.5Pg/ml
O。51ng/2h
3.885mEq′2h
28.Omv2h
空腹時 Castrin値 20,5Pg/ml
最大分泌時C値 55.5Pg/ml
総 Casttin量 0.21ng/2h
図 7は経時的に見た酸分泌量および血中 Gas“in値 の
推移である.
表3 迷 走神経幽門洞横切断群
P V とO R C P L A S 「Y く―)
PRE-OPe PcsT,0,E
PYLORCPLASIYく ')
PRE-OPc 'osT-OPE
6 A S T R I C 」u l c t
A c : D 0 0 1 P U 子
VOtUME
PtASRA 6ASTRlN
B A S A L C ,
PFAK S,
“= 了Q u I P u F
摘 加 第 酬 唖
m 時 獅 節 0,5‐
胸 蛇 獅 粥 M
雌 ” 蜘 蜘 け
104(500)
図7 迷 走神経幽F目洞枝切断群の血清ガストリン値および胃酸分泌 幽 門成形 (十)
図 8 Selective PrOximal VagotOmy
(―) ― (■ )
持 LOROPLASTY
術前 (SPV)
遊離塩酸量 0.997mEq/2h
胃液分泌量 12.7m1/2h
空腹時 Castrh値 46.Opg/ml
最大分泌時G値 170.lpg/ml
総 Castrin量 0.71ng/2h
術後 (幽門成形後)
遊離塩酸量 0。 813mEq/2h
胃液分泌量
空腹時 Ca競品 値
8。2■11
4 9 . O P g / m l
近位選択的迷走神経切断術に関する実験的研究 日消外会誌 9巻 4号
NET ttTP岬
PEAK G.
BASAL 61〈こ > lt験食
レ
iii)第 2群 の小括
この群では第 1群 とは逆に幽門洞を支配する迷走神経
幽門洞枝が切断された。同時に迷走神経肝枝から下降す
る幽門輪枝 (PyIOriC branch)を通つて幽門洞に入る神
経支配をも断つ事で denerVateを確実にした。
その結果,幽 門成形を伴わない群で,対 照と比較して
酸分泌で80%,胃 液量で50%と 増加し,血 中 Gastrin値
も空腹時を除いて食餌負荷後の最大分泌時 Castrin値,
および総 Castrin量で,と もに60%の 増加 が認 められ
た.し かしこの術式に幽門成形を併設した場合には,逆
に酸分泌,血 中 Castrin値ともに減少した。
この両者の実験成績から幽門成形を伴わない場合,幽
門洞部ならびに幽門輪の迷走神経支配が断たれた事によ
り,著 明な dおtensionを来す事が考えられ,胃 軽からの
胃液分泌ならびに血中 Castrin値が上昇しているが,幽
門成形を加えて誘導した後者 の成績と併 せ考えると,
主胃のぷ値も関係す るが,決 して逃走神経幽門洞校が
Castrin分泌を抑制するものでない事が判る.
3.第 3群 (表4,図 8)
i)成 績 G=3,酌 =5)
表 4 Selective PrOximal Vagotomy
hOROPLASIY(― ) ~ hoROPLASIY(■ )
uASTRIc mic
llo―
閉ュ母仏 働sTR,H
MSAL 6.
ltAK 6
NET OUTPuF
0.的7
127
\ 、
AcID OUTPUT
m上ぅ/2h
最大分泌時C値 131.OPg/ml
総 Castrin量 0,64ng/2h
園8は第3群 における各実験犬の成績をグラフで示し
たものである。また酸分泌量ならびに血中 Castrin値を
経時的に見たのが図9で ある,
ii)第 3群 の小括
この章では Heidenhain胃襲作成時,主 胃に近位選迷
切術を施行し,こ れを対照として,後 日幽門成形術を行
つて比較検討した。
この結果酸分泌量で18。4%,胃 液量で35,4%の減少が
見られ,さ らに血中 Gast高n値 でも最大分泌時 CastHn
1976年7月
図9 近 位選迷切群の血清ガストリン値および胃酸
分泌
レ
【こユ
貰 い費
レ
値で22.9%,総 Gastrin量で 9.6%の 低下 が認められ
た。この事から幽門洞部に神経支配が残存しているにも
かかわらず,Drainageを 付加する事により, 胃襲から
の胃液分泌低下,な らびに食餌負荷後の血中 Castrin値
の減少が確認された。今回の実験では主胃の減酸率に関
しての成績 が不明であるが,Drainageを 付加する事に
よりGastrin分泌を抑制させるという事は,壁 細胞領域
が denervateされているとはいえ,近 位選迷切術にとつ
てより合目的であると考えられる。
考 察
近位選逃切術は197年 Grimth&Harkinsめ の実験的
研究に始まり,1960年 H01leの先駆的 な開発に源を発
するもので,消 化性潰瘍に対して従来から施行されてき
た胃切除を避け,幽 門洞部の機能を温存させる手術であ
る。そして再発潰場をきたさないためにも十分な減酸効
果が得られ,か つ 過剰な Gastrin分泌 を起こすことな
く,さ らに dumpingゃ 下痢の加きSide erectを減少さ
せるものでなければならない。したがつてこの手術 式々
に関連して,2,3の 重要な問題点を討議しながら著者
の実験成績を照らし合わせてみる。
まず第 1に迷走神経切断と胃特 に幽門洞部 の運動機
能,お よび 胃内容排出時間 の問題 が あ る,全 幹迷切
(TV)あ るいは選逃切 くSV)単 独では, 著 明な 胃運動
機能の低下ならびに胃内容排出遅延が認められる事は,
Dragstedt17j,ciarke19らの報告でも判るように幽門洞切
除ないしは Drai■age術 を合併させる必要がある.CO‐
wley19)(1972)らは,回 形食を用いて胃内容排出時間を
測定し,TVに 幽門成形を合併すると,術 後 1ん 4週 で
遅延が見られるが,8週 以後回復に向い, 1年以上で正
常近 くになる事を認めている.事 実この TVttDrainage
には種々の術式 が考案 され多くの治療 が な されてき
た2の
(TvttCastrO‐jejunostomy, 19464手Dragstedt;TV十
105(501)
P y l o l o p l a s t y , H e i n e k e ‐M i k u l i c z 式, 1 9 5 1 年W e i n b e r g ;
TV+Py10roplasty,Finney式 , 1961年 Hendry,等 ),
S V t t D r a i n a g e も同様 で, 1 9 6 3 年F a H i s ‐S m i t h による
HeineketMiLulicz tt Py10roplasty, 1957年 Crittthお
ょび Harkinsら による Finney式 が ある。しかしこれ
らいずれの術式をとつてみても未だ十分とぃいえず,迷
切後の胃ア トニーに加え,減 酸率,再 発潰湯に問題を残
すことから,1960年以降 Grinth,Harkinsぉょび Nyhus
らによつて幽門洞切除を伴つた SVttAntrectomyが施行
されるようになつた。一方近位選迷切 (SPV)術 式での
胃運動機能はどうであろうか。 .
InterOne2,(1971)らは,犬 の実験で胃内容排出時間
を検討し,SPVだ けが正常 を維持したが,他 の SVあ
るいは TV術 式では Drainageを 必要としたと報告し
ている。B ・M ・A n d m p 2 つ( 1 9 6 9 ) は犬 の実験で, ま た
E.AmdruPの (1970)は十二指腸潰瘍症例でともに Dra‐
inageを伴わない SPV術 式後, 胃内容排出は正常であ
つたと報告し,Wilber2り(1973)ら は,SPVは SVや
TVよ りも胃運動および排出時間を損なわなかつた事を
認めている。そして3者 とも,胃 壁内圧力は増加し,液
体の排出は速くなるが,SPVの み幽門前庭部 の収縮が
保たれて回形物の排出も遅らせなかつたとしている。
JOhnStOn20(1973)らは十二指腸漬瘍で 120例の Dra‐
inageを伴わ ない SPVを 施行し,臨 床的 あるいは液
体,食 物バリウムによるテス トの結果で,胃 内容排出は
満足すべきものであつたと報告している。さらに Mad‐
sen25)(1973)らヤまSPV Without drainage と SV With
Pyloroplastyについて 胃内容排出時間および小腸移行時
間を測定し,SV With drainageの方が SPVよ り速 く,
Dumpingを 引 き起こし易い状態 に なるが,SPVで は
Dumpingも 下痢も起こらなかつた事 を報告している。
これらの実験成績ならび に臨床所見から,SPV術 式
は胃の運動機能および胃内容排出に関して,Drainage
を伴わなくてもほぼ満足す る結果が得られると考えて
さしつかえない。そして筋電図学的 に見 ても,長 尾2い
(19惚)ら は以上の結果を裏づける成績を実験犬で得て
いる。
つぎに胃酸分泌 に関しては如何であろうか.CaStrin
の動きを論ずる前に,こ こでは迷切術に伴う成酸効果に
ついて言及する。TVで あれ,SVで あれ, 完全な迷切
と十分な Drainage効果があれば,基 礎酸分泌および刺
激後酸分泌でともに高い減酸が得られたという Bank2つ
(1967),KrOnborg20(1970)らの報告がある。そして幽
106(502)
門洞部が innervateされている SPVの 場合にも,Kra‐
gelunF'(1971),Ciarke30(1972)ら は幽門成形を伴つ
た SV術 式と比較して同じ位減酸が得られたといつてい
る。KronbOrgS'(1972)も 同様 な比較 を行い,無 刺激
下および Hislamine刺 激による酸分泌 は両者で差がな
く,InSulin刺 激による反応で SPVの 方 が高かつたと
報告している。
JOhnStOn3つ(1973)は 1970年以来 SPV WithOut drain‐
ageを 強 く主張する 1人 で あ るが,術 後 BAO(基 礎
酸分泌)で は 1週で92%,2~ 3カ 月で86%,6~ 12カ
月で87%,1年 以上経過で80%の 減酸 が得られ,ま た
Pentagastrin刺激による MAO(最 大酸分泌)で も1週
で51%,2~ 3カ月で68%,6~ 12カ 月で55%, 1年 以上
経過したもので55%の 減酸を得ている.
これらの結果は,従 来からの広範囲胃切除術に比べる
と,減 酸効果 の点 で捜分見分りがするが,多 くの施設3ゆ34)35)36)か
らの報告でも判るように,壁 細胞領域が完全
に denervateされた場合,再 発潰瘍を見る事はほとんど
ない.逆 に術後適当な至適酸度を求めることは意義ある
ものと考えられる3め.未 だこの術式が行われ始めて日も
浅 く,今 後長期の f0110wsuPが必要である。
SPV術 式後,Insulin testを行つた JChnSttn3り(1973)
らの結果によると,術 後早期では陰性が97%で ,酸 分泌
も著明に減少しているが,時 期が経つにしたがい,陽 性
を示す症例が増加し酸分泌もわずかではあるが増加の傾
向にある。同様 な傾向は Hallenbeck3め(1974)も 指摘
しており,犬 の実験で術後 6カ 月以降,酸 分泌は一部回
復し,2年 目で安定したと述べている。そしてこれは一
部迷走神経線維が rein■ewateし たためであろうと考え
ている.
最後にこの SPV術 式を Casrin値 の面から検討して
みる。すなわち残される幽門洞枝が Castrin分泌に如何
に働くか。あるいは運動機能,減 酸効果 な どで 良好な
成績を示したこの術式が Castrin値をも低下させている
か。この術式に Draittgeは 不必要なものか,な どの問
題である。
Edkinsの Castrin発見以来,実 際 に血中 Castrinを
測定出来る様になるまで,実 験動物を用いた数多くの成
績が報告されてきた。古くは1942年UW返ぎ。の迷走神経
刺激が幽門洞から Castrinを遊離させるという仮説に始
まり,こ れを是とする者,あ るいは非とする者,種 報々
告されている。Nァhusa)(1960)は ISOIated extrinsically
innervated antral pouchの実験 か ら,迷 走神経幽門洞
近位選択的迷走神経切断術に関する実験的研究 日消外会誌 9巻 4号
校の切離後,POuchか らの 胃液分泌 は減少し,さ らに
Insulin投与による迷走神経刺激でも胃酸分泌 が減少し
たことから幽門洞枝は Castrin遊出促進作用をもつと結
論している。Emastの(1969)ら も同様刺激的に作用する
と判断している。一方 」anowitZ43)(1951)は迷走神経刺
激は Cattrin遊出の根拠とならず,Hart4o(1968)は 幽
門洞枝が Castボn遊 離を抑制する事を示唆した。1970年
以降 GastrinのRadioimmunOassay法の確立により直接
Gastrinを測定する事 が可能になり,こ の問題が引き続
き検討されている.Stadi14D(1974)は3種類の迷切すな
わち TV,SV,HSV(SPV)の 術前後 で血中 Castrin値
を検討した.術 後 の基礎値は HSVお よび Wで 増加
し,SVで あまり増加を見なかつた, そ して Insulin刺
激後,HSVで SVよ りもわずかに増加がみられたが,有
意の差 は見い出していない,Becker4o(1974)は 犬を用
いて迷走神経幽門洞校に直接電気刺激を加えて幽門洞か
らの Castrin分泌を非常に明確な実験で証明している。
著者の今回の実験は,食 餌負荷に伴 うCastrin値を幽門
洞校の切離および温存 の'両
面 から検討したものである
が,当 然神経切断に伴う幽門洞部の Distensionが考えら
れ,幽 門成形 を付加する実験 を行つた,そ の結果は第
1群 ,お よび第 2群 の小括でも触 れ た が,幽 門洞校に
Cattrin抑制作用はもちろん,著 明な促進作用も認める
事ができなかつた。この点に関してはわが国でも徳島大
櫛田4め,古 味
4りらの報告もあり関′いの あるところであ
る.
一般に迷切後の Cattrin値が高値をとる事は諸家の報
告からも一致する事実である。MCCuigan4D(1972)ら は
十二指腸潰瘍症例に迷切兼幽門成形術を施行して両者を
比較し,前 者で血中空腹時 Castrin値は右意に減少し,
酸分泌も90%以 上 の減酸 を示したが,後 者では酸分泌
の減少 は認 められたが,Castrin値 は減少しなかつた
と報告している. Korman50505り(1972~739ら もTV+
Py10rectomy,SVぉ よび SPV術 で, 術式による差はあ
れ,基 礎および刺激後の血中 Castrin値の増加 を認め
ている。この術後 Castrin値の増加 は,胃 液酸度の低
下,胃 壁 の拡張,十 二指腸液 の逆流,あ るいは胃外性
Gastrinの増加など種々の理由によるものと考えられる
が,標 的細胞である壁細胞の感受性が低下しているため
か,胃 酸分泌の刺激になつていない事は注目される。
そして最近では迷切術の大部分が SPV術 式に関して
の議論である。そこでこの術式に伴 う血中 Castrin値の
変動と,こ の術式に併設される Drainage術 の可否につ
1976年7月
いて諸家の報告を振 り返つてみる。
1971年Klempa5ゅは犬の実験で食餌刺激による HCi‐
denhain胃襲からの分泌は迷切が拡がるにつれて増加す
る事を認め,こ の効果は Drainageを付加する事により
減弱し,さ らに幽門成形を伴つた SPVに おいて胃襲か
らの増加率は最も少なくなると報告している。そしてこ
の現象は血や Gastrin値の増加に原因するもので,幽 門
成形が必要であると結論している,
Kormanう。(1973)は 蜜白食摂取後,Drainageの 有無
にかかわらず,SPV術 式で は血中 Castrin値に差果は
なかつた。しかし Insulin刺激によれば, SV術 後あま
り変化がなかつたにもかかわらず,SPV術 後では血中
Gastrin値が塩±1,6か ら 174±3.6Pg/mlに上昇した事
から,温 存 され る幽門洞枝による Casttin遊離作用に
よるものと推論している。一方 監OnbOrg5け(1973)は幽
門成形を伴つた SV術 と SPV術 で血中 Castrinぉょび
酸分泌を測定し,Insulin刺激後では酸分泌 は減少した
が,血 中 Castrin値は不変であつたといつている。また
clark5の(1973)は肉汁負荷による血中 Gastrinを測定し
たが,術 後 Insulin testが陰性の症例にのみ Castrin分
泌が減少しているのを認めた。
Jaresつ5ゅ
(1974)らは40例の十二指腸潰瘍症例にSPV,
SV術 式で With Or without PylorOPlastyを施行し,種 々
の力J激による血中 Castrin値を比較した。迷切後,基 礎
Castrin値は術前 に比べて57%増 加し,肉 汁刺激に対す
る反応も増強したが,Drainage術 の併設でその増加は
抑制 された。Insulin刺激では Drainageの有無による
影響はなかつた.こ の事から Castric distensionの防止
と,食 餌雲白の接触時間を短縮させる事が Castrin分泌
を最小にすると考えている。
その他 H01le5の(1974),Becker6の(1974)ら SPV術 式
に関する報告は増加している。
今回の著者の実験でも,第 1群 ii)の幽F目成形を伴つ
た SPV群 で Castrinの上昇が抑制され,ま た第3群幽
問成形を付力Hした実験犬で,血 中 Castrin値の低下を見
た事 は,Jare,H。 1leら の成績と相通じるものと考え
る。
術直後には完全な迷切が施行された場合,十 分な減酸
が得られることは事実であるが,取 扱 う疾患の性質上非
常に長期的な す。110w‐uPが 要求される。そしてその際岡
題となるのは減酸効果の永続性であり,壁 細胞領域への
神経再生である。未だ Casttinの壁細胞への作用機序に
関し定説を見ない現状であるが,い ずれにせよ迷走神経
107(503)
が関与する役割は大きく,そ のためにも Casttin値を低
下させておく事は重要な事であると考える。
結 語
近位選迷切術 に伴 う実験的検索 として,HCidenhain
胃襲犬を作成し,胃 酸分泌と血中 Cast五n値 の観点から
温存される迷走神経幽門洞枝の働きと,近 位選迷切術に
併設される幽門成形の有用性について検討を加えた。
(1)近 位選迷切犬では,胃 嚢からの胃酸分泌は幽門
成形の有無に か かわらず若千減少したが,血 中 Castrin
値は幽門成形を伴わない群で著明な増加を示 した。しか
し幽門成形を併設した群で殆 ど変化が見られなかつた事
から,Drainage術 が 血中 Castrinの上昇を抑えている
と考える。
(2)迷 走神経幽門洞枝を切断する事により,胃 酸分
泌,血 中 Castrinともに著明な増加を認めたが,幽 門成
形を併設する事により逆に減少を来した.こ の事から逃
走神経幽門洞枝が Castrin分泌を抑制するものでない事
が知られた。
(3)近 位選迷切術に幽門成形を付加した実験群で,
胃酸分泌ならびに血中 Castrinともに低下する事が確認
され,Drainage効 果の有用性が認められた。
本論文の要旨は, 日本消化器外科学会第 7回 総会, 日
本外科学会第75回総会にて発表した.
稿を終るに臨み, ご指導, ご校閲を頂いた恩師橋本男
教授,な らびに小玉正智講師に深甚なる謝意を表する.
文 献
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