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Page 1: タイ消費者調査 - Deloitte US...はじめに 3 さらなる発展と上昇へ 4 タイ消費者調査 8 1. 消費者マインド 11 2. 支出構成 12 3. 購買行動 15 4. ブランド選択

タイ消費者調査さらなる発展と上昇へ

2016年11月

1

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はじめに 3

さらなる発展と上昇へ 4

タイ消費者調査 8

1. 消費者マインド 11

2. 支出構成 12

3. 購買行動 15

4. ブランド選択 20

5. 情報入手経路 22

6. 購買チャネル 24

7. eコマースの台頭 30

今後の展望 32

コンタクト 34

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はじめにタイは、東南アジアの中でも特に洗練された消費者が多い国である。タイの消費者は経済について

楽観的ながらも慎重な見方をしており、概して分別よく、収入の範囲内で支出をしている。しかしな

がら、だからと言って必ずしも価格が購買決定要因になるとは限らない。

我々として初となるタイでの消費者調査は、今年半ばにバンコクとチェンマイの2都市で実施された。調査結果から、タイの都市部に住む消費者が、自分にふさわしい、つまり、個々のニーズや欲求を

満たす特徴を備えた商品に強い関心を持っていることが分かった。また、消費者の購買力が増す

ほど、そうした特徴への出費をいとわない傾向が強くなることも明らかとなった。

しかし、重視されるのは商品の機能だけではない。タイの都市部に住む消費者は流行に敏感で、

特に衣類・靴、家電機器に関して、最新の流行に遅れまいとする傾向が顕著になっている。注目す

べきは、衣類や靴を購入する際に、商品の着心地や履き心地よりも、自分の身体にフィットし見栄

えが良いかどうかを重視することである。消費財メーカーや小売企業がこうした目の肥えた消費者

のニーズを満たすには、彼らに劣らぬスピードでその行動を理解する必要がある。

調査を実施した主要都市では、モダントレードが小売業の大部分を占めている。中でも、ハイパー

マーケットは豊富な品揃えや頻繁なPR活動に加え、銀行、レストラン、その他の専門店といったさまざまな店舗を1か所に集積することで、主導的な立場を確立している。とはいえ、トラディショナルトレードも、その訴求力をある程度は保っている。個人経営の商店は、便利な住宅エリアにあり、例

外はあるにせよ、価格が比較的安いと考えられている。しかし、ハイパーマーケットやコンビニエン

スストアといった、モダントレードの年中無休の利便性や品揃えの豊富さは、消費者をますます引き

付けており、トラディショナルトレードの存在が危うくなってきている。

タイのeコマース市場は急速に成長しているが、6,800万という人口と、携帯端末、ソーシャルメディア、インターネットの高い普及率を考えれば、依然として前途有望な未開拓の市場であるといえる。

決済のセキュリティに対する懸念が大きな障害として残るものの、代金引換払いなどの代替決済手

段によって、オンラインチャネルの普及は進んでいる。

確かなのは、前途有望なタイ市場がさらなる発展と上昇の軌道に乗っているということである。本レ

ポートがこの成長を有効に活用するうえで注意すべきさまざまなポイントを把握する一助となれば

幸いである。

消費財・産業用製品部門

東南アジア産業担当リーダー

ユージン・ホー

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

3

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4

タイは一世代にも満たない間に、低所得国から

高中所得国へと発展してきた。このタイの見事

な発展ぶりをよく物語っているのが貧困率で、

1980年の67%から2014年には11%へと大幅に低下している。これは、1980年代の好況期に平均7.5%、アジア金融危機後の1999~2005年に平均5%という高い経済成長を遂げたことによるものである*1 。

しかし、タイの経済はそれ以降減速し、2010年と2012年に例外的な上振れが見られたものの、過去10年間は概して低成長で推移している(図1)。こうした低迷には、大規模な公共投資プロジェクトの終了、自然災害*2、国内の政情不安*3

など、いくつかの理由があると考えられる。

現在、タイ経済は回復途上にあり、2016~2020年は年率3%以上の成長を示すと予想されている*4 。2015年のタイのGDPは3,950億米ドル*5で、1人当たりに換算すると5,800米ドルに相当する*6 。個人消費は、政府の刺激策や

補助金による効果に加え、観光業でも成長が

見込まれることから、増加が予想される。一方、

政府支出も6%増加している*7。これは、農民な

どの低所得層に雇用と継続的な収入をもたら

すためのプログラムを打ち出すなど、需要側に

対する政策によるものである。また、インフラ投

資も、官民連携による5件の巨大プロジェクトが矢継ぎ早に打ち出されたことで増加している。

プロジェクトの内容は、スカイトレインの建設が

3路線、高速道路の延伸工事が2路線で、総事業費は3,340億タイバーツにのぼる*8。

長年在位し尊敬を集めてきた国王が2016年10月に死去したことから、現在は1年間の服喪期間が設けられ、祝祭行事への過大な出費は抑

制されている。しかし、タイ経済の基盤に変化

はなく、見通しは依然として明るい。

さらなる発展と上昇へ

*1:“Overview – Thailand”. The World Bank. April 2016. http://www.worldbank.org/en/country/thailand/overview*2:“Thailand's economy falls into recession”. BBC News. 19 August 2013. http://www.bbc.com/news/business-23751846*3:“Thailand Consumer Confidence.” Trading Economics. http://www.tradingeconomics.com/thailand/consumer-confidence*4:“Economic growth”. The Economist Intelligence Unit. 23 June 2016. http://country.eiu.com/articleaspx?articleid=1044338288&Country=Thailand&topic=Economy&

subtopic=Forecast&subsubtopic=Economic+growth&aid=1&oid=1644318148*5:“GDP (current US$)”. The World Bank. http://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.MKTP.CD*6:“GDP per capital (current US$)”. The World Bank. http://data.worldbank.org/indicator/NY.GDP.PCAP.CD*7: Bureau of the Budget. http://www.bb.go.th*8:“First 5 mega projects to be expedited next year”. 12 November 2015. National News Bureau of Thailand. http://thainews.prd.go.th/website_en/news/news_detail/

WNECO581112001000

出所:Asian Development Bank

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

2011

5.0%

2009

1.7%

4.2%5.4%

0.8%

2005 20082006 20102007

7.5%

3.5%

2015 2017F2016F

3.2%

2013

2.7%

7.2%

2012

2.8%

0.8%

2014

図1:タイのGDP成長率(2005~2017年、2016年以降は予測値)

-0.7%

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5

所得水準の向上

タイ経済の成長と、都市化や経済政策による後

押しを背景に、家計の実質所得は着実に増加

しており、この傾向は今後も続くと予想される

(図2)。

2010年の中間所得世帯(年間世帯収入175,000~875,000タイバーツ)の割合は69%

であったが、2015年には73%に増加している。さらに、2020年にはこの割合が75%に達し(図3)、高級品など生活必需品以外の商品の需要増大を下支えすると予想される。

短期的には、ある程度の所得格差が継続する

と見込まれ、低所得層の大部分は農村部の住

民であることから、都市部以外での小売業者の

拡大余地は限られる。しかし、首都バンコクなど

の主要都市における小売業は盛況で、ローカ

ル企業・外国企業のいずれも、多数の小売業

者が活発に事業を展開している。主要都市で

は、食料品量販店、デパート、ショッピングモー

ルの出店が特に進んでいる。

図2:2015年を基準とした場合の家計の実質可処分所得(2000~2020年、2016以降は予測値)

出所:The Economist Intelligence Unit (2016)

図3:世帯年収別の各世帯収入階層の割合(2000~2020年、2020年は予測値)

出所:The Economist Intelligence Unit (2016)

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

家計の実質可処分所得

(十億タイバーツ)

7,000

3,000

9,000

6,000

8,000

0

5,000

4,000

2,000

1,000

5,8255,435

2002 2005

6,396

5,080

6,287

2004

6,068 6,230

200920082007

8,381

2019F

6,7016,465

2003 2006

年率 +3.8%

年率 +2.1%

2020F

7,376 7,6937,305

20152011 2016F

8,007

2014

6,830

2010 2017F

8,187

2013

7,4127,846

2012

7,566

2018F

4,353

20012000

4,788

世帯数(百万)

18

8

20

16

10

4

0

12

2

14

6

19%

19,740

40%

22%

2020F

42%

9%

2005

43%

2010

18,910

32% 28%

6%

43%

15%

7%5%4%3%

13%

2015

20%

19,420

22%

11%

19,130

17%2%

41%

2000

41%

11%

15,660

5%

525,001~875,000タイバーツ875,000タイバーツ超

175,001~350,000タイバーツ35,000~175,000タイバーツ

350,001~525,000タイバーツ

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東南アジアにおける物流の中心地

東南アジアの大陸部中心に位置するタイは、東

南アジアの輸送と貿易における戦略的ハブの1つである。また、タイは東南アジアの地政学上、

極めて重要な役割を担っており、ASEAN原加盟国の1つとして、ASEAN自由貿易地域*9の発

展をけん引している。

タイは経済特区(SEZ)政策により、近隣諸国であるカンボジア、ラオス、マレーシア、ミャンマー

との国際貿易を推進している(図4)*10。この

SEZの発展に伴って農村部のインフラ整備や工業化が加速しており、ひいては経済の高成

長を持続可能なものとしている。

タイはまた、北東部の対ラオス国境と東部の港

湾や工業地帯を結ぶ、総延長873kmに及ぶ高速鉄道の建設をめぐって中国と交渉中である。

この建設プロジェクトの第一段階は、2016年末までの開始が見込まれている*11 。

輸送インフラ整備、通関の効率化への継続的

な取り組みは、物流産業に良い結果をもたらし

ており、GDPに占める物流コストの割合は、2001~2008年の16~18%から、2009~2012年には14~15%に低下した*12 。

また、タイは世界的な生産バリューチェーンの

シフトに対する準備も進めている。中国や東南

アジアの発展した国々でコストが高騰している

ことから、多くの外国メーカーがミャンマーやベ

トナムなど、大メコン圏にある生産コストのより

低い国に拠点を移している。東南アジア諸国に

おけるこうした生産拠点の移転は、タイの生産

設備を中心的な地位に押し上げるとともに、東

南アジアにおける物流の重要ハブとしてタイの

存在感を高めている。

6

*9:“Investing in the Land of Smiles: Advantages of Thailand”. American Commerce In Thailand.*10:“Government Accelerating Infrastructure Development in Special Economic Zones”. The Government Public Relations Department http://Thailand.prd.go.th/ewt_news

.php?nid=90&filename=index*11:“Thailand, China agree on $5 billion cost for rail project’s first phase”. Reuters. 21 September 2016. http://www.reuters.com/article/us-Thailand-china-railway-

idUSKCN11R0Q1*12:“Thailand: ASEAN’s Key Logistics Hub”. HKTDC Research. 23 April 2015. http://economists-pick-research.hktdc.com/business-news/article/Research-Articles/

Thailand-ASEAN-s-Key-Logistics-Hub/rp/en/1/1X000000/1X0A25UR.htm*13:The World Bank. http://data.worldbank.org/indicator/SP.POP.TOTL?locations=TH*14:“Thailand consumer trends: E-commerce ‘un-stoppable’ as 4G rollout goes rural”. Campaign Asia. 23 February 2016. http://www.campaignasia.com/article/thailand-

consumer-trends-e-commerce-unstoppable-as-4g-rollout-goes-rural/405967

eコマースとデジタル経済の台頭タイにおける携帯端末、ソーシャルメディア、イ

ンターネットの普及率は、東南アジアで最高水

準にある(図5~7)。この普及率の高さと6,800万という巨大な人口規模*13を考え合わせると、

タイは東南アジアで最も魅力的なeコマース市場の1つであるといえる。

2013年の3Gに続き、2016年に4Gのサービスが始まったことで、タイでは農村部にまでイン

ターネットが普及しており*14 、人口の約半数が

インスタントメッセージングアプリケーションや

Facebookを通じてソーシャルメディアを利用している。ソーシャルメディアの利用時間もかなり

長く、都市部では、世界平均(1.7時間/日)よりも長い時間(2.9時間/日)が費やされている。

図4:タイの経済特区と重点産業(2015年)

出所:Ministry of Commerce, Thailand Board of Investment

タークムクダーハーン

サケーオ

トラート

ソンクラー

農業・漁業関連産業 セラミック製品 繊維・衣類・皮革産業 家具製造 宝石・宝飾品 医療機器 自動車・機械・部品 電気製品・電子機器 プラスチック製品 医薬品 物流 工業団地・工業地帯 観光関連産業

農業・漁業関連産業 繊維、衣類、皮革産業 家具製造 物流 工業団地・工業地帯 観光関連産業

農業・漁業関連産業 電気製品・電子機器 物流 工業団地・工業地帯 観光関連産業

農業・漁業関連産業 繊維・衣類・皮革産業 家具製造 宝石・宝飾品 医療機器 自動車・機械・部品 電気製品・電子機器 プラスチック製品 医薬品 物流 工業団地・工業地帯 観光関連産業

農業・漁業関連産業 物流 工業団地・工業地帯 観光関連産業

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

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7

オンラインを活用する小売業者も増加しており、

商品の宣伝、既存顧客との関係強化に加え、

利便性の高いオンラインショッピングの提供に

乗り出している。さらに、クレジットカードやデ

ビットカードの普及によって、オンライン決済が

日常生活の一部となりつつある*15。

タイのeコマース市場は急速に成長しており、企業と消費者間(B2C)の取引は過去3年の間に年率33.5%で増加している。これに対し、実店舗における売上高の伸び率は6%に過ぎない。1人当たりのeコマースによる取引金額は、タイが東南アジア内でシンガポールとマレーシアに

次ぐ第3位となっている(図8)*16。しかし、市場

の規模を考えると、短期的には従来型の店舗

が、タイの成長する小売業界において引き続き

重要な役割を果たすと見られる。

*15:“New trends in Thailand’ Retail Market”. HKTDC Research. 13 May 2015. http://economists-pick-research.hktdc.com/business-news/article/Research-Articles/New-Trends-in-Thailand-s-Retail-Market/rp/en/1/1X000000/1X0A2CDN.htm

*16:“Value of E-Commerce Survey in Thailand 2016”. Electronic Transactions Development Agency. https://www.etda.or.th

図5:東南アジアにおける携帯端末の普及率*(2015年)

図6:東南アジアにおけるソーシャルメディアの普及率(2015年)

図7:東南アジアにおけるインターネットの普及率(2015年)

図8:タイにおけるeコマースの台頭

出所:Tech in Asia

出所:Tech in Asia

出所:Tech in Asia

出所:Electronic Transactions Development Agency

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

東ティモール

ミャンマー

シンガポール

フィリピン

69%

126%

マレーシア

146%

タイ

56%71%

ラオス

112%

インドネシア

125%

ブルネイ

136%

カンボジア

155% 150% 149%

ベトナム

ミャンマー

14%

ラオス

14%24%

47%

タイ

カンボジア

インドネシア

ベトナム

58%

マレーシア

59%

31%

東ティモール

フィリピン

40%22%

67%69%

シンガポール

ブルネイ

インドネシア

フィリピン

46%

14%32%

カンボジア

54%67%

ブルネイ

81%

マレーシア

シンガポール

ベトナム

34% 32%

タイ

84%

9%

東ティモール

ミャンマー

ラオス

1%

20

5

25

15

10

0

20.8年率+33.5%

15.7

2016F20152014

11.7

タイにおけるB2C eコマースの成長(2014~2016年、2016以降は予測値)

東南アジアにおけるB2C eコマースの1人当たりの価値(米ドル)

10.2インドネシア

タイ

41.4

ベトナム

648.6シンガポール

230.9

15.5

マレーシア 392.3

フィリピン

172.8

23.2

32.744.4

321.0

630.8

20142015

(十億米ドル)

*: 契約回線を複数保有する消費者がいる場合、100%を超えることがある

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8

本レポートでは、デロイトが今年半ばにバンコク

とチェンマイで実施した調査結果を元に、消費

者行動パターンを分析する。

まず、全般的な消費者マインドを検証したうえで、

具体的な支出構成や購買行動について詳しく

見ていく。その後、タイの消費者の情報入手経

路や購買チャネルを分析するとともに、初期段

階ではあるものの活況を呈しつつある、タイのeコマース業界についても取り上げる。

調査方法

2016年半ばに、タイ最大級の都市であるバンコクとチェンマイにおいて、1,000世帯を対象とした対面インタビュー調査を実施した。バンコク

を選んだのは、タイの首都としてGDPに対する寄与度が高いからである。一方、チェンマイに

ついては、経済成長率が高いほか、タイの経済

中心地の1つとして急速に浮上していることから選択した。

調査対象者の選定にあたっては、年齢、性別、

世帯月収という観点から、タイ人口を代表する

ようにサンプル数を割り当てた。

調査では、11種の製品カテゴリーにおける支出構成、購買行動、ブランド選択、情報入手経路、

購買チャネル、eコマースの利用状況および地域性についてヒアリングを行った。

タイ消費者調査

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

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9

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

製品カテゴリー大分類 小分類(例)

菓子類 ビスケット

パン

チョコレート

焼き菓子

加工食品 即席めん

スープ・粥

朝食用シリアル

飲料 果物・野菜ジュース

茶系飲料

コーヒー飲料

清涼飲料

タバコ 紙巻きタバコ

葉巻

タバコ

衣類・靴 衣類

パーソナルケア・衛生用品 ボディケア・シャワー用品

紙おむつ

ヘアケア用品

生理用ナプキン

練り歯磨き

家庭用清掃用品 食器洗い用品

洗濯用品

AV機器 DVD・VCDプレーヤー ラジオ

テレビ

デジタルカメラ・その他携帯機器 デジタルカメラ

携帯電話

タブレット

大型白物家電 エアコン

冷蔵庫

洗濯機

小型白物家電 アイロン

ヘアドライヤー

電子レンジ

炊飯器

トースター

電気掃除機

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10

調査回答者の属性構成

調査回答者の地理的分布 調査回答者の性別分布

調査回答者の年齢分布

調査回答者の世帯月収分布

性別、年齢、居住地の分布がタイの消費者を代表する構成となるよう、調査対象グループに定員を設け、必要に応じて

データの偏りを微調整するために重みづけを行った。

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

70%

30%

バンコク

チェンマイ

46% 54%

25~34

50~64

15~24

35~49

年齢層(歳)

調査回答者に占める割合

18%

42%

5%

35%

18%

35,001~50,000

12%

世帯月収(タイバーツ)

18,000~24,000

18,000未満 28%

12%

14%

85,000超

50,001~85,000

調査回答者に占める割合

24,001~35,000

16%

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11

楽観的ながらも慎重

タイの消費者は、世帯収入の水準にかかわら

ず、経済について概ね楽観的で明るい見通し

を持っている(図9)。

調査回答者の73%が多かれ少なかれ楽観的な見方を示した一方で、支出に対しては慎重さ

が見られ、今後5年間に支出を増やすつもりだと答えたのは40%に過ぎなかった。これらの回答者の大半は、支出の増加率を10%未満、または10~25%と回答している(図10)。

こうした楽観的ながらも慎重な姿勢は、過去10年間の経済成長の鈍化に少なからず起因して

いる。平均月給の伸びは2012~2014年の8~10%から、2015年には2%に低下している*17。

1. 消費者マインド図9:タイ経済は今後改善すると思いますか?

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

図10:今後5年間における生活必需品以外に対する可処分所得からの支出について、増額、減額、据え置きなどの見通しを教えてください

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

*17:“Average wage in Thailand”. Bank of Thailand. https://www.bot.or.th/English/Statistics/EconomicAndFinancial/RealSector/Pages/Index.aspx

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

27%

41%

38%

26%

40% 20%

85,000超 43%

38%

31%

35,001~50,000

50,001~85,000 40%

46%

調査回答者に占める割合

39%

25%

24,001~35,000 34%

18,000~24,000 24%

18,000未満

29%

30% 29%

悲観的どちらかと言えば楽観的楽観的

世帯月収(タイバーツ)

10%

50%

20%

40%

0%

30%

100%

70%

60%

80%

90% 27%

41%

32%

景況感

楽観的

悲観的

どちらかと言えば楽観的

支出を増やす意向

60%

40%

13%

30%

42%

16%

今後の支出増加率

10~25%

50%超

10%未満

26~50%

いいえ

はい

調査回答者に占める割合

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12

分別のある支出

タイの消費者は、概して収入の範囲内で支出をしている。世帯月収が18,000タイバーツ未満の階層を除き、世帯収入は一般に世帯支出を上回っている(図11)。

2. 支出構成

図11:一世帯当たりの月平均収入・支出額

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

35,001~50,000

17,000

12,000

22,000

85,000超

50,001~85,000

72,000

37,000

18,000~24,000

24,001~35,000

26,000

18,000未満

一世帯当たりの月平均支出額(タイバーツ)

一世帯当たりの

月間黒字(赤字)指数

(タイバーツ)*

3,000

4,000

7,500

16,500

30,500

13,000超

*:一世帯当たりの月平均収入額と月平均支出額との差額

世帯月収(タイバーツ)

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13

生活必需品を越えて

食品や飲料といった生活必需品への支出は、支出総額の23%を占めている。一方、住居、電気・ガス・水道、交通に関する支出が占める割合は18%となっている。ここで注目すべきなのは、支出の28%がクレジットカードの分割払い、レジャー・余暇、福祉・貯蓄に充てられているということである(図12)。

ただし、生活必需品以外に支出を充てるこうした傾向は、すべての所得階層で共通するわけではな

い。当然ながら、高所得層と比較して低所得層で生活必需品に対する支出が多い。また、主要都

市であるバンコクやチェンマイでは、住居費が非常に高いこともあり、低所得世帯では、支出の大

部分が住居費や交通費に充てられている。

世帯月収18,000~24,000タイバーツが、所得の余剰分を蓄えにまわせるようになる水準とされており、ここにも1つの転換点が存在すると見られる。こうした比較的高い所得水準の消費者では、クレジットカードなどの金融商品の利用が多いために支出が増加しがちであり、結果として生活必需

品以外への支出が増える傾向にある。一方、最低所得階層の消費者は、福祉・レジャーに対する

支出が全体の16%にとどまり、同項目が支出全体の36%を占める最高所得階層の消費者と比べると極めて対照的な結果になっている(図13)。

図12:3つの消費財グループの全般的な支出構成

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

17%

6%

23%

飲料

加工食品

生活必需品 福祉・レジャー 住居・交通

28%

9%

15%

4%

クレジットカードの分割払い

福利・貯蓄

レジャー・余暇

7%

11%

18%

住居・電気・ガス・水道

交通

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14

図13:世帯収入別の月間支出額の内訳

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

この成長に大きく寄与しているのが観光業である。

タイ最大の小売業者であるセントラルグループは、2016年度の業績予測を前年21%増の3,200億タイバーツ(91.7億米ドル)と発表した。そのうち、外国人と旅行者に対する売上の伸びは15%、残りを現地人に対する伸びが占める。

しかし今後は、観光業の減速を見込み、より慎重な姿勢を取る必要がある。長年在位し尊敬

を集めてきた国王が2016年10月に死去したことで1年間の服喪期間が宣言されたため、一部の外国消費財ブランドが予定していた販売関連やその他のイベントを取りやめるなど、当面は

活発な活動を自粛する動きが広がっている。

今後の注意点

タイは一般的に、安価に贅沢な旅行・ショッピングができる国と考えられている。

特に、タイの高級品市場は拡大傾向にあり、2015~2016年には8%の成長率を示し、16億米ドルの規模に達している*18。

*18:“Luxury Goods in Thailand”. January 2016. Euromonitor.

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

4% 6%5%

調査回答者に占める割合

14% 19%

50,001~85,000

3%

16% 4%

1%

3% 4%

2%

7%85,000超 5% 3% 9% 11%

2%

3% 2% 5%4% 7% 9%15%

6%

6% 5%7%

17%

2% 3%

35,001~50,000 5%

1%

10% 7%

6%

2%

5%

1%

4% 10%

2%

1%

11% 7% 4%

2%

3%

19%

4%

2%

4% 7% 17%

24,001~35,000

1%

4% 6%

3%

2%

3% 5% 3%7% 9%

3% 11% 7%

1%

5%

4%18% 6% 3%6% 5% 12%3%4%

18,000~24,000 20% 4% 4%

6%

5% 12% 8%

20% 4% 3%18,000未満 3%2% 7%7%

10%

6%

5%

交通

住居・電気・ガス・水道

通信・メディア レジャー・余暇

福祉・レジャー

クレジットカードの分割払い

AV機器飲料 家庭用清掃用品

衣類・靴

パーソナルケア・衛生用品加工食品 大型白物家電

デジタルカメラ・その他携帯機器

小型白物家電

タバコ

世帯月収(タイバーツ)

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15

流行に敏感な消費者

東南アジアの中でも比較的洗練されているタイ

の消費者は、大半の製品カテゴリーで価格以

外の要素を重視している(図14)。例えば、加工食品の購入にあたっては、最も重視する要素

の3つを、味、安全性、信頼性としており、価格は4番目に挙げられている。一方、消費者が日常的に使用するパーソナル

ケア・衛生用品や家庭用清掃用品では、安全

性、信頼性、品質全般が上位に入っている。

また、タイの消費者は、衣類・靴や家電機器を

中心に、流行の商品を好む傾向がある。衣類・

靴を購入する際には、フィット感と使用感が価

格よりも重視されている。

家電機器でも、価格ではなく、技術とブランドの

信頼性が最も重要な要素となっている。高所得

階層では、白物家電は大型・小型ともに、品質

の重要性が増している(図15)。消費者は、これらの製品を最新技術の登場に合わせて定期

的に買い替える必要がある高額商品と捉え、

価格が品質に見合うことを重視していると考え

られる。

3. 購買行動図14:7つの製品カテゴリーにおける重視する要素の順位

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

6%

PR活動

価格

4%

2%4%

匂い

種類の多さ

パッケージ

健康 9%品質全般 10%

27%

11%信頼性

安全性

14%12%

パッケージ 6%

安全性 10%

革新性

PR活動

7%

2%

品質全般

2%

匂い

14%

25%味

15%16%

信頼性

価格

価格

健康

13%

3%

PR活動

12%

信頼性

2%パッケージ

10%

匂い

種類の多さ 5%

革新性

8%

品質全般 13%

17%16%

安全性

10%PR活動

アフターサービス

3%種類の多さ

5%

革新性

デザイン

品質全般

価格

6%

12%13%14%

技術

ブランドの信頼性 16%20%

安全性 15%

パッケージ

匂い

4%PR活動

価格 10%6%

11%信頼性

3%

品質全般

12%健康 15%

味 21%

知名度

外観

14%

18%

3%

価格

耐久性

4%種類の多さ

素材

3%

5%

使用感

PR活動6%

11%品質全般

18%

フィット感 19%

種類の多さ

2%革新性

16%安全性 20%

4%パッケージ

9%

信頼性

匂い 9%

10%健康

PR活動

価格

4%

品質全般

12%14%

加工食品

タバコ

パーソナルケア・衛生用品

家電機器

飲料

衣類・靴

家庭用清掃用品

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16

革新性

デザイン

価格

6%品質全般 6%

種類の多さ 4%アフターサービス 6%

13%

23%

PR活動

11%

16%ブランドの信頼性 15%

技術

14%技術

7%

ブランドの信頼性

7%

19%

品質全般

デザイン

PR活動10%

18%

価格 12%

革新性

7%アフターサービス

種類の多さ 7%

6%8%

9%

PR活動

技術

品質全般

デザイン

ブランドの信頼性

価格

種類の多さ

9%アフターサービス

9%革新性

14%

18%

12%

16%

22%

5%8%

デザイン

PR活動

12%

14%

革新性

10%

ブランドの信頼性

価格

16%技術

品質全般

アフターサービス 6%種類の多さ 6% 8%

15%12%

21%

12%11%

14%

4%4% 6%

11%14%

11%

9%2%

9%

17%20%

3%

12%

4%5%

10%14%

15%21%

17%

5%

25%

12%13%

15%

11%

2%

5%

11%

12%

12%

5%5%

8%

13%10%

16%19% 21%

4%

8%

17%

15%

3%

9%8%

14%

5%5%

8%5%

13%15%

16%

19%13%

9%

1%6%

12%

12%16%

14%

16%14%

AV機器18,000~24,000タイバーツ

18,000~24,000タイバーツ

18,000~24,000タイバーツ

18,000~24,000タイバーツ

24,001~35,000タイバーツ

24,001~35,000タイバーツ

24,001~35,000タイバーツ

24,001~35,000タイバーツ

デジタルカメラ・その他携帯機器

大型白物家電

小型白物家電

図15:家電機器カテゴリーにおいて重視する要素の順位(世帯月収別、~35,000タイバーツ)

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

18,000タイバーツ未満

18,000タイバーツ未満

18,000タイバーツ未満

18,000タイバーツ未満

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17

4%

9%

18%13%

11%

3%7%

26%

10%

12%

8%

6%6%

4%

11%15%

18%19%

5%

3%8%

13%

8%16%

19%14%

14%

17%

3%

12%

6%9%

11%

4%

15%22%

2%

11%14%

11%

7%8%8%

24%15%

5%

11%

6%

9%16%

14%

1%

12%

26%

1%5%

8%10%10%

15%15%

13%23%

2%4%4%

11%13%

25%

16%

13%

12%

2%

20%

6%

21%

7%

7%

15%

13%

9%1%

5%

5%8%8%

23%

18%13%

18%

10%

24%9%

4%

5%

4%

18%

5%

19%

9%

2%2%

7%

8%

21%14%

21%15%

35,001~50,000タイバーツ 50,001~85,000タイバーツ 85,000タイバーツ超

35,001~50,000タイバーツ 50,001~85,000タイバーツ 85,000タイバーツ超

35,001~50,000タイバーツ 50,001~85,000タイバーツ 85,000タイバーツ超

35,001~50,000タイバーツ 50,001~85,000タイバーツ 85,000タイバーツ超

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

図15:家電機器カテゴリーにおいて重視する要素の順位(世帯月収別、35001タイバーツ~)

革新性

デザイン

価格

品質全般

種類の多さ

アフターサービス

PR活動

ブランドの信頼性

技術

技術

ブランドの信頼性

品質全般

デザイン

PR活動

価格

革新性

アフターサービス

種類の多さ

PR活動

技術

品質全般

デザイン

ブランドの信頼性

価格

種類の多さ

アフターサービス

革新性

デザイン

PR活動

革新性

ブランドの信頼性

価格

技術

品質全般

アフターサービス

種類の多さ

AV機器

デジタルカメラ・その他携帯機器

大型白物家電

小型白物家電

Page 18: タイ消費者調査 - Deloitte US...はじめに 3 さらなる発展と上昇へ 4 タイ消費者調査 8 1. 消費者マインド 11 2. 支出構成 12 3. 購買行動 15 4. ブランド選択

18

購買力が増すほど価格感応度が低下

一般に、所得階層が高い消費者ほど、自分のニーズを満たす商品への出費をいとわない傾向が

強まる。より高額な商品の購入を検討すると答えた消費者が最低所得階層では9%に過ぎなかったのに対し、最高所得階層では28%に達した(図16)。これは消費財メーカーにとって、機能を拡充することで製品をより高価格で提供できる可能性があることを示している。

高額商品の購入を決定する際、消費者が重視する要素は製品カテゴリーによって異なる。飲料、

菓子類、加工食品、パーソナルケア・衛生用品では、品質を比較的重視し、衣類・靴では、使用感

や外観を重視する。また、家電機器では、革新的な機能や技術が購買を後押ししている(図17)。

図16:消費者が選択する価格帯(世帯収入別)

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

65%

35,001~50,000 68%

18%

76%

19%

17%

20%

24,001~35,000 70%

16%

18,000~24,000

9%

15%

85,000超 28%

15%

15%

50,001~85,000

56%

調査回答者に占める割合

10%

12%

71%

18,000未満

一般価格 低価格高価格

世帯月収(タイバーツ)

Page 19: タイ消費者調査 - Deloitte US...はじめに 3 さらなる発展と上昇へ 4 タイ消費者調査 8 1. 消費者マインド 11 2. 支出構成 12 3. 購買行動 15 4. ブランド選択

19

低価格 一般価格 高価格

味 27%安全性

6%価格

健康 6%10%

18%品質全般

匂い 11%

13%

8%

15%15%

安全性信頼性

23%

品質全般 7%健康

価格

8%価格 18%

12%品質全般信頼性

17%味14%安全性

健康 14%

外観

フィット感

耐久性

品質全般

22%

5%4%

価格 26%使用感 14%

12%

16%安全性

11%

価格

10%

信頼性 16%

8%健康

19%

匂い

品質全般

ブランドの信頼性7%8%

品質全般 12%価格 21%

革新性デザイン

11%技術 16%

革新性

ブランドの信頼性 12%

6%

技術 20%

9%

23%価格品質全般 11%デザイン

11%

9%

12%

10%11%

28%

7%

7%

31%

12%

8%

8%

9%10%11%11%

14%27%

9%

15%12%

15%22%

10%

5%

17%

12%

19%

15%

19%

12%13%

15%

9%

15%18%

23%

10%

11%10%

14%16%

15%24%

11%10%

11%15%

22%

5%

8%12%

11%26%

8%17%17%

17%14%14%

8%

12%

16%

9%16%

21%

10%

13%

18%7%

10%20%

25%

11%

10%17%

10%

14%

15%9%

16%14%

11%

25%

菓子類

加工食品

飲料

衣類・靴

パーソナルケア・衛生用品

AV機器

デジタルカメラ・その他携帯機器

図17:消費者が各価格帯で購買を決定する際に重視する要素の順位

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

Page 20: タイ消費者調査 - Deloitte US...はじめに 3 さらなる発展と上昇へ 4 タイ消費者調査 8 1. 消費者マインド 11 2. 支出構成 12 3. 購買行動 15 4. ブランド選択

20

国内外のブランドが混在

タイの消費者は、国内外ブランドのいずれも購入しており、その選択は製品カテゴリーによって

異なる(図18)。

4. ブランド選択

図18:世帯収入別のブランド選択

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

世帯月収(タイバーツ)

菓子類

41%

46%

61%

49%

50,001~85,000 48%

35,001~50,000

39%85,000超

51%

24,001~35,000

18,000~24,000

54%

52%

59%

52%18,000未満 48%

7%

99%

1%

2%

98%

1%

93%

99%

3%

97%

95%

5%

80%

17% 83%

17%

20%

81%

83%

84%

21% 79%

16%

19%

10018,000未満 26% 74%

49%

43%

85,000超 10051%

50,001~85,000 100

35,001~50,000

30% 70%

43% 100

35%

18,000~24,000

57%

10065%

57%

100

24,001~35,000

75%

24%

25%

72%

25%

76%

23%

74%

77%

26%

28%

75%

13%

89%

78%

11%

88% 12%

87%

22%

88%

89% 11%

12%

4%100%

96%85,000超

50,001~85,000

35,001~50,000 98%

94%

15%

18,000未満

85%

92%

18,000~24,000

2%24,001~35,000

6%

8%

16%84%

86% 14%

5%

95%

94%

9%6%

81% 19%

91%

12%

92%

95%

5%100%

93%

7%88%

90% 10%

8%

加工食品 飲料 タバコ

衣類・靴 パーソナルケア・衛生用品家庭用清掃用品世帯月収(タイバーツ)

世帯月収(タイバーツ)

AV機器 デジタルカメラ・その他携帯機器

大型白物家電 小型白物家電

外国産 国産

60%

24%

62%

75%

33%

40%

67%

38%

32%

25%

68%

76%

72%

16%

30%

84%

28%

25%

81%

75%

73% 27%

19%

70%

Page 21: タイ消費者調査 - Deloitte US...はじめに 3 さらなる発展と上昇へ 4 タイ消費者調査 8 1. 消費者マインド 11 2. 支出構成 12 3. 購買行動 15 4. ブランド選択

21

飲料と加工食品のカテゴリーでは、すべての所得層で国内ブランドの方が好まれている。これらの

ブランドは現地の嗜好に適合しているうえ、知名度が高く、長い伝統を持つ場合が多い。一方、

パーソナルケア・衛生用品と家庭用清掃用品のカテゴリーでは、欧米のブランドが優位に立ってい

る。

タバコと衣類・靴のカテゴリーでは、世帯収入の水準が上がるほど、外国ブランドに対する消費者

の支持が強くなっている。一方で、回答者の70%超がタバコを重要な支出項目として挙げなかったことは注目に値する。これは、タイの喫煙率が比較的低いことを反映している*19。

家電機器(AV機器、デジタルカメラ・その他携帯機器、大型白物家電、小型白物家電)のカテゴリーでは、所得水準にかかわらず、外国ブランドが市場の大半を占めている。

これは、国内ブランドの市場浸透率が低く、マーケティングのリソースも少ないためと考えられる。ま

た、日本、韓国、欧米のブランドが好まれており、特に韓国ブランドは低所得層で、欧米ブランドは

高所得層で支持されている(図19)。

図19:家電機器カテゴリーにおける世帯収入別のブランド選択

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

*19:Only 21% of the population aged 15 years and above are smokers (11.4 million out of 54.8 million people). “Survey of smoking and alcoholic behavior of Thais”. 2014. The National Statistical Office.

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

世帯月収(タイバーツ)

AV機器 デジタルカメラ・その他携帯機器

大型白物家電 小型白物家電

プライベートブランド韓国 国産欧米中国 日本

19%

30%

16%55% 13% 16%

45% 18%

44% 33%

30%

4%

41%

3%

6%

53%

23%13%

27%

3%

28%

24%

3%6%

11%

3%

36%

21%

7%

31%

10%

50%33%

4%

36%

5%

6%

6%

13%

13%

3%

50%

41%

46%

38%

14% 34%

48% 35% 16%

34%

6%

1%

13% 62%

38%

6%9%

21% 30% 9%

15%

9%

6%

13%

12%26%

10%

1%

47%

57% 15%

19%

36%

30%

19%

5%

24% 36%

11%

16%

50,001~85,000

85,000超

40% 9%

2%

38% 46% 13%

2%

51% 38% 10%

35,001~50,000

5%

44%

24,001~35,000 56%

4%

28%

18,000未満

9%

30%

2%

37%

8%

4%

15%

4% 6%

4%

18,000~24,000 35%

58%

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22

店頭PR活動とテレビが最上位タイの消費者のロイヤルティーは高くなく、製品カテゴリーにかかわらず店頭PR活動の影響を受けやすい(図20)。テレビなどの従来型メディアは、依然として購買決定に最も影響力を有している。一方、タバコ製品の購入に際しては、友人、同僚、親類からの口コミが重要な役割を果たしている

(図21)。

5. 情報入手経路

図20:最もよく利用する情報源

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

デジタル化に向かうか、それとも取り残されるか

タイの消費者市場に秘められたデジタルの可能性に、多くの企業が注目している。

タイの企業における2015年のデジタルメディア予算は、前年から62%増加して100億タイバーツ近くに達した。これは、主流メディア向け広告予算総額の約7%に相当する。デジタルメディアに最も投資していたのは、自動車やパーソナルケア関

連の企業などである*21。

デジタルメディアの浮上

デジタルメディアの順位は高くないが、近い将来、上位に入ると考えられる。タイの消費者は現在、

1日平均2.9時間をソーシャルメディアに費やしているが、テレビを見て過ごす時間は2.5時間に留まっている*20。

タイの消費者は、特に購入前の確認手段としてソーシャルメディア、ブログ、アプリケーション、企業

のウェブサイトをよく利用するようになっており、デジタルメディアの重要性がますます高まっている。

家電機器や外国ブランドの衣類・靴などのカテゴリーでは、よく利用される情報源としてデジタルメ

ディアが20%近くを占めている(図21)。

*20:“GWI Social Summary (Q4 2015)”. GlobalWebIndex.*21:Digital Advertising Association (Thailand). http://www.daat.in.th/index.php/ad-spending-2015.

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

14%

18%

テレビ

25%店頭のPR活動

10%

友人・同僚

23%

親類

ラジオ 1%

印刷媒体

1%

屋外広告

デジタルメディア

専門家

2%

6%

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23

図21:よく利用する情報源(ブランド別・製品カテゴリー別)

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

26%

3%1%

11%1%

26% 14%1%

5%

国産 4%16%1%

外国産 26% 28% 2%15% 15% 11%

19%

25%外国産および国産

16%

10% 4%

4%15% 4%14%

15%

13%

10% 15%

10%

14%

23%

3%

10%

23%

14%

外国産および国産

10% 4%1%

13%外国産および国産

17% 10%

17% 18%

外国産および国産

3%

23% 18% 15%

28% 18%

1%

3%

1%

4%

13%

22%

27%

15%

27%

9%1%

国産 15% 13%

1%

23%

外国産

1%

16% 14%

1%

11%1%

国産 23% 9% 5%1%

外国産 25% 13%

外国産

1%

1%

11%1%

15%

18% 9%

12%

国産

1%1%

19%

25%11%

12%

29%

28%

25% 13% 9%

2%

19%

21%

22%1%

3%1%

国産 27%

1%

18%外国産 27%

25%

26%

23%

国産

1%

14%

30% 6% 5%

1%

16% 3%

3%2%

7%

19%

外国産

27%

5%

9%

4%

1%

19% 6% 6%2%

国産 26%

5%

14%

7%

9%

1%

3%2%

外国産

20%1%

27%

26%

1%14%22%24%

印刷広告

デジタルメディア親類

屋外広告 ラジオ

専門家

友人・同僚

テレビ

店頭のPR活動

小型白物家電

菓子類

加工食品

飲料

タバコ

衣類・靴

パーソナルケア・衛生用品

家庭用清掃用品

AV機器

デジタルカメラ・その他携帯機器

大型白物家電

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24

モダントレードが主流

バンコクやチェンマイなどの主要都市では、モダントレードが好まれ、主な購買チャネルとしてよく利

用される。中でも、ハイパーマーケットは豊富な品揃えや頻繁なPR活動に加え、銀行、レストラン、その他の専門店といったさまざまな業種の店舗を1か所に集めることで、主導的な立場を確立している。(図22)。

6. 購買チャネル

図22:バンコクとチェンマイの調査回答者がよく利用する購買チャネル

ハイパーマーケットを好む傾向は、バンコクとチェンマイで共通している。ただし、タバコについては

例外で、消費者は依然として近所の行き付けの個人商店での購入を好んでいる(図23) 。特に低所得層は、まとめ買いではなく1箱ずつ購入する傾向があるため、個人商店を好む。

図23:家電機器以外における製品カテゴリー別・都市別のトラディショナルトレードとモダントレードの選択

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

31%

12%

コンビニエンスストア 26%

ハイパーマーケット

5%

露天商

オンラインショップ 2%

専門店

7%

デパート 10%

7%

個人商店

スーパーマーケット

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

菓子類 加工食品 飲料 タバコ 衣類・靴パーソナルケア・衛生用品

家庭用清掃用品

41%

32% 68%

59%

75%

58%

25%

42% 95%

5%

88%

12%

94%

14%

6%

86%

トラディショナルトレードモダントレード

21%

74% 26%

79%

25%75%

80% 20%

チェンマイ

22%

75% 25%

バンコク 78%

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25

逆に、家電機器を購入する場合は、どちらの都市でもハイパーマーケット、専門店、デパートといっ

たモダントレードの店舗の利用が明らか多い(図24)。

図24:家電機器における製品カテゴリー別・都市別のトラディショナルトレードとモダントレードの選択

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

また、トラディショナルトレードでの買い物を好む消費者は、モダントレードでの買い物を好む消費

者に比べて買い物の頻度が高く(毎日や毎週)、1回当たりの購入金額が少ない傾向がある。これは、トラディショナルトレードを好む消費者の大半が低所得層で購買力が限られるうえ、買い物の必

要がある時にしか店舗に行かない傾向にあるためである(図25と図26)。

図25:1回当たりの平均購入金額の分布

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

AV機器 デジタルカメラ・その他携帯機器 大型白物家電 小型白物家電

100%

98% 2%

95%

98%

5%

2% 99%

1%

100%

モダントレード トラディショナルトレード

バンコク 97%

99%

3%

チェンマイ

1%

25%

69%

6%

モダントレード

1,001~5,000タイバーツ500タイバーツ未満 500~1,000タイバーツ

トラディショナルトレード

9%

89%

2%

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26

異なる魅力

生鮮市場や個人商店といったトラディショナルトレードの店舗は住宅エリアにあることが多く、その

魅力は立地の利便性にある。また、多くの消費者は、例外はあるにせよ、トラディショナルトレード

の方が商品の価格が安いと考えている。一方、モダントレードはトラディショナルトレードに比べて品

揃えが豊富で利便性が高いうえ、店頭のPR活動も魅力的と捉えられている(図27)。

図26:週1回以上店舗に行く消費者の割合

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

購買チャネルの選択は、世帯月収の水準によっても変わる。例えば、家電機器を購入する際、低

所得層が大規模なハイパーマーケットを好む一方、高所得層は、デパートや専門店を好む傾向が

ある。

家電機器以外の製品については、最高所得階層は、ハイパーマーケット、スーパーマーケット、コン

ビニエンスストアなど、モダントレードのすべての形態をよく利用している(図28)。コンビニエンスストアは、食品・飲料、タバコなどの生活必需品の購入によく利用されている。一方のハイパーマー

ケットやスーパーマーケットは、利用頻度が比較的低いため、パーソナルケア・衛生用品や家庭用

清掃用品など、補充頻度のやや低い商品を購入する際によく利用されている。

図27:トラディショナルトレードを選ぶ理由とモダントレードを選ぶ理由

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

48%

飲料

77%

パーソナルケア・衛生用品

20%

家庭用清掃用品

21%

88%

加工食品

11% 10%

69%76%

菓子類

72%

トラディショナルトレードモダントレード

8%

3%

21% 18%10% 17%

30%

モダントレード 8%11%

17%

7%

11% 5%トラディショナルトレード 27% 3%3%

場所 品揃え利便性 サービス価格 PR活動営業時間入手可能性

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27

世帯月収(タイバーツ)

菓子類

22%

4%

85,000超

1% 1%

5% 43% 20%

4%

24,001~35,000 4%

3%

18,000~24,000 18% 60%

15%

1%

48%

2%7%

22%

4%

11%

1%

5%

3% 1%

25%

2%

1%

17%35,001~50,000

50,001~85,000

56%

4%

54% 12%1%

4%

5%

12%

2%

1%

29%

1%1%

57% 9%

1%

18,000未満

2%

5%

10% 44%

1%

2%

1%

14%

35%

3%

28% 26%

2% 1%

15% 28%

3%

3%

3%

38%

18%

8%

1%

3%

44%

1%

40%22%

6%

1%

1%

30%

28% 27%

38%

1%

29%

42%

17%

18%

3%

43%

1%

49%

10%

5%

22%

2%2%

51%

20%

1%

27%

9% 19%

1%

3%

27%

1%

1%

55%

19%

6%

14%

2%

2%

60%

58%

10%

13%

30%

1%

1%

1%

30%

2%

100

14%85,000超 100

3% 2% 3%

10% 68%

50,001~85,000

1%

16%

1%

49%

2%

35,001~50,000 40%

32%

3%

2%

100

2%

2%

100

2%2%1%

33%

2%

23%

1%

31%

1%

24,001~35,000

21%

100

1% 2%

18,000~24,000 42%

3%

1% 1%

23%

1%

23% 10046%

1% 3%2%1%

22%

1%

31%

18,000未満

64%

1%

68%

1%

2%

1% 1%

1%

66%

4%

18%13%

1%

12%

46%

6%

8%

16% 36%

17%

1%

1% 3%

15%

2%

8%

20%

5% 56%

15%

1%

55%

25%12%

1%

5%

16%

1% 1%

37%

67%11%

3%

10%

2%

11%

8%

13% 58%

64%

1%

1%

14%

21%

45%16%

68%

1%

19%

7% 2%

1%

54%4%24%

1%

17%

16%

18,000~24,000

13%

50,001~85,000

5%

41%

85,000超

3%

23%

4%

26%

3%

33%

24,001~35,000 47%

43%

35,001~50,000 31%

36%

31%

2%

3%

29%

5%

7%

62% 24% 14%

18,000未満

3%

54%

3%

24% 16%

2%

48%

3%

12%

7%

30%

36%

2%

26%

2%

4%

40%

22%

5%

3%

45%

5%

27%

50%

34%

37%

19%

8%

5%

21% 24%

50%

32%

2%

15% 42% 42%

66%

24%

4%

35%

24%

4%

70%

3%

16%

14%66%

3%

18%

17%

42%

23%

3%

30%

35%

3%

スーパーマーケット

露天商

専門店

コンビニエンスストア

生鮮市場

オンラインショップ

デパート

ハイパーマーケット

個人商店

加工食品 飲料 タバコ

衣類・靴 パーソナルケア・衛生用品 家庭用清掃用品世帯月収(タイバーツ)

世帯月収(タイバーツ)

AV機器 デジタルカメラ・その他携帯機器

大型白物家電 小型白物家電

13% 13%

4%

19%

50%

50%

6%

3%

69%

28%

33%

5%

65% 25%

7% 2% 2%

33%

23%

2%

13%

5%

5%

60%

65%

39%

70%

6%

56%

13%

8%

33%

50%

5%

65%

22%

6%

26%

44%

20%

5%

36%

6%

22%

53%

6%

9%

図28:製品カテゴリー別・世帯月収別の購買チャネルの選択

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

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28

トラディショナルトレードとモダントレードのあらゆるチャネル(生鮮市場、個人商店、コンビニエ

ンスストア、スーパーマーケット、ハイパーマーケット、デパート、専門店)から約100店舗の小売店を選定し、家電機器以外の製品と家電機器について、商品の入手可能性、陳列、PR活動に関する情報を収集した。

トラディショナルトレードの店舗は陳列スペースが限られ、商品の品揃えが比較的少ないため、

必然的に知名度が高く、需要と利ざやの大きい、個包装された商品を取り扱う傾向が強くなる。

こうした店舗は住宅エリアの徒歩圏内にある場合が多く、主に生活必需品を急いで買い足す

場合に利用される。また、通常、製品カテゴリー当たり5種類ほどの品揃えしかない。

住宅エリアでは、コンビニエンスストアも相次いで開店している。これらの店舗は面積が80~100m2程度あり、商品の品揃えもトラディショナルトレードより多い。通常、製品カテゴリー当た

り10~30種類の商品を取り扱っている。また、24時間営業のコンビニエンスストアは、共働き世帯が平日の仕事の後に生活必需品を買いに行くのにも便利である。

共働き世帯の、健康によい、作り立ての食事に対するニーズに応えるため、一部の店舗では、

便利で健康的な調理済み食品の提供を始めている。2015年のセブンイレブンの売上高に占める調理済み食品の割合は、全体の22%にのぼった。セブンイレブンはタイ最大級のコンビニエンスストアで、2016年第2四半期時点で店舗数が9,200店を超えている*22。セブンイレブン

では、コーヒーコーナーやパンコーナー、さらにはカウンターで料金の支払いや自動車保険購

入の窓口サービスなど、便利なサービスを顧客に提供している。

商品の品揃えが最も多いのは、もちろんスーパーマーケットとハイパーマーケットである(図

29)。ただし、高級な輸入品を提供して高所得層のニーズに応えようとしがちなスーパーマーケットとは対照的に、ハイパーマーケットは(外国ブランドを取り扱っている場合でも)知名度の

高い国産品に重点を置いている。また、ハイパーマーケットは、個別の商品に対する特設ブー

スや割引など、店頭のPR活動をよく行っている。これに対しスーパーマーケットでは大抵、そうしたPR活動の代わりにポイントカードや現金クーポンを提供している。

家電機器の場合、商品の品揃えはモダントレードのチャネル間で大きな差はない(図30)。ただし、デパートと専門店はハイパーマーケットに比べて、より高額な高級品を提供する傾向が

ある。さらに、低金利のクレジットカード払いなど、魅力的な支払い方法を提供している場合も

多い。このような専門店は、高額な家電機器を購入する際によく利用されている。

陳列スペースが限られているトラディショナルトレードの店舗では、大衆向けの量販ブランドな

ど、知名度の高い商品しか取り扱っていないことが多い。一方、新製品やニッチ市場向けの商

品は、基本的に幅広い商品を消費者に提供しているモダントレードの店舗で販売した方がよく

売れると考えられる。

品揃えの違い

デロイトでは、各種購買チャネルにおける商品の入手可能性と品揃えの豊富さ

を明らかにするために小売業調査を実施した。

*22:“CP ALL Annual report 2015”. CP All. http://www.cpall.co.th/Investor-Relations/annual-report-sec-filings/annual-report

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

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29

図29:選定した小売店における家電機器以外の製品カテゴリーの品揃え

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

図30:選定した小売店における家電機器カテゴリーの品揃え

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

店舗の形態 菓子類 加工食品 飲料 タバコパーソナルケア・衛生用品

家庭用清掃用品

生鮮市場 3 3 3 3 3 3

個人商店 3 3 3 3 3 3

コンビニエンスストア 17 11 27 8 28 12

スーパーマーケット 25 28 35 6 55 18

ハイパーマーケット 30 30 46 6 75 20

専門店 2 2 2 0 40 3

店舗の形態 AV機器 デジタルカメラ・その他携帯機器

大型白物家電 小型白物家電

ハイパーマーケット 18 21 14 24

デパート 25 28 30 38

専門店 25 35 28 19

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30

eコマースの成長が見込まれるタイでは、デジタルサービスの拡大、インターネットの普及、モバイル通信の増加、ソーシャルメディアの利用が進むにつれ、オンラインチャネルを通じて商品を購入

する消費者が急速に増えている。

重要なのは利便性

オンラインで買い物を行う理由として回答者が最も多く挙げたのは利便性である(図31)。利便性には、実店舗で苦労して商品を探さずとも、商品の情報を入手しやすい、価格を比較できる、支払い

ができる、商品を自宅で受け取ることができるといった、オンラインショッピングのさまざまな要素が

含まれている。

過去12か月の間に最もよく購入された品目としては、衣類、書籍、航空券、映画のチケットなどが挙げられた。一方で、実に45%もの消費者がセキュリティに対する懸念から、現在オンラインでの買い物をしていないと回答している(図31)。セキュリティは多くの消費者が抱いている懸念であり、主なオンライン小売業者の多くは、代金引換払いなどの代替決済手段によって、この懸念を払拭し

ようとしている。

7. eコマースの台頭

図31:タイにおけるオンラインショッピングを利用する・利用しない最大の理由

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

17%

商品レビュー

利便性

PR活動

種類の多さ

41%

18%

7%

16%

価格

利用する最大の理由

4%インターネット環境がない

クレジットカードを持っていない

価格

9%

セキュリティの問題

利用方法がわからない

10%種類の多さ

22%

9%

45%

利用しない最大の理由

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31

地域差

バンコクとチェンマイでは、バンコクの方がオンラインショッピングの普及率が高い。これは、バンコ

クの消費者のほうが利便性をより重視しているためである。一方、チェンマイでは多くの消費者が、

オンラインで買い物をしない主な理由としてクレジットカードを持っていないことを挙げている。した

がって、比較的小さな都市では、オンライントラフィックを増やすうえで、代金引換払いなどの代替

決済手段の提供が必要になる(図32)。

図32:都市別のオンラインショッピング行動

出所:Deloitte's Thailand Consumer Survey

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

オンラインで買い物をしていますか?

24%チェンマイ

64%バンコク

調査回答者に占める割合

76%

36% はい

いいえ

オンラインで買い物をする理由は何ですか?

調査回答者に占める割合

19% 20% 18% 10%チェンマイ 32%

バンコク 15%17% 6%44% 18%

オンラインで買い物をしない理由は何ですか?

43%

6%

8%

11%バンコク

16%

調査回答者に占める割合

3%チェンマイ 11%

46%

19%

23% 9% 5%

種類の多さ

利便性

価格

商品レビュー

PR活動

インターネット環境がない

価格

クレジットカードを持っていない

種類の多さ

利用方法がわからない

セキュリティの問題

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本レポートでは、タイの2つの主要都市、バンコクとチェンマイでデロイトが実施した消費者調査

の結果を元に、消費者の行動パターンを分析し

た。

分析から得られた主なポイントは、以下の4点である。

第1に、タイの消費者は東南アジアの中でも比較的洗練されており、楽観的ながらも慎重で、

分別のある支出をする。経済について明るい見

通しを持ちつつも、支出の増額には慎重であり、

収入の範囲内でしか支出しないことが多い。一

方で、基本的に価格にあまり敏感ではない。こ

れは一見矛盾しているように思えるかもしれな

いが、彼らが購買決定の際に見せる洗練され

た思考の表れである。

第2に、今回の調査から、流行商品に対するタイの消費者の行動も明らかとなった。具体的に

は、衣類・靴、家電機器に関しては、購買決定

の際に重視するものとして、最新の流行に密接

に関連した要素の順位が高くなっている。

第3に、バンコクやチェンマイのような主要都市では、モダントレードが主な購買チャネルとなっ

ており、ハイパーマーケットが主導的な立場を

確立している。一方、トラディショナルトレードに

ついても、便利な立地や、モダントレードの店舗

よりも安いと考えられていることから、製品カテ

ゴリーによっては、一部の消費者の支持をこれ

まで同様受けている。しかし、住宅エリアで高い

利便性を年中無休で提供するコンビニエンスス

トアの台頭によって、その存在自体が脅かされ

ている。また、モダントレードは多くの種類を取

り扱える一方で、トラディショナルトレードでは、

一般大衆市場向け商品しか売れない傾向にあ

ることも注目すべき点である。

最後に、タイのeコマース市場は急速に成長しており、依然として前途有望な未開拓市場であ

る。決済のセキュリティに対する懸念が大きな

障壁として残っているものの、オンラインチャネ

ルの普及を促す方法として、代金引換払いなど

の代替決済手段が提供されている。

近年の経済の停滞にもかかわらず、タイ経済

がさらなる高成長へと転じる兆しを見せている

中、目が肥えた、流行に敏感な、しかも感性が

豊かなタイの消費者は、急速な発展と上昇の

道を進んでいる。この動きに乗り後れないため

に、消費財メーカーや小売企業には、タイの消

費者の動向に応じた取組みが求められる。

今後の展望

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

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松尾 淳

パートナー/コンシューマービジネスリーダー

[email protected]

高橋 俊成

シニアマネジャー/シンガポール駐在

[email protected]

コンタクト

タイ消費者調査❘さらなる発展と上昇へ

遠藤 修平

マネジャー/シンガポール駐在

[email protected]

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デロイト トーマツ グループは日本におけるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(英国の法令に基づく保証有限責任

会社)のメンバーファームおよびそのグループ法人(有限責任監査法人トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング

合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人およびDT弁護士法人を含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひ

とつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、法務、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイ

ザリー等を提供しています。また、国内約40都市に約9,400名の専門家(公認会計士、税理士、弁護士、コンサルタントなど)を擁し、多国籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループWebサイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)は、監査、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、リスクアドバイザリー、税務およびこれらに関連するサービスを、さまざまな業種にわたる上場・非上場のクライアントに提供しています。全世

界150を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化されたビジネスに取り組むクライアントに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスをFortune Global500® の8割の企業に提供しています。“Making an impact that matters”を自らの使命とするデロイトの約245,000名の専門家については、Facebook、LinkedIn、Twitterもご覧ください。

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(“DTTL”)ならびにそのネットワーク組織を構成するメンバーファームおよびその関係会社のひとつまたは複数を指します。DTTLおよび各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。DTTL(または“DeloitteGlobal”)はクライアントへのサービス提供を行いません。Deloitteのメンバーファームによるグローバルネットワークの詳細は www.deloitte.com/jp/aboutをご覧ください。

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