電子の比電荷の測定 - 東京都市大学電子の円軌道の直径dの2乗d 2...
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電子の比電荷の測定一様な磁界(磁場)に垂直に入射した電子はローレンツ力を受けて等速円運動を行う。
その軌道半径を測定して、電子の比電荷e/mを求める。
1. 磁界からのローレンツ力の大きさは電荷の絶対値に比例する。電荷の絶対値が大きいほど曲がりやすい。
2. 同じ大きさの力を受けた時の1秒あたりの速度変化は質量で決まる。質量が大きいほど、曲がりにくい。
3. 比電荷の異なる粒子は違う軌道を描く。
4. 粒子を分別できる。電子の発見、確定に不可欠だった。(トムソンの実験)
ローレンツ力と電子の等速円運動• 磁場中を運動する荷電粒子にはローレンツ力がはたらく。
• ローレンツ力 Ԧ𝐹𝐿は,荷電粒子の電荷𝑞, 粒子の速度 Ԧ𝑣,磁束密度𝐵のべクトル積で表される。 Ԧ𝐹𝐿 = 𝑞 Ԧ𝑣 × 𝐵
• 電子の速度の向きと磁束密度の向きの両方に垂直な向きに Ԧ𝐹𝐿ははたらく。従って,ローレンツ力 Ԧ𝐹𝐿は電子に対して仕事をしないから電子の速さは変わらない。
円運動をする電子の運動方程式 𝑚𝑣2
𝑟= 𝑒𝑣𝐵
∴𝑒
𝑚=
𝑣
𝐵𝑟
𝒓は物差しで測定する𝒗,𝑩はコイル電流、電子銃の加速電圧で決まる
一様な磁界を作るためのヘルムホルツコイル
導線を電流が流れると磁界が生まれる。電流が磁束密度Bを決める。
コイルは電線を重ねたものだから流れる電流は強い磁界を作る。
ヘルムホルツコイルは一様な磁界を作れるコイル。
(『指針』p.155,158)
ヘルムホルツコイル
比電荷測定器の内部の様子
管球
目盛板(物差し)
ヘルムホルツコイル
管球の電子銃
電子銃電子銃
ヘリウムガスの入った管球で円運動を観測できる理由
電子はヘリウムガスと衝突し,ヘリウムが緑色の発光をする。それを観測している。
円軌道が円運動に見えるように,軌道面に垂直方向から観測することが重要。セッティングの確認。
電子の軌道半径を測定する
ビームの直径の外側を測定
電子の円軌道の直径Dの2乗D 2 と加速電圧Vとの関係(5.77)
𝐷2 =8
𝐵2 Τ𝑒 𝑚𝑉
この直線の傾きと磁束密度の大きさBから比電荷Τ𝑒 𝑚
が求められる。
測定はD 2 とVのグラフを描きながら実験し,
傾きを最小二乗法で計算する。
グラフを描きながら測定する!
電子の速さが電子銃での加速電圧で決まる理由
加速電圧𝑉のときに、電場が電子にする仕事は𝑒𝑉
である。
仕事をされると電子の運動エネルギーは変化する。その量∆𝐾との間には、仕事ー運動エネルギーの定理
𝑒𝑉 = ∆𝐾 =1
2𝑚𝑣2 − 0
𝒗 =𝟐𝒆𝑽
𝒎
管球寿命を延ばすために
電源スイッチを入れてから2分以上経過したのちに加速電圧を印加
配線の様子
直流安定化電源
直流電流計デジタルマルチメータ(DCA 10A レンジ)
直流電圧計デジタルマルチメータ(DCV 600V レンジ)
変更20A → 10A
変更750V → 600V
実験を正しく安全に行うために比電荷測定器,直流安定化電源,デジタルマルチメーター
の使い方(パウチ,『指針』p.159)
比電荷測定器(パウチ,『指針』p.159)
• 電源スイッチONの前に,加速電圧つまみと直流安定化電源のつまみが最小であることの確認
• 加速電圧を上げるのは電源スイッチONから2分以上経ってから
• 終了時の電源OFFは加速電圧のつまみを最小にしてから
直流安定化電源(『指針』p.159)
• Power オンの前の確認
OUTPUTスイッチ OFFで3つのつまみ(VOLTAGE,FINE,CURRENT)全て左一杯
• Power ON,OUTPUTスイッチON後のVOLTAGEつまみ右いっぱい
• 終了時には3つのつまみを左いっぱい, OUTPUTスイッチオフにしてからPOWERオフ
デジタルマルチメーター(『指針』p.156からの変更)
• レンジに変更 直流電流計 DCA 10Aレンジ 直流電圧計 DCV 600V レンジ
• 終了時には必ずOFFにする。