認定補聴器技能者の会勉強会 事例報告集勉強会―発表の手順 竹田利一...

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Page 1: 認定補聴器技能者の会勉強会 事例報告集勉強会―発表の手順 竹田利一 平成13年12月2日 第1回認定補聴器技能者の会勉強会 「発表の手順について」の説明を行いました。認定補聴器技能者が,参加発表できる学術講演会,研究会,勉強会は大小多くあり

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認定補聴器技能者の会勉強会の「事例報告集」の発刊にお慶びを申し上げます。

この事例集には,補聴器フィッティングを行っている技能者の専門的な経験および考え方が記

されたものが数多く見られます。個々の難聴者の生活環境や好みを十分に考慮したフィッティン

グや,長期間にわたりフィッティングを繰り返した例や,問題事例の率直な報告は,真摯に補聴

器のフィッティングと販売に取り組んでおられる技能者にとって,考える材料としてたいへん有

益であると思います。

厚生労働省指定法人の財団法人テクノエイド協会が認定する認定補聴器技能者は,医師と連携

して難聴者のコミュニケーション障害に対応すべく,適切な補聴器をフィッティングする技能者

としてわが国に欠かせない職業人として社会から認められる途上にあります。医師の指導を受け

ている証明を得て講習会を受講し,医師と連携している証明を得て認定補聴器技能者試験を受け,

また医師と連携している証明を受け資格更新を行っています。そして,社団法人日本耳鼻咽喉科

学会は医師の指導を受ける補聴器販売業従事者としての認定補聴器技能者を支援する立場にあり

ます。

わが国は,先進諸国の中でもとくに高等教育が普及した国であり,国民全体の学習能力,教養,

文化のレベルにおいて優れています。最近では,安全,公正などへの要求も高まっています。そ

していよいよ,日本社会の経済発展を担ったいわゆる団塊の世代が老人性難聴となる時代を迎え

つつあります。適正な補聴器販売が切実に望まれています。

認定補聴器技能者が社会に認知され,多くの難聴者から信頼を獲得し,それを維持し発展させ

るためには,認定補聴器技能者が常に研究,学習を続けていくことが要求されます。難聴と聴覚

リハビリテーションの進歩に関する知識の習得,新しい補聴器の機能への正しい理解,変化する

日本社会と難聴者の状況について,常に学習を続ける努力をお願いしたいと考えています。

認定補聴器技能者の会勉強会「事例報告集」の発刊に寄せて

財団法人テクノエイド協会 補聴器部会長

帝京大学医学部耳鼻咽喉科 教授

小寺 一興

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今回,第1回から第4回の認定補聴器技能者の会勉強会の事例をまとめることが出来ましたの

でここにお届けいたします。

認定補聴器技能者の会は平成13年に,難聴者とその家族の方々から,補聴器販売には認定補聴

器技能者の存在が必要不可欠であることを認識していただき,このことを世論として喚起するこ

とを目標に設立されました。そしてそのために補聴器フィッティング技術の向上,補聴器の健全な

普及および補聴器文化の発展に関わる事業を行い,その経済的向上と聴覚ケアの中心的担い手と

しての自覚のもと,難聴者の福祉に寄与することを目的として数々の事業を行ってまいりました。

その一つとして,毎年秋に勉強会を開催し,午前中は基調講演を,午後には,認定補聴器技能

者による発表を行ってまいりました。その内容は多岐にわたり,全国の認定補聴器技能者が,お

客様のために日々努力されている姿が目に浮かぶようでありました。その貴重な発表を今回,発

表者の皆様にまとめていただき,ここに「事例報告集」として発刊出来ることは,この会の会長

としてこの上ない喜びでいっぱいです。

もちろん,補聴器は皆様もご存じの通り,完全無欠な製品ではありません。それがゆえに,

我々認定補聴器技能者が,補聴器を通して難聴者のために出来ることはまだまだたくさんあると

思っております。そのためにも,この勉強会をもっと盛んなものにして,少しでも皆様のお役に

立てるよう頑張ってまいるつもりでおります。全国でも認定補聴器技能者のみが発表し,そして

研究する場はほとんどないと思います。ぜひ現在認定補聴器技能者の会に入会していらっしゃら

ない認定補聴器技能者の皆様もぜひこの報告集をお読みいただき,次回の勉強会からは参加して

いただけるよう特にお願い申し上げます。

最後になりますが,この報告集を作成するにあたりご支援いただきました財団法人テクノエイ

ド協会と小寺一興先生に厚く御礼申し上げます。また作成に関わりました,有限責任中間法人日本

補聴器販売店協会と認定補聴器技能者の会運営委員会のメンバーにも重ねて御礼申し上げます。

これからも,認定補聴器技能者の会は,歩み続けてまいります。ぜひ皆様のご支援をお願いし

て挨拶とさせていただきます。

認定補聴器技能者の会勉強会「事例報告集」の発刊にあたり

認定補聴器技能者の会

会長 福澤 理

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発表の手順 竹田 利一

1-① 両耳装用事例報告 ……………………………………………………………………………………………………… 1補聴器専門店トーシン 竹田 利一

1-② 両耳装用について ……………………………………………………………………………………………………… 5(株)吉田勝恵商店 村上 眞吾

1-③ 両耳装用について ……………………………………………………………………………………………………… 8柏補聴器センター補聴器相談室 櫻井 恭子

1-④ 補聴器装用の失敗例…………………………………………………………………………………………………… 11リオネットセンター浦和 神田  茂

1-⑤ 事例検討「両耳装用」失敗例をもとに …………………………………………………………………………… 12(有)下田代補聴器センター 下田代秀政

2-① デジタル補聴器のフィッティング事例 ………………………………………………………………………… 16理研産業補聴器センター藤沢店 長谷川謙吾

2-② デジタル耳穴補聴器の不具合……………………………………………………………………………………… 19(有)補聴器センター・ヨコハマ 田代  実

2-③ 高度難聴者のデジタル補聴器事例 ……………………………………………………………………………… 21補聴器のオカノ川口店 鈴木 慎一

2-④ 閉塞感コントロール「アダプト」を用いた事例 ……………………………………………………………… 24オーティコン(株) 津村 純一

2-⑤ 少年期におけるデジタル補聴器の装用例 ……………………………………………………………………… 30(株)仙台リオン補聴器センター 吉田 憲司

3-① 補聴効果 ………………………………………………………………………………………………………………… 32リオン(株) 高岡 養三

3-② 「補聴効果」検討事例 ………………………………………………………………………………………………… 37(株)神戸ヒヤリングセンター 奥谷美智昭

3-③ 第三回消費者アンケート調査結果から 補聴効果について検討 …………………………………………… 41(中)日本補聴器販売店協会広報委員会 古垣 史朗

3-④ 補聴効果 ………………………………………………………………………………………………………………… 45(有)南大阪リオン補聴器センター 笠脇 伸元

3-⑤ 補聴器販売のフィッティングとリハビリテーション ……………………………………………………… 52補聴器専門店トーシン 竹田 利一

3-⑥ 補聴効果 ………………………………………………………………………………………………………………… 61(株)福岡補聴器センター 末松 邦朗

4-① 補聴効果の主観的評価について…………………………………………………………………………………… 64パナソニック補聴器(株)プラザ名古屋 中邑 敏男

4-② デジタル補聴器両耳装用 …………………………………………………………………………………………… 66(株)セイコー補聴器 加藤 徳治

4-③ 事例検討 ………………………………………………………………………………………………………………… 72サカエきこえの相談室 井上  瞳

4-④ 補聴効果の主観的評価 ……………………………………………………………………………………………… 78(株)キクチメガネ瀬戸店 岩崎  泉

4-⑤ アンケート方式による補聴器装用評価 ………………………………………………………………………… 82理研産業補聴器センター 市川 和幸

4-⑥ 私の情報収集術 ………………………………………………………………………………………………………… 86(有)補聴器工房 太田  徹

第1回勉強会(平成13年12月)第2回勉強会(平成14年11月)第3回勉強会(平成15年11月)第4回勉強会(平成16年11月)

目   次

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勉強会―発表の手順竹 田 利 一

平成13年12月2日 第1回認定補聴器技能者の会勉強会

「発表の手順について」の説明を行いました。

認定補聴器技能者が,参加発表できる学術講演会,研究会,勉強会は大小多くあり

ます。過去に補聴器認定技能者が,講演や発表をした代表的なものに下記のような会

があります。

○ 日本聴覚医学総会 学術講演会

○ 補聴研究会

○ 日本耳鼻咽喉科地方部会研究会

○ 補聴器勉強会

○ 補聴器認定技能者の会勉強会

○ 全国補聴器販売店協会主催の勉強会

○ テクノエイド協会資格制度指定講習会

○ その他研修会,勉強会

講演の内容には,演題名・演者(発表者),共同演者氏名・所属を明記し,講演内容

は,目的,方法,結果について具体的に行い,考察,まとめの順に発表していくのが

一般的であります。

具体的に日本聴覚医学学術講演会での講演発表の手順について,投稿規定に基づき

申し込みから,発表までの流れを説明させていただきました。

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1補聴器専門店トーシン

主 題

左右差の大きい聴力で,聴力型,難聴の種類が異なる方への補聴器両耳装用事例の報告をしま

した。

装用者のプロフィール

装用者のプロフィールは,90歳の男性で,右耳老人性難聴,左耳混合性難聴との診断があり,

鼓膜穿孔が左耳にあります。

自覚症状としては,講演会や観劇,会合での聞き取りに困る時があるとのことでした。

補聴器装用歴は,5~6年前に耳かけ式補聴器を左耳に購入,しかし効果無く殆ど使用してい

なかった,とのことでした。今回右耳K-amp式耳かけ補聴器,左耳ノンリニア式耳かけ補聴器を

音場での補聴器装用効果測定と,日常での補聴器装用テスト行いました。

聴力 補聴器装用効果測定結果

平均聴力 右耳 48.75dB 左耳 71.25dB

平均装用閾値 右耳 38.75dB 左耳 41.25dB

装用語音呈示音圧レベル 70dB 裸耳 75% 両耳装用 90%

〃 60dB 〃 60% 〃 90%

〃 50dB 〃 45% 〃 80%

結 果

①会合等で使用した結果,片耳(右耳装用)装用では理解できなかった内容が両耳装用では解

りやすくなった。

②音の広がりが出て,左右,前後が良く解った。

③音が大きく良く,聞こえた。

④長時間使用すると,疲れそうなので必要な時のみ使用した。

以上の結果が得られました。

事例報告1-①

両耳装用事例報告

竹 田 利 一

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考 察

今回は左右の聴力差が20dB以上あるケースの事例でした。両耳装用は左右の聴力差が大きけ

れば大きいほど難しく,効果の出難いことが多くあります。今回はその中でも両耳の装用閾値が

装用感を悪くすること無く,2.5dB以内に出来たことが,良い結果を出した一因と考えます。

両耳装用の留意点として,下記のケースは注意が必要と考えます。

①両耳聴力差が,20dB以上のとき。

②片耳装用で,長年毎日補聴器を使用しているとき。

③語音明瞭度が,左右かなり差があるとき。

④補聴器の装用感が,左右差がかなりあるとき。

事例報告1-①

図1

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⑤補聴器の装着がスムーズに出来ないケース。

⑥片耳装用の方が,装用感が良いとき。

まとめ

今回の事例報告は,両耳装用の成功例です。しかし,今回の事例と違い両耳装用に適合しやす

いと思われる,聴力差が左右殆ど無く,裸耳閾値,裸耳語音より装用閾値も装用語音も,改善さ

れたにもかかわらず,装用感が悪く,片耳装用になってしまった事例,また数ヶ月後全く補聴器

を使用しなくなった事例など,多く経験しております。そのため両耳装用には,片耳装用以上に,

きめ細かなフィッティングが必要で,補聴器購入後の装用確認が数回,数ヶ月かけて行っていか

なければ,本当に両耳装用が片耳装用より,日常生活で十分な効果を出して,長年使用されるケ

ースが少ないのではないかと考えます。

図3図2

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事例報告1-①

図4

図5

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5(株)吉田勝恵商店

平成12年聴覚医学会での,人工内耳と補聴器の両耳装用の有効性に関しての発表後,成人人工

内耳装用者の補聴器との両耳装用について検討する機会を得たので報告する。

事例1.

F.Y 56歳

昭和60年 左耳 全く聞こえていなかった

右耳 この頃より徐々に悪化

昭和62年頃 右耳 補聴器装用開始

平成11年6月 右耳 聞こえなくなる

平成12年6月 左耳 人工内耳手術

平成13年9月 右耳 補聴器による両耳装用開始

事例報告1-②

両耳装用について

村 上 眞 吾

図1 図2

◎はノンリニア補聴器

▲印は人工内耳のみ

△印は補聴器と人工内耳の両耳装用時

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事例2.

S.S 76歳

右耳 いつからか分からないが聞こえなかった

平成10年5月 左耳 ポンと音がした後,聞こえなくなった

平成10年10月 人工内耳手術

平成12年10月 補聴器との両耳装用開始

事例報告1-②

図3

図4 図5

▲印は人工内耳のみ

△印は補聴器と人工内耳の両耳装用時

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まとめ

両事例とも,人工内耳の片耳装用より補聴器との両耳装用のほうが装用閾値および語音明瞭度

が上回った。結果,両耳装用が有効と思われる。また,装用感については,ノンリニア補聴器よ

りリニア補聴器のほうが自声のこもり感,環境音のクリアさにおいてよい結果が出た。(リニア

補聴器のほうが,抑揚がより感じられるためと思われる)

なにぶん,事例も少なく,今後も検討を要すると思われる。

以 上

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8柏補聴器センター補聴器相談室

1917年生まれ 84歳 女性

補聴器装用暦 17~18年

器種履歴 (右耳)Bosch22PC-D(左耳)HI-19P+Tコイル

(左耳)ライフサウンド3004 118/50/03

今回の事例 (右耳)HI-24P (左耳)HI-D2

*家族構成は,ご主人と2人暮らしですが,すぐ近くに息子一家や娘家族が住んでいます。

さらに,もう一人の娘一家がUSAロサンゼルスに在住

週に一度は国際電話をかけて来る。

日常生活は,週に一度木彫り教室に通い,娘さんとショッピングを楽しんだり,好きなお芝

居に出かける活動的な方です。

*今回の主訴は,他店で購入した補聴器で,再作・調整を何度か繰り返し3年程装用している

が,ハウリング・言葉が聞き取りにくい・補聴器対応電話・快聴を使用しているが話が聞き

取れない・孫達は可愛いのですけれど,にぎやか過ぎてうるさくさえ感じることが多い。

*ご本人の希望として,もう少しおだやかでハッキリ聞こえるようにと,補聴器で電話が聞き

取れるようにしたい。

事例報告1-③

両耳装用について

櫻 井 恭 子

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*新聞広告でよく見るデジタル補聴器を試してみたい。

以上のような生活環境・ご不満・ご希望等を考慮して,HB-D1両耳試聴の結果,満足度が上が

り良好でしたのでデジタル補聴器HI-D2両耳試聴を提案しました。

○ 出来上がり,お渡し試聴2週間後,うるさくない・電話はノイズ(ハウリング)なく,

ロサンゼルスの娘に「今日は良く聞こえているね」と言われた。

× しかし,聞き取れてはいるみたいだが言葉が小さくもう少し大きくして欲しい。

1 調整 最大出力107dBSPL 利得32dB(2cm3カプラ)

(お渡し利得28dBでしたので,4~6dB程上げる。)

× さらに10日後,木彫り教室で先生の説明が多い日でしたが聞き取れていないことが沢山

あったように思う。

○ 左耳での電話は大変満足しているとの事です。

2 調整 右耳利得最大に調整して,しばし雑談していましたが,言葉は聞き取れるが音量感

不足の訴え変わらず・・・右耳に高度難聴用耳かけ型補聴器(HB-83MC)試聴

音量感もあり満足されたので,フルシェルタイプだがHI-24P補聴器に器種交換する

ことを提案してみました。

形は小さいほうが良いけれど,聞こえるほうが更に希望する,とのご理解がいただ

け器種交換に踏み切りました。

1週間後 HI-24P 試聴お渡しの特性は

最大出力 115dBSPL 利得 35dB(2cm3カプラ)

FCは1.2K, マイクカバーで高域を少しさげるF特性,

GAINはこの補聴器の最大の5分の4程です。

LC(低域圧縮)3.5 HC(高域圧縮)4.0 ノンリニア

環境の変化はVRを自在に動かし対応出来ている。

67S語表にて両耳装用語音明瞭度は

70dB 85%, 60dB 80%,

裸耳での最高語音明瞭度は,90dB 55%でしたので装用効果は評価されると思います。

最高語音明瞭度の追求はしていませんが,私との静かな会話は,口話も加えられているとは思

いますが,ほぼ完全に判るとのこと,更に,片耳での語音明瞭度やSRTを測定することの有用性

は認めるが,年齢等,考慮して負担をかけないよう行いませんでした。

左耳にデジタル補聴器で右耳にパワーのあるアナログ補聴器の装用選択には,メーカーや先輩

方からためらいの意見が多かったのですが,お客様の反応と,私の元来の好奇心から,トライし

てみた事でお客様に満足していただけ,その後もお元気に,1ヶ月ほどロスに行って来たと

か,・・楽しく活躍されていることを嬉しく思います。

HI-D2NR 両耳で語音明瞭度を測定しなかったのは,ご本人の聞きとれていないようだと思う

不安が解消出来ていなかった事ですが,デジタル補聴器の良さは,「音量感ではなく静かだけれ

ど言葉が聞き取れる事でしょう」と,つねづね私自身が表現しています事をうまく実践に生かせ

なかったように思う反面,でも心おだやかに装用しているご本人が満足しているのならば・・・

という甘えが少しありましたことを,反省しなければいけないと思っております。

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本日取り上げさせて頂きました事例は,2000年春ごろのものですが,この事例をきっかけに最

近では,例を上げますと

センソP-37とHI-D3NR

HI-D3NRとHB-56P

HI-24PとセンソCIC+ などの

組み合わせ選択試聴を試み,それぞれにご満足のお言葉を頂けております。良いお客様との出会

いに恵まれています。

柏補聴器センター松戸相談室で,今後も更に,理論体系も含め勉強していきたいと思っており

ますので,皆様のご指導よろしくお願い申し上げます。

勉強半ばで模索中の事例発表をご静聴くださり有難うございました。

事例報告1-③

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11リオネットセンター浦和

顧客の満足を優先するあまり顧客の要望に沿いすぎたことや十分に外耳道の観察をしなかった

ことが原因で機種の選定に失敗することがあります。

ここでは,その事例を報告いたします。

十分な外耳道観察を怠った事例

主   訴:カナルサイズのオーダーメイド補聴器装用を希望(Y.N様 84歳 ・ 女性 )

診 断 名:老人性難聴

聴力レベル:右耳 78.8dB・左耳 57.5dB 高音漸傾型

語音明瞭度:右耳 5%・左耳 85%

平成4年より他メーカーのフルサイズを使用されてきたが紛失。今度は,なるべく小形なもの

をとの希望により,平成13年9月,左耳用カナルサイズ(90dB最大出力音圧レベル116.1dB・最

大音響利得47.8dB)のオーダーメイド補聴器を販売したが,初回フィッティング時よりハウリン

グが常時発生し,メーカーによる2回のシェル再製作と店頭においてのコーティング液による肉

盛り修正を試みましたが,原因が分かりかけた頃には1ヶ月を経過していたため,顧客の家族が

来店を厭うようになり,機種交換の方策を選びました。

本例の場合,外耳道をオトスコープで観察すると,耳甲介腔部に黒子が1つあり,また,イン

プレッションに反映しない皮膚と同色の扁平なイボ状のものが多数あり,凸凹道のトンネル状を

呈していました。顧客に外耳道の状態を説明して,カナルサイズの装用は断念していただき,フ

ルサイズ(90dB最大出力音圧レベル114.9dB・最大音響利得49.8dB)のものに変更し,納得して

いただきました。

本例では,あらためて耳型採取時の綿密な外耳道観察の重要性を認識させられ,以後,意識的

に時間をかけて観察しています。

また,ハウリングの原因として,外耳道の皺が影響していることが多々あります。この場合,

コーティング液による肉盛りよりもシェルの第1湾曲部内側をミニルーターで削ることにより解

決できることも多く経験しています。

以上,基本的なことですが,耳型採取時の注意を喚起していただきたく思い,報告させていた

だきました。

事例報告1-④

補聴器装用の失敗例

神 田   茂

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12(有)下田代補聴器センター

事例報告1-⑤

事例検討「両耳装用」失敗例をもとに

下 田 代 秀 政

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事例報告1-⑤

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16理研産業補聴器センター藤沢店

事例報告2-①

デジタル補聴器のフィッティング事例

長 谷 川 謙 吾

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