銀行・証券 会計および 財務報告アップデート...銀行・証券 会計および...

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銀行・証券 会計および 財務報告アップデート 20151118注:本資料はDeloitte Development LLC.が作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。 この日本語版については有限責任監査法人トーマツにお問合せください。 この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版ニュースレターの補助的 なものです。あくまで英語版が(正)となります旨、ご了承下さい。

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Page 1: 銀行・証券 会計および 財務報告アップデート...銀行・証券 会計および 財務報告アップデート 2015年11月18日 注:本資料はDeloitte Development

銀行・証券

会計および

財務報告アップデート2015年11月18日

注:本資料はDeloitte Development LLC.が作成し、有限責任監査法人トーマツが翻訳したものです。 この日本語版については有限責任監査法人トーマツにお問合せください。

この日本語版は、読者のご理解の参考までに作成したものであり、英語版ニュースレターの補助的

なものです。あくまで英語版が(正)となります旨、ご了承下さい。

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目次

序文

謝辞および連絡先

はじめに

ガイダンスのアップデート

iii

iv

v

収益認識 2 新しい収益基準のもとでの不動産売却に関する会計処理 5 連結 7 プッシュダウン会計(ASU 2014-17およびASU 2015-08) 12 測定期間調整の会計処理の簡素化 13 非公開会社の代替的な会計処理 14 1株当たり純資産(またはその同等物)を計算している特定の事業体への投資に係る開示

(ASU 2015-07) 16 起債コスト 17 買戻契約 20 抵当権の行使時における住宅用不動産を担保とする消費者向けモーゲージ・ローンの再分類

(ASU 2014-04) 22

適格な低価格住宅プロジェクトへの投資に関する会計処理(ASU2014-01) 23

将来に向けて

減損 26 分類および測定 31 ヘッジ 33 リース 35 公開企業体および非営利事業体に係るのれんの会計処理 37 公開企業体および非営利事業体の企業結合における識別可能な無形資産の会計処理 38 事業の定義の明確化 38 従業員に対する株式に基づく報酬に関する会計処理の簡素化 39 負債および資本―的を絞った改善 40 持分法会計の簡素化 41 償還可能負債証券の購入に関連する利息収益の会計処理 42 キャッシュ・フロー計算書:一定の現金収支の分類(EITF 論点第15-F号) 43

その他のトピック

開示フレームワーク 45 SECの最新情報 50 その他の最新情報 58

付録

付録A―基準書その他の公表物の一覧 60 付録B―略語 63 付録C―その他の資料 65

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iii

序文

2015年11月18日

銀行・証券セクターにおけるデロイトのクライアント、同胞の皆様へ

8回目となる年次の「会計および財務報告アップデート」をお届けできることを喜ばしく思います。本出版物において考察されているトピッ

クは、銀行・証券セクターの事業体にとって特に興味深いものとなり得ることから選定されたものです。

2015年に起こったいくつかの注目すべき基準設定の進展には、(1)顧客との契約から生じる収益の認識に関するFASBの新しい基準を

修正する新たなガイダンスの発行、(2)信用の減損、リース、金融商品に関する会計処理についてのFASBの継続的取り組み、(3)ドッド・フランク法のもとで義務付けられたアクションの完遂に向けた尽力に特に関連した、SECによるルール策定への継続的なフォーカス、

があります。

本出版物は次の3つのセクションに分かれています。(1)「ガイダンスのアップデート」では、銀行や証券会社が今から準備を始める必要

のある会計および報告基準の変更を取り上げます。(2)「将来に向けて」では、銀行や他の金融機関が将来への計画を立てる中で影響

を受けると思われる基準設定のトピックを検討します。(3)「その他のトピック」では、銀行および証券セクターの企業にとって興味深いと

思われる問題を扱います。

加えて、2015年の保険、資産運用および不動産セクターの会計および財務報告のアップデートも、会計および財務報告関連のニュース

を提供するデロイトのウェブサイトであるUS GAAP Plusから入手することができます(または近日入手できるようになります)。

また、デロイトが最近発行したSECコメント・レター(業界インサイトを含む-「Edgar」が我々に伝えたこと)第9版もお見逃しなされません

ように。この中でSECスタッフが過去1年間に登録企業に対して発行したコメント・レターの中で取り上げてきたトピックに関するデロイトの

見解が、各金融サービスセクターにおけるコメント・レターの傾向分析も含めて議論されています。

さらなる情報やサポートについては、いつものように貴社担当のデロイト・オフィスまでご連絡ください。

ケニー・スミス スーザン・L・フレッシャワー (Kenny Smith) (Susan L. Freshour) 副議長、米国銀行・証券セクター・リーダー 金融サービスインダストリー・プロフェッショナル・プラクティス・ディレクター

デロイトLLP デロイト&トウシュLLP

本出版物において、「デロイト」はデロイトLLPおよびその各子会社を意味します。デロイトLLPおよびその子会社の法的な構成の詳細については、 www.deloitte.com/us/aboutをご覧ください。保証業務を提供しているクライアントに対しては、規制や規則に基づき、特定のサービスを提供できない場合があります。

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iv

謝辞および連絡先

本資料に貢献してくれた次の方々に謝意を表します。

Teri Asarito Ermir Berberi Mark Bolton Lynne Campbell Ashley Carpenter Chris Cryderman Jamie Davis Joe DiLeo Christopher Donavan Geri Driscoll Trevor Farber

Mark Fischer John Franco Rachel Grandovic Emily Hache Eric Hatch Ben Johnson Colin Kronmiller Michelle Lacey Michael Lorenzo Mat Lorie Stephen McKinney

Adrian Mills Emily Montgomery Rob Morris Jeff Nick Magnus Orrell Jeanine Pagliaro Taylor Paul Lauren Pesa Christine Reicheneder Tom Robinson Shahid Shah

Inderjeet Singh Stephanie Tamulis PJ Theisen Timothy Vintzel Andrew Warren John Wilde Karen Wiltsie Andrew Winters

本資料に関して、何かご質問等ございましたら、次のデロイト業界専門家までご連絡ください。

Kenny Smith Vice Chairman, U.S. Banking & Securities Sector Leader +1 415 783 6148 [email protected] Christopher Donovan Securities Industry Professional Practice Director +1 212 436 4478 [email protected] Tim Vintzel Securities Industry Professional Practice Director +1 973 602 5148 [email protected] Irv Bisnov Audit Industry Leader — Banking +1 513 412 8329 [email protected]

Susan L. Freshour Financial Services Industry Professional Practice Director +1 212 436 4814 [email protected] Tom Robinson Banking Industry Professional Practice Director +1 313 396 3900 [email protected] Carol Larson Audit Industry Leader — Financial Services +1 412 338 7210 [email protected] Larry Rosenberg Audit Industry Leader — Securities +1 212 436 4869 [email protected]

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はじめに

2013年および2014年に銀行・証券セクターが獲得してきた経済的な勢いは、2015年の市場の変動によって弱まりました。連邦準備制

度理事会による利上げの時期に関する不確実性はこの減速の一因となり、投資家心理を圧迫し始めています。貸倒引当金の減少お

よび銀行・証券会社のすべての側面を通じたコスト削減への注力の結果として収益性は引き続き高まっていますが、新たな規制の遵

守に関連する費用は利益に圧力をかけ続けるでしょう。

経済成長

銀行が引受要件を緩和する中で、信用市場は拡大し続けています。住宅用、商業用、および消費者向けローンは増加し続けており、減

少した貸倒引当金は金融危機前の水準にとどまっています。特定の業界、特に石油・ガス業界に信用を高度に集中させている機関

は、それらの業界における重要な諸課題により、貸倒引当金の増加に直面する可能性があります。また銀行・証券業界は、訴訟やグロー

バルな規制上の要求に関するコストおよび複雑性による影響を受け続けています。

財務報告の動向

2014年に、FASB1およびIASBは、顧客との契約から生じる収益の認識に関する新たなガイダンス(それぞれ、ASU 2014-092および

IFRS第15号)を発行しました。FASBは2015年にこのガイダンスの精緻化を進めました。利害関係者からの要請、ならびに主たる財務

諸表の利用者および作成者からの継続的なフィードバックに対応して、FASBは、すべての事業体について当該収益基準の導入を1年延期し限定的な早期適用を認めるASU 2015-14を発行しました。公開事業体については、当該基準は2017年12月15日より後に開始

する年次報告期間より発効します。非公開事業体については、当該基準は2018年12月15日より後に開始する年次報告期間より発効

します。

現在、FASBは信用損失に関する最終基準の草案を作成中であり、2016年第1四半期中の公表を見込んでいます。このガイダンスのも

とで、事業体は予想信用損失(すなわち、事業体が回収を見込んでいないすべての契約上のキャッシュ・フロー)の見積額を引当金として

認識します。金融資産であるすべての負債性金融商品(純利益を通じて公正価値で測定されるものを除く)、リース債権、およびローン・コ

ミットメントがこのモデルの範囲に含まれる一方で、売却可能(AFS)負債証券は除外されます。AFS負債証券は引き続きASC 320のも

とで減損について評価されます(FASBの減損プロジェクトの一環として変更される可能性あり)。加えてFASBは、持分投資以外の金融

商品の分類および測定に関連する現行の規定を維持することを決定しました。FASBの暫定的なアプローチのもとで、事業体は持分証

券に対するすべての投資(持分法に適格な投資または公正価値測定に関して実行可能性による適用除外が選択されている投資を除

く)を、純利益を通じて公正価値で計上することを要求されます。

2015年にFASBは多数のその他さまざまなトピックに引き続き注力しましたが、これには(1)金融商品の分類および測定の会計処理に

関する最終基準の草案作成、(2)最終リース基準の草案作成、ならびに(3)FASBによる簡素化の取組み(すなわち、関連する財務諸

表情報の有用性の維持・向上と並行して、現行の米国会計基準のコストおよび複雑性を軽減するためのFASBの取組み)に基づく現行

の会計ガイダンスの改善が含まれます。

業界別の論点およびトレンドに関するさらなる情報については、デロイトの「2015 Financial Services Industry Outlooks」をご参照くだ

さい。

1 本出版物で使用されている略語の一覧については、付録Bをご参照ください。 2 本出版物で使用されている基準、トピックおよび規則の正式名称については、付録Aをご参照ください。

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ガイダンスのアップデート

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収益認識

背景

2014年5月、FASBとIASBは収益認識に係る最終的な基準を公表しました。FASBによるASU2014-09、IASBによるIFRS第15号とし

て公表された本基準は、事業体が顧客との契約から生じる収益の会計処理に使用するための単一の包括的モデルを概括しており、

業界固有のガイダンス(例えばASC940-605, ASC942-605, ASC948-605)を含む直近の収益認識ガイダンスを廃止しています。そ

の他のコディフィケーションのトピック-利息収益および配当金の認識、および金融資産のサービシングの範囲内である金融商品は、

本ASUの範囲から除外されています。本ASUについての追加情報は、デロイトの2014年5月28日付Heads Upと2014年7月の

Financial Services Spotlightをご覧下さい。

収益認識に関するFASB・IASB合同の移行リソース・グループ(TRG)が受け取ったフィードバックに対応して、FASBは2015年に、

ASU 2014-09を改訂する以下の3件のASU案(現在それぞれ異なる検討段階にある)を公表しました1。

• 狭い範囲の改善および実務上の簡便法―当該ガイダンス案は、(1)契約の存在および収益の認識を裏付けるために特定

の状況において回収の可能性が高いかどうかを評価する方法を明確化し、(2)収益における売上税の純額表示に係る実務

上の簡便法をASC 606に追加し、(3)契約開始時および契約期間全体における現金以外の対価の会計処理の方法を明確

化し、(4)移行にあたっての契約変更に対処するための実務上の簡便法を確立するものです。追加情報については、デロイ

トの2015年10月2日付Heads Upをご覧ください。

• 本人か代理人かの検討(収益を総額で報告するか、純額で報告するか)―当該ガイダンス案は、3者以上の当事者を含む契

約において自身が本人であるかそれとも代理人であるかを事業体が評価する方法に関連した問題に対処するものです。ガ

イダンスには、(1)会計の単位を決定する方法、(2)ASC 606における関連する指標が支配に係る単独の評価を補助するこ

とと追加的な評価を表すことのどちらを目的としているか、および(3)特定の指標がASC 606の一般的な支配の原則とどの

ように関連しているかが含まれます。また当該ASU案は、契約に明記されたそれぞれの財貨またはサービスについて自身

が本人であるかそれとも代理人であるかを事業体が評価すべきであること、ひいては事業体が同じ契約における異なる履行

義務について本人兼代理人となり得るかどうかを明確化するものです。追加情報については、デロイトの2015年9月1日付

Heads Upをご覧ください。

• 履行義務およびライセンシングの識別―当該改訂は、事業体による特定の履行義務の識別に関するガイダンスを明確化す

るものです。変更案には、重要でない約束された財・サービスおよび個別に識別可能な約束に関するガイダンス、ならびに

(1)支配の移転後に発生した出荷・取扱手数料に係る方針の選択、および(2)ライセンスに関連する明確化が含まれます。

これらのアップデートは、銀行・証券業界に重要な影響を及ぼさない見込みです。加えて、FASBは2015年10月5日の会合に

おいて、最終ASUの草案作成をスタッフに指示しました。追加情報については、デロイトの2015年5月13日付Heads Upおよ

び2015年10月8日付journal entryをそれぞれご覧ください。

1 IASBの2015年7月の公開草案も、IFRS第15号の変更を提案しています。

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掘り下げた検討

銀行・証券セクターの事業体

銀行およびその他の金融機関にとっての主要な導入上の課題の一つは、取引がASC 606の範囲に含まれるかどうかの判断で

す。かかる判断は事実および状況の注意深い検討を要求するものであり、十分に文書化されなければなりません。これまでに特

に大きな注目を集めてきたと思われる取引には以下が含まれます。

• 預金関連手数料およびATM利用手数料―現行の米国会計基準のもとで、口座維持手数料(顧客が要求される最低残

高を預金口座に維持していない場合に課される可能性がある)やATM利用手数料などの銀行が顧客に課す預金関連

手数料に関する明示的な業界ガイダンスはありません。結果として、利害関係者はかかる手数料がASC 606の範囲に

含まれるかどうかについて疑問を呈しています。以下の2つの見解が支配的ですが、これらは当該取決めがASC 405の対象となる金融負債であるかそれともASC 606の対象となるサービスであるかに基づいています。

o 見解A―当該取決めは顧客との間のものであるため、口座維持手数料およびATM利用手数料(当該銀行のATMが

当該銀行に口座を持つ個人によって利用される範囲における)は、顧客と金融機関の間における預金契約の条件

のもとで顧客に課される。したがって、当該取決めはASC 405のガイダンスの対象となる金融負債を生じさせる。加

えて、見解Aの支持者の一部は、別の銀行の資金にアクセスする個人(すなわち、当該銀行に預金口座を持たない

個人)に課される手数料は、この契約の本質が個人とその銀行を接続するサービスの提供であることから、ASC606の範囲に含まれると考えている。

o 見解B―ATMアクセスの提供は、預金契約のもとで提供されるサービスとは別個の、顧客に提供される固有のサー

ビスである。したがって、見解Bの支持者は、ATM手数料は銀行と顧客の間の関係に関わりなく(すなわち、ATM手

数料を課す銀行に顧客が預金を保有しているかどうかに関わりなく)ASC 606の範囲に含まれると考えている。

• ローン組成手数料―多くの人は、ローン組成手数料はASC 606の範囲に含まれないと考えています(現行の米国会計

基準の下における取扱いと同様)。代わりに、かかる手数料は、ASC 310において取り上げられている契約上の権利お

よび義務に関連していることから、貸出関連手数料とみなされています。加えて多くの人は、受取債権に係る利息収益、

未収利息の割戻し、繰上返済手数料、延滞手数料(遅延手数料)、およびローン・コミットメント手数料を含むその他の貸

出関連手数料は、ASC 606の対象とならないと考えています。

• 銀行が発行したクレジットカードの手数料および関連する報酬プログラム―現行の米国会計基準のもとで、クレジットカー

ドの取決めは、一般にASC 310のもとで会計処理されます。ASC 606は、ASC 310を含むコディフィケーションの他のト

ピックの範囲に含まれる金融商品は、かかるコディフィケーションの他のトピックが「契約の一つまたは複数の部分を分

離および/または当初測定する方法を明記していない」場合を除き、新たな収益基準の範囲から除外されると述べてい

ます2。クレジットカードの取決めはしばしばさまざまな(1)手数料(例えば、年会費、遅延手数料など)、(2)特性(例え

ば、コンシェルジュサービス、報酬プログラムなど)、および(3)取引の当事者(例えば、発行者、カード保有者、ネットワー

ク、加盟店、加盟店の買収者など)を伴うことから、利害関係者は、クレジットカードの取決め一般―またはかかる取決め

の特定の特性―が新たな収益基準の範囲に含まれるかどうかについて疑問を呈しています。2015年7月13日のTRGの

会合において、TRGのメンバーは、新たな収益基準には結果的なASC 310の改訂が含まれていないため、事業体はク

レジットカード手数料と引換えに提供されるサービスをASC 606ではなくASC 310のもとで引き続き会計処理すべきであ

るという考えでFASBスタッフと一致しました。ただし同時に、濫用防止措置として、(1)事業体はクレジットカードの発行

が当該取決めに対して付随的なものと思われるかどうか(該当する場合、当該取決めをASC 606の範囲に含めることが

要求される可能性がある)を評価しなければならず、(2)クレジットカードの取決めがASC 310の範囲に含まれる場合に

はカード保有者の報酬プログラムは一般にASC 310の範囲に含まれる、という一般的な合意がありました。

2 さらなる情報については、ASC 606-10-15-2から15-5(IFRS第15号5項から8項)をご参照ください。

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• 束ねられた(bundled)取決め―ASC 606-10は、金融商品に関わる契約を含め、他のトピックの範囲に含まれる顧客との

契約について、一定の適用範囲の例外を定めています。ただしASC 606-10は、一部は他のトピックの範囲に含まれ、一

部はASC 606の範囲に含まれる契約の評価に関するガイダンスも定めており、よって金融商品に関わる特定の取決めは

少なくとも部分的に新たな収益認識ガイダンスの対象となり得ることを示唆しています。ASC 606-10-15-4は、契約をASC606の対象となる部分と他のトピックの対象となる部分に分離するために事業体が用いるべき手法を説明しています。これ

は現行の米国会計基準から逸脱したものであり、現行の米国会計基準のもとでは、金融機関はサービスと金融商品の両

方を顧客に提供する束ねられた取決めについて、ASC 605-25における複数要素のガイダンスの対象となりません。した

がって、事業体は現在、かかる契約を評価する際に、ベンダー固有の客観的証拠(VSOE)などの概念を一般に考慮して

いません。ASC 606のもとで、事業体はASC 606のガイダンスを適用する前に、コディフィケーションの他のトピックにおけ

る分離および測定のガイダンスをまず適用することを要求されます。契約のうちASC 606の対象となる部分は最後に分離

および測定されるため、結果として、契約に固有のディスカウントはかかる部分に配分されます。

設例―束ねられた取決め

投資運用部門を持ち、自行がジェネラル・パートナー兼投資運用会社の役割を果たしているファンドに出資している銀行

は、顧客に提供するサービスおよび商品の性質によっては、部分的にASC 606の範囲に含まれる可能性がある。例え

ば、投資運用契約の条件のもとで、この銀行は運用資産合計に基づく運用手数料、および投資家が特定の利益率を稼

得した場合の超過リターンに基づく業績連動報酬を受け取る。また、この銀行は当該ファンドに小規模な持分投資を保有

しているはずである。このような状況において(かつこの銀行がASC 810に従い当該ファンドを連結することを要求されな

い限りにおいて)、この銀行は、どの活動がASC 606およびコディフィケーションの他のトピックの範囲に含まれるか(該当

する場合)を判断するため、当該ファンドへのそれぞれの関与を個別に評価する必要がある。例えば、当該ファンドの持

分所有はASC 323のガイダンスの対象となり得るが、運用および業績関連の手数料・報酬はASC 606のガイダンスの対

象となる可能性が高いと思われる。

ブローカー・ディーラー

ASU 2014-09はブローカー・ディーラーに多くの面で影響を及ぼすと予想されますが、金融商品から生じる収益(すなわち、利息収

益および配当金)に関する契約はASC 310-940およびASC 320-940のガイダンスの対象であり、明確にASC 606の範囲外である

ため、これらの取扱いが変更される可能性は低いと思われます。

例えばASU 2014-09は、ASC 606の範囲に含まれる、清算ブローカー・ディーラーが稼得する受取コミッションの取扱いに影響を及

ぼすと予想されます。ブローカー・ディーラーが新たなガイダンスのもとでの適切な取扱いを決定するために契約を分析するにあたっ

て直面するであろうより重要な問題には、以下のようなものがあります。

• 履行義務の識別―収益モデルのステップ2において、事業体は固有の履行義務(すなわち、顧客がそれ単独または他のリ

ソースとの組合せで便益を受けることのできる、顧客にとって容易に利用可能かつ契約の他の項目と分離して個別に識別

可能な引渡物)を識別することを要求されます。清算ブローカー・ディーラーとその顧客の間の契約において提供される一

般的な財貨およびサービスには、取引の執行、清算サービス、およびカストディサービスが含まれます。取引の執行およ

び清算サービスはいずれも証券取引のために要求されるサービスであるため、これらが個別に識別可能である可能性は

低いと思われます。むしろ、多くの場合において、これらの2つのサービスは結合され一つの履行義務として識別されると

見込まれます。しかし、カストディサービスからは、顧客は取引の執行と清算サービスとを分離して個別に便益を受けるこ

とができるため、かかるサービスは個別に識別可能である可能性が高いと思われます。事業体は、ブローカー・ディーラー

との取決めにおいて一般的である投資調査サービスを同様に評価する必要があります。

• 履行義務が充足された時期の判断―一般に、ブローカー・ディーラーが取引の執行にあたって顧客に課すコミッションは唯

一の手数料であり、したがって取引の執行、清算、およびカストディサービスの取引価格に相当します。かかる手数料に関

連する収益認識は取引日に行われますが、これは取引日が、(1)ブローカー・ディーラーがサービスを履行し、支払いを受

ける現在の権利を持つ日、および(2)顧客が基礎となる証券の便益を受け取る(購入の場合)、または価値変動のリスク

の対象とならなくなる(売却の場合)日であるためです。期間の固定された契約、または法律文書の処理や取扱いなどのカ

ストディ関連のサービスに係る手数料を個別に含む契約については、履行義務が充足された時期の判断に関連する追加

的な分析が要求されます。

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発効日および経過措置

利害関係者の懸念の結果として、2015年8月に、FASBはASU 2014-09の発効日を延期するASU 2015-14を発行しました3。これに従

いASU 2014-09は、公開企業体については、2017年12月15日より後に開始する年次報告期間(かかる期間の期中報告期間を含む)

より発効します。早期適用は、2016年12月15日より後に開始する年次報告期間(かかる年次期間の期中報告期間を含む)の時点で

認められます。

非公開事業体については、当該基準は2018年12月15日より後に開始する年次報告期間、および2019年12月15日より後に開始する

年次報告期間の期中報告期間より発効します。非公開事業体も、以下の時点で当該基準を早期適用することを選択できます。

• 2016年12月15日より後に開始する年次報告期間(期中期間を含む)

• 2016年12月15日より後に開始する年次報告期間、および新基準が当初適用される年次報告期間の1年後に開始する年次

報告期間の期中期間

導入および移行活動

TRG(デロイトのTRG Snapshotを参照)、AICPAの各収益認識タスクフォース(証券ブローカー・ディーラー収益認識タスクフォースを

含む)、さまざまな事務所、SEC4、およびPCAOBを含む多数のグループが、新基準に関連する導入活動に積極的に関与しています。

財務諸表の作成者は、新ガイダンスの適用に先立ち、これらのグループの活動を引き続きモニターすべきです。

新しい収益基準のもとでの不動産売却に関する

会計処理

背景

ASU2014-09は、大部分の取引に係る不動産の認識中止のガイダンス5を含む、米国会計基準のもとでの現行の収益認識ガイダンス

のほとんどを置き換えました。多くの関係者が、不動産資産の認識をいつ中止するかについて、本ASUがASC360-20に基づく現行の

明快なガイダンスを削除したことに安堵するであろう一方、事業体は不動産売却に係る過去の会計処理を再評価することが求められ

る可能性があります。

3 IASBは、IFRS第15号を1カ月後に改訂することによりその発効日を延期しました。 4 SECは本ASUを踏まえて、SABトピック13における収益認識ガイダンスを再検討し、アップデートする計画であることを示唆しています。公開事業体に影響を与える本

ASUのガイダンスの範囲は、SECが新しい収益基準と整合させるために、SABトピック13におけるガイダンスを廃止または修正するか否かによるでしょう。 5 FASBがリースのプロジェクトを完了させるまで、本ASUは、不動産売却におけるASC360-20のガイダンスを廃止する一方、事業体はセール・リースバック取引の一部となる

不動産売却に対し、引き続きASC360-20を適用する必要があるでしょう。

ASU 2014-09による影響を受ける可能性のある、依然として評価中のその他のブローカー・ディーラー取引には、(1)販売手数料、

(2)投資銀行のアドバイザリー手数料、(3)引受収益、(4)ソフトダラー契約、(5)引受けおよびアドバイザリー・サービスに関連する

コスト(すなわち、本人か代理人かの取扱い)、(6)取引におけるボリューム・ディスカウント、ならびに(7)無料取引(例えば、最低件

数の取引が執行される場合、または特定の基準金額を上回る口座の開設と引換えの場合)が含まれます。

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6

資金調達契約(契約の存在)

現行ガイダンスのもとでは、不動産の売手が買手に資金調達も提供する場合、売手は、資産に対する買手の当初および継続的投資

を、損失のリスクが売手に対する義務を受け入れることを買手に確実に動機付けるのに十分な利害関係をそれらが構成するか否かを

判断するために、検討しなければなりません。特定の投資規定が満たされなければ、売手は売却を、割賦基準、原価回収基準、また

は預り金基準により会計処理します。

本ASUのもとでは、契約が存在するかどうかの判断において、いくつかの規準を評価しなければなりません。銀行による不動産の売却

に関して特に課題の多い規準の一つは、契約が経済的実質を持っていなければならないことです。この規準を満たしているかどうかを

評価するにあたり、事業体は、当該不動産に対する買手の当初および継続的関与を評価しなければなりません。本ASUはこの評価の

実施に関連する現行の会計基準のもとでの具体的な当初および継続的投資の基準を維持していませんが、考慮すべきいくつかの要

因には、ローン資産価値比率、および当該不動産が買手の主たる住居として使用される予定かどうかが含まれ得ます。また、売却価

格の回収可能性も契約が「存在する」かどうかの評価に影響を及ぼします。すなわち本ASUは、契約が存在するために、回収の可能

性が高いかどうかを事業体が判断することを要求しています(「回収可能性基準」)。

売手が、契約が存在しないと判定する場合、受領金額を預り金として会計処理することになります(当該支払いが返還不要である場合

でも)。加えて、売手は継続的に、当該取決めが事後において、本ASUの基準による正当な契約として適格であるか否かを判定するた

め、受領金額を評価することになります。権利を得ることとなる対価を売手が回収することが確実となれば、売手は、本ASUの認識中

止基準により、当該取決めを評価することになります。その代わりに、契約が終了した場合には、売手は受領した返還不要預り金を利

益として認識することになります。

履行義務の識別および充足

しばしば売手は、売却済みの資産に関与し続けます。現行ガイダンスでは、売手が売却済資産に継続的に関与している場合には、利

益は通常繰延べられます。時には、売却として取引を会計処理する代わりに、売手は、(1)預り金基準を該当取引に適用する、または

(2)資金調達、リース、プロフィット・シェアリング取引として当該取引を会計処理することが要求される可能性があります。現行ガイダン

スは、売手が売却済資産への継続的関与の結果として、所有に伴う実質的なリスクまたは経済価値を保持しているか否かに焦点を当

てています。

掘り下げた検討

担保付ローンにおいて抵当権を行使する銀行は、のちに担保不動産を売却する際、いつ「保有不動産」を認識中止できるかを評価

するために、現在ASC360-20のガイダンスを適用することが求められています。ASU2014-09は、(1)買手の当初および継続的な

投資の適切性および、(2)売手の物件に対する継続的関与の評価に関するASC360-20の要求を削除しました。新しい基準のもと

では、不動産の認識を中止できるか否かを評価するにあたり、銀行は、顧客に対する資産の移転と交換において権利を得るであ

ろう対価を回収することの「可能性が高い」か否かを評価する必要があります。加えて、認識中止を妨げるのではなく、売手の処分

資産への売却後の関与は、別個の履行義務として会計処理される必要がある可能性があります。

掘り下げた検討

回収可能性基準は事業体が権利を得ると予想する金額に対して適用されますが、かかる金額は定められた取引価格であるとは限

りません(すなわち、事業体が顧客に値引きを提供することを見込んでいるために、これらの2つの金額が異なる可能性がありま

す)。したがって事業体は、例えば顧客の信用リスクに基づいて事業体が値引きの提供を見込むかどうかを判断するため、事実お

よび状況を注意深く評価すべきです。

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7

対照的に、本ASUでは、取決めが資産への継続的関与を含む場合には、売手は、当該

契約における約束された各財貨またはサービスを、それが「別個の履行義務」を表象す

る、保証を構成する、または支配の移転を妨げるか否かを判定するために評価しなけれ

ばなりません6。約束された財貨またはサービスが別個の履行義務とみなされる場合に

は、取引価格の配分された部分は、事業体が顧客に関連財貨またはサービスを移転す

る時点で(または移転するにつれて)、収益として認識されなければなりません。不動産

の売却は、資産の支配が買手に移転した時点で認識されるべきです。本ASUは支配が

移転した時期を評価するためのいくつかの規準を定めており、その多くは一般に売却日

に満たされます。追加的な分析を要求する可能性のある規準には、法的所有権が移転

したかどうか、ならびに顧客が所有に伴う重要なリスクおよび経済価値を獲得したかどう

かが含まれます。これらの規準が満たされたかどうかを評価するにあたり、事業体は、

売手が(1)当該不動産を買い戻す選択権または義務を有しているかどうか、(2)投資に

対して一定のリターンを保証しているかどうか、(3)当該不動産の継続的運営に関与し

ているかどうか、および(4)将来の運営に参加する予定であるかどうかを検討しなけれ

ばなりません。

部分的売却

現在、売却が実質的な不動産とみなされる投資(例えば、唯一の資産が1つの不動産物件である事業体への株式投資)に関係して

いる場合、事業体は金融資産の形式を取った不動産売却を、ASC810の認識中止ガイダンスではなく、ASC360の不動産売却ガイ

ダンスを適用することにより会計処理しています。

本ASUは、実質的な非金融資産を含めるために、実質的な不動産の概念を拡大しています。その結果、事業体は、子会社や事業の

移転または売却が実質的な非金融資産の売却とみなされない場合にのみ、ASC810の認識中止ガイダンスを適用します。本ASUは、実質的な非金融資産を定義していないものの、事業体が実質的に、不動産と必要な設備以外の非金融資産で構成される場合、

従来ASC360の範囲外であった取引が、(ASC810ではなく)本ASUの範囲に含まれる可能性があります。

ASU 2014-09の発効日および経過措置の詳しい情報については、収益認識のセクションをご参照ください。

連結

背景

2015年2月、FASBはASC 810の連結規定を改訂するASU 2015-02を発行しました。この改訂は、金融機関による連結に関する結

論を大幅に変える可能性があります。具体的には、修正されたガイダンスは、(1)ファンドや資産担保ファイナンス・ストラクチャーの

管理により受け取る報酬が、事業体を連結する結果となるか否か、(2)リミテッド・パートナーシップおよび類似の事業体は連結される

べきか否か、および(3)報告事業体の関連当事者または事実上の代理人によって保有される変動持分が、報告事業体の連結の結

論に影響を与えるか否かにおける事業体の評価に影響を与える可能性があります。加えて、ASU 2015-02は、特定の投資ファンド

への投資に係るASU 2009-17(旧基準書167号)に基づく適用延期を廃止しました。したがって、金融機関、ジェネラル・パートナー、

およびこれらの投資ファンドの投資家は、抜本的に異なる連結評価を実施する必要があります。

ASU 2015-02に関するさらなる情報については、デロイトの2015年5月26日付Heads Upをご参照ください。

6 継続的関与の特定の種類は、別個の履行義務を構成しない場合があります。例えば、資産を買戻すオプションまたは義務は、本ASUで具体的に対処されており、資産

の認識を中止することはできません。さらに、ASC460に基づく保証として適格な売手の義務は、本ASUの適用範囲外とされることになります。

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8

意思決定者またはサービス提供者の報酬の取決め

報告事業体がある法的事業体の連結を要求されるかどうかの評価における最初のステップの一つは、報告事業体が当該法的事業

体に対して変動持分を保有しているかどうかを判断することです。意思決定に関する報酬の取決めは変動持分ではないという金融機

関の判断は、一般に、当該金融機関は当該法的事業体の連結を要求されないという結論につながります。加えて、これは評価対象

の法的事業体が変動持分事業体(VIE)であるかどうかに影響を及ぼす可能性があります。本ASUは現行の変動持分の定義を維持

する一方で、意思決定者の報酬が変動持分であるかどうかの判断に係る規準を修正しています。

ASU 2015-02以前は、意思決定者またはサービス提供者の報酬が変動持分に相当しないと報告事業体が結論付けるためには、6つの規準が満たされていなければなりませんでした。本ASUは、報酬の劣後に関連する規準(ASC 810-10-55-37(b))ならびに報酬の

重要性に関連する規準(ASC 810-10-55-37(e)および(f))を廃止しています。これに従い、ASU 2015-02の適用後、意思決定者に

支払われる報酬が変動持分に相当するかどうかの評価は、(1) 報酬が提供されたサービスに相応(「アット・マーケット」)であるかどう

か、(2)報酬の取決めが慣習的な契約条件のみを含むものであるかどうか、および(3)意思決定者(その特定の関連当事者を含む)

が重要でないとはいえない金額(more than an insignificant amount)の予想損失またはリターンを吸収する他の変動持分を持って

いるかどうかに焦点を合わせたものとなります。結果として、本ASUのもとで変動持分とみなされる報酬の取決めは減少すると予想さ

れます。

金融機関が本ASUのもとでVIEの連結を要求されるかどうかの判断は、金融機関が(1)VIEの経済的業績に最も重要な影響を与える

VIEの活動を指揮するパワーを持っているかどうか(パワーの条件)、および(2)VIEに対して潜在的に重要な持分を持っているかどう

か(経済的条件)に焦点を合わせています。本ASUは金融機関が経済の条件を満たしているかどうかの評価に係る現行の基準を変

更するものではありませんが、新たな連結規定のもとでは、VIEの意思決定者に支払われる報酬が相応かつアット・マーケットである

場合、報告事業体がVIEに対して他の経済的持分を持っているかどうかに関わりなく、かかる報酬を意思決定者の当該VIEに対する

経済的エクスポージャーの評価において考慮してはなりません。報酬の取決めの重要性により連結されていた特定のストラクチャー

は、この新たな規定のもとで、連結を中止する必要がある可能性があります。

設例

ABC銀行はCMBS証券化信託のスペシャル・サービサーであり、その立場で信託のパフォーマンスに基づいて変動する報酬を得ている。

当該取決めは、ABCに原債権であるローンのパフォーマンスを最大化するためのインセンティブを与えている。ABCは、ノート保有者への

元金利の分配および通常の証券化信託の活動で生じるその他の営業負債に劣後する報酬を当該ストラクチャーから受領する。報酬は市

場価格に基づいており、提供するサービスに相応である。加えてABCは当該信託によって発行されたノートの劣後クラスの一部を保有し

ている。当該ノートは、それ自体、銀行をCMBS信託の最大5%の変動性に晒している。当該CMBSは資本構造に基づきVIEとみなされる。

ASU 2015-02以前 スペシャル・サービサー報酬は、証券化信託のその他の営業負債に劣後するため、ABCは、ASC810-10-55-37(b)の条件を充足してお

り、結果として、スペシャル・サービサー報酬は、VIEに対する変動持分とみなされる。またABCは、CMBSストラクチャーのノートの劣後ク

ラスに対する持分が、報酬の取決めと組み合わせて、VIEにとって潜在的に重要となり得るCMBSの変動性に対する合計エクスポージャー

をABCに与えている場合、(ASC810-10-35-38A(b)における)経済的条件も満たす。加えて、スペシャル・サービサーは、デフォルトで(お

よび単独のノート保有者によって保有されるキック・アウト権がない場合)管理者としての役割を担うため、ABCは、ASC810-10-35-38A(a)に従い、CMBSの経済的パフォーマンスにとって重要な活動に対するパワーを有するとみなされる。そのため、ABCは、CMBSの変動

性に対する自身のエクスポージャーがVIEにとって潜在的に重要な場合、CMBSストラクチャーを連結することが要求される。

ASU 2015-02の適用後 FASBは、ASC810-10-55-37における残りの規準を満たさない場合、報酬が変動持分となるか否かを決定するにあたり、報酬が劣後する

か否か(すなわち、その優先順位がその他の営業負債より低いか否か)を評価する事業体の要件を削除したため、スペシャル・サービサー

報酬は変動持分とはみなされない。加えて、市場価格に基づき、かつ提供するサービスに相応である報酬は、主たる受益者の分析におい

ても考慮されない。結果、ノートの劣後クラスに対するABCの持分は、CMBSに対する潜在的に重要な持分をABCに与えていないため、

ABCはCMBSを連結することを要求されない。

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リミテッド・パートナーシップ(または類似の事業体)がVIEであるか否かの決定

本ASUは、リミテッド・パートナーシップおよび類似の事業体に係るVIEの定義を改訂しています。本ASUのもとで、リミテッド・パートナー

シップは、単一のリミテッド・パートナー(LP)もしくはすべてのパートナーの単純過半数(ジェネラル・パートナー(GP)およびその関連

当事者が保有する持分を含む)が実質的なキック・アウト権(清算権を含む)を持っているか、または各LPが参加権を持っている場合を

除いて、十分な資本を持っているかどうかまたは議決権持分事業体として適格となるためのその他の要件を満たしているかどうかに

関わりなく、VIEとみなされます。リミテッド・パートナーシップおよび類似の事業体に係るVIEの定義の改訂の結果として、過去にVIEとみなされていなかったパートナーシップは、新たなVIE連結モデルのもとで評価を受ける必要があります。反対に、単純過半数のキッ

ク・アウト権または参加権(単一のパートナーの権利ではなく)を含むパートナーシップの取決めは、VIEでなくなる可能性があります。

本ASUは金融機関による連結に関する結論を変えないかもしれませんが、改訂後のガイダンスに基づく分析のアップデートが要求さ

れます。加えて報告事業体は、VIEを連結する必要がないと判断した場合であっても、変動持分を保有しているVIEについて、現行の

詳細な開示を提供しなければなりません。

リミテッド・パートナーシップ(または類似の事業体)以外の事業体がVIEであるか否かの決定

本ASUは、リミテッド・パートナーシップ以外の事業体について、報告事業体がASC 810-10-15-14(b)(1)の条件((グループとしての)

持分保有者がパワーを持っているかどうか)を評価すべき方法を明確化しています。特に本ASUは、持分保有者が意思決定責任を委

譲しており、かつ意思決定者の報酬の取決めがASC 810-10-55-37に基づく変動持分である状況において、この規準の評価は、持分

保有者がその資本持分を通じて当該法的事業体の最も重要な活動に対してパワーを持っているかどうかに焦点を合わせるべきであ

ることを明確化しています。この評価を行うにあたり、報告事業体は、持分保有者が意思決定者を交代させる権利を持っているかどう

かを検討しなければなりません。これは、単一の当事者が保有する場合にのみキック・アウト権が考慮されていた従来のガイダンスか

らの重要な変更となります。

掘り下げた検討

下位のまたは劣後する報酬を受け取っているCLOまたはCDO事業体の管理会社は、当該事業体のその他の持分を持っておら

ず、かつASC 810-10-55-37の残りの規準が満たされていない場合、当該事業体の変動持分を持っていないことになる可能性が

あります。過去においては、報酬の劣後に関連する規準により、CLOまたはCDOの管理会社の報酬の取決めが変動持分であると

いう結論になることがしばしばありました。加えて、経済的条件の評価から報酬の取決めが除外されたため、特に金融機関がCLOまたはCDOのその他の持分を保有していない場合に、当該事業体が連結から除外される可能性が高くなっています。

本ASUのもとで変動持分とみなされる報酬の取決めは減少すると思われますが、金融機関は、ある取決めにより損失のリスクに

晒されるかどうかを注意深く評価すべきです。本ASUのもとでは、法的事業体における損失のリスクの引受けに係る対価が報酬の

取決めに含まれている場合、かかる取決めは自動的に変動持分となります。例えば、証券化に譲渡される金融資産の基礎となる

信用(信託がその変動持分の保有者に移転させるよう設計されているリスク)に金融機関を晒すような報酬の取決めは、ASC 810-10-55-37のすべての規準を満たす場合であっても、変動持分とみなされます。

設例

ABC銀行はファンドX(会社)と管理契約を締結している。ABC銀行は、当該ファンドの基礎となる投資および運営を管理(すなわち、当該

事業体の最も重要な活動を指揮)し、自行のサービスに対して慣習的かつ市場条件に相応の報酬を稼得している。ABC銀行が持つXのそ

の他の持分により、ABC銀行の報酬の取決めは変動持分とみなされる。ただし、持分保有者は(1)ファンド運用会社としてのABC銀行を

交代させる能力、(2)ABC銀行の報酬を承認する能力、および(3)Xの全体的な投資戦略を決定する能力を持っているため、ABC銀行の

権限を制約することができる。

ASU 2015-02のもとで、持分保有者は事業体の最も重要な活動を指揮するパワーを持っており、当該法的事業体がVIEとみなされるため

のその他の条件をいずれも満たしていない場合、当該法的事業体は議決権持分事業体モデルに基づき連結について評価される。これ

は、ファンド運用会社としてのABC銀行を解任する権利が単一の当事者によって保有されている場合にのみかかる能力が考慮されていた

従来のガイダンスからの変更である。

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誰が連結すべきか?

現行ガイダンスと一貫して、上記の通り、報告事業体がパワーに関する条件および経済的条件を満たしている場合、かかる報告事業

体は本ASUのもとでVIEの主たる受益者とみなされ(したがって当該VIEの連結を要求され)ます。これは、リミテッド・パートナーシップ

および類似の事業体を含め、VIEであるすべての事業体に適用されます。さらに、上記の通り、本ASUは経済的条件の評価を改訂し、

報酬が相応かつ「アット・マーケット」である場合における金融機関の報酬を除外しました。

本ASUのもとで、VIEとみなされないリミテッド・パートナーシップを誰が支配しているかの評価は、「関連しない」LPが保有するキック・

アウト権、清算権、または参加権に焦点を合わせています。すなわち、当該分析は、いずれかのLPが当該リミテッド・パートナーシップ

を一方的に解散させたりGPを理由なく解任したりするための実質的な能力を持っているかどうか、およびこれに該当する場合に当該

パートナーシップを連結すべきかどうかに集中しています。

関連当事者の影響

本ASUは、報告事業体の関連当事者または事実上の代理人が保有する変動持分が報告事業体による連結に関する結論に及ぼす影

響の程度を大幅に変更するものです。特に本ASUは、(1)金融機関の報酬の取決めが変動持分であるかどうかの評価、および(2)VIEに対する金融機関の経済的エクスポージャーの評価において、金融機関の関連当事者が保有する持分の影響を軽減しています。

加えて、本ASUのもとでは、現行の米国会計基準と比べて、関連当事者タイブレーカー・テスト(および関連当事者のいずれかによる

強制的な連結)の実施が必要となる頻度は低下すると思われます。関連当事者の間でパワーが共有されているとみなされない場合、

関連当事者タイブレーカー・テストは、共通支配下にあり、かつ支配的金融持分の特徴を共に持つ、意思決定者の関連当事者グルー

プ内の各当事者によってのみ実施されます。この状況において、当該テストの目的は、意思決定者または意思決定者の共通支配下

にある関連当事者がVIEの連結を要求されるかどうかを判断することです。

最後に、意思決定者も共通支配下にある関連当事者もVIEの連結を要求されていないが、関連当事者グループ(事実上の代理人を含

む)が支配的金融持分の特徴を持っており、かつVIEの実質的にすべての活動が関連当事者グループ内のある単一の事業体のため

に実施される場合、かかる事業体がVIEの主たる受益者となります。ただし、この規定は、ASU 2014-01の範囲に現在含まれている

特定の適格な低価格住宅プロジェクトには適用されません。

設例

ABX銀行は、あるパートナーシップ(ASU 2014-01の範囲に含まれるLIHTCストラクチャーではない)のすべてのLP持分を所有している。

理由なく解任することのできないGPが、当該パートナーシップの基礎となる投資および運営を管理し、自身のサービスに対して慣習的か

つ市場条件に相応の報酬を稼得している。加えて、ABX銀行は、自行が持つ当該LIHTCパートナーシップの持分を売却、譲渡、または担

保として差入れることはできない。ASC 810-10-25-43(d)のもとでは、当該譲渡制限のため、ABX銀行とGPの間には事実上の代理関係

が存在している―したがって、GPおよびABX銀行は一つの関連当事者グループとみなされる。

ASU 2015-02のもとでは、このLPは(1)GPを解任する能力、(2)当該パートナーシップを清算する能力、または(3)当該パートナーシップ

に最も重要な影響を及ぼす意思決定に参加する能力を持っていないため、当該パートナーシップはVIEとみなされる。加えて、ABX銀行も

GPもそれぞれ個別には(1)当該VIEの活動を指揮するパワーと(2)当該VIEにとって潜在的に重要な経済的エクスポージャーの両方は持っ

ていないが、当該関連当事者グループ(事実上の代理人を含む)はこれらの特徴を持っている。したがって、当該VIEの実質的にすべての

活動が当該関連当事者グループ内のある単一の事業体のために実施されているとABX銀行が判断する場合、かかる事業体が当該VIEの主たる受益者となる。

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ASU 2010-10の適用延期の廃止

ASU 2015-02は、投資ファンドに係るASU 2010-10に基づく適用延期を廃止しました。結果として、当該延期(主として投資会社に適

用される)に適格であったすべての事業体は、ASU 2009-17のアプローチと類似のアプローチのもとで評価を受ける必要があります。

新たな評価により連結に関する結論が変わらない場合であっても、金融機関は分析をアップデートする必要があり、追加的な開示の提

供を要求される可能性があります。

発効日および経過措置

公開企業体については、本ASUのガイダンスは2015年12月15日より後に開始する年次期間およびかかる年次期間の期中期間より

発効します。公開企業体以外の事業体については、本ASUのガイダンスは2016年12月15日より後に開始する年次期間、および2017年12月15日より後に開始する期中期間より発効します。本ASUはすべての事業体に早期適用を認めていますが、適用日を含む年次

期間の期首時点で当該ガイダンスを適用することを事業体に要求しています。修正遡及適用(実行可能性による適用除外を含む)が

要求されますが、完全遡及適用の選択肢も用意されています。

リスク保持に関する規則が連結に及ぼす影響

2014年10月、SECおよび他の5つの連邦機関は、一定の条件のもとで、証券化のスポンサーに資産担保証券(ABS)を担保する資産に

関連する信用リスクの一部を保持することを要求する最終規則を承認しました。これらの持分の保持により、報告事業体では証券化ビー

クルの連結が必要となる可能性があります。

スポンサーによって保有される持分の種類(すなわち、垂直的、水平的、またはL字型)は、証券化ストラクチャーに対するスポンサーの

経済的エクスポージャーと、その結果としてスポンサーの連結の結論に影響するでしょう。スポンサーが証券化ストラクチャーの垂直的

持分(または組み合わせ)ではなく劣後する水平的トランシェを保有する場合、ASC810に基づき、ストラクチャーがスポンサーによって

連結されるリスクが高まります。事業体の評価では、スポンサーが保有するその他のいかなる持分に加えて、リスク保持規定のもとで

保持されるスポンサーの持分も考慮に入れなければなりません。

リスク保持規定に関する詳細情報については、デロイトの2015年5月26日付Financial Services Spotlightをご参照ください。

掘り下げた検討

本出版物の刊行日の時点で、ASU 2015-02を早期適用した銀行およびその他の金融機関は少数にとどまっています。当該ASUの適用は、従来基準書第167号の適用延期に適格であった特定のファンドの連結につながった一方で、当該ASUを適用した報告

事業体にとって一般に、主として従来連結していたCLOおよびCDO、ならびに単純過半数のキック・アウト権が契約に含まれないリ

ミテッド・パートナーシップの大規模な連結除外につながりました。

当該ASUを適用していない報告事業体は、開示規定のもとで提供しなければならない可能性のある追加的な情報の入手に関連す

るプロセスおよび統制を含め、新たなガイダンスを適用するためのプロセスおよび統制の変更が必要となり得る範囲の検討を開始

すべきです。

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プッシュダウン会計(ASU 2014-17およびASU 2015-08) 背景

2014年11月、FASBは、支配の変更をもたらす事象が発生した場合に、個別財務諸表においてプッシュダウン会計を適用する選択肢

を被取得事業体に与えるASU 2014-17を発行しました。

ASU 2014-17以前は、被取得事業体がその個別財務諸表において新たな会計および報告ベーシスを設定すること(一般に「プッシュ

ダウン」会計と呼ばれる)ができるかどうかの判断に関する米国会計基準の限定的なガイダンスがありました。ASC 805-50-S99-1からS99-41には、SEC登録会社に係るプッシュダウン会計の規定が含まれています。このガイダンスのもとで、プッシュダウン会計は、

(1)事業体の所有権の80%以下が取得される場合には適用禁止、(2)80%から95%が取得される場合には適用が認められ、(3)95%以上が取得される場合には適用が要求されます。

ASU 2014-17の主要な規定

プッシュダウン会計を選択する被取得事業体は、取得者の測定ベーシスを自身の個別財務諸表にプッシュダウンするため、ASC 805の測定原則を適用します。加えて被取得事業体は、「財務諸表の利用者がプッシュダウン会計の影響を評価すること」を可能にする開

示を提供することを要求されます7。

また、ASU 2014-17は、プッシュダウン会計を適用する場合における被取得事業体の取扱いを以下の通り結論付けました。

• 取得者が負う取得関連の債務を認識することを禁止される。ただし、適用される他の米国会計基準に従って被取得事業体

が認識を要求される場合(例えば、被取得事業体が法的に義務を負っているため)は除く。

• 取得者ののれんを認識することを要求される。

• 支配の変更をもたらす取引または事象から生じたバーゲンパーチェスによる利得を認識することが禁止され、代わりに被取

得事業体が利得を資本(すなわち、株式払込剰余金)に対する修正として認識する。

また本ASUは、被取得事業体の子会社に対し、被取得事業体(すなわち、取得者の直接の子会社)がプッシュダウン会計を適用しな

いことを選択した場合であっても、自身の個別財務諸表にプッシュダウン会計を適用する選択肢を与えています。

本ASUは、共通支配下の譲渡には適用されません。共通支配下にある各事業体による取引の会計処理に関するガイダンスは、ASC 805-50に含まれています。共通支配下の譲渡において純資産または資本持分を受け取る会社は、それらの純資産または資本持分を

譲渡者の帳簿価額で計上しなければなりません。ただし、譲渡者がプッシュダウン会計を適用しなかった場合には、受取事業体の財

務諸表には譲渡された純資産が共通支配下にある各事業体の親会社の取得原価で反映され、結果として親会社のベーシスが受取

事業体にプッシュダウンされます。

SECとFASBのガイダンスの一致

関連する動向の中で、SECは、SEC登録会社がプッシュダウン会計を適用すべき方法に関するSECスタッフの見解が含まれていた

SABトピック5.Jを廃止しました。よって、すべての事業体―SEC登録会社であるかどうかに関わりなく―がASU 2014-17のガイダンス

を適用することとなりました。

2015年5月、FASBは、ASC 805-50におけるプッシュダウン会計に関するSECのSABトピック5.Jへの参照を削除するASU 2015-08を発行しました。SECのSAB 第115号は、FASBによる2014年11月のASU 2014-17の公表に関連して、SABトピック5.Jのガイダンス

を置き換えました。したがって、ASU 2015-08における改訂は、プッシュダウン会計に関するFASBのガイダンスをSECのガイダンスと

一致させています。

7 事業体は、ASC 805によって要求される関連する開示を提供することにより、この開示の目的を達成したことになります。

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13

発効日

ASU 2014-17のガイダンスは2014年11月14日に発効しました。当該発効日より、被取得事業体は、当該基準の発効日より前に発生

した支配の変更をもたらす事象の結果として生じたプッシュダウン会計の適用を選択することを認められますが、これは(1)この支配の

変更をもたらす事象が被取得事業体にとって直近の支配の変更をもたらす事象であること、および(2)かかる選択が望ましいものであ

ることが条件となります。事業体が過去のプッシュダウン会計の適用を解消することは認められません(すなわち、被取得事業体は、

(望ましい場合には)直近の支配の変更をもたらす取引または事象に係る自身の選択をプッシュダウン会計の不適用からプッシュダウン

会計の適用へと変更することができますが、反対はできません)。

ASU 2014-17に関する追加情報については、デロイトの2014年9月付EITF Snapshotをご参照ください。

測定期間調整の会計処理の簡素化

背景

2015年9月、FASBは、測定期間調整の会計処理に関するASC 805のガイダンスを改訂するASU 2015-16を発行しました。本ASUは、FASBによる簡素化の取組みの一環として、企業結合において認識した暫定的な金額に対して行う調整を反映させるための過去

の期間に係る修正再表示は財務報告のコストおよび複雑性を高めるが財務諸表の利用者に提供される情報の有用性を大幅に向上さ

せることはないという利害関係者のフィードバックに対応して発行されました。

ASUの主要な規定

従来のガイダンスのもとでは、取得者が測定期間中に暫定的な金額の調整を識別した場合、当該取得者は、当初の会計処理を完了さ

せるにあたり認識した減価償却費、償却費、またはその他の損益への影響を変更することを含め、過去の期間に係る比較情報を、当

該企業結合の会計処理が取得日の時点で完了していたかのように修正することが要求されていました。

本ASUは、取得者が、測定期間中に識別した暫定的な金額の調整を、調整金額が確定した報告期間において認識することを要求して

います。減価償却費もしくは償却費の変動が損益に及ぼす影響、または暫定的な金額の変更の結果として生じるその他の損益への影

響(該当する場合)は、会計処理が取得日の時点で完了していたかのように計算し、遡及的にではなく調整金額が確定した報告期間に

おいて計上しなければなりません。

開示規定

また本ASUは、取得者が、当期の損益に計上した金額のうち、暫定的な金額の調整を取得日の時点で認識していた場合には過去の

報告期間において計上していたであろう部分を、科目別に、損益計算書の本体に個別に表示するか、または注記において開示するこ

とを要求しています。

掘り下げた検討

本ASUは測定期間調整の会計処理を変更していますが、測定期間調整の定義(すなわち、「既知であった場合には取得日の時点

における暫定的に認識した金額の測定に影響を及ぼしたであろう、取得日の時点で存在していた事実および状況に関して入手した

新たな情報」の結果としての、譲渡した対価、取得した資産、および引き受けた負債について暫定的に認識した金額の調整)は変

更していません。誤謬、測定期間の終了後に受け取った情報、または取得日の時点で存在していなかった事象もしくは状況に関し

て受け取った情報は、測定期間調整ではありません。

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14

発効日および経過措置

公開企業体については、本ASUは2015年12月15日より後に開始

する事業年度(かかる事業年度の期中期間を含む)より発効しま

す。その他のすべての事業体については、本ASUは2016年12月15日より後に開始する事業年度、および2017年12月15日より後

に開始する事業年度の期中期間より発効します。本ASUは、発効

日後に発生する暫定的な金額の調整に対し、将来に向かって適

用しなければなりません。未発行の財務諸表について、早期適用

が認められます。

移行時に要求される開示は、会計原則の変更の内容および理由のみです。事業体はかかる情報を、適用を行った最初の年次期間、

および変更が実施された最初の年次期間中に測定期間調整がある場合にはこの最初の年次期間の期中期間において開示しなけれ

ばなりません。本ASUに関するさらなる情報については、デロイトの2015年9月30日付Heads Upをご参照ください。

非公開会社の代替的な会計処理

背景

以下のガイダンス(非公開会社評議会(PCC)が2014年に策定)が、2015年に発効されています。

• のれん―2014年1月、FASBは、ASU 2014-02を発行しました。これは、買収後にのれんを会計処理するために、非公開会

社が簡便なアプローチを使用することを認めています。当該代替アプローチのもとで、事業体は、(1)通常10年間にわたって

定額法でのれんを償却し、(2)トリガー事象が生じた場合にのみ、のれんの減損テストを実施し、そして(3)事業体全体レベル

または報告単位レベルのどちらかにおいて減損テストを実施するための会計方針を選択することになります。加えて、本ASUはのれんの減損テストの「ステップ2」を廃止しています。この結果、事業体は、事業体の(または構成単位の)帳簿価額が公

正価値を超過した金額として、のれんの減損を測定します。この簡便なアプローチを選択する事業体は、本ASUのガイダンスを

将来に向けて適用し、適用した期間の期首現在で存在していた既存のすべてののれん(および将来の買収から生じるのれん)に

対して採用します。本ASUは、2014年12月15日より後に開始する年次期間、および2015年12月15日より後に開始する年次

期間の期中期間より発効します。詳しい情報については、デロイトの2014年1月27日のHeads Upをご参照ください。

• ヘッジ会計―2014年1月、FASBはASU 2014-03を発行しました。これは、変動金利の負債をヘッジするために使用した変動

金利受・固定金利払の金利スワップについて簡便な会計処理方法を非公開会社に対して提供しています。適格なヘッジ関係

に対して簡便なヘッジ会計の適用を選択する事業体は、貸借対照表上において金利スワップと変動金利の負債を別々に会

計処理し続けます。しかしながら、ヘッジ関係に非有効部分がないと仮定することができ、それによって、本質的に、固定金利

の借入費用と同じような損益計算書上のプロファイルを達成できます。加えて事業体は、当初のヘッジ文書の完成により多く

の時間をかけることができます。また、簡便なヘッジ会計アプローチを適用する事業体は、関連するスワップを公正価値では

なく決済価額で測定することを選択できます。金融機関(銀行、貯蓄貸付組合、貯蓄銀行、信用組合、金融会社、および保険

会社を含む)は当該代替的会計処理を選択することは明確に非適格とされます。本ASUは、2014年12月15日より後に開始

する年次期間、および2015年12月15日より後に開始する年次期間の期中期間より発効します。簡便なアプローチを選択す

る事業体は、完全遡及または修正遡及法のいずれかに基づき本ASUを適用しなければなりません。詳しい情報は、デロイト

の2014年1月27日のHeads Upをご参照ください。

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• 無形資産―2014年12月、FASBはASU 2014-18を発行しました。これは、(1)企業結合において取得される資産、または(2)持分法で会計処理される投資について、もしくはフレッシュ・スタート会計の適用時に、特定の無形資産に係る認識義務の適

用除外を非公開会社に与えています。特に事業体は、本ASUの範囲内で発生する競業避止契約に係る無形資産および特

定の顧客関連の無形資産を個別に認識することを要求されません。これらの項目に関連する金額はのれんに組み込まれる

ため、この代替的な会計処理を選択する事業体はASU 2014-02の適用も要求され(上記の説明を参照)、結果としてのれん

の償却が生じます。代替的な会計処理を選択する事業体は、本ASUを、2015年12月15日より後に開始する年次期間中に発

生した本ASUの範囲に含まれる最初の適格取引(早期適用も認められる)、およびその後のすべての取引に対し、将来に向

かって適用しなければなりません。さらなる情報については、デロイトの2014年12月30日付Heads Upをご参照ください。

特定の非公開会社ASUにおける発効日および経過措置ガイダンスの変更案

2015年9月、FASBは、今回の提案の範囲に含まれるPCCの代替的な会計処理を初めて選択する際に選好性(preferability)評価を

実施しない一回限りの無条件の選択肢を非公開会社に与えるASU案を、パブリックコメント募集のために発行しました。またこれは、

当該案の範囲に含まれるPCCの代替的な会計処理の発効日を廃止すると共に、ASU 2014-02およびASU 2014-03の経過措置ガイ

ダンスを延長しています。当該案による改訂は、ASU 2014-02およびASU 2014-03、ならびにASU 2014-07およびASU 2014-18の範囲に含まれるすべての非公開会社に影響を及ぼす可能性があります。さらなる情報については、デロイトの2015年9月30日付

Heads Upをご参照ください。

非公開会社に関するその他の事項

2015年を通じて、PCCは、株式に基づく報酬、リース以外の共通支配下の取決めに対するVIEガイダンスの適用、および債務の貸借

対照表における分類を含め、非公開会社にとって複雑かつコストのかかる財務報告の諸側面について議論してきました。

最近の会合においてPCCは、株式に基づく報酬に関する審議を継続し、従業員への株式に基づく支払いの会計処理の改善に関する

FASBのASU案に関連して受け取ったフィードバックを検討することで一致しました。さらなる情報については、デロイトの2015年6月12日付Heads Upをご参照ください。

またPCCは、(1)リース以外の共通支配下の取決めに対するVIEガイダンスの適用を明確化する設例、および(2)適用上の問題に対

処するための現行の事業範囲に係る例外の潜在的な修正について、FASBスタッフに調査を要請しました。債務の分類については、

今後の会合において議論される予定です。

掘り下げた検討

この業界の多くの事業体は公開企業体の定義を満たすと思われ、したがってPCCの代替的な会計処理に適格ではありません。例

えば、財務諸表をSECに提出することを要求されているブローカー・ディーラーは、公開企業体の定義を満たすと思われます(ブロー

カー・ディーラーの「重要な関係者」による財務情報のSECへの非公開提出も、公開企業体の定義を満たします)。デロイトは過去

に、財務諸表をSECに非公開提出することを要求されている場合におけるブローカー・ディーラーの「重要な関係者」は公開企業体

の定義を満たさないと考えていました。2015年10月、SECの主任会計官室のスタッフは、かかる事業体が公開企業体とみなされる

べきであることを明確化しました。加えて、銀行規制のもとで完全な米国会計基準の財務諸表を公表することを要求されている銀行

は規準(e)の最初の要素を満たすと思われ、さらに規準(e)の2番目の要素(すなわち、自行の証券に契約上の譲渡制限が含まれ

ているかどうか)を評価することが必要になると思われます。公開企業体の定義の銀行に対する適用は、連邦金融機関検査協議会

による2014年9月のコール・レポート・インストラクションの中で説明されました。

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加えてPCCは、2015年2月に、「今回は現行の非公開事業体の定義を改訂しない。現行の定義は、FASBによる今後の潜在的な改訂

まで、FASBコディフィケーションにおいて維持される。公開企業体の定義は、[ASU 2013-12による改訂の通り]将来の会計および報

告ガイダンスに引き続き用いられるべきである」と決定しました8。

1株当たり純資産(またはその同等物)を計算している

特定の事業体への投資に係る開示(ASU 2015-07) 背景

2015年5月、FASBは、論点第14-B号に関してEITFが達した最終合意に基づくASU 2015-07を発行しました。本ASUは、実務的簡便

法10を用いて純資産価値(NAV)で公正価値を測定する特定の投資9を公正価値ヒエラルキー内で分類する開示規定を廃止しており、

かかる投資を行っている事業体に影響を及ぼします。また、本ASUはNAVで測定される適格投資に係るその他の開示規定を改訂ま

たは廃止しており、結果として、キャッシュ・フロー計算書に関連するASC 230-10の改訂および確定給付制度のスポンサーに関する

ASC 715-20の改訂を含んでいます。

主要な規定

NAVの実務的簡便法が適用される適格投資を公正価値ヒエラルキー内で分類する代わりに11、本ASUは、事業体がかかる投資の

NAVについて、公正価値ヒエラルキー内の投資の公正価値から財政状態計算書の表示科目への調整を開示することを要求していま

す。加えて、NAVの実務的簡便法が適用される適格投資について、公正価値レベル間の振替、レベル3のロールフォワード表、特定の

資産および負債の評価手法の説明など、ASC 820-10-50-2により要求されるその他の情報を開示する必要はなくなりました。

加えて、本ASUはASC 820-10-50-6Aの開示規定の範囲を改訂し、かかる範囲に含まれる投資を(1)実務的簡便法に適格であり、か

つ(2)NAVでの公正価値測定における実務的簡便法の適用を選択している投資のみとしています。また本ASUは、投資がNAVと異な

る金額で売却される可能性が高い場合に特定の開示を要求していたASC 820-10-50-6A(g)のガイダンスを廃止しています。

8 PCC 論点第14-01号に関して達した決定のPCCによる要約をご参照ください。 9 ASC 820-10-15-4および15-5は、公正価値測定において1株当たりNAV(またはその同等物)の実務的簡便法を適用するための投資の適格性に係る規定を定めています。 10 NAVの実務的簡便法は、ASC 820-10-35-59から35-62において説明されています。 11 ASU 2015-07のもとで、制度投資を公正価値で測定するためにNAVの実務的簡便法を選択したASC 715-20の範囲に含まれる確定給付制度のスポンサーも、制度投

資の注記において公正価値ヒエラルキーの各レベル内に分類されることは認められなくなりました。

掘り下げた検討

事業体は、投資のNAVの開示、ならびに公正価値測定においてNAVの実務的簡便法が適用される適格投資の性質、リスク、およ

び償還可能性の開示を含む、ASC 820-10-50-6Aの規定を依然として遵守しなければなりません。

また、事業体のすべての投資について実務的簡便法を用いてNAVで公正価値が測定される場合、ASC 820-10-50-6Aにより要求

される情報は、開示における投資の公正価値から財政状態計算書の表示科目に調整するという当該ASUの規定を遵守した方法

で開示することができます。したがって事業体は、当該ASUの調整の規定を満たすために公正価値ヒエラルキーのレベルが空欄の

表形式の開示を表示することはないでしょう。

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特定の規準12を満たす投資会社は、一定の条件13が満たされる場合、キャッシュ・フロー計算書の表示を免除される可能性があります。

ASU 2015-07はそれらの条件の一つを改訂し、NAVの実務的簡便法が適用される「常時短期間で償還可能」な投資を含めています。

発効日および経過措置

公開会社については、本ASUは2015年12月15日より後に開始する事業年度(かかる事業年度の期中期間を含む)より発効します。非

公開会社については、発効日が1年延期されています。早期適用は認められます。本ASUは、すべての表示期間に遡及的に適用され

なければなりません。

起債コスト

背景

2015年4月、FASBは、財務諸表における起債コストの表示を変更するASU 2015-03を発行しました。本ASUのもとで、事業体は、か

かるコストを貸借対照表において資産としてではなく関連する債務負債からの直接控除項目として表示します。当該コストの償却費は

利息費用として報告されます。

従来のガイダンスのもとでは、事業体は起債コストを貸借対照表において繰延費用として(すなわち、資産として)報告していました。

12 ASC 230-10-15(b)をご参照ください。 13 ASC 230-10-15(c)をご参照ください。

掘り下げた検討

ASU 2015-07は、ASC 820-10-50-6Aにより要求される開示を(実務的簡便法を適用することのできるすべての適格投資ではなく)

NAVの実務的簡便法のもとで測定される投資に限定することにより、報告規定を簡素化しています。

掘り下げた検討

免除規定の改訂は、流動性投資を保有する特定の投資会社がキャッシュ・フロー計算書の表示を要求されないことを引き続き確実

にすることを目的としています。事業体は、報告日の時点で投資が「常時短期間で償還可能」であるかどうかを判断する必要があり

ます。「短期間」の明確な定義はありません。しかし、AICPA TIS 2220.25からの類推により、90日以下の償還期間は一般に短期

間であると考えられます。

掘り下げた検討

起債コストを(資産としてではなく)関連する債務負債の直接の減額として表示する要求は、米国会計基準のもとでの社債のディス

カウントの表示と一貫しています。加えてこれは、米国会計基準のガイダンスを、金融負債の発行に直接起因する取引コストは当

該負債の当初の帳簿価額の調整として取り扱うものとするIFRSのガイダンスに収斂させています。またこれは、資本発行コストを

株式募集の総収入の減額として取り扱うことに関するSECスタッフの見解を反映しています。さらにこれは、米国会計基準を、「社債

のディスカウントが資産でないのと同じ理由―将来の経済的便益を提供しない―により、起債コストは資産ではない。起債コストは

実際に借入れによる収入を減少させ、実効金利を高めるため、社債のディスカウントと同様に会計処理することができる」と述べて

いるFASB概念基準書第6号と一致させています。

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本ASUの発行以降、実務担当者は、リボルビング債務の取決めに関連して発生したコストの適切な貸借対照表上の表示について質

問してきました。2015年6月18日のEITFの会合において、SECスタッフは、「[かかる]コストを繰延べて資産として表示し、その後(中

略)コストを当該信用枠取決めの期間にわたり均等に償却している事業体に対し、異議を唱えない」と発表しました。このアナウンス

メントは、2015年8月にASU 2015-15の発行により成文化されました。

ASUの主要な規定

ASU 2015-03は、「債券に関連する起債コストは貸借対照表において当該債券の額面価額からの直接控除として報告されなければな

らない」、「起債コストの償却費も利息費用として報告されなければならない」と定めています。本ASUの「結論の根拠」は、実務におい

て、関連する資金の受取前(すなわち、当該債務負債の発行前)に発生した起債コストは、当該債務負債の金額が計上されるまで貸借

対照表上で繰り延べられると述べています。

当該改訂は、起債コストの認識および測定に関する現行ガイダンスには影響を及ぼしません。例えば、転換社債を発行するコストは、

ASC 470-20-30-13に基づく有益な転換特性に相当する組込転換オプションの本源的価値の計算を変更しません。よって、事業体は

依然として起債コストを社債のディスカウントと分離して個別に追跡することが必要となる可能性があります。

発効日および経過措置

公開企業体については、ASU 2015-03のガイダンスは2015年12月15日より後に開始する事業年度およびかかる事業年度の期中期

間より発効します。公開企業体以外の事業体については、当該ガイダンスは2015年12月15日より後に開始する事業年度、および

2016年12月15日より後に開始する期中期間より発効します。すべての事業体の過去に発行されていない財務諸表について、早期適

用が認められます。事業体は、新ガイダンスをすべての過去の期間に遡及的に適用します(すなわち、それぞれの期間の貸借対照表

が修正されます)。

掘り下げた検討

ASU 2015-03の適用前、事業体は、(1)起債コストを貸借対照表においてASC 835-30に基づく繰延費用として表示し、(2)ASC 830-10-45-18(i)が繰延費用を過去のレートを用いて再測定される貸借対照表の非貨幣性項目として取り扱うことを要求している

ため、起債コストを過去の為替レートを用いて機能通貨へと再測定していた場合があります。

しかしASU 2015-03の適用後は、事業体は、起債コスト(信用枠またはリボルビング債務の取決めに関連するコストを除く)を、貸借

対照表において繰延費用としてではなく、(ASU 2015-03により改訂されたASC 835-30-45-1Aに従って)関連する債務負債からの

直接控除として表示します。したがって、当該債務負債の帳簿価額に係る事業体の機能通貨への再測定には、起債コストに関連す

る控除が反映されます。ASC 830-10-45-17のもとで、貨幣性負債(起債コストを調整後の貨幣性債務負債の帳簿価額を含む)は、

現在の為替レートを用いて事業体の機能通貨へと再測定されます。

ASU 2015-03の適用前に起債コスト(信用枠またはリボルビング債務の取決めに関連する発行コストを除く)を繰延費用として表示

し、かかるコストをASC 830-10の下における非貨幣性項目として取り扱っていた事業体は、起債コストに関する認識および測定の

ガイダンスを変更しないというFASBが表明した意図に関わりなく、(1)ASU 2015-03への移行時にASC 835-30-65-1(c)に従い自

身のASC 830-10に基づく起債コストの会計処理を遡及的に修正し、(2)その後の各報告期間の時点で直近の為替レートを用いて

再測定を実施する必要があります。

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本ASUは、事業体が、「事業体による適用日後の最初の事業年度および最初の事業年度の期中期間において以下を開示」することを

要求しています。

1. 会計原則の変更の内容および理由

2. 移行方法

3. 遡及的に修正された過去の期間の情報についての説明

4. 変更が財務諸表の科目(すなわち、起債コスト資産および債務負債)に及ぼす影響

掘り下げた検討

ASU 2015-03を策定するにあたりFASBは、(1)債務負債の認識前(例えば、当該債務からの収入の受取前)に発生した起債コス

ト、および(2)リボルビング債務の取決めに関連するコストについて、貸借対照表上の表示に関するガイダンスを定めることを検討し

ましたが、最終的にこれを行わないと決定しました。FASBスタッフはデロイトとの議論において、本ASUはリボルビング債務の取決

めに関連する発行コストの表示を取り上げたものではないことを確認しました。したがって、事業体はかかるコストの表示に係る会

計方針を選択しなければなりません。上記の通り、SECスタッフは2015年6月18日に、本ASUはリボルビング債務の取決めに関連

する発行コストを取り上げたものではないことを確認し、「[かかる]コストを繰延べて資産として表示し、その後(中略)コストを当該信

用枠取決めの期間にわたり均等に償却している事業体に対し、異議を唱えない」と発表しました。

事業体は、SECスタッフが2015年6月18日に概説した手法を自身の会計方針として適用する場合、信用枠またはリボルビング債務

の取決めに関連して残存する未償却の起債コストを、当該取決めに基づく残高に関して債務負債を現在認識している場合であって

も、資産として表示します。さらに、かかるコストは、事業体が過去に引き出した金額を返済していても、当該取決めの期間にわたり

償却されます。

SECスタッフのアナウンスメント(ASU 2015-15により成文化)はリボルビング債務の取決めがASU 2015-03の範囲に含まれないこ

とを明確化していますが、本ASUの表示アプローチがかかる取決めに関して許容可能な会計方針であるかどうか、また、許容可能

である場合には、事業体がかかるアプローチをどのように導入すべきかは取り上げていません。本ASUのもとで、事業体は起債コ

ストを関連する債務負債から控除します。しかし、事業体がリボルビング債務の取決めに基づく残高を返済し、かつ依然として同じ

取決めのもとで新たな借入れを行う選択権を持っていた場合に、残存する未償却の起債コストをどのように表示するかは不明確で

す。この場合、当該コストを関連付けるべき負債はもはやなくなっています。また、残存する未償却のコストがリボルビング債務の取

決めに基づく現在の残高を上回った場合に、事業体が当該コストをどのように表示するかも不明確です。

リボルビング債務の取決めに対する本ASUの表示アプローチの適用に関連する導入上の疑問、およびかかる適用の許容可能性

に関する疑問を踏まえ、デロイトでは、大部分とは言えないまでも多くの事業体が、2015年6月18日のEITFの会合においてSECス

タッフが概説した会計方針の適用を選択すると予想しています。この方針のもとで、事業体は、リボルビング債務の取決めに関連し

て残存する未償却の起債コストを、当該取決めに基づく残高に関して債務負債を現在認識している場合であっても、資産として表示

します。さらに、かかるコストは、事業体が過去に引き出した金額を返済していても、当該取決めの期間にわたり償却されます。

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買戻契約

背景

2014年6月、FASBはASU2014-11を発行しました。これは、特定の買戻契約(「レポ」)の会計処理に関するASC860のガイダンスを限

定的に改訂するものです。本ASUは、(1)満期買戻取引を担保付借入金として会計処理することを事業体に要求し、(2)リンクされた

買戻資金調達取引に関する会計ガイダンスを削除し、また(3)売却として会計処理される特定の金融資産および担保付借入金として

会計処理される特定の譲渡(具体的には、レポ、証券貸付取引、および満期買戻取引)に関連する開示規定を拡張しています。

満期買戻契約

本ASUは、事業体が満期買戻取引を売却として会計処理することを禁止する例外を含めるよう、ASC860を改訂するものです。具体的

には、ASC860-10-40-5A(本ASUにより追加)で以下のように述べています。

満期買戻取引は、あたかも譲渡人が有効な支配を維持しているかのように、担保付借入金として会計処理されなければならない(パラグラフ

860-10-40-24から40-24Aを参照)。

本ASUは、有効支配の評価に関するASC860のその他の規準を変更していませんが、ASC860-10-40-5のすべての認識中止規準を

満たさないレポおよび証券貸付取引は、担保付借入金として会計処理すべきであることを明確化しています。加えて本ASUの結論の

背景は、満期買戻の例外は、「譲渡された金融資産の満期前に現金決済される類似取引」に対して類推して適用されるべきではない

ことを明確化しています。

買戻資金調達

本ASUは、ASC860-10-40-42から40-47の買戻資金調達取引に関するガイダンスを削除し、譲渡人と譲受人が、それぞれ、金融資産

の当初譲渡を売却(認識の中止条件を満たすことを条件として)および購入として対称的に会計処理することを要求しています。加えて

本ASUは、結合取引の買戻要素を、その他の典型的な買戻契約を評価および会計処理する場合と同様の方法で、評価および会計処

理することを事業体に要求しています。

開示規定

本ASUは、売却として会計処理される金融資産の特定の譲渡、ならびに担保付借入金として会計処理される買戻契約、証券貸付取

引、および満期買戻取引を裏付ける担保に関連する新たな開示規定を含んでいます。

売却として会計処理された特定の譲渡に関して、譲渡人は、取引の種類ごとに以下を開示する必要があります。

• 認識中止日時点において認識中止された資産の帳簿価額

• 認識中止された資産につき、認識中止時点で譲渡人が受け取った代金の総額

掘り下げた検討

本ASUは、買戻資金調達および満期買戻契約を持つ事業体の財務報告に重要な影響を及ぼす可能性があります。本ASUの適用

にあたり、以前に認識を中止していた未決済の契約がある事業体は、それらの契約を担保付借入金として認識および会計処理す

る必要があります。加えて、特定の規制事業体(例えば、銀行およびブローカー・ディーラー)は、本ASUが規制および資本規則へ

の遵守に及ぼす影響を評価する必要があります。

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• 譲渡対象金融資産に関する経済的リターンに対する譲渡人の継続的エクスポージャーについての情報

• デリバティブ契約によって表象されるような、財政状態計算書に報告される取引から生じる金額

本ASUは、本開示規定の範囲から(1)売却処理が認められるダラーロール取引および(2)ASC860-20-50-3と50-4の開示規定の対象

となる特定の他の取引を明確に除外しています。

担保付借入金として会計処理されるレポ、証券貸付取引、および満期買戻取引に対し、ASC860-30-50-7は以下の開示を要求してい

ます。

• 「差入担保の種類ごとの総債務の分解」

• 「契約の残存期間」

• 「当該契約および関連する差入担保に関係する潜在的リスクの議論。例えば、差入担保の公正価値の下落により生じる債

務、およびそれらリスクの管理方法」

加えて事業体は、相殺調整前に、これら取決めの義務の総額を、ASC210-20-50-3(a)に基づく資産と負債の相殺開示に含まれるレ

ポおよび証券貸付取引の負債の総額に調整することを要求されます。

経過措置および発効日

本ASUは、会計上の変更および開示ガイダンスに関する発効日を規定しています。これらの日付は、報告事業体が、公開または非公

開企業体かにより異なります。

公開企業体については、会計上の変更は、2014年12月15日より後に開始する最初の期中または年次期間から発効します。その他の

すべての事業体については、会計上の変更は、2014年12月15日より後に開始する年次期間、および2015年12月15日より後に開始

する期中期間から発効します。早期適用は、公開企業体に関しては禁止されています。しかしながら、その他のすべての事業体は、

2014年12月15日より後に開始する期中期間から、規定を適用することが選択可能となります。

公開企業体は、売却として会計処理される特定の取引に関連する開示規定を、2014年12月15日より後に開始する期中および年次期

間から適用することになります。当該事業体は、担保付借入金として会計処理されるレポ、証券貸付取引および満期買戻取引に関連

する開示規定を、2014年12月15日より後に開始する年次期間、および2015年3月15日より後に開始する期中期間から適用すること

になります。その他のすべての事業体については、開示規定は、2014年12月15日より後に開始する年次期間、および2015年12月15日より後に開始する期中期間から発効します。事業体は、発効日前の比較開示を表示することは要求されていません。

さらなる情報については、デロイトの2014年6月19日付Heads Upをご参照ください。

掘り下げた検討

ASC210-20におけるレポの定義は証券のみに適用されるのに対し、ASC860における定義は、すべての金融資産(例えば、ローン、

有価証券)に対しより広範に適用するよう修正されたため、ASC210-20-50-3(a)において要求される相殺開示とASC860-30-50-7における開示との間で、調整すべき差異が生じました。

加えて、これらの取引に関与する事業体は、事業体の会計または業務システムで、今まで捕捉できなかった情報を特定するための

システムや統制を変更し、報告された情報が正確かつ網羅的であるとこを確かめる必要があるかもしれない範囲を考慮すべきで

す。例えば、売却処理が認められる特定の金融資産の譲渡に関して、事業体は、本ASUに基づき要求される情報を提供できるよ

う、譲渡資産を適切に追跡するためのシステムを再構成する必要がある可能性があります。

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22

抵当権の行使時における住宅用不動

産を担保とする消費者向けモーゲー

ジ・ローンの再分類(ASU 2014-04) 背景

2014年1月、FASBはASU2014-04を発行しました。これは、住宅用不動産を担保とするモー

ゲージ・ローンを組成する事業体に影響します。具体的には、本ASUは、事業体がいつの

時点でモーゲージ・ローンの担保となる住宅用不動産物件の(実質的な所有または抵当権

の行使から)占有に至ったとみなされるか、すなわち、いつローンをその他の保有不動産

(OREO)に再分類すべきかを明らかにするためにASC310を修正しています。また、

ASU2014-04は、抵当権行使の過程にある不良モーゲージ・ローンについての新しい開示

規定も導入しています。

ASU2014-04は、公開事業体に対しては、2014年12月15日より後に開始する年次期間および年次期間中の期中期間から発効しまし

た。非公開事業体については、本ASUにおけるガイダンスが2014年12月15日より後に開始する年次期間および、2015年12月15日よ

り後に開始する年次期間中の期中期間から発効しました。早期適用は、全ての事業体に認められました。

主要な規定

ASU2014-04は、以下のいずれかが発生した時点で、住宅用不動産を担保とする不良モーゲージ・ローンをOREOに再分類することを

事業体に要求しています。(1)債権者が住宅用不動産物件に対する法的所有権を得たとき。(2)債権者に対する代物弁済の完了また

は類似の法的合意を通じて、借手が当該住宅用不動産物件に対するすべての権益を債権者に譲渡することによりローンを返済したと

き。ASU2014-04のもとでは、代物弁済または類似の法的合意は、合意された条件が借手と債権者の両方によって履行されたときに

完了されます。

加えてASU2014-04は、たとえ借手が抵当権行使後の期間において、法律で明示された一定の金額を支払うことで、不動産物件を返

還要求するために借手に与えられる法的権利である買戻権を有しているとしても、事業体が不動産物件の「法的所有権」の条件を満

たすことを明確にしています。

開示規定

また、ASU2014-04は事業体に対し、各期中および年次期間において次の開示を要求しています。

• 本ASUに従い占有を得た結果、債権者によって保有されている抵当住宅用不動産物件の帳簿価額

• その地域で適用される司法権の要求に従い、正式な抵当権執行手続が進行中の住宅用不動産物件を担保とするモーゲー

ジ・ローンの計上された投資額

掘り下げた検討

すでに多くの報告事業体が本ASUの表示ガイダンスを採用していたため、新しいガイダンスによってもたらされた最も重要な変更

は、報告事業体が、抵当権が行使された物件および抵当権の行使が延期されている物件についての追加の情報を開示する規定

であると思われます。報告事業体は、当該情報を開示すべく規定に準拠するための必要なデータや統制を保有しているかを評価す

べきです。

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適格な低価格住宅プロジェクトへの投資に関する

会計処理(ASU 2014-01) 背景

2014年1月、FASBは、事業体が低所得者向け住宅税額控除(LIHTC)への投資に係る代替的な会計処理方法(本来適用される持分

法の代替的方法)に適格となるために満たさなければならない規準を改訂するASU 2014-01を発行しました。また本ASUは、従来の

代替的な会計処理方法―実効利回り法―を比例償却法に置き換え、すべての事業体がLIHTC投資に関して提供しなければならない

新たな開示を導入しました。

公開企業体については、ASU 2014-01は2014年12月15日より後に開始する年次期間およびかかる年次期間の期中報告期間より発

効しました。公開企業体以外の事業体については、当該ガイダンスは2014年12月15日より後に開始する年次期間、および2015年12月15日より後に開始する年次期間の期中期間より発効しました。すべての事業体について、早期適用が認められました。

適用範囲

ASU2014-01の公表前は、従来の適用範囲の規定の制限的な性質により、LIHTC投資に対し実効利回り法による会計処理を適用す

ることができた事業体は少数でした。ASU2014-01はより多くのLIHTC投資が代替的方法による会計処理に適格となるよう、適用範囲

の規定を修正しました。具体的に、ASU2014-01は、税額控除は「信用力のある事業体によって保証されなければならない」という要件

を削除し、また、投資の予想利回りがプラスであるかを決定する際、事業体に税額控除と他の税務便益(例えば減価償却費)の両方を

考慮することを認めました。

これらおよび適用範囲の規定についての他の変更の結果、より多くのLIHTC投資が代替的手法による会計処理に適格となっています。

新しい代替的アプローチ

ASU2014-01は実効利回り法を比例償却法に置き換えましたが、新しいアプローチは、実効利回り法による表示の方法を保持してお

り、このもとでは、事業体は「法人所得税費用(ベネフィット)の構成要素」としてLIHTC投資の償却費を表示します。

比例償却法のもとでは、事業体は「投資家に割り当てられた税額控除とその他の税務便益に比例して」LIHTC投資の当初の帳簿価額

を償却します。具体的には、各期における償却額は、(1)投資の当初の帳簿価額と、(2)「投資期間にわたって投資家が受け取ると予

想される、税額控除とその他の税務便益の見積合計額により除された、当期において投資家に割り当てられた実際の税額控除とその

他の税務便益の比率」、の積と等しくなります。

また、比例償却アプローチは、事業体に「事象や状況の変化が、投資の帳簿価額が実現しないであろう可能性の方が高いことを示した

とき」、LIHTC投資の減損テストを実施することを要求しています。投資が減損していた場合、投資の帳簿価額が公正価値を超過する

額に相当する金額を減損損失として認識します。

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新しい開示

ASU2014-01はまた、LIHTC投資を保有するすべての事業体に対し、事業体が比例償却アプローチを採用したか否かにかかわらず、

新しい開示を要求しています。新しい開示規定の目的は、財務諸表利用者の「適格な低価格住宅プロジェクトに対する(事業体の)投

資の性質」と「適格な低価格住宅プロジェクトに対する投資の測定および関連する税額控除の財政状態および経営成績への影響」へ

の理解を助けるためです。

掘り下げた検討

本ASUの目的はLIHTC投資に係る代替的測定モデルの利用を拡大することであるものの、報告事業体は、自身が新たなガイダン

スを適用できるかどうかを決定するにあたり判断を用いなければなりません。例えば、LIHTCパートナーシップに対して重要な影響

力を行使できる報告事業体は当該方法の適用を認められません。明確な閾値が削除されたことを考えると、LIHTC投資家が重要

な影響力を有するか否かを決定することは、各投資の明確な事実と状況に基づき、基礎となる契約上の取り決めによりLIHTC投資

家に付与された権利の評価が求められることになります。

同様に、報告事業体は比例償却アプローチを採用した結果、繰延税金資産または繰延税金負債の認識の妥当性を評価するにあ

たり、税務専門家を関与させる必要があるかもしれません。

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将来に向けて

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減損

背景

FASBは、2015年の多くを減損に関する最終ガイダンスの草案作成に費やしました。またFASBは、財務諸表の作成者、監査人、およ

び銀行規制当局から成る減損に関するTRGを設置しました。当該TRGの会合にはFASBのボードメンバーが出席し、SECおよび

PCAOBの代表者もオブザーバーとして招かれました。

減損TRGの目的は、新ガイダンスの発行前と発行後の両方における当該基準の導入に関連する問題をFASBが解決する助けとなるこ

とです。FASBは最近、TRGとのある非公開セッションにおいて、最終ガイダンスのスタッフ草案に関するフィードバックを求めました。当

該基準の発行前に、他の非公開セッションでFASBがTRGからの追加的なフィードバックを求めるかどうかは不明確です。

プロジェクトの概要

当該改訂は、発生損失ではなく予想損失に基づく新たな減損モデル1である現在予想信用損失(CECL)モデルを導入するものです。

CECLモデルのもとでは、事業体は、回収できないと予想する契約上のキャッシュ・フローの見積額を引当金として認識します。FASBは、CECLモデルは信用損失のより適時な認識につながり、負債性金融商品に関する信用減損モデルの数を減らすことで、米国会計

基準の複雑性を軽減できると考えています2。

現行の減損モデル(しばしば、発生損失モデルと呼ばれます)のもとでは、減損引当金は、

損失事象(例えば、債務不履行)が発生したかまたは発生の可能性が高いと判断された後

でのみ認識されます。減損引当金を認識すべきか否かを評価するにあたり、事業体は現

在の状況および過去の事象を考慮するのみで、将来予測的な情報を考慮していない可能

性があります。

CECLモデル

範囲

CECLモデルは、負債性金融商品(純利益を通じて公正価値で測定されるもの(FVTNI)以外)の大半3、営業債権、リース債権、保険取

引から生じる再保険債権、金融保証契約4およびローン・コミットメントに適用されます。しかしながら、AFS負債証券は、当該モデルの

適用範囲から除外されており、引き続きASC320のもとで減損の評価が行われます(下記の説明の通り、FASBはAFS負債証券に係る

減損モデルの限定的な変更を提案しています)。

予想信用損失の認識

現行の米国会計基準における発生損失モデルとは異なり、CECLモデルは、減損引当金の認識についての閾値を明確にしていません。

むしろ、事業体は報告期間末現在の金融資産の予想信用損失(すなわち、事業体が回収できないと予想する契約上のキャッシュ・フロー

の合計額)に関する現在の見積りと同額の減損引当金を認識します。信用減損は、金融資産の償却原価ベースの直接的な償却として

ではなく、引当金(すなわち評価勘定)として認識します。

1 減損は、FASBとIASBの共同プロジェクトとして始まったにもかかわらず、両審議会の二重測定アプローチに対する関係者のフィードバックは、FASBを自らの減損アプロー

チの開発へと導きました。しかしながら、IASBは二重測定アプローチを開発し続け、IFRS第9号に対する2014年7月の改訂の一部として、当該アプローチに基づく最終の

減損ガイダンスを公表しました。IASBの減損モデルの詳しい情報については、デロイトの2014年8月8日のHeads Upをご参照ください。 2 CECLモデル案は現行の米国会計基準におけるいくつかの減損モデルを置き換える、またはそれらを改訂するものであることにご留意ください。それらのモデルに係る表

形式の要約については、デロイトの2015年3月13日付Heads Upの付録Bをご参照ください。 3 CECLモデルは以下の負債性金融商品には適用されません。

• 確定拠出従業員給付制度によって加入者に貸し付けられたローン

• 保険会社の契約者貸付債権

• 非営利事業体の誓約に係る債権(寄付の約束)

• 共通支配下における事業体間でのローンと受取債権4 CECLモデルは、保険として会計処理される、またはFVTNIで測定される金融保証契約には適用されません。

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予想信用損失の測定

本改訂によると、事業体による予想信用損失の見積りは、金融資産の契約期間にわたって回収できないと予想するすべての契約上の

キャッシュ・フローを反映します。金融資産の契約期間を決定する際、事業体は、予想される期限前償還を考慮しますが、「借手との不

良債権の貸出条件の緩和を実行すると合理的に予想」6している場合を除き、予想される延長を考慮することは認められません。

事業体は見積りを行うために、過去の事象、現在の状況ならびに合理的かつ裏付け可能な予測およびその予想信用損失に対する影

響についての情報を含む、すべての入手可能な関連情報を考慮します。すなわち、事業体は予想信用損失を決定するにあたっての出

発点として過去の償却率を用いることができますが、過去の償却期間中に存在していた状況が現在の予想とどのように異なっているか

を評価し、これに従い予想信用損失の見積りを修正しなければなりません。ただし、事業体は当該資産の契約期間にわたって状況を

予測することは要求されません。事業体が合理的かつ裏付け可能な予測を行うことのできる期間より先の期間については、事業体は

代わりに調整前の過去の信用損失実績に立ち戻ることになります。

会計単位

CECLモデルは、予想信用損失の測定における会計単位(例えば、個別の資産、または金融資産のグループ)を定めていません。ただ

し、類似のリスク特性が共有されている場合、事業体は当該モデルの範囲に含まれる金融資産を集団的に(すなわち、プールして)評

価することを要求されます。ある金融資産が事業体のその他の金融資産と類似のリスク特性を共有していない場合、事業体は当該金

融資産を個別に評価します。金融資産が予想信用損失について個別に評価される場合、信用格付けやその他の信用損失統計などの

入手可能な外部情報を事業体が無視することは認められません。

5 2013年9月17日のFASBとIASBの合同会合において達した暫定的な決定のFASBによる要約から引用された文章です。 6 2014年9月3日のFASBの会合において達した暫定的な決定のFASBによる要約から引用された文章です。

掘り下げた検討

CECLモデルには減損損失の認識についての最小閾値がないため、事業体は、損失リスクが低い資産(例えば、満期保有目的

(HTM)の投資適格負債証券)について、予想信用損失を測定する必要があります。しかしながら、「事業体は、不払いリスクがゼロ

より大きいものの損失額がゼロの金融資産について、損失を認識する必要はありません。」5。米国財務省証券や特定の高格付の

負債証券が、資産に係る信用損失を認識しないことを事業体に認めた際にFASBが考えていた資産であると思われますが、FASBは、資産の具体的な種類を明示しないことを決定しました。それにもかかわらず、損失リスクが低い金融資産に係る予想信用損失

の測定要求は、追加のコストと複雑性をもたらす可能性があります。

掘り下げた検討

予想信用損失の測定は、すべての事業体、特に金融機関にとって重要な課題となる可能性が高いと思われます。また、事業体に

おいては、システムの変更に関連するコスト、データの収集に関連するコスト、資産の契約上の期間にわたって予想信用損失を見

積るための将来予測的な情報の使用に関連するコストなど、CECLモデルの導入に関連する一回限りまたは経常的なコストが発生

する可能性があります。

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AFS負債証券 AFS負債証券の減損は引き続きASC 320に従って会計処理されます。ただし、当該改訂はこのガイダンスを以下のように修正しています。

• 認識する信用損失を、当該有価証券の償却原価とその公正価値との差額までに制限

• 事業体に(証券の原価ベースの永久的な評価減ではなく)引当金アプローチの使用を要求

• 証券が一時的でない減損の状態にあるか否かを評価する際、事業体が公正価値が償却原価を下回っている期間の長さを考

慮すべきという要求の削除

• 信用損失が存在しているか否かを評価する際、貸借対照表日後の公正価値の回復を考慮すべきという要求の削除

PCI資産

PCI資産とは、オリジネーション以降に「重要でないとはいえない(more than insignificant)」信用の質の低下がある、取得した金融資

産です。事業体は、これらの資産の予想信用損失を、オリジネートおよび購入した非信用減損資産の予想信用損失を測定するのと同

じ方法で測定します。

PCI資産の取得時に、事業体は予想信用損失引当金として、回収が予想されない契約上のキャッシュ・フローの金額を、当該資産の原

価ベーシスを増加させる調整として認識します(「グロスアップ」アプローチ)。

掘り下げた検討

新しいガイダンスのもとで事業体は、類似のリスク特性を共有する金融資産(HTM証券を含む)における予想信用損失を集合的に

測定することを要求されます。プーリングと集合的評価の概念は、特定のローンに対する現行の米国会計基準に存在しているもの

の、FASBは「類似のリスク特性」を明確に定義していません。そのため、「類似のリスク特性」に基づく集約が、購入した信用減損

(PCI)資産を「共通のリスク特性」に基づいてプーリングする現行実務と整合することをFASBが期待しているか否かは現時点では

不明です。基準設定機関、規制当局および監査人のような市場参加者の期待に応じて、事業体は、今よりもより精度の高いレベル

で損失データを捕捉するために、システムとプロセスの変更を行う必要がある可能性があります。

掘り下げた検討

FASBは、(1)現行の一時的でない減損モデルのステップ1(すなわち、「投資の公正価値が原価を下回っている場合、投資は減損

している」)および(2)事業体が、信用関連の減損金額のみを純利益に、信用関連以外の減損金額をOCIに認識するとした

ASC320に基づく要求を修正しませんでした。しかしながら、信用損失を認識する際、事業体は(AFS証券の原価ベースの永久的な

評価減ではなく)引当金アプローチを使用することになります。その結果、以下の例示の両方において、事業体は、AFS負債証券に

係る信用損失を当期間の損益を通じて戻入れます。

• (公正価値が償却原価を下回ったことにより)信用損失が損益を通じて認識された後の期間において、負債証券の公正価

値が償却原価を上回った場合、事業体は、以前に認識した信用損失の全額を戻入れ、貸倒引当金に対応する調整を認識

する。

• (公正価値が償却原価を下回ったことにより)信用損失が損益を通じて認識された後の期間において、負債証券の公正価

値が償却原価を上回ってはいないものの、当期において負債証券の信用の質が改善している場合、事業体は、負債証券

の改善した信用の質を反映する金額についてのみ、以前に認識した信用損失を戻入れる。

ASC320の減損モデルの修正は、減損の認識を早める結果となる可能性があります。

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PCI資産および関連する引当金の当初認識後、事業体は当該資産に対するCECLモデルの適用を継続します―すなわち、事業体が

回収すると見込んでいるキャッシュ・フローの見積りの変更(増加または減少)は、損益計算書において直ちに認識されます。結果とし

て、事業体による予想信用損失の見積りのその後の変更は―増加であろうと減少であろうと―変更が行われた期間における減損損失

(または損失の減額)として計上されます。利息収益の認識は、契約上のキャッシュ・フローを増額し、購入価格に当初の引当金を加算

した金額を基礎とします。

掘り下げた検討

現行のPCI資産の会計処理のもとでは、事業体はキャッシュ・フローの不利な変動を直ちに信用の減損として認識しますが、引当金

を上回るキャッシュ・フローの有利な変動は将来の利回りの調整として取り扱います。CECLモデルのPCI資産に対するアプローチ

は、キャッシュ・フローの変動におけるこの非対称的な取扱いを廃止しています。ただしCECLモデルは、現行の実務と整合して、取

得日の時点における予想信用損失に起因する購入価格に組み込まれたディスカウントを事業体が利息収益として認識することを

認めていません。

オリジネーション以降に取得した資産の信用の質が低下している結果として投資家が契約上のキャッシュ・フローをすべては回収で

きない可能性が高い場合、当該資産は現在信用が減損しているとみなされます。ただし上記の通り、FASBの暫定的なアプローチ

のもとで、PCI資産とはオリジネーション以降に「重要でないとはいえない」信用の質の低下がある取得した資産です。資産の購入

時に、オリジネーション以降の当該資産に係る信用の質における信用低下の水準に関わりなく、事業体が損益計算書において予

想信用損失を認識しなければならない場合、それらの損失は購入価格においてすでに想定されているため事業体は当該資産に係

る予想信用損失を「二重カウント」することになると指摘する利害関係者のフィードバックに一部対応して、FASBはPCI資産の定義

を修正しました。FASBは事業体がすべての取得した資産にグロスアップ・アプローチを適用することは要求しないと決定したもの

の、事業体は改訂案の要求に基づいて従来適用したであろう資産よりも多くの資産にグロスアップ・アプローチを適用する可能性が

高いことから、利害関係者はこのPCI資産の定義の変更を支持すると思われます。またFASBは、オリジネーション以降の購入した

資産の信用の質に「重要でないとはいえない」低下があるかどうかを事業体が評価する助けとなる導入ガイダンスが最終基準に含

まれることを明らかにしています。

開示

本提案によって要求される開示の大半は、ASU2010-20の結果として米国会計基準のもとですでに要求されているものと同様です。 従って、事業体は以下に関する情報の開示が要求されます。

• 信用の質7

• 予想信用損失に係る引当金

• 償却を決定するための方針

• 支払いの期日経過の状況

• PCI資産

• 担保付金融資産

加えて事業体は、それぞれの資産クラスに係る信用の質の指標を、5年以下の期間についてビンテージ別に分解して開示する必要が

あります(なお、移行時には、事業体は当年度および前年度の償却原価残高についてのみこの開示を提供することを要求されます)。

この開示は年次および期中期間について要求され、また事業体のリボルビング信用枠については要求されません。

7 ASC605の適用範囲内である収益取引から生じる短期営業債権はこれらの開示規定から除外されています。

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経過措置

大部分の負債性金融商品について、当該改訂は、事業体が当該ガイダンスの発効する最初の報告期間の期首時点で財政状態計

算書に係る累積的影響の調整を計上することを要求しています(修正遡及アプローチ)。ただし、一時的でない減損の状態にある負

債証券、PCI資産、およびASC 325-40の範囲に含まれる特定の受益持分については、商品固有の経過措置が定められます。

その他の重要な決定

また、新たなガイダンスには、以下に関連するFASBの暫定的な決定が反映されます。

• 予想信用損失を測定する際の実務的簡便法

• 償却

• 条件変更

• ASC 325-40の範囲に含まれる特定の受益持分

• ローン・コミットメント

• 経過的開示

発効日および早期適用

FASBは以下を暫定的に決定しました。

• 米国会計基準に基づくSEC登録会社の定義を満たす公開企業体については、最終基準は2018年12月15日より後に開始

する事業年度(かかる事業年度の期中期間を含む)より発効する。

• SEC登録会社の定義を満たさない公開企業体については、最終基準は2019年12月15日より後に開始する事業年度(か

かる事業年度の期中期間を含む)より発効する。

• その他のすべての事業体については、最終基準は2019年12月15日より後に開始する事業年度、および2020年12月15日より後に開始する事業年度の期中期間より発効する。

またFASBは、米国会計基準に基づくSEC登録会社の定義を満たす公開企業体は最終基準の早期適用を認められないことを暫定

的に決定しました。その他のすべての事業体は最終基準の早期適用を認められますが、SEC登録会社が当該基準を適用する前に

は認められません。

次のステップ

この致命的な欠陥のある草案に関して受け取ったコメントに基づき、FASBは2015年11月23日の会合においてPCI資産について議

論することを計画しています。加えてFASBは、2016年第1四半期中の発行を見込んでいる最終ガイダンスの草案作成を継続する中

で、追加的なTRGのフィードバックを求める可能性があります。これまでの減損プロジェクトの包括的な要約については、FASBのウェ

ブサイトにおけるプロジェクトの最新情報のページをご参照ください。

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分類および測定

背景

FASBは現在、金融商品の分類および測定に関するガイダンスの改訂を最終決定しているところです。2013年2月のASU案(金融商品

の分類および測定に係るIASBのモデルに概ね収斂された新たなモデルについて概説したもの)の審議において、FASBはこの収斂さ

れたアプローチを廃止し、米国会計基準における現行の規定の多くを維持することを決定しました。ただし、当該改訂は以下に関連す

る重要な変更を含んでいます。

• 持分投資の会計処理(持分法で会計処理されるものまたは連結されるものを除く)

• 実行可能性による適用除外を用いて測定される持分投資の減損

• 公正価値オプションが選択されている金融負債に係る商品固有の信用リスクの変動に起因する公正価値の変動の認識

• 金融資産および金融負債に係る開示規定

FASBは2015年11月11日の会合において最終基準の草案作成をスタッフに指示しており、これは年末までに発行される見込みです。

また、FASBは来たる基準の発効日に関する暫定的な決定を下しました。

公開企業体については、新基準は2017年12月15日より後に開始する事業年度(その期中期間を含む)より発効します。その他のすべ

ての事業体については、新基準は2018年12月15日より後に開始する事業年度、および翌年度の期中期間より発効します。すべての

事業体について、当該基準における規定の一部の早期適用が認められます。非公開企業体は、公開企業体に係る発効日に従って当

該基準を適用することが認められます。

8 2014年8月13日のFASBの会合において達した暫定的な決定のFASBによる要約から引用された文章です。

掘り下げた検討

金融機関は現在、信用損失を見積るために様々なモデルを使用しています。固定された対象期間にわたった過去の損失実績の平

均を考慮に入れた簡便的なアプローチを適用している機関がある一方で、より洗練された「遷移」分析や予測モデル技法を使用し

ている機関もあります。CECLモデルのもとでは、過去の損失実績のみに基づくあらゆるアプローチについて、事業体は、金融資産

の残存契約期間にわたって将来予測的な情報の影響を考慮する必要があります。加えて、事業体は、「合理的および裏付け可能

な予測を作成または入手できる期間を超えた期間に関する予想信用損失の見積りを行う場合、(未調整の)過去の信用損失実績

に戻ることが認められます」8。

例えば、事業体が、報告日時点の同質のローンのプールに関する可能性の高い未確定損失の金額を決定するために、年率換算さ

れた損失率を使用していると仮定します。CECLモデルに移行する際、事業体は、金融商品の全契約期間を表す期間と等しくなる

よう固定された対象期間(すなわち、年率換算された損失率)を調整することにより、その引当方法を修正する必要があるかもしれ

ません。デフォルト確率(PD)アプローチを使用している事業体は、残存期間の予想損失の概念に組み込むために、PDやデフォル

ト時損失率(LGD)の統計を修正する必要があるかもしれません。現在、事業体のPDアプローチは、金融商品の全契約期間より短

い固定された評価期間(多くの場合、1年)にわたってデフォルトが起きる可能性の見積りである可能性があります。同様に、事業体

は、残存期間の予想損失の概念(すなわち、金融資産の全契約期間においてデフォルトが発生した場合の、エクスポージャーの総

額に対する損失割合)を組み込むために、LGDの統計を修正する必要があります。

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持分投資の分類および測定

当該改訂は、持分投資が持分法で会計処理されているかまたは連結されている場合を除き、事業体が持分証券へのすべての投資を

公正価値で計上し、公正価値の変動を損益を通じて計上することを要求しています。容易に決定可能な公正価値を持たない持分投資

について当該ガイダンスは実行可能性による適用除外を認めており、かかる除外に基づく持分投資は、(該当する場合)減損損失控除

後の原価に、秩序ある取引における観察可能な価格の変動を加減した金額で測定されます。投資会社または証券ブローカー・ディーラー

である報告事業体は、この適用除外を利用することができません。

持分投資の減損評価

当該改訂は、実行可能性による適用除外を選択している事業体が、持分投資に一時的でない減損が生じているかどうかを評価する要

求を廃止しています。代わりに、各報告期間の時点で、事業体は投資が減損しているかどうかを判断するため、以下の指標(本ASU案

におけるASC 825-10-35-18より)を定性的に検討します。

a. 投資先の業績、信用格付、資産の質、または事業見通しの著しい悪化

b. 投資先の規制環境、経済環境、または技術環境における重要な不利な変化

c. 投資先が事業を行う地理的地域または業界の一般的な市場環境における重要な不利な変化

d. 投資の帳簿価額より低い金額での、同一または類似の投資に対する購入の真正な申し込み、投資先による売却の申し込み、または完了した

オークションプロセス

e. マイナスの営業キャッシュ・フロー、運転資本の不足、自己資本規制や借入契約条項に対する違反のような、継続企業として存続する投資

先の能力について重大な疑義を生じさせる要因

この定性的な評価に基づき持分投資が減損している場合、投資先は、帳簿価額が公正価値を超過する金額に相当する減損を計上す

ることを要求されます。投資先は、かかる減損が一時的でないものかどうかを評価することを要求されなくなりました。

商品固有の信用リスクの変動に起因する負債の公正価値の変動

公正価値オプションが選択されている金融負債(デリバティブ商品を除く)について、当該改訂は、商品固有の信用リスクに関連する公

正価値の変動を、事業体がOCIにおいて個別に認識することを要求しています。当該ガイダンスは、公正価値の変動合計のうち基礎

的な市場リスク(無リスク金利など)の変動により生じる金額を超過する部分は商品固有の信用リスクに起因している可能性があるとし

ていますが、同時に事業体が商品固有の信用リスクの決定に用いることのできるその他の手法もあり得ると認めています。

開示規定の変更

非公開企業体について、当該改訂は、償却原価で測定される金融商品の公正価値を開示する要求を廃止しています。加えて、公開企

業体はかかる金融商品について、(1)公正価値の見積りに用いた手法および重要な仮定に関連する情報、または(2)公正価値の見積

りに用いた手法および重要な仮定の変更の内容を開示することを要求されません。

掘り下げた検討

現行の米国会計基準のもとでは、持分法投資として会計処理されない市場性のある持分証券は、売買目的保有(公正価値の変動

は損益に認識される)または売却可能(公正価値の変動はOCIに認識される)のいずれかとして分類されます。持分法投資として会

計処理されない市場性のない持分証券への投資は、原価(一時的でない減損を控除後)で測定されます。当該改訂は、市場性の

ある持分証券に係るAFSの分類カテゴリー、および適格な市場性のない持分証券に係る原価法の会計処理を廃止しています。こ

れらの変更の結果として、原価法投資または売却可能として分類される持分投資の大規模なポートフォリオを持つ銀行は、損益の

変動に直面する可能性があります。

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また当該ガイダンスは、開示の目的においてローンの公正価値の見積りに係る「入口」価格の概念を認めるものと解釈されていたASC 825の規定を廃止することにより、米国会計基準を明確化しています。当該改訂は、公開企業体がASC 820の出口価格の概念に従っ

て公正価値を開示することを要求しています。加えて、すべての事業体は、(1)測定カテゴリー(すなわち、償却原価と公正価値―純利

益とOCI)別、および(2)金融資産の形態(すなわち、有価証券とローン/受取債権)別に分類されたすべての金融資産および金融負

債を、財務諸表の注記において開示することを要求されます。

ヘッジ

背景

ヘッジ会計の的を絞った改善に関するプロジェクトの一環として、FASBは2015年中に数回の教育セッションを開催しました。それらの

セッションは、最終的に承認された場合には現行のヘッジ会計モデルにおける特定の側面を大幅に修正するであろう多数の暫定的な

決定をFASBが下した2回の意思決定会合で今のところ締めくくられています。FASBは、これらの暫定的な結論を反映するASU案を

2016年第1四半期中に発行したいとしています。

全体的なヘッジモデル

FASBは、公正価値ヘッジとキャッシュ・フロー・ヘッジの両方について、(1)現行の米国会計基準のもとでヘッジ会計に適格となるため

に用いられる「高い有効性」の閾値、および(2)事業体がヘッジ関係を任意に指定解除することを認める現行ガイダンスを維持すること

を暫定的に決定しました。さらに、当該案のもとで事業体は、(ショート・カット法または重要条件一致法の使用に係る規準を満たし、定

量的評価の必要性が排除されている場合を除き)ヘッジの有効性を定量的に評価する手法の説明を含む、ヘッジの開始時における所

定の文書化を依然として実施する必要があります。ただし事業体は、当該ヘッジを指定した報告期間の期末まで、このヘッジの有効性

に係る当初の定量的評価を実際に完了する必要はありません(すなわち、事業体は最大3カ月間をかけて有効性の当初の定量的評

価を完了することができます)。また、当該案のもとで、ヘッジの開始後、事業体は事実および状況が変化した場合にのみヘッジの有効

性の定量的評価を実施する必要があります。

またFASBは、ヘッジの非有効性の従来からの概念を廃止することを暫定的に決定しました。

• 有効性の高いキャッシュ・フロー・ヘッジ関係については、事業体によるヘッジの有効性の評価に含まれるヘッジ手段の公正

価値の変動全額が、当初OCIに計上される。ヘッジ対象が損益に影響を及ぼす場合、OCI累計額に含まれる金額は、ヘッジ

対象が損益に影響する際と同じ損益計算書の科目に再分類される。ヘッジ手段の公正価値の変動のうち事業体によるヘッ

ジの有効性の評価から除外される部分は、直ちに損益に認識される(ただし、ヘッジ対象が損益に影響する際と同じ損益計算

書の科目に表示される)。

• 有効性の高い公正価値ヘッジ関係については、ヘッジ手段の公正価値の変動全額が、ヘッジ対象が損益に影響する際と同

じ損益計算書の科目において直ちに損益に計上される。

• 有効性の高い純投資ヘッジ関係については、事業体によるヘッジの有効性の評価に含まれるヘッジ手段の公正価値の変動

全額が、当初OCIにおいて累積した為替換算調整の一部として計上される。ヘッジ対象が損益に影響を及ぼす際、OCI累計

額に含まれる金額は、ヘッジ対象が損益に影響する際と同じ損益計算書の科目に再分

類される。ヘッジ手段の公正価値の変動のうち事業体によるヘッジの有効性の評価から

除外される部分は、直ちに損益に認識される。

加えてFASBは、(1)公正価値ヘッジに係る累積的ベーシス調整、および(2)ヘッジが個別の損益計

算書の科目に及ぼす影響に関して、追加的な開示を要求することを暫定的に決定しました。また

FASBは、事業体がそのヘッジ目的を達成するために設定した定量的目標(該当する場合)に関して

拡充した定性的開示を要求することを暫定的に決定しました。

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非金融ヘッジ関係

非金融項目のヘッジについてFASBは、現行の米国会計基準を変更し、契約で定められたレートまたは指数に連動する、契約上特定

された構成要素を事業体がヘッジ対象として指定することを認めると暫定的に決定しました。非金融項目の契約上特定された構成要

素の価格決定に関連する上限、下限、または負のベーシスは、かかる構成要素をヘッジ対象として指定することを妨げません―事業

体は単に、自身が行うヘッジの有効性の評価においてかかる価格決定の特性を考慮する必要があります。

金融ヘッジ関係

金融項目のヘッジについて、FASBは以下を暫定的に決定しました。(1)変動金利を持つヘッジ対象の契約で定められた指標金利を金

利リスクとして指定することを認める(これにより事業体は変動金利商品のキャッシュ・フロー・ヘッジに関してベンチマーク金利を指定

する必要がなくなる)、(2)固定金利商品のヘッジに係る現行のベンチマーク金利の定義を維持する(ただし、矛盾を排除するための軽

微な修正を伴う)、(3)米国証券業金融市場協会(SIFMA)のミュニシパル・スワップ・インデックスを認められたベンチマーク金利として

指定する。

加えて、この暫定的な決定は、金利リスクの公正価値ヘッジについて事業体に以下を認めています。

• 償還可能債務のヘッジに係る債務の価値の変動を決定する際に、指定されたヘッジ対象リスク(例えば、金利リスク)が期限

前償還オプションに及ぼす影響のみを考慮すること

• ヘッジ対象の期間の一部のみをヘッジされたリスクとして指定する(すなわち、ヘッジ対象の公正価値の変動をヘッジ手段の

期間と同じ期間を用いて計算する)こと

• ベンチマーク金利の変動に起因するヘッジ対象の公正価値の変動を、(1)クーポンのキャッシュ・フロー合計、または(2)ベンチ

マーク金利に関連するキャッシュ・フローのみのいずれかを用いて計算すること。ただし、ヘッジ指定日においてヘッジ対象の

実効金利がベンチマーク金利を下回っている場合、事業体はクーポンのキャッシュ・フロー合計を用いることを要求される。

ショート・カット法

FASBは、現行の米国会計基準におけるショート・カット法を維持することを暫定的に決定しました。ただし、FASBは同時に、ショート・カッ

ト法を適用できない場合にヘッジの非有効性の測定に用いるロング・ホール法をヘッジの開始時に事業体が文書化することを認めると

暫定的に決定しました。すなわち、ショート・カット法の使用を継続することが不適切であると事業体が後に判断した場合、当該ヘッジ関

係が開始以降高い有効性を維持している限りにおいて、事業体は開始時に指定したロング・ホール法を用いて当該ヘッジ関係を継続

することができます。

次のステップ

FASBスタッフは、(1)非公開会社に係る代替的なヘッジの文書化規定が必要であるかどうかの検討を含めて審議を継続し、(2)審議

会の決定を反映するスタッフ草案を策定し、(3)暫定的な決定のコスト、便益および潜在的な複雑性を分析し、(4)投票のために審議

会に差し戻す必要のある問題を識別する予定です。加えてFASBは、本ASU案の経過措置およびコメント期間に対応する必要があり

ます。

FASBのヘッジプロジェクトに関する最新の状況については、デロイトのUS GAAP Plusウェブサイトにおけるプロジェクトページをご参

照ください。

掘り下げた検討

当該案が発行される際、企業はこれを注意深く分析してこれが自身のヘッジ戦略、システム、および内部統制に及ぼす可能性のあ

る派生的な影響を評価すべきであり、また企業は当該改訂案に対するフィードバックをFASBに提供することが推奨されます。多国

籍企業は、FASBのヘッジモデル案がIASBのIFRS第9号のヘッジモデルと大幅に異なる可能性が高いことに留意すべきです。

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リース

背景

FASBは、借手による特定のリース契約のオフ・バランス・シートの取扱いに関する懸念に対処するために、約10年にわたってIASBと協力してきました。両審議会のモデル案は、短期リース(すなわち、リース期間が12カ月未満のリース)を除く実質的にすべてのリースを

オンバランスする使用権(ROU)資産アプローチを採用することを借手に要求しています。本アプローチのもとで、借手は、(キャピタル・

リースに関する現行のアプローチに類似する方法で)リース期間における原資産の使用権を表すROU資産および対応するリース負債

を計上します。

借手の会計処理

両審議会は、借手がリース開始時にROU資産と対応するリース負債を計上すべきであるということで一致しているものの、FASBとIASBは、借手の事後の会計処理に関して異なるアプローチを支持しています。FASBは、現行のIAS第17号におけるリースの分類規

準に類似した規準を使用して借手がリースを分類する、二重モデル・アプローチを決定しました。IAS第17号のもとでは、現行の米国会

計基準のような「明確な線引き」(例えば、ASC840における公正価値の90%テスト)は存在しません。ファイナンス・リースとみなされる

リース(現行のキャピタル・リースの大半がファイナンス・リースに適格になると見込まれています)に対し、借手は、ファイナンス購入契

約と類似の方法でリースを会計処理します。すなわち、借手は利息費用とROU資産の償却を認識し、これは一般的にリースの初期期

間においてより多くの費用を計上する結果となります。オペレーティング・リースとみなされるリース(現行のオペレーティング・リースの

大半が引き続きオペレーティング・リースに適格になると見込まれています)に対し、借手はリース費用総額を定額で認識します。リース

の両方のタイプに関して、借手は、原資産に対する持分に係るROU資産と対応するリース負債を計上します。

賃手の会計処理

2014年に、両審議会は、EDに対する関係者のフィードバックについて議論し、現行の貸手の会計処理モデルに重要な変更を加えない

ことを決定しました。むしろ両審議会は、ASC840およびIAS第17号の現行のキャピタル/ファイナンス・リースおよびオペレーティング・

リースのモデルと類似のアプローチを採用することに合意しました。しかしながらFASBは、米国会計基準の分類規定をIAS第17号の

規準に整合させる決定を行いました。加えてFASBは、現行のセールスタイプ・リースに類似するリースについて、契約が新しい収益認

識ガイダンス(ASC606)のもとで売却として適格となったであろう場合においてのみ、貸手が取引に係る利益を計上することを認める

決定を行いました。FASBはまた、レバレッジド・リース会計を廃止するという従来の決定を再確認しました。しかしながら、審議会は、 リースに係る最終ガイダンスの発効日時点で存在するレバレッジド・リース契約に対して現行のレバレッジド・リースのガイダンスの適用

を継続することを事業体に認めることを暫定的に決定しました。

掘り下げた検討

両審議会は、契約がリースを含むかまたはサービスを提供する取決めを表すかを関係者が特定するのに役立つよう、リース契約を

定義しようと膨大な時間を費やしてきました。2013年5月にASU案としてFASBにより公表された、両審議会の修正されたリースの

EDでは、リースを「資産(原資産)を使用する権利を対価と交換に一定期間にわたり移転する契約」とし定義しています。修正された

EDは、(1)契約が識別された資産に基づいているか、および(2)借手が特定の期間、資産の使用を支配する権利を取得するか否

かに焦点を当てています。

リースの定義は、ある契約が新しいガイダンスの範囲内であるか否かに重要な影響を及ぼします。例えば、FASBの規定のもとで

は、「少額」項目(ターミナル、コピー機、コンピュータ等)へのアクセスを提供する契約は、最終的にリース契約とみなされる可能性

があるため、金融機関の貸借対照表に計上する必要があるかもしれません。しかし、IASBは、最終基準に少額項目に関する例外

を盛り込むことを決定したため、本指針は収斂されませんでした。

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次のステップ

FASBはリースに関する再審議を完了済であり、2015年第4四半期中または2016年初めに最終基準を発行すると見込まれています。

公開企業体については、新ガイダンスは2018年12月15日より後に開始する事業年度(すなわち、2019年1月1日に開始する暦年期

間)(その期中期間を含む)より発効します。その他のすべての事業体については、当該基準は2019年12月15日より後に開始する年

次期間(すなわち、2020年1月1日に開始する暦年期間)、およびその後の期中期間より発効します。早期適用は認められます。

掘り下げた検討

資本および財務制限条項に関する検討事項

銀行・証券セクターに属する会社は、提案されたリースに関するガイダンスの適用に伴って計上されるROU資産および対応する負

債の両方の資本上の取扱いについて懸念を表明してきました。具体的には、明確なFASBまたはSECのガイダンスが存在しない状

況で、多くの会社は規制当局が、ROU資産について現行のキャピタル・リースに対する見方と同様の見方(すなわち、流動性資産と

はみなさない)をするのではないかと予想しています。規制当局は、ROU資産が銀行の普通株式等Tier 1資本にどのように影響を

与えるかについて、今のところ見解を示していません。そのため、関係者は、最終ガイダンスが銀行の自己資本の計算にどのような

影響を与えるかを判断するために、規制当局からの追加的な明確化を期待しています。

同様に、規制当局も、ブローカー・ディーラーが100%の資本賦課を避けられるよう、どのような救済措置(もしあれば)がブローカー・

ディーラーに与えられるかについて、いまだ決定していません(例えば、ブローカー・ディーラーの自己資本の計算上、非流動性資産

はすべて「算入不可」とみなされるために、100%の資本賦課が要求されるかどうか)。さらに、自己資本の計算を総負債法で行うブ

ローカー・ディーラーにとっては、リース負債の認識により総負債の額が増加する可能性があります。したがって、借手であるブロー

カー・ディーラーの自己資本の計算および米国証券取引法の規則15c3-1のもとで計算される最大負債・自己資本比率は、最終ガイ

ダンスの採用により不利な影響を受ける可能性があります。その結果、持株会社は、所要自己資本の要求を十分に満たすために、

ブローカー・ディーラー子会社の資本を大幅に増強することを強いられる可能性があります。

最後に、本ASU案のもとで借手に要求される貸借対照表のグロスアップの結果、借手である銀行および証券会社は、既存の財務

制限条項を修正する必要性が生じ、ローン条件についての再交渉およびローン契約の修正を幅広く発生させる可能性があります。

運用上の検討事項

提案された借手の会計処理規定を実行するために、銀行および証券事業体は、不動産リース(例えば、ATM端末や支店)および設

備リースに関連する情報を含む、各自が契約当事者となっているすべての個々のリースからデータを収集し維持しなければなりま

せん。このデータ収集作業は、特に世界中に展開している事業体にとって、事業体全体に及ぶ運用上の課題となる可能性がありま

す。新しい規定は外部報告情報のみならず、財務予算および予測を含む内部報告情報にも影響を及ぼすでしょう。

掘り下げた検討

FASBは当初、貸手において発生したセールスタイプ・リース(利益マージンのないものを含む)に関連する初期直接コストは費用処

理すべきであると決定しました。しかし、ガイダンス案に対するフィードバックは、FASBがこの要求を再検討することを提案していま

した。FASBは、セールスタイプ・リースから生じる販売損益がない場合、初期直接コストは繰り延べられ、リース期間にわたって認

識されるべきであると暫定的に決定しました。このアプローチは、ダイレクト・ファイナンシング・リースに係る現行の米国会計基準に

基づく初期直接コストの認識方法と整合しています。

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公開企業体および非営利事業体に係るのれんの

会計処理

背景

2013年11月、FASBは、非公開企業体がのれんを償却することおよび簡素化された減損テストを実施することを認めるPCCの決定を

承認しました。このPCCの決定に対して、FASBは、多くの公開企業体および非営利事業体が年次ののれんの減損テストに係るコスト

および複雑性に関する類似の懸念を持っていると指摘するフィードバックを受け取りました。これに対応して、FASBは2014年にこのプ

ロジェクトをアジェンダに追加しました。

現在の状況および次のステップ

現在、当該プロジェクトは当初の審議フェーズにあります。2015年10月28日の会合において、FASBは当該プロジェクトを2つのフェー

ズに分割することを暫定的に決定しました。第1フェーズは、のれんの減損テストの簡素化に焦点を合わせます。第2フェーズでは、

FASBはIASBと協力してのれんの事後的会計処理に関連する利害関係者の懸念に対処します。

10月の会合において、FASBはのれんの減損テストをどのように簡素化するかについて議論し、ステップ2を削除することにより、仮想

的な購入価格の配分を完了する要求を廃止することを暫定的に決定しました。またFASBは、ステップ2を実施する選択肢を事業体に

与えず、代わりに簡素化された減損テストを将来に向かって適用することを事業体に要求すると暫定的に決定しました。

加えてFASBは、非営利事業体にPCCの代替的な会計処理の適用を認めるべきかどうかについて議論しました。FASBは、非公開事

業体がのれんを償却すること、およびトリガー事象の発生時にのれんの減損テストのステップ1のみを(事業体レベルまたは報告単位

レベルで)完了することを認めるASU 2014-02の代替的な会計処理を、非営利事業体に拡大しないことを暫定的に決定しました。

連結会社間でサービスの取決め(不動産、テクノロジーまたは設備に関連するものが多い)を行っている事業体は、これらの取決め

が、子会社の個別財務諸表において会計処理する必要があり得るリース構成要素を含むか否かを判断する必要があります。

FASBは、連結会社間のリース契約は、それらの(実質ではなく)法的形式に基づいて会計処理すべきであると暫定的に決定しまし

たが、そうした契約を洗い出すための事務負担は大きくなるでしょう。

レバレッジド・リース

銀行は、投資リターンを生むために、以前からレバレッジド・リース契約に投資してきました。FASBは、最終ガイダンスの発効日時

点で存在するレバレッジド・リース契約に対し、現行のレバレッジド・リースに関するガイダンスの適用を継続することを事業体に認

めることを暫定的に決定した一方、新しい契約については、この特別な会計処理をもはや認めていません。

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公開企業体および非営利事業体の

企業結合における識別可能な

無形資産の会計処理

背景

2014年11月、FASBは、公開企業体および非営利事業体の企業結合における識別可能な無形資産の会計処理に関する現行のモデ

ルの潜在的な変更について検討するプロジェクトをアジェンダに追加することで一致しました。FASBは、特定の無形資産がのれんに組

み込まれるべきかどうかを評価する予定です。

現在の状況および次のステップ

現在、当該プロジェクトは当初の審議フェーズにあります。2015年10月28日の会合において、FASBは、このトピックに関するIASBのプロジェクトと協力してさらなる調査を継続することを決定しました。

事業の定義の明確化現在、FASBはASC 805における事業(business)の定義を明確化するプロジェクトに取り組んでいます。当該プロジェクトは以下の3つのフェーズから成っています。

• フェーズI―事業の定義の明確化

• フェーズII―非金融資産の部分的売却および留保する持分の会計処理、ならびに実質的な非金融資産の定義の明確化

• フェーズIII―資産取得の会計処理と事業取得の会計処理の間における特定の差異の最小化

2015年7月10日の会合において、FASBは、事業の定義の明確化に関するASU案の起草を開始するようスタッフに指示しました。この

プロジェクトでこれまでに達した暫定的な決定には以下が含まれます9。

• 事業とみなされるためには、「ある一連の活動および資産が、アウトプットを生み出す能力に全体で寄与するインプットと一つ

または複数の実質的なプロセスを含んでいなければならない」。

• 当該ガイダンスには、「取得した一連の資産および活動に実質的なプロセスが含まれているかどうか」の判断に係る枠組みが

含まれる。

• 事業の定義には、「市場参加者が当該事業を取得してアウトプットを生み出し続ける能力を持っている場合、事業は、売手が

当該事業の運営に用いていたすべてのインプットおよびプロセスを含んでいる必要はない」との記述はもはや含まれない。

• 「取得した総資産のほぼすべての公正価値が単一の有形資産もしくは識別可能な無形資産(または類似の有形資産もしくは

識別可能な無形資産のグループ)に集中している」場合、譲渡された一連の活動は、(事業ではなく)資産とみなされる。この

決定は、「(a)どのような場合に取引が定性的に評価することのできる事業とみなされないかを判断するための実務的な方法

を定め、かつ(b)多くの場合において分析に投入される作業の量を大幅に削減する」ものである。

FASBは、現行の事業の定義が極めて幅広く解釈されてきており、適用が困難であるためだけでなく、ASU 2014-09のもとで「非顧客と

の非金融資産の売却または譲渡の範囲を明確化することが必要である」ために、かかる明確化は不可欠であると述べました。

9 2015年7月9日のFASBの会合における配布資料から引用された内容です。

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さらにFASBは、「事業の定義が明確化された場合、実質的な非金融資産への言及は必要でなくなるかもしれない」が、これが明確化さ

れない場合には、「実質的な非金融資産とは何かについてのさらなる圧力がかかり、結果として実質的な非金融資産に関する追加的

なガイダンスを定める必要が生じると思われる」と述べています。

FASBは発効日について議論しませんでしたが、当該案は適用時に将来に向かって適用され、また公開草案に対して60日のコメント期

間が設けられると決定しました。

加えて、IASBは、IFRS第3号における事業の定義を再検討するための類似のプロジェクトをアジェンダに追加することを検討中です。

現在、事業の定義は米国会計基準とIFRSのもとで収斂されています。本出版物の刊行の時点で、IASBのプロジェクトがFASBのASU案および最終基準の発行時期にどのような影響を及ぼすかは明確ではありません。

さらなる情報については、FASBのウェブサイトにおけるプロジェクトの最新情報のページをご参照ください。

従業員に対する株式に基づく報酬に関する

会計処理の簡素化2015年6月、FASBは、その簡素化の取り組みの一環として、株式に基づく報酬に係るASU案を発行しました。本ASU案は、公開およ

び非公開事業体の双方に関する従業員に対する株式に基づく報酬に係る会計処理の特定の側面(例えば、法人所得税、失効、最低

法定源泉規定、キャッシュ・フロー計算書上の分類、および買い戻し特性を有する報酬の分類に関する会計処理)に影響を及ぼしま

す。加えて、本ASU案は、非公開事業体に対して、報酬の予想期間を見積るために簡便法を使用すること、また負債に分類された報

酬に関して公正価値測定から本源的価値への変更を一回限り選択することを可能にする、二つの実務的簡便法を含んでいます。

FASBは、財務諸表の作成者、専門家団体および業界団体、ならびに会計事務所を含むさまざまな回答者から、当該案に対する60件を超えるコメント・レターを受け取りました(回答期限は2015年8月14日でした)。回答者は変更案を一般に支持していたものの、多数が

税務便益超過額および不足額の会計処理に関連する主要な規定について懸念していました。具体的には、本ASUはAPICプールを廃

止し、事業体がすべての税務便益超過額および不足額を損益計算書において計上するよう要求することを提案しています。回答者は

APICプールを廃止するというFASBの提案に一般に同意していたものの、多くがすべての税務便益超過額および不足額を資本に直接

計上することを望んでいました。

FASBは、2015年第4四半期中に当該変更案を再審議し、新たなガイダンスの発効日を決定すると見込まれています。

本ASU案に関するさらなる情報については、デロイトの2015年6月12日付Heads Upをご参照ください。

掘り下げた検討

現行のASC 805における事業の定義の適用に関するFASBスタッフのアウトリーチに基づき、FASBは、「リターンを提供する能力を

持っている」および「アウトプット」という概念が実務において幅広く解釈されていると判断しました。これに従い、また新興事業体が

ASC 805に基づく事業として引き続き適格となるよう望んでいたことから、FASBは当該定義における「能力を持っている」という概

念を維持することを暫定的に決定し、かつ「アウトプット」の定義の改訂を検討するようスタッフに指示しました。

またスタッフは、ASC 805のガイダンスは取得したインプットおよびプロセスが自律的であることを要求していない(すなわち、取得

者は取得した一連の活動が事業の定義を満たしているかどうかを判断するにあたり市場参加者の視点を適用することができる)と

述べました。ただし、ASC 805は市場参加者の視点を適用する方法に関する追加的なガイダンスを定めていません。結果として

FASBは、事業の定義における市場参加者の概念を維持する一方で、市場参加者の視点から取得を分析する方法に関する明確な

ガイダンスを定めるようスタッフに要請することを暫定的に決定しました。

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負債および資本―的を絞った改善

背景

2014年11月、FASBは、「負債および資本の特性を持つ金融商品に関連する会計ガイダンスを簡素化」10するプロジェクトをアジェンダ

に追加しました。当該プロジェクトは以下に焦点を合わせています。

1. 「『ダウンラウンド』特性を含む株式連動型金融商品」に対するASC 815-40のインデクセーションのガイダンスの適用

2. 「特定の非公開事業体に係る特定の強制償還可能な金融商品および特定の強制償還可能な非支配持分」に関するASC480-10における負債分類ガイダンスの無期限の延期

3. 「事業体自身の株式を指標としこれで決済される可能性のある独立の契約」に関するASC 815-40の会計処理ガイダンスの

潜在的な改善

4. 「コディフィケーション内のナビゲーションの改善」

このプロジェクトの第1フェーズに関する審議はFASBの2015年9月6日の会合において始まり、この中でFASBは上記の項目(1)およ

び(2)について議論しました。

ダウンラウンド特性

9月の会合において、FASBは、かかる特性に関するASC 815-40の現行ガイダンスを置き換える新たな会計モデルを創設することを

暫定的に決定しました。

現行の米国会計基準と異なり、ダウンラウンド特性に関連するFASBの暫定的なアプローチは、ある商品が事業体自身の株式を指標

としていると事業体が結論付けることを妨げません。例えば、事業体が自身の普通株式を取得できる独立の新株予約権をASC 815-40のもとで負債として分類することを要求されるかどうかを評価する際、ダウンラウンド特性の存在は当該分析に影響を及ぼしません。

同様に、ダウンラウンド特性は、(1)主契約の債務に組み込まれた転換特性をASC 815-15に基づく組込デリバティブとして分離しなけ

ればならないかどうか、または(2)かかる契約がASC 815-10-15-74における事業体自身の株式を指標とし株主持分に分類される契

約に係るデリバティブ会計の適用範囲の例外に適格であるかどうかの分析から除外されます。

この暫定的なアプローチのもとでは、ダウンラウンド特性が起動した場合、これの会計処理は関連する商品の分類と整合させられま

す。資本に分類される商品については、ダウンラウンド特性の起動時における事業体から保有者への価値の移転は、結果として投資

家への配当の認識につながります。商品が負債として分類される場合には、ダウンラウンド特性が起動した際に生じる価値の移転は、

損益への借方計上により認識されます。

10 FASBのウェブサイトにおけるプロジェクトの最新情報のページから引用された文章です。

掘り下げた検討

ダウンラウンド特性とは、株式連動型金融商品(例えば、独立の新株予約権契約、または主契約の債務もしくは資本に組み込まれ

た株式転換特性)において、事業体が当該商品の行使価格より低い価格で持分株式を発行(または当該商品の行使価格より低い

行使価格を持つ株式連動型金融商品を発行)した場合に、当該商品の行使価格(または転換価格)が下方調整されるトリガーとな

る規定です。この特性の目的は、当該商品のカウンターパーティを将来のより有利な価格での持分株式発行から保護することで

す。例えば、ある新株予約権における行使価格は、1株当たり5ドルと当該株式の将来の新規株式公開における普通株式売出価格

のうちいずれか低い方と定められることがあります。現行の米国会計基準のもとで、ダウンラウンド特性を含む契約は、かかる特性

が当該契約は事業体自身の株式を指標としているというASC 815-40-15のもとでの結論を妨げる(ASC 815-40-55-33および55-34における説明の通り)ことから、資本として適格ではありません。

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商品全体が負債として分類され、公正価値の変動がそれぞれの報告期間において損益に借方計上される場合、ダウンラウンドが起

動した際の価値は期間ごとの調整において本質的に捕捉されるため、個別の調整は要求されません。

FASBは、現行の米国会計基準の規定はダウンラウンド特性を持つ商品に関連する開示に十分対応していると考えています。ただし

FASBは、事業体はダウンラウンド特性が起動した期間において当該特性の認識の影響を開示するという狭い範囲の要求を追加する

ことを支持しました。

ASC 480-10に基づく無期限の延期

ASC 480-10の経過措置ガイダンスは、特定の商品および事業体(すなわち、SEC登録会社でない非公開事業体の特定の強制償還

可能な金融商品および特定の強制償還可能な非支配持分)に対する一部の規定の適用を無期限に延期しています。したがって、

ASC 480-10-25はかかる商品が負債として分類されるべきであると示唆しているにもかかわらず、これらは米国会計基準のもとで資

本として適格となる可能性があります。FASBは、ASC 480-10における無期限の延期を、同様に適用される適用範囲の例外に置き換

えることで暫定的に一致しました。これは会計上の取扱いに何らかの影響を及ぼすことを意図したものではなく、コディフィケーション内

におけるナビゲーションを改善することを目的としています。

持分法会計の簡素化

2015年6月、FASBは、その簡素化の取組みの一環として持分法会計に係るASU案を発行しました。当該案は、投資家が(1)持分法

を適用する投資先に関連するベーシス差異を会計処理するという規定、および(2)所有持分の増加により新たに持分法の使用に適格

となった投資を、当該投資を保有していた過去の全期間において持分法を適用していたかのように遡及的に会計処理するという規定

を廃止しています。本ASU案に対するコメントの期限は2015年8月4日でした。

本ASU案に関するさらなる情報については、デロイトの2015年6月16日付Heads UpおよびFASBに対する2015年8月4日付コメント・

レターをご参照ください。

掘り下げた検討

現行の米国会計基準のもとでは、ダウンラウンド特性の存在は、評価対象の商品(独立しているか組み込まれているかに関わりな

く)がASC 815-40-15-74におけるデリバティブ会計の適用範囲の例外に該当することを自動的に妨げます。暫定的なアプローチの

結果として、(1)この適用範囲の例外に該当する自身の資本に基づく独立の契約(例えば、新株予約権)は増加し(よってデリバティ

ブ負債として会計処理される代わりに資本に含められる契約は増加し)、(2)組込デリバティブとしての分離に係るASC 815-15のすべての規準を満たす組み込まれた特性(例えば、株式転換特性)は減少すると思われます。デリバティブ負債は、株式に分類さ

れる契約と異なり、それぞれの報告期間に公正価値に調整されるため、このことは発行体の財務諸表における損益の変動を縮小

させます。

掘り下げた検討

当該ASU案に対するFASBへのコメント・レターは、持分法会計に関連する複雑性を軽減するためのFASBの取組みを一般に支持

していました。多くの回答者は、所有の水準が高まった結果として投資が持分法会計の使用に適格となった状況におけるかかる会

計の遡及適用を廃止するというFASBの提案に賛同しました。ただし、持分法を適用する投資先に関連するベーシス差異を会計処

理するという要求の廃止は、投資先が単一の(またはある主要な)資産を持っている場合に新たな課題をもたらす可能性があると

の懸念が提起されました。

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償還可能負債証券の購入に関連する利息収益の

会計処理

背景

2015年3月、FASBは、購入した負債証券およびローンに係る利息収益の開示を改善するプロジェクトをアジェンダに追加しました。こ

のプロジェクトの目的は、財務諸表の注記において提供される、購入した負債証券およびローンの利息収益に関する情報の透明性お

よび有用性を高めることです。考えられる拡充には、以下の要求が含まれます。

• 購入した負債証券およびローンの実効利回りにおける個別の構成要素、特に(1)契約上の金利および(2)増価プレミアムま

たはディスカウントの開示

• 購入した負債証券およびローンの元本およびプレミアムまたはディスカウントの残高の開示(コール・オプションの対象となる

金額の別個の開示を含む)

2015年9月の会合において、FASBは購入した負債証券およびローンの利息収益に関する開示の審議を継続すると共に、プロジェクト

の範囲を拡大し、償還可能負債証券に用いる償却期間を含めることを決定しました。FASBは、購入した償還可能負債証券について、

(1)プレミアムは最初の償還日まで償却され、(2)ディスカウントは満期日まで償却されると暫定的に決定しました。これは、類似の証券

を大量に保有している事業体が期限前償還およびディスカウントを当該証券の予想残存期間にわたって償却することを会計方針として

選択している場合を除いてプレミアムおよびディスカウントを満期日まで償却することを要求する現行の実務からの変更となります。

次のステップ

FASBは、(1)償還可能負債証券およびローンに係る現行の開示規定、ならびに(2)当該プロジェクトに含まれる金融商品の範囲を改

訂すべきかどうかについて調査するようスタッフに指示しました。今後の会合において、スタッフは、購入した負債証券およびローンの

利息収益に関連する調査結果および開示規定案を審議会に提供する予定です。

掘り下げた検討

このプロジェクトは、財務諸表において報告された利息収益のうち、いくらが借手が支払った現金に起因し、いくらがプレミアムまた

はディスカウントの償却に起因するかを財務諸表の利用者が判断できるよう、報告された利息収益に関する開示を改善することを

目指しています。加えてFASBは、特定のフィードバックに対応して、プレミアムで購入した償還可能負債証券に係る現行の利息収

益の会計モデルを修正することを計画していますが、これは現行の会計モデルにより、(1)借手による当該負債性金融商品の期限

前償還前における過大な利息収益の認識、および(2)未償却プレミアムに係る損失の遅延認識の可能性が生じ得るためです。

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キャッシュ・フロー計算書:一定の現金収支の分類

(EITF 論点第15-F号) ASC 230の適用における多様性を軽減するため、FASBは2015年にEITF論点 第15-F号に関連する9つの小論点をEITFのアジェンダ

に追加しました。かかる小論点は以下の通りです。

• 論点1―債務の期限前償還または償還コスト

• 論点2―ゼロクーポン債の支払

• 論点3―企業結合の後に行われた条件付対価の支払

• 論点4―拘束預金

• 論点5―保険金支払による受取金

• 論点6―企業所有生命保険契約の支払による受取金

• 論点7―持分法を適用する投資先から受領した分配金

• 論点8―証券化取引に対する受益権

• 論点9―主要な現金収支

EITFは論点4(拘束預金に関するもの)を除くすべての小論点に関して公開のための合意に達し、それらの8つの小論点に関連するガ

イダンスはすべての表示期間に遡及的に適用することを決定しました。また、EITFは実行不可能性11の原則を当該ガイダンスに組み

込むことを決定しました。

拘束預金に関連するガイダンスに関するEITFの各メンバーの見解が異なっていることから、EITFはさらなる調査を実施するようスタッ

フに指示しました。EITFは、今後の会合において拘束預金および当該ガイダンスの発効日についての議論を継続すると見込まれてい

ます。本出版物の刊行日の時点でEITFが達した暫定的な決定を含むさらなる情報については、デロイトのEITF Snapshot 2015年11月号をご参照ください。

11 実行不可能性の原則は、ASC 250-10-45-9と類似する方法で適用されます。

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その他のトピック

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開示フレームワーク

背景

2012年7月、FASBは、財務諸表の開示を「一段と効果的、有機的で、無駄を省いた」ものにするためのフレームワークを策定するプロ

ジェクトの一環として、ディスカッション・ペーパーを公表しました。このディスカッション・ペーパーは、財務諸表の注記の要改善点を識

別し、それらの改善が可能となる方法を模索しています。FASBはその後、開示規定の評価に関する「審議会の決定プロセス」と「事業

体の決定プロセス」を区別することを決定しました。

FASBの決定プロセス

概要

2014年3月4日、FASBは、パブリックコメントを求めるために、財務報告のための審議会の概念フレームワークに新しい章を追加する

概念基準書案を公表しました。この概念書案は、財務諸表の注記でどのような開示が要求されるべきかを決定するために審議会およ

びそのスタッフが使用すべき決定プロセスを提案しています。この提案の公表におけるFASBの目的は、報告事業体が財務諸表の利

用者にとって最も重要な情報を明確に伝達することを確実にすることにより、当該開示の有効性を改善することです。詳細については、

デロイトの2014年3月6日のHeads Upをご参照ください。

2015年2月18日、FASBは、コディフィケーションの各サブトピックの開示セクションは(1)事業体が開示規定を遵守するにあたりASC 235の改訂案において説明されている通りに重要性を適用すべきである旨を述べ、(2)どのような開示が必要とされているかを事業体

が判断するにあたり裁量の行使を妨げる文言(例えば、「最低でも提供しなければならない」)を含まないことを暫定的に決定しました。

アウトリーチ活動からのフィードバックに対応し、重要でない開示の省略に関するASU案(下記の「事業体の決定プロセス」における説

明を参照)および現行の実務との一貫性を維持するために、FASBは2015年9月24日、概念基準書第8号における重要性の定義を修

正することを提案しました。当該改訂案は、概念基準書第8号における従前の重要性に関する議論を、米国連邦最高裁判所による定

義に置き換えることになります。さらなる情報については、デロイトの2015年9月28日付Heads Upをご参照ください。

概念基準書第8号の変更案に対するコメントの期限は2015年12月8日です。

次のステップ

FASBは、コメント・レターで提起された懸念に関して再審議を継続するとともに、アウトリーチ活動の結果として受け取ったフィードバッ

クをレビューする予定であり、これにはコディフィケーションの様々なトピックに対する事業体の決定プロセスをテストすることが含まれま

す。最終の概念基準書は、アウトリーチプロセスの完了後に発行される見込みです。

事業体の決定プロセス

2015年9月、FASBは、重要性のない開示の省略への躊躇を軽減するため、コディフィケーション

を改訂し重要でない情報に関する開示の省略は会計上の記載誤りでないことを明らかにする

ASU案を発行しました。FASBによる開示の有効性に係る取組みの一部である当該案は、重要

性とは、定量的・定性的な開示を全体としての財務諸表との関連において個別におよび集約し

て評価するために適用される法律上の概念であると述べています。さらなる情報については、

デロイトの2015年9月28日付Heads Upをご参照ください。

本ASU案に対するコメントの期限は2015年12月8日です。

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トピック固有の開示レビュー

ガイダンスの改訂を提案することに加えて、FASBのスタッフは、適切な財務諸表開示の決定において「(事業体の)自由裁量の適切な

使用をさらに促進する」方法を分析しています。FASBは、「セクション固有の修正」を検討するにあたり、事業体の決定プロセスとFASBの決定プロセスの両方において当該概念を適用しています。2015年下半期に、FASBはコディフィケーションの以下のトピックの開示規

定に関して暫定的な決定に達しました。

• ASC 820(公正価値測定)

• ASC 740(法人所得税)

• ASC 715-20(確定給付制度)

• ASC 330(棚卸資産)

公正価値測定および法人所得税に係る開示規定の変更案は、以下に説明されている通りです。

公正価値測定―開示の目的

FASBは、概念基準書案におけるFASBの決定のための質問に基づく公正価値測定の開示の目的をASC 820に追加することを暫定的

に決定しました。当該目的は、ある所与の開示がすでに厳格な開示規定を満たし得る場合であっても事業体の特定の事実および状況

を踏まえて当該開示を拡充すべきかどうかを財務諸表の作成者が判断する助けとなり得ます。FASBは以下のように述べました。

以下の開示の目的は、以下の評価において有用な情報を財務諸表の利用者に提供することである。

a. 事業体が行う判断および仮定を含め、事業体が公正価値の測定に到達するさまざまな方法

b. 公正価値の変動が財務諸表において報告される金額に及ぼす影響

c. 資産および負債の公正価値測定における不確実性

d. 公正価値測定が期間ごとにどのように変動するか

開示目的の確立に加えて、FASBは、ASC 820の特定の公正価値の開示規定に係る変更(すなわち、削除、修正、および追加)を行う

ことを暫定的に決定しました。

削除および修正される開示規定

レベル間の振替の時期に関する方針およびレベル1とレベル2の間における振替 FASBは、公正価値ヒエラルキーのレベル間における振替の時期に関する方針を事業体が開示するというASC 820-10-50-2Cの要求

を削除することを暫定的に決定しました。事業体は、かかる振替の時期に関する一貫した方針を持つことを依然として要求されます。ま

た、レベル1とレベル2の間で振り替えられた金額およびその対応する理由を個別に開示する要求も削除されます。

レベル3の公正価値測定 FASBは、レベル3の公正価値測定に関する開示に影響を及ぼす以下の暫定的な決定を下しました。

• 評価プロセス―レベル3の公正価値測定に係る評価プロセスを事業体が開示するというASC 820-10-50-2(f)の要求(および

関連するASC 820-10-55-105の適用ガイダンス)を削除する。

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• 測定の不確実性―観察不能なインプットの変動に対する公正価値測定の感応度の叙述的説明を提供するというASC 820-10-50-2(g)の要求を維持する。ただしFASBは、この開示は報告日の時点における測定の不確実性に関する情報を伝達することを目的

としており、将来の公正価値の変動に対する感応度に関する情報を提供することは意図していない旨を明確化することを計画して

います。

• 観察不能なインプットに関する定量的情報―ASC 820-10-50-2(bbb)の要求を遵守するための観察不能なインプットの範囲およ

び加重平均の開示(ASC 820-10-55-103の導入ガイダンスにおける設例に示されている通り)を要求する。また、過去のデータに

基づいて重要な観察不能なインプットを算出するために用いた期間の開示も要求されます。

• レベル3のロールフォワード―公開企業体については、レベル3のロールフォワードの要求を維持する。公開企業体以外の事業体

については、FASBは、レベル3のロールフォワードのガイダンスを修正し、ASC 820-10-50-2(d)に基づく貸借対照表日現在で保

有する投資に関連する未実現の増価または減価の変動を開示する要求を削除することを暫定的に決定しました。代わりに、レベ

ル3への振替およびレベル3からの振替、ならびにレベル3の投資の購入に関する開示が要求されます。FASBは、事業体は公正

価値ヒエラルキー表における期末残高の開示をすでに要求されており、レベル3の投資への(およびレベル3の投資からの)振替な

らびにレベル3の投資の購入を、今日要求されている完全なロールフォワードではなく文章で開示することができると明らかにしま

した。また、確定給付制度のスポンサーについても、公正価値ヒエラルキーにおいてレベル3として分類される制度投資に関する期

首残高と期末残高の調整(すなわち、レベル3のロールフォワード)が廃止され、レベル3への振替およびレベル3からの振替、なら

びにレベル3の資産の購入を確定給付制度の注記において開示することのみを要求されます(確定給付制度の開示を見直す

FASBのプロジェクトに関するさらなる情報については、デロイトのUS GAAP Plusウェブサイトにおけるプロジェクトページをご参照

ください)。

掘り下げた検討

ASC 820-10-50-2(f)の開示規定の削除は、結果として米国会計基準とIFRSの間の乖離につながると思われます。当該規定

は、IASBの専門家パネルの提言に基づいてFASBとIASBの共同発行基準に追加されました。同パネルは、当該開示は財務

諸表の利用者が事業体による公正価値の見積りの質を理解する助けとなり、経営者の見積りへのより大きな信頼を投資家に

与えると説明していました。当該規定はFASBの概念基準書案と矛盾していることから、FASBはこれを削除することを暫定的

に決定しました。FASBは、内部統制手続の開示は財務諸表の注記の目的に含まれず、米国会計基準におけるその他のトピッ

クのもとで要求されないことを明らかにしました。

この規定の削除は、評価プロセスに係る内部統制に関する経営者の責任および関連する監査人のテストを変更するものでは

ありません。さらに、米国における規制環境(例えば、SECおよびPCAOB)ならびにこの分野における厳格な精査を踏まえる

と、この規定の削除は公正価値の見積りの質に対する投資家の信頼に影響を及ぼさないでしょう。またFASBは、投資家は一

般に全体的な評価プロセスに精通していると述べました。

掘り下げた検討

FASBはレベル3のロールフォワードに関する財務諸表の利用者のアウトリーチの結果について議論し、一部の利用者がロー

ルフォワードは特に異なる景気サイクルに係る経営者の意思決定を理解する助けとなるため有用であると考えていることに注

目しました。完全なロールフォワードは、非公開会社の財務諸表の利用者にとって有用性がより低いと一般にみなされていまし

た。レベル3への振替およびレベル3からの振替は、ロールフォワードの最も有用な側面であると一般にみなされていました。

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将来の事象に係る時期の見積りのNAV開示 ASC 820-10-50-6A(b)およびASC 820-10-50-6A(e)のもとで現在要求される以下の開示は、これらが投資先によって報告事業体に

伝達されているか、または(特に投資者に伝達されていないとしても)その他の方法で公表されている場合にのみ適用されます。

• 「投資先から償還することはできないが投資先の基礎となる資産の清算を通じて報告事業体が分配を受け取ることのできる

投資を含むそれぞれの投資クラスについて、基礎となる資産が投資先によって清算されると予想される期間の報告事業体に

よる見積り」

• 「償還の制限が消滅し得る時期」

新たな開示規定―未実現損益

公開企業体は、貸借対照表日現在で保有する資産および負債に係る公正価値の変動を、(1)税引前純利益および(2)包括利益につ

いて、公正価値ヒエラルキーのレベル(すなわち、レベル1、2、および3)別に分解して開示します。これは現在、ASC 820-10-50-2(c)および(d)のもとで、純利益におけるレベル3の金額についてのみ要求されています。非公開会社の意思決定の枠組みに従い、この規

定は公開企業体以外の事業体には適用されません。

経過措置および次のステップ

FASBは、未実現損益の変動および観察不能なインプットに関する定量的情報の変動(上記の説明を参照)に関する開示の修正案は、

適用した期間から将来に向かって適用することを暫定的に決定しました。事業体は、開示に係るその他のすべての変更を、すべての表

示期間に遡及的に適用します。

FASBは近日中にASU案を発行すると見込まれています。コメント期間は、75日間と2016年2月29日までのうちいずれか長い方となる

見込みです。

法人所得税

2015年1月7日の会合において、FASBスタッフは、財務諸表の利用者による外国税の理解を促進することになるASC 740の開示規定

の潜在的な改訂について概説しました。このFASBの取組みは、主として、利用者は(1)「法人所得税、特に法域(例えば、米国と外国)

別の当期の支払税額に関連する現金面の影響、および将来の支払税額の見積り」、ならびに(2)「外国子会社において無期限に再投

資されると判断された利益」の分析が可能となるよう多くの情報を求めているという、基準書第109号の導入後のレビューにおける発見

事項によって推進されたものです。

2015年10月21日の会合において、FASBは法人所得税支払額、繰延法人所得税、評価性引当金、および税率の調整に関連する法

人所得税の開示規定について議論し、公開事業体と非公開事業体の両方に適用される以下の暫定的な決定に達しました。

• 法人所得税支払額―FASBは、(1)税法の変更が実施され当該変更が将来の期間において報告事業体に影響を及ぼす可

能性が高い時期、および(2)外国の法域と国内の法域別との間で分解した法人所得税支払額を報告事業体が開示するとい

う要求を追加しています。

掘り下げた検討

この変更の目的は、投資者が投資先またはその他の公開情報源から当該時期についての知識を得ていない場合に独自の見積り

を立てなければならない状況を回避することです。加えて、ASU 2015-07は、事業体がNAVの実務的簡便法のもとで測定したすべ

ての投資を公正価値ヒエラルキーの各レベル内に分類するという要求を削除しました。

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• 繰延法人所得税―事業体は、繰延税金が表示されている貸借対照表の科目を開示すること(すなわち、計上されている貸借

対照表の科目に対する繰延税金合計のマッピング)を要求されます。

• 評価性引当金―事業体は、「報告期間中に計上および取崩しが行われた評価性引当金の内容および金額」1を説明する必

要があります。

• 税率の調整―FASBは以下を暫定的に決定しました。

o 非公開事業体は、ASC 740-10-50-12が現在公開事業体について要求している通り、税率の調整を財務諸表の注記に

おいて表示することを要求される。

o SECのレギュレーションS-Xと一貫して、税率の調整における個別の構成要素が法定税率による税額の5%以上である

場合、当該構成要素の分解が要求される。

o 事業体は、実効税率の重要な前年比の変動の原因となった項目の定性的な説明を開示することを要求される。

加えてFASBは、(1)税務申告書に記載された繰越の総額および期限、(2)繰延税金資産を生じさせる繰越の税効果後の金額および

期限、ならびに(3)繰越に関連する繰延税金資産を相殺する未認識税務便益の合計額に関する開示を要求することを暫定的に決定

しました。

FASBは、パブリックコメント募集のため、法人所得税の開示規定に関してこれまでに

達したすべての暫定的な決定を考慮したASU案の草案作成を開始するようスタッフ

に指示しました。かかる決定には、無期限に再投資される外国での利益および未認

識税務便益に関連する開示規定に関してFASBが下した過去の暫定的な決定が含

まれます。

未分配外国利益

2015年2月11日、FASBは、事業体は以下を行うべきであると暫定的に決定しました。

• 税引前利益における国内および外国の構成要素に関する情報を個別に開示する。さらに事業体は、税引前利益合計に対し

て相対的に重要な個々の国の税引前利益を個別に開示すべきである2。

• 外国利益に関連して当該期間に認識された国内の税金費用を開示する。

• 当期において、無期限に再投資するとは主張しなくなった未送金の外国利益、および当該利益が無期限に再投資すると事業

体が主張しなくなるに至った状況の説明を開示する。これらの開示は総額で、および無期限に再投資すると主張しなくなった

金額が総額に対して相対的に重要な国ごとに提供しなければならない。

• 総額の10%以上の国について、無期限に再投資する外国利益の累積金額を個別に開示する。

未認識税務便益

2015年8月26日の会合において、FASBは以下を行うことを暫定的に決定しました。

• 決済を調整表の形式で現金と非現金(例えば、既存の繰越欠損金または税額控除を用いた決済)に分解するという開示規定

を追加する。

• 未認識税務便益の合計額の内訳を、かかる未認識税務便益が計上された各貸借対照表の科目別に調整表の形式で提供

するという開示規定を追加する。

1 2015年10月21日のFASBの会合において達した暫定的な決定のFASBによる要約から引用された文章です。 2 ASC 740では、税引前利益(income before income taxes)は税引前財務利益(pretax financial income)とも呼ばれています。

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• 今後12カ月間に未認識税務便益の合計額が大幅に増減する合理的な可能性のあるポジションの詳細を事業体が提供すると

いうASC 740-10-50-15(d)の要求を削除する。

未認識税務便益に係る2つの新たな開示規定案は調整表に関連しているため、これらは公開事業体にのみ適用されます。

FASBは、当該追加開示案の設例を作成するようスタッフに指示しました。

期中報告

これまでに、FASBは概念基準書案に基づき5つの期中報告の概念について議論してきました。FASBは、期中財務諸表は「各科目の

認識、測定、および表示における差異」を記述し、かつ「当該期中期間が年度全体とどのように関連しているか」を説明するものでなけ

ればならないという考えで全般的に一致しました3。期中報告の概念のうち2つは直近の年度財務諸表からの変動の開示に関連するも

の、2つはあまり重要でないとはいえない、または「特別に重要な」項目の開示に関連するものでした。

「特別に重要な」の意味するところを決定するため、FASBは、公正価値測定の開示の見直しに関するプロジェクトにおいて提案されて

いる期中開示規定、およびASC 270-10-50-1Aにおける収益に関連する期中開示規定を評価する予定です。このプロセスに基づいて、

FASBは、変動はしていないが特別に重要な項目または金額を事業体が開示すべきかどうかを評価することができます。

SECの最新情報 背景

SECは、とりわけドッド・フランク法のもとで要求された措置を完了するための取組みに関連した規則の策定に焦点を当て続けていま

す。本出版物の前号の発行後に生じた、主要なSECの規則策定の活動およびその他の動向を、以下で議論しています。

SECによるサイバーセキュリティに関する出版物の発行

2015年2月、SECは、ブローカレッジ会社およびアドバイザリー会社におけるサイバーセキュリティ・リスクに関連する以下の2つの出版

物を発行しました。

• Risk alert―SECの法令遵守調査・検査局(OCIE)が実施した100社を超える投資助言会社およびブローカー・ディーラーの

検査に関連した発見事項を要約したものです。OCIEは、「サイバーセキュリティに関連するリスクの識別、サイバーセキュリティ

のガバナンスの確立(方針、手続、および監督プロセスを含む)、企業のネットワークおよび情報の保護、顧客情報への遠隔ア

クセスおよび資金移動指図に関連するリスクの識別とこれへの対処、ベンダーおよびその他の第三者に関連するリスクの識

別とこれへの対処、ならびに不正な活動の発見」に関連する事業体の実務を観察しました。

• Investor bulletin―オンライン投資口座を保護する方法(例えば、強力なパスワードの選定、2ステップの検証、公共のネットワー

クの慎重な利用など)に関するアドバイスを投資家に提供しています。

3 2015年1月7日のFASBの会合における配布資料から引用された文章です。

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さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる取引所外取引に従事するブローカー・ディーラーの監督強化の提案 2015年3月、SECは、特定のブローカー・ディーラーの米国の登録証券協会への加入を免除する米国証券取引法の規則15b9-1を改

訂する規則案を発行しました。具体的には、当該案は、「特定のブローカー・ディーラーが米国証券取引所の会員であり、顧客口座を持

たず、かつ自身が会員となっている米国証券取引所以外で行った証券取引からの年間総収益が1,000ドル以下である場合に、かかるブ ローカー・ディーラーによる米国の証券協会への加入を現在免除している例外措置を縮小する」ものです。当該改訂案の目的は、「高

頻度取引業者などの活発な自己勘定取引会社の規制監督を強化」することです。

当該規則案に対するコメントの期限は2015年6月1日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECおよびFINRAによる高齢投資家に関連するブローカー・ディーラーの方針の調査に関する 報告書の公表

2015年4月、SECおよびFINRAは、「退職後の生活に備えたり退職後の生活を始めたりしている高齢投資家[すなわち、65歳以上の投

資家]を対象とした事業を営んでいる」ブローカー・ディーラーについての調査に関する報告書を公表しました。当該報告書の目的は、

「高齢投資家および高齢者関連のトピックに関する[ブローカー・ディーラーの]現行の方針および手続、ならびにそれらの方針および手

続をさらに展開または改善する必要があるかどうかについて周到な分析を促進」することです。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる2015年の検査優先事項の公表

2015年1月、SECの法令遵守調査・検査局は、2015年の検査優先事項を公表しました。当該優先事項は、「リテール投資家、特に退

職に備えて貯蓄している投資家または退職後の投資家の保護、市場全体のリスクの評価、およびデータ分析を用いた潜在的な違法活

動の兆候の識別」に焦点を合わせています。この文書は必ずしも包括的なものではなく、「市場条件、業界の動向、および継続的なリス

ク評価活動を踏まえて調整される可能性」があります。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる財務報告マニュアルのアップデート

2015年1月、SECの企業財務局(以下、「同局」)は、財務報告マニュアル(FRM)のアップデートを公表しました。FASBによるプッシュ

ダウン会計に関する2014年11月のASU 2014-17の発行および関連するSABトピック5.Jの廃止を踏まえた変更が行われています。

掘り下げた検討

サイバー攻撃の頻度は着実に高まっています。攻撃者は企業の防御を破るために無数の攻撃を試みてきていますが、たった一つ

の弱点が侵入につながります。企業は、すべてのサイバー攻撃を防ぐことは不可能であるという事実を受け入れなければなりません。

しかし企業は、あらゆる侵害を迅速に識別しこれに対処することにより、損害を大幅に限定することができます。

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2015年8月、同局はFRMのパラグラフ1320.3および1320.4をアップデートし、「一般に、企業財務局は、提出遅延登録会社が遅延した

提出書類に含まれるであろうすべての重要な情報を含むフォーム10-Kによる包括的な年次報告書を提出している場合、かかる登録会

社がすべての遅延した提出書類を個別に提出することを求めるコメントを発行しない」ことを明確化しました。従来、登録会社は、同局の

主任会計官室による書面でのかかる計らいを求めていました。

また当該アップデートは、それらの状況における登録会社のフォーム10-Kによる包括的な年次報告書の提出は、(1)登録会社が要求さ

れるすべての報告書を提出できなかったことにより生じる米国証券取引法上の責任を免除する、または関連する執行行為から登録会

社を保護する、(2)登録会社をレギュレーションS、規則144、またはフォームS-8の提出について「最新(current)」の取扱いとしたり、

(3)登録会社が適時提出会社の要件を満たすまでフォームS-3を使用できない取扱いに影響を及ぼしたりするものではないと繰り返し

て述べています。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるFRMページをご参照ください。

SECによるヘッジ開示規定の提案

2015年2月、SECは、株主の利益に影響を及ぼす可能性のある従業員および取締役の情報の開示を登録会社に要求することによりコー

ポレートガバナンスを強化する規則案を発行しました。当該案はドッド・フランク法第955条の要求に対応して発行されたものであり、具

体的には、「登録会社の従業員(役員を含む)もしくは取締役、またはこれらに指名された者が、持分証券の市場価値の下落をヘッジまた

は相殺することを目的としているかまたはそのような効果を持つ金融商品(前払変動先渡(prepaid variable forward)契約、株式スワッ

プ、カラー、およびエクスチェンジ・ファンドを含む)を購入すること、または同様のその他の取引に関与することを登録会社が認めている

かどうか」を、登録会社が委任状勧誘書類において開示することを要求しています。

当該規則案に対するコメントの期限は2015年4月20日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる小規模企業の資本へのアクセスを緩和する最終規則の発行

2015年3月、SECは、特定の募集・売出しを証券法に基づく登録から免除するレギュレーションAを改訂および拡大する最終規則を発行

しました。当該規則は、小規模企業の資本へのアクセスを緩和するJOBS法第401条のマンデートを実施しています。

改訂前のレギュレーションAのもとでは、企業は12カ月の期間内に500万ドルを上限として証券の募集・売出しを行うことができ、それら

の証券のうち当該企業の証券保有者が募集・売出しできる上限は150万ドルでした。新たな規則のもとでは、企業が所定の適格性要

件、開示規定、および報告要件を満たす場合、12カ月の期間内に5,000万ドルを上限として証券の募集・売出しを行うことができます。

当該規則は、レギュレーションAに基づく募集・売出しに以下の2つのティアを設けています。

• 「ティア1:年間の募集・売出しの上限は2,000万ドル、うち発行体の関連者である証券保有者に代わっての募集・売出しの上限は600万ドル」

• 「ティア2:年間の募集・売出しの上限は5,000万ドル、うち発行体の関連者である証券保有者に代わっての募集・売出しの上限

は1,500万ドル」

当該最終規則は両ティアの発行体に係る募集・売出要件および報告要件を定めていますが、かかる要件はティア2の発行体についてよ

り幅広いものとなっており、ティア2の発行体は自身の募集・売出書類において監査済財務諸表を提供しなければならず、かつ年次報告

書、半期報告書、および臨時報告書をSECに提出しなければなりません。また当該規則は、「いくつかの修正を伴って、発行体の適格

性、目論見書の内容、予備調査、および「バッド・アクター」の資格喪失に関する現行の規定」を維持しています。

当該最終規則は2015年6月19日に発効しました。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

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SECスタッフによるレギュレーションAの改訂に関するガイダンスの発行

2015年6月、SECスタッフは、2015年3月のレギュレーションAの改訂に関するガイダンスを発行しました。当該改訂はJOBS法の第401条を実施するために発行されたものであり、特定の募集・売出しを証券法に基づく登録から免除しています。

具体的には、当該改訂は、12カ月の期間内に5,000万ドルを上限として証券の募集・売出しを行う事業体が所定の適格性要件、開示規

定、および報告要件を満たす場合の救済措置を定めています。当該改訂は2015年6月19日に発効しました。

また、SECスタッフは最近、レギュレーションAに関する追加的なガイダンスを定めるために多数のC&DIを発行および改訂しました。具体

的には、スタッフは質問182.01から182.11を証券法規則のセクションに追加し、質問128.01および128.03を証券法フォームのセクション

から削除しました。

SECによる証券派生スワップに関する規則の発行

登録証券派生SDR 2015年2月、SECは、登録証券派生スワップ・データ・レポジトリ(SDR)が「取引データを報告・拡散する方法に関する特定の方針およ

び手続を確立し維持」することを要求する2つの最終規則(最終規則リリース第34-74244号および第34-74246号)を発行しました。加え

て、特定の登録済SDRは、「適用される報告義務の遵守を確実にするよう合理的に設計された方針および手続を確立・維持」しなけれ

ばなりません。

またSECは、「適用済の規則が対処していない特定の証券派生スワップに報告義務を割り当て、登録SDRが公に拡散された証券派生ス

ワップの取引データの利用者に手数料または利用制限を課すことを禁止し、レギュレーションSBSRの特定の規定に係る遵守スケジュー

ルを定める」規則案を公表しました。

当該最終規則は2015年5月18日に発効しました。当該規則案に対するコメントの期限は2015年5月4日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

クロスボーダー証券派生スワップ取引

2015年4月、SECは、「ディーリング活動に関連する取引のアレンジ、交渉、または執行に米国の人員を用いている非米国企業が、証

券派生スワップのディーラーとしての登録を要求されるかどうかを判断するにあたり、かかる取引を含めることを要求」する規則案を発

行しました。SECのメアリー・ジョー・ホワイト委員長は、「当該規則は、米国ディーラーと非米国ディーラーの両方が、米国において証券

派生スワップ活動に関与している場合に[SECの]登録要件、報告要件、公開拡散要件および事業遂行要件の対象となることを確実に

する助けとなり、結果として透明性の向上と安定性・監督の強化をもたらすであろう」と述べました。

当該規則案に対するコメントの期限は2015年7月13日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

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証券派生スワップ参加者に係る登録

2015年8月、SECは、証券派生スワップに関連する最終規則および規則案を発行しました。最終規則は、「登録会社が提供し継続的に

更新することを要求される一連の幅広い情報を示すことで、証券派生スワップのディーラーおよび主要な証券派生スワップ参加者に係

る登録制度のすべての側面」に対処しています。当該規則案は、「証券派生スワップのディーラーおよび主要な証券派生スワップ参加者

が、法定の資格喪失の対象となった特定の者を証券派生スワップ取引の成立に関与させ続けることが公益に一致する場合に、かかる

継続の許可をSECに申請するプロセスを創出」することを目指しています。

当該最終規則は2015年10月13日に発効しました。当該規則案に対するコメントの期限は2015年10月26日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる報酬対業績に関する規則案の発行

2015年4月、SECは、公開企業―外国民間発行体、登録投資会社、および新興成長企業を除く―が、「実際に支払われた役員報酬と

登録会社の財務成績の間の関係」を、役員報酬の開示が要求される委任状勧誘書類において開示することを要求する規則案を発行し

ました。SECのメアリー・ジョー・ホワイト委員長は、公式の声明において、当該開示規定案が「企業の役員報酬の実務および方針を株

主が評価する助けとなり、[かつ]取締役選任の投票時に、また役員報酬に関する株主の勧告的投票に関連して、[株主に]情報を与え

る」と確信していると述べました。

当該規則案に対するコメントの期限は2015年7月6日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる投資会社および投資アドバイザーに係る規則の提案

2015年5月、SECは、投資会社および投資アドバイザーに係る報告・開示規定を「現代化し強化」する2つの規則案を発行しました。当

該案の目的は、「投資家が利用可能な情報の質」を高め、投資会社および投資アドバイザーが提供するデータのSECによる収集および

利用を促進することです。

投資会社の報告に関する規則案は、「ミューチュアルファンド、ETFおよびその他の登録投資会社」が、SECおよび一般にとって分析の

より容易な新しい体系的な形式で情報を報告することを要求しています。さらにこの案は、「登録投資会社が定期報告書をウェブサイト

上でアクセス可能な状態に置き、かつその他の特定の条件を満たすことにより、当該報告書を株主に伝達することを認めるが、要求は

しない」としています。

投資アドバイザーに係る規則案は、SECおよび投資家が当該アドバイザーのリスク特性をより正確に把握することを可能にするような

開示を要求しています。加えてこの案は、「アドバイザーが業績の計算および業績に関連するコミュニケーションの記録を保持することを

要求」しています。

両案に対するコメントの期限は2015年8月11日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

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SECおよびCFTCによる量で測定するオプショナリティを持つ先渡契約に関する解釈の発行

2015年5月、SECおよびCFTCは、CFTCによる「どのような場合に量で測定するオプショナリティ(volumetric optionality)が組み込ま

れた合意、契約、または取引が先渡契約とみなされるかの解釈」を明確化する解釈リリースを共同で発行しました。当該解釈は、ドッ

ド・フランク法のマンデートおよび市場参加者からのコメントに対応して公表されたものです。

当該解釈は2015年5月18日に発効しました。

SECによる新たなクローバック要求の提案

2015年7月、SECは、企業が役員報酬に「クローバック」の方針を採用することを要求する規則案を発行しました。当該案はドッド・フ ランク法第954条のマンデートに対応して公表されたものであり、具体的には、「それぞれの発行体が、現在または過去の役員が受け

取っている、証券法のもとで報告が要求される財務情報に基づいたインセンティブ・ベースの報酬を、特定の状況において回収すること

を定めた方針を策定・導入し、当該方針を開示することを要求する上場基準を定めるよう、米国の証券取引所および証券協会に指示」

しています。この案は、SECによるドッド・フランク法に基づく役員報酬規則案の発行の完了を示すものです。

当該規則案に対するコメントの期限は2015年9月14日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる報酬比率の開示に関する最終規則の発行

2015年8月、SECは、登録会社が(1)すべての従業員(主要経営責任者(PEO)を除く)の年間報酬合計額の中央値、(2)PEOの年間

報酬合計額、および(3)(1)の(2)に対する比率を計算し開示することを要求する最終規則を発行しました。登録会社は、2017年1月1日以降に開始する最初の通年の事業年度より、委任状勧誘書類、登録届出書、年次報告書などの役員報酬の情報が要求される提出

書類に当該開示を含めることになります。新興成長企業、小規模報告企業、外国民間発行体、登録投資会社、および米国・カナダ間多

法域間開示制度(multijurisdictional disclosure system)に基づく提出会社は、当該規則の適用を免除されます。

当該最終規則は2015年10月19日に発効しました。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECによる登録規定の改訂の提案

2014年12月、SECは、登録、登録の解除、および報告の停止に係る基準に関連する米国証券取引法第12条(g)項の規定を改訂する

規則案を発行しました。当該案はJOBS法第V編および第VI編のマンデートに対応して発行されたものであり、内容は以下の通りです。

• 「JOBS法により定められた新たな基準を反映させるため、登録、第12条(g)項に基づく登録の解除、および第15条(d)項に

基づく報告義務の停止に関連する手続について定めた米国証券取引法規則12g-1から4および12h-3」を改訂する。

掘り下げた検討

この新たな要求に関連する規則制定は、SECが当初の規則案に関して287,400件を超えるコメント・レターを受け取ったこと、また

最終規則に係るSECの投票が3対2に分かれたことからも分かるように、議論の多いものでした。当該規則は、コメント提出者が表

明した、当該規定を遵守するためのコストに関する懸念に対処するための特定の計らいを含んでいます。

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• 「登録、登録の解除、または米国証券取引法上の報告義務の停止の目的において、貯蓄貸付持株会社が銀行および銀行持

株会社と類似する方法で取り扱われるよう、当該規則」を改訂する。

• 「どの名義上の保有者が米国証券取引法第12条(g)項(1)の目的における「適格投資家」であるかの判断に、証券法規則

501(a)における『適格投資家』の定義」を適用する。「適格投資家に係る判断は、事業年度の末日現在で行われる」。

加えて、当該案は「名義上の保有(held of record)」の定義を改訂し、米国証券取引法第12条(g)項に基づく非排他的なセーフハーバー

を定めています。

当該規則案に対するコメントの期限は2015年3月2日でした。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECおよびその他の機関による米国債市場に関する共同スタッフ報告書の公表

2015年7月、SECおよびその他の4つの機関4は、「2014年10月15日の米国債市場における大幅な変動」を分析した共同スタッフ報告

書を公表しました。当該報告書は、この変動には「短時間における異常に急速な価格の上下動および流動性の低下」が含まれていた

と述べ、これは「グローバルなリスク心理および投資家のポジションの変化、オーダーブックの幅の縮小、ならびにオーダーフローおよ

び流動性の提供の変化」などの多数の要因により引き起こされたと結論付けています。

さらなる情報については、SECのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

SECの紛争鉱物規則:連邦控訴裁判所による一部延期の支持;GAOによる報告書の公表

2015年8月、米国コロンビア特別区巡回区控訴裁判所(以下、「控訴裁」)は、SECの紛争鉱物規則の一部およびドッド・フランク法第

1502条の一部が、製品は「『DRC紛争非関与』と認められなかった」旨を開示することを発行体に要求している点で、合衆国憲法修正

第1条に違反しているという2014年4月の判決を維持しました。控訴裁は、肉製品の原産国表示に関わる別の訴訟を踏まえ、2014年4月の判決を見直すことで一致していました。

4 米国財務省、連邦準備制度理事会、ニューヨーク連邦準備銀行、およびCFTC

掘り下げた検討

2014年4月14日、控訴裁は、SECの紛争鉱物規則の一部およびドッド・フランク法の第1502条の一部が合衆国憲法修正第1条に

違反しているとの判決を下し、当該訴訟を地方裁判所に差し戻しました。同月中に、SECスタッフは、登録会社は製品を「『DRC紛

争非関与』とは認められなかった」または「DRC紛争判別不能」として識別することを要求されないと示したガイダンスを発行しまし

た。登録会社は製品を「DRC紛争非関与」として識別することを依然として選択できますが、これを行う登録会社は、独立した民間

監査人の監査(IPSA)を受けることを要求されます。2014年5月2日、SECは、紛争鉱物規則のうち控訴裁が違憲とみなした部分の

発効日の延期を発表しました。SECは現在控訴裁の判決を再検討しており、当該訴訟の最終的な解決は不確実なままとなってい

ます。したがって登録会社は、(1)SECスタッフの2014年4月のガイダンス、(2)(多くの登録会社に係る)2014年暦年の提出後の紛

争鉱物規則に係る暫定的な移行期間の終了、および(3)控訴裁の判決を踏まえ、IPSAが要求されるかどうかおよび要求される場

合の時期について自社の対 SEC 顧問弁護士と協議すべきです。

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加えて、GAOは、企業がSECの紛争鉱物規則のもとで2014年に初めてSECに提供した開示を分析した報告書を公表しました。GAOは、「大部分の企業は自社の紛争鉱物の源泉(すなわち、DRCからのものか、それともその隣接国からのものか)を確定することがで

きなかった」と結論付けました。報告書のその他の発見事項には以下が含まれていました。

• かかる開示を提供した企業の大部分(87%)が米国を本拠とする企業であった。

• それらのうちほぼすべて(99%)が原産国調査を実施していた。

• 大部分の企業(94%)が、「使用した紛争鉱物の源泉および加工・流通過程の管理」に関連するデューデリジェンス手続を実

施したことを明らかにした。

SECの紛争鉱物規則に関連する動向に関するさらなる情報については、デロイトの2014年3月27日、2014年7月21日、および2015年8月25日付Heads Upニュースレターをご参照ください。

SECのレギュレーションAB Iに係る特定の改訂の発効

2014年9月、SECは、SEC登録ABSに関連する登録、募集・売出プロセス、開示、および報告について定めた最終規則(「レギュレー ションAB II」と総称)を発行しました。当該規則は、かかる証券に関連して過去に採用された規則(「レギュレーションAB I」)を改訂して

います。規則の変更の一部が当該規則の発行の1年後に発効されましたが、これには以下が含まれます。

• 改正証券法に基づく登録要件の改訂(一括募集プロセスおよび目論見書交付の要件の変更を含む)

• 新たな開示規定(特定の資産クラスに関連する資産レベルの情報を開示する要求を含む)

• 米国証券取引法に基づく継続的な報告に関連する新たな要求(適用されるサービシング規準の遵守に関連するレギュレー

ションAB Iの項目1122に係る特定の改訂を含む)

• ABSについて定めた現行の規則に係るその他の特定の変更

掘り下げた検討

銀行・証券セクターの企業は、2015年11月に発効した当該最終規則による項目1122の改訂に特に焦点を合わせるべきです。か

かる改訂には以下が含まれます。

• 集約した情報の数学的正確性を評価することをサービサーに要求する新たなサービシング規準(項目1122(d)(1)(v))

• サービサーのサービシング・プラットフォームに、サービス対象の資産と同じ種類の資産によって担保されたすべての取引

が含まれない場合に、サービサーがかかるプラットフォームの範囲に関する説明をコンプライアンス評価に含めることを要

求する新たな指示(項目1122のインストラクション1)

• 銀行・証券業界の登録会社について、識別されたサービシング規準の不遵守の事例に関する情報((1)かかる不遵守が該

当するフォーム10-Kの対象に含まれる資産に及ぼす影響、および(2)過去に識別された重要な不遵守の事例を是正する

ために講じられた手段を含む)をフォーム10-Kにおいて開示するという要求

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その他の最新情報

OCCによる銀行会計アドバイザリー・シリーズのアップデート

2015年9月、OCCは、「米国の銀行および連邦貯蓄組合に関連する会計上のトピックに関する通貨監督庁の見解を表明」する銀行会計

アドバイザリー・シリーズの年次アップデートを発行しました。当該アップデートにおいて取り上げられているトピックには、取得したローン、

ローンおよびリース損失引当金、その他の所有不動産、ならびにその他の借入金が含まれます。

さらなる情報については、OCCのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

IVSCによるレビュー・グループ報告書に関するエンゲージメント・ペーパーの発行

2015年5月、IVSCは、IVSCレビュー・グループが公表したIVSCの構造および未来に関する報告書に対してフィードバックを求めるエン

ゲージメント・ペーパーを発行しました。このペーパーは、当該報告書が、IVSCは国際的な評価基準の策定のために「最も適切」な機

関であるにもかかわらず、改革は不可欠であると結論付けたと指摘しています。当該報告書によると、かかる改革の優先事項には、

基準設定機関の「長期的な実行可能性」の向上およびその基準の改善が含められなければなりません。

当該エンゲージメント・ペーパーに対するコメントの期限は2015年9月1日でした。

さらなる情報については、IVSCのウェブサイトにおけるプレスリリースをご参照ください。

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付録

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付録A―基準書その他の公表物の一覧 以下は、本刊行物で引用されているか、またはリンクが張られている基準書および公表物です。

AICPA TIS 2220.25「Impact of ‘Near Term’ on Classification Within Fair Value Hierarchy(「短期間」が公正価値ヒエラルキーにおける分類

に及ぼす影響)」

FASB 会計基準コディフィケーション(ASC)に関する参考公表物 FASB会計基準コディフィケーションに関連する参考公表物のタイトルについては、デロイトの「Titles of Topics and Subtopics in the FASB Accounting Standards Codification」をご参照ください。

FASB会計基準アップデートその他のFASB公表物 以下のタイトルについては、FASBのウェブサイトをご参照ください。

• Accounting Standards Updates(会計基準アップデート)

• Proposed Accounting Standards Updates(exposure drafts and public comment documents)(会計基準アップデート

案(公開草案およびパブリックコメント文書))

• Pre-Codification literature(Statements, Staff Positions, EITF Issues, and Topics)(コディフィケーション前の公表物(基

準書、職員意見書、EITF論点、およびトピック))

• Concepts Statements(概念基準書)

米国会計検査院

Report, “SEC Conflict Minerals Rule: Initial Disclosures Indicate Most Companies Were Unable to Determine the Source of Their Conflict Minerals”(報告書「SECの紛争鉱物規則:当初の開示は大部分の企業が紛争鉱物の源泉を確定できなかったことを

示す」)

国際評価基準委員会レビュー・グループ

Engagement Paper, “IVSC Review Group Report”(エンゲージメント・ペーパー「IVSCレビュー・グループ報告書」)

通貨監督庁

Bank Accounting Advisory Series — September 2015(銀行会計アドバイザリー・シリーズ―2015年9月)

非公開会社評議会の公表物

PCC Issue No. 14-01, Definition of a Public Business Entity(PCC論点第14-01号「公開企業体の定義」)

SECの最終規則 34-75611, Registration Process for Security-Based Swap Dealers and Major Security-Based Swap Participants(34-75611「証券派生スワップ・ディーラーおよび主要な証券派生スワップ参加者に係る登録プロセス」)

34-74835, Pay Versus Performance(34-74835「報酬対業績」)

34-74246, Security-Based Swap Data Repository Registration, Duties, and Core Principles(34-74246「証券派生スワップ・データ・レポジトリの登録、義務、および中核的原則」)

34-74244, Regulation SBSR — Reporting and Dissemination of Security-Based Swap Information(34-74244「レギュレーションSBSR―証券派生スワップの情報の報告および拡散」)

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34-73407, Credit Risk Retention(34-73407「信用リスクの保持」)

34-67716, Conflict Minerals(34-67716「紛争鉱物」)

33-9877, Pay Ratio Disclosure(33-9877「報酬比率の開示」)

33-9741, Amendments to Regulation A(33-9741「レギュレーションAの改訂」)

33-9638, Asset-Backed Securities Disclosure and Registration(33-9638「資産担保証券の開示および登録」)

SECおよびCFTCの解釈リリース 34-74936, Forward Contracts With Embedded Volumetric Optionality(34-74936「量で測定するオプショナリティが組み込まれた先渡契約」)

SECの提案規則 34-75612, Applications by Security-Based Swap Dealers or Major Security-Based Swap Participants for Statutorily Disqualified Associated Persons to Effect or Be Involved in Effecting Security-Based Swaps(34-75612「法定の資格喪失の対象となった関係者が証券派生スワップ取引を成立させる、またはこれの成立に関与するための証券派生スワップ・ディーラーまたは主要な証券派生スワップ参加者による申請」)

34-74835, Pay Versus Performance(34-74835「報酬対業績」)

34-74834, Application of Certain Title VII Requirements to Security-Based Swap Transactions Connected With a Non-U.S. Person’s Dealing Activity That Are Arranged, Negotiated, or Executed by Personnel Located in a U.S. Branch or Office or in a U.S. Branch or Office of an Agent(34-74834「米国の支店もしくは事務所または代理人の米国の支店もしくは代理人事務所に所在する人員によってアレンジ、交渉、または執行される非米国人のディーリング活動に関連する証券派生スワップ取引に対する特定の第VII編の規定の適用」)

34-74581, Exemption for Certain Exchange Members(34-74581「特定の取引所会員に関する免除」)

34-74245, Regulation SBSR — Reporting and Dissemination of Security-Based Swap Information(34-74245「レギュレーションSBSR―証券派生スワップの情報の報告および拡散」)

33-9861, Listing Standards for Recovery of Erroneously Awarded Compensation(33-9861「誤って与えられた報酬の回収に係る上場基準」)

33-9776, Investment Company Reporting Modernization(33-9776「投資会社の報告の現代化」)

33-9723, Disclosure of Hedging by Employees, Officers and Directors(33-9723「従業員、役員および取締役によるヘッジの開示」)

33-9693, SEC Proposal, Changes to Exchange Act Registration Requirements to Implement Title V and Title VI of the JOBS Act(33-9693「SEC案:JOBS法の第V編および第VI編を実施するための米国証券取引法における登録要件の変更」)

IA-4091, Amendments to Form ADV and Investment Advisers Act Rules(IA-4091「フォームADVおよび投資アドバイザー法規則の改訂」)

SEC職員会計公報 SAB Topic 5.J, “New Basis of Accounting Required in Certain Circumstances” (rescinded by SAB 115)(SABトピック5.J「特定

の状況において要求される新たな会計ベーシス」(SAB 第115号により廃止))

SAB Topic 13, “Revenue Recognition”(SABトピック13「収益認識」)

SEC法令遵守調査・検査局 Examination Priorities for 2015(2015年の検査優先事項)

SECのガイダンス Amendments to Regulation A: A Small Entity Compliance Guide(レギュレーションAの改訂:小規模事業体のコンプライアンスの手引き)

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SECおよび金融取引業規制機構 Joint Report, “National Senior Investor Initiative — A Coordinated Series of Examinations”(共同報告書「米国の高齢投資家に

係る取組み―一連の協調的な調査」)

SEC、米国財務省、連邦準備制度理事会、ニューヨーク連邦準備銀行、および米国商品先物取引

委員会Joint Staff Report, “The U.S. Treasury Market on October 15, 2014”(共同スタッフ報告書「2014年10月15日の米国債市場」)

国際基準

以下のタイトルについては、デロイトのIAS Plusウェブサイトをご参照ください。

• International Financial Reporting Standards(国際財務報告基準)

• International Accounting Standards(国際会計基準)

• Exposure documents(公開草案)

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付録B―略語 略語 用語

ABS 資産担保証券(asset-backed security) AFS 売却可能(available for sale) AICPA 米国公認会計士協会(American Institute of

Certified Public Accountants) APIC 株式払込剰余金(additional paid-in capital) ASC FASB会計基準コディフィケーション(FASB

Accounting Standards Codification) ASU FASB会計基準アップデート(FASB Accounting

Standards Update) ATM 現金自動預け払い機(automated teller

machine) CDO 債務担保証券(collateralized debt obligation) C&DI 法令遵守および開示に関するSEC解釈指針

(SEC compliance and disclosure interpretation)

CECL 現在予想信用損失(current expected credit loss)

CFTC 米国商品先物取引委員会(U.S. Commodity Futures Trading Commission)

CLO ローン担保証券(collateralized loan obligation) CMBS 商業用不動産担保証券(commercial

mortgage-backed securities) DRC コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the

Congo) ED 公開草案(exposure draft) EITF 発生問題専門委員会(Emerging Issues Task

Force) ETF 上場投資信託(exchange-traded fund) FASB 米国財務会計基準審議会(Financial

Accounting Standards Board) FINRA 米国金融取引業規制機構(Financial Industry

Regulatory Authority) FRM SEC財務報告マニュアル(SEC’s Financial

Reporting Manual) FVTNI 純利益を通じて公正価値で測定(fair value

through net income) GAO 米国会計検査院(Government Accountability

Office) GP ジェネラル・パートナー(general partner) HTM 満期保有目的(held to maturity) IAS 国際会計基準(International Accounting

Standard) IASB 国際会計基準審議会(International Accounting

Standards Board) IFRS 国際財務報告基準(International Financial

Reporting Standard) IPSA 独立した民間監査人の監査(independent

private-sector audit)

略語 用語

IVSC 国際評価基準委員会(International Valuation Standards Council)

LGD デフォルト時損失率(loss given default) LIHTC 低所得者向け住宅税額控除(low income

housing tax credit) LP リミテッド・パートナー(limited partner) NAV 純資産価値(net asset value) OCC 通貨監督庁(米国財務省)(Office of the

Comptroller of the Currency (U.S. Department of the Treasury))

OCI その他の包括利益(other comprehensive income)

OCIE SEC法令遵守調査・検査局(SEC’s Office of Compliance Inspections and Examinations)

OREO その他の所有不動産(other real estate owned) PCAOB 公開会社会計監督委員会(Public Company

Accounting Oversight Board) PCC 非公開会社評議会(Private Company Council) PCI 購入した信用減損(purchased credit-

impaired) PD デフォルト確率(probability of default) PEO 主要経営責任者(principal executive officer) repo 買戻契約(repurchase agreement) ROU 使用権(right of use) SAB SEC職員会計公報(SEC Staff Accounting

Bulletin) SEC 米国証券取引委員会(Securities and

Exchange Commission) SIFMA 米国証券業金融市場協会(Securities Industry

and Financial Markets Association) TIS テクニカル質問サービス(Technical Inquiry

Service) TRG 収益認識に関するFASB・IASB合同の移行リソー

ス・グループ(FASB-IASB joint revenue recognition transition resource group)

U.S.GAAP 米国において一般に公正妥当と認められる会計

原則(United States Generally Accepted Accounting Principles)

VIE 変動持分事業体(variable interest entity) VSOE ベンダー固有の客観的証拠(vendor specific

objective evidence)

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以下は、本刊行物において言及された法律の略称の一覧です。

略語 法律名

ドッド・フランク法(Dodd-Frank Act) ドッド・フランク・ウォール街改革・消費者保護法(The Dodd-Frank Wall Street Reform and Consumer Protection Act)

証券取引法(Exchange Act) 1934年証券取引法(Securities Exchange Act of 1934)

JOBS法(JOBS Act) 新規産業活性化法(Jumpstart Our Business Startups Act)

証券法(Securities Act) 1933年証券法(Securities Act of 1933)

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付録 C — その他の資料 デロイトの刊行物

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の登録が必要です。選択した業界に関する刊行物のほか、ご希望のその他のデロイトの刊行物やウェブキャストのご案内を電子

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Dbriefs

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「Dbriefs」の詳細については、こちらのウェブサイト(www.deloitte.com/us/dbriefs)をご参照ください。

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す。Technical Library: Deloitte Accounting Research Tool と呼ばれるこのライブラリーには、デロイトの会計処理マニュアル、

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ございます。

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いるため、いつでも、どのコンピューターからでも瞬時に情報を検索できます。Technical Libraryのご登録者には、ライブラリーへ

の最新の追加情報を取り上げる週報Technically Speakingもお送りします。詳しい登録方法やオンライン上のデモンストレーション

などの詳細については、デロイトのウェブサイト(www.deloitte.com/us/techlibrary)をご参照ください。

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ション™のアップデートのほか、PCAOB、AICPA、SEC、IASB、IFRS解釈指針委員会など、FASB以外の米国会計基準の設定主

体と国際会計基準の設定主体、規制当局の最新動向に関する記事が掲載されています。今すぐチェックしてください!

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査法人 トーマツ、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社、デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社、デロイト トーマツ税理士法人および DT 弁護士法人を

含む)の総称です。デロイト トーマツ グループは日本で最大級のビジネスプロフェッショナルグループのひとつであり、各法人がそれぞれの適用法令に従い、監査、税務、法務、コン

サルティング、ファイナンシャルアドバイザリー等を提供しています。また、国内約 40 都市に約 8,700 名の専門家(公認会計士、税理士、弁護士、コンサルタントなど)を擁し、多国

籍企業や主要な日本企業をクライアントとしています。詳細はデロイト トーマツ グループ Web サイト(www.deloitte.com/jp)をご覧ください。

Deloitte(デロイト)は、監査、コンサルティング、ファイナンシャルアドバイザリーサービス、リスクマネジメント、税務およびこれらに関連するサービスを、さまざまな業種にわたる上

場・非上場のクライアントに提供しています。全世界 150 を超える国・地域のメンバーファームのネットワークを通じ、デロイトは、高度に複合化されたビジネスに取り組むクライアン

トに向けて、深い洞察に基づき、世界最高水準の陣容をもって高品質なサービスを提供しています。デロイトの約 225,000 名を超える人材は、“making an impact that matters”

を自らの使命としています。

Deloitte(デロイト)とは、英国の法令に基づく保証有限責任会社であるデロイト トウシュ トーマツ リミテッド(“DTTL”)ならびにそのネットワーク組織を構成するメンバーファームお

よびその関係会社のひとつまたは複数を指します。DTTL および各メンバーファームはそれぞれ法的に独立した別個の組織体です。DTTL(または“Deloitte Global”)はクライ アントへのサービス提供を行いません。DTTL およびそのメンバーファームについての詳細は www.deloitte.com/jp/about をご覧ください。

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