京都大学における 研究公正に関する取り組み - jst · 2016. 10. 11. ·...
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京都大学における研究公正に関する取り組み
平成28年6月14日
京都大学
研究推進部 研究推進課
目次
背景
研究公正に関する取り組み
今後の課題
1
2
3
2
京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程第7項第2項の研究データの保存、開示等について定める件
一
背
景
1研究活動における不正行為への対応に関するガイドライン
京都大学における研究活動上の不正行為の防止等に関する規程
研究活動における不正行為への対応に関するガイドライン」改正 京都大学における公正な研究活動
の推進等に関する規程
平成27年3月
平成18年12月
平成26年8月
平成18年8月
京都大学における研究活動上の不正行為に係る調査要項
京都大学研究公正アクションプラン
文部科学省 京都大学
平成27年7月
3
改正ガイドラインを踏まえ、旧「京都大学における研究活動上の不正行為の防止等に関する規程 」を全面改正
新規程の主なポイント・研究活動の不正行為を事前に防止し、公正な研究活動を推進するための体制の整備、責任体制の明確化
⇒ 常設3委員会の設置
・対象者の拡大⇒ 本学で研究活動を行うすべての者(学生も含む)
・「不正行為」の定義拡大⇒ 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠った場合
・研究データの保存、開示を規定
・調査の詳細を別途「調査要項」に制定 等
二
研究公正に関する取り組み
京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程 (平成27年3月1日施行)
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二
研究公正に関する取り組み
総長
公正な研究活動を推進するための体制
総括者:研究担当理事
研究公正部局責任者(部局長)
研究公正委員会
研究公正推進委員会
研究公正調査委員会
部局調査委員会
企画 調査
総括
部局総括
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教職員等(監督者)
教職員等(監督者)
教職員等(監督者)5
二
研究公正に関する取り組み
• 公正な研究活動の推進等に係る方策の策定及びその改善• 研究活動上の不正行為の発生要因に対する改善策の策定
• 公正な研究活動の推進等に係る具体的な企画立案及びその実施
• 研究活動上の不正行為に関する通報に係る必要な調査の実施• 部局調査委員会の調査を検証、不正行為か否かの認定
• 部局における公正な研究活動の総括• 部局の研究公正教育・体制整備
• 教職員等を監督または指導する地位にある者で、教職員等に対し、公正な研究活動の推進等に関し必要な指導を実施
2 研究公正委員会
研究公正推進委員会
研究公正調査委員会
研究公正部局責任者(部局長)
監督者
各部局の分野等の特性に合わせた教育や指導を研究公正部局責任者の指揮の下で企画、実施できるよう配慮
(すべての研究科、研究所、センターの長等)
(半数は外部有識者とし、常設化)
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二
研究公正に関する取り組み
京都大学研究公正推進アクションプラン(平成27年3月 研究公正委員会)
本学での学術活動(研究および学習)を公正に推進するために、本学として取り組むべき事項を示す
2
不正を行ってはならないという教育よりもむしろ、研究者としての誇りや先人への畏敬の念を持って研究を行う倫理観を醸成することで、自発的に公正な研究に取り組む研究者を育てるという視点を重視
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二
研究公正に関する取り組み
①ガイダンスでの学生への「公正な学術活動」の啓発
②授業中の学術マナー教育
(教員の模範提示による指導等)
③大学院生への論文執筆教育
(対面型チュートリアル、剽窃等の不正防止取組推進)
④教員への対応
(研究公正研修の受講義務化、FDの実施等)
⑤研究データ保存
⑥体制の整備
(ガイダンス資料・研究公正リーフレットの作成、研究者等
支援体制の整備、実施状況確認ならびに検証等)
京都大学研究公正推進アクションプラン2
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アクションプランにおける主な取組
① ガイダンスでの学生への「公正な学術活動」の啓発
二
研究公正に関する取り組み
各部局において、公正な学術活動の教育を実施・学部新入生(入学時)
・学部・大学院編入生(編入時)
・卒業研究を行う年度の学部生(年度当初)
・大学院新入生(入学時)
学部・大学院生に対して、学術情報リテラシー関
連の講習会等で、文献検索とあわせて公正な学術
活動の教育を実施
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二
研究公正に関する取り組み
2 アクションプランにおける主な取組
② 授業中の学術マナー教育
学術研究の統一的な理解と、責任感と謙虚さを伴った発表の指導
授業の配布資料における引用元の明示
マナー教育の機会としてのレポート課題等の
作成指導、不正が認定された場合の処分の明示
学部ではレポート課題等に剽窃等がないかの確認、
大学院でも学術マナー教育の実施
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アクションプランにおける主な取組
③ 大学院生への論文執筆教育
修士・博士論文における剽窃等の不正防止の取組を推進
修士・博士論文執筆前に、学生に対して必ず一度は対面で指導教員等による対面型のチュートリアルを実施※
※「論文執筆者(大学院生等)へのすべての
指導教員による対面型チュートリアル要綱」
(平成27年7月)を策定し、取り組みを促進
二
研究公正に関する取り組み
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二
研究公正に関する取り組み
2チューター・受講者の双方がテキスト※を熟読
テキストの内容を受講者が要約説明
チューターが受講者に対して、要約説明の内容についての質疑
チューターと受講者でディスカッションを行う
<チュートリアルの実施例>
※日本学術振興会「科学の健全な発展のためにー誠実な科学者の心得ー」等
「研究公正チュートリアル受講修了証」の交付
テキストにある研究不正や問題のある研究行為について、当該分野では特にどれが問題となるか一般論として書かれてある部分について、当該分野の慣習はどうなっているか 等
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アクションプランにおける主な取組
④ 教員への対応
研究活動を行うすべての研究者(大学院生を含む)及び授業を行う教員に対し、e-Learning等による研修の受講を義務付ける
教員の新規採用時の研修会やセミナーにおいて研究公正についての啓発・FDを実施
研究者向けの研究公正リーフレットを配布し、新任教員を中心にすべての研究者に対し意識向上を促す
二
研究公正に関する取り組み
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二
研究公正に関する取り組み
2 各段階に応じた研究倫理教育
学部学生 大学院学生ポスドク研究員等
助教 准教授 教授
◎研究者に対する研究倫理教育
e- learning研修CITI-Japan「責任ある研究行為:基礎編ダイジェスト」
全学共通科目ガイダンス等による教育
論文執筆教育
(チュートリアル)
◎学生に対する研究倫理教育
部局独自で行う研究倫理教育カリキュラム(必修科目・集中講義等)
新規採用教員研修会(年2回)
教員による日常的な指導
JST事業採択者向け研修14
学生への教育を重視することで、教育を行う側の教員等の研究倫理意識を醸成
研究公正リーフレット「責任ある学術研究活動のために」(日英併記)
(URL)http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/ethic/research_guide二
研究公正に関する取り組み
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アクションプランにおける主な取組
⑤ 研究データ保存
全ての研究者は、大学及び各部局が定めるルールに従い研究データを一定期間保存し、適切に管理・開示する
(関係規程等)・京都大学における公正な研究活動推進等に関する規程
・京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程第7項第2項の研究データの保存、開示等について定める件
二
研究公正に関する取り組み
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1~4 【教職員等の責務】
5~9 【監督者等の責務】
10【研究公正部局責任者の責務】
11【その他】
二
研究公正に関する取り組み
2 京都大学における公正な研究活動の推進等に関する規程第7項第2項の研究データの保存、開示等について定める件 (平成27年7月 研究担当理事裁定)
保存計画に従ってデータを保存(改変不可)
疑義が呈された場合データを開示
異動したらデータの所在を報告
指導・教育 ( )データ保存計画を作成・提示(保存期間10年)
保存環境整備保存期間が10年を下回る場合は、部局長に報告
部局毎のデータ保存方法、管理方針・保存計画の取扱い制定 周知・教育
遵守すべき法令・外部との契約の優先
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二
研究公正に関する取り組み
2 研究データ保存、開示ルールのポイント(1)
最低限のルールのみを全学で制定
「保存期間」「誰が何をすべきか」
データ保存の一義的な義務は「研究者本人」
データの種類や保存の方法は、部局、分野等によって千差万別
⇒研究公正部局責任者(部局長)が方針を定めて、
具体的な方針は現場で
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発表された研究成果の根拠となる研究資料等(文書、数値データ、画像等)を、開示、承合及び検証が可能な形で保存(ネガティブデータも含む)
監督者等が保存計画を策定し、部下や指導する学生等の研究データを適正に把握・管理
保存計画において定める保存期間は、当該論文等の発表後少なくとも10年(特段の事情があるデータを10年に満たない保存期間で定めることも可能)
退職時等には、研究者は監督者へ、監督者は部局長へ、データ保存場所を報告(追跡可能に)
研究データ保存、開示ルールのポイント(2)二
研究公正に関する取り組み
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二
研究公正に関する取り組み
2 研究データ保存、開示に係る体制
研究担当理事
研究公正部局責任者
教職員等 教職員等 大学院学生 大学院学生
教職員等(監督者)
•保存計画に定める期間、自身の研究データを保存(改変不可)
• 疑義等が呈された場合は、開示• 異動等の場合は、データの所在を監督者へ報告
•保存計画の策定• 適切に保存するための環境整備• 保存について適切に指導又は教育• 保存期間10年以下に定める場合は部局長へ報告
•部局の研究データの保存方法、管理等の方針、保存計画の取扱い(部局内規)を定め、周知及び教育の実施
教職員等(監督者)
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保存が困難な実験試料や保存に多大なコストを要する生物系試料等については、解析結果・写真等を保存
聴き取り対象については可能な限り音声データを保存
電子媒体データは15年間を保存期間とする
等
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研究公正に関する取り組み
2 研究データ保存各部局における取り組み例(参考)
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研究公正に関する取り組み
2 研究データ保存リーフレット
「京都大学における研究データ保存について」(日英併記)(URL) http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/ethic/research_guide
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研究公正に関する取り組み
2 その他の取り組み
剽窃検知オンラインツール(iThenticate)の全学導入
学生や教職員の意識向上のため、附属図書館の共有スペースに「研究公正図書コーナー」設置
附属図書館との連携
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今後の課題
3部局によりアクションプランの浸透にばらつき取り組み状況に差異→ アクションプランの更なる浸透が必要
各部局独自の取組の把握、グッドプラクティスの共有
各部局・各研究室での着実な取組への全学的な支援データ保存環境の全学的な整備支援 等
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