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躍動するベトナム 日本のODAの現状と展望 平成24年7月 国際協力機構(JICA)

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Page 1: 躍動するベトナム 日本のODAの現状と展望 - JICA2011年の実質gdp成長率:5.9% (2010年は6.8%) 2011年の一人当たりgdp:1,374ドル(日本:45,920ドル)

躍動するベトナム

日本のODAの現状と展望

平成24年7月

国際協力機構(JICA)

Page 2: 躍動するベトナム 日本のODAの現状と展望 - JICA2011年の実質gdp成長率:5.9% (2010年は6.8%) 2011年の一人当たりgdp:1,374ドル(日本:45,920ドル)

1. ベトナム国概要

経済成長率

2000年から2010年までの平均経済成長率は7.3% 2011年の実質GDP成長率:5.9% (2010年は6.8%) 2011年の一人当たりGDP:1,374ドル(日本:45,920ドル) (出所:IMF予測)

8,543名(2010年10月1日現在) (北・中部) 3,731名 (南部) 4,812名

在留邦人数 出所:在越日本大使館

人口

約9,055万人 総人口の6割強が30歳未満 (日本は3割が30歳未満)

進出日系企業数 (2012年7月9日現在、日本商工会登録企業数)

ハノイ:456社、ホーチミン:579社 ダナン:53社 計:約1,100社 0

200

400

600

800

1000

1200

1400

1600

1800

2000

1989

1990

1991

1992

1993

1994

1995

1996

1997

1998

1999

2000

2001

2002

2003

2004

2005

2006

2007

2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

(年)

(米ドル)

0

2

4

6

8

10

12(%)

一人当たりGDP

GDP成長率

出所: IMF World Economic Outlook Database, Oct. 2010

貿易・投資

海外直接投資実行額: 2011年は前年ほぼ同額の110億ドル (2012年上半期日本の直接投資申請額は41.6億ドルで最大:全体の65%)

貿易額: 2011年の輸出額969億ドル(対前年比34.2%増),輸入額974億ドル(同26.0%増)

出所:Vietnam Demographics Profile 2012 : 2011年7月

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2.支援実績

円借款

通信

4%

社会的サービス

(下水道等)

17%

その他

13%

電力

29%

運輸

39%

●2011年度承諾額: 2,700億円

(2010年度: 1,485億円) ●支援分野: 【セクター別割合】 (1992年からの承諾額累計:約1.86兆円)

無償資金協力

技術協力

●2011年度承諾額:54億円

(2010年度:35億円)

●主な支援分野: NACCS(通関情報処理システム), ITS,

気象レーダー等

●現在派遣中の長期専門家:82名

●支援分野:投資促進、産業人材育成、中小企業育成、保健医療、農村開発、環境保全

ボランティア事業

●現在派遣中のボランティア: シニア:28名、一般41名

●支援分野:保健医療、農村開発、環境教育、裾野産業支援、日本語教育

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3.代表的な協力

(1)交通インフラ(都市交通)

●深刻な交通渋滞に対応するため、ハノイ及びホーチミンの都市鉄道建設を対象として、

日本の経験・技術を活用した総合的な支援を実施

(支援内容) ①都市交通計画、鉄道技術基準の策定

②都市鉄道建設事業への円借款供与(STEP案件)

③運営維持管理に関する技術協力(鉄道運営会社の設立(東京メトロ、大阪市営地下鉄による協力)、料金徴収システム(SUICA)の導入等) ④沿線・駅周辺開発計画の策定(官民連携事業の支援)

(2)交通インフラ(高速道路)

●南北高速道路の建設に対して円借款供与とあわせ、日本方式の道路情報管理・料金徴収システム(ITS/ETC)の導入を促進

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3.代表的な協力

(3)交通インフラ(橋梁)

●我が国の優れた橋梁技術やノウハウを活用し、ベトナムにおける日本技術の普及と日本企業の投資を促進。

<代表例>

ニャッタン橋(日越友好橋)建設事業

•日本が開発した「鋼管矢板工法」をベトナムで初めて本格的に採用し、軟弱地盤でも迅速な基礎工事が可能となった。

•越建設省による同工法の標準化と銅管需要の増加を踏まえ、日本の主要メーカー2社は2011年より、ベトナムを海外における鋼管製造拠点とし、ホーチミン近郊に工場を建設・操業開始 。

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3.代表的な協力

(4)都市水環境改善

●主要都市の下水管への接続率は20-35%、ハノイでは小規模の下水処理場があるのみ

●多くの工業団地で排水処理施設が未整備

→都市内の河川・湖沼の水質汚染を軽減し、都市の生活環境改善を図る

→技術協力と円借款の両スキームを有機的に関連づけ、水環境改善

に向けた支援を実施

(支援内容) ①汚染源対策の立案・実施、違反監視強化

②汚染源の測定、分析・評価を担う人材育成

③排水・汚水処理施設建設への円借款供与

④日本の自治体との協力を促進

(ハイフォン市/北九州市等)

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3.代表的な協力

(5)中小企業・裾野産業振興

●中小企業の数は全企業数の98.8%

●越日系企業の部品・原料の現地調達率は24%

(タイ:56%、インドネシア・マレーシア:40%台) →裾野産業の育成は日系企業の製造拠点の確保、国内製造業の発展のために必要不可欠

(支援内容) ①裾野産業振興に関する具体的施策の立案

②中小企業向け融資促進のための円借款供与

③中小企業経営者・技能者育成

④日系企業と連携した工業大学カリキュラムの策定・実施

⇒円借款、技術協力、ボランティアの有機的連携を図り、中小企業・裾野産業育成を支援

⇒我が国中小企業のベトナム進出に資する現場の情報を提供

←ハノイ工業大学 実習の様子

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3.代表的な協力

(6)保健医療

●基礎的保健医療サービスの提供は、格差是正・社会的弱者支援の観点から必要不可欠であり、保健医療サービスの質の低さ(施設機材の不足、上位病院への患者の集中等)の改善が必要

(支援内容) ①地域の拠点病院に対して、技術協力、無償資金協力により、人材育成、施設整備を支援

②拠点病院での成果を活用した円借款、ボランティアによる地方省病院への支援を計画・実施

国立中央病院 専門病院

省病院

郡病院

コミューン ヘルスセンター

中央

地方省

コミューン

技術協力 無償

円借款 ボランティア

他ドナー

越側予算

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3.代表的な協力

(7)防災

●近年、中部地域を中心に毎年のように台風被害が発生。洪水被害の増加に対し、日本の経験・技術を生かした防災協力のニーズが高まっている。

(支援内容)

①行政による防災計画の立案、コミュニティ防災手法の開発・普及等を技術協力で実施 ②堤防・排水施設・予警報システム等の施設整備、観測衛星の開発・データ活用(宇宙センター事業) ③気候変動による影響予測を取り入れた災害対策の実施

←中部トゥアティエン・フエ省

海岸地区における洪水の状況

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3.代表的な協力

(8)気候変動

●長い海岸線、河口付近に広大なデルタ地帯を持つベトナムは、世界の中でも気候変動の影響を最も受けやすい国の一つ。 ●特にメコンデルタへの影響が甚大で、1mの海面上昇によって60%以上の土地が喪失すると予測(下図の赤色部分)。 (支援内容) ①気候変動対策のための制度改善を目的として、JICAがベトナム政府とドナーの政策対話をリードし、政策アクションを促進するための財政支援(円借款)を実施。 ②メコンデルタ地帯の塩水遡上等の気候変動影響への対応を策定するため、開発調査を実施。

出典: MONRE(ベトナム国天然資源環境省)http://vietbao.vn/The-gioi-giai-tri/Cung-xem-de-thuc-tinh-linh-hon/55267575/412/

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4.最近の新たな取り組み

●ベトナムとアフリカの協力を橋渡し (1)農業開発:モザンビーク稲作技プロにベトナム人専門家が参加 (2011年6月から) (2)都市開発:西アフリカ諸国に対し、ハノイ市の経験を紹介(2012年2月ハノイでセミナー開催)

(2)内外一元化

●海外と国内の課題を一元的にとらえ「国際協力を通じ、国内の課題の解決にも貢献する」という視点での案件実施を推進 (事例-ベトナムと沖縄をつなぐ協力) ●ベトナムの社会経済開発戦略においては、工業化、観光産業、農産品加工業の振興がテーマ ●沖縄県の産業振興の取組みがベトナムの産業振興に寄与することから沖縄県にてベトナム関係者の研修を実施。 ●県としてもベトナムからの観光客誘致、沖縄産品の輸出促進等を期待。今後の交流促進を支援。 ↑沖縄県工業技術センターの視察

(1)民間連携の促進

(3)南南協力

●日本企業の投資環境改善を目的とした「日越共同イニシアティブ」 に基づく技術協力、円借款の拡大

(税務、税関、知的財産権保護、人材育成、インフラ整備など)

●日本企業による官民パートナーシップ(PPP)事業参画を支援

PPP案件のためのベトナム側制度整備を支援するとともに、 日本企業の提案を踏まえ、PPP案件形成調査を支援(上下水、高速道路、発電等13件)

<代表的なF/S案件> ・ハノイ都市圏水道PPPドン河事業準備調査

・環境配慮型工業団地ユーティリティ運営事業準備調査

・ソンハウ1石炭火力発電事業およびその周辺インフラ事業準備調査

・カント―市上水道整備事業準備調査

・ダナン市環境インフラ整備事業準備調査

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新時代の日本・ベトナム戦略的パートナーシップ ~アジア開発協力の「一丁目1番地」~

【成長と競争力強化】

○マクロ経済安定の・構造改革

(インフレ抑制・国営企業改革) ○産業競争力強化・人材育成

○インフラのレベルアップ

○貧困削減・格差是正 ○気候変動への対応 ○グリーン成長戦略

○司法制度改革・法整備

○公務員制度改革・人材育成

○汚職対策

持続的な成長

(2020年工業国化目標)

(政策支援)

①「日越共同イニシアチブ」 投資環境改善アクションプラン実施促進

②「工業化戦略」策定支援

③金融セクター改革・不良債権への対応

(パッケージ型インフラ支援) ①日本の技術・ノウハウ・システムの導入

②企業・自治体等広範なパートナー

課題

課題

【脆弱性への対応】

課題

①地方インフラ・医療

②農村開発(灌漑・植林・地場産業) ③気候変動対策プログラム

・JICAが越政府・ドナー間の政策対

話をリード

・政策アクションの策定と財政支援

(仏・韓・加・世銀等が参加)

JICAの取り組み JICAの取り組み 【ガバナンス強化】

JICAの取り組み

①憲法改正支援

憲法調査団(7/1-7)のフォローアップ

②公務員養成

首相府・ホーチミン政治行政学院

③共産党組織委員会への協力

新5ヶ年開発計画(2011-2015) 新10ヶ年開発戦略(2011-2020) <3つの突破口:制度・人材・インフラ>

ベトナム事務所 築野元則